1: 2012/02/13(月) 19:34:05.83
律子「へっ・・・?」

P「プロデューサー辞めたほうがいいよ」

律子「ど、どうしてそんな風に思うんですか?そりゃあ確かに、あなたの言うことだから説得力はあるかもしれないけど・・・」

律子「ちゃんと論理的に説明してくれないと、納得できません!」

P「だって律子はアイドルやった方がカワイイもん」

律子「なっ・・・・//」 
9: 2012/02/13(月) 19:50:16.72 ID:eUNACOst0
P「春香から見せてもらったよ」

律子「ま、まさか…」

P「アイドル時代の写真。三つ編みおさげだったんだな」

律子「ま、まあね…じゃなくて!さっきの言葉は…その…」

P「アイドル、に戻らないかって事」

律子「で、でもっ!竜宮小町は…」

P「七彩ボタン大ヒット、海外進出か…まで行ってるな」

律子「それもあなたの力があったから出来た事で…」

P「俺はただ地盤を作っただけにすぎないさ。そこから展開していったのは律子の力だ」


14: 2012/02/13(月) 20:06:19.62 ID:eUNACOst0
律子「…私、アイドルには…戻れない、です」

P「…え」

律子「っ…もう、今日は帰ります!お疲れさまでした!」

P「あ、律子…」

俺の制止を聞かずに、律子は行ってしまった。
怒らせてしまったのだろうか
『戻らない』ではなく『戻れない』…その言葉が引っかかった
とりあえず明日、一応謝ろう 
38: 2012/02/13(月) 20:52:21.15 ID:eUNACOst0
翌日

P「おはようございまーす、さて、律子は…」

美希「ハニー、おはようなの!」

P「ああ、美希おはよう。律子知らないか?」

美希「むう…律子、さんなら来てたけど、書類持って行っちゃったよ」

P「あ、今日は竜宮小町のCM撮影だったな…まいった」

美希「ハニー、今日は暇?」

P「いんや、今日は事務がたんまりだ」
(事務所にいないと律子に会えないからな…)

美希「じゃあ事務所にいるんだねっ!今日、美希もずっとここにいるの!」

P「ん…?って駄目じゃないか!今日は仕事だろ?」

美希「や、ハ「おはようございます」

41: 2012/02/13(月) 20:58:45.75 ID:eUNACOst0
P「あ、千早か。おはよう」

千早「おはようございます、プロデューサー。今日の私の仕事の確認をお願いします」

P「えっと、千早は…お!美希とテレビ出演か!」

美希「何か嬉しそうなの…」

P「い、やいや。本当はついていきたいけどな。でも一人じゃないだろ?行ってきなさい」

美希「むう…」

P「千早、美希を頼むぞ!」

千早「は、はあ…」

P「タクシーの手配は…あ、律子がしてくれてるな…
よし、行ってこい!」

千早「はい」 美希「はーいなの」

44: 2012/02/13(月) 21:04:03.44 ID:eUNACOst0
P「ふう…」(まあ事務が溜まってるのは嘘じゃないしな…うん)

小鳥「プロデューサーさん、律子さんに何か用事が?」

P「あ、まあ、ちょっと」

小鳥「緊急なら連絡しましょうか?」

P「ああ、いえ。大丈夫ですよ、ちょっと個人的な事なので」

小鳥「こ、じんてき…ですか…個人的…」

P「音無さん?」

小鳥「ああ、いえ!何でもないですよ!おおお茶、入れますねっ!!」

P「あ、ありがとうございます…」

49: 2012/02/13(月) 21:12:17.77 ID:eUNACOst0
P(にしても、事務…溜まりすぎだろ…今まで何やってたんだ、俺)

真「おはようございまーす!」 雪歩「おはようございますぅ」

P「おー、おはよう。二人の仕事は…ラジオか。タクシーの手配は…律子がしてくれてるな」

真「くぅー、今日はどんな話しようかなあ!今日のテーマは『私のアイドル』かあ」

P「あ、そうだ。二人とも律子と親しいよな?」

雪歩「えっ?そうですね…みんな、仲良しですよ」

P「律子についてちょっと聞きたいんだけどさ。律子って、昔アイドルやってたんだよな?」


59: 2012/02/13(月) 21:27:22.98 ID:eUNACOst0
真「そう、ですね。やってましたよ…うん」

あれ、何か気まずそうな表情だ
真や雪歩だけでなく、音無さんも。
聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか

雪歩「あ、のぅ。時間なんじゃあ…」

真「わっ、本当だ!プ、プロデューサー!失礼しますっ!行こう、雪歩」

二人は逃げるように行ってしまった
何なのだろう

小鳥「あの、プロデューサーさん」

P「はい?」

61: 2012/02/13(月) 21:36:10.22 ID:eUNACOst0
小鳥「律子さんの事、どうして知ろうと…?や、そんな、変な意味じゃないですよ?」

P「…律子は、プロデューサーに向いてないと思うんです。は、違うかな。
何というか…プロデューサーでいるのはもったいないと思うんですよ
だって可愛いじゃないですか。…あ、いや、純粋にですね。」

小鳥「…」

P「っと、まあ…俺がプロデューサーとして
秋月律子という人間をアイドルとしてプロデュースしたいんです
律子は…彼女には可能性を俺は感じます
前にアイドルをやっていた、知ってます。それがどんな結果になったのか俺は知らない。
だからこそ俺は秋月律子を、彼女をプロデュースしたいんです!」

小鳥「…」

P「…と、昨日の夜に律子に伝えようと思ったんですが
言葉足らずだったのか…怒らせてしまったようで」

63: 2012/02/13(月) 21:41:17.02 ID:eUNACOst0
小鳥「…」

P「…音無さん?」

小鳥「ふふ、プロデューサーさんはすごいですね
熱意、感じちゃいました。…でも」

P「…でも?」

小鳥「難しいんじゃないでしょうか…理由は……」

P「理由?」

小鳥「…り「おはようございます!」

P「は、春香…おはよう」

65: 2012/02/13(月) 21:51:44.16 ID:eUNACOst0
春香「えへへー、今日は一回も転ばずに来れたんですよ!」

P「あ…はは、よかったな」

真美「おっはよー!」 やよい「おはようございまーす!」 響「おはようだぞー!」

P「あーおはよう」
(一気に事務所が賑やかに…)

やよい「今日はどんな仕事ですかー?」

真美「真美はねー、歌っていいともに出たいよー」

響「はい!ここはやっぱりフェスで一発ドーンと輝くさー!」

P「落ち着け落ち着け!仕事はもう決まってる!
やよいと真美は雑誌の写真撮影!春香と響は765プロ代表としてイベント出演!
タクシー手配は律子ですね分かってます!」

春香「はいっ!」 やよい「はーい」 真美「はいはーい!」 響「了解だぞー」

P(毎日これだもんな…事務が溜まるのは仕方がないんだ、うん)

67: 2012/02/13(月) 22:01:08.75 ID:eUNACOst0
P「ってあれ…貴音遅いな…」

貴音「お呼びですか」

P「うわっ、いたのか!?声をかけてくれよ…」

貴音「申し訳ありません。どうやら真面目な話をなさっていたようですので」

P「ああ…聞こえていたのか」

貴音「はい、秋月律子の事ですか…残念ながら私は詳しくは知りません」

P「そっか…貴音なら何でも知ってるだと思ってたんだけどな」

貴音「私は超人ではありません…
ですが、プロデューサー」

P「ん?」

貴音「世の中には知らない方が良い事もあるかと…
さて、私の仕事は…ナレーションですね。それでは、行ってきます」

P「ああ、行ってらっしゃい」

知らない方がいい…
でも俺は知りたかった、秋月律子の事を
彼女がアイドルとして生きていた時を、知りたかったんだ

69: 2012/02/13(月) 22:12:02.80 ID:eUNACOst0
あれから音無さんに聞くタイミングが見つからないまま時間だけが過ぎ、夜

P「終わった…んーー、疲れたな…」

小鳥「お疲れ様です、お茶いれますね」

P「あ、音無さん。律子の事で「ハニー!」

美希「会いたかったの、ハニー!充電させて♪」

千早「………ただいま戻りました」

P「あ…はは、おかえり…」

美希「ハニー、もうお仕事終わり?じゃあ、一緒の夜を過ごそ?」

P「ああ…」
(理由、理由…いや、これは仕方がないんだよ!悪気はない!)

千早「プロデューサー、少しいいでしょうか?お訊ねしたい事が
…できれば、二人きりで」

P「…という訳でだ、一緒の夜は過ごせない。おっと、待っとくのは駄目だ
明日は早いだろ?帰りなさい」

美希「むう…じゃあ、おやすみのキスなの♪」

P「」 千早「………」

70: 2012/02/13(月) 22:19:55.17 ID:eUNACOst0

P「…えーと、千早。何かあったのか?」

千早「いえ。何かあったのはプロデューサーの方では?」

P「な」

千早「分かります…ちょっとの変化でも、気持ちでも、寝癖でも、表情でも、服でも、下着で「ああ、ありがとう!」

P(下着…?)「千早、一つ聞いていいか?」

千早「はい、何でも」

P「律子の事なんだけどさ。律子、昔アイドルやってたんだよな?」

千早「はい」

P「アイドルを辞めた理由って知ってるか?」

千早「…はい」

P「教えてくれないか?」

71: 2012/02/13(月) 22:25:31.36 ID:eUNACOst0
千早「…それは」

春香「駄目だよ、千早ちゃん」

P「春香…!」

春香「駄目、だよ」

P「なん「たっだいま→」

亜美「兄ちゃんだ!お久しぶりぶりー☆」

あずさ「あらあら、お久しぶりですー」

伊織「はあ…何で疲れてるときにあんたの顔なんか見ないといけないのよっ」

P(竜宮小町…!じ、じゃあ…)

律子「はいはい、集合集合!反省会するわよ!」

P(律子…!)

73: 2012/02/13(月) 22:31:18.27 ID:eUNACOst0
P「り、律子、あのさ」

律子「はいはい、後で!先に竜宮小町の反省会したいんですけど、いいですか?」

P「あ、ああ…」

律子「待ってて下さいね。じゃ、別室に行くわよ!」

伊織「はーい」 亜美「あいあいさー」 あずさ「はい」

P「……春香」

春香「…じゃ、失礼しますねっ。帰ろっ、千早ちゃん!」

千早「うん…失礼します、プロデューサー」

P(春香は止めてくれたのか?分からないが…とりあえず感謝しておこう
ありがとな、春香)

75: 2012/02/13(月) 22:39:13.18 ID:eUNACOst0
数十分後

亜美「うあー…疲れたよぉ…んぅ…兄ちゃんまたねぇ」

あずさ「あらあら、亜美ちゃん。階段気をつけてねー。
では失礼しますね、プロデューサーさん」

伊織「あずさ!そっちはトイレだってば!
んじゃ、せいぜい頑張りなさいよね!ばいばいっ」

嵐のように竜宮小町は去っていった
…3人いえどもパワーはすごいな
さて、一番肝心なのは…

律子「お待たせしました!で、何の用ですか?」

P「ああ、昨日の事なんだけどさ…悪かった、ごめん」

律子「えっ?やぁだなあ、昨日の事なんかいちいち気にしてませんよ!
まあ、私もちょっと大人げなかったかな。ごめんなさい」

P「あのさ、律子。教えてほしいんだ」

律子「ん?何をです?」

P「律子が、アイドルを辞めた理由を」

79: 2012/02/13(月) 22:47:16.99 ID:eUNACOst0
律子「…ふぅむ、それを知る必要性は何でしょうか、プロデューサーどの?」

P「もったいないから」

律子「は?」

P「律子がプロデューサーとしているのはもったいないから。
律子はアイドルとしてやっていけると俺は思うんだ
そして、俺は律子をアイドルとしてプロデュースしたい」

律子「それは…私のプロデューサーになりたいということですか?」

P「ああ」

律子「それは……ごめんなさい、かな」

P「…理由、は」

律子「言えない、言いたくない。これは私の本心」

P「…そっか」

律子「ごめんなさい、私…もうアイドルにはなれないから」

P(なれない…?)

それ以上は聞けなかった
律子のあんな悲しそうな顔、始めて見たかもしれない

82: 2012/02/13(月) 22:54:36.26 ID:eUNACOst0
翌日

P「おはようございまーす。お、春香!おはよう」

春香「プロデューサーさん、おはようございます!
あの、ちょっといいですか?」


別室
P「どうした?何かあったのか?」

春香「いえ…
あのっ、私、律子さんの事知ってます」

P「!」

春香「…教えて下さい。どうしてプロデューサーさんは、律子さんの過去を知ろうとしてるんですか?」

俺は、春香に全て話した。
律子をアイドルとしてプロデュースしたい…
俺の話を聞いてる間、春香の目はとても優しそうに輝いていた
まるで全てを包み込むような、聖母のような眼差しだった

84: 2012/02/13(月) 23:03:23.82 ID:eUNACOst0
春香「そう、だったんですね…プロデューサーさん、やっぱりすごいや
…うん、プロデューサーさんになら話せる。ううん、話さないと」

そう言うと春香は鞄の中から一冊の雑誌と、一枚のCDを取り出した

春香「これ、律子さんがアイドルとして活躍していた時の…
ほら、『委員長になってほしいアイドル』1位です!」

P「はは、似合うな!真面目な所が選ばれたか…ファンはやっぱり見てるんだなー」

春香「後…これ」

CD…チューリップがジャケット絵になっている
タイトルは…

P「いっぱいいっぱい…か」


1: 2012/02/14(火) 11:49:44.86 ID:Wo/6p/ko0

春香「はい、後で聴いてみて下さい。律子さんの…最初で最後のアルバムです」

P「ありがとうな、春香」

春香「いえ!…私も、律子さんにもう一度歌ってほしいと思ってますから」

P「うん。…春香、律子が辞めた理由、教えてくれるか?」

春香「…はい」


8: 2012/02/14(火) 11:56:14.39 ID:Wo/6p/ko0
春香「律子さんは、アイドルとして大活躍していました。あのSランクアイドルになる手前まで」

P「Sランクって…最高レベルじゃないか!」

春香「はい、でもSランクアイドルにはなれませんでした。
…タイムリミットがきたからです」

P「タイムリミット…?」

春香「アイドルにも賞味期限というものがあります。それが切れれば、新鮮味がなくなる。
そうなると、どうあがいても上には行けない。そうなる前に、社長は活動を止めさせたのです」

P「…!」

11: 2012/02/14(火) 12:02:53.37 ID:Wo/6p/ko0
春香「…話は少し戻ります。プロデューサーさんが来るまで、
ううん、律子さんがプロデューサーになるまでに
765プロには一人のプロデューサーさんがいました」

P「…もしかして」

春香「はい、その人が律子さんのプロデューサーさんでした」

P「…そうか」

春香「私も何度かお会いしたんですが…とても優しい人でした
…でも、優しすぎたが故に」

P「春香…」

春香「えへへ、大丈夫です!
んんっ…優しすぎたが故に、弱かったんでしょうね」


16: 2012/02/14(火) 12:44:47.50 ID:Wo/6p/ko0
社長「タイムリミットの夜、私は彼に告げたのだよ。『お別れコンサートを開いてもらう』と」

P「そうだったんですか…って社長!?いつの間にいたんですか!」

社長「はっはっは、まだまだだね」

春香「し、社長…」

社長「何も言わなくていいぞ、春香君。これは話せばならない事だ」

春香「…はい」

P「あの、お別れコンサートっていうのは?」

社長「うむ。引退するにあたり、今までのファンに対してのコンサートを開いてもらった
律子君はAランクだったからね。武道館で開いたんだ」

P「武道館って、すごいことじゃないですか!」

社長「うむ。だが…失敗した」

20: 2012/02/14(火) 12:49:39.84 ID:Wo/6p/ko0
P「…え?」

社長「誰が悪いとか、何を失敗したとかではない。
ただ、タイミングが悪かっただけなんだ」

P「…」

社長「彼も混乱していたようだね。…それはそうだ。
唐突にアイドルプロデュースを止めろと言われたようなものだからね。」

P「…」

社長「…お別れコンサートを失敗したアイドルは、歴史から抹殺される
例えどれだけの活躍をしていたとしてもね」

P「そんな…」

社長「それがこの世界だ」

春香「…」

22: 2012/02/14(火) 12:58:33.07 ID:Wo/6p/ko0
社長「彼はかなり落ち込んだ。そしてふらりと辞表だけを置いてどこかへ行ってしまった
律子君の事をよろしく頼むと書いてね…」

春香「そして律子さんはプロデューサーになりました。
最初は私もびっくりしましたよ!でも律子さんは竜宮小町を生み、成功させました」

社長「実力はあったんだ、それは私が保証しよう。
さて、君の律子君をアイドルに戻したいという熱意は先ほど全て聞かせてもらった」

P(いつからいたんだ…全然気がつかなかったぞ)
「はい、俺は律子をアイドルに…戻させたいです!」

社長「残念ながら、それは無理だろう。歴史から抹殺されたアイドルは二度と日の目を見ることはない
何度も這い上がろうとした者もいる、だが」

P「今までにいないなら作ればいい!」

23: 2012/02/14(火) 13:04:54.73 ID:Wo/6p/ko0
社長・春香「!」

P「もし泥まみれになって這い蹲ったとしても、俺が支えになる!
もし溺れそうになっても、俺が手を引っ張る!
もし歩けなくなっても、俺が背負って走る!」

春香「プロデューサーさん…」

P「社長、お願いします。
彼に…律子の元プロデューサーに会わせてください」

社長「し、かし…」

P「あ、いや、別に彼に怒るわけじゃないですよ!
ただ、アイドルだった頃の律子の話を聞きたいんです」

25: 2012/02/14(火) 13:12:10.54 ID:Wo/6p/ko0
伊織「いいんじゃないかしら?」

春香「ひゃっ、伊織ちゃん!?」

P(何で机の下から出てくるんだ…ずっといたのか!?)

伊織「何よ、私はただ春香に頼まれてここにいただけよ」

P「え?」

伊織「話、ぜぇーんぶ聞いたわ。あんたが律子をアイドルに戻させたいっていうの
いいんじゃない?面白そうじゃないの♪」

P「面白そうって…」

伊織「ふん、これよ」

と伊織が差し出したのは一枚の紙
どこかの住所と地図が書かれている

伊織「そこにあんたの探し人がいるわ」

社長「水瀬君…!!」

伊織「あら、いいんじゃないの?社長だって彼の事心配してるくせに」

社長「ぐう」

26: 2012/02/14(火) 13:19:53.35 ID:Wo/6p/ko0
とりあえず、今日はそこに行きなさい!事務は社長にしてもらえばいいじゃない♪
と、伊織に半強制的にいつの間にか手配していたタクシーに押し込まれ
先ほどの紙に書かれた住所に向かってる途中。

P(あ、春香から渡されたCD…歌詞カードだけでも見てみるか)

【無意識 いつもあなたを見てるの 気付いてすぐに落ち着きなくなる】

P(はは、律子の純情か)

そこに並ぶ言葉は不器用な恋心を持つ女の子の心情が表されていた
その女の子はまるで…

P(律子、みたいだな)

その恋心を向けていた相手は…きっと…

P(あれ、何だこれ…
俺…嫉妬、してる…?まさかな)

27: 2012/02/14(火) 13:27:51.78 ID:Wo/6p/ko0
指定していた場所に着き、俺は降りる
そこはとても小さなCDショップだった
中に入ると客は誰もいなく、一人の店員が整理をしていた
その店員はこちらに気づき、頭を下げる

P「あの…!あ」

その店員が持っているCDは

P「いっぱいいっぱい…」

店員は一瞬驚いた表情になり、すぐに笑顔になった

店員「お探しでしたか?もうこれ、廃盤になってるんですよね」

P「そうですか…あの、いい曲ですよね」

店員「はい、それはもう!」

声を張り上げ、これ以上とない笑顔になる店員
間違いない

P「あの…あなたは765プロの、秋月律子のプロデューサーさんですよね?」

店員は俺の顔をまじまじと見つめ、少し悲しそうな表情になり「はい」と呟いた

29: 2012/02/14(火) 13:37:07.01 ID:Wo/6p/ko0
別室に案内され、俺と店員…もとい元Pは向かい合わせに座る

元P「驚きました…765プロのプロデューサーさんが、私に今更何の用ですか?」

P「教えてほしいんです、律子がアイドルとして活躍していた頃の話を」

元P「本人に聞けば…いや、話したくないでしょうね…あんな最悪の一年間なんか」

P「そんな」

元P「いいんですよ、私のせいで秋月さんは…くっ」

P「…」

元P「ああ、失礼。…秋月さんは素晴らしい人でした
少し理論的な所もありましたがね…目標は高く!がモットーでしたから
世界進出を目指していたようですよ。はは、最高ですよね
ああ見えてダンスが得意でした。後、意外とボーカルも」

延々と律子について話す元Pの表情は
まるで我が子を思い出すような優しい表情だった
ただ少しの陰りを残しながら

32: 2012/02/14(火) 13:44:59.98 ID:Wo/6p/ko0
元P「っと、失礼。私ばかり話してしまって!
…その、今秋月さんはどうされてますか?」

P「ああ、竜宮小町をご存知ですか?」

元P「はい、それはもう。わざわざこの店に買いに来るお客さんもいますから。
まあどこも売り切れのようで」

P「その竜宮小町のプロデューサーをやっています」

元P「…!」

P「元気ですよ、あの3人を纏めてます」

元P「はは…夢、叶ったんだな…よかった…」

そういうと元Pは立ち上がり、部屋の隅に置いてあったスピーカーをいじる
流れてきた音楽に混じり、歌声が聞こえてくる
この声は…

P「律子…」

33: 2012/02/14(火) 13:50:06.37 ID:Wo/6p/ko0
♪~

元P「…彼女、アイドルをやっていてよかったんでしょうか」

P「え…?」

元P「私が彼女をプロデュースすると選ばなかったら、どうなっていたんでしょうね」

P「それは…!」

と言いかけた時、携帯にメールの着信があった。断りを入れ、春香からのメールを見る。
そこには

P「………最高だよ」

元P「え?」

P「あの!今日の夜、空いてますか!?」

元P「え?え?」

34: 2012/02/14(火) 13:58:46.88 ID:Wo/6p/ko0
事務所

春香「よし、みんな集まったね!」

千早「ねえ、大丈夫かしら?」

真「へへーん!大丈夫だって、千早!」

雪歩「うう…緊張しますぅ」

貴音「はて、皆が集まった言えども、秋月律子がいませんが
探してきましょう」

亜美「わーわー、待ってよ!そりゃそうだよ!律ちゃんがいたら作戦がパーだもん!」

真美「お姫ちんを見張っとかないと危ないっぽいね…」

やよい「うっうー!ヘアゴムセット持ってきましたー!」

伊織「衣装は…まあ、竜宮小町のでいいわよね」

あずさ「でも、特注ですものねえーうふふ」

美希「髪セットならお任せなの☆」

響「えへへ、引き寄せなら任せるさー!」

35: 2012/02/14(火) 14:08:08.13 ID:Wo/6p/ko0
春香「プロデューサーさんには作戦内容を送っておきましたよ!
返事は『よくやった!』です!」

美希「むう、美希も褒められたいの!」

響「じゃあ、この作戦成功させたらみーんな褒められるぞ!」

皆「!!!」

真美「んっふっふー、みんな気合い入りましたなー」

あずさ「あらあら」

貴音「みっしょんこんぷりーと、した暁には…皆、奢ってもらいましょう」

真「じゃあボクはケーキ!…って言えば女の子らしいのかな」

やよい「特売についてきてもらいたいなーって」

千早「…デート?」

雪歩「じゃあ、わ、私はお家にっ」

亜美「うっわー、だいたーんっ」

伊織「何競ってるのよ!」


P(何か事務所に帰るのが怖いな…)

36: 2012/02/14(火) 14:13:01.10 ID:Wo/6p/ko0
春香「あははっ、みんな目が怖いよー」

小鳥「春香ちゃん!一件空いてるところがあったから、予約しておきましたー」

春香「ありがとうございます、小鳥さん!」

小鳥「うふふ、私も協力したってプロデューサーさんに言っておいてくださいね」

春香「あ、はは…」

やよい「はうあっ!律子さんが帰ってきました!」

真「響!」

響「あいさっ!いっけぇーハム蔵!」

ハム蔵「ヴァイ!」

39: 2012/02/14(火) 14:21:08.54 ID:Wo/6p/ko0
律子「はー、ただい」

ハム蔵「ヴァイ!」

律子「うわあっ!?め、眼鏡っ!」

雪歩「えっとえっと、『きゃあーハム蔵が律子さんの眼鏡を持って飛び出しちゃいましたあ』」

貴音「『なんと。早く追いかけなければ。秋月律子、参りましょう』」

律子「へ?うわっ!?」

やよい「『うっうー!早く行かないと逃げられちゃうかなーって』」

律子「引っ張らなくていいって!ああ、もう何なのよ!」

あずさ「えーっと、『あずさが指をさ』…じゃなくて、『あっちに行きましたよー、お気をつけてー』」

千早「…こんな台本でいいのかしら」

春香「うまくいってるから大丈夫!
さ、みんな先回りするよ!」

41: 2012/02/14(火) 14:29:10.53 ID:Wo/6p/ko0

とある地下の場所

律子「くっ、後で響にお説教ね…あっちか!」

美希「いらっしゃいませなのー☆」

律子「えっ!?み、美希何でここにっ」

伊織「はいはい説明は後ね、脱ぎなさい」

律子「ひゃあああっ!?服を引っ張らないでってか、な、何なのよっ!」

伊織「さ、これに着替えて美希に髪をセットしてもらって」

律子「は、はあ?」

亜美「脱がないとぉ」 真美「剥いじゃうぞぉ」
亜美「着替えないとぉ」 真美「着せかえごっこしちゃうぞぉ」

律子「」

42: 2012/02/14(火) 14:34:17.73 ID:Wo/6p/ko0
美希「これをこうして…こう!あはっ、出来たのー☆」

律子「…この髪型って」

真「春香、もう来たってさ」 春香「了解」 ぼそぼそ

律子「ねえ!ちょっと説明してもらえるかしら」

千早「律子さん、説明は後で必ずしますから。…時間です」

律子「え?時間?」

亜美・真美「行ってらっしゃ→い!」

どんっ
律子「うわあっ!?」

44: 2012/02/14(火) 14:40:41.73 ID:Wo/6p/ko0

地下のライブ会場


律子「え…?な、何なの、ここは」

ハム蔵を追いかけることしか見えてなくて、ここがどこかまったく気づかなかった
ライブ会場だ
観客席は真っ暗で誰がいるか分からない、というか誰もいないはずだ

律子「ああ、もう!何しろっていうの」

♪~

律子「…!!」

この曲は…最後のプロデュース曲だった…何で…
混乱する律子の前に一本の緑色のサイリウムの光が輝く

律子「………っっ!!」

うっすらと見える顔、その顔は忘れもしない

律子「ぷ…ろでゅーさー…」

45: 2012/02/14(火) 14:50:35.56 ID:Wo/6p/ko0
♪~

律子「…せば、話題尽きないくらいに…」

プロデューサーの顔を見た途端、自然と歌声が漏れる

律子「楽、しく、二人の時、間過ごせる…」

【ああ、どうして私
心構えなしでは会えないの?】

涙がこぼれる、無意識にあなただけを見てしまう、我を忘れて歌ってしまう

律子「ねえ」

無意識にマイクを客席に向ける
すると後ろのほうで緑色のサイリウムの列が輝く
765プロのみんなだ、社長までいる

皆「いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい」 律子「あなたの声を」
律子「そう」 皆「いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい」 律子「聞かせて欲しい」
律子「もう」 皆「絶対絶対絶対絶対」 律子「他の人より」
律子「うん」 皆「絶対絶対絶対絶対」 律子「好きだと思う」

律子「まだそんなこと言えないけど…」

♪~

47: 2012/02/14(火) 15:00:20.99 ID:Wo/6p/ko0
♪~

緊張が取れる 体が軽くなる
あはは、ステップまだ覚えれていたんだ
頬が上にあがる 楽しい 嬉しい ちょっと恥ずかしいけどね

ねえ、いっぱい私のことを見つめて欲しいんだ
もう絶対あなた以外は好きにならない
でもきっとずっと胸の奥の内?うん、当たり

さあ、気軽に構えず恋愛始めよう
今始めよう、強気で行こうよ

律子「ねえ」 皆「いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい」 律子「あなたの声を」
律子「そう」 皆「いっぱいいっぱいいっぱいいっぱい」 律子「聞かせて欲しい」
律子「もう」 皆「絶対絶対絶対絶対」 律子「他の人より」
律子「うん」 皆「絶対絶対絶対絶対」 律子「好きだと思う」

律子「まずちょっとだけ 探ってみよう
私の眼鏡 好き?嫌い?」

♪~

48: 2012/02/14(火) 15:04:58.39 ID:Wo/6p/ko0
夜 公園

P「…ふう」

律子「こーらっ!」

P「うわっ!律子…もういいのか?」

律子「うん、もう話したいことは全部話せた。謝られたけど、そんなの望んでないっていったら泣いてた…
私、幸せ者ですよ!」

P「ん?」

律子「私の事、あんなに思ってくれる人がいるんですからねっ」

P「うん、そうだな」

律子「…ふあーあ、楽しかったなあ」

P「…なあ、律子」

律子「ん?」

50: 2012/02/14(火) 15:11:48.82 ID:Wo/6p/ko0
P「律子をアイドルとして、プロデュースさせてくれないか?」

俺はそう言うと頭を下げ、律子のほうに手を伸ばす。
沈黙
沈黙
沈黙
また怒らせてしまったかと不安になった瞬間、手に感覚が当たった
細くて薄くて固い…

P「ん?」

顔を上げると、俺の手には見たことのあるCDケースがあった
律子のアルバム「いっぱいいっぱい」
ただ春香から貰ったものとは違いがあった
CDケースに律子のサインが書かれている

律子「私、竜宮小町を海外進出させようと思うんです。
あの子たちなら、行ける。私が行けなかった所まで」

52: 2012/02/14(火) 15:16:47.21 ID:Wo/6p/ko0
P「うん」

律子「だから、もう少し竜宮小町のプロデューサーでいたいかな」

P「…そっか」

律子「だから、返事は保留ってトコかな…」

P「えっ?」

律子「ああ、後!はい、これ」

と律子にやや乱暴に渡されたのは緑のリボンが付いたピンク色の小包。

律子「ほら…その、今日はバレンタインでしょ?
まあ日頃のお礼を込めて…へ、変な意味はないからね!」

P「あ、はは!ありがとう!」

55: 2012/02/14(火) 15:31:17.78 ID:Wo/6p/ko0
律子「勘違いしないでくださいよ!
みんなと同じものですからねっ
じゃ、事務所に帰りますよ!」

P「…なあ、律子」

律子「ん、何です?」

P「俺は律子の眼鏡、好きだよ」

律子「……!」

P「っ、か、帰ろう!みんな待ってるんだろ?」

律子「私も…ね」

P「ん?何か言ったか?」

律子「何でもないですよーだっ」

そう言って笑う律子の笑顔は
とても明るくて、とてもいとおしかった
まだそんなこと言えないけどな


fin

56: 2012/02/14(火) 15:33:37.59 ID:Wo/6p/ko0
キャラ崩壊していたらごめんなさい
まあ何が言いたいかというと、律ちゃんはかわいいんですよ

58: 2012/02/14(火) 15:34:37.87
リッチャンハカワイイデスヨ

60: 2012/02/14(火) 15:35:07.95
りっちゃん可愛い

63: 2012/02/14(火) 15:44:29.27
乙ー

引用元: P「律子ってプロデューサー向いてないよな」