1: 2016/01/27(水) 16:42:35.900 ID:EcM5Z/jjr
ガチャ

千早「おはよう春香」

春香「あ、おはよう千早ちゃん」

千早「春香、ちょっと良いかしら」

春香「なーに?」

千早「その……ちょっと背中を見て欲しいのだけれど」

春香「背中を? 良いけど、どうしたの?」

千早「それが……とにかく見てくれたら分かるわ」

春香「どれどれ……ちょっと髪よけるね」

春香「……? 千早ちゃん、この出っ張りなーに?」

千早「やっぱり、あるわよね」

春香「何だろうこれ。デキモノにしては大きいよね? 千早ちゃん、ちょっと服めくるね?」ガバッ

千早「ちょ、ちょっと春香!」

春香「あれー? 千早ちゃん、これもしかしてボタンじゃないかなー?」

千早「ボタン?」

4: 2016/01/27(水) 16:43:54.857 ID:EcM5Z/jjr
春香「うん。何だろう、すごく簡単な丸いボタンが付いてる」

千早「どうしてボタンが?」

春香「え、えぇ~……それは私に聞かれても分からないけど……」

千早「そうね、ごめんなさい春香」

春香「い、いやいや、責めてるわけじゃないんだよ? 私の方こそ分かんなくてごめんね?」

千早「仕方ないわ春香。背中にボタンが生えたなんて話、私だって聞いた事がないもの」

春香「そうだよね。う~ん、何だろうこのボタン……」

千早「……春香、寒いからそろそろ服を下ろして欲しいのだけど」

春香「あ、ああごめんね千早ちゃん! そうだよね寒いよね!」サッ

ガチャ

あずさ「おはようございま~す」

春香「あずささんちょっと見てくださいよこれ!」ガバッ

千早「ちょっと春香!」

あずさ「あら~、ダメよ春香ちゃん。千早ちゃんの服をめくったりしちゃ。………あら?」

春香「ほら見てくださいあずささん! ボタンですよ! ボタン!」

7: 2016/01/27(水) 16:44:37.945 ID:EcM5Z/jjr
あずさ「あら~本当ね~。千早ちゃん、これどうしたの?」

千早「それが、今朝起きた時にはあったみたいで、私にもよく分からないんです」

春香「何のボタンなんだろうね? あずささんどう思います?」

あずさ「そうね~、押したら千早ちゃんが歌ってくれたりして~」

千早「そんな……ボタンなんて無くても、私は自分の意思で歌えますよ」

あずさ「そうよね~、いったい何のボタンなのかしら~」

春香「うーん、分からないまま下手に押して千早ちゃんに何かあると嫌だしなー」

千早「春香、気持ちは嬉しいのだけど、服を下ろしてくれないかしら?」

春香「あ、ああごめん千早ちゃん。風邪ひいちゃうよね」サッ

ガチャ

響「はいさい! 響だぞ!」

貴音「響、朝の挨拶はおはようですよ」

春香「二人ともこれ見て!」ガバッ

千早「春香!」

あずさ「あらあら」

11: 2016/01/27(水) 16:45:26.022 ID:EcM5Z/jjr
春香「ほら見てよ千早ちゃんの背中!」

響「なんだ春香? 千早の背中がどうかし……何このボタン」

貴音「面妖な……千早、これはいったいどうしたのです?」

千早「それが、私にも分からないんです」

あずさ「分からないから押せないのよ~」

千早「あずささん、私は別に押して欲しいわけじゃないんです」

あずさ「あら?」

春香「ね、二人は何のボタンだと思う?」

響「そんなの自分に分かるわけないぞ。……でも、ボタンと言えば爆発じゃないか?」

春香「ば、爆発!?」

千早「そんな……」

響「い、いや自分がそう思っただけで爆発と決まったわけじゃ……」

12: 2016/01/27(水) 16:46:22.879 ID:EcM5Z/jjr
貴音「響、不安を煽るような事を言ってはなりません。当事者にとっては深刻な問題なのですよ」

響「う……悪かったぞ。でも、そういう貴音はどう思うんだ?」

貴音「それは私には見当も付きません。しかしながら如月千早……」

千早「はい?」

貴音「あなたは真、綺麗な肌をしていますね」

千早「? は、はぁ……ありがとうございます……」

春香「………」

貴音「ふふ……」

春香「………え? 今の何ですか?」

貴音「……今の、とは?」

春香「いや、今の千早ちゃんの肌が綺麗とか何とか……」

貴音「はて、私はただ見て感じた事を言ったまでですが……」

春香「そ、そうですか」

響「貴音、春香が困ってるぞ」

13: 2016/01/27(水) 16:47:26.876 ID:EcM5Z/jjr
あずさ「それにしても千早ちゃん、本当に綺麗な肌してるわね~」

貴音「ええ、羨ましい限りです」

春香「そりゃそうですよ! 何といっても765プロの歌姫ですよ! 歌姫!」

響「どうして春香が威張るんだ……」

千早「みんな、悪いのだけど真剣に考えてくれないかしら?」

春香「あ。そ、そうだよ皆、千早ちゃんの為に真剣に考えなきゃ」

千早「春香も、そろそろ服を下ろしてちょうだい」

春香「あ、はい」サッ

ガチャ

亜美「亜美がいっちばーん!」

真美「いやいやいや、今のは真美が早かったっしょー!」

律子「ほーら、どっちが先かなんていいから早く入りなさい」

春香「律子さんこれ!」ガバッ

千早「………」

16: 2016/01/27(水) 16:48:38.475 ID:EcM5Z/jjr
律子「こら春香、人の服をいきなり………ちょっと千早、どうしたのよそれ」

千早「それが分からないのよ。律子、何か思い当たること無いかしら?」

亜美「なになにどうしたの?」

真美「うわー! 何このスイッチ! 千早お姉ちゃんロボットになったの!?」

律子「真美、適当なこと言わないの。千早は困ってるのよ」

真美「あ……ごめんね千早お姉ちゃん?」

千早「いいのよ真美、分からないのだから仕方ないわ」

春香「でもロボットかー、もしかしてボタン押したら千早ちゃん飛んだりして」

千早「春香」

春香「はい、ごめんなさい」

17: 2016/01/27(水) 16:49:35.765 ID:EcM5Z/jjr
あずさ「でも、何のボタンなのか気になるのよね~」

響「もう押した方が早いんじゃないか?」

貴音「響、それで本当に爆発してしまっては取り返しがつかないのですよ」

亜美「え!? 千早お姉ちゃん爆発するの!?」

律子「するわけないでしょ。貴音まで何を言ってるの」

響「いや、爆発言い出したのは自分だぞ」

貴音「しかし、分からない以上は細心の注意を払うべきかと……」

律子「そうね。爆発はともかく、うっかり押して千早の身に何かあったら大変よね」

亜美「千早お姉ちゃん大丈夫?」

真美「真美達に出来る事があったら何でも言ってね?」

千早「ええ、ありがとう二人とも」

春香「千早ちゃん! 私も千早ちゃんの力になるからね!」

千早「春香は服を下ろして」

春香「はい」サッ

ガチャ

やよい「うっうー! おはようございまーす!」

伊織「おはよう……ってみんな集まってどうしたのよ」

春香「やよい、伊織! これ見てよ!」ガバッ

千早「いいわ春香、もう捲ったままにしといて」

18: 2016/01/27(水) 16:51:12.369 ID:EcM5Z/jjr
伊織「何よこれ……ボタン?」

やよい「千早さん、これどーしたんですか?」

千早「分からないのよ。突然生えたみたいで……」

伊織「背中からボタンが生えるって……どんな生活してるのよ」

春香「生活のせいなのかなぁ」

千早「そんな生活習慣病みたいな……」

あずさ「何か悪い物でも食べたのかしら~?」

貴音「千早、食生活に問題があるのでは?」

響「貴音がそれを聞くのか……」

千早「コンビニの弁当で済ませる事もあるけど、栄養には気を使ってるつもりだし、変なものを食べた覚えもありません」

律子「そうよねぇ、千早が変なもの食べるわけないし……」

やよい「あー! 私、分かったかもー!」

20: 2016/01/27(水) 16:52:49.215 ID:EcM5Z/jjr
亜美「え! やよいっち分かったの!?」

真美「何々!? ボタン押したらどうなるの!?」

やよい「ボタンを押したら、きっと爆発しちゃうんですよー!」

響「やよい……それは自分が言っておこられ……」

千早「ふふ、高槻さん面白いのね」

響「あれ!?」

貴音「真、やよいの発想は柔軟ですね」

響「お、おかしいぞ! 自分が言った時は怒られたのに!」

亜美「ひびき~ん、ひびきんが言うのとやよいっちが言うのは違うっしょー」

真美「16にもなって爆発はないっしょー」

響「な、納得できないぞ……」

やよい「そっかー、響さんがもう言ってたんですねー……」

伊織「ちょっと響! やよいが落ち込んだじゃないの! 謝りなさいよ!」

響「何でだ!? 自分なにも悪くないぞ!」

あずさ「響ちゃん……めっ」

響「うぎゃー! わけが分からないぞー!」

22: 2016/01/27(水) 16:54:39.163 ID:EcM5Z/jjr
律子「はーい! おふざけはそこまで!」

響「おふざけ!?」

律子「今は千早のボタンをどうするか考えるのが先でしょ。いつまでも遊んでないの」

千早「ありがとう律子」

春香「うーん、とりあえず千早ちゃん、捲ったままのシャツ下ろすね?」

千早「もう良いのよ春香。捲ったままにしておいて」

春香「ううん、下ろすね?」サッ

ガチャ

雪歩「おはようございますぅ」

真「おはようございまーす……って、皆どうしたの?」

春香「雪歩、真! これ見てよ!」ガバッ

千早「春香、私あなたが何をしたいのか分からないわ」

24: 2016/01/27(水) 16:56:04.148 ID:EcM5Z/jjr
真「千早、どうしたのこれ? ボタンが付いてるみたいだけど」

雪歩「本当……千早ちゃん、このボタンどうしたの?」

千早「それが……」

伊織「雪歩危ないわよ! うっかり触ると爆発しちゃうんだから!」

雪歩「ば、爆発!? そ、そんなぁー!? 怖いですぅー!」

真「本当なの伊織!?」

律子「そんなわけないじゃない。雪歩もそんなに退かないの」

雪歩「な、なんだぁ……」

真「もう、脅かさないでよ伊織」

伊織「にひひっ」

26: 2016/01/27(水) 16:57:35.622 ID:EcM5Z/jjr
律子「こら伊織、亜美と真美みたいな事しないの。みんな真剣なんだから」

亜美「りっちゃーん、それはないっしょー。亜美と真美だってこの状況でイタズラするほど子供じゃないっしょー」

真美「そーそー、いおりんと一緒にされたら困るよりっちゃん」

伊織「何よアンタたち! それじゃ私が子供みたいじゃない!」

貴音「伊織、ムキになってはいけません。今優先すべきは千早のぼたんですよ」

響「そーだぞ伊織。怒るとますます子供っぽいぞ」

伊織「なんですって!?」

あずさ「ほらほら、喧嘩はやめましょう? ね?」

やよい「そーだよ伊織ちゃん! それより早く千早さんのボタンを何とかしてあげないと!」

伊織「わ、分かったわよ。でも何とかするって言っても、今のところ何も分かってないんでしょ?」

春香「これだけ集まって誰も分からないなら、もう大人しく病院かなぁ」

千早「あまり他の人に見せたくないのだけど……仕方ないのかしら」

27: 2016/01/27(水) 16:58:54.431 ID:EcM5Z/jjr
律子「うーん、ボタンが生えたなんてちょっと言いづらいわよねぇ」

真「こんなに珍しいと、研究とかされちゃうんじゃないかな?」

雪歩「け、研究!? そ、そんな! 千早ちゃん研究のために連れてかれちゃうんですか!?」

律子「そんなわけないじゃない。真も雪歩も考えすぎよ」

貴音「しかし病院に行ったところで、このような面妖な症状を知っている医者がいるのでしょうか?」

響「ボタンが生えるなんて自分も初めて聞いたぞ」

あずさ「うちの事務所で聞いていないのは~、美希ちゃん?」

春香「そういえばまだ来てないね」

亜美「いやいや、これはもうミキミキが来てもダメなんじゃない?」

真美「もう迷宮入りだよー。千早お姉ちゃんごめんね? 真美達じゃ力になれなかったよ」

千早「いいのよ亜美、真美。気持ちだけでも嬉しいわ」

29: 2016/01/27(水) 17:00:06.582 ID:EcM5Z/jjr
律子「それにしても美希遅いわね。寝てるのかしら。ちょっと私迎えに……」

ガチャ

美希「おはようなのー、あふぅ……」

春香「美希! これ! これ!」グイッ グイッ

千早「春香、伸びるから服を引っ張らないで」

美希「なんなの春香。千早さん寒そうなの」

律子「それが美希、千早の背中に変なボタンが出来てるのよ」

美希「ボタン? あ、本当なの」

真「何のボタンなのかも分からないから、皆どうすれば良いか分からないんだよ」

美希「? 分からないなら押さなきゃ良いだけなの」

律子「そうもいかないわよ。アイドルの仕事があるし、日常生活にも支障がでるわ」

美希「背中なら髪の毛で隠れるし、馴れ馴れしく千早さんの背中を叩く人なんていないと思うの」

響「でも日常生活でうっかり自分で押しちゃうかも知れないぞ?」

美希「そんなの、千早さんが自分で気を付けるしかないの。美希達が悩んでも仕方ないって美希は思うな」

30: 2016/01/27(水) 17:01:20.734 ID:EcM5Z/jjr
亜美「ミキミキ、ドライですなー」

真美「ミキミキー、千早お姉ちゃんがアイドル出来なくなったらどうするのさー」

美希「千早さんは、ボタンがついたくらいでダメになったりなんかしないの」

律子「美希……」

春香「そ、そうだよ! ボタンがあっても千早ちゃんは千早ちゃんだよ!」

貴音「なるほど……美希の言う通り、私達は少々深刻に考えすぎていたようですね」

美希「ボタンは押さなければ何も起きないの」

千早「そうね、美希。慌てずに、しばらく様子を見ても良いかも知れないわね」

律子「………ふぅ、そうね。しばらくは様子を見て……」

伊織「でも千早、アンタ自分で押したくならないの?」

千早「え?」

32: 2016/01/27(水) 17:02:16.625 ID:EcM5Z/jjr
あずさ「そうよねぇ、ボタンって、見ちゃうと押したくなっちゃうのよね~」

千早「あ、あずささんまで何を……」

やよい「うぅ~、そう言われると、何だか押したくなってきたかも~……」

千早「高槻さん!?」

春香「気になるなら押しちゃえば良いなって思うの」

千早「美希……じゃなくて春香! 春香まで何を言いだすの!?」

雪歩「そ、そうだよ春香ちゃん。もし本当に爆発したら……うぅ……」

響「人間が爆発するはずないぞ」

貴音「しかし、押さなければ分からないのもまた事実」

千早「四条さんまで……」

34: 2016/01/27(水) 17:04:04.005 ID:EcM5Z/jjr
伊織「もう押しちゃいなさいよ。それで何もなければ気にする必要もないじゃない」

千早「水瀬さん……でも……」

亜美「大丈夫だよ千早お姉ちゃん」

真美「何が起きても真美達は側にいるからね?」

千早「ありがとう亜美、真美。でも私は押す気がないと言っているのよ」

律子「でも確かに安全だと分かれば、それが一番なのよねぇ」

千早「ちょ、ちょっと律子……」

美希「悩むくらいなら押した方が良いの」スッ

春香「うえぇ!? 本当に押すの美希!?」

律子「ちょっと美希! せめて皆を避難させてから……!」

雪歩「爆発ですぅー! 爆発ですぅー!」

真「うわぁ雪歩! しがみつかないで!」

やよい「千早さん! 頑張ってくださーい!」

響「自分は怖くないぞ! 爆発なんてするわけないんだからな!」

伊織「そ、そうよ! 爆発なんてすわけないんだから!」

貴音「何が起きようと、千早と運命を共にしましょう」

あずさ「何が起きるのかしら~」

亜美「千早お姉ちゃん!」

真美「真美達がついてるかんね!」

美希「みんな考えすぎなの」

37: 2016/01/27(水) 17:07:32.599 ID:EcM5Z/jjr
千早「美希……本当に押すのね?」

美希「千早さんは大丈夫だって、美希は信じてるの」

千早「そう……なら、押して……美希」

美希「うん」

春香「ち、千早ちゃーーーん!!!!」

ポチッ



千早「♪泣くことーなら容易いけーれどー 悲しみーにーは 流されーないー

恋したーこと この別ーれさえ

選んだのーは 自分だーからー

 群れを離れた鳥のように

明日の行き先など知らない

だけど傷ついて 血を流したって

いつも心のまま ただ羽ばたくよ

 蒼い鳥 もし幸せ

近くにあっても

あの空へ 私は飛ぶ

未来を信じて

あなたを忘れない

でもきのうにはかえれない

 


作詞:森由里子 作曲:椎名豪 

THE IDOLM@STER
「蒼い鳥」


終わり

38: 2016/01/27(水) 17:08:12.020
歌う機械

39: 2016/01/27(水) 17:08:13.236
んん?

40: 2016/01/27(水) 17:08:13.747
えっ

42: 2016/01/27(水) 17:09:07.564
あれ?

45: 2016/01/27(水) 17:12:25.310
目が逢う瞬間なら許されたのに

46: 2016/01/27(水) 17:13:24.316
胸と背中の区別がついてなくて言ってるのかと思った

引用元: 千早「背中にボタンが」