1: 2021/02/05(金) 19:54:05.165 ID:790GtuCQ0
男「……もしもし」

友人『俺だ』

男「なんだ……どうした?」

友人『実は……前々から追ってた犯罪組織について重要な情報を掴んだ』

男「ホントか! どんな情報なんだ!?」

友人『電話じゃマズイ……直接会って話す』

男「いや待て待て待て! それ絶対氏ぬやつじゃん!」

2: 2021/02/05(金) 19:57:06.742 ID:790GtuCQ0
男『氏んじゃうぞ! そんな情報は胸にしまっとけ! 誰にも話すな!』

友人「いや、どうしてもお前に話したいんだ!」

男『だけど――』

友人(殺気ッ!?)



――ドゴォンッ!



友人が立っていた場所には巨大な斧が降り注いでいた。

5: 2021/02/05(金) 20:00:24.006 ID:790GtuCQ0
友人の背後には身長2メートルを超える大男が立っていた。

大男「氏んでもらうぜ」

友人「ふん、やっとここまで来たんだ。そう簡単にやられるものか!」

大男「どうりゃっ!」

ブオンッ!

大男「せいやっ!」

ブオンッ!

友人も斧を巧みにかわす。

6: 2021/02/05(金) 20:03:29.452 ID:790GtuCQ0
その時だった。

大男「……」サッ

友人「!?」

シュバァッ!

斧を左手に持ち替え、鋭い一撃を見舞う。すれすれのところでかわす。

大男「ちっ!」

友人「あっぶねえ……スイッチもできるのかよ」

友人(長期戦は危険だ……一気に決める!)

7: 2021/02/05(金) 20:06:22.779 ID:790GtuCQ0
大男「ぬおりゃっ!」

友人(巨漢は……足から崩すッ!)

ベシィッ!

大男「ぬぐ……!」

ローキックで巨体が揺れる。

懐に入り込み――

友人「せいやっ!」

ガゴォッ!

顎に掌底を叩き込む。

大男「ぐはぁ……」ズズン…

友人「ふぅ……上手く脳震盪を起こせたようだな」

8: 2021/02/05(金) 20:09:49.082 ID:790GtuCQ0
男『もしもし、突然電話切れたけどどうなった!?』

友人「襲われた……おそらく組織の奴に」

男『だからいったろー! 絶対ヤバイって!』

男『悪いことはいわない! 組織のことは忘れて、このままどっか田舎にでも行け! 氏んじまう!』

友人「いや、そうはいかない。奴らは家族の仇……逃げるわけにはいかない!」

友人「そして俺が掴んだ情報は必ず親友であるお前に届けてみせる!」

男『おいっ!』

9: 2021/02/05(金) 20:12:30.423 ID:790GtuCQ0
友人「……ん?」



JS「ママー、遊ぼう遊ぼう!」

母「コラコラ」



友人(そうだ。俺が組織を潰さない限り、ああいう母子の平和も乱されてしまうかもしれないんだ)

友人(早いとこあいつにも情報を伝えて、一緒に戦えばきっと組織を潰せる……!)

10: 2021/02/05(金) 20:15:16.330 ID:790GtuCQ0
JS「遊んでくれないのー?」

母「ママ、これからお仕事だから」

JS「じゃあ、あそこのお兄ちゃんと遊ぼう!」

母「そうね」

友人「え」

JS「シャアアアアッ!」ダッ

母「キエエエエエエッ!」ダッ

母子が襲いかかってきた。

友人「なんだと!?」

12: 2021/02/05(金) 20:18:56.033 ID:790GtuCQ0
JS「シャシャシャシャシャ!」シュバババババッ

母「キエエエエエエエエエッ!」シュバババババッ

ビシュッ!

頬に切り傷ができる。

友人「この二人……ナイフ使いか!」

JS「シャアッ!」

母「キエッ!」

鋭い刃が幾度となく友人の急所を狙う。

14: 2021/02/05(金) 20:22:41.123 ID:790GtuCQ0
JS「シャッ!」シュバッ

友人「おっと!」

母「キエェア!」ズバッ

友人「ぐっ……!」

友人(なんという一糸乱れぬコンビネーション!)

友人(互いが互いの隙をかばってるから、反撃する瞬間が来ない!)

友人(だが、こういう時は――)

15: 2021/02/05(金) 20:26:03.643 ID:790GtuCQ0
友人はわざと自分からこける。

友人「ぐっ!」ドザッ

JS「え!?」

母「キエエッ!」

まだ経験が浅いであろう女子小学生は一瞬戸惑ってしまう。つまり、隙ができてしまう。

友人「ハァッ!」

すかさずハネ起き、両者の顎に一撃ずつ浴びせる。

JS「がっ……!」

母「ぐはぁ……!」

ドササッ…

友人「恐ろしい母子だった……」

16: 2021/02/05(金) 20:29:12.142 ID:790GtuCQ0
友人「もしもし」

男『よかった、まだ無事だったか』

友人「ああ……また刺客に襲われたけどな」

男『ちなみにお前が手に入れたのはどんな情報だ?』

友人「組織のボスに関する情報だ。優れた手腕を持つボスさえ倒せば組織は瓦解する……」

男『危険すぎる! もうやめとけ! 氏んじゃうから! 俺はお前と別れたくないんだ!』

友人「安心しろ。絶対お前に情報を届けてみせる。二人で組織を潰そうぜ!」

友人(これ以上徒歩は危険だな……タクシーを使おう)

17: 2021/02/05(金) 20:32:07.278 ID:790GtuCQ0
友人「タクシー!」サッ

ブロロロロ…

友人(ん、止まらない。乗車拒否するつもりか?)

ブロロロロロロロ…

友人(スピード上げた!?)

ブオオオオオオッ!

友人「なっ!?」

ドガシャァンッ!

18: 2021/02/05(金) 20:34:05.059 ID:790GtuCQ0
タクシーを皮切りに、次々と車が突っ込んでくる。

ブオオオオッ! ドカンッ!

ブオオオオオオッ! ガシャーンッ!

ブオオオオオッ! ズガァン!

友人(マジか……! 事故ることをまるで恐れてない!)

友人(ん、あれは――)

19: 2021/02/05(金) 20:37:02.858 ID:790GtuCQ0
ブロオオオオオオオッ!

運転手「タンクローリーだッ!」

友人「う、うわあああああっ!」



ドゴォォォォォオンッ!!!



大爆発が起こる。

20: 2021/02/05(金) 20:40:28.323 ID:790GtuCQ0
友人はかろうじてかわしていた。しかし、爆風によるダメージは大きい。

友人「はぁ、はぁ、はぁ……」ヨロヨロ…

友人(あいつのところに……行くまで、は……)

黒服「……」ザッ

友人(こいつは……! たしかボスの側近と噂される……)

黒服「あなたは知りすぎた……氏んでもらいます」

友人「くっ!?」

21: 2021/02/05(金) 20:43:00.159 ID:790GtuCQ0
拳が突き刺さる。

ドンッ!

友人「ぐはっ……!」

黒服「ほう、今の一撃で絶命しないとは……流石だ」

友人「こいつ……拳法の使い手!」

黒服「その通り。ボスを探る者は全てこの手で葬ってきました」

友人「うぐう……来い! 俺は必ずあいつに情報を伝えてみせる!」

22: 2021/02/05(金) 20:46:15.067 ID:790GtuCQ0
友人「ハァァッ!」

ブンッ!

渾身のアッパー。あっさりかわされる。

黒服「ぬるいですね」

ドドドッ!

三連撃。しかし、友人は倒せない。

友人「まだ、だ……!」

黒服「なんというタフネス……いえ、組織を憎む執念というやつですか」

友人「ああ……家族を殺されてから、俺はお前たちを滅ぼすために生きてきた!」

24: 2021/02/05(金) 20:49:27.382 ID:790GtuCQ0
ガッ! ドガガッ! バキッ!

何手か攻防を重ね、黒服が勝負に出る。

黒服「セヤァッ!」

バキィッ!

強烈なハイキック。

友人「あ、が……」グラッ

黒服「トドメだッ!」

アスファルトを抉る踏み込みから、突きを繰り出す。

25: 2021/02/05(金) 20:52:18.157 ID:790GtuCQ0
友人「これを……待ってた……」

メキャアッ!

目には目を。歯には歯を。突きには突きを。カウンターが決まった。

黒服「こ、こいつ……」グラッ

友人「シィッ!!!」

顔面に全体重を乗せた掌底を浴びせる。

グシャアッ!!!

黒服「ボス……もうし、わけ……」ドシャッ

友人「ぐ……!」ゲボッ

26: 2021/02/05(金) 20:55:44.579 ID:790GtuCQ0
友人「……」ヨロヨロ

男「おおっ、生きてたか」

友人「ああ……ギリギリだけどな……」

男「ボスの情報……教えてくれるか?」

友人「もちろんだ……」

友人「ボスは年齢20代後半、まだ若いな。一見平凡な容姿だが非常に狡猾な男だ」

友人「身長170cm、体重60kg、右目の下にホクロがあって福耳、水虫に悩まされてる」

友人「趣味は登山と温泉めぐり、ゲーム好きで特にドラクエに目が無い。バーミヤンによく通う」

友人「親友が一人いて、そいつはカタギらしいんだが、非常に大切にしてるらしい」

友人「なんか……こうして読むとまるでお前みたいなプロフィールだな」

男「ああ、その通り」チャッ

27: 2021/02/05(金) 20:59:17.174 ID:790GtuCQ0
銃口が向けられる。

友人「え……?」

男「俺がボスなんだ」

友人「な……!?」

男「だからいっただろ……“絶対氏ぬやつじゃん”って。散々忠告したのに……」

友人「くっ!」

男「あばよ」

ズドンッ!

28: 2021/02/05(金) 21:02:12.490 ID:790GtuCQ0
友人「……え?」

男「がはっ……」

友人「自分を……!? なんで……!?」

男「ずっと前から決めてた……お前にバレたら氏のうって……だから氏ぬ……それだけさ……」

男「あばよ、親友……家族の仇、うて、たな……」ガクッ

友人「……!」

友人「うおおおおおおおおおっ……!!!」






29: 2021/02/05(金) 21:05:52.907

俺が氏ぬやつじゃん!ってことか

引用元: 友人「電話じゃマズイ……直接会って話す」男「それ絶対死ぬやつじゃん!」