1: 2011/05/25(水) 21:45:34.40 ID:Wj2OPpqe0
純「ねぇ、梓ー」

梓「……」

純「梓ってば~」

梓「……」

純「あ~ず~さ~」

梓「あーうるさい! さっきから何!?」

純「憂が遅いんだけど」

梓「ちょっと遅れるって言ってたじゃない。もう少し待とうよ」

純「え~。じゃあ先にお茶にしようよ」

梓「そんな事だろうと思ったよ……」

純「さっすが梓、話が早い! では早速……」

梓「駄目だって。もう先輩達も卒業したし、これからは真面目に練習するんだから」

3: 2011/05/25(水) 21:48:22.63 ID:Wj2OPpqe0
純「まだ春休みだからいいじゃん」

梓「その休みが終わったら新歓ライブ! 部員獲得しないと存続が危ういんだし」

純「真面目なんだから~。何とかなるって、私も協力するし」

梓「純が手伝ってくれてもなぁ」

純「何そのあからさまに信用してない態度は」

梓「だってねぇ……」

純「私がいないとベース無しだよ」

梓「そうなんだけど……純が軽音部きてから練習してるの見たことないよ」

純「してるっての! 梓もいたじゃん!」

梓「えー……そうだっけ?」

純「都合いい記憶力しやがって……!」

梓「まぁ、そういう事にしとくから、練習始めるよ」

純「えー! 憂が来るまで休憩してようよー」

梓「話が進まないよ……」

6: 2011/05/25(水) 21:54:24.78 ID:Wj2OPpqe0
憂「ごめーん! 梓ちゃん、純ちゃんお待たせ」

純「お、来た」

梓「待ったよ、憂。じゃあ揃ったところで始め……って」

唯「こんちはー」

梓「唯先輩!?」

唯「おー、久しぶりだねぇ、あずにゃん。純ちゃんも」

梓「久しぶり、じゃないですよ! 一体――」

唯「あ、そっかぁ忘れてたや」

8: 2011/05/25(水) 21:58:29.71 ID:Wj2OPpqe0
梓「え……?」

唯「ひっさしぶりー、あっずにゃ~ん!」

梓「な、なんで改めて抱きつくんですか!? 離れて下さい!」

唯「え~? 違ったかなぁ」

梓「違いますよ! どうして唯先輩がいるのか聞いてるんです」

唯「いやぁ、暇だったから」

梓「暇って……唯先輩、大学寮に引っ越す準備はしないんですか?」

純「そっか、唯先輩達ってみんな同じ寮に住むんだっけ」

唯「うん、そだよ。みんな準備で忙しくてね、誰も遊んでくれないんだよ」

11: 2011/05/25(水) 22:01:23.18 ID:Wj2OPpqe0
梓「いやいや、唯先輩こそ準備大丈夫なんですか?」

唯「私? 私はもう終わったよ」

梓「えぇ!?」

梓(あの面倒くさがりの唯先輩が……)

梓(そうだよね、もう大学生になるんだもん。唯先輩がしっかりしててもおかしくないよ)

梓「唯先輩! 私、感動しました! 唯先輩だって、やれば――」

15: 2011/05/25(水) 22:06:25.97 ID:Wj2OPpqe0
純「どうせ憂が手伝ってあげたんでしょ?」

憂「大体……かな。あっ、荷物を入れるバッグはお姉ちゃんが用意したよ」

唯「何か私がやると散らかる一方でね~」

梓「あー……」

唯「あずにゃん、どうかした?」

梓「そんな可能性も否めないと思ってましたよ……私の感動を返して下さい……」

唯「お陰さまで暇でね~。澪ちゃん達も誘ったけど断られたんだよね」

梓「そりゃそうですよ。唯先輩も憂に頼ってばかりじゃなくて、そろそろ独り立ちして下さい」

唯「だ~いじょうぶだって~。大学行ってから本気出す! なんてね~」

梓「律先輩達にすがる図が目に浮かびますよ」

唯「うぅ……あずにゃん、しどい……」

16: 2011/05/25(水) 22:11:16.76 ID:Wj2OPpqe0
純「……ねぇ、憂」

憂「ん、何?」

純「やっぱ梓と唯先輩って仲良いよね」

憂「そうだね」

純「それに、先輩といるときの方が生き生きしてるし」

憂「最近の梓ちゃん、新歓の事で余裕なさそうだもんね」

純「その為に私らがいるんだけどね……仕方ない、練習しますか」

憂「うん。梓ちゃんに頼りにされるようにならなきゃね」

18: 2011/05/25(水) 22:20:29.43 ID:Wj2OPpqe0
梓「――ふぅ、今のは結構良かったかな」

憂「うん、良い感じだったね」

純「ふふーん、私と憂にかかればこんなもんよ」

梓「純はもう少し練習が必要かもね」

純「はーいはい、いずれ澪先輩に追い付き追い越す勢いのベーシストになりますよ」

梓「それは純には無理じゃないかな」

純「今に見てなさいって……あ、もうこんな時間」

憂「何かあるの?」

純「ジャズ研の方も行かなきゃならないんだよ」

梓「そっか……向こうも新歓あるんだよね」

純「そういう事。じゃあちょっと行ってくる」

憂「行ってらっしゃい」

21: 2011/05/25(水) 22:30:13.85 ID:Wj2OPpqe0
梓「何か……悪かったかな」

憂「純ちゃんの事?」

梓「うん」

憂「確かに忙しそうだけど、純ちゃんはそんな事思ってないよ」

梓「憂……」

憂「私だってそう。私達、梓ちゃんと一緒に軽音部がやりたかっただけだから」

梓「憂……うん、ありがとう」

憂「えへへ、どういたしまして」

梓「じゃあ当面の問題は……唯先輩!」

唯「ふぇ?」

24: 2011/05/25(水) 22:35:20.49 ID:Wj2OPpqe0
梓「さっきから私達が練習してる横で何してるんですか」

唯「何って……お菓子食べて漫画読んでるだけだよ?」

梓「見れば分かります……そうじゃなくて、こう何かないんですか?」

唯「何か? 残念ながら、これが最後のお菓子なんだけど」

梓「いらないです! 私が言いたいのは、先輩として後輩にアドバイス的なのがないのか、って事ですよ」

唯「えぇ~、でもあずにゃんの方が私より上手いから言うことないよぉ」

梓「情けない……」

憂「お姉ちゃん……」

唯「あ、あれ? おかしかったかな?」

27: 2011/05/25(水) 22:39:11.05 ID:Wj2OPpqe0
梓「普通何かあるんじゃないですか? 技術的な事じゃなくとも、心構えとか」

唯「心構えぇ?」

梓「……言っておいて、唯先輩にはハードルが高いと思いました」

憂「えぇ!?」

唯「しどい!?」

梓「パートは違っても、澪先輩だったら何かあると思いますよ」

唯「……ふーむ。それはりっちゃんでもかな」

梓「まぁ一応部長ですからね。やる時はやりますよ」

唯「ふーむむむ……」

憂「お姉ちゃん?」

梓「どうかしました?」

唯「よし! それなら私がみんなになるよ!」

28: 2011/05/25(水) 22:44:25.85 ID:Wj2OPpqe0
梓「はい?」

唯「私は言うことないから、みんなに言ってもらうよ」

梓「言ってる意味が……」

唯「ちょっと待っててね~」ガチャバタン

梓「出ていった……何する気なんだろ」

憂「さぁ……お姉ちゃん、いつも突然だから」

唯「お待たせ~!」ガチャバタン

梓「早っ!」

唯「これ探してただけだからね~」

憂「厚紙とハサミ……?」

唯「ペンはあるから、これで準備よし!」

29: 2011/05/25(水) 22:47:45.27 ID:Wj2OPpqe0
梓「一体何を始めるんですか」

唯「まあ見てなさいな~」

唯「これをこうやって~、ここをこうして~……はい完成!」

梓「完成までも早いですね……って、これは」

憂「お面?」

唯「そう! りっちゃんと澪ちゃんとムギちゃんお面だよ」

梓「あぁ~……なるほど、なりきりでもする訳ですね」

唯「そういうこと~」

憂「へぇ~」

31: 2011/05/25(水) 22:51:20.24 ID:Wj2OPpqe0
唯「では早速澪ちゃんに活を入れてもらいましょう」

澪(唯)「こらっ梓、ちゃんと練習しないと駄目だろっ」

唯「……どお?」

憂「うーん、口調は澪さんっぽかったけど」

梓「なんで私が怒られるんですか。いつも練習しないのは唯先輩でしょう」

憂「えぇ!?」

唯「しどい!?」

梓「唯先輩が澪先輩を演じるのは無理ありますよ」

33: 2011/05/25(水) 22:56:49.66 ID:Wj2OPpqe0
唯「うぅ……じゃあ次はりっちゃんで……よいしょ」

律(唯)「よーし、それじゃ練習しようぜー」

唯「……どお?」

梓「律先輩、そんな風に言いますかね?」

唯「あれ?」

梓「どちらかというと、唯先輩と一緒にサボってる印象なんですが」

唯「うーん、そうかも。じゃありっちゃんだと説得力に欠けるなぁ」

梓「部長だったんですけどね」

憂「あはは……」

34: 2011/05/25(水) 22:59:55.78 ID:Wj2OPpqe0
唯「んじゃ、次はムギちゃんで」

紬(唯)「それじゃあ練習の前にお茶にしよっか?」

憂「わぁ、それっぽいかも」

唯「だよね! 私はミルクティーでお願~い」

憂「はーい」

梓「あ、私も……じゃなくて! ムギ先輩なら言いそうですけど、何か趣旨が変わってきてますよ」

唯「えぇ~。じゃあ次はどうしようかなぁ」

梓「もう結構ですよ。自主練してますから、好きな事してて下さい」

唯「ぶ~、あずにゃんつれないよ~」

梓「私は練習しに来てるんです!」

35: 2011/05/25(水) 23:03:48.10 ID:Wj2OPpqe0
唯「……すっかり怒らせちゃった。このなりきりお面、楽しいと思ったんだけどなぁ」

憂「お姉ちゃん、梓ちゃん真剣なんだから、あんまり邪魔しちゃ悪いよ」

唯「私も真剣に考えてるよ?」

憂「そ、そうだったの?」

唯「そうだよ。あずにゃん、私達が一気にいなくなったから寂しいんだよ。遊んであげなきゃ」

憂(そっちじゃないと思うなぁ)

唯「よし! 今度は二人でやろうよ」

憂「えぇ、私も!?」

唯「やっぱり私一人じゃ限界があるし。憂は誰にする?」

憂「どうしても?」

唯「このままじゃ、あずにゃんが寂しくて氏んじゃうかもしれないんだよ」

憂「そんな、うさぎじゃないんだし……えっと、じゃあ私は――」

36: 2011/05/25(水) 23:09:26.61 ID:Wj2OPpqe0
梓「――ふぅ」

?「あーずにゃん!」

梓「ひゃあっ! ゆ、唯先輩、突然なにするんですか!」

唯「ふっふっふっ……」

?「ふっふっふっ……」

梓「唯先輩が二人!? って事は、こっちは憂?」

唯(憂)「えっ、私は唯だよ?」

唯「私もだよ~」

梓「わざわざ制服まで用意してやる事ですか」

唯(憂)「仕方ないな~。本物は――」

唯「私でした! どう、違いに気付けたかな?」

梓「微妙に違うとは思いますけど……あっ、髪が」

唯「そうです。憂は髪を反対に分けていたのでした~」

梓「また文章じゃ伝わりにくい事を……」

37: 2011/05/25(水) 23:14:25.89 ID:Wj2OPpqe0
唯「そんじゃ、憂はそのまま私をお願いね」

唯(憂)「うん」

唯「私は……と」

梓「今度は何するつもりですか」

唯(憂)「ふっふっふっ……」

梓「ひっ!」

唯(憂)「あっずにゃーん!」

梓「わああぁ! う、憂、突然何!?」

唯(憂)「駄目だよ、梓ちゃん。今の私は平沢唯なんだよ」

梓「憂もたまにノリノリでやるよね……」

38: 2011/05/25(水) 23:18:14.08 ID:Wj2OPpqe0
澪(唯)「ほら、遊んでばっかじゃなくて練習するぞー」

梓「えっ!?」

唯(憂)「えぇ~、ちょっとくらいいいじゃ~ん」

律(唯)「そうだそうだー」

澪(唯)「そんなこと言って、いっつも練習しないで遊んでばっかりいるじゃないか」

唯(憂)「今日はちゃんとやるよ~。ムギちゃんのお茶とお菓子食べたら」

律(唯)「そうだそうだー」

紬(唯)「それじゃあ先にお茶にしましょうか」

澪(唯)「お、おいムギ! 仕方ないなぁ、後から絶対に練習するぞ。絶対だぞ」

唯(憂)「は~い」

39: 2011/05/25(水) 23:22:33.96 ID:Wj2OPpqe0
梓「…………」

梓「…………はっ!」

梓「よ、よくわかんない寸劇だったけど! 結局練習はしないんじゃないですかー!」

唯「はぁっ、はぁっ……や、やだなぁ、あずにゃん……ちゃんと……はぁはぁ……やるよ……」

梓「一人三役もできないなら無理しないでやらないで下さい!」

憂「はい、お姉ちゃん。酸素だよ」

唯「あ、ありがとう、うい~」

憂「深呼吸の要領でゆっくり呼吸してね」

梓「もおおおおぉぉぉ!!」

唯「わっ、びっくりした。どうしたのあずにゃん」

梓「もう本当にいいですよ! お面つけても結局いつも通りじゃないですか!」プイッ

40: 2011/05/25(水) 23:27:20.42 ID:Wj2OPpqe0
憂「……怒らせちゃったね」

唯「うーん、いつも通り、ってちゃんとできたのになぁ」

憂「……うん。お姉ちゃんはちゃんとできてたよ」

唯「だよね? じゃあ何であずにゃん、あんなに怒ってるんだろう」

憂「それは……タ、タイミングかなぁ。私、ちょっとフォローしてくる」タッタッタッ

唯「ふむむ……こんなとき、場を和ますには……そうだ!」

41: 2011/05/25(水) 23:32:08.19 ID:Wj2OPpqe0
梓「――うん、唯先輩も悪気があってやってるんじゃないって分かってるよ」

憂「良かったぁ。私からもお姉ちゃんに言っておくよ」

梓「うん。あ、それと」

憂「それと?」

梓「あ、謝っておいて……もらえるかな。その、私が焦っていたから唯先輩が気を使ってくれた訳だし」

憂「えへへ~」

梓「な、何っ!?」

憂「大丈夫大丈夫」

梓「だだ、だから何!?」

憂「お姉ちゃんもわかってるよ。でも、そういうのは自分で言おうよ」

梓「憂……わかった!」

唯「あずにゃ~ん!」

梓「あ……は、はいっ! 何でしょうか――」

42: 2011/05/25(水) 23:35:25.22 ID:Wj2OPpqe0
さわ子(唯)「新歓ライブの衣装どれにする~!」ガラガラ

梓「」

憂「お、お姉ちゃん……」

さわ子(唯)「あ、あら?」

梓「でえええええぇぇぇぇいいぃ!!」ガシッポイッ

唯「ああ! 私謹製、さわちゃんお面が!? 待って~!」

憂「お姉ちゃん! あ、梓ちゃん、私も行って来るね!」

梓「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

43: 2011/05/25(水) 23:40:32.20 ID:Wj2OPpqe0
梓「……ふぅ~」

梓「まったく……唯先輩は本当にもう」

梓「最後の最後までだらけてて、練習サボってばっかりで」

梓「こうやって卒業した今でも憂に頼ってばっかで」

梓「でも……一応、これも唯先輩なりに考えてくれたんだよね」

梓「た、確かにあの底抜けの明るさ、前向きさに何度も助けられたけど」

梓「それについては、か、感謝してる……けど」

梓「もう、こんなお面なんか作っちゃって」

梓「…………」

梓「ゴクリ」

梓「誰もいないから……ちょっとだけ」

46: 2011/05/25(水) 23:45:33.50 ID:Wj2OPpqe0
律(梓)「キャベツうめー」

律(梓)「こらー、中野ー!」

梓「……う、うーん」

梓「何か難しい……私に律先輩の真似はできそうにないな」

梓「がさつなようでいて、皆の事を考えて行動して」

梓「ああ見えて家庭的な所とか、面倒見が良かったりする所とか」

梓「なんだかんだで立派に部長してたんだなぁ」

梓「私にできるかな……」

梓「……はっ、いけないいけない。まだ始まってもいないのに弱気になってちゃ」

梓「よし、じゃあ次はムギ先輩で」

47: 2011/05/25(水) 23:51:18.29 ID:Wj2OPpqe0
紬(梓)「私、一度これやってみたかったのー」

紬(梓)「それじゃあお茶にしましょうかー」

梓「ううーん……」

梓「驚異的に私にセンスがない」

梓「私じゃムギ先輩の先天的なぽわぽわ感を表現する事ができないよ」

梓「ちょっと天然なとこもあるけど、いつも皆を見守ってる優しさ」

梓「私にはできそうにないよ……」

梓「あああ、またまたネガティブに」

梓「うん、こんなんじゃダメだ」

49: 2011/05/25(水) 23:57:01.18 ID:Wj2OPpqe0
梓「さ、さて、それでは……」チラッ

梓「澪先輩、やってみようかな」

梓「雰囲気出す為に、髪もほどいて……と」

梓「あ、あくまでも好奇心からのアレだから!」

梓「決してやましいアレなんかじゃない……と思う……多分、きっと」

梓「だ、誰に言い訳してるんだろ」

梓「よーし!――」

51: 2011/05/26(木) 00:00:51.12 ID:3xeuBpIN0
律「――いやー、偶然にも佐々木さん見つけて助かったよ」

澪「鈴木さんな」

紬「ちょっと前まで生徒だったけど、卒業生が私服でウロウロするのはよろしくないものね」

澪「そうだな。本当に助かったよ、ありがとう」

純「いえいえ、そんな! あ、でも皆さん引越しの準備は?」

澪「急いで終らせてきたよ」

律「唯には断ったけど、私らもここには愛着ありまくりだし」

紬「こういう機会は大切にしなきゃ、って」

純「……! さぁ、部室行きましょう! 梓達もまだいると思いますから」

56: 2011/05/26(木) 00:07:21.78 ID:3xeuBpIN0
憂「あれ?」

唯「あ、みんな来たんだ! やっほ~」

律「おー唯。憂ちゃんも」

純「部室にいたんじゃなかったの?」

憂「色々あって……」

唯「お忙しいとこ、わざわざどうも~。持つべきものは友達だよ」

律「なーに言ってんだ。自分で誘っておいて」

澪「今度は前もって誘ってくれよ」

唯「えへへ、ごめ~ん」

紬「ところで唯ちゃん、その手に持ってるのは何?」

唯「これ? あ、そうだった! あずにゃんったらひどいんだよ!」

紬「?」

58: 2011/05/26(木) 00:13:51.17 ID:3xeuBpIN0
唯「私がせっかく作ったさわちゃんお面、外に投げ捨てちゃうんだよ! ありえないよね」

澪「お、お面?」

唯「そう。みんなのも作ったんだよ」

紬「あの、唯ちゃん?」

律「全然話が見えない……」

唯「も~、なんでわかんないの~」

憂「あ、あの、私が代わりに説明します」

律「その方が助かるわ。唯じゃ要領がつかめねー」

唯「ぶ~」

59: 2011/05/26(木) 00:19:07.11 ID:3xeuBpIN0
憂「えっと……かくかくしかじか、という訳なんです」

澪「はぁ……」

紬「なるほど……」

純「でも……」

律「よくわからん」

唯「えぇ~」

律「よくわからんけど、梓にしちゃもっとわかんないだろうな」

澪「真面目に練習してる後輩を邪魔しちゃ駄目じゃないか」

唯「う~ん、みんなに言われたらおかしい気がしてきた……」

律「まぁ、私らも来たから」

紬「梓ちゃんに謝って、久しぶりに皆でお茶にしようか」

澪「おい練習……ま、今日は仕方ないか。私もそういう気分だし」

唯「じゃあ開けるよ。あずにゃん、さっきはごめんね――」

61: 2011/05/26(木) 00:23:31.76 ID:3xeuBpIN0
澪(梓)「――ありがとう、梓」ニコッ

梓「うーん、まだちょっと違うなぁ。声が上擦っちゃう」

梓「もっとこう、甘~いようでいて、時に厳しくて」

梓「でもでも全て包み込んでくれるような母性の塊というか」

梓「包容力に溢れた、エキセントリックでマーベリックというか」

梓「やはり愛しい理想の澪先輩を演じるには私では役者不足なのか……」

梓「否! 断じて否!」

梓「私にはできるはず! 私ならできる! きっとでき――」

憂「あ、梓ちゃん……」

梓「――え?」

64: 2011/05/26(木) 00:27:24.11 ID:3xeuBpIN0
律紬純「…………」

澪「あ、ああああの……突然そんな……いやその……」

唯「あ~、私のお面~」

梓「…………」

梓「……コホン」

梓「えーっと……」ガラガラ

憂「梓ちゃん、そこは窓……」

梓「うわあああぁぁぁぁああぁぁぁぁあああぁ!!」バッ!クルクルクルスタッ!

65: 2011/05/26(木) 00:34:35.21 ID:3xeuBpIN0
純「飛び降りた! そして回転して着地!?」

唯「私の澪ちゃんお面~」

律「そのまま走り去っていった……あ」

憂「校門にぶつかって倒れちゃった……お面で前が見辛かったんだ」

紬「痛そう……」

澪「何というか私達には早いというか……いや早いとかじゃなくて! お、女の子同士なんだからそのなんだ……あれ、梓?」




おしまい!

66: 2011/05/26(木) 00:39:14.19
乙乙!

67: 2011/05/26(木) 00:42:02.58
様式美だな

70: 2011/05/26(木) 00:51:26.72 ID:3xeuBpIN0
読んでくれた、支援してくれた方々ありがとう、そしてありがとう。
何にもネタが浮かばなくて2ヶ月くらい離れてたけど、何とか帰ってきました。
すいとんにビクビクしながら投下してたけど、何にもなかったようで助かったのかな。
また何か投下します。

引用元: 梓「お面の中野梓」