1: 2013/12/31(火) 21:24:09.87 ID:zJ3GdvMS0
やよい「いっくよー」ポーン
伊織「ふふっ、いい感じよ、やよい!」バシッ
春香「……いいなぁ、キャッチボール。私も千早ちゃんを誘ってみようかな」
伊織「千早は苦手そうね、キャッチボール」
春香「だよね」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1388492649
2: 2013/12/31(火) 21:24:41.03 ID:zJ3GdvMS0
伊織「いくわよー」
やよい「うん、いいよー!」
伊織「それっ」シュパッ
――――スライダー。
バシィッ!!
やよい「……はひ」
3: 2013/12/31(火) 21:25:10.34 ID:zJ3GdvMS0
伊織「ご、ごめんなさい! やよい、大丈夫!?」
春香「やよいっ」
やよい「い、痛いれす……」
春香「手が真っ赤に……伊織、プロデューサーさん呼んで!」
伊織「え、ええ!」
4: 2013/12/31(火) 21:25:44.18 ID:zJ3GdvMS0
――
P「伊織がスライダーを投げただって!?」
春香「すっごい豪速球です……」
P「そんなバカなことがあるわけ……」
伊織「……どうしよう、やよいの手が」
P「……やよいなら大丈夫だよ、骨も折れてないし」
伊織「そう…………」
5: 2013/12/31(火) 21:26:53.00 ID:zJ3GdvMS0
春香「ねえ伊織、あんまり気を落とさないほうが」
伊織「……でも」
P「そうだ、伊織」
伊織「なによ」
P「俺さ、高校の時野球やってたんだ。県大会とかはすぐ負けてたけど」
6: 2013/12/31(火) 21:27:24.40 ID:zJ3GdvMS0
伊織「野球の話はやめ――」
P「キャッチャーだったんだ。だからさ、バッテリーを組もう」
伊織「はぁ!?」
春香「そ、それってプロデューサーさんが、伊織のボールを受けるってことですか」
P「ああ。俺だったら大丈夫。今も鍛えてるし、普通に取れるよ」
伊織「……やれ、って言うの?」
7: 2013/12/31(火) 21:27:52.52 ID:zJ3GdvMS0
P「俺達はもしかしたら、伊織の素晴らしい才能に気づいたのかもしれない」
伊織「……才能」
P「それを掘り起こさないのは、勿体無いだろう」
伊織「……やってやるわよ、それが私のスキルになるのなら」
P「よし。……プレイボールだ」
春香「そ、それじゃあさっきの河川敷に戻りましょう!」
◇
8: 2013/12/31(火) 21:28:42.64 ID:zJ3GdvMS0
グラウンド。プロデューサーさんが先にキャッチャーマスクをかぶりました。
私――天海春香はひとり、ベンチからその様子を眺めていました。
小鳥さんは一緒に来て、審判役としてプロデューサーさんの後ろに立ちながら、拡声器を持っています。
P「さあ、来い」
『ピッチャー、秋月に代わり……水瀬』
春香「小鳥さん、何をしてるんですか……?」
『ピッチャー、水瀬。背番号15』
伊織が765エンジェルスのユニフォームを身にまとって、グラウンドにあがります。
9: 2013/12/31(火) 21:29:10.22 ID:zJ3GdvMS0
『まるでロードショウのサイクルから抜け出せないWeekday~♪』
春香「と、登場曲……」
プライヴェイト・ロードショウが流れだして、伊織がロージンバッグをマウンドに置きました。
伊織「……」フッ
フォームはワインドアップ。大きく振りかぶって、第一球。
バシーン
P「……おおう」
10: 2013/12/31(火) 21:29:43.97 ID:zJ3GdvMS0
伊織「……どう?」
P「ストレート。結構早かったな……音無さん、いまスピードどんぐらい出てました?」
小鳥「145kmですね」
伊織「……自分の中で、感覚的にいろんなボールを投げられるかもしれないわね」
P「そっか。そんじゃあ次、チェンジアップ」
チェンジアップも投げられるのかなぁ、伊織。
11: 2013/12/31(火) 21:30:14.33 ID:zJ3GdvMS0
バシーン!
小鳥「139km!」
P「次!」
――ツーシーム。
バッシーッ
小鳥「140km!」
12: 2013/12/31(火) 21:30:44.17 ID:zJ3GdvMS0
P「よし、少し縦にいってみろ!」
伊織「っ……!」
バッシーン
小鳥「145kmでました!」
P「伊織……球種がこんなに多いとは……」
伊織「私、どうしたのかしら……?」
13: 2013/12/31(火) 21:31:32.23 ID:zJ3GdvMS0
春香「すごい、あんなに速い球をポンポンと……」
その時、私の斜め後ろの方向から「10年に1人の逸材だ」と言う声が聞こえてきました。
春香「だ、誰ですかっ!?」バッ
??「やあ、キミもアイドルだよね。知っているよ」
春香「あ、あなたは……!」
14: 2013/12/31(火) 21:32:07.78 ID:zJ3GdvMS0
伊織「……っ!」ブンッ
バシイッ
P「ふう……音無さん、スピードいくつでした?」
小鳥「なっ――」
P「……音無さん? どうし――!?」
小鳥「……あなたは――!」
15: 2013/12/31(火) 21:33:11.54 ID:zJ3GdvMS0
伊織「な、なによ」
P「……」
伊織「後ろに誰か居るの? って……!」クルッ
??「やあ、水瀬伊織さん」
伊織「あなたは……! この国の野球界を牽引してきた名選手名監督、ホームラン記録を長年持っていた……」
P・小鳥・伊織「O氏……!」
16: 2013/12/31(火) 21:34:01.89 ID:zJ3GdvMS0
O氏「いやはや、少し散歩をしていたつもりが……すっかりキミのボールに惚れ込んでしまった」
伊織「あっ……あのっ……」
O氏「私の球団に来ないか? 水瀬伊織さん」
P「あの、O氏……それは伊織をプロ野球選手にする、ということですか?」
O氏「あなたは……彼女のプロデューサー、かな?」
小鳥「伊織ちゃんとプロデューサーさんの関係を一瞬で見抜いた! さすが4番打者!」
17: 2013/12/31(火) 21:34:28.22 ID:zJ3GdvMS0
P「お願いします、彼女はアイドルなんです。勝手に野球選手にするわけにはいかない」
O氏「そうか……それは困ったな。私も彼女を野球の道で開花させてあげたい」
伊織「……あの」
O氏「水瀬さんはどう考えているのかな」
伊織「私、は……まだ、考えられないです」
19: 2013/12/31(火) 21:34:57.44 ID:zJ3GdvMS0
O氏「……早いうちに、結論を出して欲しい」
伊織「必要とされているのは、嬉しいですが……」
春香「お願いしますっ!」ザッ
伊織「春香!」
春香「伊織はトップアイドルになれる素質があるんです……だからっ」
O氏「……」
20: 2013/12/31(火) 21:35:33.56 ID:zJ3GdvMS0
伊織「……私は、竜宮小町のリーダーだから」ビュンッ
P「うお!?」バシッ
小鳥「スローカーブ!」
O氏「……やはり、すごい球だ」
伊織「だから……どうしても、っておっしゃるのなら」
21: 2013/12/31(火) 21:36:25.39 ID:zJ3GdvMS0
O氏「……」
伊織「私はトップアイドルになって、なおかつMVP投手にもなります!」
P「伊織……」
春香「すごい……私には真似できないよ」
小鳥「伊織、ちゃん……」
O氏「その言葉は……Yesと受け取っていいのかな」
22: 2013/12/31(火) 21:37:08.69 ID:zJ3GdvMS0
伊織「ええ、その代わりO氏」
O氏「……」
伊織「私を――最多勝投手にしなさいよ!」
O氏「……キミは面白い」
P「伊織なら、きっと両立出来る……俺は全力でサポートしていくぞ!」
伊織「ええ、夢は最多勝利とトップアイドル! お願いね!」
23: 2013/12/31(火) 21:38:19.73 ID:zJ3GdvMS0
――
――――
P「……っはぁ……間に合った」
やよい「プロデューサー! こっちです、こっち!」
P「よ、ようやよい、春香。間に合ってよかったよ」
春香「良くないですよ! ホークスの練習はとっくに終わってるんですから!」
P「すまない、レッスンが長引いて……」
24: 2013/12/31(火) 21:39:12.02 ID:zJ3GdvMS0
春香「さすがに今日は予告先発と変えてくるかなぁ」
『福岡ソフトバンクホークスの先発は……水瀬』
オオオオオオオ!!
やよい「そ、そのまま伊織ちゃん!?」
P「アイツ……大丈夫なのか……」
25: 2013/12/31(火) 21:40:28.57 ID:zJ3GdvMS0
そして流れる登場曲、プライヴェイト・ロードショウ。
私とやよいとプロデューサーさんは、伊織の表情がよく見える内野席から――記録のかかったこの試合を観戦します。
P「今日勝てば伊織は……」
やよい「25勝0敗になって、マーくんを抜くんですよー!」
P「頼む……伊織、頑張ってくれ」
春香「伊織の巧みなボールづかいなら、きっと勝てますよ! 一緒に応援しましょう!」
P「おう!」
さあ、ガツガツ行きましょう!
26: 2013/12/31(火) 21:42:05.65 ID:zJ3GdvMS0
伊織は投手向きだと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。
27: 2013/12/31(火) 23:56:58.61
おつとつ
引用元: やよい「伊織ちゃんの変化球バイブル」
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