1: 2012/12/23(日) 22:11:00.42 ID:cHw7oz7Q0
たかね「あなたしゃま、あなたしゃま」
P「ん、何だ?」
たかね「おなかがへりました」
P「ああ、もう昼時か……ラーメンでも食べに行くか」
たかね「! あなたしゃま、うれしゅうございます!」
P「腹八分に済ましとけよ?」
たかね「ぜんしょ、します!」
P「ん、何だ?」
たかね「おなかがへりました」
P「ああ、もう昼時か……ラーメンでも食べに行くか」
たかね「! あなたしゃま、うれしゅうございます!」
P「腹八分に済ましとけよ?」
たかね「ぜんしょ、します!」
3: 2012/12/23(日) 22:13:04.75 ID:cHw7oz7Q0
たかね「かえだま、ついか」
P「たかね、それ何杯目だ?」
たかね「まだ、ごはいめです」
P「もう、五杯目だ。食べすぎは体に毒だぞ?」
たかね「むー……いけず、です」
P「たかね、それ何杯目だ?」
たかね「まだ、ごはいめです」
P「もう、五杯目だ。食べすぎは体に毒だぞ?」
たかね「むー……いけず、です」
4: 2012/12/23(日) 22:15:30.02 ID:cHw7oz7Q0
昼ごはんを済ませ、俺はたかねと手をつなぎながら、事務所に戻る。
まだ食べ足りないのか、たかねは若干不機嫌だった。
春香「お疲れさまでーす!」
P「よう、春香」
春香「貴音ちゃんは?」
P「ああ、そこで寝てるよ」
たかね「……めん、よー……なぁー……」
たかねは事務所に着いてすぐ、ソファで眠ってしまった。
機嫌が悪かったのは、どうも眠かったせいらしい。
まだ食べ足りないのか、たかねは若干不機嫌だった。
春香「お疲れさまでーす!」
P「よう、春香」
春香「貴音ちゃんは?」
P「ああ、そこで寝てるよ」
たかね「……めん、よー……なぁー……」
たかねは事務所に着いてすぐ、ソファで眠ってしまった。
機嫌が悪かったのは、どうも眠かったせいらしい。
5: 2012/12/23(日) 22:17:15.28 ID:cHw7oz7Q0
春香「うわあ、ほっぺたぷにぷに……可愛いなあ」
P「そうだな。いつまでもこのままで……って、いうわけにもいかないよなぁ……」
春香「どうして急に小さくなったんでしょう?」
P「うーん、それが分かればなあ……」
P「そうだな。いつまでもこのままで……って、いうわけにもいかないよなぁ……」
春香「どうして急に小さくなったんでしょう?」
P「うーん、それが分かればなあ……」
6: 2012/12/23(日) 22:20:33.56 ID:cHw7oz7Q0
ちょうど、昨日の事だった。
俺は、レッスンを終えた貴音を迎えに行った。
その日はレッスンが長引き、外に出ると、もう真っ暗だった。
人気のない道を、貴音と二人、並んで歩いた。
とても、月が綺麗な夜だった。形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
貴音「……急ぎましょう、あなた様」
その日貴音は、なぜか妙にそわそわしていた。
何か、急ぐ用でもあるのだろうか。
俺は、レッスンを終えた貴音を迎えに行った。
その日はレッスンが長引き、外に出ると、もう真っ暗だった。
人気のない道を、貴音と二人、並んで歩いた。
とても、月が綺麗な夜だった。形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
貴音「……急ぎましょう、あなた様」
その日貴音は、なぜか妙にそわそわしていた。
何か、急ぐ用でもあるのだろうか。
8: 2012/12/23(日) 22:23:10.29 ID:cHw7oz7Q0
P「そういえば貴音、明日から5日間、休暇をとるんだよな」
貴音「ええ、申し訳ありませんが、しばしお暇をいただきます」
ふと、実家にでも帰るのかと聞きたかったが、たぶんトップシークレットだと言われるので止めた。
P「それにしても、どうしてそんなに急いでいるんだ?」
貴音「それは」
P「トップシークレット」
貴音「……あなた様は、いけずです」
貴音は頬を膨らませて、不貞腐れたようだった。
俺は、意地悪く、隣でにやにやしていた。
貴音「ええ、申し訳ありませんが、しばしお暇をいただきます」
ふと、実家にでも帰るのかと聞きたかったが、たぶんトップシークレットだと言われるので止めた。
P「それにしても、どうしてそんなに急いでいるんだ?」
貴音「それは」
P「トップシークレット」
貴音「……あなた様は、いけずです」
貴音は頬を膨らませて、不貞腐れたようだった。
俺は、意地悪く、隣でにやにやしていた。
10: 2012/12/23(日) 22:26:16.28 ID:cHw7oz7Q0
そのとき、一軒の屋台を見つけた。
ここでは、珍しい。
貴音「!」
貴音もその屋台に気付いたようで、足がぴたりと止まった。
その屋台は、ラーメンを売っているようだった。
P「……食べてくか?」
貴音「で、でも……」
P「時間はかからないよ。サッと食べてサッと出よう」
貴音「そ、そこまで言うなら……」
貴音は、急に足が軽くなったようで、すたすた屋台まで歩いて行った。
俺は苦笑しながら、その後をついて行った。
貴音に、時間がどれだけあるのか分からないが、ラーメンぐらいなら、2、3杯すぐに食べることはできるだろう。
ここでは、珍しい。
貴音「!」
貴音もその屋台に気付いたようで、足がぴたりと止まった。
その屋台は、ラーメンを売っているようだった。
P「……食べてくか?」
貴音「で、でも……」
P「時間はかからないよ。サッと食べてサッと出よう」
貴音「そ、そこまで言うなら……」
貴音は、急に足が軽くなったようで、すたすた屋台まで歩いて行った。
俺は苦笑しながら、その後をついて行った。
貴音に、時間がどれだけあるのか分からないが、ラーメンぐらいなら、2、3杯すぐに食べることはできるだろう。
12: 2012/12/23(日) 22:29:29.44 ID:cHw7oz7Q0
貴音「!」
P「うめえ!」
誤算だったのは、その屋台のラーメンがひどく美味しいもので、
貴音「おかわりを!」
P「俺も!」
時間を忘れて、夢中で食べてしまったことだった。
P「うめえ!」
誤算だったのは、その屋台のラーメンがひどく美味しいもので、
貴音「おかわりを!」
P「俺も!」
時間を忘れて、夢中で食べてしまったことだった。
13: 2012/12/23(日) 22:33:57.50 ID:cHw7oz7Q0
貴音「たいへん美味しゅうございました……」
P「ああ、あの屋台は当たりだったな……」
俺と貴音は、しばらく満腹の余韻に浸っていた。
お腹をさする貴音は、ひどく可愛かった。
貴音「はっ! あなた様、今の時刻は!?」
P「えーっと……晩の、10時少し前くらい?」
貴音「失礼します!」
俺の言葉を聞き終えるか否か、貴音はそう言って走り出した。
P「お、おい貴音!」
いくら急いでいるとはいえ、こんな夜に女の子一人で帰らすわけにはいかない。
俺は、貴音を追いかけた。
P「ああ、あの屋台は当たりだったな……」
俺と貴音は、しばらく満腹の余韻に浸っていた。
お腹をさする貴音は、ひどく可愛かった。
貴音「はっ! あなた様、今の時刻は!?」
P「えーっと……晩の、10時少し前くらい?」
貴音「失礼します!」
俺の言葉を聞き終えるか否か、貴音はそう言って走り出した。
P「お、おい貴音!」
いくら急いでいるとはいえ、こんな夜に女の子一人で帰らすわけにはいかない。
俺は、貴音を追いかけた。
14: 2012/12/23(日) 22:36:44.62 ID:cHw7oz7Q0
貴音は意外と足が早く、なかなか追いつくことができない。
貴音が、先の曲がり角を曲がった。
俺も曲がろうと、その角に差し掛かった。
途端、視界が一瞬、眩しくなった。
P「!?」
思わず、目を閉じる。
……そして、再びゆっくり目を開ける。
P「……見失った?」
曲がった角の先は、街灯が淡く光るだけで、貴音の姿は見えなかった。
??「――しゃま」
そのかわり……
たかね「あなたしゃま……」
貴音に瓜二つの小さな女の子が、俺のズボンの裾をくいっと引っ張っていた。
貴音が、先の曲がり角を曲がった。
俺も曲がろうと、その角に差し掛かった。
途端、視界が一瞬、眩しくなった。
P「!?」
思わず、目を閉じる。
……そして、再びゆっくり目を開ける。
P「……見失った?」
曲がった角の先は、街灯が淡く光るだけで、貴音の姿は見えなかった。
??「――しゃま」
そのかわり……
たかね「あなたしゃま……」
貴音に瓜二つの小さな女の子が、俺のズボンの裾をくいっと引っ張っていた。
15: 2012/12/23(日) 22:39:32.99 ID:cHw7oz7Q0
春香「貴音さんの家族に連絡……は、無理だったんですよね」
P「ああ、家族どころか、貴音の住んでいる住所さえ分からなかった」
春香「プロデューサーなのに?」
P「社長さえ、知らなかったんだよ……」
春香「でも貴音さん、今お休み中なんですよね? あ、貴音ちゃんじゃなくて、休暇中って意味で」
P「分かってるよ……それがどうかしたか? おかげで仕事には支障はでてないけど、早く元に戻さないと困る」
春香「たとえば実家に帰るとして……貴音さんが帰ってこないと、ご家族は心配してるんじゃ?」
P「家族から連絡が来ないってことは、休暇中に実家に帰る予定じゃなかったのかな?」
俺と春香は、二人で腕を組んで考え込んだ。
P「ああ、家族どころか、貴音の住んでいる住所さえ分からなかった」
春香「プロデューサーなのに?」
P「社長さえ、知らなかったんだよ……」
春香「でも貴音さん、今お休み中なんですよね? あ、貴音ちゃんじゃなくて、休暇中って意味で」
P「分かってるよ……それがどうかしたか? おかげで仕事には支障はでてないけど、早く元に戻さないと困る」
春香「たとえば実家に帰るとして……貴音さんが帰ってこないと、ご家族は心配してるんじゃ?」
P「家族から連絡が来ないってことは、休暇中に実家に帰る予定じゃなかったのかな?」
俺と春香は、二人で腕を組んで考え込んだ。
17: 2012/12/23(日) 22:42:18.30 ID:cHw7oz7Q0
俺と春香は、二人で腕を組んで考え込んだ。
小鳥さん「ただいまでーす」
春香「あ、小鳥さん。どこ行ってたんですか?」
小鳥さん「たかねちゃんの下着とか、身の回りの物を買いに行ってたのよ」
春香「え、小鳥さんが飼うんですか?」
P「春香……」
春香「あ、いや、違うんです! だって、たかねちゃん小動物みたいで可愛いじゃないですか!」
小鳥さん「ひゃあ、たかねちゃんの寝顔可愛い~! これはシャッターチャンス!」
小鳥さんはどこからかデジカメを取り出し、たかねの寝顔をピヨピヨ言いながら撮り始めた。
小鳥さん「ただいまでーす」
春香「あ、小鳥さん。どこ行ってたんですか?」
小鳥さん「たかねちゃんの下着とか、身の回りの物を買いに行ってたのよ」
春香「え、小鳥さんが飼うんですか?」
P「春香……」
春香「あ、いや、違うんです! だって、たかねちゃん小動物みたいで可愛いじゃないですか!」
小鳥さん「ひゃあ、たかねちゃんの寝顔可愛い~! これはシャッターチャンス!」
小鳥さんはどこからかデジカメを取り出し、たかねの寝顔をピヨピヨ言いながら撮り始めた。
18: 2012/12/23(日) 22:45:24.03 ID:cHw7oz7Q0
P「ちょっと小鳥さん、たかねが起きちゃうでしょう?」
小鳥さん「すいません、つい可愛くて……」
春香「そうですよ小鳥さん! 後で私にも写真ください!」
小鳥さんも春香も、たかねにメロメロだった。
まあ、確かに可愛いけれども……
小鳥さん「すいません、つい可愛くて……」
春香「そうですよ小鳥さん! 後で私にも写真ください!」
小鳥さんも春香も、たかねにメロメロだった。
まあ、確かに可愛いけれども……
19: 2012/12/23(日) 22:47:51.57 ID:cHw7oz7Q0
響「はいさーい! たかね居るかー!? 自分、手袋編んできたぞ!」
真「うわあ、可愛い……! ほら、お菓子たくさんあるよ!」
雪歩「たかねちゃん、お茶。飲みやすい温度にしておいたからねー」
あずさ「あら~! よしよし~可愛いわ~!」
千早「か、可愛い……!」
真「うわあ、可愛い……! ほら、お菓子たくさんあるよ!」
雪歩「たかねちゃん、お茶。飲みやすい温度にしておいたからねー」
あずさ「あら~! よしよし~可愛いわ~!」
千早「か、可愛い……!」
20: 2012/12/23(日) 22:49:16.44 ID:cHw7oz7Q0
やよい「家で作ってきたもやし料理を持ってきましたー!」
伊織「これ、私が小さい頃に着てた服なんだけど……!」
亜美「こ、これが萌えってやつですか?」
真美「違うよ亜美、母性ってやつだよ」
美希「美希もこんな可愛い子ほしいなー…ねえ、プロデューサー?」
律子「ほらほら! みんな早く仕事に行きなさい! 後は私にまかせなさい!」
みんな、まるで初めてできた自分の子供みたいに、たかねに接している。
いや、まだ皆そんな年じゃないし、俺も子供なんてできたことないからよく分からないけど。
でもきっと、皆子供ができたら、こんな感じの優しいお母さんになるのかなと思う。
やよい「それで、今日はたかねちゃん、誰のところにお泊りするんですか?」
伊織「これ、私が小さい頃に着てた服なんだけど……!」
亜美「こ、これが萌えってやつですか?」
真美「違うよ亜美、母性ってやつだよ」
美希「美希もこんな可愛い子ほしいなー…ねえ、プロデューサー?」
律子「ほらほら! みんな早く仕事に行きなさい! 後は私にまかせなさい!」
みんな、まるで初めてできた自分の子供みたいに、たかねに接している。
いや、まだ皆そんな年じゃないし、俺も子供なんてできたことないからよく分からないけど。
でもきっと、皆子供ができたら、こんな感じの優しいお母さんになるのかなと思う。
やよい「それで、今日はたかねちゃん、誰のところにお泊りするんですか?」
21: 2012/12/23(日) 22:52:30.02 ID:cHw7oz7Q0
やよいの何気ないその一言で、事務所内に一転、妙な緊張感が走った。
小鳥さん「私のところですよね。ほら、もう下着とか買っちゃったし」
春香「いやいや、一人暮らしの小鳥さん家よりも、家族がいる私のところのほうが」
響「家には動物がたっくさんいるから、夜も寂しくないぞ!」
真「でも響のとこにはワニとかいるよね……」
雪歩「セキュリティー面では、私のところは完璧だよ? お弟子さんが何人もいるし」
小鳥さん「私のところですよね。ほら、もう下着とか買っちゃったし」
春香「いやいや、一人暮らしの小鳥さん家よりも、家族がいる私のところのほうが」
響「家には動物がたっくさんいるから、夜も寂しくないぞ!」
真「でも響のとこにはワニとかいるよね……」
雪歩「セキュリティー面では、私のところは完璧だよ? お弟子さんが何人もいるし」
23: 2012/12/23(日) 22:55:12.94 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「でも、たかねちゃんには私みたいな包容力があるほうが~」
千早「……くっ」
やよい「子供の扱いなら、私が一番慣れてるかなーって」
伊織「私の家なら、ここの誰よりも最高の環境で、たかねを世話できるわ!」
亜美「家にはゲームがたくさんあるよ!」
真美「たかねちゃんも退屈しないんじゃない?」
美希「美希の家なら、たかねちゃん最高にリラックスできると思うな~」
律子「いいから早く仕事に行きなさい! たかねは私が引き取ります!」
もう、仕事どころではなくなっている……
このままでは仕方がないので、俺はある提案をした。
千早「……くっ」
やよい「子供の扱いなら、私が一番慣れてるかなーって」
伊織「私の家なら、ここの誰よりも最高の環境で、たかねを世話できるわ!」
亜美「家にはゲームがたくさんあるよ!」
真美「たかねちゃんも退屈しないんじゃない?」
美希「美希の家なら、たかねちゃん最高にリラックスできると思うな~」
律子「いいから早く仕事に行きなさい! たかねは私が引き取ります!」
もう、仕事どころではなくなっている……
このままでは仕方がないので、俺はある提案をした。
25: 2012/12/23(日) 22:57:40.99 ID:cHw7oz7Q0
P「たかねに決めてもらえばいいじゃないか――あ、ほら、うるさくしてたから起きちゃった」
たかね「うー…」
たかねは目をこすりながら、ソファから起き上った。
そして自分をじっと見てくる13人分、26の瞳にビクッと体を跳ねさせた。
春香「たかねちゃん、今日は誰のところにお泊まりしたい!?」
たかね「おとまり……?」
律子「正直に言っていいのよ? 誰のところにお世話になりたい?」
たかね「……あなたしゃま」
P「え」
たかね「うー…」
たかねは目をこすりながら、ソファから起き上った。
そして自分をじっと見てくる13人分、26の瞳にビクッと体を跳ねさせた。
春香「たかねちゃん、今日は誰のところにお泊まりしたい!?」
たかね「おとまり……?」
律子「正直に言っていいのよ? 誰のところにお世話になりたい?」
たかね「……あなたしゃま」
P「え」
26: 2012/12/23(日) 23:01:27.37 ID:cHw7oz7Q0
たかねは、ソファからぴょんと降りた。
アイドル達の脇を通って、俺のところに、てくてくとやってくる。
たかね「あなたしゃま、あなたしゃま」
たかねは椅子に座っている俺に、よじ登ろうとしてくる。
俺は、そんなたかねをひょいと抱える。
たかね「あなた、しゃまー……」
そしてたかねは、俺の中ですやすやと寝息を立て始めた。
小鳥さん「この……――リコン」
P「ちょっと待て」
アイドル達の脇を通って、俺のところに、てくてくとやってくる。
たかね「あなたしゃま、あなたしゃま」
たかねは椅子に座っている俺に、よじ登ろうとしてくる。
俺は、そんなたかねをひょいと抱える。
たかね「あなた、しゃまー……」
そしてたかねは、俺の中ですやすやと寝息を立て始めた。
小鳥さん「この……――リコン」
P「ちょっと待て」
27: 2012/12/23(日) 23:05:55.42 ID:cHw7oz7Q0
律子「本当に、大丈夫ですか……?」
P「律子まで……俺がこんな小さな子に手を出すような鬼畜とでも?」
律子「いえ、そうではなく、真面目にプロデューサーはその子の炊事や洗濯ができるのかなと」
P「ど、努力するさ」
律子「努力するってなんですか。やっぱり、プロデューサーにたかねを任せておくのは不安だわ」
そのとき、嘘でもいいから、大丈夫さと言っておくべきだった。
今さら後悔しても遅いが、もっといい言葉があっただろうにと思う。
P「じゃあ……誰か一人、たかねの世話をしに俺のところに来てくれよ」
P、たかねを除く全員「「「!!?」」」
かくして、非常に騒々しい5日間が幕を開けたのだった。
P「律子まで……俺がこんな小さな子に手を出すような鬼畜とでも?」
律子「いえ、そうではなく、真面目にプロデューサーはその子の炊事や洗濯ができるのかなと」
P「ど、努力するさ」
律子「努力するってなんですか。やっぱり、プロデューサーにたかねを任せておくのは不安だわ」
そのとき、嘘でもいいから、大丈夫さと言っておくべきだった。
今さら後悔しても遅いが、もっといい言葉があっただろうにと思う。
P「じゃあ……誰か一人、たかねの世話をしに俺のところに来てくれよ」
P、たかねを除く全員「「「!!?」」」
かくして、非常に騒々しい5日間が幕を開けたのだった。
30: 2012/12/23(日) 23:09:40.44 ID:cHw7oz7Q0
休暇1日目、つまりは俺が失言をしてしまったその日の晩。
風がびゅうびゅうと俺の部屋の窓を打ち付ける。
あずさ「ふー、ふー……はい、たかねちゃん、あ~ん」
やよい「プロデューサー、美味しいですか?」
今、あずささんとやよい、俺とたかねの4人で食卓を囲んでいる。
あの俺の失言のあと、事務所の皆は誰がたかねの世話をしに俺の家に行くか揉めた。
さすがに13人全員を一度に俺の家にあげるのは無理だった。
俺の腕の中で寝息を立てていた、たかねとは対照的に、一触即発の空気はその後10分ほど続いた。
最終的に、朝晩の交代制をとることで一応の決着がついた。
そして今日の当番は、この二人になったのだ。
風がびゅうびゅうと俺の部屋の窓を打ち付ける。
あずさ「ふー、ふー……はい、たかねちゃん、あ~ん」
やよい「プロデューサー、美味しいですか?」
今、あずささんとやよい、俺とたかねの4人で食卓を囲んでいる。
あの俺の失言のあと、事務所の皆は誰がたかねの世話をしに俺の家に行くか揉めた。
さすがに13人全員を一度に俺の家にあげるのは無理だった。
俺の腕の中で寝息を立てていた、たかねとは対照的に、一触即発の空気はその後10分ほど続いた。
最終的に、朝晩の交代制をとることで一応の決着がついた。
そして今日の当番は、この二人になったのだ。
31: 2012/12/23(日) 23:13:47.00 ID:cHw7oz7Q0
たかね「おいしいです」
あずさ「にんじんもちゃんと食べられるなんて、たかねちゃんは偉いわね~」
やよい「たかねちゃん、シチューもいいけど、このもやし炒めも美味しいよ?」
たかね「まこと、びみです!」
久しく経験していなかった、家族団らんの雰囲気がそこにはあった。
P「あずささんがお母さんで、やよいとたかねが子供もたいだなー…なんちゃって」
あずさ「え……そ、そんなプロデューサーさん。いきなりはその、まだ心の準備が……」
あずささんは顔を赤くして、自分の髪をくるくる指で巻き始めた。
あれ?
あずさ「にんじんもちゃんと食べられるなんて、たかねちゃんは偉いわね~」
やよい「たかねちゃん、シチューもいいけど、このもやし炒めも美味しいよ?」
たかね「まこと、びみです!」
久しく経験していなかった、家族団らんの雰囲気がそこにはあった。
P「あずささんがお母さんで、やよいとたかねが子供もたいだなー…なんちゃって」
あずさ「え……そ、そんなプロデューサーさん。いきなりはその、まだ心の準備が……」
あずささんは顔を赤くして、自分の髪をくるくる指で巻き始めた。
あれ?
35: 2012/12/23(日) 23:19:02.53 ID:cHw7oz7Q0
P「あの、なんちゃって……」
あずさ「今日は私、お友達のところに泊まるって、両親に説明してますから……」
P「いや、帰ってくださっていいですよ?」
あずさ「たかねちゃんが寝たあと、ゆっくり……」
P「聞いてねえや」
俺は何やら色々妄想しているあずささんを置いておき、やよいに話しかけた。
あずさ「今日は私、お友達のところに泊まるって、両親に説明してますから……」
P「いや、帰ってくださっていいですよ?」
あずさ「たかねちゃんが寝たあと、ゆっくり……」
P「聞いてねえや」
俺は何やら色々妄想しているあずささんを置いておき、やよいに話しかけた。
36: 2012/12/23(日) 23:21:37.35 ID:cHw7oz7Q0
P「やよい、兄弟の世話はいいのか?」
やよい「はい、一日くらいなら大丈夫ですよ」
たかね「びみ、びみ……!」
たかねは小さい口にいっぱいもやしをつめこんで、もぐもぐさせていた。
まるでハム蔵みたいだ。
やよい「たかねちゃん、もやし炒め気にいってくれたようです!」
どうして、こんなにもやしを気にいったのか考えてみた。
そういえば、ラーメンにはもやしがのっていることが多いことを思い出す。
何となく、納得した。
こうして楽しい夕食はあっという間に過ぎていった。
あと、あずささんには丁重にお断りして帰ってもらいました。
やよい「はい、一日くらいなら大丈夫ですよ」
たかね「びみ、びみ……!」
たかねは小さい口にいっぱいもやしをつめこんで、もぐもぐさせていた。
まるでハム蔵みたいだ。
やよい「たかねちゃん、もやし炒め気にいってくれたようです!」
どうして、こんなにもやしを気にいったのか考えてみた。
そういえば、ラーメンにはもやしがのっていることが多いことを思い出す。
何となく、納得した。
こうして楽しい夕食はあっという間に過ぎていった。
あと、あずささんには丁重にお断りして帰ってもらいました。
37: 2012/12/23(日) 23:25:03.20 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「そんな、プロデューサーさん……」
P「あずささん、明日も仕事でしょう?」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「……ほら、あの……こ、今夜は寝かさないぜ? 足腰立たなくなってもいいのかい、あずさ?」
出来る限りの、精一杯の決め顔と渋い声で、あずささんの顎をクイッとあげる。
なんだかとんでもないことをしているような気が、しないでもない。
あずささんの目が、とろんとしていた。
ああ、やっちゃったよ。
P「あずささん、明日も仕事でしょう?」
あずさ「プロデューサーさん……」
P「……ほら、あの……こ、今夜は寝かさないぜ? 足腰立たなくなってもいいのかい、あずさ?」
出来る限りの、精一杯の決め顔と渋い声で、あずささんの顎をクイッとあげる。
なんだかとんでもないことをしているような気が、しないでもない。
あずささんの目が、とろんとしていた。
ああ、やっちゃったよ。
38: 2012/12/23(日) 23:28:13.98 ID:cHw7oz7Q0
あずさ「プロデューサーさん……いえ、運命の人。分かりました、今度の休日前に、また来ますね!」
P「はい、お疲れさまでーす。やよいをよろしくお願いしまーす」
玄関から、手を振ってあずささんとやよいを見送る。
たかねも、小さく手を振っていた。
P「あずささん、どうしよう……」
せめて、あの目のハイライトが無くなるような展開は避けたい。
でも、たかねの目の前でプロレスごっこは勘弁してほしい。
たかね「あなたしゃま?」
P「はい、お疲れさまでーす。やよいをよろしくお願いしまーす」
玄関から、手を振ってあずささんとやよいを見送る。
たかねも、小さく手を振っていた。
P「あずささん、どうしよう……」
せめて、あの目のハイライトが無くなるような展開は避けたい。
でも、たかねの目の前でプロレスごっこは勘弁してほしい。
たかね「あなたしゃま?」
39: 2012/12/23(日) 23:32:41.09 ID:cHw7oz7Q0
律子「おはようございます、プロデューサー」
P「…………あれ、何で律子?」
翌朝、目覚まし時計ではなく、パンの焼ける音で目が覚めた。
さらに開けた視界には、いつもの天井ではなく、律子の顔があった。
たかね「りつこどの、おなかがへりました」
律子「はいはい、もうすぐできるから待っててね~」
律子はたかねの頭を撫でて、キッチンに戻っていった。
俺はゆっくりと体を起こす。
たかね「あなたしゃま、おはよーございます」
P「おはよう、たかね」
P「…………あれ、何で律子?」
翌朝、目覚まし時計ではなく、パンの焼ける音で目が覚めた。
さらに開けた視界には、いつもの天井ではなく、律子の顔があった。
たかね「りつこどの、おなかがへりました」
律子「はいはい、もうすぐできるから待っててね~」
律子はたかねの頭を撫でて、キッチンに戻っていった。
俺はゆっくりと体を起こす。
たかね「あなたしゃま、おはよーございます」
P「おはよう、たかね」
40: 2012/12/23(日) 23:35:47.17 ID:cHw7oz7Q0
千早「律子、これもう持って行っていいのかしら」
律子「いいわよー」
千早はテーブルに目玉焼きやら何やら運んでいる。
時計を見ると、まだ朝の6時頃だった。
P「あの、早くないですか? というか、玄関の鍵開いてました?」
律子「プロデューサー、早く顔を洗ってきてください」
P「いや、あのね」
千早「プロデューサー、たかねの相手は私にまかせて、早く準備してください」
律子「いいわよー」
千早はテーブルに目玉焼きやら何やら運んでいる。
時計を見ると、まだ朝の6時頃だった。
P「あの、早くないですか? というか、玄関の鍵開いてました?」
律子「プロデューサー、早く顔を洗ってきてください」
P「いや、あのね」
千早「プロデューサー、たかねの相手は私にまかせて、早く準備してください」
41: 2012/12/23(日) 23:38:39.33 ID:cHw7oz7Q0
たかね「ちはや、ちはや」
千早「はいはい、何?」
P「何ていい笑顔」
たかね「いただきます?」
千早「まだもうちょっとだけ待ってねー……プロデューサー?」
P「何て恐ろしい顔」
千早がすごく睨んできたので、俺は素早くベッドから降りた。
目をこすりながら、洗面所へ向かった。
千早「はいはい、何?」
P「何ていい笑顔」
たかね「いただきます?」
千早「まだもうちょっとだけ待ってねー……プロデューサー?」
P「何て恐ろしい顔」
千早がすごく睨んできたので、俺は素早くベッドから降りた。
目をこすりながら、洗面所へ向かった。
43: 2012/12/23(日) 23:41:59.70 ID:cHw7oz7Q0
たかね「まこと、おいしゅうございます!」
律子「たかね、よく噛んで食べなさい」
千早「牛乳も飲まないと、大きくなれないわよ?」
P「……身長が?」
千早「何が、いいたいんですか……!?」
P「すまん千早、だからフォークを逆手に持つのはやめよう」
律子「たかね、よく噛んで食べなさい」
千早「牛乳も飲まないと、大きくなれないわよ?」
P「……身長が?」
千早「何が、いいたいんですか……!?」
P「すまん千早、だからフォークを逆手に持つのはやめよう」
45: 2012/12/23(日) 23:47:32.52 ID:cHw7oz7Q0
2日目朝の当番は、律子と千早だった。
朝ごはんを作ってくれるのは非常にありがたいが、俺は家の鍵を渡した覚えは全くない。
そのことを律子に話すと、どうやらほぼ全員持っているらしい。
なんてこったい。
たかね「あなたしゃま……はーれむ?」
P「ナイスボート」
たかね「?」
朝ごはんを作ってくれるのは非常にありがたいが、俺は家の鍵を渡した覚えは全くない。
そのことを律子に話すと、どうやらほぼ全員持っているらしい。
なんてこったい。
たかね「あなたしゃま……はーれむ?」
P「ナイスボート」
たかね「?」
47: 2012/12/23(日) 23:48:52.26 ID:cHw7oz7Q0
亜美「ちっちゃいお姫ちん、スマブラやろうぜ→」
真美「やろうぜ→」
この日の晩は、よりによってというか、亜美真美だった。
当然家事をするどころか、家に来てゲームで遊び始めた。
亜美「ぎゃー!?」
真美「て、手も足も出ないよ!?」
たかね「ぷりん」
真美「やろうぜ→」
この日の晩は、よりによってというか、亜美真美だった。
当然家事をするどころか、家に来てゲームで遊び始めた。
亜美「ぎゃー!?」
真美「て、手も足も出ないよ!?」
たかね「ぷりん」
48: 2012/12/23(日) 23:51:38.36 ID:cHw7oz7Q0
P「おーい、今日は外に食いに行くぞー」
亜美「ええーっ」
真美「今日は、真美達がお世話する番だよ?」
P「どの口が言うか、ゲームばっかりして」
亜美「亜美達は、家事以外のお世話をするんだよ」
P「家事以外?」
亜美「ええーっ」
真美「今日は、真美達がお世話する番だよ?」
P「どの口が言うか、ゲームばっかりして」
亜美「亜美達は、家事以外のお世話をするんだよ」
P「家事以外?」
49: 2012/12/23(日) 23:56:31.51 ID:cHw7oz7Q0
真美「んっふっふ~、兄ちゃん、ちっちゃいお姫ちんが来てから、夜のアレ、お困りでしょ~?」
P「待て、どうして服を脱ぎ出す?」
亜美「亜美が……」
真美「真美が……」
亜美真美「「お世話してあげるよ!!」」
たかね「はーれむ?」
P「だーくねす!」
P「待て、どうして服を脱ぎ出す?」
亜美「亜美が……」
真美「真美が……」
亜美真美「「お世話してあげるよ!!」」
たかね「はーれむ?」
P「だーくねす!」
51: 2012/12/23(日) 23:59:42.99 ID:cHw7oz7Q0
亜美「うわー、ちっちゃいお姫ちんの髪さらさらだー!」
真美「うわ、ほんとだ。うらやましいなー」
たかね「たいへん、いいおゆでございます」
亜美真美は、たかねをお風呂に入れてくれている。
昨日までは俺が入れていたから、助かるといえば助かる。
P「お風呂ね。まあ、そんな期待とかはしてなかったんだけどさ。でも、俺も男だし……いやいや何を言ってるんだ」
男だろうがなんだろうが、亜美真美もたかねも、まだ小さい女の子である。
部屋で1人、そんなことをつぶやく時点で、大変に危ない。
真美「うわ、ほんとだ。うらやましいなー」
たかね「たいへん、いいおゆでございます」
亜美真美は、たかねをお風呂に入れてくれている。
昨日までは俺が入れていたから、助かるといえば助かる。
P「お風呂ね。まあ、そんな期待とかはしてなかったんだけどさ。でも、俺も男だし……いやいや何を言ってるんだ」
男だろうがなんだろうが、亜美真美もたかねも、まだ小さい女の子である。
部屋で1人、そんなことをつぶやく時点で、大変に危ない。
52: 2012/12/24(月) 00:04:49.26 ID:AA/qQ8aE0
そのとき、携帯電話が鳴った。
俺は誰だろうと、とりあえず電話に出た。
P「はい、もしもし」
小鳥さん「やっぱりそういう趣味があるんじゃないですかー!!」
P「」
小鳥さん「プロデューサーさんは大人の魅力よりも、青い果実のほうがいいんですねー!?」
P「あんた(盗聴器を)仕掛けてるんですか!?」
小鳥さん「なんのことやら」
小鳥さんは乙女(笑)の勘だと言っていたが、絶対嘘だ。
やばい。鍵の事といい、俺のプライバシーがやばい。
俺は誰だろうと、とりあえず電話に出た。
P「はい、もしもし」
小鳥さん「やっぱりそういう趣味があるんじゃないですかー!!」
P「」
小鳥さん「プロデューサーさんは大人の魅力よりも、青い果実のほうがいいんですねー!?」
P「あんた(盗聴器を)仕掛けてるんですか!?」
小鳥さん「なんのことやら」
小鳥さんは乙女(笑)の勘だと言っていたが、絶対嘘だ。
やばい。鍵の事といい、俺のプライバシーがやばい。
53: 2012/12/24(月) 00:06:28.70 ID:AA/qQ8aE0
朝6時、俺は目覚まし時計のアラームを止めた。
3日目、開始である。
たかねはまだ、隣ですやすや寝ている。
昨日遅くまで亜美真美と遊んで疲れたのだろう。
俺はそっとベッドを出て、玄関に向かった。
そして玄関で待つこと数分。
カチャン
外から、鍵が開いた。
軽くホラー。
3日目、開始である。
たかねはまだ、隣ですやすや寝ている。
昨日遅くまで亜美真美と遊んで疲れたのだろう。
俺はそっとベッドを出て、玄関に向かった。
そして玄関で待つこと数分。
カチャン
外から、鍵が開いた。
軽くホラー。
54: 2012/12/24(月) 00:11:11.03 ID:AA/qQ8aE0
真「あれ、プロデューサー起きるの早いですね?」
雪歩「おはようございます、プロデューサー」
P「おはよう。鍵、返してもらっていいかな?」
真「え、どうしてですか?」
真はきょとんとしている。
なんだか、俺がおかしい事を言ってるような感じだ。
雪歩「万が一のことがあるかもしれませんし、私達が持っていたほうが……」
P「いや、逆。万が一のことが起こりそう」
たかね「あなたしゃま!? あなたしゃまー!?」
雪歩「おはようございます、プロデューサー」
P「おはよう。鍵、返してもらっていいかな?」
真「え、どうしてですか?」
真はきょとんとしている。
なんだか、俺がおかしい事を言ってるような感じだ。
雪歩「万が一のことがあるかもしれませんし、私達が持っていたほうが……」
P「いや、逆。万が一のことが起こりそう」
たかね「あなたしゃま!? あなたしゃまー!?」
55: 2012/12/24(月) 00:16:16.22 ID:AA/qQ8aE0
真「ほら、たかねが呼んでますよ?」
雪歩「早く言ってあげてください」
たかねの泣きそうな声が聞こえた。
目を覚ましたら隣に俺がいないので不安になったのだろう。
俺は仕方なく鍵の回収を諦め、居間のほうへ戻った。
雪歩「はい、どうぞ」
P「おお、和食か」
昨日の朝はパンだったから、今日は和食というのも良い。
特に味噌汁が美味しそうだ。
真「ほーら高い高―い!」
たかね「たいへんたのしゅうございます!」
雪歩「早く言ってあげてください」
たかねの泣きそうな声が聞こえた。
目を覚ましたら隣に俺がいないので不安になったのだろう。
俺は仕方なく鍵の回収を諦め、居間のほうへ戻った。
雪歩「はい、どうぞ」
P「おお、和食か」
昨日の朝はパンだったから、今日は和食というのも良い。
特に味噌汁が美味しそうだ。
真「ほーら高い高―い!」
たかね「たいへんたのしゅうございます!」
56: 2012/12/24(月) 00:20:44.76 ID:AA/qQ8aE0
雪歩はご飯を作って、真がたかねの相手をしてくれている。
いやほんと、この2人はバランスとれた、いいコンビだよなあ。
雪歩「真ちゃん、たかねちゃん、ご飯できましたよー?」
真「うん!」
たかね「きょうえつしごく!」
朝の景色と味噌汁のにおいが最高だ。
これで、鍵が回収できたらなあ……
P「あの、鍵のことなんだけど……」
雪歩「はい?」
P「返して、もらえませんか?」
いやほんと、この2人はバランスとれた、いいコンビだよなあ。
雪歩「真ちゃん、たかねちゃん、ご飯できましたよー?」
真「うん!」
たかね「きょうえつしごく!」
朝の景色と味噌汁のにおいが最高だ。
これで、鍵が回収できたらなあ……
P「あの、鍵のことなんだけど……」
雪歩「はい?」
P「返して、もらえませんか?」
58: 2012/12/24(月) 00:23:36.77 ID:AA/qQ8aE0
真「うーん、よく分からないけど」
雪歩「プロデューサーが、そう言うなら……」
何と、意外。
あっさりと2人は、俺に鍵を返してくれた。
P「あ、ありがとう!」
真「いえ、とんでもないです」
雪歩「スペアはまだ、いっぱいありますから」
P「え」
真「雪歩、何本くらい予備の鍵作ったの?」
雪歩「えーと、10本くらいかなあ」
真「少なくない?」
P「」
雪歩「プロデューサーが、そう言うなら……」
何と、意外。
あっさりと2人は、俺に鍵を返してくれた。
P「あ、ありがとう!」
真「いえ、とんでもないです」
雪歩「スペアはまだ、いっぱいありますから」
P「え」
真「雪歩、何本くらい予備の鍵作ったの?」
雪歩「えーと、10本くらいかなあ」
真「少なくない?」
P「」
60: 2012/12/24(月) 00:26:17.08 ID:AA/qQ8aE0
伊織「まったく、もっといい包丁買いなさいよね」
伊織は台所で、晩御飯を作ってくれている。
伊織のエプロン姿は、とても新鮮だった。
3日目の晩。
今日の当番は伊織と小鳥さんだ。
小鳥さん「はーいたかねちゃーん、お姉さんと遊びまちょうねー?」
P「お姉さ……いや、みなまで言うまい」
小鳥さんは赤ちゃん言葉で、たかねと遊んでいる。
すると、小鳥さんは、荷物からラッピングされた袋を取り出した。
小鳥さん「ほら、たかねちゃんにプレゼント持ってきたのよー?」
伊織は台所で、晩御飯を作ってくれている。
伊織のエプロン姿は、とても新鮮だった。
3日目の晩。
今日の当番は伊織と小鳥さんだ。
小鳥さん「はーいたかねちゃーん、お姉さんと遊びまちょうねー?」
P「お姉さ……いや、みなまで言うまい」
小鳥さんは赤ちゃん言葉で、たかねと遊んでいる。
すると、小鳥さんは、荷物からラッピングされた袋を取り出した。
小鳥さん「ほら、たかねちゃんにプレゼント持ってきたのよー?」
61: 2012/12/24(月) 00:29:10.03 ID:AA/qQ8aE0
P「開けていいですか?」
小鳥さん「はい、どうぞ」
開けてみると、中には可愛いクマのぬいぐるみが入っていた。
P「開けていいですか?」
小鳥さん「やだプロデューサーさん、もう開けたじゃないですか」
P「クマの中を、開けていいですか?」
小鳥さん「……あら、どうして?」
P「……盗聴器とか、入ってるんじゃないでしょうね?」
小鳥さん「伊織ちゃん、手伝うわー!」
P「おい、待て」
小鳥さん「はい、どうぞ」
開けてみると、中には可愛いクマのぬいぐるみが入っていた。
P「開けていいですか?」
小鳥さん「やだプロデューサーさん、もう開けたじゃないですか」
P「クマの中を、開けていいですか?」
小鳥さん「……あら、どうして?」
P「……盗聴器とか、入ってるんじゃないでしょうね?」
小鳥さん「伊織ちゃん、手伝うわー!」
P「おい、待て」
63: 2012/12/24(月) 00:32:19.63 ID:AA/qQ8aE0
小鳥さんは、慌てて伊織のいる台所に逃げた。
絶対、入ってるよね、これ。
たかね「めんような! めんような!」
しかし、たかねはクマのぬいぐるみを気に入ったようだ。
抱きしめたまま離さない。
今、たかねから取り上げるのも気が引ける。
夜中に、こっそりと外しておこう。
伊織「はい、できたわよ」
伊織は、そう言ってエプロンを外している。
小鳥さんが、出来た料理を運んでいく。
絶対、入ってるよね、これ。
たかね「めんような! めんような!」
しかし、たかねはクマのぬいぐるみを気に入ったようだ。
抱きしめたまま離さない。
今、たかねから取り上げるのも気が引ける。
夜中に、こっそりと外しておこう。
伊織「はい、できたわよ」
伊織は、そう言ってエプロンを外している。
小鳥さんが、出来た料理を運んでいく。
64: 2012/12/24(月) 00:37:52.56 ID:AA/qQ8aE0
P「おお」
たかね「!!」
テーブルに運ばれてきた料理は、どれも美味しそうで、見た目もすごく綺麗だった。
かろうじて分かるのがビーフストロガノフだけで、その他の料理は見るのも初めてだった。
伊織「あんた、いつもロクなもの食べてないしね。ここ最近、ずっとコンビニ弁当ばかりだったじゃない」
P「男一人だと、どうも面倒でなあ」
……あれ?
昨日、ゴミは出したはずだけど?
たかね「あなたしゃま! あなたしゃま!」
たかねはよだれを垂らしながら、早く食べようと急かしてくる。
伊織「はいはい、急がなくても逃げないわよ」
伊織は苦笑しながら、テーブルにつく。
P「それじゃあ、いただきます」
たかね「いただきます!」
たかね「!!」
テーブルに運ばれてきた料理は、どれも美味しそうで、見た目もすごく綺麗だった。
かろうじて分かるのがビーフストロガノフだけで、その他の料理は見るのも初めてだった。
伊織「あんた、いつもロクなもの食べてないしね。ここ最近、ずっとコンビニ弁当ばかりだったじゃない」
P「男一人だと、どうも面倒でなあ」
……あれ?
昨日、ゴミは出したはずだけど?
たかね「あなたしゃま! あなたしゃま!」
たかねはよだれを垂らしながら、早く食べようと急かしてくる。
伊織「はいはい、急がなくても逃げないわよ」
伊織は苦笑しながら、テーブルにつく。
P「それじゃあ、いただきます」
たかね「いただきます!」
65: 2012/12/24(月) 00:40:25.18 ID:AA/qQ8aE0
その晩、たかねは鍋いっぱいに作っておいたビーフストロガノフをからっぽにした。
そしてお腹いっぱいになったのか、食べ終わるとすやすやと眠ってしまった。
伊織「……ところであんた、貴音を元に戻す方法は見つかったの?」
P「いや、まだ何も……」
伊織「なにやってんのよ。明日で貴音の休暇は終わるんでしょ? 仕事とか、どうすんのよ?」
P「うーん、どうしよう」
伊織「まったく……鍵返せなんて言ってる暇あったら、そこをなんとかしなさいよ」
P「あの……そもそも鍵は誰から巡り巡って……?」
伊織「そこで寝てる、だめ事務員からよ」
小鳥さん「ぐへへ……」
そのだめ事務員とやらは、たかねと一緒に俺のベッドで眠っていた。
いつのまに。
そしてお腹いっぱいになったのか、食べ終わるとすやすやと眠ってしまった。
伊織「……ところであんた、貴音を元に戻す方法は見つかったの?」
P「いや、まだ何も……」
伊織「なにやってんのよ。明日で貴音の休暇は終わるんでしょ? 仕事とか、どうすんのよ?」
P「うーん、どうしよう」
伊織「まったく……鍵返せなんて言ってる暇あったら、そこをなんとかしなさいよ」
P「あの……そもそも鍵は誰から巡り巡って……?」
伊織「そこで寝てる、だめ事務員からよ」
小鳥さん「ぐへへ……」
そのだめ事務員とやらは、たかねと一緒に俺のベッドで眠っていた。
いつのまに。
66: 2012/12/24(月) 00:42:46.66 ID:AA/qQ8aE0
P「起きろ」
小鳥さんのほっぺたをつねる。
両側をつねる。
小鳥さん「ピ、ピヨ……!? あ、プロデューサーさん何するんですか~?」
P「盗聴器といい鍵といい、諸悪の根源はお前か」
小鳥さん「ご、誤解ですよ! 私は、全部春香ちゃんから……」
P「えー」
小鳥さんのほっぺたをつねる。
両側をつねる。
小鳥さん「ピ、ピヨ……!? あ、プロデューサーさん何するんですか~?」
P「盗聴器といい鍵といい、諸悪の根源はお前か」
小鳥さん「ご、誤解ですよ! 私は、全部春香ちゃんから……」
P「えー」
67: 2012/12/24(月) 00:45:14.10 ID:AA/qQ8aE0
春香「おはようございまーす!」
P「おはよう春香、ちなみに、今何時だ?」
春香「えーっと、朝の3時です!」
たまたま、トイレで目が覚めた。
4日目の朝、早朝も早朝だった。
玄関のほうで音がしたので、新聞配達の人かな、と思っていたら。
カチャリ
と音がして、鍵が開いた。
そして、春香登場。
P「おはよう春香、ちなみに、今何時だ?」
春香「えーっと、朝の3時です!」
たまたま、トイレで目が覚めた。
4日目の朝、早朝も早朝だった。
玄関のほうで音がしたので、新聞配達の人かな、と思っていたら。
カチャリ
と音がして、鍵が開いた。
そして、春香登場。
70: 2012/12/24(月) 00:49:34.10 ID:AA/qQ8aE0
P「電車、あったの?」
春香「終電で来ました!」
P「ご両親は?」
春香「千早ちゃんの家に泊まるって言いました!」
P「それにしても早すぎるよ」
春香「だって、朝当番はどうしても夜よりも時間が短いですし……」
なぜだろう。
もじもじしてる春香は可愛いはずなのに……
でっかい工具箱持ってるだけで、こんなにも印象が変わるものなのか。
P「美希は? 美希も確か朝だったはず……」
春香「ああ、美希は『朝3時集合』って言ったら『夜に変更するの!』って言ってました!」
P「まあ、美希ならそうなるか……」
春香「終電で来ました!」
P「ご両親は?」
春香「千早ちゃんの家に泊まるって言いました!」
P「それにしても早すぎるよ」
春香「だって、朝当番はどうしても夜よりも時間が短いですし……」
なぜだろう。
もじもじしてる春香は可愛いはずなのに……
でっかい工具箱持ってるだけで、こんなにも印象が変わるものなのか。
P「美希は? 美希も確か朝だったはず……」
春香「ああ、美希は『朝3時集合』って言ったら『夜に変更するの!』って言ってました!」
P「まあ、美希ならそうなるか……」
71: 2012/12/24(月) 00:53:58.46 ID:AA/qQ8aE0
春香「寝てていいですよ! 時間がきたら起こしますから!」
P「……いや、起きとくよ」
春香「寝てていいですよ!!」
P「だから、起きとくよ」
春香「プロデューサー、さん……?」
P「おやすみなさい」
ドライバーならまだしも、リュックから鉈とか出されたら、首を縦に振るしかねえよ。
その後、俺はベッドに入りながらも、頭はガンガンに冴えていた。
時折、春香の鼻歌や金属音、何かを削る音が聞こえた。
俺はたかねを抱きしめながら、がくがく震えていた。
P「……いや、起きとくよ」
春香「寝てていいですよ!!」
P「だから、起きとくよ」
春香「プロデューサー、さん……?」
P「おやすみなさい」
ドライバーならまだしも、リュックから鉈とか出されたら、首を縦に振るしかねえよ。
その後、俺はベッドに入りながらも、頭はガンガンに冴えていた。
時折、春香の鼻歌や金属音、何かを削る音が聞こえた。
俺はたかねを抱きしめながら、がくがく震えていた。
72: 2012/12/24(月) 00:55:58.88 ID:AA/qQ8aE0
春香「いやー! たくさん作業した後のご飯は美味しいですね!」
P「作業、ね……」
たかね「あなたしゃま、しょうゆください」
鍵を返せとか、盗聴器はお前のせいか、とか……言える雰囲気ではなかった。
たかね「ないすぼーと?」
P「やめてください氏んでしまいます」
P「作業、ね……」
たかね「あなたしゃま、しょうゆください」
鍵を返せとか、盗聴器はお前のせいか、とか……言える雰囲気ではなかった。
たかね「ないすぼーと?」
P「やめてください氏んでしまいます」
73: 2012/12/24(月) 01:00:01.23 ID:AA/qQ8aE0
夜、インターホンが鳴った。
誰だろうと開けてみると、響と美希だった。
響「はいさーい、プロデューサー!」
美希「あれ? どうしてハニーはそんなに驚いてるの?」
P「……鍵、持って無かったの?」
響「持ってるけど、勝手に入ったりはしないぞ?」
美希「美希も、マナーは守るよ?」
たかね「あなたしゃま? どうしたのです?」
P「いや、涙が止まらない……まだまともな人がいた……!」
響「本当に大丈夫か、プロデューサー……?」
誰だろうと開けてみると、響と美希だった。
響「はいさーい、プロデューサー!」
美希「あれ? どうしてハニーはそんなに驚いてるの?」
P「……鍵、持って無かったの?」
響「持ってるけど、勝手に入ったりはしないぞ?」
美希「美希も、マナーは守るよ?」
たかね「あなたしゃま? どうしたのです?」
P「いや、涙が止まらない……まだまともな人がいた……!」
響「本当に大丈夫か、プロデューサー……?」
74: 2012/12/24(月) 01:03:40.07 ID:AA/qQ8aE0
響は慣れた手つきで、沖縄料理を作ってくれた。
特にたかねは、響にとても懐いたようで、料理の手伝いまでしている。
響「手元、気をつけるんだぞー?」
たかね「ぜんしょ、します!」
そのなごやかな光景を見て、何日かぶりに、心の底から安心している俺がいた。
P「で、なんでお前は俺のベッドで寝てるんだ?」
美希「ハニーの布団、いい匂いなの~」
美希は頭から布団をかぶった。
そしてすぐに寝息を立てて眠ってしまった。
特にたかねは、響にとても懐いたようで、料理の手伝いまでしている。
響「手元、気をつけるんだぞー?」
たかね「ぜんしょ、します!」
そのなごやかな光景を見て、何日かぶりに、心の底から安心している俺がいた。
P「で、なんでお前は俺のベッドで寝てるんだ?」
美希「ハニーの布団、いい匂いなの~」
美希は頭から布団をかぶった。
そしてすぐに寝息を立てて眠ってしまった。
76: 2012/12/24(月) 01:06:34.75 ID:AA/qQ8aE0
響「できたぞー!」
ゴーヤチャンプルーやソーキそばなど、沖縄料理がテーブルにぞくぞくと並んで行く。
どれも、すごく美味しそうだ。
美希「さっそく食べるの!」
P「結局、美希は何しにきたんだ?」
美希「美希は残さず食べる係なの!」
たかね「びみ! びみ! びみ!」
響「ほらほら、そんなに急いで食べると、まるでハム蔵みたいだぞ」
響は笑いながら、たかねの口を拭く。
ゴーヤチャンプルーやソーキそばなど、沖縄料理がテーブルにぞくぞくと並んで行く。
どれも、すごく美味しそうだ。
美希「さっそく食べるの!」
P「結局、美希は何しにきたんだ?」
美希「美希は残さず食べる係なの!」
たかね「びみ! びみ! びみ!」
響「ほらほら、そんなに急いで食べると、まるでハム蔵みたいだぞ」
響は笑いながら、たかねの口を拭く。
77: 2012/12/24(月) 01:09:34.69 ID:AA/qQ8aE0
美希「はにー、あ~ん」
P「おいおい」
たかね「……あなたしゃま」
P「ん?」
たかね「あ~ん……」
P「」
美希「いやん、可愛いの~!」
響「プロデューサー、食べてあげなよ」
P「あ、あ~ん」
俺は照れながら、たかねの差し出したゴーヤを食べた。
P「おいおい」
たかね「……あなたしゃま」
P「ん?」
たかね「あ~ん……」
P「」
美希「いやん、可愛いの~!」
響「プロデューサー、食べてあげなよ」
P「あ、あ~ん」
俺は照れながら、たかねの差し出したゴーヤを食べた。
79: 2012/12/24(月) 01:12:34.72 ID:AA/qQ8aE0
たかね「おいしゅうございますか?」
P「うん、おいしい」
たかね「えへへ……」
P「……か、可愛い!」
もう我慢できなくなって、俺はたかねを抱きしめてしまった。
たかね「あ、あなたしゃま!?」
美希「あー、たかね、ずるいの! 美希もハニーに抱きつくの!」
たかねを抱きしめた俺を、美希が抱きしめる。
たかね「ひ、ひびき! ひびき!」
そして、たかねは響に助けを求める。
美希→俺→たかね→響の順で抱きしめる。
響「なんだ、これ?」
P「うん、おいしい」
たかね「えへへ……」
P「……か、可愛い!」
もう我慢できなくなって、俺はたかねを抱きしめてしまった。
たかね「あ、あなたしゃま!?」
美希「あー、たかね、ずるいの! 美希もハニーに抱きつくの!」
たかねを抱きしめた俺を、美希が抱きしめる。
たかね「ひ、ひびき! ひびき!」
そして、たかねは響に助けを求める。
美希→俺→たかね→響の順で抱きしめる。
響「なんだ、これ?」
81: 2012/12/24(月) 01:17:04.34 ID:AA/qQ8aE0
響達が帰った後、俺とたかねは散歩に出た。
明日には、貴音の休暇期間が終わり、仕事が待っている。
いまだに元に戻す方法が見つかっていない。
さて、どうしたものか……
たかね「あなたしゃま?」
俺の浮かない顔に、たかねが心配そうな声で俺を見る。
P「大丈夫だよ、たかね」
俺は微笑みながらその場にかがむ。
たかねの頭に手をのせ、撫でる。
明日には、貴音の休暇期間が終わり、仕事が待っている。
いまだに元に戻す方法が見つかっていない。
さて、どうしたものか……
たかね「あなたしゃま?」
俺の浮かない顔に、たかねが心配そうな声で俺を見る。
P「大丈夫だよ、たかね」
俺は微笑みながらその場にかがむ。
たかねの頭に手をのせ、撫でる。
82: 2012/12/24(月) 01:20:38.24 ID:AA/qQ8aE0
P「もし、このまま元に戻らなくても、俺が一生かけて面倒見てやる」
たかね「あなたしゃま……」
P「さて、帰るか。もう10時少し前……」
10時、少し前……?
俺は、あの時の貴音との夜を思い出す。
――とても、月が綺麗な夜だった。
――形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
バッと、月を見上げた。
月が、ほんのり赤くなっていた。
P「そういえば、今日は……!」
月食。
ここ数日、たかねの事で忙しかったから、すっかり忘れていた。
たかね「あなたしゃま……」
P「さて、帰るか。もう10時少し前……」
10時、少し前……?
俺は、あの時の貴音との夜を思い出す。
――とても、月が綺麗な夜だった。
――形からして、もうすぐ、満月になりそうだ。
バッと、月を見上げた。
月が、ほんのり赤くなっていた。
P「そういえば、今日は……!」
月食。
ここ数日、たかねの事で忙しかったから、すっかり忘れていた。
83: 2012/12/24(月) 01:23:52.87 ID:AA/qQ8aE0
たかね「あなたしゃま!」
そのとき、たかねの体が、淡く光り始めた。
P「たかね!」
徐々にだが、たかねが消え始めていく。
たかね「……あなたしゃま、ありがとうございました。とても、たのしかったです」
P「そ、そんな、待ってくれたかね!」
たかね「――それでは」
P「たかね!!」
俺はたかねを掴もうと手を伸ばした。
が、その手は空を切る。
よろけて、地面に倒れてしまう。
P「たかね、たかね……」
俺はみっともなく、その場で泣き始めた。
P「たかねぇぇぇぇ!!」
そのとき、たかねの体が、淡く光り始めた。
P「たかね!」
徐々にだが、たかねが消え始めていく。
たかね「……あなたしゃま、ありがとうございました。とても、たのしかったです」
P「そ、そんな、待ってくれたかね!」
たかね「――それでは」
P「たかね!!」
俺はたかねを掴もうと手を伸ばした。
が、その手は空を切る。
よろけて、地面に倒れてしまう。
P「たかね、たかね……」
俺はみっともなく、その場で泣き始めた。
P「たかねぇぇぇぇ!!」
84: 2012/12/24(月) 01:27:26.33 ID:AA/qQ8aE0
貴音「はい、なんでしょう?」
P「」
俺は、声がした後ろを振り向いた。
貴音「あなた様……どうかいたしましたか?」
P「た、貴音? 今、消えたはずじゃ……」
貴音「すみません。月食の時期は、不安定になりまして……」
P「どういうことなの?」
P「」
俺は、声がした後ろを振り向いた。
貴音「あなた様……どうかいたしましたか?」
P「た、貴音? 今、消えたはずじゃ……」
貴音「すみません。月食の時期は、不安定になりまして……」
P「どういうことなの?」
85: 2012/12/24(月) 01:31:14.32 ID:AA/qQ8aE0
貴音「ご心配をかけて申し訳ありません」
P「今までのたかねは、貴音なのか……?」
貴音「私が言えるのは、ここまでです。それ以上は――」
貴音は、人差し指をスッと唇につけて、
貴音「とっぷしーくれっとです」
それは俺が知っている、貴音のいつもの妖艶な笑みだった。
P「今までのたかねは、貴音なのか……?」
貴音「私が言えるのは、ここまでです。それ以上は――」
貴音は、人差し指をスッと唇につけて、
貴音「とっぷしーくれっとです」
それは俺が知っている、貴音のいつもの妖艶な笑みだった。
86: 2012/12/24(月) 01:34:04.24 ID:AA/qQ8aE0
春香「あ、貴音さん、おはようございます! お休みはどうでしたか?」
貴音「真、有意義なものでした」
小鳥さん「あれ、なんだろうこれ?」
P「どうしたんですか?」
小鳥さん「いえ、デジカメのメモリーなんですが……中の写真が半分以上真っ黒なんです」
小鳥さん「私、何撮ったんだろう?」
貴音「真、有意義なものでした」
小鳥さん「あれ、なんだろうこれ?」
P「どうしたんですか?」
小鳥さん「いえ、デジカメのメモリーなんですが……中の写真が半分以上真っ黒なんです」
小鳥さん「私、何撮ったんだろう?」
89: 2012/12/24(月) 01:37:36.48 ID:AA/qQ8aE0
翌朝、事務所に出社した俺は、奇妙な事に気がついた。
俺以外の誰ひとり、たかねのことを覚えていなかった。
たかねがいた証拠になる痕跡も、どうやら消えているようだ。
春香「そういえば私も、変な事があって……」
春香「盗聴器やら何やら、全く使えなくなっちゃって」
春香「確かめようとプロデューサーさんの家に行ったんだけど、鍵もなぜか合わなくて」
そういえば、まだ外が暗い早朝に、なにやらガチャガチャ音がしていたような気がする。
誰も入ってこなかったので、気のせいかと思っていたが。
俺以外の誰ひとり、たかねのことを覚えていなかった。
たかねがいた証拠になる痕跡も、どうやら消えているようだ。
春香「そういえば私も、変な事があって……」
春香「盗聴器やら何やら、全く使えなくなっちゃって」
春香「確かめようとプロデューサーさんの家に行ったんだけど、鍵もなぜか合わなくて」
そういえば、まだ外が暗い早朝に、なにやらガチャガチャ音がしていたような気がする。
誰も入ってこなかったので、気のせいかと思っていたが。
92: 2012/12/24(月) 01:42:34.26 ID:AA/qQ8aE0
俺は、隣にいた貴音を見る。
貴音「ふふ。お礼です。あなた様」
小声で、そう言った。
P「やっぱり、たかねは……」
すると貴音は、人差し指を、俺の口にぴったりと付けてきた。
貴音「それは、これからゆっくりと知っていけばいいではありませんか」
貴音「……一生面倒を見てくれるのでしょう?」
そう言って、貴音は俺の口から、ゆっくりと手を離した。
そして、唖然としている俺に向かって、
貴音「ふふ。お礼です。あなた様」
小声で、そう言った。
P「やっぱり、たかねは……」
すると貴音は、人差し指を、俺の口にぴったりと付けてきた。
貴音「それは、これからゆっくりと知っていけばいいではありませんか」
貴音「……一生面倒を見てくれるのでしょう?」
そう言って、貴音は俺の口から、ゆっくりと手を離した。
そして、唖然としている俺に向かって、
93: 2012/12/24(月) 01:43:58.22 ID:AA/qQ8aE0
貴音「あなたしゃま?」
おわり
おわり
94: 2012/12/24(月) 01:45:42.00
おつおつ
96: 2012/12/24(月) 01:46:54.39
乙乙
引用元: たかね「あなたしゃま」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります