1: 2017/05/07(日) 19:35:52.793 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「ガヴ、ご飯できたわよ」

ガヴリール「ありがと」

ヴィーネ「はい、あーん」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(ガヴは体育の授業で受け身を取れず腕と足を骨折した)

ヴィーネ(ガヴの退院後、松葉杖を使えば歩けるとはいえ一人暮らしのガヴが心配な私は)

ヴィーネ「どう?」

ガヴリール「美味しい」

ヴィーネ(こうしてガヴの家に一時的に住んでお世話……介抱をしている)

2: 2017/05/07(日) 19:37:47.001 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(大好きなゲームも腕が折れたままではできないということでガヴは割りと規則正しい生活を送るようになった)

ヴィーネ「はい、あーん」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(……とはいえ何でもかんでも手伝うのはやりすぎかしら。普通の人は利き腕が使えないとはいえ左腕でも食事をするらしいし)

ヴィーネ(でも……ガヴはそんな面倒なことしなさそうだし……それにこんな体なんだもの。少しくらい甘やかしてもいいわよね)

ヴィーネ「次は味噌汁よ」

ガヴリール「それは左手でも飲める」

ヴィーネ「でも」

ガヴリール「いや汁物はキツイだろ」

ヴィーネ「そう……」

4: 2017/05/07(日) 19:40:36.624 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ごちそうさま」

ヴィーネ「お粗末さま。じゃあ体洗いましょっか。食器片付けちゃうからちょっと待っててね」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(ガヴのお世話は楽じゃない……でも、ガヴのお世話をするのは嫌いじゃない)

ヴィーネ(ガヴが私を必要としてくれるって、そう思える)

ヴィーネ「よしっはいりましょ」

ヴィーネ(それが……嬉しい)

6: 2017/05/07(日) 19:45:01.247 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「痒いところはない?」ワシャワシャ

ガヴリール「このへん」

ヴィーネ「はいはい」ワシャワシャ

ガヴリール「それにしてもヴィーネはほんと世話好きだなー将来介護師とかになれるんじゃないか」

ヴィーネ「どうかしら」

ヴィーネ(誰でもいいわけないじゃない。ガヴじゃないと私は……)

ヴィーネ「さて、流すわよ」

ガヴリール「ん」

7: 2017/05/07(日) 19:45:35.623 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「よし……じゃあ次は体ね」

ガヴリール「もう揉むなよ」

ヴィーネ「なっ……いつも揉んでるように言わないで!!」

ガヴリール「揉んでるじゃん」

ヴィーネ「そもそもどこを揉めっていうのよ!!」

ガヴリール「なんだと!」

ヴィーネ「こんな洗いやすい胸のどこを揉めっていうのよ!」ゴシゴシ

14: 2017/05/07(日) 19:49:25.562 ID:6aOtesic0
ガヴリール「言っておくけどヴィーネはこっち側の住人だからな」

ヴィーネ「……」ゴシゴシ

ガヴリール「どうした?」

ヴィーネ「いや……この前タプちゃんとしま○らに行ったんだけど……」ゴシゴシ

ヴィーネ「私より大きかったの……」ゴシゴシ

ガヴリール「あいつ意外とあるからな……」

15: 2017/05/07(日) 19:52:23.555 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「はい終わり。あがるわよ」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ「体拭くわね」フキフキ

ガヴリール「ヴィーネの手つきさあ……なんかいやらしいんだよね……」

ヴィーネ「どこがよ!!」

ガヴリール「いや、なんというか……私が抵抗できないのをいいことに色々やりそうなイメージ」

ヴィーネ「……ひどいわね」

ガヴリール「なんで今一瞬黙った?」

17: 2017/05/07(日) 19:56:21.832 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「まあそれはおいといて、体も拭き終わったから次は服」

ガヴリール「あんまりおいとけない問題だけど」

ヴィーネ(私は別にガヴにいやらしいことをしたいわけじゃない……いや、全くしたくないと言ったら嘘になるけど……)

ヴィーネ(私はガヴと一緒にいられるだけで……それだけで幸せなんだから)

ヴィーネ「さてと……じゃあ掃除してるから何かあったら呼んでね」

ガヴリール「ん」

18: 2017/05/07(日) 19:59:52.695 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ヴィーネー」

ヴィーネ(この一言を聞くだけで元気になれる。私を必要としてくれているんだなって)

ヴィーネ「なにー?」

ガヴリール「ちょっとそこのティッシュとって」

ヴィーネ「ティッシュくらい自分で取れるでしょうに……はい」

ガヴリール「ありがと」

ヴィーネ(こんな些細な事でも、実は嬉しい)

19: 2017/05/07(日) 20:03:46.692 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ヴィーネー」

ヴィーネ「はいはい」

ガヴリール「ヴィーネー」

ヴィーネ「はいはい」

ヴィーネ(ふふ……本当にガヴは私がいないとだめなんだから)

ヴィーネ「ガヴったら人使いが荒いんだから」

ヴィーネ(でも幸せ)

22: 2017/05/07(日) 20:08:14.844 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「ふぅ……もうこんな時間。もう寝ましょ」

ガヴリール「んーそうするか」

ヴィーネ「じゃあ運ぶわね」

ヴィーネ(ガヴをベッドに運ぶのは力がいるけど、好き)

ヴィーネ(ガヴが一人じゃできないことをお手伝いすることが一番好き)

ヴィーネ(私がいないと駄目なんだって。ガヴの中に私が確実に存在してるってはっきりわかる)

ヴィーネ(その時間が一番幸せなの)

ヴィーネ「ふぅ、じゃあもし何かあったら遠慮なく起こしてね」

ガヴリール「ん。おやすみ」

ヴィーネ「おやすみなさい」

23: 2017/05/07(日) 20:12:36.481 ID:6aOtesic0
翌日

ヴィーネ「ガヴ、朝よ」

ガヴリール「んぁ……」

ヴィーネ「朝ごはんできてるから。とりあえず歯磨くわよ」

ガヴリール「へいへい……」

ヴィーネ(横になってるガヴの歯を磨くのってなんか、いい感じ)

ヴィーネ(こんなにも無防備な姿を晒して……私に任せてるって感じが好き)

ヴィーネ「じゃ、口をゆすぐついでに顔も洗うわよ」

ガヴリール「ん」

25: 2017/05/07(日) 20:18:53.503 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(歯磨きから洗顔……何から何まで私が付き添う)

ヴィーネ(本当に甘やかしすぎよね……)

ヴィーネ「じゃあ朝ごはんにしましょう」

ガヴリール「今日もご飯か」

ヴィーネ「パンがよかった?」

ガヴリール「いや、ヴィーネのご飯はなんでも美味しいからどっちでもいい」

ヴィーネ(朝のトーストは好きだけど、今はそうでもない)

ヴィーネ(トーストは片手でも食べやすいから、私が食べさせてあげなくてよくなっちゃうから)

26: 2017/05/07(日) 20:22:36.653 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「食器も片付けたし……今日出すゴミも持った」

ヴィーネ「よしっ忘れ物もないし……行きましょ」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(車椅子を押しながら登校するのも好きだったりする)

ヴィーネ(本当は松葉杖を使えば歩けると言っても長距離歩くのは辛いだろうし)

ヴィーネ(でも、学校にいくのはそんなに好きじゃなくなったかもしれない)

ヴィーネ(みんながいるから……)

27: 2017/05/07(日) 20:25:40.499 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「おはよう。サターニャ、ラフィ」

ガヴリール「よっ」

サターニャ「お、来たわねガヴリール!ヴィネット!」

ラフィエル「おはようございます~」

ヴィーネ(別に嫌いになったとかじゃない)

ヴィーネ(でも、学校ではこの二人もガヴのお手伝いをしちゃう)

ヴィーネ(それは私の、私だけの役目であってほしいのに)

28: 2017/05/07(日) 20:29:44.630 ID:6aOtesic0
ガヴリール「そしたらさー胸揉みしだくんだよヴィーネのやつ」

サターニャ「どこを揉むって?」

ラフィエル「つまむならわかりますが」

ガヴリール「くそ、失礼な奴らだな……」

ヴィーネ「そもそも揉んでないでしょ!!」

ヴィーネ(私とガヴだけの世界に割り込まれた気分になる)

ヴィーネ(だから……学校は今は好きじゃない)

32: 2017/05/07(日) 20:33:25.573 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴは左手で字を書けないからノートは私が取る)

ヴィーネ(ガヴは私がとったのノートがないと勉強できない)

ヴィーネ(……甘やかしすぎかもしれない。でも……)

サターニャ「ねーヴィネットー私にもそのノート頂戴!」

ヴィーネ「ダメ」

サターニャ「ケチ!ガヴリールはいいのに!!」

ヴィーネ「ガヴは怪我してるからいいの!」

35: 2017/05/07(日) 20:36:34.720 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「んーっ!お昼かー!」

ヴィーネ「ガヴ、食堂に……」

サターニャ「今日は限定50食の激辛カレーがあるのよ!いくわよ!」

ガヴリール「ちょっと待てって……」

サターニャ「はい車椅子!」

ガヴリール「食堂までなら別に松葉杖でもいけるぞ」

サターニャ「押してみたいのよ!みんないくわよ!」

ヴィーネ「あっ……うん……」

ヴィーネ(ガヴの車椅子を押すのは私の役目なのに……)

36: 2017/05/07(日) 20:40:29.537 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(こんなことをされると現実を突きつけられてしまう)

ヴィーネ(ガヴにとっては別に私じゃないといけないわけじゃないんだって)

ラフィエル「うふふ、微笑ましいですね~」

ヴィーネ「そう、ね」

ラフィエル「……もしかしてお疲れですか?その、大変だったら言ってくださいね」

ラフィエル「いつでもお手伝いしますので」

ヴィーネ(サターニャもラフィも本当にいい友達だと思う。でも……あまりいい気分にはなれない)

38: 2017/05/07(日) 20:43:15.148 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「はい、あーん」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ「はいお水」

ガヴリール「うむ」

サターニャ「ふふ、ガヴリールはほんとヴィネットがいないとダメね!」

ヴィーネ「!」

ガヴリール「腕こんなんなんだからしょうがないだろ」

ヴィーネ(ガヴリールは私がいないとダメなんだ……そう、なんだ)

39: 2017/05/07(日) 20:47:04.964 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「じゃあ私は食器返してくるわね」

ガヴリール「ありがと」

ラフィエル「よく完食しましたねー……見てるだけでも舌がひりひりしましたよ」

サターニャ「美味しかったわよ?」

ヴィーネ「しかも完売、50人もあれを食べた人がいるっていうのが驚きよね……」

ヴィーネ「っと、じゃあいきましょうか」

ラフィエル「はいーいきますよーガヴちゃーん」

ヴィーネ「あ……」

ヴィーネ(私が押したかった……)

43: 2017/05/07(日) 20:50:31.029 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ふぁぁ……やっと放課後か。疲れた」

サターニャ「あんた何もやってないじゃない。授業中寝てたの知ってるのよ!」

ガヴリール「やることなくて眠くなるんだよ。ノートはヴィーネが取ってくれるし」

ラフィエル「ガヴちゃんらしいですね」

ヴィーネ「ま、帰ったらみっちり復習ね」

ガヴリール「えー……」

ヴィーネ(やっと学校が終わった。これで……二人だけの世界に戻れる)

44: 2017/05/07(日) 20:53:48.371 ID:6aOtesic0
サターニャ「じゃっ!」

ラフィエル「また明日~」

ヴィーネ「……じゃあ、帰りましょっか」

ガヴリール「うむ」

ヴィーネ(帰り道では私が必ず車椅子を押せる)

ヴィーネ(学校では私がいなくてもサターニャやラフィがいた。でも……今は違う)

ヴィーネ(でも今からは違う。ガヴは私がいないとまともに生活を送れなくなる)

ヴィーネ(私が……必要になる)

45: 2017/05/07(日) 20:57:04.853 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「着いたわよ」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(とはいえ……実際は私が今いなくなったとしてもガヴは生きていけないというわけじゃない)

ヴィーネ(この時代、仮に私が失踪したとしてもケータイで誰かに連絡すればいいわけで)

ヴィーネ(ラフィやサターニャなんていかにもいなくなった私の代わりにお世話しそうだし……)

ヴィーネ(それにガヴならなんだかんだ骨折程度じゃ一人でもやっていけそうな気もしないでもない)

ヴィーネ(骨折程度じゃ……)

49: 2017/05/07(日) 21:02:21.992 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(って何考えてるの!!ガヴのほうがずっと辛い思いしてるのに……)

ガヴリール「ねーヴィーネー」

ヴィーネ「なにかしら?」

ヴィーネ(ほら、今もちゃんとガヴは私のことを見てくれている)

ヴィーネ(それでいいじゃない)

ヴィーネ(それで……いいじゃない……)

50: 2017/05/07(日) 21:06:28.951 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(それからもガヴのお世話生活は続いた。ずっと一緒にいることでなにかあるごとにガヴは私を呼ぶようになった)

ヴィーネ(一人じゃなにもできないガヴ。ガヴは私がいないと何もできない)

ヴィーネ(そう考えると……なんだか心が満たされる。これが普通の感情じゃないってことはわかってる……)

ヴィーネ「じゃあ私は買い物に行ってくるから。何か買ってきて欲しいものとかある?」

ヴィーネ(私が買い物にいくとき……家でお留守番してるガヴはどんな気持ちなのかな)

51: 2017/05/07(日) 21:11:36.307 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(買い物は……そんなに苦じゃない)

ヴィーネ(近くにガヴはいないけど、ガヴが一人きりって言う状況……)

ヴィーネ(ガヴが私の帰りを待ってくれている……そう考えると、ガヴがいなくても心が満たされる)

ヴィーネ「ただいま……ん?」

ヴィーネ(この靴は……まさか……)

タプリス「あ!月乃瀬先輩!こんにちは!」

ヴィーネ(タプちゃん……)

52: 2017/05/07(日) 21:15:23.473 ID:6aOtesic0
ガヴリール「おかえりー」

ヴィーネ「タプちゃん……どうして……」

タプリス「先輩が大怪我したと聞いたので……この連休に急いで駆けつけたんです!!」

ヴィーネ「そうなんだ」

ガヴリール「別になんともないけどな。ヴィーネがいるし」

ヴィーネ(!)

タプリス「月乃瀬先輩ばかりに頼っちゃダメですよ!」

ヴィーネ(そんなことないのに……)

53: 2017/05/07(日) 21:20:06.837 ID:6aOtesic0
タプリス「大変かも知れませんが左手でもある程度のことができるように訓練するべきです!」

ガヴリール「でもヴィーネが」

タプリス「それじゃ月乃瀬先輩がいなくなったらと何もできなくなっちゃうじゃないですか!」

ヴィーネ「まあまあ。ガヴだって大変なんだから」

タプリス「そ、それはそうですが……今の天真先輩を見たら心配なんですよぅ……」

タプリス「このまま一人じゃなにもできなくなっちゃうんじゃないかって……」

ヴィーネ「大丈夫よ」

ヴィーネ(だって私がいるもの)

56: 2017/05/07(日) 21:24:43.304 ID:6aOtesic0
タプリス「あ、それでなんですが……今日お泊りしようかと思ってまして……」

ヴィーネ「……え?」

タプリス「やっぱり月乃瀬先輩一人じゃ大変だと思いますし……私にもお手伝いさせてください!」

ヴィーネ「え、でもいきなりそんな……急にそんなこと言っても。ねえガヴ?」

ガヴリール「いや、別に構わないけど」

57: 2017/05/07(日) 21:25:07.701 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「え、ええ……でもご飯とかの問題もあるし……」

タプリス「ご心配なく!色々持ってきましたので!」

ヴィーネ「でも……」

ガヴリール「まあいいじゃん。タプリスがしたいっていうんだからさ。私が許可する」

ヴィーネ(家の中だけは……私とガヴだけの世界だと思ってたのに……)

58: 2017/05/07(日) 21:31:01.979 ID:6aOtesic0
ガヴリール「のど乾いた」

ヴィーネ「ちょっと待っ……」

タプリス「あ!来る時にお茶買ってきたんです!今出しますね!」

ヴィーネ(私がおかしいなんて……そんなのわかってる)

ヴィーネ(だって……ガヴの怪我が治らなければいいのになんて思っちゃってるんだから……)

59: 2017/05/07(日) 21:31:33.946 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「……じゃあ晩御飯の支度しちゃうわね」

タプリス「お手伝いします!」

ヴィーネ(……タプちゃんは別に私達の世界を壊そうとしてるわけじゃない)

ヴィーネ(タプちゃんは純粋にお手伝いをしたいだけ。とてもとてもいい子……)

ヴィーネ(おかしいのは私……)

60: 2017/05/07(日) 21:38:29.611 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(連休が終わってタプちゃんが天界に帰る)

ヴィーネ(本当はよくないことだけど、タプちゃんがいなくなって気が楽になった私がいる)

ヴィーネ(おかしいわね……初めて出会ったときは可愛い後輩ができるかもって喜んでたのに……)

タプリス「では私は帰りますね。天真先輩、怪我が治ったらちゃんとリハビリするんですよ!」

タプリス「いつまでも月乃瀬先輩が介抱してくれるわけじゃないんですから!」

ヴィーネ(怪我が……治ったら……。うぅ……そんなこと考えたくなかったのに……!)

61: 2017/05/07(日) 21:42:59.544 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(あれからしばらく経った)

ヴィーネ(私の意に反してガヴの怪我の治りは進み……ついにギプスを外すことが許された)

ガヴリール「今まで世話になったな。ありがとう、ヴィーネ」

ヴィーネ「ううん……ね、ねえガヴ。やっぱりまだ辛いんじゃない?私がいたほうが」

ガヴリール「リハビリってそういうもんだ。いつまでもヴィーネに面倒見てもらってちゃいつまでも治らないし」

ヴィーネ「で、でも」

62: 2017/05/07(日) 21:45:47.787 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(あぁ……ついにこの生活が終わっちゃった)

ヴィーネ(ひどいわよね……ガヴの怪我の回復は喜ばしいことなのに)

ヴィーネ(周りの人はみんなガヴの回復を喜んで祝ってあげている)

ヴィーネ(ガヴのリハビリを支えてる……ついこないだまであれだけガヴは私を見ていてくれたのに)

ヴィーネ(そんなこともう忘れたかのように元の生活に戻って行っちゃった)

ヴィーネ(……そして更にあれからしばらく経った。でも……でも、私はあの時の生活が忘れられずにいた)

63: 2017/05/07(日) 21:50:00.142 ID:6aOtesic0
ガヴリール「まさか本当にここに通うとはなー……」

タプリス「もちろんです!天真先輩と一緒の学校に通うことをずっと夢見てましたので!」

ラフィエル「ふふ、これからもよろしくお願いしますね。タプちゃん」

タプリス「もちろんです!」

サターニャ「何かあったらこの大悪魔サタニキア様を頼るといいわ!」

タプリス「あ、悪魔の力なんて借りません!」

ヴィーネ「……」

タプリス「あっ……つ、月乃瀬先輩は別ですよ!?」

ヴィーネ「……えっ?あ、ああ、そうね!」

65: 2017/05/07(日) 21:56:54.992 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(気がつけば2年生。タプちゃんも入学して新学期が始まっていた)

ヴィーネ(それだけの時間が経って、ガヴのリハビリもとっくに終わっていた)

ヴィーネ(ガヴが怪我する前までも十分幸せだったのに……忘れられない)

ヴィーネ(そんな生活に戻って、それにタプちゃんまで加わって……もっと楽しい学校生活が送られるはずなのに……)

ガヴリール「ヴィーネ?どうした?いくぞ?」

ヴィーネ「え?ど、どこに!?」

ガヴリール「タプリスの入学祝いだよ。話聞いてなかったのか?」

66: 2017/05/07(日) 21:57:17.023 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(今思えばあの時から……私は一線を越えかけていた)

ヴィーネ(タプちゃんの入学からほどほど経ち、学校生活にも慣れた頃)

ヴィーネ(私はあの時からずっとガヴの影でこそこそと働きかけていた))

ガヴリール「おはよ……」

ラフィエル「おはようございます。なんだか元気ありませんね」

ガヴリール「いやー……実は寝てなくて」」

サターニャ「またゲーム?」

ガヴリール「平日早朝は人がいないから狩場が空いてるんだよ……」

ヴィーネ(……また、失敗した)

67: 2017/05/07(日) 22:01:57.530 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(例えば……ガヴのお風呂の石鹸を床に置く)

ヴィーネ(重たそうな荷物の中を空にしておく)

ヴィーネ(油料理ばかりで健康に悪そうな食事にする)

ヴィーネ(必ずしも成功する必要はない。成功するまで何度も何度も仕掛ける)

ヴィーネ(そうしていつかガヴが大怪我してまたあの生活に戻ることができれば、なんて期待していた)

ヴィーネ(いっその事確実にこの手で……)

ヴィーネ(そ、そんなこと……だめ……!流石にそれは……それは……)

69: 2017/05/07(日) 22:06:49.569 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ある日、ガヴが怪我をした)

ヴィーネ(歩きスマホするガヴと歩いているときに道に大きな段差を見つけて、そこに誘導すした)

ヴィーネ(失敗するかなと思ってたけど、ガヴが画面に夢中だったのか、それとも薄暗くて気づかなかったのか)

ヴィーネ(ガヴは見事に段差で足を踏み外して転んだ。ついに……ついにやってしまった)

ヴィーネ(片腕をポケットに突っ込んで、片手でスマホを操作してたから受け身を取れなかったガヴは硬いアスファルトの上で蹲っている)

70: 2017/05/07(日) 22:06:59.293 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「ガヴ!?大丈夫!?」

ヴィーネ(自分でも白々しいと思う。やった、してやった、と心のなかで喜ぶ自分に狂気を感じた)

ガヴリール「つつつっ……なんとか……スマホもなんとか無事か……」

ヴィーネ(……でも大怪我とまではいかなかった)

71: 2017/05/07(日) 22:10:57.902 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(よく考えれば当たり前かもしれない。転んだぐらいで骨折することは稀なことだと思う)

ヴィーネ(ガヴは運動音痴で不健康な生活を送ってるからもしかしたら、と思ったけど……)

ヴィーネ(それなら……いっその事この手で確実に……)

ヴィーネ(いや、流石にそれは……でも……今ガヴが不注意で転んだとはいえ私が仕向けたこと)

ヴィーネ(私が怪我させたようなもの……もう……この際……)

ヴィーネ(私の心のなかで何かが壊れる音が聞こえた)

73: 2017/05/07(日) 22:15:02.418 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ぐっ……うぅぅぅ……!!」

ヴィーネ(ついに。ついにやってしまった)

ヴィーネ(ガヴリールを階段から突き落としてしまった)

ヴィーネ(ガヴにバレないように近づいて、背後に立って、思いっきり突き飛ばしてやった)

74: 2017/05/07(日) 22:15:22.999 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(今ならまだ引き返せる、まだ引き返せる……そう思いながらも私は止まることができなかった)

ヴィーネ(小さなガヴが宙に浮いて……階段に身体を叩きつけられて……空気を押し出すかのような悲鳴をあげて……)

ヴィーネ(そのまま地面に転がるガヴリールの腕は明らかに曲がっては行けない方向に曲がっていた)

ヴィーネ(素人目にもわかる……絶対折れた。骨折した。…………やった)

76: 2017/05/07(日) 22:19:03.736 ID:6aOtesic0
ガヴリール「また……ヴィーネの世話になっちゃうな。ごめん……」

ヴィーネ「気にしないで。ガヴは何も悪くないんだから」

ヴィーネ(ガヴは誰かに突き飛ばされたと言ったけど、結局犯人は見つかる気配がない)

ヴィーネ(それも当然といえば当然。ひと目につかないところで、監視カメラにも映らないように魔法陣を経由して忍んだんだから)

77: 2017/05/07(日) 22:19:14.055 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(こういう時……悪魔の力って本当に便利だなって実感する)

ガヴリール「ありがとう……」

ヴィーネ(ガヴリールも、周りの友達も、誰も私がガヴを突き飛ばしたなんて思っていないみたい)

ヴィーネ(大好きだからという理由でこんなことをする……普通の人はそんな発想自体生まれないみたい)

78: 2017/05/07(日) 22:19:24.744 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「ガヴ、ご飯できたわよ」

ヴィーネ「ガヴ、お風呂に入るわよ」

ヴィーネ「ガヴ、おやすみなさい」

ヴィーネ「ガヴ」

ヴィーネ「ガヴ」

ヴィーネ「ガヴ」

ヴィーネ(……またあの頃に戻れた。でも……おかしい。まだ、まだ物足りなさを感じる)

79: 2017/05/07(日) 22:24:06.202 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ヴィーネ、そろそろ出ないと遅刻するんじゃないか?」

ヴィーネ「そうね……いきましょうか」

ヴィーネ(その理由は簡単にわかった。学校に通うとき……ガヴが私以外の誰かと関わるとき、私はわかりやすいくらいに気分が悪くなる)

ヴィーネ(ガヴの世界に私以外は何人たりとも踏み込ませたくない。例え友達であったとしても)

80: 2017/05/07(日) 22:24:20.231 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(一度一線を越えてしまった私は……もうここで満足することができなくなっていた)

ヴィーネ(ガヴを学校に通わせなくていい方法を、サターニャもラフィも、タプちゃんも……誰もガヴに関わらなくなる方法)

ヴィーネ(それを考えては、それはいけない、それはしちゃだめ……そう思いはするけれど、結局止まれないんだなってわかっていた)

82: 2017/05/07(日) 22:28:27.126 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(例えば……監禁する。そうすればガヴは学校に通えないし、サターニャ達も接触できない)

ヴィーネ(でも、それだめ。それじゃガヴが私を怖がっちゃう。私を頼ってくれなくなる……)

ヴィーネ(あるいは、肉体的に登校不可能な体にする。一人では動けない、何もできない体にする)

ヴィーネ(それを行った犯人が私だってわからなければ……ガヴは私を頼り続けてくれるはず)

83: 2017/05/07(日) 22:28:37.922 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(サターニャ達への対処はあとあと考えればいい。もしかしたらガヴの変わり果てた姿を見て気味悪がるかも知れない)

ヴィーネ(これしかない)

ヴィーネ(……こういう時、ホント悪魔の力は便利だと実感する)

ヴィーネ(人間は凶器を残してしまうけど……悪魔には証拠を残さない方法なんていくらでもある)

ヴィーネ(ごめんね、ガヴ。きっととっても痛いと思う……でも耐えてね……。頑張ったらいっぱい甘やかしてあげるから……)

86: 2017/05/07(日) 22:32:59.543 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴのリハビリ中。人気のない道を一人で歩いているところで背後から襲った)

ヴィーネ(変装してる私は無言でガヴの四肢にひたすら凶器を叩きつけた)

ヴィーネ(ブロック肉を切るような感覚で切れるかと思ってたけど、意外と切り落とせない)

ヴィーネ(ガヴの悲鳴が響き渡る……。助けて、と叫ぶガヴ。誰に助けを求めてるんだろう。私だといいなぁ)

87: 2017/05/07(日) 22:33:09.152 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(でもちょっとまずい……予定では通り魔的にすんなりと切れるもんだと思ってた)

ヴィーネ(意外と力がいる……時間がかかるのね……)

ヴィーネ(ん、人が来た……撤退しましょ)

88: 2017/05/07(日) 22:37:07.839 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(結果として……私の望みは叶った。ガヴの手足はグチャグチャすぎて修復が難しかったようで切断を余儀なくされた)

ヴィーネ(一方私は茂みにはいるとともに魔法陣を経由して家に退避。そして凶器は消滅……)

ヴィーネ(悪魔の力は本当に便利。人間は私の尻尾すらつかめない)

ヴィーネ(何もかもがうまくいった。面白おかしい。一番大変なのはガヴたちの前で笑みをこぼさないようにすることになりそう)

89: 2017/05/07(日) 22:37:19.926 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ごめんねガヴ。痛かったよね。怖かったよね。でも……でもこれでずっと一緒よ……)

ガヴリール「……」

ヴィーネ(ガヴは、こんな身体で生きるくらいなら氏にたいと、いっそのこと頃してくれと言っていた)

91: 2017/05/07(日) 22:40:32.295 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(私は必氏に説得した。これからは私がずっとお世話をするからって)

ヴィーネ(ガヴは学校とかはどうするんだとか言ってきたけど……)

ヴィーネ(私がやりたいことだからって、ガヴのほうが大事だからって言ったら)

ヴィーネ(今までいっぱいお世話してきたからか、ガヴは私と一緒に生きる気になってくれたみたい)

92: 2017/05/07(日) 22:40:45.052 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(一人じゃ何もできない。ご飯も、お風呂も、おトイレも。何もかも一人じゃできない)

ヴィーネ(もうガヴは私がいないと生きていけない身体になった)

ヴィーネ(私とガヴの……新しい世界が始まった)

94: 2017/05/07(日) 22:43:18.135 ID:6aOtesic0
ラフィエル「こんにちはー……」

タプリス「お、御見舞に……」

ガヴリール「へいらっしゃい」

サターニャ「ガヴリール……」

ヴィーネ(ラフィ達が御見舞にやってきた)

ヴィーネ(ガヴの姿を見た途端二人の表情は歪む。無理も無いと思う)

ヴィーネ(手足をもがれて、芋虫みたいになっちゃった体……気持ち悪いっていう人の気持ちも理解できなくはない)

ヴィーネ(誰もが受け入れられるものではないというのはよくわかる。私もガヴ以外だったら嫌悪してたと思う)

95: 2017/05/07(日) 22:48:02.150 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(そもそも……私にとってはガヴの見た目よりもこの二人がここにいることのほうが受け入れられない)

ヴィーネ(ガヴが……ラフィ達に気を遣ってる。心配させないように強気な態度を取ってる……でも声が震えてるわよガヴリール)

ヴィーネ(その思いやりは……私にだけ向けていればいいのに)

ヴィーネ(どうせラフィ達とは今までのようには接することなんてできないんだから)

96: 2017/05/07(日) 22:48:09.123 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ほら見て。あのラフィのどう接すればいいのかわからないって顔)

ヴィーネ(ほら見て。あのサターニャのなんて言えばいいのかわからないって顔)

ヴィーネ(ほら見て。あのタプちゃんの真っ青な表情。ただ手足がなくなっただけなのに、あんな目で見てくる)

ヴィーネ(そんな子達とこれからも仲良くなんてしていけるわけないんだから……)

100: 2017/05/07(日) 22:52:46.904 ID:6aOtesic0
ラフィエル「え、ええとその……が、頑張ってくださいね……?」

サターニャ「が、頑張って!」

ヴィーネ(ほら、あんな引きつった笑顔をしてる。お互いにいい気がしないなら無理に付き合う必要なんてないの)

ヴィーネ(タプちゃんなんて見て、何も言えてない)

ヴィーネ(でも……私は、私だけはいつも通りガヴと接している)

ヴィーネ(これは狙ったわけじゃないけれど、自然とガヴが私に寄り添うことに繋がった)

ヴィーネ(思わずほくそ笑みそうになった)

101: 2017/05/07(日) 22:53:19.781
それでもサタニキアなら…大悪魔サタニキアならなんとかしてくれる

102: 2017/05/07(日) 22:57:58.797 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴの退院後、私とガヴはまた一緒に暮らすことになった)

ヴィーネ(私はガヴのお世話をするために学校をやめた)

ヴィーネ(これで……これでずっとずーっと一緒……)

ヴィーネ「ガヴ、ご飯できたわよ」

ガヴリール「ありがとう」

ヴィーネ(ガヴは一人でこの家から出られない。私がいなくなったらガヴはきっと氏んじゃう)

ヴィーネ(今のガヴには私が絶対に必要……私がいないと生きていけない……!)

104: 2017/05/07(日) 23:02:44.700 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「おいしい?」

ガヴリール「うん」

ヴィーネ(ガヴは自立できない。だから座椅子に座るときも私がいないといけない)

ヴィーネ(ご飯も……今までは左手を使えたけど今は違う。片手でも食べられるようなトーストやおにぎりもガヴは食べられない)

ヴィーネ(犬食いならできるかもしれないけど、机の上に置いたらどちらにしろ一人では食べられない)

ヴィーネ(必然的にガヴは私にお願いし続けることになる……)

ヴィーネ(私に依存し続けることになる……!)

105: 2017/05/07(日) 23:05:58.833 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ふー食った食った。ありがと」

ヴィーネ「ふふ、お粗末さま。じゃあお風呂にしましょうか」

ヴィーネ「食器片付けるからちょっと待っててね」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(私がいないとガヴは動くことすらできない)

ヴィーネ(何もすることができない)

ガヴリール「まだー?」

ヴィーネ(だから私を求めてくれる……あぁ、たまらない)

106: 2017/05/07(日) 23:08:26.585 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「おまたせ」

ガヴリール「うむ」

ヴィーネ(手足がないから当然ガヴは自分で身体を洗えない)

ヴィーネ(もしこの場で私が手を離せばガヴは湯船の中……手足のないガヴは沈んじゃう)

ヴィーネ(ふふ、ふふふ……)

ガヴリール「もうあがりたい」

ヴィーネ「ダメ。あと30秒!」

ガヴリール「ちぇー……」

ヴィーネ(ガヴは文句を言っても私に絶対に逆らえない……)

107: 2017/05/07(日) 23:10:01.601 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「身体洗うわね」

ガヴリール「ん」

ヴィーネ(ガヴは何もできない。私が今ガヴを襲ったとしてもガヴは抵抗できない)

ヴィーネ(それどころかガヴは助けを求めることすらできない)

ヴィーネ(ほんと……本当にたまらない……)

ヴィーネ「はい終わり。私も洗うからちょっと待っててね」

ガヴリール「ん」

108: 2017/05/07(日) 23:12:08.691 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「じゃあ身体拭くわね」

ガヴリール「うむ」

ヴィーネ(身体を拭くというよりはバスタオルで包む、だけどね)

ヴィーネ(まるでガヴリールが赤ちゃんみたい……)

ヴィーネ(赤ちゃんも一人じゃ何もできない……)

ヴィーネ(はいはいもできない赤ちゃんと同じ……)

ヴィーネ「よしっ」

109: 2017/05/07(日) 23:15:39.224 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(大好きなゲームもできなくなったガヴの楽しみはごっそりと減ってしまった)

ヴィーネ(だから必然的にガヴは私と時間を潰すようになる)

ガヴリール「そうそうこれこれ。ストーリーは王道だからヴィーネも気にいると思うよ」

ヴィーネ(二人で一緒にアニメとか見て……ガヴにとってはやっぱり物足りないんだろうけど)

110: 2017/05/07(日) 23:15:49.256 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(悪く思わないでねガヴ……その代わり私が満たしてあげるから……)

ガヴリール「うむ……やっぱりこの年代のアニメは良作が多いな!」

ヴィーネ「さて……そろそろ寝ましょうか。もういい時間だし」

ガヴリール「ん……そうするか……」

111: 2017/05/07(日) 23:16:00.558 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ベッドに移動するのも……私がいないとだめ)

ヴィーネ(肘とか膝まで残してたらまた変わってたのかな)

ヴィーネ(念には念を、と根本からざっくり切り落としたけど)

ヴィーネ「じゃあおやすみ。何かあったら起こしてね」

ガヴリール「ん。おやすみ」

ヴィーネ(はぁ……今日もいい一日だった)

112: 2017/05/07(日) 23:17:26.779
ゼルエルさん助けて…

113: 2017/05/07(日) 23:19:20.257 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「さてと……そろそろ冷蔵庫の中が空ね……」

ヴィーネ「買い物に行ってくるけど何かほしいものとか食べたいものとかある?」

ガヴリール「お菓子。あとオムライス食べたい」

ヴィーネ「ふふ、わかったわ」

ヴィーネ(甘やかすような生活を送っているからか、なんとなくガヴが子供っぽくなってきた気がする)

ヴィーネ(それが……とても愛おしい)

114: 2017/05/07(日) 23:21:11.311 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(買い物は私が唯一ガヴから離れる時間。でも嫌いじゃない)

ヴィーネ(やっぱりどんな理想的な生活にもマンネリっていうのは存在する)

ヴィーネ(それを解消する機会に買い物は丁度いい)

ヴィーネ(たとえば今まで1時間程度で帰る買い物を、あえてもっと時間を掛けちゃう)

ヴィーネ(ガヴは一人じゃ何もできないから私の帰りを待ち続ける)

ヴィーネ(今どうしてるのかを想像するだけで、ゾクゾクする)

115: 2017/05/07(日) 23:23:56.665 ID:6aOtesic0
ヴィーネ「ただいまー」

ガヴリール「ヴィーネぇー……」

ヴィーネ「ごめんね遅くなっちゃって……!」

ヴィーネ(一人じゃ身動きすらできない。そんなガヴは一人でいるときに怖いことを想像するとこんな感じに怯えてしまう)

ヴィーネ(こうも泣きつかれると、私が必要なんだって……私がいないとだめなんだなって改めて認識できて)

ヴィーネ(心が満たされる……)

116: 2017/05/07(日) 23:25:04.029 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴとの物理的な依存生活は続く)

ヴィーネ(骨折と違ってこれは永遠に治らない)

ヴィーネ(あの時はいつか終わりが来る、と思うだけで心苦しかったけど)

ヴィーネ(これはとても心地が良い。この生活がずっと、ずっと続く……そうわかってるだけで)

ヴィーネ(でもその心地よさを害する存在はやっぱり存在する)

ラフィエル「こ、こんにちはぁー……」

118: 2017/05/07(日) 23:27:06.421 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(友達としてのよしみなのか。ラフィ達はまた御見舞にやってきた)

ヴィーネ「いらっしゃい」

ヴィーネ(ガヴは服を着ているとはいえ腕や脚が見えていない)

ヴィーネ(ベッドの上に横たわる小さな小さなガヴを見てタプちゃんが小さな悲鳴をあげる)

ヴィーネ(見るのが辛いのならわざわざお見舞いなんてしなくていいのに)

ヴィーネ(友達としてのよしみなのか……ガヴもそんな顔で見られて可哀想)

120: 2017/05/07(日) 23:27:40.465 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(いつも微笑んでるラフィもやっぱりガヴの前ではこわばった笑みになる)

ヴィーネ(うるさいくらいに元気なサターニャもやっぱりガヴの前では何も言えなくなる)

ヴィーネ(ほら、ガヴもどう声をかけていいのかわからない)

ヴィーネ(お互いに心苦しい思いをするんだから、無理にお見舞いなんてする必要ないのに)

ヴィーネ(でも、彼女たちの反応は私にとってはとても都合がよかった)

ヴィーネ(ガヴは次第に私以外の人を拒むようになりつつあった)

121: 2017/05/07(日) 23:29:27.012 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(今まで仲の良かった友達に、かわいい後輩に憐れむような目で見られ、距離を取られた)

ヴィーネ(それが効いたのか、ガヴは決して触れ方を変えない私に強く依存するようになった)

ヴィーネ(もともと外に出たがらなかったガヴだけど、今ではひと目につくことすら恐れている)

ヴィーネ(これよ……これこそ究極系……!)

ヴィーネ(ガヴは私だけを求める……更に私以外を拒む……!)

ヴィーネ(でもやっぱり害する存在は突然やってくる)

122: 2017/05/07(日) 23:30:46.092 ID:6aOtesic0
ガヴリール「ヴィーネ!ヴィーネぇえええ!!!いかないでっいかないでえええええ!!」

ヴィーネ(私は天使達に真犯人であることが突き止められた)

ヴィーネ(自分では証拠を全て隠滅できていたと思ってたけど)

ヴィーネ(女子高生が考える事程度では隠しきれなかったようだ)

ヴィーネ(これによりガヴは実家に帰ることとなり、私は拘束されることとなった)

ヴィーネ(私とガヴの世界の終わり……でも不思議と私の心は落ち着いていた)

124: 2017/05/07(日) 23:32:48.470 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴは私以外の人を拒絶する。それは例え家族とて例外ではない)

ヴィーネ(ガヴは私から離れ家族と暮らすことを拒絶、毎日泣き叫び私を求めていたそうだ)

ヴィーネ(頭の固い天使達は頭を悩ませる。私を求めるガヴの要求を拒み家族と暮らし続けさせるか)

ヴィーネ(罪人である私を解放し異常者である私とガヴを一緒に暮らさせるか)

ヴィーネ(本来ならば罪人である私とまた暮らさせるなんて言語道断だが……ガヴの様子を見た者はその考えが揺らいでしまうという)

125: 2017/05/07(日) 23:35:18.664 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ある日、ゼルエルさんが折れた。毎日私の名前を叫びながら泣きわめき、抱擁すれば拒絶される)

ヴィーネ(ご飯も私が作ったもの以外は拒んでしまうようで、狂い痩せこけていく妹を見るのが耐えられなくなったという)

ヴィーネ(あの凛々しかったゼルエルさんと再び会った時、とてもやつれていた)

126: 2017/05/07(日) 23:35:38.981 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(私は解放され、ゼルエルさんはガヴを私に託してくれた……いや、押し付けたと言ったほうが正しいかも知れない)

ヴィーネ(あの神の腕と称されたゼルエルさんも……諦めた)

ヴィーネ(また一緒に暮らせる……すごいわガヴ……これが……私達の愛の力よ……!!)

127: 2017/05/07(日) 23:35:59.884 ID:6aOtesic0
ヴィーネ(ガヴは私から離れたくない、と天界に帰ることを拒否)

ヴィーネ(そして私もガヴのお世話をするために魔界に帰ることを拒否)

ヴィーネ(よって私たちはこれからずっーと人間界で暮らすことになった)

ヴィーネ「ガヴーご飯できたわよ」

ガヴリール「ん!」

ヴィーネ「ふふ……」

ヴィーネ(もう誰も私たちの世界を侵さない)

ヴィーネ「ガヴ、これからもずっと一緒よ……」

BAD END N 楽しい日々はいつまでも……

129: 2017/05/07(日) 23:38:13.163

当人達が満足そうだしハッピーエンドじゃね(錯乱)

130: 2017/05/07(日) 23:38:43.398


ヤンヴィーネいいものだ

引用元: ガヴリール「体育で骨折した」 ヴィーネ「ちょっと大丈夫なの!?」