1: 2020/02/14(金) 18:03:03.693 ID:LAypZ29y0St.V
2月14日――

女「あの……」モジモジ

男「?」

女「こ、これ……バレンタインのチャカ!」サッ

男「……」ガサ…

男(新品の拳銃だ……!)

男「嬉しいよ、ありがとう!」

女「大切に使ってね」

男「うん! もちろん!」

2: 2020/02/14(金) 18:04:25.423
チャカwww

4: 2020/02/14(金) 18:07:15.531 ID:LAypZ29y0St.V
男「さっそく練習するか……」チャッ

男(あの空き缶を狙って……)パンッ!

男(外れた……もう一回!)パンッ!

男(なかなか難しいな……もう一回!)パンッ!

カァーンッ!

男「よぉし、当たった!」

6: 2020/02/14(金) 18:10:10.738
義理チャカ

7: 2020/02/14(金) 18:10:28.102 ID:LAypZ29y0St.V
ビュオオオッ

ヒラヒラ…

男(いい具合に木の葉が舞ってるな……)

男(練習台にうってつけだ!)

パンッ! パパンッ! パンッ!

男「よし、全弾命中!」

8: 2020/02/14(金) 18:13:38.852 ID:LAypZ29y0St.V
DQN「ヒャッホーッ!」

ブロロロロロ…



通行人A「うわぁっ!」

通行人B「危ないっ!」

通行人C「なんなんだ、あいつ! 街中であんな運転して!」

男「……」

11: 2020/02/14(金) 18:16:44.569 ID:LAypZ29y0St.V
男「……」パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!



DQN「!?」

DQN「タ、タイヤがパンクして……!」ギュルルルルッ

ドゴォォォォォン!

DQN「あう、ううう……」



男(走ってる車にも苦もなく当てられた……だいぶ上達したな)

12: 2020/02/14(金) 18:20:49.544 ID:LAypZ29y0St.V
ある日――

男「……」ザッ

男「……」コンコン

「マウンテン」

男「リバー」

「入りな」ガチャッ

男「失礼する」

13: 2020/02/14(金) 18:24:09.656 ID:LAypZ29y0St.V
情報屋「あれ? あんたチャカなんか持ってたっけ?」

男「彼女からのプレゼントでね」

情報屋「あんたも隅におけないねえ」

情報屋「で、なんの用だ?」

男「あるブツについての情報を知りたい」

情報屋「あるブツって?」

男「……だ」

情報屋「調べてはみるが……高くつくぜ」

男「もちろんだ。いつもより多めに払うよ」

14: 2020/02/14(金) 18:28:28.052 ID:LAypZ29y0St.V
……

男「どうだった?」

情報屋「ブツの取引が、近々ある倉庫で行われる。ある組織のボスと売人の取引だ」

男「つまり、そこへ出向けば――」

情報屋「入手することができる」

情報屋「ただし、チャンスはその一夜きりだし、ボスの部下も大勢いるはずだ」

男「分かってる。だが、なんとしても手に入れなきゃならない。時間もないしな」

情報屋「気をつけろよ」

男「ああ、取っといてくれ」バサッ

情報屋「毎度!」

16: 2020/02/14(金) 18:32:27.767 ID:LAypZ29y0St.V
倉庫――

ヒュゥゥゥゥ…

男「……」

男(もう春になるとはいえ、寒いな……)

男(情報屋の情報が正しければ、ここで取引が行われるはずだが……)

男(む、なにやら動きが!)

18: 2020/02/14(金) 18:35:50.319 ID:LAypZ29y0St.V
側近「ボス、売人がやってきました」

ボス「ククク、来たか」

売人「……」ザッザッザッ

売人「約束のブツだ。確認してくれ」パカッ

ボス「うむ」

19: 2020/02/14(金) 18:38:07.288 ID:LAypZ29y0St.V
ボス「おお……美しい! まるで雪のような白さ!」

売人「舐めてもいいぞ」

ボス「……」ペロッ

側近「いかがです? ボス」

ボス「ふむ、上物だな。聞きしに勝る品だ」

ボス「よかろう……。金を払おう」パチンッ

側近「どうぞ」パカッ

売人「たしかに」

22: 2020/02/14(金) 18:41:10.903 ID:LAypZ29y0St.V
男「ちょっと待ったァ!」バッ

ボス「!」

側近「!」

売人「!」

ザワザワ…

「誰だ!?」 「何者だ!?」 「サツか!?」

ボス「落ち着け」

シーン…

男(一言で黙らせた……さすがだな)

23: 2020/02/14(金) 18:44:02.694 ID:LAypZ29y0St.V
男「俺は警察じゃない……同業者でもない……そのブツを譲って欲しい者だ」

男「もちろん、ほんの少量でいい。それにちゃんと金は払う」

ボス「このブツは大変貴重なものなのだ。君のような輩に渡すわけにはいかんな」

側近「全員、ヤツをブッ殺せ! 銃を使ってもかまわん!」

黒服A「へい!」

黒服B「へい!」

バババッ

24: 2020/02/14(金) 18:46:26.845 ID:LAypZ29y0St.V
パパパァンッ!

黒服A「うぐぁっ!」

黒服B「ぐっ!」

黒服C「ぐぐっ!」

側近「な、なんだと!?」

売人「ひいい……!」

ボス(ほう……あの距離で、部下たちを傷つけず、銃だけを正確に撃ち落とすとは)

26: 2020/02/14(金) 18:49:28.160 ID:LAypZ29y0St.V
側近「お、おのれっ!」サッ

パンッ! カランカラン

側近「ぐっ……!」

ボス「よせ」

側近「しかし、ボス……!」

ボス「お前たちの敵う相手ではない」

側近「ですが……!」

ボス「よせ、といったのだぞ?」ギロッ

側近「は、はい……」

男「……」

27: 2020/02/14(金) 18:52:33.947 ID:LAypZ29y0St.V
男「ということは、ブツを分けてくれるのか?」

ボス「ああ、お前のチャカの腕に免じてな」

男「ありがとう……」

ボス「量はこれでいいか?」ポフッ

男「ああ、それで十分だ」

男「代金は……こんなもんでどうだ?」バサッ

ボス「ふむ、相場よりも多いくらいだ。異論はない」

男「取引成立だな」

29: 2020/02/14(金) 18:55:18.088 ID:LAypZ29y0St.V
男「じゃあ、俺は去らせてもらう。お騒がせして悪かった」

ボス「貴重なものだ。心して使えよ」

男「もちろんだ」ザッ…

側近「申し訳ありませんでした、ボス……」

ボス「かまわん。久しぶりに面白い男と出会えたわ、ハッハッハ」



男(あれが暗黒料理組織のボス……噂に違わぬ大物だったな)

30: 2020/02/14(金) 19:00:13.611 ID:LAypZ29y0St.V
3月14日――

男「はい、これ! ホワイトデーのお返し!」

女「わっ、これはクッキー?」

男「手作りしたんだ。食べてみてよ」

女「いただきまーす」サクッ

女「なにこれ! ものすごくおいしい! こんなおいしいの初めて!」

男「ハハハ、よかった」

男(世界のごくわずかな地域でしか採れず、正規の方法では入手不可能な伝説の小麦粉……)

男(苦労して入手した甲斐があった!)





おわり

31: 2020/02/14(金) 19:03:40.905

一方俺はお返しの必要がないぜ

32: 2020/02/14(金) 19:39:01.090

俺もお返しの必要がないぜ

引用元: 女「これ……バレンタインのチャカ!」男「嬉しいよ、ありがとう!」