1: 2011/03/21(月) 22:13:49.12 ID:HLkwgTXy0
梓「ふあぁ~」

憂「おはよう、梓ちゃん。眠そうだね」

梓「うーん、昨日いっぱい寝たんだけどなぁ。春眠暁を覚えず、って奴?」

純「まだ眠そうにしてるじゃん」

梓「最近暖かくなってきたからかな? 寝足りないよ」

憂「そういえば、お姉ちゃんも眠そうにしてたっけ」

梓「唯先輩も?」

憂「うん。登校中も歩きながら寝ちゃいそうで大変だったよ」

純「あはは……唯先輩ならありえるかも」

憂「梓ちゃんもそのまま授業中寝ないように気を付けてね」

梓「善処するよ」

3: 2011/03/21(月) 22:17:33.54 ID:HLkwgTXy0
憂「――って言ってたのに……」

梓「Zzz……」

純「しっかり居眠りしてるし」

先生「……」

憂(さっきから先生がチラチラ見てるけど)

純(堂々としすぎて対処に困ってる!? そういうのもあるのかー!)

4: 2011/03/21(月) 22:22:16.43 ID:HLkwgTXy0
純「――さ、あーずーさ! 起きろ、この日本人形!」

梓「んあ……純? 授業中だよ……」

純「まだ寝ボケてる」

憂「とっくに授業終っちゃったよ。いつ注意されるのかハラハラしちゃった」

梓「あ、もうこんな時間。次は体育だっけ」

純「早く着替えなよ。もう梓だけだよ」

梓「ごめんごめん……よいしょっと。じゃあグラウンド行こうか」

憂「あ、待って梓ちゃん」

梓「え?」

5: 2011/03/21(月) 22:26:22.51 ID:HLkwgTXy0
憂「はい、これ忘れたら今度こそ怒られるよ」

梓「何か必要な物あったっけ……って、ネコミミ!? 何で憂が、ってか、体育に関係無いでしょ!」

憂「えぇ!?」

純「寝ボケてるんじゃなくて、本格的にボケてきた?」

憂「そうだよ、梓ちゃん。私達も、皆もいつも着けてるよ?」

梓「ボ、ボケてるのは憂達じゃないの!? そんなの聞いた事無いよ!」

純「こりゃ重症だわ」

憂「もう授業始まっちゃうよ。とりあえずグラウンド行こう? 皆着けてるの見たらわかるよ」

純「だね。ほら梓、早く」

梓「い、一体どうなってるの……?」

6: 2011/03/21(月) 22:31:33.75 ID:HLkwgTXy0
梓「――あ、ああぁ……」

憂「ね、皆着けてるでしょ?」

純「いい加減変な事ばっか言ってないで着けなって」

梓「うぅ……どうしてこんなことに」

純「よし、それじゃ私らもさっさと走ろうか」

憂「うん、町内一周だもんね」

梓「この上、町内マラソン!? 恥の上塗りだよ!」

純「いや普通だから。とっとと走る!」

梓「こんなの着けて走りたくないよおぉぉ~!!――」

10: 2011/03/21(月) 22:36:08.40 ID:HLkwgTXy0
純「――さ、あーずーさ! 起きろ、この日本人形!」

梓「うぅーん……はっ」

純「やっと起きた」

憂「おはよう、梓ちゃん。授業終っちゃったよ」

梓「う、憂、純! ネコミミは!? 町内一周は!?」

憂「え、えぇっ?」

純「まだ寝ボケてんの? 次体育だから早く用意する!」

梓「あ……夢か……よかったぁ」

憂「梓ちゃーん、置いてくよー」

梓「あ、待ってー! すぐ行くー!」

11: 2011/03/21(月) 22:41:24.26 ID:HLkwgTXy0
梓「体育館でバレー……やっぱりさっきのは夢か……そりゃそうだよね」

純「ようやく目が覚めてきた?」

憂「体動かしたら、きっと眠気なんて吹っ飛ぶよ」

梓「そうだね。で、私達の班の出番は?」

憂「次の次かな? それまでは見学してるしかないね」

梓「そうなんだ、それじゃあ」

純「寝るんだ?」

梓「寝ないよっ! 邪魔にならないように、隅の方で見てようよ」

純「はいはい、そういう事にしとこうか」

梓「もーっ!」

憂「あはは、まあまあ」

12: 2011/03/21(月) 22:46:36.35 ID:HLkwgTXy0
純「――うお、今の凄っ」

憂「よく取れたね~」

純「バレー部は動きが違うねー」

憂「そうだね」

梓「……ふあぁ」

梓(あぁ……またウトウトしてきた)

梓(純にあれだけ言っておいて……情けない)

梓(でも我慢の限界――)

13: 2011/03/21(月) 22:52:09.69 ID:HLkwgTXy0
純「――よし、私らの出番が来たぞ!」

憂「純ちゃん気合い入ってるね」

純「そりゃあ相手は全員バレー部だからね。不足無しってやつ?」

梓「いやいや、私達運動部じゃないよ。いくら憂がいても無理でしょ」

純「やる前から諦めてどうする! なせばなるの精神!」

憂「こっち3人、向こう6人の変則マッチだって」

14: 2011/03/21(月) 22:57:50.90 ID:HLkwgTXy0
梓「更に追い打ち!?」

純「望むところ!」

憂「純ちゃんかっこいいー」

梓「絶対おかしいって! そもそも純って運動好きだっけ!?」

純「この日の為に片眉剃って山籠もりしたから大丈夫! 必殺技で蹴散らすよ」

憂「私も頑張るね。さ、梓ちゃん行こう」

梓「不安しかないよ……」

15: 2011/03/21(月) 23:00:23.36 ID:HLkwgTXy0
純「おりゃ、 殺人トス!」

梓「お、おおー!」

憂「えい、変化球レシーブ!」

梓「す、凄いけど……どんな技!?」

純「しまった! ブロックに回る人数が足りない!」

憂「梓ちゃん、受けて!」

梓「えぇ!? あの身長190位の黒人お姉さんのスパイクを私が!?」

純「来るよ!」

憂「梓ちゃんなら取れるよ!」

梓「そんな訳なぁーい!――」

17: 2011/03/21(月) 23:04:30.96 ID:HLkwgTXy0
憂「――さ、梓ちゃん」

梓「う、ううん……体のどこかに当たって……」

純「まーた寝ボケてる。ほら、梓!」

梓「あ、あれ……純、憂」

憂「おはよう、梓ちゃん」

梓「はっ! 6人の黒人は!? 殺人トスと変化球レシーブは!?」

憂「え、ええっと? ちょっと言ってる意味が分からないよ」

純「こりゃ、いよいよヤバイわ」

梓「あぁ、夢か……よかった、本当に」

18: 2011/03/21(月) 23:10:14.78 ID:HLkwgTXy0
純「ちっともよくないよ」

憂「梓ちゃん起きないから言い訳考えるの大変だったよ」

梓「え」

純「体調悪いから見学ってことにしといたけどさ」

憂「本当に大丈夫? 保険室行こうか?」

梓「そこまでしなくても大丈夫だよ。ありがとう、もう寝ないよ」

純「信用できない……まぁいいや、お昼のパン買いに行くんだけど付き合ってよ」

憂「うん、いいよ」

梓「私も構わないよ」

19: 2011/03/21(月) 23:15:38.50 ID:HLkwgTXy0
純「――じゃあ行ってくる。ちょっと待ってて」

憂「うん、行ってらっしゃい」

梓「……ふわぁあ」

梓(ここ、陽射しが気持ちいいな……)

梓(純が戻ってくるちょっとの間だけど)

梓(待てない……自然とまぶたが……落ち……)

21: 2011/03/21(月) 23:19:32.88 ID:HLkwgTXy0
憂「――あ、純ちゃん戻ってきたよ」

梓「え、ホント」

純「お待たせ……梓、寝てた?」

梓「そ、そんな訳ないじゃない! それより、なんでそんな浮かない顔してるの」

憂「パン買えなかったの?」

純「いや、買うには買えたんだけどさ」

梓「ならいいじゃん」

純「アレを手に入れられなかったんだよ……」

23: 2011/03/21(月) 23:24:34.24 ID:HLkwgTXy0
憂「アレ?」

純「ゴールデンチョコパンに決まってんじゃん!」

梓「前に食べたじゃん」

純「何言ってんの! そんな甘い考えじゃ、食糧難の時代を乗り越える事なんかできない!」

梓「食糧難? それこそ何言ってるの?」

憂「梓ちゃん、食料貯め置きしてないの? 大変なことになるんじゃ」

純「あーっ! 梓ったら、ゴールデンチョコパン2つも確保してんじゃん! いつの間に!」

梓「え? 純、何が」

25: 2011/03/21(月) 23:28:50.14 ID:HLkwgTXy0
憂「梓ちゃん、髪、髪!」

梓「あ……ああぁ! ツインテールがゴールデンチョコパンになってるー!」

憂「梓ちゃん、声大きいよ!」

梓「えぇ?」

純「遅かった! 今の騒ぎで皆に気付かれちゃったみたい」

憂「ああ……お腹を空かせた餓えた狼、餓狼たちが梓ちゃんに群がっちゃうんだ」

梓「ちょ、よくわかんないけど助けてよ!」

純「もう手遅れだよ……他の人に取られる位だったらいっそ……」

憂「そうだね……ごめんね、梓ちゃん……」

梓「ふ、二人とも目が据わってて怖いよ……い、いやあぁぁぁぁぁ!――」

26: 2011/03/21(月) 23:34:00.80 ID:HLkwgTXy0
憂「――梓ちゃん、純ちゃん戻ってきたよ」

梓「う……ううん……ゴールデンチョコパンなんていらない……」

憂「純ちゃんが買ってきたのはカレーパンだよ?」

純「この短時間でも寝てんの? おーい梓ー」

梓「はっ! わ、私の髪! よ、よかったぁパンじゃない……」

憂「……どんな夢見てたんだろう」

純「さぁ……」

28: 2011/03/21(月) 23:39:17.82 ID:HLkwgTXy0
梓「――午後の授業は何とか無理やり乗り切ったけど」

梓「起きる事に集中し過ぎて、授業内容なんかさっぱりだったなぁ」

梓「でもここまで眠くなるなんてなぁ……春眠恐るべし」

梓「ずっと寝てた分、部活はしっかり頑張らないとね」

梓「こんにちはー!」

29: 2011/03/21(月) 23:43:23.73 ID:HLkwgTXy0
梓「……あれ? まだ誰も来てないのかな」

梓「仕方ない、ちょっと待っていよう」

梓「はふぅ……それにしても……」

梓「午後の授業全部起きてたから、反動で眠気が……」

梓「先輩方が来るまでなら……いいよね……」

梓「……げんか……い――」

30: 2011/03/21(月) 23:47:35.49 ID:HLkwgTXy0
梓「――う……ん……」

紬「……」

梓「……うん? ムギ先輩、何してるんですか?」

紬「わっ、梓ちゃん、もうちょっとそのまま!」

梓「カメラ……? ちょっ、やめて下さい!」

紬「ああ……もう少しだったのに……残念」

梓「残念じゃないですよ。何で写真撮ろうとしてたんですか?」

紬「だって、部室に来たら可愛い寝顔の梓ちゃんがいたから~。撮らない方が失礼かと思って」

梓「はぁ~……相変わらずよくわかんないですね」

31: 2011/03/21(月) 23:51:12.59 ID:HLkwgTXy0
紬「ご、ごめんね?」

梓「謝らなくても結構ですよ。気にしてませんから」

紬「ホントに?」

梓「はい、今に限った話でもないですし」

紬「そう? よかったぁ~」

梓「ところで他の先輩方は来てないんですか?」

紬「もうすぐ来ると思うけど……じゃあお湯沸いてるから、先に梓ちゃんにお茶入れるわね」

梓「あ、すみません」

紬「いいのいいの。ちょっと待っててね」

梓「はい」

32: 2011/03/21(月) 23:57:15.81 ID:HLkwgTXy0
梓「んんー……はぁっ。また夢みてるのかと思ったけど」

梓「別に変な展開してないから、これは現実だよね」

紬「お待ちどうさまで~す」

梓「早かったですね。あっ、ムギ先輩危ない!」

紬「わ~、何故か足元にバナナの皮が~。そして梓ちゃんにお茶が~」

梓「え、えええぇっ!?」

梓「……あ、あれ? 熱くない? 紅茶の香りはしっかりするけど……」

紬「うーん、これは多分梓ちゃんの夢なのかも」

梓「あぁ……やっぱりそうなるんですか――」

34: 2011/03/22(火) 00:02:54.30 ID:QxlXdsov0
梓「――熱くない……熱くないよぉ……」

紬「?」

梓「……うん? ムギ先輩、何してるんですか?」

紬「おはよう、梓ちゃん」

梓「あ、私また寝てたんですね……それで、ムギ先輩はカップ片手に何を?」

紬「お茶の香りで梓ちゃんいぶり出し作戦~」

梓「何ですか、それ……」

紬「可愛らしい寝顔だったわ~」

35: 2011/03/22(火) 00:06:22.23 ID:QxlXdsov0
梓「すみません、今日は朝からずっと眠たくて」

紬「最近暖かいものね。唯ちゃんもずっと眠ってたわ」

梓「お恥ずかしい限りです……それで、他の先輩方は?」

紬「もうすぐ来ると思うけど……先にお菓子出すわね。今日はバナナケーキなの」

梓「ああ、これがさっきのに被ってる訳……」

紬「何のこと?」

37: 2011/03/22(火) 00:14:48.31 ID:QxlXdsov0
梓「いえ、こちらのことなんで、お気になさらず」

紬「そう? それじゃあ、どうぞ」

梓「そんな。私だけ先にいただく訳にはいかないですよ」

紬「じゃあ私も一緒にいただくわね。それならいい?」

梓「あ、はい。それでしたら」

紬「うふふ――」

39: 2011/03/22(火) 00:18:57.10 ID:QxlXdsov0
梓「――みなさん遅いですねー……」

紬「そうね、まだ唯ちゃん起きないのかしら」

梓「そういう事ですか……」

紬「梓ちゃんを待たせたら悪いと思って、私だけ先に来たの」

梓「そんな、別に気になさらなくても構いませんのに」

紬「いいのいいの。じゃあ皆が来たときの為に、またお湯沸かしてくるわね」

梓「あ、はい。すみません」

梓「ムギ先輩は本当に優しいなぁ」

梓「それにしても、唯先輩も一日中寝てるって」

梓「唯先輩と同レベルかぁ……」

梓「ああ、でも……このわずかな間にも睡魔が……」

梓「いけないとは思いつつも……――」

41: 2011/03/22(火) 00:22:25.06 ID:QxlXdsov0
梓「――ううん……暑くて重い何かが……?」

唯「Zzz……」

梓「ゆ、唯先輩!?」

唯「あれ~? おはよ~、あずにゃん」

梓「そんなことより離れて下さい! 重いです!」

唯「えぇ~? いけずな子だねぇ~、うりうり~」

梓「もー、やめて下さい!」

43: 2011/03/22(火) 00:26:29.60 ID:QxlXdsov0
紬「梓ちゃん、おはよう」

梓「ムギ先輩、もしかして私また寝てしまってたんですか」

紬「うん。戻ってきた時にはもうぐっすりと」

唯「そして私達がやってきたのです」

澪「唯もすぐに寝てしまったけどな」

律「一日中寝てたんだから、練習くらいはちゃんとやれよー?」

唯「えへへ~、さすがにそれはもう」

梓「え……今なんて……?」

45: 2011/03/22(火) 00:29:22.47 ID:QxlXdsov0
律「え? だから、休憩は十分だから練習でもしようかって……」

梓「……」

澪「あ、梓?」

梓「律先輩、澪先輩! ちょ、ちょっとほっぺたつねって下さい!」

澪「え、えぇ!?」

律「こ、こうか?」

梓「あいたたた! も、もう結構です」

澪「一体……」

46: 2011/03/22(火) 00:34:01.23 ID:QxlXdsov0
梓「ゆ、夢じゃない……皆さんが率先して練習して下さるなんて……!」

律「失礼なやつだな……」

唯「そうだよ、あずにゃん。私たちだってそういう気分の時もあるよ」

紬「そうね」

澪「いや、そこは毎日練習しようよ……」

律「さ、もういいだろ」

澪「唯と梓も早く準備しろよ」

唯「おっけ~」

梓「はい! 張り切っていきましょう!」




おしま――

48: 2011/03/22(火) 00:38:32.24 ID:QxlXdsov0
唯「あれ? ギー太、家に忘れてきちゃった」

梓「あ、あれ!? 私も持ってくるの忘れてました……」

律澪「うおおおおいいいぃ!」

紬「二人とも仲良しね~」




おしまい!

49: 2011/03/22(火) 00:40:17.75

51: 2011/03/22(火) 00:44:01.68 ID:QxlXdsov0
見てくれた、支援くれた方々ありがとう
規制が多くてやりにくくなりましたね
また何か書いたら投下しますんでよろしくお願いします

52: 2011/03/22(火) 00:44:47.41
乙乙

引用元: 梓「春眠の中野梓」