1: 2011/10/09(日) 11:26:28.77 ID:07U8aeui0
東方(主に風神録組)×まどかのクロス
―――――――幻想郷・守矢神社―――――――
思わず聞き返した私に、幻想郷の元締めとされるスキマ妖怪――八雲紫が頷いた。
早苗「確かにそんな街があった覚えはありますけど……、それって外の世界ですよ? どうして私が外の世界のその街に?」
紫「それは貴女が最近まで外の世界に居たからよ。 少なくとも霊夢たちを送り込むより確実でしょう?」
早苗「それは……、まあそうでしょうけど、でもなんで外の世界に介入しないとならないんです?」
―――――――幻想郷・守矢神社―――――――
思わず聞き返した私に、幻想郷の元締めとされるスキマ妖怪――八雲紫が頷いた。
早苗「確かにそんな街があった覚えはありますけど……、それって外の世界ですよ? どうして私が外の世界のその街に?」
紫「それは貴女が最近まで外の世界に居たからよ。 少なくとも霊夢たちを送り込むより確実でしょう?」
早苗「それは……、まあそうでしょうけど、でもなんで外の世界に介入しないとならないんです?」
2: 2011/10/09(日) 11:32:22.32 ID:07U8aeui0
紫さんが言うには外の世界のその街、見滝原で近くとんでもない異変が起こるらしい。
更に言うと、その異変の規模が半端じゃないものらしく、強固な博麗大結界に覆われた幻想郷にも影響を及ぼすものらしい。
早苗「それで、急遽外の世界へ人員派遣、と言う事ですか……」
紫「ええ、今回ばかりは外の世界の事だからと言って、静観していられる状態じゃないの……頼まれてくれるかしら?」
啜っていた茶を机に置き、紫さんは真っ直ぐ私を見る。
いつものどこか茶化したような、試すような視線ではなく、真剣なソレが私の瞳を刺す。
紫「…………」
早苗「……分かりました。神奈子さまも諏訪子さまも何も言ってこない辺り、事前に話はついてるようですし……」
神社内でこんな話をしているのに、この神社の主である2柱――八坂神奈子と洩矢諏訪子――が、出てこないと言う事はつまりそういう事。
これは既に決まっている事で、私に拒否権は、ない。
紫「話が早くて助かるわ。それじゃ早速行ってもらおうかしら?」
早苗「えっ? 今からですか? ちょ、ちょっと準備とかは……」
思わず声をあげるが、私の身体は既にスキマに取り込まれつつある。
無数の目があるその空間は、何度見ても気分のいい物ではない。
4: 2011/10/09(日) 11:40:22.12 ID:07U8aeui0
紫「その辺は大丈夫よ、現地の中学校に転入する手筈は整っているわ」
早苗「中学って、私は外だと高校生で、しかもそれも数年前のはな……」
紫「最近の子は結構成長いいらしいじゃない、言動に気を付ければ大丈夫よ」
いやいや、無理ですって、紫さんが外の世界で高校に通うくらい無理……
紫「なにか言った?(ジロ」
早苗「いえ、何も……」
紫「それなら良いわ。 転入先の中学校、超進学校らしいから勉強も頑張ってね。
あ、幻想郷の妖怪や神には話を通してあるから、何か困った事があったらいつでも呼び出して頂戴」
早苗「そう言うことはもっと早く……って、うわっ!? いやぁ~っ!?」
私が批難の声をあげるより早く、私の身体は完全にスキマに取り込まれていた。
こうして久しぶりに外の世界に出た私は、転入した中学、見滝原中学校で、魔法少女と呼ばれる存在と、
魔法少女が敵とする魔女との戦いに巻き込まれる事になったのでした。
5: 2011/10/09(日) 11:48:38.35 ID:07U8aeui0
―――――――魔女空間(シャルロッテ)―――――――
どこぞの“サン○オ”チックな魔女をドリルロール金髪魔法少女――巴マミさんはリボンでこれでもかと縛り上げる。
絡みついたリボンが魔女を完全に拘束し、動きが止まった所に、マミさんはすかさず必殺技を放つ。
マミ「ティロ・フィナーレ!」
至近から放たれた技は見事直撃、そして閃光
まどか「やった!」
さやか「決まった!」
隣で同じように様子を見ていた二人の少女、鹿目まどかさんと美樹さやかさんが歓声をあげる。
が、私はそんな気にはならなかった。妙な予感がしていた。
弾幕ごっこで仕留めたと思った霊夢さんに手痛い反撃を食らった時のような、妙な気配――殺気はまだ消えてない!
真シャルロッテ「グワァァァァァァッ!!」
マミまどさや「「「ッ!?」」」
そして現れるそれまでとはうってかわっておどろおどろしい容姿となった魔女。
第二形態(?)を見せた魔女は目の前にいるマミさんへと襲い掛かる。
突然の事態に、まどかさんたちはおろかマミさんすら呆然と立ち尽くす中、私は咄嗟に術式を展開する。
早苗(くっ、神霊召喚! 秋穣子さまっ!)
7: 2011/10/09(日) 11:54:52.95 ID:07U8aeui0
穣子『はいはーい、呼んだ早苗? 話はスキマ妖怪から聞いてるよ~』
間を置かず黄と朱のワンピースを纏った豊穣神が姿を見せる。
穣子『で、一体何の用事な訳?』
早苗『穣子さま、呼んで早々すいません、今はなにも言わずに適当に逃げ回ってください』
穣子『へ?逃げるっていきなり何を……真シャルロッテ「グワァァァッ!!(お口あんぐり」……って!? ぎゃあああぁぁぁっ!?』
マミさん目掛けて飛び掛かっていた魔女が穣子さまに標的を変えて襲い掛かる。
生焼き芋の残り香だけをそこに残して、たまらず逃げ出す穣子さま。
思ったとおり、あの魔女は食べ物に目が無いようだ。
穣子『何々なになに!? なんなのコレーッ!?』
涙目になりながら、必氏になって逃げる穣子さま。
いきなりはまずかったかなぁ……と思ったが、最早後戻りは出来ない。
早苗『食い意地の張った妖怪なんです。暫く引き付けてて下さい!』
穣子『って、おいッ!? 私は体の良いエサかーッ!?』
批難とも悲鳴ともとれる穣子さまを敢えて無視して、私はマミさんたちに向き直る。
ちなみにこの間僅か5秒
9: 2011/10/09(日) 12:01:13.52 ID:07U8aeui0
まどか「魔女が……」
さやか「急に向きを変えた――なんで?」
マミ「えっ……? あっ……?」
穣子さまの姿が見えていないであろう三人はやはり呆然としている。
早苗「マミさん!何はともあれチャンスです! 今のうちに!」
早くしないと、穣子さまが頭から食べられかねない。
お世辞にも戦闘が得意とは言えない神なので、追い払うどころか逃げるので精一杯だろう。
マミ「えっ? あっ、そうね、今度こそ確実に……」
気を引き締め直したマミさんは攻撃を再開。
飛び回る魔女(と穣子さま)を追っていくと、身体にリボンを絡めた少女――暁美ほむらさんが、そこに居た。
さやか「転校生!? アンタ一体そんなところで何してるのよ?」
私と一緒にグリーフシードを見張っていたさやかさんがあまりの光景に驚いたように声を上げる。
私も一瞬驚いたが、リボンからマミさんの気を感じ取り、何となくだが納得する。
ほむら「コレが遊んでいるようにみえる? 巴マミっ、早く……」
マミ「暁美さん、さっきはごめんなさい。 貴女の言うとおり、今回の魔女は強敵だったわ」
マミ「でも、今ここで集中を切らしたら、今度こそやられてしまうわ。 もう少しだけ我慢して頂戴」
10: 2011/10/09(日) 12:13:51.17 ID:07U8aeui0
ほむら「巴マミっ!」
マミ「今度こそ決めるわよ! ティロ……」
マミさんが再び必殺技のチャージに入る。
と、同時に魔女は穣子さまを追うのを止め、マミさん目掛け再度躍りかかる。
真シャルロッテ「グワァァァッ!!(お口あんぐり」
マミ「フィナーレ!!」
まずい、と思う間も無く、二つの影が交錯する。
結果、魔女は爆散、対するマミさんは……
さやか「ま、マミさん!? う……、腕が……」
マミ「くっ、まさか一度ならず二度も不覚をとるとは……私も鈍ったかしら?」フラッ…ドサッ……
早苗「っ、そ、そんな……」
まどか「!? マミさんッ!? マミさぁぁんっ!!」
血相を変えたまどかさんが駆け寄ると同時に魔女の結界が解ける。
ほむら「くっ…………(ダッ」
さやか「あっ、コラ転校生! どこに行くのよ! 転校生ッ!!」
相打ちに近い形で、マミさんは腕を負傷。
そのまま入院することになってしまいました。
11: 2011/10/09(日) 12:18:44.65 ID:07U8aeui0
―――――――さなホーム―――――――
食い意地の張った魔女の戦いの翌日、私はマミさんからこっそり失敬した魔女の卵、グリーフシードを幻想郷の皆に見せていた。
雛『中に相当な量の厄を溜め込んでいるわね。一度に解放されたら私の力で流すのも時間がかかりそう……』
一応専門職に、と思い来て貰った厄神の鍵山雛さまがグリーフシードを手の中で転がしつつ言う。
雛『普通の人間なら一瞬で破滅できるわね。下手な神でも危ないわ……、強力な妖怪や諏訪子辺りには丁度良いエサかもだけど……』
諏訪子『む? それってどういう意味なのさ』
神奈子『ああ、確かに諏訪子なら嬉々としてこの厄を吸い上げそうだ』
諏訪子『神奈子まで!?』
紫『あらあら、野蛮ねぇ……』
諏訪子『アンタにだけは言われたくないよ、スキマ妖怪』
早苗「…………」
雛さまの説明を聞きつつも、私の気は重かった。
正直な話、昨日の戦いで負傷して病院で眠るマミさんからグリーフシードを黙って拝借すること自体、気が進まなかった。
あの時、スペルの一つでも発動出来ていれば、マミさんは負傷しなかったのではないか?
そんな疑念が昨日から私の中で渦巻いていたから……。
12: 2011/10/09(日) 12:23:20.02 ID:07U8aeui0
だけど、それを差し引いてもこのグリーフシードが纏う妖気が半端じゃないほど怪しかった。
この異変を調査する者として、退く事は出来なかった。
神奈子『…………え! ……早苗っ!』
早苗「っ!?」
神奈子『気にするな、とは言わないが、深く気を病むんじゃないぞ、穣子からも話は聞いたが、アレは不可抗力だ。早苗は悪くない』
諏訪子『それに普通に治る怪我で済んだんでしょ? あんまり気にしすぎると、早苗がどうかしちゃうよ』
早苗「……大丈夫です、今だけ……今だけですから」
そうだ、こんな所で挫けてはいられない。
魔女事件が件の異変なのかは未だハッキリしないけど、危険度最高レベルの事件である事は間違いない。
気をしっかり持て、東風谷早苗! これ以上、新たな被害者を出さない為にも!
両の頬を思い切り自分で張る、思い切りやり過ぎてヒリヒリとする痛みに思わず涙目になりつつ、私は顔を上げる。
紫『……話を戻すわよ? それで早苗、他に何か分かった事は?』
早苗「はい、今話した魔女のグリーフシードとは別に、魔法少女の方もソウルジェム、と呼ばれるモノを持っていました」
神奈子『そっちには厄はなかったのかい?』
13: 2011/10/09(日) 12:28:38.59 ID:07U8aeui0
早苗「グリーフシードに比べると、微々たるものでした。自然界に普通に存在するレベルです」
と、言ってもマミさんと暁美さんの二人分――それもじっくり見れたのはマミさんだけ――しか見ていないので断定は出来ないけど。
それに……
早苗「ただ、魔女との戦闘で受けてしまった穢れは、そのグリーフシードに吸わせてしまう、と言っていたので、そのせいかもしれません」
私が言うと皆一様に考え込むしぐさになる。
神奈子『厄……いや、穢れの擦り付け、ね……』
雛『流し雛の私が言うのもなんだけど、かなり危ない事よ、それって……』
早苗「ですよねぇ……」
マミさんがあっさりとやってのけたので、大して深く考えていなかったけど、流石に厄のスペシャリストに言われると重みが違う。
諏訪子『断定は出来ないけどかなり怪しいねぇ……その、確か“キュゥべえ”? だっけ? は、早苗にも契約を迫ってるんでしょ?』
早苗「はい、私の他に鹿目まどかさんと美樹さやかさんにも迫ってましたが……」
私とまどかさんは特に高い素質があるそうです。
と言うと、諏訪子さまは露骨に眉をしかめた。
14: 2011/10/09(日) 12:33:11.80 ID:07U8aeui0
諏訪子『早苗、分かってると思うけど、契約なんかしちゃダメだからね。たぶん、録な事にならないよ』
早苗「分かってますよ諏訪子さま。それに私は神奈子さま諏訪子さまと既に優先契約を結んでいるようなモノじゃないですか」
神奈子『はあ、こんなことになるなら早苗に“売約済み”の札でも持たせるべきだったね』
早苗「もう!神奈子さまったら!!」
冗談目かして言う神奈子さまにツッコミつつ、私は考える。
そう言えば、交戦現場でキュゥべえに契約を迫られた時、暁美さんにも似たような事を言われた覚えがある。
彼女は何か知っているのだろうか?今度、接触を図ってみよう。
そう言えば暁美さんと言えば……
早苗「あの時のアレはなんだったんだろう? それに確かマミさんと会ったときも……」
諏訪子『ん?早苗、どうかしたのかい?』
早苗「あ、いえ、ちょっと考え事を……」
雛『とにかく、その二人の女の子にも契約を思いとどまって貰ったほうが良いかもね』
早苗「分かりました、気をつけてみます」
考え事や、紫さんたちへの報告に気をとられたせいかもしれません。
この日、クラスメイトを助けようとしたまどかさんが襲われ、
さやかさんもまたキュゥべえと契約し、魔法少女となって居たことに、
私は翌日話を聞かされるまで気が付かなかったのです。
15: 2011/10/09(日) 12:37:47.68 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
最初にその違和感を感じたのは転校初日、同じ転校生だと言う暁美ほむらさんに会った時。
次に感じたのは、同じく転校初日で、まどかさんやさやかさん共々、使い魔に襲われ、巴マミさんに助けて貰った時。
そして今日、私は三度目のその違和感を感じる事になる。
――――――――見滝原中学――――――――
生徒A「あっ、おはよう、東風谷さん。昨日のテレビ見た?」
早苗「おはようございます。昨日の、ですか? いえ、ちょっと見逃してしまって……」
どこの学校でも見られそうな他愛のない会話。
他愛のない会話だけど、私からするとこんな会話も随分と懐かしく、そしていとおしい。
いくら元々住んでいた世界とは言え、数年間離れていたギャップは大きい。
ついでに言うと、実年齢も……なので、話題を合わせるのに、最初、かなり手間取った。
私はそれをとんでもないド田舎から引っ越してきたから、と言うことにして誤魔化す事にした。
そんな話が瞬く間に広まったのだろう、転校初日にまどかさんとさやかさんの二人に寄り道に誘われる事になった。
なんでもさやかさん曰く、
さやか「ド田舎出身で右も左も分からない早苗に、流行の最先端、ってヤツを教えてしんぜよう!」
と、言うことだったらしい。
まあ結果として魔女よる襲撃事件の当事者になれた為、異変の調査がかなりやり易くなったのだけど……。
16: 2011/10/09(日) 12:42:32.31 ID:07U8aeui0
クラスメイトとの会話の裏でそんな事を考えていると、まどかさんとさやかさん、その後ろから更に暁美さんが登校してきた。
早苗「あ、まどかさんにさやかさんも、おはようござ……?」
その時だった、登校してきたさやかさんを見て、あの違和感を感じたのは……。
なんで? 昨日までは感じなかったのに?
さやか「あ、おはよー早苗!」
まどか「おはよう、早苗ちゃん。 ん?……どうかしたの?」
私の異変に気付いたのかまどかさんが私の顔を覗き込んでくる。
早苗「あっ、いえ、その……」
私が答えに窮していると、私の目にさやかさんの指に昨日までなかった宝石のようなソレが飛び込んできた。
早苗「さやかさん……、もしかして指のソレって……」
さやか「おっ? 察しが良いね早苗は……、そ、実はあたし契約したの」
まどか「さやかちゃんカッコ良かったんだよ! 私が魔女に襲われそうになってた所に颯爽と斬り込んできて……」
ほむら「くっ…………」
さやかさんとまどかさんが、昨日起こったと言うその出来事を半ば興奮気味に語るのを聞きながら、
私はその後ろで苦虫を噛み締めたような表情を見せる暁美さんを目で追っていた。
17: 2011/10/09(日) 12:49:51.64 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
その日の昼休み、私は誰もいない学校の屋上に居た。
間もなく背後で扉の音がして、黒髪の少女――暁美さんが姿を見せる。
ほむら「急にこんな所に呼び出して、一体何の用? 東風谷早苗?」
早苗「いえ、大した用ではないのですが2・3聞きたい事がありまして……、それに……」
早苗「貴女もあるんでしょう? 私に聞きたい事が……」
ほむら「そうね、それなら単刀直入に聞かせて貰うわよ、東風谷早苗、貴女一体何者なの?」
何者、か……、ホントに直球で来たな~、と思いつつ私は答えの代わりに召喚術を発動する。
正体をバラすなら言葉で言うより、見せた方が早い。
早苗「妖霊召喚、河城にとり」
ちょっと考えて私は同郷(妖怪の山在住)の河童を可視化モードで召喚する。
にとり「やあ早苗、私に何の用……って、にひゅい!? 外の世界のニンゲン!?」
召喚されたにとりさんが暁美さんに気づいて慌てて私の後ろに隠れる。
まさか可視化モードで呼ばれるとは思っても居なかったのだろう。
それに対し暁美さんは――それまで以上に厳つい顔。
早苗(仕方ない、か……)
どこからとも無く、女の子を呼び出せば誰でも大抵そんな顔になるだろう。
まぁ、厳つい理由はそれだけではないのだろうけど……。
ほむら「……貴女、ホントに何者? 魔法少女ではないし、見たところ普通の人間のようだけど……」
早苗「はい、私は人間です。ただある所で巫女なんかを営んでる人間でして……」
早苗「どうです? 昼休み潰して付き合っていただける気になりました?」
18: 2011/10/09(日) 12:59:03.69 ID:07U8aeui0
――――――――――――(ほむら視点)―――――――――――――――
今回の時間軸で現れたイレギュラー、東風谷早苗の話は普通に聞けば馬鹿げた話だった。
東風谷早苗はある地方の神社の巫女で、『この街で大いなる禍が起こる』と言う神託を受け、ここ見滝原に調査に来たのだと言う。
これで何事も無ければ、私はオカルト女の世迷い言、と切り捨てただろう。
だが、彼女が話をする前に何処からともなく呼び出した女の子。
あれは明らかに人間とも魔女とも違う気配を帯びていた。
東風谷早苗曰く、水神の一種(※河童は一説には水神の零落した姿とされる)とのことだが、
神かどうかは別として、これまで私が出会った事のない何か、だったのは間違いない。
そして……、彼女の言葉を世迷い言と切り捨てられなくした最後の言葉が、私の中で引っ掛かっていた。
早苗「最後に聞かせて下さい、貴方やマミさん、そして今朝以降のさやかさんもそうなんですけど……」
ほむら「?」
早苗「どうして貴方たち魔法少女は、身体と魂の位置に微妙なズレがあるんです?」
ほむら「っ!?」
東風谷早苗の疑問の答えは、持ち合わせている。
ただ、魔法少女ですらない、彼女がなぜ、その疑問を持つに至ったのかのが分からなくて……、
結局私は、その問いに答える事なく、東風谷早苗と別れた。
得体の知れない何かから怖気づいて逃げ出すかのように……。
ほむら「まったく、この時間軸で、一体何が起こっているって言うのよ……」
訳が分からない、分からないからこそ、私は私のなすべき事を強く心に刻み込む。
私は鹿目まどかを守る、何に代えても守り抜く、例えどんなイレギュラーが現れようと……
19: 2011/10/09(日) 13:03:55.32 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
暁美さんとの屋上対話の後、事態は急展開しました。
マミさん、暁美さん、さやかさん、に続く四人目の魔法少女――佐倉杏子の登場と襲来。
そして始まる思想の相違によるさやかさんと、四人目の佐倉さんの魔法少女同士の戦い。
マミさんの傷は癒えきらず、暁美さんの立ち位置は未だに不透明で……、
事態が混乱の度合いを増す中、私は遂にあの違和感の正体を知ることになるのでした。
――――――――――――――――――――――――――――――――
杏子「惚れた男をモノにするならもっと冴えた手があるだろ?」
杏子「今すぐその坊やの手足を潰してやりな、アンタ無しじゃ生きられない身体にするんだ。そうすりゃ……」
さやか「……許さない、お前だけは絶対に許さない!」
杏子「そーかい、なら、場所移そうか……」
不敵に嘲笑っているようで、安い挑発しかしていない杏子と、惚れた弱味をつかれてあっさり激昂したさやか。
この二人を見下ろす目が上空にあった。
その目の持ち主で黒の翼を持つ少女、射命丸文はあまりに大人気ない展開に思わず頭を押さえる。
文『あやや、早苗さんに美樹さやか、って子の見張りを頼まれたから来てみれば早速これですか……なんと言いますか、若いですね~』
昼下がりにこんな公演をやったらウケるかしら?等と考えていると、二人がそそくさと移動をし始めた。
文『おっと、それどころじゃなかった。追跡、追跡、っと、あっ、ついでに早苗さんにも報告しておきましょう』
近くのカラスに早苗への言伝てを頼み、文は追跡を開始する。
眼下の二人の剣幕は最悪だ。
幻想郷の妖怪があんな剣幕のまま戦闘に入れば、間違いなく里の一つくらい消え去るだろう。
文『ホント、若いですねぇ~』
その声には、多分に皮肉が混じっていた。
20: 2011/10/09(日) 13:07:47.51 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
文さんからの言伝てを受けた私がまどかさん(とついでにキュゥべえ)共々現場に駆け付けたとき、
そこはさやかさん、暁美さん、佐倉さんの三者が火花を散らし、まさしく一触即発と言った雰囲気でした。
早苗「さやかさん!」
まどか「さやかちゃん待って! 駄目だよこんなの! 絶対おかしいよ!!」
さやか「ッ!? まどか……それに早苗まで!?」
『どうして来たの!?』と言いたげな、嫌悪に満ちた目をこちらに向けるさやかさん。
思わず駆け寄ろうとするまどかさんの肩を抑え、私はさやかさんに尋ねる。
早苗「どうして私たちがここに来たのか、ホントに分かりませんか? さやかさん……」
尋ねつつ鋭い視線を向けるとさやかさんは目を逸らす。
さやか「分からない、って言ったら?」
早苗「頭から水をぶっかけてでも分からせます。それでもダメだと言うなら、……先に私を倒してからにして下さい」
まどさやほむ杏「「「ッ!?」」」
文『ちょっ、ちょっと早苗さん!? 少し落ち着いて……』
早苗(大丈夫です。私は冷静です!!)
文『その台詞は絶対フラグですって!』
21: 2011/10/09(日) 13:12:04.35 ID:07U8aeui0
更に言葉を続ける文さんからの念話をシャットアウトすると、今度は別のところから野次が入る。
ほむら「東風谷早苗、貴女、今自分で何を言ったか分かってるの?」
杏子「おいおい、いきなり現れたと思ったら人の喧嘩を横取りかい? ウザいヤツにはウザい仲間が……」
早苗「お二方とも、ちょっと黙ってて下さい、今私はさやかさんと “大事なお話” の真っ最中なんです(ギロッ」
ほむ杏「「!?」」
神奈子さま直伝の蛇にらみで二人を黙らせ、私は改めてさやかさんに向き直る。
早苗「さあ、さやかさん、答えを……」
さやか「……分からない訳、ないじゃない……。あたしが逆の立場だったら絶対同じ事してる」
まどか「だったら……!」
さやか「でも無理なの!いくら頭で分かったって、あいつは恭介を……!」
そう言って強く握った拳を震わせるさやかさん。
常識的な思考と、激しい感情に板挟みにされ、冷静な判断が出来なくなっているのだろう。
早苗「なら、私に一太刀入れてみせて下さい!
一時の感情に任せた刃が何をもたらすのか、それが分からないと言うなら、私が身をもって教えてあげます!」
22: 2011/10/09(日) 13:16:43.83 ID:07U8aeui0
さやか「くぅ~っ! うわああぁぁぁっ!!」
さやかさんが自身のソウルジェムを掲げ、私は黙って両手を広げる。
暁美さんと佐倉さんは話についてこれないのか、動きを止めている。
文さんは諦めたのか呆れ顔で静観モード。
そんな中、一人だけ私の想定外の動きを見せる人が居た。まどかさんだ。
まどか「ッ!? ダメっ! さやかちゃん! 早苗ちゃん!」
そう言ってさやかさんに飛び掛かると、さやかさんの手からソウルジェムを奪い取り、そのまま放り投げる。
投げ捨てられたソウルジェムはたまたま下を通りかかった長距離トラックの屋根に引っ掛かり……
さなほむ文『なっ!?』
その時、私は妙な感覚を覚えた、いや、妙な感覚に合点がいったと言うべきかもしれない。
すかさず文さんに目配せする。
早苗(文さん!)
文『了解っ!』
文さんが飛び出し、一瞬遅れてほむらさんも飛び出す。
さやか「ちょっとまどか! あんたなんて事を……」
直後さやかさんは激昂しかけ……、その場に崩れ落ちた。
さっきのアレと、この状況、やはりこれはそういう……
23: 2011/10/09(日) 13:24:02.51 ID:07U8aeui0
まどか「えっ? さやかちゃん?どうしたの?」
キュゥべえ「……やれやれ、よりにもよって友達を投げ捨てるなんて……どうかしてるよ」
慌てるまどかさんに対し、今まで静観していたキュゥべえが表情どころか眉一つ動かさずに言う。
まどか「えっ?友達を……って、一体……」
事態を飲み込めないまどかさんを見かねたのか、佐倉さんがさやかさんの首筋に触れる。
そして分かったのだろう、佐倉さんの顔から血の気が見る見るうちに引いていく。
杏子「お、おい……、どういう事だよ? こいつ氏んでるじゃねーか!?」
困惑する二人に対し、私は落ち着いていた。
探していたピースがようやく見付かり、かっちりハマった時のように……
早苗「キュゥべえ……、貴方……」
まど杏「「?」」
そして出来上がった絵は恐ろしく残酷な一つの事実。
早苗「貴方、さやかさん、いえ、契約した魔法少女の魂を、“身体から抜き取って、ソウルジェムの中に封じました”ね?」
杏子「なっ!?」
まどか「そんなっ!?」
私の言葉に固まる二人。
そんな二人が見えていないのか、あっさりとした態度でキュゥべえが言う。
キュゥべえ「おや? 早苗、君は人間にしては察しが良いね、その通りだよ。
まあ少し付け加えると、封じたんじゃなくて、完全に変換したんだけどね」
そう言うと、キュゥべえは語り始める。
魔法少女にとって、ソウルジェムがなぜ大切なのか、その意味を……。
前々から胡散臭いとは思って居ましたが、この時確信しました。
キュゥべえは……、この生き物はとんでもなくろくでもない悪魔だ、と言うことを……。
24: 2011/10/09(日) 13:28:43.09 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
感じていた違和感が最悪な答えを見せた、数日後、
その答えはまだ完全回答で無かった事を私たちは知ることになりました。
――――――――――――――――――――――――――――――――
あの後、なんとかソウルジェムを取り戻し、一命をとりとめたさやかさんでしたが、
真実を知ったショックが大きすぎたのか自暴自棄のスパイラルに陥り、この日とうとう失踪。
まどかさんと共に探していたのですが……
早苗「くっ、一体何処に……」
まどか「早苗ちゃん、あれ……」
まどかさんの指差す方を見ると、そこには魔女の結界が出来ていて、丁度その狭間から暁美さんと佐倉さんが出てくるところだった。
そしてその佐倉さんの背に抱え込まれていたのは……
まどか「さやかちゃん!」
早苗「!? ……ちょっと待って下さい! まどかさん!」
まどか「っ!?」
思わず駆け寄ろうとするまどかさんを止める。
気付きたくは無かったが、気付いてしまったから……
私は声が震えそうになるのを努めて抑えながら、二人の魔法少女に問う。
早苗「一つだけ、尋ねます。さやかさんの魂は、どうなったんですか?」
杏子「………………」
ほむら「東風谷早苗、ホント、貴女は察しが良いのね……、お察しの通りよ。
美樹さやかは……、ソウルジェムをグリーフシードに変化させて、魔女を産んで消滅したわ」
25: 2011/10/09(日) 13:33:00.24 ID:07U8aeui0
まどか「えっ? ……ウソ、だよね?」
ほむら「事実よ、ソウルジェムが完全に穢れた時、魔法少女は魔女と化し、呪いを振り撒く存在となるのよ」
早苗「………う……じゅ……んです」
ほむら「美樹さやかは魔女化する直前、希望と絶望のバランスは差し引きゼロ、と言ったそうだけど、まさしくその通りよ。
希望が大きければ大きいほど、絶望もまた大きく……」
早苗「……もう十分です! 黙りなさい暁美ほむら!」
ほむら「っ!」
思わず口から飛び出した大声に、暁美さんの身体がびくりと震える。
今なら分かる、暁美さんがやたら契約する事を忌避し、それでも何も語ろうとしなかった理由が……。
言ったところで、普通の人間には助ける事も、慰めさえも出来やしない。
それどころか、下手に広まれば、今生きている全ての魔法少女を絶望のどん底に突き落とす事になる。
でも、だから、それがどうしたと言うのか?
久々に外の世界で普通の生活をしていたせいで、忘れかけていたらしい。
私が、どういう人間なのか、どういう存在なのか……。
それに私はマミさんの時に誓ったのだ、新たな被害者は出さない、と……
26: 2011/10/09(日) 13:39:34.50 ID:07U8aeui0
早苗「佐倉さん、魔女……いえ、さやかさんの居る場所に案内出来ます?」
尋ねつつ、私は制服にかけていた擬態の術を解く。
現れるのは、あっちの世界での巫女装束。
――ソレは仮初めの姿を止めると言う確固たる意思表示。
まどか「え? 早苗……ちゃん?」
杏子「出来るけど……、アンタ一体……」
魔法少女でもないのに、瞬時に衣装を変えた私にまどかさんと佐倉さんは目を丸くする。
出来れば隠し通したかったが、そんな事を言っている場合ではない。
纏う気配を人のソレから、神のソレに変える。
『たった一人の人間相手に何を本気になっている?』
私の中で一瞬、そんな問いかけが産まれる。
が、私はそれを瞬時に切り捨てる。
―― 人独り、女の子一人救えずして何が神か!
早苗「私は、守矢が風祝にして現人神の末裔、東風谷早苗! 人の身に祓えぬ魔を祓う奇跡の巫女です!」
27: 2011/10/09(日) 13:43:43.08 ID:07U8aeui0
――――――――――――魔女結界内―――――――――――――――
早苗「………………」
数分後、数十メートル先にさやかさんが変化したと言う魔女がいる。そんな場所に私たちは来ていた。
まどか「早苗ちゃん、どうなの?」
杏子「さやかは……助かりそうなのか!?」
早苗「……僅かですが、あの魔女の中に、さやかさんの魂のカケラが感じ取れます」
私が霊視結果を告げると二人の顔に笑みが浮かぶ。
だけど……
早苗「でも予断は許せません、カケラの量から言って、夜明けには完全に消え去ってしまうかと……」
まどか「どうすれば……、どうすればさやかちゃんを救えるの!?」
まどかさんの問いに正確に答える為、私は更に神経を研ぎ澄ます。
ここで手を間違える事は出来ない。
早苗「……さやかさんの魂のカケラは魔女の内側にあります。
なのでその周りに的割りついた穢れを祓う必要があります」
杏子「それは何時も魔女にやっているように、普通に攻撃すれば良いのか?」
早苗「はい、ただしそれは外郭までです。
その内側にはさやかさん自身の絶望から生まれた穢れが含まれています。
こちらは浄化する以外ありません」
28: 2011/10/09(日) 13:48:24.05 ID:07U8aeui0
まどか「浄化するにはどうしたら良いの?」
早苗「強制浄化も出来なくはないですが、非現実的です。
こればっかりはさやかさん自身に魂(こころ)を取り戻してもらう方が早いです」
杏子「つまり……、どういう事なんだよ?」
早苗「簡単に言えば呼び掛けです。これで寝ているさやかさんを起こします」
説明している自分で言うのもなんだがこれが相当厄介だ。
残っている魂のカケラがあまりに小さすぎる。
おそらく、さやかさんとしての自我は殆ど残っていない筈だ。
臨氏体験――三途の川で例えるなら、彼岸行きの舟に乗った直後くらい。
難易度としはルナティックの状態なのだが、詳しく説明はしてもアレなので省く。
杏子「それならやることは決まったな! あたしが外郭を斬り倒すから、まどか、アンタが呼び掛け役だ」
まどか「うん!分かった」
早苗「私は佐倉さんを補佐します。さて、そしたら……」
役割分担が粗方終わった所で私は彼女の方へと向き直る。
なんとなく着いてきてしまっただけなのか、居心地悪そうに後ろにいる、暁美ほむらさんの方へと……。
29: 2011/10/09(日) 13:52:10.75 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
ほむら(東風谷早苗……、巫女だ、神託だ、と言う話を最初聞いた時は戯れ言としか思ってなかったけど、今なら分かる……、
この子は人間とも魔法少女とも魔女とも違う、とんでもない力を帯びている……)
キュゥべえ……いえ、インキュベーターが執拗に彼女にも契約を迫って居たのも今なら納得出来た。
ほむら(兆候は幾つかあった、巴マミが負傷した魔女との戦い。
あの時魔女は倒される直前まで見えない何かを追いかけているようだった……)
ほむら(ソレと東風谷早苗が一時的に持ち去ったグリーフシード。あれも何故か持ち去る前と比べて穢れが減っていた)
屋上で私に見せた召喚術は最たる例だ。もしかしたら他にもあるのかもしれない。
だが……、
ほむら(これだけイレギュラー要素が大きいと、どう転ぶか全く予想がつかない。最悪、この戦いでまどかが氏ぬ可能性も……)
早苗「暁美さん……」
ほむら「っ!? な、何? 東風谷早苗……」
早苗「貴女に一つだけ、やって貰いたい事があるんです」
ほむら「私に……?」
私は確実に顔をしかめていただろう、魔女化した美樹さやかと戦えば間違いなく無傷では済まない。
ほむら(最悪の事態が起こってしまえば、やり直す事も……、って、何でこんな弱気になってるの!?
イレギュラー要素が大きすぎるから? それにしたってこんな考え……)
30: 2011/10/09(日) 13:56:41.67 ID:07U8aeui0
思考が嫌な方向に流れていく中、東風谷早苗が頭を下げてまでして出した頼みは意外なモノだった。
早苗「私たちが戦っている間、まどかさんを守ってあげて下さい」
ほむら「えっ?」
早苗「さやかさんの産み出した魔女の強さはこれまでと段違いの強さです。
まどかさんを完璧に守りながら戦って、勝てる相手とは思えません」
早苗「それに、暁美さんはまどかさんに対して格段に拘って居るように見受けられます」
早苗「無論、詳しい事情までは存じませんし、無理には聞きません。まどかさんを守るだけで結構です。お願いします!」
下げた頭は最後には土下座になっていた。
ここまでされてしまったらもう、答えは一つしかない。
いや、頼まれた内容がコレだった時点で私の中で断ると言う選択肢は消えている。
ほむら「分かった、その役目、確かに引き受けたわ。ただし……」
早苗「?」
ほむら「援護射撃ぐらいはやらせてもらうわよ?」
早苗「……はい! お願いします!」
この際だ、多少のサービスはしてあげるわ、東風谷早苗。
だから、貴女の力、とくと拝ませてもらうわよ。
31: 2011/10/09(日) 14:04:29.77 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
杏子「さぁて、それじゃ早速行くぜ!さやかっ!!」
魔法少女に変身した佐倉さんが開口一番、長槍を携え突撃する。
さやかさんの産み出した魔女、オクタヴィアが手に持った特大の剣で佐倉さんへ攻撃を仕掛けるより早く、私は術式を発動する。
早苗「秘術・グレイソーマタージ!」
私は素早く五芒星の印を描き、それを解き放つ。
オクタヴィア目掛け真一文字に飛んでいった五芒星は寸でのところで惜しくもかわされた。が……!
早苗「今です! 佐倉さん!」
杏子「もらった! まずは一撃ぃ!」
すかさず佐倉さんが痛烈な一撃を加え、右脇腹を切り裂く。
杏子「早苗、ナイスサポート! 次からあたしを呼び捨てで呼ぶ権利をあげるぞ!」
早苗「それは光栄です!杏子さん!」
ほむら「余所見してる暇はないわよ! 次が来るわ!」
次に現れたのは無数の車輪。
それを投げ輪のようにして飛ばしてくる。
杏子「うは!? これじゃあ近寄れねぇよ!!」
思わず悲鳴を上げる杏子さん、一見すると確かにそうなのだが、幻想郷の弾幕ごっこに慣れた目にはまだまだ温い。
早苗「任せてください! はぁっ!」
隙を見て、私は接近を図る。
あっさり全弾かわされるとは思ってなかったのか、一度抜けてしまえば後はがら空きだった。
早苗「同じ輪っかなら、諏訪子さまの方がよっぽど凶暴でしたよ! 奇跡・客星の明るすぎる夜!」
32: 2011/10/09(日) 14:09:00.68 ID:07U8aeui0
―――――――――数十分後――――――――――――――――
杏子「どりゃあああぁぁぁっ! これで………」
早苗「お仕舞いです! 秘法・九字刺し!」
ほむら「おかわりは、ご遠慮願うわよ!(グレネードランチャー」
カッ!!
特大必殺レベルの技がほぼ同時に直撃し、オクタヴィアの動きがとまる。
割れた外郭から見える内側には、一人の人魚のようなシルエット。
早苗「アレです!あそこにさやかさんの魂のカケラが!」
杏子「へへ……、やっとかい……、まどか、後は……任せた……ぜ……」
そう言うと杏子さんはその場に崩れ落ちる。
まどか「杏子ちゃん!?」
ほむら「体力使いすぎてへばっただけよ! まどかは美樹さやかへの呼び掛けに専念して!」
まどか「……分かった。 さやかちゃん、聞こえる!? 私だよ! まどかだよ! 分かる!?」
当初の手はず通り、まどかさんによる呼び掛けが始まる。
後はさやかさんがどれだけまどかさんの言葉に耳を貸すか……、なんだけど……。
33: 2011/10/09(日) 14:14:26.23 ID:07U8aeui0
―――――――――数十分後――――――――――――――――
杏子「どりゃあああぁぁぁっ! これで………」
早苗「お仕舞いです! 秘法・九字刺し!」
ほむら「おかわりは、ご遠慮願うわよ!(グレネードランチャー」
カッ!!
特大必殺レベルの技がほぼ同時に直撃し、オクタヴィアの動きがとまる。
割れた外郭から見える内側には、一人の人魚のようなシルエット。
早苗「アレです!あそこにさやかさんの魂のカケラが!」
杏子「へへ……、やっとかい……、まどか、後は……任せた……ぜ……」
そう言うと杏子さんはその場に崩れ落ちる。
まどか「杏子ちゃん!?」
ほむら「体力使いすぎてへばっただけよ! まどかは美樹さやかへの呼び掛けに専念して!」
まどか「……分かった。 さやかちゃん、聞こえる!? 私だよ! まどかだよ! 分かる!?」
当初の手はず通り、まどかさんによる呼び掛けが始まる。
後はさやかさんがどれだけまどかさんの言葉に耳を貸すか……、なんだけど……。
34: 2011/10/09(日) 14:18:04.61 ID:07U8aeui0
>>33コピペミス……orz
思い出すのは杏子さんから聞いた、魔女化直前のさやかさんの言葉……。
さやか『何が大切で、何を守りたかったのか……、なにもかも、訳、分かんなくなっちゃった……』
さやか『希望と絶望のバランスは差し引きゼロだ、って話、今なら良く分かる……』
さやか『……あたしって、ほんとバカ』
早苗「……確かにホント、大バカですよ……。そこまで分かってて何で諦めたんですか?」
早苗「そこまで自分の事が分かってるのならいくらでもやり直せた筈!」
早苗「時間にすると僅かとはいえ友達やってたよしみです。
もしもの時は多少強引な手になりますが……、なにがなんでも起きて貰いますよ、さやかさん!」
―――――――――――――(ほむら視点)――――――――――――――――
まどか「ねぇ、お願い!聞こえてるなら返事して!お願いだから、さやかちゃん!!」
ほむら(時刻は5時30分……、夜明けまであと数分……)
ほむら(だと言うのに美樹さやかが目覚める兆候はない。それどころか活動限界を示すように内側の輝きが弱くなってる!
やっぱり一度魔女化した魔法少女を元に戻す事は……)
早苗「…………こしい」
ほむら「東風谷早苗?」
早苗「ああっ、もうっ!まだるっこしい! まさかさやかさんがここまで寝坊助だとは思いもよりませんでした!」
ほむら「え? あ……さ、早苗さん?」
東風谷早苗のあまりの剣幕に、私は思わず敬語になる。
ああ、まあ、これはなんと言うか……
東風谷早苗がキレた。
思い出すのは杏子さんから聞いた、魔女化直前のさやかさんの言葉……。
さやか『何が大切で、何を守りたかったのか……、なにもかも、訳、分かんなくなっちゃった……』
さやか『希望と絶望のバランスは差し引きゼロだ、って話、今なら良く分かる……』
さやか『……あたしって、ほんとバカ』
早苗「……確かにホント、大バカですよ……。そこまで分かってて何で諦めたんですか?」
早苗「そこまで自分の事が分かってるのならいくらでもやり直せた筈!」
早苗「時間にすると僅かとはいえ友達やってたよしみです。
もしもの時は多少強引な手になりますが……、なにがなんでも起きて貰いますよ、さやかさん!」
―――――――――――――(ほむら視点)――――――――――――――――
まどか「ねぇ、お願い!聞こえてるなら返事して!お願いだから、さやかちゃん!!」
ほむら(時刻は5時30分……、夜明けまであと数分……)
ほむら(だと言うのに美樹さやかが目覚める兆候はない。それどころか活動限界を示すように内側の輝きが弱くなってる!
やっぱり一度魔女化した魔法少女を元に戻す事は……)
早苗「…………こしい」
ほむら「東風谷早苗?」
早苗「ああっ、もうっ!まだるっこしい! まさかさやかさんがここまで寝坊助だとは思いもよりませんでした!」
ほむら「え? あ……さ、早苗さん?」
東風谷早苗のあまりの剣幕に、私は思わず敬語になる。
ああ、まあ、これはなんと言うか……
東風谷早苗がキレた。
35: 2011/10/09(日) 14:22:53.21 ID:07U8aeui0
早苗「さやかさんがそう来るなら私にも考えがあります。これでも食らいなさい! 妖怪退治・妖力スポイラー!」
東風谷早苗がそう唱えると魔女の内側の光る核の部分から青い光の粒子が……、
って、この気配、あの魔女、と言うか美樹さやかの魔翌力じゃない!?
もしかしたら、これが東風谷早苗の言っていた強制浄化なのかもしれないが、これはあまりにも危険すぎる!
ほむら「ちょっ、東風谷早苗何してるの!? 美樹さやかを塵も残さず消し去る気!?」
早苗「黙って見てればいい気になって! 一人で悲劇のヒロインにでもなったつもりですか!?」
早苗「希望と絶望は差し引きゼロ……確かにそうかもしれません。ですが、さやかさんの何処がゼロなんです!?」
早苗「まどかさんが居ます! 杏子さんが居ます! 暁美さんだってこうして来てます!
まだ入院中ですがマミさんだって居るんです!
無論、私だってちゃんとついてます! これの何処がゼロなんですか!?」
早苗「訳が分からなくなった!? そりゃそうでしょうよ。
独りで全部抱え込んで、自分で自分追い詰めて……! そんなバカな話、私は絶対許しません!」
まどか「そうだよさやかちゃん、私たちが居るんだよ。力にはなれないかもだけど、話くらいだったら聞けるんだよ。だから……」
まどか「いい加減起きなさい! 美樹さやか!!」
36: 2011/10/09(日) 14:27:32.15 ID:07U8aeui0
まどかの一際大きな声が響き渡り、それと同時に朝日が……、
って、結界内に朝日……?
さやか「………………ん……、ふわぁ~……、あ、あれ? あたし今まで何を……」
まどか「さやかちゃん!」
まどかの脇に寝かせておいた美樹さやかの身体がむくりと起きあがる。
それを見て目に涙を貯めたまどかが美樹さやかに飛び掛かる。
さやか「うわっ!? いきなりなんなのまどか? って、あれ? 身体に力入んない!? なんで!?」
気がつくと周りは魔女の結界ではなく駅のホームで……
これは……、つまり……
ほむら「起こったの? 奇跡が……?」
これまで幾度となく見てきた美樹さやかの魔女化……
回避するのは難しく、他の悲劇を連鎖的に起こす原因になった事も多い。
その悲劇が、打ち破られた。
私は半ば呆然と、今回の時間軸のイレギュラー……東風谷早苗を見て……、
早苗「これでも起きない様なら、最終勧告です! 暁美さんのバズーカで早朝寝起きドッキリ ~いっぺん氏んでみる?~ を……!」
ほむら「って、貴女こそいい加減にしなさいっ!」
テンパってたので、思いっきりどついてあげた。
37: 2011/10/09(日) 14:31:52.47 ID:07U8aeui0
――――その後、さなホーム(さやか視点)―――――――
さやか「あ~、えっと、早苗? 出来れば私の魔翌力返してくれない? 魔翌力が足りなさすぎて動けないんですけど……」
ホントに動けなかった。
何でも私の目を醒ます為に、最後のショック療法として使った技が、妖気……つまり穢れを強制搾取するものだったらしい。
穢れだけを搾取するなら何の問題も無かったんだけど、そこまで器用な技ではないらしく、
魔翌力まで強制搾取された結果、あたし、美樹さやかちゃんは事実上の寝たきり状態になってしまった。
が、早苗から返ってくる返答は無慈悲なものだった。
早苗「あ、それは無理です。完全に私の力に変換しちゃいましたから」
さやか「早苗の鬼! 悪魔! 泥棒猫ぉ!!」
早苗「そんなに早く回復したいんですか?」
さやか「当たり前でしょ!? このままじゃあたし役立たずじゃない!?」
早苗「散々苦労かけて今更役立たずも何も無いでしょうに……」
強制搾取で霊力的に弱らせるまで親友のまどかさんの言葉にすら反応しないとか、ホント冷や汗が出ましたよ。
棘のある小言と、非難染みた視線を私に向けつつ、早苗はお茶を啜る。
さやか「それでも、償いぐらいさせてよぉ!」
早苗「……ホントにそれだけですか?」
さやか「えっ?」
38: 2011/10/09(日) 14:35:49.92 ID:07U8aeui0
早苗「人間関係……というか色恋沙汰のもつれを転嫁したいだけなんじゃないですか?」
さやか「っ!? そんな事は……、そ、それに早苗に何が分かるって……!」
早苗「分かりますよ。 私、フツーの人間じゃ、ありませんから」
さやか「あっ…………」
ポツリと一言、そうつぶやいた早苗の目は悲しげに揺れ動いていて……
詳しく聞かずとも何が起こったのかは想像に難くなかった。
早苗「それに実を言いますと、私もやらかしてるんです」
お恥ずかしい話ですけど、と付け加えて早苗が話し始める。
早苗「色々あって、周りに派手に喧嘩売っちゃいましてね。思いっきり叩きのめされました……」
さやか「叩きのめされた、って随分物騒な話ね……。ま、あたしも似たようなものか」
苦笑しながら言うと、早苗もふっと微笑んだ。
早苗「そうですね……それでは、似たものついでにアドバイスです。
人間って、転んだ数だけ強くなれるんです。転ぶ事も起き上がれば無駄じゃないんです」
早苗「だから……、ガンバレ、女の子!」
39: 2011/10/09(日) 14:39:50.12 ID:07U8aeui0
―――――――マミホーム(ほむら視点)―――――――――――
マミ「そう……、私が戦列を離れている間にそんなことが……」
イレギュラー、東風谷早苗他の介入により、美樹さやかの悲劇回避に成功した翌日、
私はようやく退院した巴マミを直撃、一部始終を話す事にした。
以前の時間軸で、知らされた事実に絶望し、無理心中を図られた嫌な記憶が脳裏を掠めたが、
意外にも巴マミは冷静に私の話を聞いていた。
ほむら「随分と落ち着いてるわね……、退院早々こんな話を聞かされたら、もっと取り乱すかと思ったのに……」
マミ「そうね……、私もなんでこんなに落ち着いているのか、不思議でしょうがないわ……。でもね?」
ほむら「?」
手にしたティーカップを見つめ、マミは優しく微笑む。
マミ「話を聞いてて、思ったの……、今こうして話だけ聞いてる私より、鹿目さんや美樹さん、
東風谷さんに佐倉さんの方がよっぽど苦しかったんじゃないか? って……。
もちろん貴女、暁美さんもね……」
ほむら「……………」
マミ「何処で知ったのか知らないけど、そんな事実を知ってなお戦ってくれてありがとう……、ここから先は先輩に任せなさい。それに……」
ほむら「それに?」
マミ「今度は私もなってみたいわ、皆で起こした素敵な奇跡の当事者に……」
そう言って穏やかに笑って見せるマミのティーカップを持つ手は震えている。
マミ「ごめんなさい、私、退院したばかりで部屋の整理がついてないの……、悪いんだけど……」
ピンポーン
40: 2011/10/09(日) 14:44:51.13 ID:07U8aeui0
マミ「あら? こんな時間に誰かしら? は~い?」
呼び鈴を受け、マミが出ていく。
間もなく聞こえたのは聞き慣れた声が3名分。
まどか「こんばんは、マミさん。 病院行ったら今日の昼に退院したって、聞いたんで……」
早苗「夜分遅くにこんばんはー、退院祝いのフルーツお持ちしました~」
杏子「リンゴ買ってきたぞ、ありがたく食え」
マミ「三人とも……、それでわざわざウチに?」
玄関から聞こえてくるマミの声は最初、困惑が混じり、やがて喜びの色のソレとなった。
部屋の中に流れていた空気も堅苦しいものから、大分和らいでいる。
早苗「ホントはさやかさんも行きたいって言ってたんですけどね~」
杏子「どっかの腋巫女がぶちキレてやり過ぎたからな、未だに家にすら帰れず失踪扱いなんだぜ? 可哀想に……」
早苗「そ、それはっ! ……私だって悪いと思ってるんですよ? そんな言い方って……」
まどか「あはは……」
そんな会話と笑い声、若干無理に盛り上げてる感があったが、それでも良いと今は思えた。
ちょっと前なら、こんな事、絶対思わなかったのに……。
ほむら「……私に期待を持たせた代償は大きいわよ、早苗」
私は幾分か冷めてしまった紅茶を飲み干すと、玄関先へと向かった。
呼び鈴を受け、マミが出ていく。
間もなく聞こえたのは聞き慣れた声が3名分。
まどか「こんばんは、マミさん。 病院行ったら今日の昼に退院したって、聞いたんで……」
早苗「夜分遅くにこんばんはー、退院祝いのフルーツお持ちしました~」
杏子「リンゴ買ってきたぞ、ありがたく食え」
マミ「三人とも……、それでわざわざウチに?」
玄関から聞こえてくるマミの声は最初、困惑が混じり、やがて喜びの色のソレとなった。
部屋の中に流れていた空気も堅苦しいものから、大分和らいでいる。
早苗「ホントはさやかさんも行きたいって言ってたんですけどね~」
杏子「どっかの腋巫女がぶちキレてやり過ぎたからな、未だに家にすら帰れず失踪扱いなんだぜ? 可哀想に……」
早苗「そ、それはっ! ……私だって悪いと思ってるんですよ? そんな言い方って……」
まどか「あはは……」
そんな会話と笑い声、若干無理に盛り上げてる感があったが、それでも良いと今は思えた。
ちょっと前なら、こんな事、絶対思わなかったのに……。
ほむら「……私に期待を持たせた代償は大きいわよ、早苗」
私は幾分か冷めてしまった紅茶を飲み干すと、玄関先へと向かった。
43: 2011/10/09(日) 15:22:16.41 ID:07U8aeui0
――――――――――さなホーム―――――――――――――
マミさん宅でのささやかな退院パーティーの後、私は話があると言う暁美さんを連れ、仮の自宅となっているアパートへと帰宅した。
ほむら「大して調度品もないのね……神棚だけやたら立派だけど……」
些か殺風景な部屋を見て、暁美さんが言う。
アンバランスなのは事実なので、私は苦笑するだけで流す。
ほむら「そう言えば……、この部屋に美樹さやかを寝かせてるのよね? 大丈夫なの? と言うか何処に居るの?」
早苗「ああ、それならそこの押し入れの中です。結界が張ってありますので、ご心配には及びません」
耐震防音、ついでに除霊機能付きですからさやかさんには絶対聞かれません、とお茶らけてみせながら内心汗を流す。
あの押し入れの中は実は結界なんて生易しいモノではない。
ズバリ答えを言ってしまうとスキマ――つまり幻想郷だ。
今頃、保護と魔翌力急速回復の為、と言うお題目で幻想郷中の実力者がさやかさんを囲んでいる筈だ。
さやかさんの安全と早期戦列復帰は確約されたも同義だが、別の意味では……、御愁傷様、である。
ほむら「?……なに遠くを見るような目をしてるの?」
早苗「いえ、なんでもありません。
さて、それでは洗いざらい話してもらいましょうか、暁美さんが今まで隠し通してきた真実のお話を……」
ほむら「何か気にさわる言い方ね……。まあ良いわ、今日はそのつもりで来たのだし。それより……」
早苗「?」
44: 2011/10/09(日) 15:29:21.14 ID:07U8aeui0
ほむら「これから話す話は常識はずれもいいところの訳がわからない話よ。そこのところ頭に入れておいて頂戴」
早苗「常識はずれ位今まで散々体験してきましたよ。だから……」
ほむら「なら、話すわね……、私の最後に残った道標の話を……」
<少女回想中>
早苗「成る程、それで納得が行きました。だからまどかさんはあんな分不相応な力をもっていたんですね……」
ほむら「? 東風谷早苗、それって一体どういう……」
早苗「あー、それはですね、簡単に説明しますと……」
一個人を想って繰り返し行われた時間遡行。
その中心点がまどかさんだと言うなら、それはつまり……
<少女説明中>
ほむら「そんな……、それじゃあ私の行動がまどかを……?」
早苗「残酷な話ですが、そうなりますね。無理を承知で言いますが、あまり思い詰めないで下さい。
今、ほむらさんが倒れたら、それこそ全てが無駄になりますよ」
言いながら、我ながら無茶な事を言っているな、とも思う。
相手を想っての行動が、完全に裏目に出ていたのだから、そのショックの大きさは推して量れない程だろう。
45: 2011/10/09(日) 15:35:24.02 ID:07U8aeui0
ほむら「それは重々承知してるわ……、ワルプルギスの夜を倒す、この目的だけは違えないわ」
そう答えた暁美さんの瞳には決意の炎が宿っていた。
強くて、どこか儚い、そんな炎が……
早苗「あー、すいません、暁美さん……」
だから私は、ここで特大の試練を暁美さんに課す。
早苗「今まで黙ってたんですが、実は今の話……」
私の言葉とほぼ同時に、さやかさんが入っているのとは反対の押し入れがスッと開く……
早苗「まどかさんも聞いてたんですよ……」
まどか「…………ほむらちゃん、今の話、ホントなの?」
ほむら「っ!? まど……か……?」
思わず身体を硬直させる暁美さん。
困惑気味の暁美さんがすがるような目線を送ってくる。
ほむら「東風谷早苗、これは一体どういうことなの? 話は絶対聞かれない、って……」
早苗「“さやかさん”には聞かれない、と言った覚えはありますが、まどかさんに聞かれない、と言った覚えはありませんよ?」
ほむら「………………」
早苗「当事者不在で話をややこしくするのは、もう止めにしましょう。
それにさやかさんの時も私言いましたよね? 独りで抱え込むのは許しません、って……」
後で聞いた話だと、この時の私は暁美さんには祟り神にみえたとか……失礼しちゃいますね!
46: 2011/10/09(日) 15:41:25.35 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
紫「それじゃ、そっちの準備は整ったのね?」
早苗「はい、大方は……、後は迎え撃つだけです。それで、一つ頼みがあるんですが……」
紫「なに?」
早苗「神奈子さまと諏訪子さま、それにあの人に、何時でも出られるよう待機させといてくれませんか?」
紫「あの人、ね……分かったわ、頼まれてあげる」
――――――――――――――――――――――――――――――――
そして迎えたワルプルギスの夜当日。
暁美さんたち魔法少女が突貫し、後衛兼後詰めをしていた私は、現場に加わろうとするまどかさんを見つけ、引き留めていた。
まどか「お願い、行かせて早苗ちゃん! 私にはあるんでしょ!? 物凄い力が……!」
早苗「だからこそ危険なんです」
確かに現状は悪化の一途で助太刀はいくらでも欲しい。
が、だからこそ判断を誤ることは出来ない。ここは無理を通してでも正しく導かなくてはならない。
まどか「えっ?」
47: 2011/10/09(日) 15:48:35.06 ID:07U8aeui0
早苗「いいですかまどかさん。古今東西、絶大な力を持つとされる神は各地で奇跡を起こし、人々を助け、伝説を残しました」
早苗「が、それと同じくらい、神は神罰や祟りを起こし、人々に苦を負わせました。
同じ神なのにこの違い……、何故だか分かりますか?」
私の言葉を暫く反芻していたのだろう、少し間があいて、まどかさんが答えた。
まどか「どんなに強い力でも、力の使い方で、奇跡にも祟りにもなる……?」
早苗「そうです、強すぎる力と言うのは赤子に持たせたピストルと大差ないんです」
奇跡と祟りは表裏一体、だからこそ神は過多な実力行使を嫌う。
例え行使せざるを得ないときでも、細心の注意を払う。
使い方を誤れば待っているのは破滅しかないからだ。
まどか「で、でもだからってなにもせずに見てろ、って事!? それじゃあほむらちゃんたちが……」
早苗「そうは言いません……手はあります。その強大すぎる力を制御出来れば良いんです」
まどか「えっ……?」
早苗「まどかさん、……“神”に、なっていただけませんか?」
48: 2011/10/09(日) 15:52:49.19 ID:07U8aeui0
―――――――――(ほむら視点)―――――――――――――
ワルプルギスの夜「キャハハハハハ……」
ほむら「くはっ……!?」
受け身をとることもままならず瓦礫の山に叩きつけられ、私は肺の空気を一気に吐き出した。
ほむら(魔翌力は残り僅か、身体の感覚もなくなりつつある……)
辺りを見回す。
マミも杏子もさやかも氏んでこそいないが、動くのも儘ならない状態である。
早苗からの援護射撃もさっきから途絶えている。
このままでは全滅だろう。
ほむら(ここまでなの? また私はまどかを救えないの?)
絶望感にうちひしがれつつ、私は唇を噛み締める。
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「ッ!? まどか!? どうしてここに……」
キュゥべえ「やあまどか、やっとボクと契約する気になったのかい?」
早苗「……それは違いますよ。インキュベーター」
ほむら「早苗!? 貴女まで何を……」
援護射撃もせず、その上まどかを連れてくるなんて!?と言う思いを込めて、随分と煤けてしまった白と蒼の巫女装束少女を睨む。
が、早苗は気づいているのかいないのか、私を無視する。
49: 2011/10/09(日) 15:55:51.34 ID:07U8aeui0
キュゥべえ「違うって、それじゃあ何をする気だい?」
早苗「こうするんですよ……行きますよ! まどかさん!」
まどか「早苗ちゃん、お願い!」
――――――――――――――――――――――――――――――――
神奈子『お、始まるようだね』
諏訪子『ようやく出番が来た、って感じだね。それにしても早苗もよくあんな無茶な事考えつくなぁ~』
神奈子『そうかい? 私は結構好きだけどねぇ、こういうの……』
諏訪子『まあ私も、嫌いじゃないんだけどね』
神奈子『さて、それじゃぁ……』
諏訪子『可愛い可愛い私たちの風祝の為に、一肌脱ぎますか……』
――――――――――――――――――――――――――――――――
早苗「八坂と洩矢の名の基に、守矢が風祝東風谷早苗が命ず……」
次の瞬間、早苗とまどかの周囲に淡く光る魔方陣が浮かび上がる。いや、この場合は単なる陣か、
激しい風が巻き起こり、陣に集う光が大きくなる。
魔翌力ではない何か別の力が集まっている、そんな気がした。
早苗「此の者、因果の力宿りし鹿目まどかに、因果を操るに相応しい神力を授けん!」
早苗「新人神様(あらひとがみ)降誕!」
まど神『………………』
早苗の呪と共にまどかの周りに展開した陣が眩いばかりの光を放つ。
その光は温かく、それでいて背筋が縮こまるような、神のごとき風格をまどかに纏わせていた。
50: 2011/10/09(日) 16:02:03.92 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
キュゥべえ「これは一体何事だい!? 早苗! まどかに一体何をした!?」
白の化け物、インキュベーターが困惑したような声をあげている。
表情こそ変化が無いが内心かなり驚いているのだろう。
ざまあみろ、と言いたい気持ちを抑え、努めて冷静に言う。
早苗「何を……、って、貴方たちと同じことをしたまでですよ。
まどかさんには私と……、私たちと“契約”して“神”になってもらいました」
まあ一時的なモノですけど……とは小声で付け加える。
早苗「まどかさんが持っていた力は因果の力、即ち繋がりの力です」
早苗「そしてそれは信頼と言う名の互い通しの信仰でもあります。
まどかさんほど因果と言う名の信仰心を集めた存在なら、神になることなど雑作もありません」
私が説明するとようやく合点がいったと言うようにインキュベーターが笑いだす。
キュゥべえ「ふふふ、そう言うことかい……、これは一本とられたね」
キュゥべえ「でも早苗、惜しかったね。まどかを神にしても結果は変わらないよ」
早苗「…………」
ほむら「どういう……こと?」
キュゥべえ「例え神になった所で、まどか自身にその力を行使しきれるほどの能力が無いのさ」
キュゥべえ「このまま放っておけばまどかの力は暴走し、魔女化した時と同等、いやそれ以上の禍となって降り注ぐ事になるね」
ほむら「そ、そんな!?」
キュゥべえ「これは一体何事だい!? 早苗! まどかに一体何をした!?」
白の化け物、インキュベーターが困惑したような声をあげている。
表情こそ変化が無いが内心かなり驚いているのだろう。
ざまあみろ、と言いたい気持ちを抑え、努めて冷静に言う。
早苗「何を……、って、貴方たちと同じことをしたまでですよ。
まどかさんには私と……、私たちと“契約”して“神”になってもらいました」
まあ一時的なモノですけど……とは小声で付け加える。
早苗「まどかさんが持っていた力は因果の力、即ち繋がりの力です」
早苗「そしてそれは信頼と言う名の互い通しの信仰でもあります。
まどかさんほど因果と言う名の信仰心を集めた存在なら、神になることなど雑作もありません」
私が説明するとようやく合点がいったと言うようにインキュベーターが笑いだす。
キュゥべえ「ふふふ、そう言うことかい……、これは一本とられたね」
キュゥべえ「でも早苗、惜しかったね。まどかを神にしても結果は変わらないよ」
早苗「…………」
ほむら「どういう……こと?」
キュゥべえ「例え神になった所で、まどか自身にその力を行使しきれるほどの能力が無いのさ」
キュゥべえ「このまま放っておけばまどかの力は暴走し、魔女化した時と同等、いやそれ以上の禍となって降り注ぐ事になるね」
ほむら「そ、そんな!?」
51: 2011/10/09(日) 16:05:40.56 ID:07U8aeui0
キュゥべえ「まぁ、力が制御出来れば話は別なんだけど、どうせ巫女である君が制御役になるつもりだったんだろう?」
早苗「…………」
キュゥべえ「でも残念だったね。 見たところ早苗、君はまどかを神にした事で力を使い果たしてる。
多分立ってるのもやっとなんだろう? そんな状態で制御出来るとでも……」
早苗「何を……」
確かにインキュベーターの言う通り、私は満身創痍だ。
いくら神奈子さまと諏訪子さま、そして私の奇跡を起こす力を総動員したとはいえ、
人間であるまどかさんを無理矢理神にしたのだ。
反動が無いわけがない。でも……
早苗「何を勘違いしてるんです?」
でも……、 だけど……、 だがしかし!
早苗「一体、何時、誰が、私がまどかさんの力を制御すると言ったんです?」
キュゥべえ「ッ!?」
その時、私は笑っていたのだと思う。
魔女とも神化したまどかさんとも違う力を背後に感じていたから……、
だから私は安心して意識を手放す。
早苗「後は、任せましたよ……」
早苗「……霊夢さん……」
52: 2011/10/09(日) 16:10:18.38 ID:07U8aeui0
――――――――(まどか視点)――――――――――――
霊夢「まったく……、人生初の外の世界だ、って言うのに人使い荒いわね……。でもまぁ、上出来よ、早苗……」
何故か安心しきった表情で早苗ちゃんがその場に崩れたかと思うと、
いつの間に来たのかもう一人、巫女さんがその場に立っていた。
巫女装束の色こそ普通に見かける赤と白のソレだったけど、脇が全開になった特異なデザインからして、早苗ちゃんの仲間なのかもしれない。
ぼんやりとそんな事を考えつつ、私は巫女さんに尋ねる。
まど神『あ、貴女は?』
霊夢「私は博麗霊夢、早苗の同業者、と言うか素敵な先輩よ」
霊夢「話は聞いてるわ、貴方の力を私に貸して頂戴」
私の力……、早苗ちゃんの術の後、身体の奥底から沸いてきた無限とも思える温かいソレ。
早苗ちゃん曰く、私に集まった信頼の力、らしいのだけど……
まど神『あ、あの、力を貸す、って一体どうやって……?』
霊夢「簡単よ、願えば良いの」
まど神『願う?』
霊夢「そうよ、貴方の心からの願いを今ここで言葉にして解き放つの。その言葉、願いが力となるわ」
まど神『私の願いを言葉に……』
それなら、それなら私は……
53: 2011/10/09(日) 16:14:47.27 ID:07U8aeui0
まど神『私は……、皆に不幸を呼び込む魔女を産まれる前に消し去りたい。
過去、現在、未来、全ての世界で産まれてしまった魔女を!! 皆を、救いたい!』
私が願いを口にすると、私の身体が眩いばかりの光を放ち始める。
霊夢「貴方の願い、力……、確かに受け取ったわ……」
霊夢「さてそういう訳なの……、終わらない夜は、ここでおしまいよ!」
―――――――――(ほむら視点)―――――――――――――
まどかが高らかに願いを述べると同時に紅白巫女の手に一本の弓が具現化した。
それは幾度かの世界で見た魔法少女となったまどかが持っていたものと同じで……。
それでいて弓の纏う光は今まで見てきたソレのどれよりも眩しくて……。
私は、ただただその光景に見とれる事しか出来なかった……。
霊夢まど神『夢想封印っ!!』
――――――――――――――――――――――――――――――――
天に特大の光の矢が放たれたかと思うと、それは天から降り注ぐ無数の矢となって地上に放たれた。
それまでの破壊と蹂躙が嘘のようにワルプルギスの夜が動きを止め、まるで霞のように消え始める。
その光景を相変わらず感情の読めない目で見届けるキュゥべえに、傘を手にした女性が語りかける。
紫「あのまどか、って子の、神としての能力は、次元に干渉する程度の能力、そこに霊夢の夢想封印……、
残念だったわね、貴方たちの企みもこれまでよ」
キュゥべえ「バカな……、どうしてこんな事が……」
紫「あら? ソレに関しては貴方たちがよく知ってる筈よ。強すぎる力は全てを滅ぼすの、例えソレが、絶望の歴史だったとしてもね」
そしてこの日、永きに渡る少女たちの絶望と悲劇の歴史はその幕を下ろした。
54: 2011/10/09(日) 16:20:27.36 ID:07U8aeui0
――――――――――――――――――――――――――――――――
明くる日、私はいつかのように早苗に屋上に呼び出された。
屋上にでると、学校だと言うのに巫女装束の早苗がいた。
ほむら「その格好……、そう、還るのね? 貴女の世界に……」
早苗「っ!? 何時から気付いてたんです?」
ほむら「最初から、と言いたいけど確信したのは美樹さやかを助けた時よ。アレは明らかに異質だったわ」
その他の何らかの介入や、先輩だと言う紅白巫女、それにいつの間にかインキュベーターの脇に現れた女性、
色々考えていくと、どう考えてもこの世のものとは思えないのよ。
と私が推理を披露すると、早苗は負けましたと言うようにそっと目を閉じる。
ほむら「で、還るの?」
早苗「残念ですし、名残惜しいですが、私たちはもう幻想の存在ですので……」
幻想……、幻想ね。ソレを言うなら……
ほむら「私たちも十分そっち側なんじゃないの?」
早苗「かもしれません。魔法少女の行き着く先としてはぴったりですしね、幻想郷は……」
まどかと霊夢の夢想転生により、世界の理は書き変わった。
結果、確かに魔法少女を基にする魔女は有史から消え去ったが、ソレは人々の呪や歪みから新たに生まれた闇の存在にへと置き換わった。
結局、大差ないのね……と皆が一様に疲れとも呆れともとれる顔になったのをいまでも覚えている。
早苗「穢れや畏れは人の世には付き物。妖怪や悪魔、怨霊はまさしくその典型例です」
早苗「人の世が人の世である以上、それは避けては通れません……」
ほむら「人が人であるが故に……か……」
明くる日、私はいつかのように早苗に屋上に呼び出された。
屋上にでると、学校だと言うのに巫女装束の早苗がいた。
ほむら「その格好……、そう、還るのね? 貴女の世界に……」
早苗「っ!? 何時から気付いてたんです?」
ほむら「最初から、と言いたいけど確信したのは美樹さやかを助けた時よ。アレは明らかに異質だったわ」
その他の何らかの介入や、先輩だと言う紅白巫女、それにいつの間にかインキュベーターの脇に現れた女性、
色々考えていくと、どう考えてもこの世のものとは思えないのよ。
と私が推理を披露すると、早苗は負けましたと言うようにそっと目を閉じる。
ほむら「で、還るの?」
早苗「残念ですし、名残惜しいですが、私たちはもう幻想の存在ですので……」
幻想……、幻想ね。ソレを言うなら……
ほむら「私たちも十分そっち側なんじゃないの?」
早苗「かもしれません。魔法少女の行き着く先としてはぴったりですしね、幻想郷は……」
まどかと霊夢の夢想転生により、世界の理は書き変わった。
結果、確かに魔法少女を基にする魔女は有史から消え去ったが、ソレは人々の呪や歪みから新たに生まれた闇の存在にへと置き換わった。
結局、大差ないのね……と皆が一様に疲れとも呆れともとれる顔になったのをいまでも覚えている。
早苗「穢れや畏れは人の世には付き物。妖怪や悪魔、怨霊はまさしくその典型例です」
早苗「人の世が人の世である以上、それは避けては通れません……」
ほむら「人が人であるが故に……か……」
55: 2011/10/09(日) 16:29:05.85 ID:07U8aeui0
早苗「……それでは暁美さん、私はそろそろお暇させて貰います」
そう言って歩き出そうとする早苗の背中に私はきつめの口調で声をかける。
ほむら「あら、待ちなさい早苗」
早苗「はい? なんですか?」
ほむら「何やってるの? 挨拶をしていく相手は私だけじゃないでしょう?」
そう言って私は早苗の背後を指差す。
早苗「えっ……?」
振り返る早苗、そしてその先には……
さやか「こらー、水くさいぞ! 早苗~っ」
――茶化すように怒ってみせるさやかと、
杏子「黙って行こうなんてアンタも随分甘ちゃんだな」
――そう言ってニヤニヤしている杏子と、
マミ「これで終わり、になんかさせませんよ。次に会うときは極上の茶葉をご馳走するわ」
――穏やかに微笑んでみせるマミと、
まどか「早苗ちゃん!私、早苗ちゃんの事、絶対忘れないから! だから早苗ちゃんも、私たちの事、絶対忘れないでね!」
――満面の笑みをみせるまどかが、居た。
56: 2011/10/09(日) 16:33:17.00 ID:07U8aeui0
一言声をかけられる度に早苗の瞳が潤み、それは遂に一粒の雫となり頬を伝う。
早苗「……なに、言ってるんですか? こんな事されたら……忘れられる訳……ないじゃないですか……」
流れる涙を拭い、早苗は殊更強い語気で言う。
早苗「半人前とは言え、神との約束ですからね! 忘れたら祟って出てやりますよ!?」
さやか「おー、こわいこわい。そんだけ言えりゃ大丈夫だね。 んじゃ、また」
杏子「またな!早苗!」
マミ「いつの日か、幻想の果てで会いましょう」
まどか「それじゃあまたね! 早苗ちゃん」
ほむら「早苗、またね……」
早苗「皆さん……、はい! それでは、またいつか……」
早苗はそう言うといつの間にか現れた狭間へと去っていった。
早苗が去ると狭間はすっと閉じていき……、そのまま消えていった。
もう届かないと知りつつ、私は小声で呟いた。
ほむら「ありがとう、私の素敵な奇跡の神様……」
< お わ り >
58: 2011/10/09(日) 16:41:47.07
面白かった
乙
乙
59: 2011/10/09(日) 16:47:14.72
乙でした!
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