1: 2021/02/05(金) 17:15:13.629 ID:HmKLBwGx0
弟子「どうされたのです師匠」

師匠「非情な現実に打ち震えておる」

弟子「よくわかりませんが次に進みましょう」

師匠「次などない」

弟子「あのような簡単な技では満足できません」

師匠「これ以上師をいじめるのをやめるのだ」

4: 2021/02/05(金) 17:17:44.123 ID:HmKLBwGx0
師匠「いいか弟子よ。お前の師は幼くして拳の道に目覚めて後何年もの修行を重ねた」

弟子「今も見た目口Oですが」

師匠「絶え間ない修練だ。血のにじむような練磨の日々だ」

弟子「えらい子ですね」

師匠「無に帰した」

弟子「なぜ泣くのです」

師匠「察するのだ。師は山にこもる」

弟子「師匠。待ってください。師匠」

6: 2021/02/05(金) 17:20:48.929 ID:HmKLBwGx0
弟子「……と、あれから一年。師匠はお元気でいらっしゃるだろうか」

師匠「弟子よ」

弟子「師匠。お久しぶりです」

師匠「息災であったか」

弟子「師匠もご無事で何よりです」

師匠「ふふふ」

弟子「可愛らしく微笑まれてどうしました」

師匠「とりゃあっ」

弟子「あっ」

8: 2021/02/05(金) 17:22:45.389 ID:HmKLBwGx0
師匠「しくしく……」

弟子「なぜ泣くのです」

師匠「ようやく会得した奥義を一瞬で破られた師の気持ちを考えてほしい」

弟子「あれが奥義だったのですか」

師匠「そうだ。必殺だ。当初の予定では」

弟子「会得してなかったのですね」

師匠「やめるのだ」

10: 2021/02/05(金) 17:25:55.968 ID:HmKLBwGx0
弟子「また師匠が山にこもられて一年」

師匠「弟子よ」

弟子「師匠。お久しぶりです」

師匠「息災であったか」

弟子「師匠もご無事で何よりです」

師匠「弟子に一つ言っておく」

弟子「なんでしょう」

師匠「師は強くなった。もう泣かない」

弟子「泣いてもいいです。可愛いので」

師匠「いかん。師を甘やかすな。では勝負だ」

弟子「しかたないですね」

11: 2021/02/05(金) 17:29:22.135 ID:HmKLBwGx0
弟子「師匠がギャン泣きで部屋に閉じこもって一日」

弟子「だから言ったのに」

師匠「……弟子よ」

弟子「おはようございます」

師匠「……」

弟子「朝ごはんできてますよ」

師匠「いらぬ」

弟子「ココアもあります」

師匠「もらう」

13: 2021/02/05(金) 17:31:31.808 ID:HmKLBwGx0
師匠「もぐもぐ……」

弟子「おいしいですか?」

師匠「師は考えた」

弟子「なんです」

師匠「なぜ弟子にかなわぬのだろうと」

弟子「たまたまでしょう」

師匠「理由はあったのだ」

弟子「何です?」

師匠「胸だ」

弟子「はい?」

14: 2021/02/05(金) 17:33:40.336 ID:HmKLBwGx0
師匠「丹田というものがある」

弟子「はい」

師匠「上中下とあり、胸には中丹田が位置する」

弟子「はい」

師匠「師とお前ではその発達具合が違うのだ。乳が」

弟子「おバカですか?」

15: 2021/02/05(金) 17:34:59.921 ID:HmKLBwGx0
師匠「師を愚弄するな」

弟子「申し訳ありません。泣かないでください」

師匠「泣かぬ。師は高みへと上る方法を掴んだゆえ」

弟子「と言うと?」

師匠「彼氏作る」

弟子「はい?」

師匠「揉んでもらうと肥大するという」

弟子「おバカですね」

師匠「……」

弟子「申し訳ありません。泣きやんでください」

16: 2021/02/05(金) 17:37:03.009 ID:HmKLBwGx0
師匠「とにかくもう遅れは取らぬ。師匠としても女としても勝って見せる」

弟子「言いにくいのですが」

師匠「なんだ」

弟子「来月結婚します」

師匠「えっ」

17: 2021/02/05(金) 17:38:41.162 ID:HmKLBwGx0
師匠「…………」

弟子「師匠?」

師匠「負けた」

弟子「師匠」

師匠「完敗だ。もう何も教えることはない。全て引き継いだ」

弟子「教わった期間実質一ヶ月ですが」

師匠「聞こえぬ。次はお前がどこでも好きな場所へ行き教え広めるがよい」

弟子「嫌です」

師匠「ええっ」

18: 2021/02/05(金) 17:40:49.164 ID:HmKLBwGx0
師匠「なぜ」

弟子「師匠と離れるなどあり得ません」

師匠「なんだと」

弟子「一人残してゆくなど考えられない」

師匠「弟子」

弟子「私がいなくなったら泣くでしょう」

師匠「うん」

19: 2021/02/05(金) 17:42:16.581 ID:HmKLBwGx0
弟子「ならば私は残ります。師匠の武技は師匠のもの。師匠が教え広めるべきです」

師匠「そうか。うむ、そうか」

弟子「私に子供ができたらその子にも教えてやってください」

師匠「あいわかった。約束は必ず守ろう」

弟子「その頃には師匠にも彼氏がいるといいですね」

師匠「うん!」

弟子「よしよし」

20: 2021/02/05(金) 17:43:25.018 ID:HmKLBwGx0
弟子「と、あれから五年」

師匠「弟子、弟子よ。大変だ」

弟子「どうしました相変わらず見た目口リな師匠」

師匠「先を越された」

弟子「というと」

師匠「お前の娘が秘奥義を編み出しおった」

弟子「なるほど」

師匠「反応薄い」

弟子「泣かない泣かない」

21: 2021/02/05(金) 17:44:20.344 ID:HmKLBwGx0
師匠「師はあとどれだけ踏みつけにされれば報われるのだ」

弟子「ちっこいから台にいいんでしょうね」

師匠「くぅ……しかし考えてみれば弟子たちの成長は喜ばしいこと。師はがんばって喜ぼうと思う」

弟子「えらいえらい。あ、ところで」

師匠「なんだ」

弟子「娘にボーイフレンドの噂が」

師匠「うがーっ」



引用元: 師匠「弟子が一ヶ月で奥義を会得した」