1: 2013/02/06(水) 14:14:48.79 ID:NOhRxtqL0
坂道
露天商「社長さん、お目が高いですねえ」
男「はあ、まあ」
露天商「この剣はですね……フフフ、何を隠そう勇者の剣です」
男「……柄、だよね」
露天商「そう見えるでしょう、刃がない、そう見えるでしょう!」
露天商「しかし!この勇者の柄!を握るとたちまち!」
ギュッ
露天商「うおー!えい!やー!」
男「……」
露天商「あ、行かないで!行かないで社長さん!」
露天商「社長さん、お目が高いですねえ」
男「はあ、まあ」
露天商「この剣はですね……フフフ、何を隠そう勇者の剣です」
男「……柄、だよね」
露天商「そう見えるでしょう、刃がない、そう見えるでしょう!」
露天商「しかし!この勇者の柄!を握るとたちまち!」
ギュッ
露天商「うおー!えい!やー!」
男「……」
露天商「あ、行かないで!行かないで社長さん!」
2: 2013/02/06(水) 14:17:19.65 ID:NOhRxtqL0
露天商「ほんっと凄いんですから!」
男「ごめんなさい、忙しいので……」
露天商「……あなた、子どもの頃に勇者に憧れていませんでしたか?」
男「……」
露天商「先程勇者の剣を見初めたあなたの眼、確かに輝いていました」
男「はは、分かるんですか」
露天商「いえ、適当です」
男「……」
露天商「ああっ、いやいやでもほら、えーと……」
男「いいですよ、買います」
露天商「お、おお……流石社長さん太っ腹!毎度ありい!」
男「ごめんなさい、忙しいので……」
露天商「……あなた、子どもの頃に勇者に憧れていませんでしたか?」
男「……」
露天商「先程勇者の剣を見初めたあなたの眼、確かに輝いていました」
男「はは、分かるんですか」
露天商「いえ、適当です」
男「……」
露天商「ああっ、いやいやでもほら、えーと……」
男「いいですよ、買います」
露天商「お、おお……流石社長さん太っ腹!毎度ありい!」
4: 2013/02/06(水) 14:19:10.65 ID:NOhRxtqL0
職場
男「戻りました」
上司「……」
後輩「……」
男「……」
上司「遅かったな」
男「はあ、すみません」
上司「書類は出来たのか」
男「今からやります」
キーンコーンカコーンカーンコーカコーン
上司「お、終業だ。俺、帰るからな」
男「……お疲れ様です」
男「戻りました」
上司「……」
後輩「……」
男「……」
上司「遅かったな」
男「はあ、すみません」
上司「書類は出来たのか」
男「今からやります」
キーンコーンカコーンカーンコーカコーン
上司「お、終業だ。俺、帰るからな」
男「……お疲れ様です」
5: 2013/02/06(水) 14:20:45.17 ID:NOhRxtqL0
男の家
男「ただいま……」
嫁「おかえり。すぐご飯温めるね」
男「うん」
男「……ふうー」
嫁「大丈夫?」
男「ああ、うん。ただちょっと疲れてね」
嫁「無理しないでね」
男「ありがとう」
男「ただいま……」
嫁「おかえり。すぐご飯温めるね」
男「うん」
男「……ふうー」
嫁「大丈夫?」
男「ああ、うん。ただちょっと疲れてね」
嫁「無理しないでね」
男「ありがとう」
6: 2013/02/06(水) 14:21:49.76 ID:NOhRxtqL0
男「ごちそうさま」
嫁「はあい」
男「ちょっとまた、仕事するからさ」
嫁「……うん」
男「心配しないでね。大丈夫だから」
嫁「男は大丈夫って言ってる時が一番心配だから……」
男「あはは……」
嫁「……」
嫁「はあい」
男「ちょっとまた、仕事するからさ」
嫁「……うん」
男「心配しないでね。大丈夫だから」
嫁「男は大丈夫って言ってる時が一番心配だから……」
男「あはは……」
嫁「……」
7: 2013/02/06(水) 14:23:15.76 ID:NOhRxtqL0
書斎
男「ふう」
男「やんなきゃな……」
ガサゴソ
男「……ああ、買ったの忘れてた」
男「はは、勇者の柄だな」
男「……勇者か」
男「なんでこんな駄目な男になっちまったかなあ」
ギュッ
男「ふう」
男「やんなきゃな……」
ガサゴソ
男「……ああ、買ったの忘れてた」
男「はは、勇者の柄だな」
男「……勇者か」
男「なんでこんな駄目な男になっちまったかなあ」
ギュッ
9: 2013/02/06(水) 14:25:09.82 ID:NOhRxtqL0
『スライムが現れた!』
勇者「えっ?」
スライム「にょーん」
勇者「う、うわ!なんだこいつ!」
スライム「!」
ズイッ
勇者「お、おい!来るな!来るな!!」
ブンッ バシィ
『会心の一撃!』
スライム「にょいーん……」
勇者「あれ……倒した?」
勇者「それに、勇者の剣……刃がある」
勇者「えっ?」
スライム「にょーん」
勇者「う、うわ!なんだこいつ!」
スライム「!」
ズイッ
勇者「お、おい!来るな!来るな!!」
ブンッ バシィ
『会心の一撃!』
スライム「にょいーん……」
勇者「あれ……倒した?」
勇者「それに、勇者の剣……刃がある」
10: 2013/02/06(水) 14:27:06.75 ID:NOhRxtqL0
テレテレテッテッテー!
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル5 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「はは……」
男「ハッ」
男「……なんだ今のは」
男「刃、無くなってる」
男「……夢?」
男「いやいや、それより仕事やらないと」
男「はあ。やっぱり疲れてるのかな」
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル5 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「はは……」
男「ハッ」
男「……なんだ今のは」
男「刃、無くなってる」
男「……夢?」
男「いやいや、それより仕事やらないと」
男「はあ。やっぱり疲れてるのかな」
11: 2013/02/06(水) 14:27:48.32 ID:NOhRxtqL0
男「……」
男「よし、と」
男「思ったよりは早く仕上がったな」
男「……んー、肩が重い」
男「……風呂入って寝るか」
男「しかし、さっきのは一体……」
男「よし、と」
男「思ったよりは早く仕上がったな」
男「……んー、肩が重い」
男「……風呂入って寝るか」
男「しかし、さっきのは一体……」
13: 2013/02/06(水) 14:29:45.22 ID:NOhRxtqL0
翌朝
男「おはよう」
嫁「おはよー」
男「……あれ、そのおでこのコブどうしたの?」
嫁「あ、ちょっと躓いちゃって」
男「はは。気を付けなよ」
嫁「ほんとにね、そそっかしいから」
男「おはよう」
嫁「おはよー」
男「……あれ、そのおでこのコブどうしたの?」
嫁「あ、ちょっと躓いちゃって」
男「はは。気を付けなよ」
嫁「ほんとにね、そそっかしいから」
15: 2013/02/06(水) 14:31:17.50 ID:NOhRxtqL0
職場
男「おはようございます」
上司「……」
後輩「……」
上司「おい、書類見せてみろ」
男「……はい」
ペラペラ
上司「……ふーん」
男「……」
上司「ま、いいんじゃないの。ハンコ押しとくわ」
男「ありがとうございます」
男「おはようございます」
上司「……」
後輩「……」
上司「おい、書類見せてみろ」
男「……はい」
ペラペラ
上司「……ふーん」
男「……」
上司「ま、いいんじゃないの。ハンコ押しとくわ」
男「ありがとうございます」
16: 2013/02/06(水) 14:33:23.00 ID:NOhRxtqL0
男の家
男「ただいま」
嫁「おかえりー」
嫁「すぐご飯温めるね」
男「うん、ありがと」
嫁「……ね、疲れてるなら休んでね」
男「うん、大丈夫。簡単に休めないしね」
嫁「またそうやって……無理しないでね」
男「あはは……」
男「ただいま」
嫁「おかえりー」
嫁「すぐご飯温めるね」
男「うん、ありがと」
嫁「……ね、疲れてるなら休んでね」
男「うん、大丈夫。簡単に休めないしね」
嫁「またそうやって……無理しないでね」
男「あはは……」
17: 2013/02/06(水) 14:34:46.44 ID:NOhRxtqL0
書斎
男「……」
ギュッ
勇者「……!」
勇者「や、やっぱり」
『スライムが現れた!』
スライム「にょーん」
勇者「やっぱり気のせいじゃなかった……」
スライム「!」
勇者「!」
ブンッ バシィ
スライム「にょいーん……」
勇者「ははは……」
男「……」
ギュッ
勇者「……!」
勇者「や、やっぱり」
『スライムが現れた!』
スライム「にょーん」
勇者「やっぱり気のせいじゃなかった……」
スライム「!」
勇者「!」
ブンッ バシィ
スライム「にょいーん……」
勇者「ははは……」
18: 2013/02/06(水) 14:36:01.73 ID:NOhRxtqL0
『スライムが現れた!』
勇者「おりゃ!」
ブンッ バシィ
スライム「にょいーん……」
テレテレテッテッテー!
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル7 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「はは、ははは」
男「ハッ」
男「……」
男「勇者、か」
勇者「おりゃ!」
ブンッ バシィ
スライム「にょいーん……」
テレテレテッテッテー!
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル7 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「はは、ははは」
男「ハッ」
男「……」
男「勇者、か」
20: 2013/02/06(水) 14:37:47.34 ID:NOhRxtqL0
職場
男「おはようございます」
上司「……」
後輩「……」
上司「男、今何か仕事入ってるか?」
男「はあ、一応」
上司「どちらにしても頼むわ」
男「はい」
上司「明日の朝までにレジュメ作っといてくれ」
上司「あ、それと当然プレゼンもお前な」
男「……はい」
男「おはようございます」
上司「……」
後輩「……」
上司「男、今何か仕事入ってるか?」
男「はあ、一応」
上司「どちらにしても頼むわ」
男「はい」
上司「明日の朝までにレジュメ作っといてくれ」
上司「あ、それと当然プレゼンもお前な」
男「……はい」
22: 2013/02/06(水) 14:41:01.52 ID:NOhRxtqL0
男(なんで俺ばっか……)
男(はあ。またお持ち帰りか……)
男(嫌だなあ)
男(……)
男(……あれ)
男(妙に捗るな)
男(……よーし)
男(はあ。またお持ち帰りか……)
男(嫌だなあ)
男(……)
男(……あれ)
男(妙に捗るな)
男(……よーし)
23: 2013/02/06(水) 14:41:46.74 ID:NOhRxtqL0
男(もう少し、もう少し……)
キーンコーンカコーンカーンコーカコーン
上司「よし、しゅうぎょ」
男「出来ました!!」
上司「えっ」
後輩「……静かにして下さいよ」
男「あ……すみません」
上司「お、おう。じゃあ見ておくか」
ペラペラ
男「……」
上司「ふー、ん。良いな。いけそうだ」
男「ありがとうございます」
上司「だけどなあ、ベルなったら終業だぞ。分かってんな?」
男「はは、すみません……」
キーンコーンカコーンカーンコーカコーン
上司「よし、しゅうぎょ」
男「出来ました!!」
上司「えっ」
後輩「……静かにして下さいよ」
男「あ……すみません」
上司「お、おう。じゃあ見ておくか」
ペラペラ
男「……」
上司「ふー、ん。良いな。いけそうだ」
男「ありがとうございます」
上司「だけどなあ、ベルなったら終業だぞ。分かってんな?」
男「はは、すみません……」
24: 2013/02/06(水) 14:44:24.83 ID:NOhRxtqL0
坂道
露天商「……毎度ありい!」
露天商「いやー、実に数日振りに売れたなあ」
露天商「毎度のことながら餓氏するかと思ったわ」
男「こんにちは」
露天商「お、こないだの社長さん!」
男「どうですか、商売は」
露天商「あはは、てんで駄目ですよ」
露天商「あなた以来、一つしか売れてないんです。それも、ついさっきです」
男「それは……中々大変ですね」
露天商「……毎度ありい!」
露天商「いやー、実に数日振りに売れたなあ」
露天商「毎度のことながら餓氏するかと思ったわ」
男「こんにちは」
露天商「お、こないだの社長さん!」
男「どうですか、商売は」
露天商「あはは、てんで駄目ですよ」
露天商「あなた以来、一つしか売れてないんです。それも、ついさっきです」
男「それは……中々大変ですね」
26: 2013/02/06(水) 14:47:38.09 ID:NOhRxtqL0
露天商「どうですか、勇者の剣ッ!は」
男「……あれ、なんなんですか?」
露天商「フフフ。不思議アイテムですよ」
男「仕組みは?何か危ない薬でも塗ってあるとか……」
露天商「フフフ……」
男「……」
露天商「不思議アイテムですよ」
男「秘密って訳ですか」
露天商「そんなとこです!」
男「……あれ、なんなんですか?」
露天商「フフフ。不思議アイテムですよ」
男「仕組みは?何か危ない薬でも塗ってあるとか……」
露天商「フフフ……」
男「……」
露天商「不思議アイテムですよ」
男「秘密って訳ですか」
露天商「そんなとこです!」
27: 2013/02/06(水) 14:50:13.68 ID:NOhRxtqL0
露天商「でも、あれは私の商品の中でもか・な・り!安全な方ですよ!」
露天商「単体ではただの、ちょっとリアル志向なオモチャですからねえ」
露天商「ただ……」
男「ただ……?」
露天商「ハマりすぎには注意!節度をもって遊んで下さいねえ」
男「はは、気をつけます」
男「……あの、さっきの言い方だと、もしかして他の商品には危ないものも……?」
露天商「フフフ……気になりますか。気になりますよねえ」
男「気になりますね……」
露天商「例えばさっき売れたのなんかは……あ、いやいや秘密です、秘密」
男「……はあ」
露天商「一応、個人情報って奴ですかねえ」
露天商「単体ではただの、ちょっとリアル志向なオモチャですからねえ」
露天商「ただ……」
男「ただ……?」
露天商「ハマりすぎには注意!節度をもって遊んで下さいねえ」
男「はは、気をつけます」
男「……あの、さっきの言い方だと、もしかして他の商品には危ないものも……?」
露天商「フフフ……気になりますか。気になりますよねえ」
男「気になりますね……」
露天商「例えばさっき売れたのなんかは……あ、いやいや秘密です、秘密」
男「……はあ」
露天商「一応、個人情報って奴ですかねえ」
28: 2013/02/06(水) 14:52:07.60 ID:NOhRxtqL0
男の家
男「ただいまー」
嫁「おかえりー」
嫁「……」
男「ん?どうかした?」
嫁「ううん。何か良いことあった?」
男「ああ。仕事が珍しく上手くいったんだよ」
嫁「やっぱり。久しぶりに晴れやかーな顔してたからね」
男「そ、そう?」
嫁「なんだか、子どもの頃を思い出したよ」
嫁「一緒に遊んでた時と、同じ顔」
男「ただいまー」
嫁「おかえりー」
嫁「……」
男「ん?どうかした?」
嫁「ううん。何か良いことあった?」
男「ああ。仕事が珍しく上手くいったんだよ」
嫁「やっぱり。久しぶりに晴れやかーな顔してたからね」
男「そ、そう?」
嫁「なんだか、子どもの頃を思い出したよ」
嫁「一緒に遊んでた時と、同じ顔」
29: 2013/02/06(水) 14:54:01.62 ID:NOhRxtqL0
嫁「よく、勇者ごっこしてたよね」
男「うん。俺が勇者で、嫁が……」
嫁「ふふ、私は戦士と魔法使いと僧侶」
男「ああ、そうだったね」
嫁「木とか空き缶を魔物に見立てて……」
男「うんうん、良い感じの枝があったら勇者の剣!」
男「思い出したよ、確か魔王は近所に住んでた……」
嫁「ええっと……なんとかお兄さん」
男「そう、なんだったっけ……喉の辺りまで出てるんだけど」
嫁「いつもノリノリで遊んでくれたんだよね」
男「うん。俺が勇者で、嫁が……」
嫁「ふふ、私は戦士と魔法使いと僧侶」
男「ああ、そうだったね」
嫁「木とか空き缶を魔物に見立てて……」
男「うんうん、良い感じの枝があったら勇者の剣!」
男「思い出したよ、確か魔王は近所に住んでた……」
嫁「ええっと……なんとかお兄さん」
男「そう、なんだったっけ……喉の辺りまで出てるんだけど」
嫁「いつもノリノリで遊んでくれたんだよね」
30: 2013/02/06(水) 14:56:14.72 ID:NOhRxtqL0
男「懐かしいなあ」
嫁「私たちすっかり、ただの大人になっちゃったね」
男「……」
嫁「ねえ、私はいつも勇者の仲間たちばっかりだったけど」
嫁「本当は、やってみたかったんだよね」
男「勇者は俺だよ」
嫁「えっ」
男「あっ、いやいや、あはは」
嫁「ふふ、そう、勇者は男だよね」
嫁「私たちすっかり、ただの大人になっちゃったね」
男「……」
嫁「ねえ、私はいつも勇者の仲間たちばっかりだったけど」
嫁「本当は、やってみたかったんだよね」
男「勇者は俺だよ」
嫁「えっ」
男「あっ、いやいや、あはは」
嫁「ふふ、そう、勇者は男だよね」
32: 2013/02/06(水) 14:57:21.01 ID:NOhRxtqL0
書斎
男「……そう、俺は」
ギュッ
勇者「勇者だ!」
『スライムが現れた!』
勇者「おりゃ!」
ブンッ バシッ
勇者「どんどん来い!」
『スライムが現れた!』
勇者「おりゃあ!!」
男「……そう、俺は」
ギュッ
勇者「勇者だ!」
『スライムが現れた!』
勇者「おりゃ!」
ブンッ バシッ
勇者「どんどん来い!」
『スライムが現れた!』
勇者「おりゃあ!!」
33: 2013/02/06(水) 14:59:31.90 ID:NOhRxtqL0
勇者「ガンガン倒せて気分はいいけど」
勇者「……こうスライムばっかりだとな」
勇者「レベルも上がりにくくなってるような」
勇者「うーん……」
キョロキョロ
勇者「この部屋にはスライムしかいないのかな……」
勇者「例えば外には……」
勇者「……お!窓の外に……あれはゴブリンか?」
男「ハッ」
男「……また明日にするか」
勇者「……こうスライムばっかりだとな」
勇者「レベルも上がりにくくなってるような」
勇者「うーん……」
キョロキョロ
勇者「この部屋にはスライムしかいないのかな……」
勇者「例えば外には……」
勇者「……お!窓の外に……あれはゴブリンか?」
男「ハッ」
男「……また明日にするか」
35: 2013/02/06(水) 15:01:28.88 ID:NOhRxtqL0
職場
上司「おい」
男「はい」
上司「さっきのプレゼン、良かったぞ」
男「……来てたんですか」
上司「おいおい!これでも結構心配してるんだぞ!」
男「はは、すみません」
上司「ま、いいや」
上司「お前、最近ちょっと良いぞ」
男「ありがとうございます」
上司「何かストレス解消法でも見つけたのか?」
男「あはは、そうですね。そうかもしれません」
上司「おい」
男「はい」
上司「さっきのプレゼン、良かったぞ」
男「……来てたんですか」
上司「おいおい!これでも結構心配してるんだぞ!」
男「はは、すみません」
上司「ま、いいや」
上司「お前、最近ちょっと良いぞ」
男「ありがとうございます」
上司「何かストレス解消法でも見つけたのか?」
男「あはは、そうですね。そうかもしれません」
37: 2013/02/06(水) 15:02:47.25 ID:NOhRxtqL0
男の家
男「ただいまー」
嫁「おかえり」
男「あれ?その絆創膏どうしたの?」
嫁「ああ、えっとこれは、洗濯物ほしてる時にひっかけちゃって」
男「大丈夫?」
嫁「うん、ほんっとにそそっかしいから」
男「あはは。気をつけてね」
嫁「うん、ありがと」
男「ただいまー」
嫁「おかえり」
男「あれ?その絆創膏どうしたの?」
嫁「ああ、えっとこれは、洗濯物ほしてる時にひっかけちゃって」
男「大丈夫?」
嫁「うん、ほんっとにそそっかしいから」
男「あはは。気をつけてね」
嫁「うん、ありがと」
39: 2013/02/06(水) 15:04:35.21 ID:NOhRxtqL0
男「ごちそうさまっ」
嫁「ごちそうさま」
男「よし、ちょっと俺、ランニングしに行ってくるから」
嫁「え……?どうしたの急に」
男「いやあ、もう若くないしね」
男「そろそろ健康に気を使おうかなって」
嫁「同い年なんですけど……」
男「あー、いや。嫁は若いよ!若い若い!」
嫁「はいはい。気を付けてね」
男「うん。行ってきます」
嫁「……」
嫁「ごちそうさま」
男「よし、ちょっと俺、ランニングしに行ってくるから」
嫁「え……?どうしたの急に」
男「いやあ、もう若くないしね」
男「そろそろ健康に気を使おうかなって」
嫁「同い年なんですけど……」
男「あー、いや。嫁は若いよ!若い若い!」
嫁「はいはい。気を付けてね」
男「うん。行ってきます」
嫁「……」
40: 2013/02/06(水) 15:07:37.59 ID:NOhRxtqL0
外
タッタッタッタ
男「ふうー。よし、この辺でいいかな」
ゴソゴソ
男「……俺は」
ギュッ
勇者「勇者だ!」
『ハイゴブリンが現れた!』
ハイゴブリン「ぎぎょええええええ」
勇者「ハ、ハイ!?」
『ハイゴブリンの攻撃!』
バキィ
勇者「ぐっ!」
勇者「こいつ今までのとは明らかに違う……!」
勇者「この辺りはまだ早かったのか……?」
タッタッタッタ
男「ふうー。よし、この辺でいいかな」
ゴソゴソ
男「……俺は」
ギュッ
勇者「勇者だ!」
『ハイゴブリンが現れた!』
ハイゴブリン「ぎぎょええええええ」
勇者「ハ、ハイ!?」
『ハイゴブリンの攻撃!』
バキィ
勇者「ぐっ!」
勇者「こいつ今までのとは明らかに違う……!」
勇者「この辺りはまだ早かったのか……?」
41: 2013/02/06(水) 15:09:12.39 ID:NOhRxtqL0
『ハイゴブリンの攻撃!』
勇者「に、逃げよう!」
『勇者は逃げ出した!』
勇者「ハァ、ハァ……フー」
勇者「これじゃ本当にランニングじゃないか……」
勇者「……よかった、どこも怪我してないみたいだ」
勇者「この辺の敵は大丈夫かな……」
『ゴブリンが現れた!』
勇者「お、出たな」
『ゴブリンの攻撃!』
勇者「見える!」
ガキィン
勇者「フッ、甘い!食らえ、カウンター!!」
ズバッ
勇者「に、逃げよう!」
『勇者は逃げ出した!』
勇者「ハァ、ハァ……フー」
勇者「これじゃ本当にランニングじゃないか……」
勇者「……よかった、どこも怪我してないみたいだ」
勇者「この辺の敵は大丈夫かな……」
『ゴブリンが現れた!』
勇者「お、出たな」
『ゴブリンの攻撃!』
勇者「見える!」
ガキィン
勇者「フッ、甘い!食らえ、カウンター!!」
ズバッ
42: 2013/02/06(水) 15:10:10.82 ID:NOhRxtqL0
ゴブリン「ぎぃいいい」
勇者「まだ倒れないか……!」
勇者「これでどうだ!」
ズバッ バシィ
『会心の一撃!』
ゴブリン「ぎ……」
勇者「よし!」
テレテレテッテッテー!
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル13 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「これが勇者の戦い……」
勇者「なんて、良い気分なんだ……」
男「ハッ」
勇者「まだ倒れないか……!」
勇者「これでどうだ!」
ズバッ バシィ
『会心の一撃!』
ゴブリン「ぎ……」
勇者「よし!」
テレテレテッテッテー!
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル13 力+2 知能+2 素早さ+2 HP+8』
勇者「これが勇者の戦い……」
勇者「なんて、良い気分なんだ……」
男「ハッ」
43: 2013/02/06(水) 15:10:56.71 ID:NOhRxtqL0
翌朝
男「おはよー」
嫁「おはよう」
男「おっ、今日は朝からシチューか!」
男「いただきまーす」
嫁「最近元気だね?」
男「ん?あはは、そうかもなあ」
嫁「ふふ。実は、私もちょっといいことがあってね」
男「へえ。どうしたの?」
嫁「新しい服を買ったの。昔から欲しかった服」
男「ああ、服か。……おっと、もう時間だ」
嫁「……うん」
男「おはよー」
嫁「おはよう」
男「おっ、今日は朝からシチューか!」
男「いただきまーす」
嫁「最近元気だね?」
男「ん?あはは、そうかもなあ」
嫁「ふふ。実は、私もちょっといいことがあってね」
男「へえ。どうしたの?」
嫁「新しい服を買ったの。昔から欲しかった服」
男「ああ、服か。……おっと、もう時間だ」
嫁「……うん」
45: 2013/02/06(水) 15:13:47.75 ID:NOhRxtqL0
男「それじゃ、行ってきます」
嫁「行ってらっしゃい」
バタンッ
お隣さん「ちょっと旦那さん」
男「あ、おはようございます」
お隣さん「ねえ……聞いた?」
男「……いえ?」
お隣さん「この近くで猫が氏んでたんですって」
男「はあ。可哀想だけど特に珍しいことでもないような」
お隣さん「それが、何かで殴られたような跡があったみたいで……」
男「……そうなんですか。気味が悪いですね」
お隣さん「ねえ。ほんと、やーねえ……」
男(……いや、まさかな)
嫁「行ってらっしゃい」
バタンッ
お隣さん「ちょっと旦那さん」
男「あ、おはようございます」
お隣さん「ねえ……聞いた?」
男「……いえ?」
お隣さん「この近くで猫が氏んでたんですって」
男「はあ。可哀想だけど特に珍しいことでもないような」
お隣さん「それが、何かで殴られたような跡があったみたいで……」
男「……そうなんですか。気味が悪いですね」
お隣さん「ねえ。ほんと、やーねえ……」
男(……いや、まさかな)
46: 2013/02/06(水) 15:15:25.80 ID:NOhRxtqL0
その日の夜
タッタッタッタッタ
男「……俺は」
ギュッ
男「勇者だ!」
ズバッ
『勇者のレベルが上がった!』
バキッ
『勇者のレベルが上がった!』
グシャッ
『勇者のレベルが上がった!』
メギョ
『勇者のレベルが上がった!』
タッタッタッタッタ
男「……俺は」
ギュッ
男「勇者だ!」
ズバッ
『勇者のレベルが上がった!』
バキッ
『勇者のレベルが上がった!』
グシャッ
『勇者のレベルが上がった!』
メギョ
『勇者のレベルが上がった!』
48: 2013/02/06(水) 15:16:19.99 ID:NOhRxtqL0
ある日の職場
男「おはようございます!」
後輩「おはようございます」
上司「おはよう」
男「~♪」
上司「なあ、男」
男「はい」
上司「なんだか、職場が良い雰囲気になったと思わないか」
男「はは、そうでしょうか」
上司「お前のお陰だよ」
男「いやいや、そんな……」
男「おはようございます!」
後輩「おはようございます」
上司「おはよう」
男「~♪」
上司「なあ、男」
男「はい」
上司「なんだか、職場が良い雰囲気になったと思わないか」
男「はは、そうでしょうか」
上司「お前のお陰だよ」
男「いやいや、そんな……」
49: 2013/02/06(水) 15:17:40.21 ID:NOhRxtqL0
男(……ははは)
男(本当にどうしたんだろう)
男(こんなに調子が良いのは初めてかもしれない)
男(……あの剣を買ってからだ)
男(勇者のレベルが上がると共にまるで俺自身のレベルが上がっているように……)
男(はは、ははは。きっと俺は、勇者の素質があったんだ)
男(そうさ、俺は勇者だ。勇者なんだ!)
男(本当にどうしたんだろう)
男(こんなに調子が良いのは初めてかもしれない)
男(……あの剣を買ってからだ)
男(勇者のレベルが上がると共にまるで俺自身のレベルが上がっているように……)
男(はは、ははは。きっと俺は、勇者の素質があったんだ)
男(そうさ、俺は勇者だ。勇者なんだ!)
52: 2013/02/06(水) 15:20:05.97 ID:NOhRxtqL0
ギュッ
『勇者のレベルが上がった!』
お隣さん「またあったんですって。今度は犬が……」
『勇者のレベルが上がった!』
嫁「最近物騒だから、気を付けてね」
『勇者のレベルが上がった!』
上司「頼りになる男になったよ!お前は!」
『勇者のレベルが上がった!』
お隣さん「また……」
『勇者のレベルが上がった!』
嫁「――」
『勇者のレベルが上がった!』
上司「――」
『勇者のレベルが上がった!』
お隣さん「またあったんですって。今度は犬が……」
『勇者のレベルが上がった!』
嫁「最近物騒だから、気を付けてね」
『勇者のレベルが上がった!』
上司「頼りになる男になったよ!お前は!」
『勇者のレベルが上がった!』
お隣さん「また……」
『勇者のレベルが上がった!』
嫁「――」
『勇者のレベルが上がった!』
上司「――」
54: 2013/02/06(水) 15:22:11.19 ID:NOhRxtqL0
ある日の朝
TV『犬や猫、鳥などの連続惨殺事件が……』
男「……」
嫁「ねえ」
男「!……ど、どうしたの」
嫁「もう、夜のランニングやめにしたら?」
男「……どうして?」
嫁「今テレビでやってるの、この近所でしょ?」
嫁「一人で、しかも夜に出歩くなんて危ないよ」
男「あ、ああ」
男「そうだね、ちょっと考えてみるよ……」
TV『犬や猫、鳥などの連続惨殺事件が……』
男「……」
嫁「ねえ」
男「!……ど、どうしたの」
嫁「もう、夜のランニングやめにしたら?」
男「……どうして?」
嫁「今テレビでやってるの、この近所でしょ?」
嫁「一人で、しかも夜に出歩くなんて危ないよ」
男「あ、ああ」
男「そうだね、ちょっと考えてみるよ……」
55: 2013/02/06(水) 15:23:18.88 ID:NOhRxtqL0
書斎
男「……」
男「俺は、俺は勇者だ」
男「強くなって、成功して、良い人生を送るんだ……」
男「レベルだってもうすぐ99なんだ……」
男「こんな書斎なんかで戦っていられるか……」
『犬や猫、鳥などの連続惨殺事件が……』
男「うう……」
男「まさか……違う……」
男「そんなはず……」
男「……」
男「俺は、俺は勇者だ」
男「強くなって、成功して、良い人生を送るんだ……」
男「レベルだってもうすぐ99なんだ……」
男「こんな書斎なんかで戦っていられるか……」
『犬や猫、鳥などの連続惨殺事件が……』
男「うう……」
男「まさか……違う……」
男「そんなはず……」
57: 2013/02/06(水) 15:25:49.06 ID:NOhRxtqL0
深夜
嫁「スー、スー……」
男(よし、寝てるな……)
男(起きるなよ……)
スッ
キイ カチャン
嫁「……」
嫁「スー、スー……」
男(よし、寝てるな……)
男(起きるなよ……)
スッ
キイ カチャン
嫁「……」
58: 2013/02/06(水) 15:26:44.59 ID:NOhRxtqL0
外
タッタッタッタッタ
男「俺は」
ギュッ
勇者「俺は、勇者だ!」
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
タッタッタッタッタ
男「俺は」
ギュッ
勇者「俺は、勇者だ!」
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
61: 2013/02/06(水) 15:28:47.41 ID:NOhRxtqL0
職場
上司「おい、男」
男「はい」
上司「今日、一杯いかないか?」
男「ええっと……」
男(今日も勇者やりたいんだけどな……)
上司「なあ、良い話があるんだよ」
男「ああ、はい……行きましょう」
上司「もちろん俺のおごりだぞ」
男「あはは、ありがとうございます」
男(帰ってから……でいいか)
上司「おい、男」
男「はい」
上司「今日、一杯いかないか?」
男「ええっと……」
男(今日も勇者やりたいんだけどな……)
上司「なあ、良い話があるんだよ」
男「ああ、はい……行きましょう」
上司「もちろん俺のおごりだぞ」
男「あはは、ありがとうございます」
男(帰ってから……でいいか)
63: 2013/02/06(水) 15:31:18.63 ID:NOhRxtqL0
帰路
男「うー、気持ち悪り……」
男「どんだけ飲ませるんだ、よ……」
男「……でも、昇進かあ……はは」
男「やっ……た」
男「ウエエ、ゲエエエ」
男「……」
男「酔い覚ましに、家までちょっとやってくか……」
ギュッ
勇者「ウエエッウッ……」
男「うー、気持ち悪り……」
男「どんだけ飲ませるんだ、よ……」
男「……でも、昇進かあ……はは」
男「やっ……た」
男「ウエエ、ゲエエエ」
男「……」
男「酔い覚ましに、家までちょっとやってくか……」
ギュッ
勇者「ウエエッウッ……」
64: 2013/02/06(水) 15:32:16.13 ID:NOhRxtqL0
男の家
ガチャッ
男「……ただいま~」
嫁「おかえりー」
男「いや、久しぶりに飲んだよ……」
男「だいぶ弱くなっちゃってたみたいでさあ……」
嫁「ふふ。そういえば私も、随分飲んでないなあ」
男「そうだっけ?そうだったかもな~」
嫁「そうよ」
ガチャッ
男「……ただいま~」
嫁「おかえりー」
男「いや、久しぶりに飲んだよ……」
男「だいぶ弱くなっちゃってたみたいでさあ……」
嫁「ふふ。そういえば私も、随分飲んでないなあ」
男「そうだっけ?そうだったかもな~」
嫁「そうよ」
66: 2013/02/06(水) 15:33:53.59 ID:NOhRxtqL0
翌朝
男「……あれ、俺いつ寝たっけ」
嫁「おはよう」
男「おはよ……うわ、頭いてえ」
嫁「二日酔いね」
男「休みで良かった……」
TV『動物たちの連続惨殺事件の現場付近で……』
嫁「まだ続いてるのね……」
TV『昨夜、殺人事件が起きました』
男「……え?」
男「……あれ、俺いつ寝たっけ」
嫁「おはよう」
男「おはよ……うわ、頭いてえ」
嫁「二日酔いね」
男「休みで良かった……」
TV『動物たちの連続惨殺事件の現場付近で……』
嫁「まだ続いてるのね……」
TV『昨夜、殺人事件が起きました』
男「……え?」
68: 2013/02/06(水) 15:36:03.32 ID:NOhRxtqL0
男(さつ……じん?)
男(……俺、昨日どうしたっけ)
TV『……は、一連………関係………見て……』
男(上司と飲んで、ぐでんぐでんのまま帰って)
男(帰って……?)
男(……勇者になって……)
TV『…お、目撃……から………は…性……みられ……』
男(そのあとは……)
嫁「怖いね」
男「ひっ!」
嫁「……大丈夫?」
男「う、うん……おっかないニュースだね」
嫁「本当にね」
男(……俺、昨日どうしたっけ)
TV『……は、一連………関係………見て……』
男(上司と飲んで、ぐでんぐでんのまま帰って)
男(帰って……?)
男(……勇者になって……)
TV『…お、目撃……から………は…性……みられ……』
男(そのあとは……)
嫁「怖いね」
男「ひっ!」
嫁「……大丈夫?」
男「う、うん……おっかないニュースだね」
嫁「本当にね」
72: 2013/02/06(水) 15:37:46.24 ID:NOhRxtqL0
深夜、外
男「……」
男「……」
男「……」
男「違う、俺じゃない。俺は」
ギュッ
勇者「俺は勇者だ……」
男「……」
男「……」
男「……」
男「違う、俺じゃない。俺は」
ギュッ
勇者「俺は勇者だ……」
75: 2013/02/06(水) 15:40:20.99 ID:NOhRxtqL0
勇者「俺は……」
グシャッブシュ
『勇者のレベルが上がった!』
ザクッバキッ
『勇者のレベルが上がった!』
勇者「世界の平和を守る」
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
勇者「勇者だ!俺は勇者なんだ!俺は!!」
『魔王が現れた!』
勇者「!!!」
グシャッブシュ
『勇者のレベルが上がった!』
ザクッバキッ
『勇者のレベルが上がった!』
勇者「世界の平和を守る」
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
『勇者のレベルが上がった!』
勇者「勇者だ!俺は勇者なんだ!俺は!!」
『魔王が現れた!』
勇者「!!!」
77: 2013/02/06(水) 15:42:16.05 ID:NOhRxtqL0
勇者「ようやく会えたな……魔王」
魔王「ほう……貴様が勇者か」
勇者「そうだ」
魔王「何ゆえに我を滅ぼさんとする」
勇者「……世界の平和のためだ」
魔王「ほう、世界の……」
勇者「ああ」
魔王「貴様の言う世界とは、何だ」
魔王「ほう……貴様が勇者か」
勇者「そうだ」
魔王「何ゆえに我を滅ぼさんとする」
勇者「……世界の平和のためだ」
魔王「ほう、世界の……」
勇者「ああ」
魔王「貴様の言う世界とは、何だ」
78: 2013/02/06(水) 15:43:33.66 ID:NOhRxtqL0
勇者「……俺の世界は……」
勇者「そんなことを聞いて何になる」
魔王「……答えられぬか」
魔王「貴様は実の所、己だけを守るために戦っているのだな」
勇者「……そうかもな」
魔王「ふふ。面白い。ならば、我がその世界を滅ぼしてくれようぞ!」
勇者「くるか……!」
勇者「そんなことを聞いて何になる」
魔王「……答えられぬか」
魔王「貴様は実の所、己だけを守るために戦っているのだな」
勇者「……そうかもな」
魔王「ふふ。面白い。ならば、我がその世界を滅ぼしてくれようぞ!」
勇者「くるか……!」
80: 2013/02/06(水) 15:44:38.33 ID:NOhRxtqL0
『魔王の攻撃!』
ゴオオオオ
勇者「ぐうっ!なんて威力だ……」
魔王「ふふ。どうした。もう終わりか」
勇者「まだだ!」
ブンッ…
勇者「くっ、攻撃が当たらない……?」
魔王「悪いが、我は貴様の攻撃を見切っている」
『魔王の攻撃!』
バキッ
勇者「うっ……」
魔王「……とどめを刺させて貰うぞ」
ゴオオオオ
勇者「ぐうっ!なんて威力だ……」
魔王「ふふ。どうした。もう終わりか」
勇者「まだだ!」
ブンッ…
勇者「くっ、攻撃が当たらない……?」
魔王「悪いが、我は貴様の攻撃を見切っている」
『魔王の攻撃!』
バキッ
勇者「うっ……」
魔王「……とどめを刺させて貰うぞ」
81: 2013/02/06(水) 15:46:26.61 ID:NOhRxtqL0
勇者「魔王よ……俺は、さっきから考えていたんだ」
魔王「……」
勇者「確かに俺は自分のために戦っていた」
勇者「弱い自分を守るために勇者になっていた」
勇者「だけどな、人はきっとそれだけじゃ強くなれないんだ」
勇者「思い出したよ。俺が勇者に憧れたのは……誰かを、大切な人を守れるからだ」
魔王「……ほう」
勇者「俺は、俺の世界を……家族を!」
勇者「守るんだ!」
魔王「!」
ビュンッ ザシュ
魔王「くっ!?」
勇者「そこだ!」
魔王「……」
勇者「確かに俺は自分のために戦っていた」
勇者「弱い自分を守るために勇者になっていた」
勇者「だけどな、人はきっとそれだけじゃ強くなれないんだ」
勇者「思い出したよ。俺が勇者に憧れたのは……誰かを、大切な人を守れるからだ」
魔王「……ほう」
勇者「俺は、俺の世界を……家族を!」
勇者「守るんだ!」
魔王「!」
ビュンッ ザシュ
魔王「くっ!?」
勇者「そこだ!」
84: 2013/02/06(水) 15:48:12.77 ID:NOhRxtqL0
ギイイイン
『会心の一撃!』
魔王「ガッハッ……」
勇者「やったか!」
魔王「どうやら、我の負けのようだ、な……」
勇者「せめて安らかに滅びろ、魔王よ」
魔王「……ふふ。貴様、決め台詞まで、昔から変わらぬ……な」
勇者「……え?」
魔王「ああ……久しぶりに遊べて 楽し か っ」
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル99 THANK YOU FOR PLAYING!』
『会心の一撃!』
魔王「ガッハッ……」
勇者「やったか!」
魔王「どうやら、我の負けのようだ、な……」
勇者「せめて安らかに滅びろ、魔王よ」
魔王「……ふふ。貴様、決め台詞まで、昔から変わらぬ……な」
勇者「……え?」
魔王「ああ……久しぶりに遊べて 楽し か っ」
『勇者のレベルが上がった!』
『レベル99 THANK YOU FOR PLAYING!』
86: 2013/02/06(水) 15:52:19.12 ID:NOhRxtqL0
男「ハッ」
男「……剣が消えた」
氏体「……」
男「……はは」
男「やっぱり……やっぱり俺だったか……」
ピーポーピーポーピーポー
氏体「……ゴロン」
男「……!あ、あ」
男「ああ、あああ、あああああ……」
男「……剣が消えた」
氏体「……」
男「……はは」
男「やっぱり……やっぱり俺だったか……」
ピーポーピーポーピーポー
氏体「……ゴロン」
男「……!あ、あ」
男「ああ、あああ、あああああ……」
94: 2013/02/06(水) 15:55:55.20 ID:NOhRxtqL0
刑事「おい!そこで何をしている!」
男「あっあ……俺、俺……」
刑事「取り押さえろ!」
男「ううっ」
刑事「おい、大丈夫か……」
刑事「……脈はないか」
男「……俺が……頃した……」
刑事「しかし、この大仰なローブ」
刑事「そしてこの人相。数々の目撃証言と一致する」
男「……」
刑事「この氏体を、一連の事件の犯人と見て調べを進めろ」
男「……え?」
男「あっあ……俺、俺……」
刑事「取り押さえろ!」
男「ううっ」
刑事「おい、大丈夫か……」
刑事「……脈はないか」
男「……俺が……頃した……」
刑事「しかし、この大仰なローブ」
刑事「そしてこの人相。数々の目撃証言と一致する」
男「……」
刑事「この氏体を、一連の事件の犯人と見て調べを進めろ」
男「……え?」
96: 2013/02/06(水) 15:58:28.41 ID:NOhRxtqL0
取調室
刑事「確かにあなたは人を殺めてしまった」
男「……」
刑事「だが奴はこの街を恐怖に陥れた殺人鬼だ」
刑事「あなたの行為が所謂正当防衛に当たるか……」
刑事「罪があるかどうかは法に委ねるとして」
刑事「私は、それほど落ち込むことはないと思う」
刑事「いわば、あなたはこの街にとっての……」
男「俺が、俺が頃したんだ」
刑事「……」
男「あの氏体……」
男「あれは……俺の……」
刑事「確かにあなたは人を殺めてしまった」
男「……」
刑事「だが奴はこの街を恐怖に陥れた殺人鬼だ」
刑事「あなたの行為が所謂正当防衛に当たるか……」
刑事「罪があるかどうかは法に委ねるとして」
刑事「私は、それほど落ち込むことはないと思う」
刑事「いわば、あなたはこの街にとっての……」
男「俺が、俺が頃したんだ」
刑事「……」
男「あの氏体……」
男「あれは……俺の……」
99: 2013/02/06(水) 16:04:06.94 ID:NOhRxtqL0
少し前、ある日の坂道
露天商「何ッッ度も念を押しますよ!」
露天商「私、商品についての嘘は申しませんからね!」
露天商「この商品は本当に危険なんです」
露天商「例えば……条件さえ揃えば命だって取られかねない」
露天商「あなただけじゃありません。周囲の安全だって保証できない」
露天商「売り文句やハッタリじゃなく、これは警告ですよ」
露天商「何ッッ度も念を押しますよ!」
露天商「私、商品についての嘘は申しませんからね!」
露天商「この商品は本当に危険なんです」
露天商「例えば……条件さえ揃えば命だって取られかねない」
露天商「あなただけじゃありません。周囲の安全だって保証できない」
露天商「売り文句やハッタリじゃなく、これは警告ですよ」
100: 2013/02/06(水) 16:06:26.20 ID:NOhRxtqL0
「危険な方がいいの。……退屈なのよ。もう、ずっと」
露天商「ムムム。ご使用に際しては自己責任でお願いしますねえ」
露天商「特に、くれぐれも!『勇者』にはお気を付けて!」
「分かってる」
露天商「では、魔王の杖一点……毎度ありい!」
「ふふ」
「昔から、やってみたかったんだよね」
「魔王」
おわり
露天商「ムムム。ご使用に際しては自己責任でお願いしますねえ」
露天商「特に、くれぐれも!『勇者』にはお気を付けて!」
「分かってる」
露天商「では、魔王の杖一点……毎度ありい!」
「ふふ」
「昔から、やってみたかったんだよね」
「魔王」
おわり
103: 2013/02/06(水) 16:09:07.73
魔王の杖を使うと現実の見た目まで変化するのか・・・
110: 2013/02/06(水) 16:26:30.56
おもしろかったおつ
引用元: 男「勇者の剣?」
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります