1: 2014/12/24(水) 23:59:51.49 ID:5xCc2s5lo

(シャンッシャンッシャンッシャンッ!)



春香「メリークリスマース!」



春香「はいっ、どうぞ!」

春香「えへへっ、私からのプレゼント、ですっ!」

春香「わぁっ! ありがとうございます! 大切にしますね!」

春香「こ、こんなにたくさん! 持ちきれないですよぅ!」

春香「これからもがんばりますっ!」


春香「それではみなさん改めて――」




春香「メリークリスマース!!」

 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419433181/

2: 2014/12/25(木) 00:02:58.99 ID:XyzshVado

―――――――――

――――――

―――



春香「お疲れ様でしたー」

春香「いえ、お気になさらないでください!」

春香「はい、またよろしくお願いします」ペコリ



春香「……っふぅ。仕事、すっかり延びちゃったな」

春香「今の時間は……ってえぇっ!? もうそんな時間!?」

春香「あ、あわわ! えっとえっと!」ポパピプペ

春香「……」prrrrrr...

春香「……!」ルスバンデンワサービスニ...

春香「……はぁ」ピッ


春香「あーぁ……すっぽかしちゃった……」

3: 2014/12/25(木) 00:06:51.05 ID:XyzshVado

春香「前にもこんなことがあった気がする……」

春香「なんかクリスマス運ないなぁ、私……」

春香「あ、でも今年はちょっとあったかい」モゾモゾ

春香「この前貰った手袋とマフラー」モフモフ

春香「えへへ、あったかい……」ボーッ


(ガッ)


春香「んきゃっ!?」


(ドンガラガッシャーン!)


春香「……ごめんなさい神様、調子に乗ってました……」

4: 2014/12/25(木) 00:09:28.75 ID:XyzshVado

春香「流石にもう、人もまばらだねー」

春香「あ、あの人、プレゼント抱えてる」

春香「ふふふっ、お子さんへのプレゼントかな」

春香「嬉しそうだなぁ……」


(ピカピカチカチカ)


春香「あ……ツリーがライトアップしてる!」

春香「じんぐるべーるじんぐるべーる、すずがーなるー♪」ワッホイ!


(フッ)


春香「ってえぇっ!? 消えちゃう? 今消えちゃうの!? 春香さんテンション上がってきてたのに!」

5: 2014/12/25(木) 00:12:12.75 ID:XyzshVado

春香「23時過ぎたからかな」

春香「あーあ、なんだかお祭り気分がぜんぶ終わっちゃった感じだなぁ」

春香「人肌が恋しい……」


(prrrrrr...)


春香「あっ!?」ババッ!

春香「はいっ、もしもし!?」

春香「……うん、うん、ごめんね! 仕事が延びちゃって……」

春香「え? 今駅の前? ありがと、すぐ行くね!」


(ピッ)


春香「良かったぁ……それじゃ急がないとってあわわわっ!?」ズルッ


(ドンガラガッシャーン)

6: 2014/12/25(木) 00:16:10.06 ID:XyzshVado

春香「ええっと、たぶんこの辺りに……あ、居た!」タッタッタッ



千早「ふぅ、やっと来たのね、春香……ってどうしたのよ、その膝」

春香「い、いやぁ、仕事中のトラブルで」

千早「違うわね」

春香「え?」

千早「その手袋に残ってる泥」

春香「うっ」

千早「コートの裾の汚れ」

春香「うぅっ」

千早「そして乱れた髪の毛」

春香「ううう……」



千早「転んだわね?」

春香「はい……」

7: 2014/12/25(木) 00:21:29.71 ID:XyzshVado

千早「ほら、消毒してあげるから」

春香「そんな大した傷じゃないよぅ」

千早「いいから。膝出して」

春香「えへへ、なんだかお姉ちゃんみたい」ヨッコイショット

千早「これでも一応、弟がいたんですから」

春香「あ……ごめん」

千早「ふふっ、何神妙な顔してるの。しみるわよ」スッ

春香「いつっ……」

千早「軽く拭きとって、絆創膏は……って、あら?」

春香「どうしたの?」

千早「そうだった……亜美の餌食になったんだったわ……。ごめんなさい、絆創膏きらしちゃってて」

春香「あ、大丈夫大丈夫! そんなに血は出てないし!」

千早「そう?」

8: 2014/12/25(木) 00:25:05.08 ID:XyzshVado

千早「歩ける?」

春香「そんなに重症じゃないってば!」

千早「ていっ」ペチッ

春香「いひゃひゃっ!?」

千早「ええ、それだけ騒げれば大丈夫そうね」

春香「観点が違うよ千早ちゃん!」

千早「ふふっ、やっぱり春香って面白いわ」

春香「千早ちゃんのばかー」プクーッ

千早「あら、いいのかしら? 折角お手伝いしてあげるのに、そんな口きいちゃって」

春香「ごごごごごめんなさい千早大明神さまぁ!」

千早「はいはい。それじゃ、私の部屋に取りに行きましょうか」

10: 2014/12/25(木) 00:31:05.69 ID:XyzshVado

(テクテク)


春香「ごめんね、こんな日に預かりものなんて……」

千早「いいのよ。さっきまで、春香抜きでみんなでクリスマスパーティーしてたついでだから」

春香「え゙っ、それ知らないんだけど」

千早「それはそうでしょうね。みんな気を使って春香には黙ってたから」

春香「そ、そんなぁ!」

千早「……なぁんて。事務所にいた亜美、真、美希、音無さんと、萩原さんのお祝いをしただけよ」

春香「もうっ! 千早ちゃん、最近ちょっと意地悪いよ!」

千早「あら、春香こそ大概よ? 何が、とは言わないけれど」

春香「うっ……」

千早「今日のこれだって、音無さんに言ったらどんな反応をされるか……」

春香「ご、ごめんなさぁいっ!」

11: 2014/12/25(木) 00:36:30.25 ID:XyzshVado

―――――――――

――――――

―――



春香「ちょびっとお邪魔しまーす……」

千早「そんなひそひそしなくても、この部屋は防音よ」

春香「でもちょっと楽しくない? 抜き足差し足忍び足~って」

千早「春香って時々妙に子どもっぽいわよね」

春香「またそうやって馬鹿にするー」

千早「ほらほら、ふてくされないの。冷蔵庫の中に入ってるわ」

春香「はーい」ガチャッ

春香「んっしょっと……ありがとね、千早ちゃん」

千早「それと、これも忘れないでね?」

春香「あぁっ!? ご、ごめんありがとう!」

千早「本当に抜けてるんだから……」クスクス

12: 2014/12/25(木) 00:51:10.86 ID:XyzshVado

千早「ねぇ、春香」

春香「ん?」

千早「春香は今、幸せ?」

春香「えぇっ!? い、いきなり難しい質問をするねぇ、千早ちゃん……」

千早「そんなに難しく考えなくていいわ」

春香「そう? なら……やっぱり、幸せ」

千早「そうでなければ、こんな手の込んだこともしないわよね」

春香「も、もうっ! 分かってるのになんでそこ突っつくの!」

千早「ううん、大したことじゃないの」

千早「そういう幸せって、すごく大切だと思っただけ」

春香「千早ちゃん……」

千早「……ほら、あんまりのんびりしてると折角の幸せが逃げちゃうわよ?」

春香「え? あわわっ!? もうこんな時間!」

13: 2014/12/25(木) 00:54:48.85 ID:XyzshVado

春香「千早ちゃん、ありがとう! それじゃ、また事務所でねー」

千早「ええ。メリークリスマス、春香」

春香「メリークリスマース!」


春香「それじゃあえっと……あ、メール来てる!」

春香「よしっ、待ち合わせ場所に行かないと!」


春香「……」

春香「でもここで急いだら、間違いなく転ぶよね、私」

春香「……」

14: 2014/12/25(木) 00:57:17.95 ID:XyzshVado

―――――――――

――――――

―――



(ピタッ)


春香「ツリーの前ってここだよね」

春香「うーん、いないなぁ……」キョロキョロ

春香「まだ向かってるとこみたいだし、ベンチで待ちますか」ストン


春香「幸せ、かぁ……」

春香「……」ガサガサ

春香「今年はちゃんと用意したし」

春香「プレゼントも……これで喜んでもらえるはず」

春香「……」

春香「……んー、なんか忘れてるような違うような……気がする」

春香「うー、小骨が喉に引っ掛かってるような……」


(コツッコツッコツッ)


春香「!」

15: 2014/12/25(木) 01:10:50.29 ID:XyzshVado

P「おっ、やっと来たな」

春香「私の方が先に着いてるじゃないですか!」

P「あんまり遅いもんでコンビニでコーヒーを買ってきたのだ」ガサガサ

春香「……あれ?」

P「時計時計」トントン

春香「……うわぁっ!? もうこんな時間!」

P「いやいや、こちらの台詞ですよ」

春香「ご、ごめんなさい……絶対転ばないようにって気を付けて歩いてたら……」

P「ちょっと極端すぎるね、お前は……」

16: 2014/12/25(木) 01:12:48.46 ID:XyzshVado

P「さて、見事に終電を逃したわけだが」

春香「すすすすみませんっ!」

P「タクシーで帰りますかね」

春香「わっ、なんだか贅沢ですね!」

P「普段送迎車乗ってるトップアイドル様のお言葉じゃないな」

春香「オフは一人の高校生ですからっ」

P「はいはい。しかし、それにしても随分と軽装なんだな」

春香「え?」

P「そのまま泊まってくんだろう? 着替えとか持ってるのか?」

春香「……」

春香「あ」

17: 2014/12/25(木) 01:16:39.53 ID:XyzshVado

(コンコン)

(ガチャッ)


千早「来ると思ったわ」

春香「ごめんなさい……」

P「ご迷惑をおかけしました」

千早「いえいえとんでもない」

P「いつも娘がお世話になっております」フカブカ

千早「こちらこそ、天海さんにはいつも……」フカブカ

春香「二人とも何やってるの! 恥ずかしいよ!」カァッ

千早「ふふふ。はい、お泊まりセット」ゴソゴソ

春香「ごめんね、千早ちゃん」



千早「春香」コソコソ

春香「な、なに?」コソコソ

千早「あんまりヤンチャしちゃダメよ?」コソッ

春香「しないよ!」

18: 2014/12/25(木) 01:21:17.86 ID:XyzshVado

(バタン)

(ブロロロロロ......)



P「最後、何をコソコソ話してたんだ?」

春香「知りませんっ!」プンスカ

P「何を怒ってるんだ……」

春香「もうっ、千早ちゃんのばかっ……!」カァッ

19: 2014/12/25(木) 01:25:41.70 ID:XyzshVado

(シィン...)


P「流石にこの時間だとイルミネーションもついてないな」

春香「さっき、ちょうど駅前のライトが消える瞬間を見ました」

P「さっき待ち合わせてたとこのか?」

春香「そうです! ……はぁ、ほんとはもうちょっと見てたかったのになぁ」

P「そうか……」


P「あ、運転手さん。そこを右でお願いします」

春香「あれ? 家ってもう少しまっすぐじゃ……」

P「いいからいいから」

20: 2014/12/25(木) 01:41:13.90 ID:XyzshVado

(バタンッ)


P「はい、どうもー」

春香「うぅっ、外さむい……」

P「コート羽織るか?」

春香「あ、プロデューサーさんのいい匂いがするコート……じゃなくて! それ脱いだら風邪ひいちゃいますって!」

P「子どもは風の子って言うだろう?」

春香「確かにプロデューサーさんは子どもっぽいですけど……」

P「言ったなこいつめ」コチョコチョ

春香「わひゃっ!? あ、あははは! や、やめっ! 箱落としちゃいますぅ!」

P「おっと、それはいけない」ピタッ

春香「ぜぇ、ぜぇ……い、一気に暑くなりました……」

P「作戦成功だな」

春香「ほんとに作戦ですか……?」

21: 2014/12/25(木) 02:23:59.56 ID:XyzshVado

春香「わっ、寒いと思ったらもう0度近いですよ!」ピッピッ

P「そりゃあ寒いわけだ……おっと、エリアによっては雪降ってるみたいだな」テクテク

春香「さぶぶぶ……こんなに寒いのに、なんで直接帰らないで寄り道なんて……」

P「春香が見たいって言うからさ」

春香「え? 何を?」

P「確かこのちょい先に……おっ、あったあった」

春香「へぇー、ここ、小さな広場になってるんですね……って、あれ?」

春香「わっ、小さなツリー! やよいくらいの大きさですね」

P「自治体が毎年出してるんだよ。他にも何箇所かにあった気がする」

春香「大きいツリーもいいですけど、こういう小さなのも可愛いなぁ……」

22: 2014/12/25(木) 02:28:18.63 ID:XyzshVado

P「えいっ」カチッ

春香「あれ、プロデューサーさん、今の音は何――」


(チカッ)


春香「わ……」


(チカチカ)


春香「わぁっ……!」


(ピカピカチカチカ)


春香「ライトアップ……綺麗……!」

P「自由に電飾つけられるんだよ、ここのツリー」

23: 2014/12/25(木) 02:30:55.84 ID:XyzshVado

(ピカピカチカチカ)


P「綺麗だな」

春香「はいっ、とっても!」

春香「でも綺麗に見えるのは、プロデューサーさんが見せてくれて、一緒に見てるからで……」


春香「……あ、そっか」


P「? どうした?」

春香「ううん、なんでもないです」


(ピカピカチカチカ)


春香「ツリー、綺麗だなぁって思って……」

P「良かった良かった。満足してもらえたか?」

春香「……いいえ」

P「えっ」

24: 2014/12/25(木) 02:37:29.72 ID:XyzshVado

春香「私、プロデューサーさんとお付き合いするようになってから、ずっと満足しちゃってたんです」

P「……」

春香「プロデューサーさんがいつも見ててくれて」

春香「傍に居てくれて」

春香「でもいつの間にかそれが当たり前になっちゃってました」

春香「すごく大切な、幸せっていう気持ち、忘れてたような気がします」

P「忙しくて、あんまり構ってやれてなかったと思ってたけど」

春香「えへへ、それでも付き合い始める前と比べると、ずっとずっと傍に居てくれました」

P「……そうかなぁ」

春香「はい。仕事の時も、そうでない時も、ずぅっと」

25: 2014/12/25(木) 02:44:23.52 ID:XyzshVado

(ピカピカチカチカ)


春香「去年のクリスマスを思い出すなぁ……」

P「春香の家に行ったっけか、そういえば」

春香「そうですよ、誰かさんが寝過して」

P「それで、誰かさんに唆されてな」

春香「えへ」

P「目を逸らすな」

春香「あはは。去年の今頃はまだ、プロデューサーさんに想いを伝えてなかったっけ……」

春香「ツリーを見てると、あの時の切ない気持ちが蘇ってきて」

春香「あの時を思うと」

(ギュッ)

P「っと」

春香「……本当に、私、幸せです」

P「暖かいなぁ、春香は」

27: 2014/12/25(木) 03:11:32.32 ID:TN4eHtXOO

P「でも幸せなのもいいが、手元のものを忘れるなよ?」

春香「あっ! 危ない危ない……」

P「せっかく持ってきてくれたんだから」

(スッ)

P「ケーキ、本当に作ってきたんだな」

春香「去年、約束しましたから」

P「偉いなぁ、春香は」ナデナデ

春香「また子供扱いするぅ……」

P「家まで持つよ」

春香「大丈夫ですってばぁ!」

29: 2015/01/21(水) 02:03:34.55 ID:ekIxQDAqo

春香「もうっ! プロデューサーさんったら一度言い出したら聞かないんですから……」

P「いいじゃないか。たまにくらいカッコつけさせてくれ」

春香「むぅ……」

P「よし、それじゃあうちに行くぞー。今日はちゃんとターキーもあるからなー」テクテク

春香「あぁっ! 待ってくださいよぅ!」タタタッ

P「おい、急に走ると……」

春香「あわわっ!?」

(グッ)

春香「な、なんのぉっ!」グググッ!

P「おっ?! 転ばないのか!?」

(ズルッ)

春香「へぶっ」ビタンッ!

P「ダメだったかー」

30: 2015/01/21(水) 02:04:00.51 ID:ekIxQDAqo

P「ったくもう、毎度世話の焼ける……って膝、怪我してるじゃないか!」

春香「あ、それはさっきプロデューサーさんと会う前に……」

P「本当に生傷の絶えないやつだな……急いで手当しないと」

春香「千早ちゃんが消毒してくれたから大丈夫ですよ!」

P「千早が消毒……?」

春香「マキロンちょちょんってしただけですよ?」

P「あ、ああうん、そうだよな、分かってる」

春香「……その顔、何考えてたんですか?!」

P「ほら、絆創膏とか貼ってやるから。早く家に行こう」

春香「何考えてたんですかー!?」

31: 2015/01/21(水) 02:04:27.64 ID:ekIxQDAqo

――――――――

―――――

―――




(ガチャッ)


春香「おじゃましまーす……」

P「なんでそんなに恐る恐るなんだ」

春香「抜き足差し足忍び足……」

P「忍者ごっこか?」

32: 2015/01/21(水) 02:05:11.31 ID:ekIxQDAqo

P「そこらへんに腰掛けて待っててくれ。大人しく待ってろよー」ガチャッ

春香「はーい」バタン


春香「……なぁんて、黙って待ってるわけないじゃないですか!」

春香「久しぶりのプロデューサーさんの部屋……早速! チェックしてみたいと思いますっ!」スクッ


春香「さて、何か怪しいものは……ベッドの下とか?」コソコソ

春香「ううん何もない。他には……あれ?」キョロキョロ


(ズモッ)


春香「クローゼットが……不自然過ぎるくらい膨らんでる……」

33: 2015/01/21(水) 02:06:25.49 ID:ekIxQDAqo

春香「これは確認しないといけないよね! 天海春香、行きますっ!」スッ...


(ガチャッ)


P「春香お待たせー……ってどこ開けようとしてるんだお前?!」

春香「あっ! その慌てよう、怪しいですね!」グッ

P「や、やめろぉっ!」

春香「恥ずかしいものいっぱい見せてもらっちゃ――」ギィッ


(グラッ)


春香「……へ?」

春香(何かがクローゼットいっぱいに詰め込まれて……?)

春香「バベルの塔……?」

P「あほーーっ!」


(ガララララッ!)


(ドンガラガッシャーン!)

34: 2015/01/21(水) 02:07:42.82 ID:ekIxQDAqo

(ガチャガチャ...)


P「だ、大丈夫か? 固いものはなかったはずだが……」

春香「うえぇ……服やらなんやらに埋もれて動けないです……」

P「だから開けるなと言ったのに……」

春香「助けてくださーい!」ゴソゴソ

P「待ってろ、今掘り出してやるから」ガサガサ

春香「……あっ、このブラウス、プロデューサーさんの匂いがする……」

P「さっさと這い出して来い馬鹿!!」ガササササッ!!

35: 2015/01/21(水) 02:08:12.50 ID:ekIxQDAqo

春香「とんだクリスマスプレゼントでした……」

P「ふぅ、まぁこれくらい片付ければ大丈夫だろう」

春香(……でも、プロデューサーさんの香りがいっぱいだぁ……)

P「何ニヤニヤしてるんだ……」

春香「うえぇっ!? に、にやけてました?」

P「今も頬が緩みきってるが」

春香「え、えっと、あのその、何でもないです……」

春香(は、恥ずかしい……!)

P「……もういい。さて、じゃあ春香。ベッドに来い」

春香「はい、今行きま……ってええっ!?」ビクッ!

P「ほら、さっさと来る」グイッ

春香「あ……」

春香(わ、私……どうなっちゃうのーーー!?)

36: 2015/01/21(水) 02:08:49.15 ID:ekIxQDAqo

――――――――――

―――――――

――――



春香「ぁっ……!」

P「痛いか?」

春香「い、いえ。だいじょうぶ、です」

P「でも、まだちょっとだけだぞ?」

春香「我慢……します。一気に、きてください」ギュッ

P「そうか……じゃあ、歯を食いしばれよ」

春香「はいっ……」

P「そらっ」

春香「ひっ……?!」


春香「っ~~~~……!!!」ビクッ!

37: 2015/01/21(水) 02:09:18.64 ID:ekIxQDAqo

P「はいマキロンどばー」ビャッ

春香「~~~~っ!??!?」ジタバタジタバタ

春香「しししししみるうううううう!!!」ジタバタジタバタ

P「はい、暴れない」ガシッ

春香「くうううっ……!」

P「アイドルは見栄えも大切なんだから、あんまり迂闊な怪我はするなよ?」

春香「はい……気をつけます……」

P「そのうっかり屋なところも魅力なんだけどな」

春香「……はい」カァッ

38: 2015/01/21(水) 02:09:53.71 ID:ekIxQDAqo

P「結構、怪我の範囲が広いな。大きい絆創膏は……あったあった」ゴソゴソ

春香「す、すみません」

P「いいんだよ。俺が心配性なだけだ」ペタペタ

春香「……私が怪我してると、心配ですか?」

P「当たり前だろう。何言ってるんだ」

春香「仕事なんかと関係ない、とってもとってもちっちゃな怪我でも?」

P「ああ。ちっちゃなとげが刺さっただけでも、春香が辛いんじゃないかって思うと、気が気じゃない」

春香「……えへ」

P「なんだよ急に。気持ち悪いな」

春香「……すごく大切にされてるんだなって。今更、実感して」

P「調子のいいやつめ」

39: 2015/01/21(水) 02:10:19.60 ID:ekIxQDAqo

P「ほいっ、オッケー」ペシッ!

春香「きゃんっ!? い、痛いですよぅプロデューサーさん!」

P「治療が完了すれば気にしないのさ」

春香「うぅ……」

P「ほら、ターキー食べるぞ?」

春香「あっ! 食べます!!」

P「現金なやつだなぁ」

40: 2015/01/21(水) 02:11:20.64 ID:ekIxQDAqo

春香「それではっ!」

P「聖夜を祝して……」


春香・P「「メリークリスマース!」」チンッ!


春香「って、ターキー大きいっ!」

P「俺の数日分の夕飯も兼ねてるからな」

春香「そんなに持つんですか?」

P「持たせるのさ」

春香「……ふふっ」

P「俺のいじましい年末が面白そうか?」

春香「いえ……こんなクリスマス過ごせて、幸せなだけです」

41: 2015/01/21(水) 02:12:14.84 ID:ekIxQDAqo

春香「プロデューサーさんのはシャンパンですか?」ショワワワワワ

P「ああ。春香は去年と同じ、シャンパンもどき」ショワワワワワ

春香「……一口貰っていいですか?」

P「ダメに決まってるだろう」ゴクッ

春香「ねっ、プロデューサーさん! 一口、一口だけ!」

P「ダメったらダメだ。どうせあと数年もないんだから我慢しなさい」

春香「うぅ……ロマンチックなクリスマスがぁ……」

P「じゃあ要らないならその発泡ジュースも俺が……」

春香「ダメ! これは私のですもん!」ガシッ!

P「そうやってると酒瓶抱えてるアル中みたいだな」

春香「え゙っ」ピタッ

P「はい、もーらい」パシッ

春香「あっ……あぁーーーっ!!」

42: 2015/01/21(水) 02:12:46.06 ID:ekIxQDAqo

春香「ずるい! プロデューサーさんずるいですよぅ!」

P「怒るな怒るな。お姫様、どうぞ」ショワワワワワ

春香「えっ、お姫様……?」

春香「……えへへ、うむ、苦しゅうない!」

P「安い姫様だ……」ボソッ

春香「プロデューサーさん、ちょっと聞き捨てならないセリフが聴こえましたけど」

P「気のせいだよ気のせい。ほら、冷めないうちに食べよう」

春香「……ふふっ。はいっ」

43: 2015/01/21(水) 23:45:43.36 ID:ekIxQDAqo

(カチャカチャ)


P「そういえば俺とのことは、ご両親には話してるのか?」モグモグ

春香「いえ……付き合ってる人がいる、とは話したんですけど」

P「そうか……」

春香「急に考え込んで、どうしたんですか?」

P「いや、近々ご挨拶に行かなきゃいけないかな、と思って」

春香「あー、そうですね。やっぱりいつまでもこのままは……」




春香「……って、ご挨拶!?」

44: 2015/01/21(水) 23:48:33.43 ID:ekIxQDAqo

春香「えっ、あえっ、あわわっ!? どどど、どういう意味ですか?!」

P「え? そのままの意味だけれども」

春香「え、ええっ……あ、うわっ……!」

P「どうしたんだ、急に顔面押さえて」

春香「あ、あわわ! か、考えてみたら、急に恥ずかしく……!」

P「まぁ俺も気まずいし恥ずかしいけれども……今後のこと考えたら、ちゃんとご挨拶しないと、な」

春香「……今後?」

P「ああ」

春香「ええと、その、今後って……?」

45: 2015/01/21(水) 23:51:21.88 ID:ekIxQDAqo

P「もちろん、詳細設計を見据えて、さ」

春香「将来設計って……」


春香「……え?」



春香「えええええええええええええええ?!!?!?」

46: 2015/01/21(水) 23:55:08.71 ID:ekIxQDAqo

春香「ぷ、プロデューサーさっ……将来って……しょうっ……!?」

P「え? 春香はそこまで考えてなかったのか? まずいな、もしかして俺の独り相撲だったのか……」

春香「いいいいいいえいえいえいえいえ!!! そ、そんなことなくてっ! あのその、つまりそれって……!」

P「ああ、もちろん……」


春香「けっこ」

P「アイドル業とどう両立するのかとか、親御さんも変なスキャンダルにならないか心配だろうしな」

春香「へぷっ」

47: 2015/01/22(木) 00:01:15.84 ID:Q45zwT25o

P「ん? どうした?」

春香「……な、なんでもないです、はい」

春香(そりゃそうだよね……私、何早とちりしてるんだろ……)ガックリ


P「……っぷ」

春香「へ?」

P「あっはっは! 冗談だよ、冗談」

春香「……もおおおおおお! プロデューサーさんのばかーーー!」ガタァッ!

P「悪い悪い! ついついからかいたくなったんだって」ダダダッ!

春香「あっ! こら! 待てーーー!」

48: 2015/01/22(木) 00:08:47.37 ID:Q45zwT25o

(ダダダッ!)


春香「こらぁぁぁああ!!」

P「あっはっはっは! は、は……」ピタッ

春香「……プロデューサーさん?」


(フラッ...)


春香「……え?」


P「あ……俺はもう、ダメ、だ……」グラッ


(ドサッ...)


春香「ぷ、プロデューサーさん!? 急にベッドに倒れこんで……どうしたんですか!?」

P「……」

春香「プロデューサーさん! プロデューサーさん!!」

49: 2015/01/22(木) 00:10:08.35 ID:Q45zwT25o

春香「しっかり、しっかりしてください!! プロデュー……」

P「……んが……」

春香「……サー、さん?」チョンチョン

P「ぐぅ」zzzz

春香「……」



春香「はぁぁぁぁあああぁぁあぁ……び、びっくりしたぁ……」ヘタッ

50: 2015/01/22(木) 00:47:15.68 ID:Q45zwT25o

春香「もうっ、プロデューサーさんのばか! すぐに叩き起こして――」


(パサッパラララッ)


春香「あれ、プロデューサーさんからなにか落ちた?」ヒョイッ

春香「スケジュール帳かぁ。こっそりのぞいちゃおっかな……」ペラッ

春香「……わ、凄いスケジュール量! 私達の比じゃない……」

春香「って、それもそっか。今年は事務所みんな、色んな所から引っ張りだこだったから……」

春香「今年もずっとずっと、私達のために……」

51: 2015/01/22(木) 00:50:57.80 ID:Q45zwT25o

春香「……そっか」

P「くかー……」

春香「ここ何日も、殆ど寝てなかったんですね。なのに、私のわがままのために……」

P「んんん……」zzzz

春香「ふふっ。ありがとうございます、プロデューサーさん」

春香「ありがとう、ございます……」ギュッ

52: 2015/01/22(木) 00:56:24.56 ID:Q45zwT25o

春香「さて、お片付けしないと。プロデューサーさん、多分起きたらまだ食べるよね」

春香「ラップして、空いたお皿洗って……あ、ケーキまだ食べてない!」

春香「明日起きたら食べよっかな。たはは、太っちゃいそう――」

春香「……」


春香「……プロデューサー、さん」チラッ

P「すかー……」

春香「ふふふ、本当にぐっすり寝てる」


春香「……」

53: 2015/01/22(木) 01:00:03.88 ID:Q45zwT25o

春香「寝顔、可愛いですよ」

P「むにゃ……」

春香「……」スッ

P「んー……」

春香「顔、こんなに近いのに……全然起きないや」

春香「……」


春香「……そう言えば……一年も経ったのに、したこと、なかったかも」

春香「いつも人目を気にしてたし……」

54: 2015/01/22(木) 01:05:17.04 ID:Q45zwT25o

P「くかー……」

春香「プロデューサーさん」


(スッ)


春香「んっ……」

春香「……」

春香「っぷぁ……えへへ……」

55: 2015/01/22(木) 01:09:14.33 ID:Q45zwT25o

P「ぐぅ……」

春香「って、全然起きる気配ないし」

春香「そんなに疲れてたのかな。電気、消してあげよっと」パチッ


(フッ)


春香「わっ、思ったより暗くて足元が……!」アタフタ

春香「こ、転んでプロデューサーさん起こさない様にしないと……」ソォーッ

56: 2015/01/22(木) 01:16:58.16 ID:Q45zwT25o

春香「んー、口元がなんか甘いなぁ。ちょっと苦いかも」

春香「なんだかぽーっとなってきた……って、これシャンパン?」

春香「いやいや、流石にこんな触っただけで……」クラッ

春香「えぇ……嘘でしょ……? 私、こんなにお酒に弱い……」フラッ...


(ドサッ)


春香「……あ、違うや。私も、もう疲れて限界……」

春香「このまま寝ちゃおっかな……」

P「すぴー……」

春香「……ふふっ、プロデューサーさん」チョンッ

P「むが……」

春香「いい夢見れそう……」


春香「おやすみ、なさい……」

57: 2015/01/22(木) 01:27:17.45 ID:Q45zwT25o

――――――――――

―――――――

――――



P「……んんん……いかん、寝ちまったか」

P「なんだか口元が甘いな……気のせいか」


P「ん?」チラッ

春香「すぅ……すぅ……」

P「折角の日なのに、悪いことしたな……今度埋め合わせしないとな」

P「ごめんな、春香」ナデナデ

春香「んぅ……ふふ……」ムニャムニャ

P「さて、今の時間は……まだ夜中か」

P「ちゃっちゃと食器片付けて、ああ、クローゼットも片付けないと」

58: 2015/01/22(木) 01:31:07.55 ID:Q45zwT25o

P「電気付けたら起きるかな」

春香「ふあぁぁぁあ……」

P「あぁ、もう起こしちゃったか。悪いな」

春香「……はれ? なんで私、プロデューサーさんの部屋に……?」

P「夕食もそこそこに放り出して、二人して寝ちまったみたいだ。そのまま寝てるか?」

春香「そうでした……。大丈夫です、起きます」ムクリ

P「そうか? クローゼット片付けたりしてるから、少しぼーっとしてな」

春香「はぁい……」ムニャムニャ

59: 2015/01/22(木) 01:35:02.53 ID:Q45zwT25o

春香「あ」

P「どうした?」

春香「雪、止んでます」

P「お、本当だ。折角ホワイトクリスマスだったのにな」

春香「月が出てますよ。雪が照らされて綺麗です」

P「あんなに曇ってたのに。月明かりって結構強いもんだな」

60: 2015/01/22(木) 01:39:03.24 ID:Q45zwT25o

春香「……あれ?」

P「今度はなんだ」

春香「そこに落ちてる箱、なんですか? 月明かりが照らしてるとこ……」

P「お、ホントだ」


(ヒョイッ)


P「なんだろう? クローゼットから崩れ落ちてきたかな」ジーッ

春香「宝石箱とかそういうのにも見えますけど……」

P「……あっ! これか! 思い出した!」ポンッ

春香「何なんですか?」

P「これ、お袋の指輪だ」

春香「プロデューサーさんのお母さんの?」

61: 2015/01/22(木) 01:41:55.72 ID:Q45zwT25o

P「うち、親が若い頃に氏んでなぁ。まぁ形見みたいなもんだ」

春香「えっ……そうだったんですか……。すみません、私、知らなくて……」

P「いやいや、一体どれだけ前だと思ってるんだ。気にするなよ」

春香「はい……」シュン

P「まったく、そんな暗い顔しないの」クシャッ

春香「わっ! い、いきなり髪をくしゃくしゃにしないでくださいよぉ!」

P「辛気くさい顔してるからだ」

春香「ううううぅ……!」

62: 2015/01/22(木) 01:46:47.76 ID:Q45zwT25o

春香「あの」

P「どうした、気まずそうに」

春香「ええっと……その指輪、見てみてもいいですか?」

P「ああ、いいぞ。ほれ」スッ

春香「わ……これが、プロデューサーさんのお母さんの……」

P「確か結婚指輪のはずだ」

春香「ということは、プロデューサーさんのお父さんが?」

P「そうなるな。そういや指輪貰った時の話、何度か自慢げにされたな……」

春香「えぇっ!? ど、どんな話ですか!? 教えてください!」クワッ!

P「な、何だいきなり!?」

春香「お、女の子は人の恋バナが大好きなんです!」フンフン!

P「お、落ち着け! もう大分昔だから良く覚えとらん!」

春香「えー……」シュンッ

P「落ち込みすぎだお前……」

63: 2015/01/22(木) 01:51:33.49 ID:Q45zwT25o

春香「プロデューサーさんのお母さん、貰った時どんな気持ちだったのかなぁ」

P「さぁなぁ。女心は分からないよ」

春香「綺麗な指輪だなぁ……」ジーッ

P「……そうだなぁ」ウーム

春香「どうしたんですか、急に考え込んだりして」

P「春香」

春香「はい?」

P「その指輪、貰ってくれるか?」

春香「はい、分かりまし……へ?」


春香「へっ!?」

64: 2015/01/22(木) 01:57:29.88 ID:Q45zwT25o

P「俺が持っててもクローゼットで腐らせてるだけだからな。誰かがはめてくれた方が指輪も嬉しいだろうさ」

春香「えっ!? あ、はいっ、他意はないんですよね?!」

P「?」

春香「い、いえ、何でもないですっ! で、でも……」オソルオソル

P「なんだ?」

春香「その……本当に貰ってしまって、いいんですか? お母さんの形見なのに、私なんかが……」

P「私なんか、ってなぁ……」ハァ

春香「え?」

P「その程度にしか考えてなかったら、将来のこと考えたりご両親に挨拶行ったりするわけないだろう……」ハァ

春香「それ、冗談なんじゃ……」

P「あ」



P「さて、飯食おうか」

春香「待ってくださいよ!? 今すっごい大事な話してませんでした!?!?」

65: 2015/01/22(木) 02:08:38.21 ID:Q45zwT25o

P「さて、天海さんのケーキは甘味たっぷりかなー」

春香「ぷ、プロデューサーさぁん! はぐらかさないでくださいよぅ!!」

P「要らないなら飯も全部食べちまうぞー」ガチャッ

春香「食べますよぅばかぁ!!」テッテッテッ


P「……そう言えば」

春香「どうしたんですか?」

P「いや、何でもない」

春香「もうっ、さっきから隠し事ばっかりー……」


P(親父から指輪貰ったの、クリスマスの夜だって嬉しそうに話してたっけ)

66: 2015/01/22(木) 02:13:58.22 ID:Q45zwT25o

春香「プロデューサーさん、何嬉しそうに笑ってるんですか」

P「ちょっと子供の頃を思い出しただけだよ」

春香「もー、私の知らないことばっかり!」プンプン

P「怒るなって。知らないことを話す時間は、これからいくらでもあるだろう?」

春香「……」チラッ

P「な」

春香「……はいっ」クスッ

春香「それじゃあ最初に、さっき喋りかけたこと教えてくださいね!」

P「まずいな、藪蛇だったか」

春香「ふふふっ。それじゃ、食卓に戻りましょう!」

P「分かった分かった、だから慌てるなって。そんなことしてるとまた……」

春香「わきゃっ!?」ズルッ


(ドンガラガッシャーン!)


P「言わんこっちゃない……」

67: 2015/01/22(木) 02:30:07.42 ID:Q45zwT25o

――――――――――

―――――――

――――




春香「るんるんるんっ! おっはよー千早ちゃん!」

千早「随分とご機嫌ね?」

春香「そ、そんなに浮かれてるかな?」

千早「朝から鼻歌歌いながらご登場なんてなかなか……ってたまに歌ってるわね」

春香「変かな?」

千早「ううん。春香らしくていいと思うわ」

春香「えへへ、じゃあ千早ちゃんも一緒に歌おうよ!」

千早「いえ、遠慮しておくわ」

68: 2015/01/22(木) 02:35:45.30 ID:Q45zwT25o

千早「その指輪……」

春香「ふふふっ、昨日プロデューサーさんに貰ったの。お母さんの形見なんだって」

千早「あら、指輪ということはつまり……?」ニヤニヤ

春香「ちっ、違うよ!? だからほら、人差し指に!」

千早「ふぅん……?」

春香「本当は家からあまり持ち出さない方がいいんだけど……千早ちゃんにだけは、どうしても見せてあげたくて」

千早「……もうっ、春香ったら」

春香「てへへ」

千早「でも、音無さんにだけは絶対に見られない様に気を付けた方がいいわ」

春香「うん、そうだね」

69: 2015/01/22(木) 02:38:21.67 ID:Q45zwT25o

P「お、春香と千早。なんかあっちで音無さんが悶絶してるんだが、理由知ってるか?」

千早「あ、遅かったみたいね」

春香「あー」

P「? 知ってるのか?」

千早「犯人はあなたです」

P「何故だ」

70: 2015/01/22(木) 02:38:51.92 ID:Q45zwT25o

P「ああ、その指輪持ってきたのか。それが原因か……」

春香「ご、ごめんなさい! 千早ちゃんにだけは見せてあげたくて」

P「いや、失くすかもとか気にせず普段からはめてていいからな? ファンに誤解されるような指でなければ」

千早「誤解じゃないと思いますけど」

P「細かいとこ突っ込まないの」

春香「もー、やめてよ千早ちゃん……」カァァッ

千早「その指輪、前々から春香にあげようと思ってたんですか?」

P「いや、昨日たまたま部屋で見つけてね」

春香「ドラマチックだったんだよー、月明かりが指輪の箱を照らして……」

P「ドラマチックかはさておき、月明かりは確かに綺麗だったな」

千早「……月明かり?」

71: 2015/01/22(木) 02:40:07.75 ID:Q45zwT25o

P「どうした、変な顔して」

千早「プロデューサーの部屋って、結構遠くですか?」

春香「ううん、タクシーで少し走ったところだけど……」

千早「……あの、昨夜は雲がずっと晴れることなく、結構な雪が降り続けてましたけど」

春香「え?」

千早「月明かりって……いつでしょう?」

P「たまたま僅かに晴れたタイミングで目が覚めたのかな」

千早「いえ、一晩中雪が窓に吹き付ける音が酷くて、あまり眠れなかったくらいだったから」

春香「え……」

千早「仮に晴れてたとしても、昨夜は20時過ぎには月は沈んでいますし」

春香「……」

P「……」

72: 2015/01/22(木) 02:43:17.18 ID:Q45zwT25o

千早「……まぁ、気にしても仕方ないですね。悪いことがあったわけでもないですし」

春香「う、うん、そうだね」

千早「それじゃあ私、音無さんを止めてきますね。我那覇さんの諌める声が徐々に弱ってきているので」

P「あ、ああ、頼んだ」

千早「ふふっ、良かったわね、春香」タタタッ

春香「……うん。ありがと、千早ちゃん」

73: 2015/01/22(木) 02:48:00.11 ID:Q45zwT25o

P「何だったんだろうな」

春香「サンタさんからのプレゼントですよ」

P「夢があるねぇ、ロマンだねぇ」

春香「……あの、プロデューサーさん」

P「ん?」

春香「この指輪……人が居ないとこでは、薬指にはめても……いいですか?」

P「薬指ねぇ」

春香「……」ドキドキ

74: 2015/01/22(木) 02:58:51.39 ID:Q45zwT25o

P「さすがダメだ」

春香「えっ……」

春香「……あはは、そうですよね」

P「……」

春香「あのっ、変なこと言ってすみません! 指輪ありがとうございます、私、大事に――」


P「薬指の指輪は、三か月分で作らないと、な」


春香「っ……!」

P「ちゃんと、春香のために、な」

春香「はい……はいっ!」

75: 2015/01/22(木) 02:59:40.98 ID:Q45zwT25o

P「さて、それじゃあご挨拶に行く日取りを決めるか……いや、そもそも今のタイミングで挨拶に行くかどうか……」

春香「あ、お母さんにはもう来るって言っちゃいました!」

P「なん……だと……?」

春香「ふふふ、すっごく楽しみにしてましたよ」

P「待て、ハードルを上げるな、頼むから上げすぎるな」

春香「お父さんも、昔から一度言ってみたかった台詞があるって」

P「俺、逃げようかな……」

春香「だーめっ!」ギュッ


春香(サンタさん。今年もちゃんと、私達のことを見ていてくれたんですね)


春香(私もサンタさんみたいに、みんなに幸せを、きっと……)



P「し、心臓が痛くなってきた」

春香「私も一緒ですから。ね、プロデューサーさんっ!」



おしまい

76: 2015/01/22(木) 03:02:50.78
おつ
おもしろかった

78: 2015/01/22(木) 07:30:48.20
おつ
楽しめた

引用元: 春香「真冬の夜は眩しくて」