1: 2010/07/29(木) 23:46:18.90 ID:s1PQExDg0
男「やぁ、お疲れ様」

後輩「今日も地球を救ってるんですか?」

男「うん、そう」チョロチョロ

後輩「ジョウロ片手に言っても、いまいち締まりませんね」クスクス

男「ははは、違いないね」

後輩「それにしても、最近暑いですね……暑いのは苦手です」

男「異常気象ってこういうの言うんだろうねー。よし、終わり」

2: 2010/07/29(木) 23:53:11.64 ID:s1PQExDg0
後輩「先輩、これから暇ですか?」

男「んー、まぁ……いつも通りかな」

後輩「それじゃ、一緒に帰りませんか?」

男「んー、そうだね。いつも通りにしようか」

後輩「駅前のゲームセンターに寄り道しましょう!」

男「……それはいつも通りじゃない気がするけど?」

後輩「気にしない気にしない……新しいのが出てるから今日行きたいんです」

男「……まぁ、眺めるのは好きだから構わないけど」

後輩「やったー!さ、行きましょ行きましょ!」

3: 2010/07/29(木) 23:56:55.19 ID:s1PQExDg0
ジャララララ  ジャラララララ

男「相変わらずうるさい場所だなぁ……」

後輩「えーっと……あった!ありましたよ、先輩!」

男「ありましたよ、と言われても……」

後輩「これはアーケードシューティングの最高峰で……とりあえずやりましょう!」

男「え?」

後輩「ほらほら、早く100円を出してください!」

男「眺めてるつもりだったんだけど……まぁいいか」チャリン

4: 2010/07/30(金) 00:01:18.52 ID:mzlreb2A0
後輩「……(ガシャン バシバシッ)」

男(凄い表情で食い入るように画面を見てるな……よほど面白いんだろう)ガチャガチャ

後輩「あ、先輩危ない!(ポチッ」ボガボガーン

後輩「もー、先輩……もうちょっとでやられてましたよ?」

男「……申し訳ない」

後輩「……くっ……はっ!」ガチャガチャガチャガチャ

男「よっと……ほっと」がちゃん  がちゃん

5: 2010/07/30(金) 00:08:08.23 ID:mzlreb2A0
デレレレーン  ギャギャギャギギィ

男「なんかデカイの出てきたな」

後輩「こいつがラスボスですよ、ラスボス!」ガチャガチャ

男「おー、こいつで最後かー」かちゃ がちゃ

ビビビビビビ ピキューン ピキューン

ぐりんぐりん ぐるんぐるん

後輩「やっと最終形態……絶対倒すぞー!」ガガガガガ

6: 2010/07/30(金) 00:14:09.58 ID:mzlreb2A0
ボボボボボ   ボガーン
テーレーテレーレー♪

後輩「やったー!クリアだー!」グッ  パチパチパチ

後輩「……て、あれ……?」キョロキョロ

モブA「まさか今日でた新台をいきなりクリアするとは……」

モブB「これはいいもん見させてもらったなぁ」
ぞろぞろ…… ぞろぞろ……

男「大人気だねー、羨ましいよ。おめでとう」

後輩「……せ、せんぱい!か、かえりましょう!」(は、恥ずかしいっ!)ダッ

男「うん、そうしようか」タタタッ

モブA「よし、今度は俺が挑戦だぁ!」チャリン  ボガーン

7: 2010/07/30(金) 00:21:37.57 ID:mzlreb2A0
後輩「はぁ……はぁ……」

後輩(つ、つい我を忘れてしまってた……恥ずかしい……)

男「あ、そういえば」

後輩「え?何か忘れ物ですか?」(戻りたくないよー……)

男「名前入れるの、すっかり忘れてたね」

後輩「そ、そんなことですか……ははは」(よかった……)

男「せっかくクリアしたのに、勿体無いな……」

後輩「大丈夫ですよ。またクリアすればいいんですし」

男「あー、それもそうか」

8: 2010/07/30(金) 00:26:37.94 ID:mzlreb2A0
後輩「それより……すいません、先輩」

後輩「誘っておきながら、私だけが楽しんでしまって……」

男「んー……ほれ」スッ

後輩「え?あひゃい!?」ひんやり

男「走って疲れたでしょ?どうぞ」

後輩「あ、あの……」

男「楽しめた?さっきのゲーム」

後輩「え?あ、はい……凄く」

男「100円でエンディング見せてくれてありがと。感謝してるよ」

後輩「……ありがとう、ございます」ゴクゴク

9: 2010/07/30(金) 00:34:35.91 ID:mzlreb2A0
男「さて……結構あそこにいたみたいだね」

後輩「え……って、もうこんな時間だったんだ……」

男「俺は帰るけど、送っていこうか?」

後輩「いえ、大丈夫です。ここからそんなに遠くないですし……」

男「そっか、くれぐれも気をつけてね。じゃ」


後輩「……さて、私も急いで帰ろっと」

10: 2010/07/30(金) 00:47:40.79 ID:mzlreb2A0
後輩「今日を思い返してみると……はぁ……」

後輩「いつも通りとは言え、また先輩を蚊帳の外に……」ボフン

後輩「ゲーム始めると止まらないんだよなー、どうも」

後輩「だからと言って、他に誘う場所も浮かばないしなぁ……」ゴロゴロ



男「……」ピコピコ ボガーン

妹「おにいちゃーん、ご飯だよー……って、あれ?」

男「ん、ご飯出来たのか。今行く」

妹「お兄ちゃんがゲームしてるなんて珍しいね……なんかあった?」

男「いや、別に」ピッ スタスタ

11: 2010/07/30(金) 01:12:46.57 ID:mzlreb2A0
後輩「明日は、どこにも誘わないで普通に帰ってみようかな?」

後輩「……そういえば、今までゲームセンターとかに誘ってばっかだったな」

後輩「よし、そうと決まれば……おやすみ!」バサッ


男「……」ピコピコ

妹「えい、やぁ」ピコピコ ピキュンピキュン

男「……あ」ボガーン

妹「おにいちゃん……すっごく下手!」

男「も、もう一回だ……」

12: 2010/07/30(金) 01:36:55.77 ID:mzlreb2A0
チュン  チュチュン

後輩「ん、んん……はっ!」ガバッ

後輩「ええと時間は……えっ、もうこんな時間!?」

後輩「あーもー!お母さん!」

後輩母「あら、どうしたのそんなに急いで」

後輩「なんで起こしてくれなかったの!」

後輩母「え、今日は学校お休みでしょ?」

後輩「え……あ、そうだった……よかったー、焦って損したよ……二度寝しよっと」



後輩「っていう、夢を見たの」

後輩友「なるほど、だから遅刻してきたのか」

14: 2010/07/30(金) 01:43:20.19 ID:mzlreb2A0
男「……うぐ」フラフラ

男友「おいおいどうしたんだよ、ふらふらじゃねーか」

男「……昨日、少々徹夜してしまって」

男友「お前が徹夜……?今日の小テストの勉強でもしてたのか?」

男「……いや、ゲームをしていた。小テストあったな、そういえば」

男友「……大丈夫なのか?それで」

男「いつも、通りさ」

男友「あー、はいはい。いつも通りな」

15: 2010/07/30(金) 01:56:49.54 ID:mzlreb2A0
後輩「よーし、今日こそ先輩と普通に帰るぞー!」

後輩友「あらあら、何か気合入ってるねー、今日は」

後輩「ん?」ブー ブー 「メール……あ、先輩からだ」

男『すまないが、補習を受けるハメになっってしまった。地球は君の手で守って欲しい』パタン

後輩「はーあ……今日はダメっぽそう、かな?」トボトボ

後輩友「私も手伝うから、気を落とさないで……」タタッ

17: 2010/07/30(金) 02:13:32.29 ID:mzlreb2A0
男「大分居残りさせられた……日が落ちかけてきてるし」

男「しかし、あそこまで酷い結果になるとは思ってなかった……」

男「……あれ?」

後輩「あ、先輩。お疲れ様でした」

男「後輩……帰ってなかったのか?」

後輩「私が地球を、守らないといけませんからね」エッヘン

男「……ホース握り締めながらだと、締まらないな」ククク

後輩「……いつも先輩がそうなんですよ?」クスクス

18: 2010/07/30(金) 02:20:39.17 ID:mzlreb2A0
後輩「先輩、この後お時間あります?」

男「んー、いつも通りだよ」

後輩「それじゃ……今日は、普通に帰りませんか?」

男「普通に……」

後輩「いつもゲームセンターとかに誘ってばかりなので、普通に帰りましょう!」

男「後輩は、それでいいのか?」

後輩「私から言い出して、私がダメってあると思います?」

男「……それもそうだな」

後輩「じゃ、私ホース直してきますねー」タタッ

19: 2010/07/30(金) 02:31:13.70 ID:mzlreb2A0
男「……」スタスタ

後輩「……」トコトコ

後輩(い、いざ普通に帰ってみると……何を話していいのか分からない!)

男「……後輩」

後輩「え、ひゃい!?」

男「……今日はありがとう、助かったよ」

後輩「い、いえ……もう慣れました!」

男「……」ショボーン

後輩(こんなこと言うはずじゃ……あうぁ)

20: 2010/07/30(金) 02:40:55.03 ID:mzlreb2A0
後輩「あ……私の家こっちなんで」

男「ん、そうか」

後輩「では、先輩。また明日」

男「ああ、またな」



後輩(結局何にも話せなかった……)

後輩(なんでこうなのかなぁ、私……) 「はぁ……」トボトボ


男「……」

妹「おかえりー……って、おにいちゃん?どうしたのそんな顔して」

男「……いや、別に」トボトボ

妹「??」

22: 2010/07/30(金) 02:57:10.86 ID:mzlreb2A0
後輩友『で、ぜーんぜん話せなかったどころか、先輩の弱いとこ突いちゃったと』

後輩「うん……」

後輩友『あんたねぇ……気にしても仕方ないでしょうが』

後輩「え?」

後輩友『あんたがうーじうじしてたら、今日の言葉が取り消せるわけ?』

後輩「……」

後輩友『明日せっかく休みなんだから、遊びに誘ってみるとかしてみなよ』

後輩友『少なくとも、いじいじしてるよりはマシだと思うけど?』

後輩「……ありがと、友」

後輩友『当然のこと言ってるだけ。感謝されるほどでも無いってのー』

後輩「……そっか」

後輩友『じゃ、頑張ってねー。ひそかに応援してるから、ね』ピッ

23: 2010/07/30(金) 03:04:35.40 ID:mzlreb2A0
後輩「友はああ言ったけど……休日に遊び誘ったことなんて無いんだよな……」

後輩「……あーもー!悩んでも仕方ないっての!」ガバッ

後輩「ここは……行動あるのみ!」

ツー ツー ツー

後輩「あれ……?通話中……?」ピッ

ツー ツー ツー

男「ん……通話中なのか」ピッ

24: 2010/07/30(金) 03:19:06.50 ID:mzlreb2A0
後輩「なんか凄く出鼻を挫かれた感じが……」

後輩「いや、諦めちゃダメだ!」ピッ ピッ

プルルルル  プルルルル

男「ふぅ……落ち着くな」カポーン

男「今日のあれで後輩は楽しかったのか?女心というのはよく分からないな」

プルルルルルル

妹「あれ?おにいちゃんの携帯鳴ってる……でも、おにいちゃんお風呂だし……」ピッ

妹「はい、もしもしー?」

後輩(え、え、え?女の子の声……?)

25: 2010/07/30(金) 03:30:25.38 ID:mzlreb2A0
妹「……?どちら様ですか?」

後輩「え、えとえと……その……」

男「おい、コラ!」ポコン

妹「あいたっ!あ」ヒョイ

男「はい、もしもし」

後輩「あ、あのそのえとあの……先輩!」

後輩「明日、私と一緒に出かけまひぇんか!?」

男「ん、あ、あぁ……構わないが」

後輩「ひゃい!ありがとうございまひゅ!」プツッ

男「あ、おい……切れた」

妹(……)ソロー ガッ

男「……」 妹「……ごめんなさい」

26: 2010/07/30(金) 03:57:27.16 ID:mzlreb2A0
後輩「……誰だったんだろ、あれ」

後輩「先輩の彼女……とか?いや、そんな……」ボフ

後輩「多分、妹とかそういうのだよ、うん、きっとそう、うん」

後輩「……お風呂、入ってこよう……」トボトボ


プルルルルルッル
男「んー……繋がらないな」ピッ

妹「い、いたひ……」

男「これに懲りたら二度とするんじゃないぞ」

妹「肝に命じておきます……はい」

27: 2010/07/30(金) 04:13:31.73 ID:mzlreb2A0
チュン  チュチュチュリン
後輩「……」

後輩「あの後、気付いたら寝ちゃってたな……」パカ

後輩「あ、先輩から電話きてた……最悪」

後輩「あーもーあー!!」ワシワシワシ

後輩「……バカやってないで、早く準備しなきゃ」とてとて


男「……朝、か」

男「結局繋がらなかったな……電話」

男「んー……」ボリボリ

男「ま、とりあえず準備かな」どたどた

35: 2010/07/30(金) 13:37:40.41 ID:mzlreb2A0
後輩「よし……これでOK、かな?変じゃない……よね」

後輩「あ、そういえば……待ち合わせ場所決めてなかった……」パカ

後輩「……昨日あんな感じで電話切っちゃったし、ちょっとかけにくいな……」

プルルルルルル

後輩「!!」ピッ 「は、はい!」

男「おはよう、後輩」

後輩「お、おはようございます、先輩!」

男「今日の待ち合わせ場所はどこなんだ?昨日聞くのを忘れていた」

後輩「え、えと……駅前のゲームセンターに……10時くらいで」

男「ん、了解。それだけだった、じゃ」ピッ


後輩(……電話だと緊張して話しにくいや……なんでだろ)

36: 2010/07/30(金) 13:58:57.44 ID:mzlreb2A0
後輩「……はっ……はっ」タタタタッ 

キキキキィィィ

後輩「せ、せんぱぁい!お、おはようございますぅ……」

男「ん、おはよう。随分と大変だったみたいだね」

後輩「は……はい……」(あーだこーだと考えてたらいつの間にか……)

男「ま、こっちもさっき来たばかりだから急がなくて大丈夫だったけどね」

後輩「そ、そう……でしたか……」はぁはぁ

男「……落ち着くまで、座ろうか」

後輩「は、はい……すいません……」

37: 2010/07/30(金) 14:04:56.52 ID:mzlreb2A0
後輩「先輩って、妹さんいたんですか……昨日はびっくりしちゃいました」

男「ほんと申し訳ないな。きつく言い聞かせておいたから許してやってくれ」

後輩「い、いえ……私はてっきり……」

男「てっきり?」

後輩「……な、なんでもないです!」

男「ふーん、そうか。で、そろそろ落ち着いたか?」

後輩「はい、大丈夫です……ほんとお時間取らせちゃってすいません」

男「お金取られてないから構わないさ。じゃ、行こう」

後輩「はいっ!」

39: 2010/07/30(金) 14:13:01.14 ID:mzlreb2A0
ジャララララ ジャララララ
男「こっちは大型だけあって音も凄いな」

後輩「やっぱり、こういうとこ苦手ですか?」

男「大きい音は苦手だけど……ゲームが嫌いなわけじゃないから心配しなくていい」

後輩(そ、そうだったんだ……ゲーム自体が嫌いなのかと思ってた)

男「今日はどんなゲームするんだ?」

後輩「えっと、そうですね……」(アーケード系は独りの世界に行っちゃうから……)

後輩「こんなんどうでしょう?」ビシッ

40: 2010/07/30(金) 14:19:36.70 ID:mzlreb2A0
男「なるほど、こういうのも悪くないな」バン! バン!

後輩「は、はいぃ、で、で、ですねぇ……」(ひ、ひいええええ!!)プルプル

男「こういうの、好きなのか?」バババン!

後輩「え、えと……初めてです、今日が」(あ、頭が飛んだぁぁぁぁ!!)

男「そうか……っと」ガリッ

後輩「ひっ!」(画面が血でまっかっかに……)

デレレレーン  GAME OVER

男「あ、終わっちゃったな」

後輩「や、やっぱり初めてだと、む、難しいですね……」(や、やっと終わった……)

41: 2010/07/30(金) 14:27:25.57 ID:mzlreb2A0
後輩「今日は少しゲームを見て回りませんか?先輩もゆっくり見たことないですよね?

男「んー、そうだな……たまにはいいかもしれない」

後輩「私、飲み物買ってきますよ!何がいいですか?」

男「後輩は、何が飲みたい?」

後輩「私ですか?私は……コーラですかね」

男「ん、了解した。ここで待っててくれ」スタスタ

後輩「……あれ?」

43: 2010/07/30(金) 14:47:34.05 ID:mzlreb2A0
男「クイズゲームか……最近はこんなゲームもあるんだな」

カード発行 一枚『300円』

男「ん、カードが必要なのか?」

後輩「カード無しでも出来ますけど……せっかくだし私のカード使いましょう」スッ
ピローン  レベル50

男「結構レベル高いんだな」

後輩「一時期ハマってやってたんで……あ、始まりますよ」

問題『漫画家手塚治虫の作品で無免……』ピローン

男「問題最後まで言ってないぞ?」

後輩「今のとこまで聞けば分かりますよ。『ブラック・ジャック』と」
ピロリローン 正解!

男「おー」

44: 2010/07/30(金) 15:02:03.48 ID:mzlreb2A0
問題『もしあなたが、それを十分に愛するなら。どんなものでも、あなたに話しかけてくれるでしょう。
   という言葉を残した、アメリカの植物学者は誰でしょう?』

後輩(うぐ……名言とか苦手なんだよね……さっぱりだ……)ぴと

後輩「へっ!?せ、せんぱいっ!?」(先輩の手が私の手の上に……)

ピローン

男「『ジョージ・ワシントン・カーヴァー』」
ピロリローン  正解!

後輩「す、すごいです先輩……」ドキドキ

男「十数問の中で一問だけ出来て凄いなら、後輩は超人だな」スッ

後輩(あ、手が離れちゃった。もうちょっと……なんてね)

46: 2010/07/30(金) 16:03:11.27 ID:mzlreb2A0
『結果発表 一位!』 テレーン

後輩「やった、やりましたよ先輩!」

男「まぁ、ほとんど後輩が正解してたがな」

後輩(やば……また私一人で楽しんでたかな……)

男「よっと」チャリンチャリン ピーッ

後輩「あれ?先輩何してるんですか?」

男「結構面白かったから、カードを作っておこうかと」スッ

男「今度は二問ぐらい解けるように頑張っておくよ」

後輩(今度ってことは……) 「はいっ!」ニコニコ

47: 2010/07/30(金) 16:26:14.17 ID:mzlreb2A0
男「そういえば……お昼どうするか決めてる?」

後輩「……そういえば、考えてませんでした」

男「この辺なら飲食店も多いし、大丈夫かな」

後輩(……現在の財布の中は……あれ、300円…!?つ、使いすぎた……)

後輩「あ、の……せ、せんぱい……」

男「ん?どっかオススメがあるの?」

後輩「ごめんなさい……お店で食べれるほど、お金が無いです……」

男「いや……おごるから気にしなくても」

後輩「わ、私が気にするんですっ!そ、そうだ……私の家で食べましょう!」

男「……え」

48: 2010/07/30(金) 16:37:32.24 ID:mzlreb2A0
男「……意外と遠くないんだな」

後輩(い、勢いで呼んじゃったけど……どうしようどうしようどうしよう!)

男(二階建てかー、なかなかいい家だな)

後輩「あ、あの先輩!あ、あがっちゃってください!」ガチャリ

後輩母「あらあんた、帰ってきたの……って」

後輩(し、しまったー!今日お母さん家に……)

男「どうも、お邪魔します」

後輩母「あらあら……彼氏連れて来るなら言ってくれなきゃ……」

後輩「ちがーっう!!」

50: 2010/07/30(金) 16:55:47.65 ID:mzlreb2A0
後輩母「すいませんねぇ、突然でこんなものしか準備できなくて」

男「いえ、凄くおいしいですよ」

後輩「お母さん!静かにしてて!」

後輩母「あらあら……怖い子ねぇ」

男「……」モグモグ


後輩母『あの人、彼氏じゃないならなんなの?』

後輩『学校の先輩だよ……変に勘繰らないで、お願いだから』

後輩母『なかなかかっこいいじゃない。どっか抜けてる感じがするけど』

男「……あの」カチャカチャ

後輩「か、片付けはしますから大丈夫ですよっ!」あたふた

52: 2010/07/30(金) 17:17:40.45 ID:mzlreb2A0
男「……」ジャー フキフキ

後輩「えと、休んでて構わないんですよ?先輩」カチャカチャ

男「ご馳走になっておいて、それは出来ないな」

後輩「……ですか」

男「おいしかった、ありがとう」

後輩「え?」

男「後輩も作ってたんだろ?さっきいなかったし」

後輩「えと、あの、その……ありがとうございます」

男「いや、俺は食べてただけ」フキフキ

54: 2010/07/30(金) 17:52:47.71 ID:mzlreb2A0
男「よし、終わったな」

後輩「あ、ありがとうございました、先輩」

男「だから、ありがとうはこっちの方だって」

後輩「え、えとえと……これからどうしましょう……」

男「んー……どうする?」

後輩「駅前に戻るのは面倒だし……そうだ!」ばたばた

後輩「これで遊びましょう、先輩!」ジャーン

男「うお……随分と古いのが出てきたな」

後輩「うちではまだまだ現役ですよ、こいつは」フー フー ガシャン

55: 2010/07/30(金) 18:01:03.81 ID:mzlreb2A0
後輩「……はっ、とっ」
『しょーりゅーけんっ!』『どすこーい!どすこーい!』
『はどぅーけんっ!』『どすこい!どすこい!どすこい!』
『ウーワッ ウーワッ ウーワッ ドサ』

男「……格闘ゲームも出来るんだな」

後輩「子供のときこれしか無かったんで……やりこみましたよ」

『どすこい!どすこい!どすこい!』

男(横綱みたいな奴が車に向かって猛烈な張り手を繰り出している……)

後輩(よく考えたらこの光景シュールだな……ってか)

後輩(また私一人で楽しんでるっ!?)ガーン

56: 2010/07/30(金) 18:32:10.32 ID:mzlreb2A0
後輩「あのっ、先輩もやりましょう!」

男「んー……やったことないんだよな、格闘ゲームは」

後輩「操作方法教えますから……ダメですか?」

男「ま、何事も経験だろうな」スッ

後輩「え、えと……このボタンがパンチで……」

男「なるほど、ここがキックか……」

後輩「で、十字キーを↓\→で……」


後輩母(あらあらあの子ったら、目を輝かせちゃって……ふふふ)

57: 2010/07/30(金) 18:52:09.59 ID:mzlreb2A0
男「なるほど……やってみるか」

後輩「一人プレイで練習してみるといいですよ」

男「ん、そうだな」ピコピコ

後輩(先輩が選んだのは……)

『くにへかえるんだな、おまえにもかぞくがいるだろう』

後輩(適当に選んだだけ、だよね……?)

男「……お、っとと」ポチ ポチ

『ブーン!ブーン!ブーン!』

後輩(そういえば、人がゲームしてるとこ眺めるなんて初めてな気がする……なんか新鮮)

59: 2010/07/30(金) 19:12:59.18 ID:mzlreb2A0
男「なんか適当にやってたらクリアしてた」

後輩「先輩、凄いです!いきなりでクリアできるなんて」

男「んー、そうなのか?」

後輩「筋がいいんじゃないですかね……きっと上手くなりますよ!」

男「そうだったらいいんだが……っと、外が暗くなり始めてるな」

後輩「あれ?もうそんな時間でしたっけ……」

男「結構お邪魔しちゃってたみたいだな。そろそろ帰るとするよ」ガタン

後輩「あっ……今日は楽しかったです、凄く!」

男「今度は俺から誘わせてもらうよ。じゃあ」バタン

60: 2010/07/30(金) 19:19:12.78 ID:mzlreb2A0
男「ただいまー」

妹「おにいちゃんおかえりー……って、なんでそんな嬉しそうな顔してんの?」

男「そうか?別に何も無いが」

妹「……ふぅぅーん……昨日の女の人だね」

男「そうだけど、どうかしたか?」スタスタ

妹「やっぱりね……ってなんでそんな反応薄いの……」

男「腹、減ってる?」

妹「うん、凄く減ってる」

男「じゃ、すぐ飯にするか」



後輩母「にやにやにや」

後輩「……なによ」

後輩母「頑張りなよー。なんだか鈍そうな子だったし、一筋縄じゃいかなそうよ?」

後輩「う、うるさいなぁもう!」

61: 2010/07/30(金) 20:24:32.96 ID:mzlreb2A0
後輩「今日は楽しかったな……」プクプク

後輩「家に呼べたし、料理もおいしいって言ってもらえたし……」

後輩「先輩も、楽しめてたかな?そうだったら嬉しいな……」

後輩「こりゃ、後輩友には感謝極まりないや」ザパーン


妹「今度は格闘ゲームしてるんだ……最近ゲームよくするね、おにいちゃん」

男「別に、したくなっただけだ」

妹「ふーん、そうですかー。お風呂沸いたからねー」

男「……」ポチ  ポチポチ

62: 2010/07/30(金) 20:54:10.24 ID:mzlreb2A0
後輩友『ふーん、上手くいったんだ……よかったじゃん』

後輩「うん、友のおかげだよー。ありがとう」

後輩友『ふっふっふ。崇め敬いたまえ』

後輩「ははっー……今度ジャンボパフェおごるよ」

後輩友『へへへ、やっりー!忘れんなよー?』

後輩「ふふふ、ちゃんと覚えておくって……うん、じゃぁね」ピッ


後輩「次からも、今日みたいに楽しめるといいなー……寝よう」バサッ

64: 2010/07/30(金) 21:32:19.03 ID:mzlreb2A0
妹「すー……すー……」

男「……少し、付き合わせ過ぎてしまったな」

男「コントローラーを握りながら寝るとは、器用な奴め」バサッ

男「ん、意外と軽いんだな」

妹「んー、んー」ゲシゲシ

男「……さっさと運んで俺も寝るか」ふわぁー

男(後輩はこれを何時間って練習するんだろうな……尊敬するわ)ノロノロ

68: 2010/07/30(金) 23:28:52.25 ID:mzlreb2A0
チュチュン  チュリン

後輩「あ、朝……今日は、学校だよね、うん」

後輩「……あれ、なんだろ……頭がフラフラする」

後輩「あうあー……下降りて熱計ろっと……」ヨロヨロ

後輩母「あんたどうしたの!顔真っ赤じゃない!」

後輩「あ、やっぱり?なんか調子悪くてさ……」

後輩母「すぐに熱を測りなさいな」

後輩「そのつもりで降りて来たんだってば……」スッ
 ピピピッ

後輩母「39度……凄い熱だわ。今日は学校を休みなさい」

後輩「ふぁい……」

71: 2010/07/30(金) 23:55:42.80 ID:mzlreb2A0
男「……」シャワワー

男「これでよし、と」


後輩友『後輩なら今日は学校休んでますよ』

男『ん、そうか……ありがとう』

後輩友『あなたが……先輩さん、ですか?』

男『そうだが……なにか?』

後輩友『後輩がいつもお世話になってます』

男『世話をしなくてもしっかりしてるから特に世話はしてないが』

73: 2010/07/31(土) 00:13:57.18 ID:g6hgS8ye0
後輩友『しっかりしてるように見えますけど、意外と抜けてるですよ?あの子』

男『あー、確かに。言われてみればどっか抜けてる気はする』

後輩友『ふふっ……面白い人ですね、先輩』

男『そうか?』

後輩友『後輩のこと、よろしくお願いします』

男『んー……面白い人に任せて大丈夫?』

後輩友『面白い人だから、ですよ』クスクス


男「なんか知らんが頼まれてしまったからな。行くとするか」

74: 2010/07/31(土) 00:40:31.51 ID:g6hgS8ye0
後輩「うー……すっごい暇だー……」

後輩「こうダルいとゲームなんてする気も起きないし……」ゴロゴロ

ピーンポーン

後輩「あれ?誰か来た……友かな?はーい、今出ますー」

後輩「友ー?暇すぎて氏にそうだったよー」ガチャ

男「む、氏にそうだったのか……そりゃ大変だ」

後輩「せん……ぱい!?」

75: 2010/07/31(土) 01:31:12.61 ID:g6hgS8ye0
男「風邪だったらしいね、大丈夫?」

後輩「あ、は、はい!」(私……パジャマ姿で髪の毛ぼさぼさ……)

男「まだ顔が赤いぞ……無理してるんじゃないか?」

後輩「い、いえその……大丈夫です!」

男「本当か?」ピトッ

後輩「あ……え……?」(先輩の顔が近くに……私はパジャマで……先輩の目、綺麗だな……)

後輩「ふぇあ……」プシュー  バタン

男「だ、大丈夫か!?後輩!後輩!?」

77: 2010/07/31(土) 01:40:15.84 ID:g6hgS8ye0
後輩母「すいませんねー、うちの子が……」

男「いえ、なんか自分が無理させちゃったみたいで申し訳ないです」

後輩母「そんなことないと思うわよ?」

男「後輩がこれ以上無理してもいけないんで、自分帰ります」

後輩母「あら、もう少しゆっくりしていったら……」

男「いえ……」ギュ 「?」

後輩「せん……ぱい」ギュゥゥ

男「……」ポフ

後輩母「それじゃ、私は飲み物でも持ってきましょうかね」タタタ

80: 2010/07/31(土) 01:51:27.68 ID:g6hgS8ye0
後輩「迷惑なんかじゃ、無かったですよ……?」

男「なんだ、聞いてたのか」

後輩「変なとこ気にするんですもん、先輩は」

男「最近よく変だと言われるぞ」

後輩「あはは、前からですよ。少なくとも私の知ってる先輩はずっと変です」

男「んー……失礼極まりないな」

後輩「私も変ですから、気にしないでください」

男「それもそうだな」

後輩「そこは否定してくださいよー、もー」ケホッ ケホッ

81: 2010/07/31(土) 02:00:00.23 ID:g6hgS8ye0
男「本当に、大丈夫なのか?」

後輩「大丈夫ですよ……少なくとも、先輩のせいじゃないから気にしないでください」

男「……そうか」

後輩「熱が上がってくると、何でか気分が高ぶりますよね不思議と」

男「確かに、風邪の時とかむしょうに遊びたくなったりするな」

後輩「ゲーム、します?」

男「気にしすぎな先輩のためにも、早く治して欲しいところだな」

後輩「はぁい、分かりまし、た……」フラ

男「っ!」

後輩「すぅー……すぅー……」

男「……なんだ。寝ただけ、か……」ポン

82: 2010/07/31(土) 02:09:30.10 ID:g6hgS8ye0
後輩母「入っても大丈夫かしら?」ガチャ

男「あ、寝ちゃったみたいです」

後輩母「落ち着いたみたいで、良かったわ……先輩くん、時間大丈夫なの?」

男「……もうこんな時間でしたか」

後輩母「心配してくれるのはありがたいけど、あなたの親御さんを心配させるわけにもいかないわ」

男「そう、ですね……今日はお邪魔しました」

後輩母「お邪魔だなんて、そんなことないわ。またいつでもいらっしゃい」

男「はい、そうさせてもらいます。では、後輩によろしく伝えておいてください」トテテ

後輩「すー……くー……」

83: 2010/07/31(土) 02:25:22.75 ID:g6hgS8ye0
男「……♪」シャワワワー

後輩(あの人……放課後にたまに見るけど、なんでいつも水やりしてるんだろ?)

後輩(うちの学校に、そういう部活なかったはずだけど)

後輩「あのー」

男「……ん?」

後輩「何でいつ、も水やりしてるんですか?」

男「地球を救うため、かなー」

後輩「地球を……?」

男「そう、地球を」しゅわー

84: 2010/07/31(土) 02:29:48.83 ID:g6hgS8ye0
男「……ふーんふーん」チョロチョロ

後輩「今日も地球を救ってるんですか?」

男「おや、また君か」

後輩「どうも、また私です」

男「君も地球を救いたいのかな?はい」ポン

後輩「え……あの」

男「……♪」シャワワー

後輩(変な人だなぁ……)チョロチョロ


85: 2010/07/31(土) 02:39:33.53 ID:g6hgS8ye0
後輩(なんでうちの補習はあんなに長いかなー……ってあれ)

後輩「お疲れ様です、先輩」

男「やぁ、お疲れ様」

後輩「なんで今日はこんな時間に水やりを?」

男「理由は聞く必要ない気がするけど……状況考えたら」

後輩「先輩も補習受けてたんですか?」

男「そういうこと」シャワワー

後輩「手伝いますよ、先輩」

男「ん、感謝するよ」


後輩「大分日が落ちちゃいましたね」

男「んー、そうだね。送っていくよ」

後輩「……え?」

男「女の子が暗い道を一人で歩いちゃ危ないからね、さぁ行こうか」スタスタ

後輩「あ、は、はい」タタタッ

109: 2010/07/31(土) 21:16:41.79 ID:g6hgS8ye0
後輩「せん……ぱい」

後輩母「あら、起きたの?愛しの先輩ならもう帰っちゃったわよ」

後輩「お、かぁ……さん」

後輩母「熱は大分下がったみたいだけど、まだキツそうね……」

後輩「……」ケホッ ケホッ

後輩母「それじゃ、薬ここに置いておくから。ちゃんと飲むのよ?」バタン

後輩「……明日には、絶対治すぞ……」んぐんぐ


妹「おにいちゃん、絶対何かあったでしょ」

男「ん、別に」

妹「野菜炒めの味、大変なことになってたけど?」

男「そうか?」

妹(……ダメだこりゃ)

111: 2010/07/31(土) 21:28:22.58 ID:g6hgS8ye0
後輩「……ん、あふぁ」のびー

後輩「少し体は痛いけど……このぐらいなら全然平気!」

後輩「よーし、学校いくぞー!」
  
ガチャリ

後輩母「あら、心配して来てみたら……元気みたいね」

後輩「うん、心配かけて申し訳ありませんでした」ペコッ

後輩母「私より、あの先輩くんに言ってあげてね。あなたが引き止めて大変だったんだから」

後輩「え……そんな事が?」

後輩母「あら、あなた……覚えてないの?」

後輩「……」(昨日の夜に何が……)

113: 2010/07/31(土) 21:42:04.13 ID:g6hgS8ye0
男友「どうしたんだ、そわそわして」

男「ん、そわそわしてるか?」

男友「うん、十分そわそわしてるぞ」

男「……ちょっとな」

バタンッ

後輩「せんぱーい!いますか!?」

男友「あれがちょっとさん?」

男「そ、ちょっとさん」スタスタ

114: 2010/07/31(土) 21:52:45.40 ID:g6hgS8ye0
男「どうしたんだ?教室まで来るなんて」

後輩「あ、あのっ!お話よろしいですか?」

男「そうだね……構わないけど」

後輩「えと……あっちで話しましょう」

男「ん、分かった」



男子生徒「あんなみょうちくりんに彼女か……?しかも年下……」

男友「それはないんじゃないか?だって、あいつだぜ?」ケラケラ

女子生徒「いやー、それが意外とあるかもよー?」

男友「なんだよ、その目は」ムッ

女子生徒「んーん、なんでもー?」

117: 2010/07/31(土) 22:23:49.49 ID:g6hgS8ye0
後輩「あ、あのー……昨日はご迷惑をかけてしまったみたいで……」

男「んー、迷惑かけたっけ?」

後輩「帰ろうとする先輩を引き止めてしまった……んですよね?」

男「あー、詳しく覚えてないの?」

後輩「えと……はい」

男「失礼極まりないこと言ってたな、うん」

後輩「え、えぇ!?ご、ごめんなさい!」

男「あと、野菜炒めの味付けが大変なことになってたらしい」

後輩「え、え?」

男「今はもう大丈夫なの?」

後輩「あ、はい……もう大丈夫です」

男「そっか、じゃあ……水やり行こうか」スタスタ

後輩「……はい、行きましょう!」スタスタ

118: 2010/07/31(土) 22:34:06.70 ID:g6hgS8ye0
後輩「ここら辺の植物も、結構育ってきましたねー」シャワワー

男「日差しが強いからねー。人間にはちょいと辛いよ」チョロチョロ

後輩「最近は異常気象も落ち着いてきたみたいですけど……」

男「暑いのは昔から苦手なんだなー、これが」

後輩「苦手なんですか!?なら先輩は休んでてください!」

男「病み上がりで後輩が頑張ってるのに、元気な自分が休むわけにはいかないよ」

後輩「なら、私も休みます!」ちょこん

男「うん、しっかり休むんだよー」シャワワー

後輩「……あらら?」

119: 2010/07/31(土) 22:44:01.26 ID:g6hgS8ye0
男友「……驚いた」

男「こっちの方が、驚くぞー。いきなり来られたら」

男友「あんた、ここで何してんのさ?」

男「見てのとおりでございますね」シャワワー

男友「相当な暇人だね、あんた」

男「相当な暇人に会いに来るお前はきっと特別な存在なんだろう」

男友「……ふふ、そうかもな」



後輩「……あの人、先輩と一緒にいた人……」

後輩「何を話してるんだろ?気になるけど……なんか出て行きにくい雰囲気……」

120: 2010/07/31(土) 22:53:33.85 ID:g6hgS8ye0
男友「ところで……ちょっとさんとは、何なわけ?」

男「何なわけ、と申されますと?」

男友「茶化すなよ、真面目に言ってんだよ」

男「んー……上手く言えんわ」

男友「どうせそう言うと思ってたよ。問い詰めるといつもそうだ」

男「なら聞くなよ」

男友「たまには答えが変わるかもしれないだろ?」

男「その見込みがあったか?」

男友「……んーん、全然」



後輩「あれ、今度はこっちを向いて何か話してる……」

後輩「うー、気になる気になる……あううあー……」ソワソワ

123: 2010/07/31(土) 23:07:09.15 ID:g6hgS8ye0
男友「暗くなってきたな……もう帰るよ」

男「そうだな、送ってく」

男友「あっはっは、誰に言ってんのさあんた」

男「目の前のあなたに対してですよ」

男友「んー……ちょっとさんに悪いんで無いかい?」

男「それなら大丈夫だ、おーい後輩!」


後輩「あ、先輩が呼んでる……話が終わったのかな?」

後輩「はーい、せんぱーい!」タタタッ

124: 2010/07/31(土) 23:18:10.25 ID:g6hgS8ye0
後輩「……」

男「……」スタスタ

男友「……どういうことだ、これは!」

男「三人で帰ることが、何かおかしいか?」

男友「そういうわけじゃないが……ああもう!」

男「騒がしい奴だな」

男友「誰がそうさせてんだよ、こらぁ!」

男「……?」

男友「きょとんとすんな!お前に決まってるだろうが!」


後輩(気まずいよう……なんか凄く仲いいみたいだし……)

後輩(どういう関係なのかな?二人とも……まさか……いや、そんな)

132: 2010/08/01(日) 00:04:58.81 ID:CKplvQhd0
男友「じゃ、ここで別れるぞ。家こっちだからな」タタタッ

男「そうか。じゃぁな、我が友よ」

後輩「……また、明日」


後輩「……あ、あの」

男「ん?」

後輩「え、えと……なんでもないです」

男「そっか」

後輩「……」

男「……」

後輩「え、えと」

男「ん?」

後輩「あ、あの方とは……どういうご関係で?」

男「……関係、ねぇ。聞くの流行ってるの?最近」

後輩「い、いえ……」

男「そっか」

134: 2010/08/01(日) 00:15:37.04 ID:CKplvQhd0
男「んー、あいつはねー……友達だ」

後輩「友達……」

男「そ、友達。それ以上でもそれ以下でもなく、親友でもなく」

男「ただの『友達』そんだけ」

後輩(こんな真面目な先輩の表情、初めて……)

男「納得いかない?」

後輩「い、いえ!そんなことはないです」

男「ならよかった。ここでお別れだね」

後輩「あ、いつの間に……」

男「じゃ、また明日」スタスタ

後輩(友達、か……なんか色々ありそうだけど、触れないほうがよさそうだな……)トコトコ

143: 2010/08/01(日) 02:13:49.71 ID:CKplvQhd0
妹「おにいちゃーん、お帰りー」

男「ん、あぁ……ただいま」

妹「……どうせ答え一緒だろうけど、何かあったでしょ?」

男「……少し、な」ポン

妹「……ほぇ?」


後輩「うべへぇー……」ボフン

後輩(あの人……長くて綺麗な黒髪してたなー……それに胸も……)ペタペタ

後輩(……ぐぅ)ガックリ

後輩(どうもただの友達とは、思えないんだよなー……)

146: 2010/08/01(日) 02:26:31.11 ID:CKplvQhd0
男友「男ー!早く来いよほらー」

男「ここは……?」

男友「学校の花壇だ。まぁ、整備されてなくて花壇に見えないがな……」

男「で、これがどうしたんだ?」

男友「こういうことだ!んしょ……んしょ……」グイグイ

男「……よいしょ」グイグイ

男友「さすが話が分かるね」

男「話は分からんが手伝ってるだけだ」

148: 2010/08/01(日) 02:38:21.74 ID:CKplvQhd0
男友「……あー」

男友「なんで思い出すかね、こういうこと」ワシワシ

男友「……あいつ、まだ水やり続けてたんだな」

男友「……」

男友「……いまさら、どうしろって言うのさ……はぁ」

149: 2010/08/01(日) 03:01:25.83 ID:CKplvQhd0
男友「……おっす」

男「よう、おはよう」

男友「……調子は、どうだ?」

男「いつも通り、かね」

男友「そうか、いつも通り……か」

男「そっちはどうだい?」

男友「……ふふ、いつも通りだよ、こっちも」

男「ん、そうか」


後輩「お、おはよう……」

後輩友「おはよう……って、あんた何その顔!?」

後輩(昨日は気になりすぎていまいち寝れなかった……)

150: 2010/08/01(日) 03:18:29.31 ID:CKplvQhd0
後輩友「なるほどねー……ライバル出現!てわけ?」

『えいっ』『ふぁいやー』

後輩「ライバルかどうかは分からないけど……友達って言ってたし」

『えーい』『やーあ』『とーう』『シアン!』

後輩友「本人がそう言ったの?」

『ばよえ~ん!』

後輩「え?あわわわ」

『なにをするー』

後輩友「先輩はそう思ってたとしても、その人はそうじゃないかもよ?」

後輩「……」

『うへー』

後輩友「ま、最後にどうするかはあんた次第だからねー」

『やったぁ!』

165: 2010/08/01(日) 15:21:59.87 ID:CKplvQhd0
後輩友「でもさ、みょーに気にしてるけど……先輩が好きなの?あんた」

後輩「……何、い、いきなり」

後輩友「いや、今の話聞く限りどう考えてもそうでしょ」

後輩「……どうなの、かな?」

後輩友「私に聞かれても困るっての……」

後輩友「ま、もし好きなんだったら、今のままじゃダメだと思うよ」

後輩「……え?」

後輩友「放課後だけじゃなくて、先輩に会いに行ってみれば?ってこと。じゃね」

後輩「あ、ちょっと……放課後だけじゃなくて、か……」

167: 2010/08/01(日) 15:33:20.71 ID:CKplvQhd0
男「……♪」シャワワー

男友「……なんでなんだよ」

男「何がなんでなのかが分からんな」

男友「なんでまだ水やり、やってんだよ」

男「……理由が必要か?」

男友「普通は理由がなきゃしねーよ、こういうことは」

男「じゃぁ、普通じゃなくていいから理由なんて無い」

男友「……」

男「……♪」シャワアー

168: 2010/08/01(日) 15:55:08.61 ID:CKplvQhd0
後輩(また二人で話してる……って、なんで隠れてるの?私)

後輩(この距離じゃ会話も聞こえないし……ちょっと近づいてみよう)ソロソロ


男友「話を逸らすな!」ガシッ

男「……逸らした気は、無いんだがな」

男友「じゃあ、ちゃんと答えろよ」

男「普通じゃない相手にちゃんとを求めるのか?」

男友「……なんなんだよ、もう」

男「……頭、冷やせ」ペシ

男友「……うるさいうるさい!」パシーン  タタタッ

後輩(……しゅ、修羅場!?出て行っていい雰囲気じゃ、ないよね……)

169: 2010/08/01(日) 16:29:08.17 ID:CKplvQhd0
男「……むぅ」

男「……出てきて大丈夫だよ」

後輩「っ!!」ガササッ

男「多分友には見えて無かったから、心配しなくていいと思う」

後輩「その、えと……ごめんなさい」

男「謝るほどのことじゃないさ。少なくとも俺にとってはね」

後輩「……」

男「さて、暗くなる前に帰ろうか」

後輩「……はい」

173: 2010/08/01(日) 18:32:39.07 ID:CKplvQhd0
後輩「……」トコトコ

男「……」スタスタ

後輩(先輩……いつもより歩が早い……?)

後輩(あの人との事が、関係してるのかな……凄く気になる)

男「……やっぱりさっきの気になる?難しい顔してるよ」ピタ

後輩「あ……」ペタペタ

男「すまないが、俺に言えることは何も無い。俺は気にしてないからだ」

男「どうしても気になったら、気にしてる奴に聞いてくれ」

後輩「それって……」

男「ん、もうこんな場所か。じゃ、また明日」ダダダッ

182: 2010/08/01(日) 21:49:33.77 ID:CKplvQhd0
後輩「気にしてる奴に聞いてくれ……か」

後輩「……それが出来たら苦労しませんよ……先輩」ボフン

後輩「……私に会う前に、色々あったんだろうか?」

後輩「そういえば、私先輩のことなーんにも知らないんだなー……」

後輩「いつも放課後に花壇の水やりをしてる人、ってだけしか」

後輩友『ま、もし好きなんだったら、今のままじゃダメだと思うよ』

後輩「それは分かってるんだけどさ……はぁーあ」ゴロゴロ



男「ただいま」

妹「おかえりー……おにい、ちゃん?」

男「……どうした?」

妹「う、ううん……なんでも、無いの……」

男「そうか」スタスタ

184: 2010/08/01(日) 22:01:52.79 ID:CKplvQhd0
男友「……もう、いいんだ」

男「いいって、何が」

男友「私には初めから向いてなかったんだよ……」

男「いきなりどうしたんだ、お前らしくない」

男友「……っ!」

男友「らしくないって……じゃぁ、私らしいってどういう事なんだよ!」

男「……やめろ」

男友「うっさい!こんな……こんな!!」グシャ グシャ

男「……っ」ガシッ  パンッ

男友「……あ、う……くっ!」ダダダダッ

男「……く」

185: 2010/08/01(日) 22:11:32.34 ID:CKplvQhd0
男友「……っ!」ガバッ

男友「また……か」

男友「こんなんなるなら、あの花壇にもう一回行くんじゃなかったよ、まったく……」

女子生徒『意外とあるかもよー?』

男友「……ほんと見苦しいな、私は……」

男友「……昨日、思いっきりひっぱたいちゃったよなぁ……」

男友「どんな顔して、会えばいいんだろ」ガクリ

187: 2010/08/01(日) 22:19:55.62
男友「……」ジー

男「……」

男友「……よぅ」

男「……ん」

男友「……」

男「……」



男子生徒「おい……なんだ、あの気まずさは」

女子生徒「放っておけば大丈夫よ、きっと……前みたいにね」

男子生徒「……だといいがな」

198: 2010/08/02(月) 00:14:01.67 ID:7DavdStb0
後輩友「ふーん、そんなことがあったんだー」

後輩「ふーんって……そっけないね」

後輩友「前に言ったでしょ?あんた次第だってば

後輩「そうは言っても……」

後輩友「なら、このままでいいんじゃないの?」

後輩「……」

後輩友「『先輩』と『後輩』と『先輩の知り合い』それでいいじゃない」

後輩友「それなら何も気にせずに、過ごしてられるでしょ?」

199: 2010/08/02(月) 00:18:35.49 ID:7DavdStb0
後輩「……それは」

後輩友「嫌なんでしょ?なら行動しなきゃ。あんたから」

後輩「行動……」

後輩友「私から言えんのは、そんぐらいかなー」

後輩「……なんか、達観してる?」

後輩友「横からならいくらでも言えるだけだと思うけど」

後輩「そんなもんなのかな?」

後輩友「うん、そんなもーん。ぶっちゃけ知ったこっちゃないってわけ」ニカッ

後輩「なにそれ、ひどーい……でも、ありがと」

後輩友「あっはっは!今度は何をおごっていただこうかね?」

後輩「……うぐぐ」

201: 2010/08/02(月) 00:27:39.69 ID:7DavdStb0
男友「……」

男「じゃ、帰るわ」

男友「……何で私に」

ガラッ

後輩「すいません!」

男「……後輩」

男友「それじゃ、お邪魔虫は退散しようかね」ポン

男友「……ん?」

後輩「お話が、あります」

男友「……分かった、行こうか」タッ タッ


男子生徒「お、おいっ!?いいのか、男!」

男「……構わんさ」

女子生徒「なかなか積極的な子がいたもんだねー」

男子生徒「お前ら落ち着いてんなぁ、おい……」

203: 2010/08/02(月) 00:47:43.60 ID:7DavdStb0
男友(とりあえず分かったとは言ったけど……見当はつかないな)

男友「……話って何?」

後輩「……最初に、謝らないといけないことがあります」

男友「……?」

後輩「昨日先輩とお話してるとこ、隠れて聞いてました」

男友「……そっか、聞いてたのか……話ってそのこと?」

後輩「……え、は、はい」

男友「あれはねー……なんてーかなー……少し昔の話を、しなきゃいけないね」

205: 2010/08/02(月) 01:02:28.96 ID:7DavdStb0
男友「あの花壇は、私が最初に見つけたんだ」

男友「先生に聞いたら、隅にあるせいで誰も見ないから整備されなくなったって話で」

男友「男と一緒に復活させてやろう、ってことで今の状態なわけ」

男友「ま、そんなもんはただの口実だったんだけどね」

後輩「口実……」

男友「一緒になんか出来りゃなんでもよかったのさ」

後輩「……」

男友「私は男のことが好きだったんだよ。いや、今も……かな?」

222: 2010/08/02(月) 14:43:03.58 ID:7DavdStb0
後輩「なら……」

男友「でも、ダメなんだ」

後輩「……?」

男友「本来なら一緒にいる資格すらも、私には無い」

男友「あいつの優しさに甘えてるだけなんだ……」

後輩「……どういうことですか」

男友「……男に聞いてくれ。あいつが話すならそれで構わない」

男友「まだもう少し……逃げさせてくれ(ボソッ」ダダダッ

後輩「え?……って、行っちゃった」

225: 2010/08/02(月) 14:47:21.33 ID:7DavdStb0
男友「……っ」ダダダダッ

男「あ」

男子生徒「通り過ぎて行ったな……追わなくていいのか?」

男「今追う必要は無い」

男子生徒「だからなんでそんな落ち着いてんだ……」

女子生徒「先生に止められなきゃいいけど……」

男子生徒「いや、そこじゃねぇだろ!」

ガララッ

後輩「せんぱいっ!」

男「……場所を、移そうか」スタスタ



男子生徒「もう、何がなにやら……」

女子生徒「いや、あんたが理解する必要は無いでしょ」

男子生徒「そうだけどさ……気になるじゃん?野次馬根性的に」

女子生徒「サイテー」

226: 2010/08/02(月) 14:53:42.50 ID:7DavdStb0
男「……さて、と……さ、座って」

後輩「あ、ありがとうございます……」(いつもの花壇……やっぱりここなんだ)

男「大方あいつが俺に聞けーとか言ったんでしょ?」

後輩「……はい」

男「まだ気にしてんのかー……バカだな、ほんと」

男「こんな引きずるなら、最初からやるなって話だ、ほんと」

後輩「あの人は……」

男「友で大丈夫だ。他人行儀が嫌いなんだ、あいつ」

後輩「友さんは……何をしたんですか?」

247: 2010/08/02(月) 22:29:43.84 ID:7DavdStb0
男「……花壇を、壊したんだ。あいつが自分で」

後輩「え……なんでそんなことを……」

男「んー、らしくないんだそうだ」

後輩「らしくない、ですか?」

男「あいつは、自分が男勝りでがさつな女だと思い込んでる」

男「だから、ああいう花壇みたいなのが似合わないって感じてたらしい」

男「本人も……周りも」

後輩「……周り、も」

251: 2010/08/02(月) 22:54:06.45 ID:7DavdStb0
『ねぇ、花壇の話知ってる?』

『あー、あいつがなんか整備し直したらしいな』

『うっは、似合わねー……あの男女がか?』


後輩「……」

男「俺は……知ってたんだ」

男「あいつがどう思われてたかも、あいつがそれによってどうなるかも」

男「でも……何も出来なかった。いや、しようとしなかった」

後輩「それは、先輩のせいじゃ……」

男「本当に、そう思う?」

後輩「……」

男「俺は、いい人なんかじゃない。時部からは動くことも出来ない、臆病者さ……」


252: 2010/08/02(月) 23:02:17.74 ID:7DavdStb0
ミスった
時部→自分 で


男「この花壇は……俺の身勝手な罪滅ぼしに利用されてるだけなんだ」

男「でも……それが帰ってあいつを傷付けてしまった……のかな」

後輩「そ……」


男友「……そんなことないっつの」

男「!」パシン

男友「昨日のお返しだ、あほすけ」

男「……聞いてたのか」

男友「昨日聞かれてたからね、仕返しし返し」ククク

255: 2010/08/02(月) 23:23:04.19 ID:7DavdStb0
男友「……そんな理由で、花壇を手入れしてたんだな」

男「まぁな」

男友「……」

男「……」

男友「噂、知ってたんだな」

男「……あぁ」

男友「絶対、許さない」

男「……そうか」

男友「でも、ありがとう」

男「ん」

260: 2010/08/03(火) 00:11:18.08 ID:ReeS8UWn0
男友「あんたも、この花壇を直してくれてたんだね、感謝するよ」

後輩「いえ……そんな」

男友「私が逃げてた間……あいつを支えてくれてたんだろ?」

後輩「支えるなんて、大したことはしてないですよ」

後輩「それに……友さんの居場所を、奪ってしまったようで……なんだか」ピシン

後輩「あいてっ」

男友「言ったろ?あいつの隣はもう私の場所じゃないんだ」

男友「親友でも無く……ましてや恋人でも無い。私はただの『友達』さ」ケラケラ

後輩「友さん……」



男「……」シャワワー

262: 2010/08/03(火) 00:30:02.41 ID:ReeS8UWn0
男友「変な奴だよな、あいつ」

後輩「……はい、最初はそう思いました」

男友「正直だね、あんた。嫌いじゃないよ」

後輩「でも……今はそう思いません」

男友「いい奴なんだけど、いい奴過ぎて変なんだよな……」フフ

後輩「ほんとですよね。大事なとこが見えてるようで、本当に肝心なとこは抜けてる人です」フフッ


男「そろそろ暗くなってきてるぞ」

男友「それじゃ……帰ろうか」

後輩「そうしましょうか」

278: 2010/08/03(火) 12:32:01.85 ID:ReeS8UWn0
男「そういえば、後輩。謝らないといけないな」

後輩「え、何をですか?」

男「気にしてないと言ったが、あれは大嘘だった」

後輩「……ほんとです!嘘はダメです!」ムー

男「面目ない」

後輩「でも、そのおかげで大事な話を聞けました。感謝もしてます」

男「……」

後輩「もう絶対、嘘ついちゃダメですよ?」ニコ

男「分かった。肝に命じておこう」

279: 2010/08/03(火) 12:38:38.34 ID:ReeS8UWn0
男友「んじゃ、私はこの辺でおさらばしようかね」

男「おや、もうこんな所だったか」

男友「後輩との会話で頭がいっぱいだったか?」ククッ

男「どうだろうか?」

男友「私が知るか、あほ」

男「そうか」

男友「……後輩」クルッ

後輩「はい、なんでしょうか?」

283: 2010/08/03(火) 12:47:37.10 ID:ReeS8UWn0
男友「あんたのおかげで、色々吹っ切れたよ。ありがとう」

後輩「そんな……私は何もしてないです」

男友「何もしてないって思うなら、それでも構わないよ」

男友「勝手に私が感謝してるとでも思ってくれ」ポフッ

後輩「……あう」

男友「これからも、あいつのことをよろしくな」

後輩「……はい、頑張ります」

男友「それじゃ……また明日な」タタタッ


男「あいつと何を話してたんだ?」

後輩「先輩のことです」

男「そうか」

後輩「はい、そうです」

男「じゃ、帰ろう」

後輩「はい!」

285: 2010/08/03(火) 13:26:11.07 ID:ReeS8UWn0
後輩友『ふーん、そんなことがねー』

後輩「大変だったよ、ほんと……」

後輩友『でもいい方に進めたんでしょ?よかったじゃん』

後輩「……友のおかげだよ、ほんと」

後輩友『あんたが頑張ったからじゃない?それに……まだ終わりじゃないでしょ』

後輩「……そう、だね」

後輩友『ま、最後まで応援してるから頑張りなー』

後輩「ありがと、友」

288: 2010/08/03(火) 15:01:09.70 ID:ReeS8UWn0
男「ただいまー」

妹「おっかえりー!」ニコニコ

男「……なんかあったのか?」

妹「それはこっちの台詞だよ、もー!」

妹「……久しぶりに、いつもの顔だね」

男「ん、心配かけたな」

妹「べっつにー。ただ、料理の味付け変なのが嫌だっただけー」

男「……今日の野菜炒めは甘味かなー」

妹「ごめん嘘、嘘だって!心配してたってば!」

290: 2010/08/03(火) 15:18:59.15 ID:ReeS8UWn0
男「電話なんて久しぶりだな」

男友『……そう言えば、そうだな』

男「何か話したいことでもあるのか?」

男友『話たいことが無いと電話しちゃいけないか?」

男「いんや、別に」

男友『まぁ、話したいことはあるが』

男「そうか」

291: 2010/08/03(火) 15:37:20.44 ID:ReeS8UWn0
男友『後輩のこと、どう思ってるんだ?』

男「どうって……どう?」

男友『好きかどうか』

男「これまたストレートだな」

男友『ほかに聞き方ないだろ』

男「好きか嫌いかと言われればそりゃ好きだな」

男友『そういう意味で聞いてんじゃなことぐらい分かるよな?』

男「……教えなきゃいかんのか?」

男友『答えてるようなもんだよな、それ』

男「まぁ自分でも言っててそう思う」

294: 2010/08/03(火) 16:31:35.04 ID:ReeS8UWn0
男友『卒業まで時間がないんだから。伝えておいたほうがいいと思うぞ』

男友『……まぁ、私が心配することでも無いとは思うがな』

男「お前はいいのか?」

男友『いいのか?って、なにがさ』

男「伝えたいことは、伝えたほうがいいと思うぞ」

男友『……あの時は、本当にごめんなさい』

男友『後輩の前ではああ言ったけど……悪いのは私だった』

男友『周りからの目なんて気にしなければよかった……』

男「……」

男友『好きだったんだよ、お前のことが』

男友『花壇を始めたのも……そのためだ』

299: 2010/08/03(火) 17:14:12.27 ID:ReeS8UWn0
男「そうだったのか」

男友『反応薄いな……知ってたのか?』

男「いんや」

男友『女の子の告白だぞ?もっと……驚けよ』

男「……すまん」

男友『分かってんだよ、こんな告白はお前を困らせるだけだってのは』

男友『だから……精一杯困れ、バカ野郎』

男友『困って、悩んで……相談しろ。私は……お前の友達だからな』

男「……」

男友『……じゃあ、切るね』ピッ

313: 2010/08/03(火) 23:09:13.70 ID:ReeS8UWn0
男「……ん」

妹「よっ!ほっ!」

男(こんな遅くまでゲームを……少し言ってやらんとな)

妹「よっし、ラスボス倒した!」

後輩『やったー!クリアだー!』

男「……」

妹「あ、おにーちゃーん!一緒にしない?」

後輩『あのっ、先輩もやりましょう!』

男「……ちょっとだけ、だからな?」

妹「やっりぃ!」

314: 2010/08/03(火) 23:18:49.18 ID:ReeS8UWn0
男友「おはよう、男」

男「おう」

男友「覚悟はしっかり決まったか?」

男「覚悟するようなことじゃねーさ」

男友「私はかなり覚悟したぞ?バカにしてんのか」

男「後輩の気持ちもまだ分からん」

男友「まぁほざいてろ。その時になってテンパんなよ?」

男「気をつけておく」

男友「じゃ、頑張ってこい!」バシン



女子生徒「友ちゃん……よかったの?」

男友「……どうだろ?まだよくわかんない」グス

男友「でも……いつか笑い話で語れる日がくるのかも」ニコ

317: 2010/08/03(火) 23:36:35.92 ID:ReeS8UWn0
後輩「~♪」シャワワー

男「……」

後輩「あ、先輩!遅いですよー」

男「ん、すまん」

後輩「先輩が遅れるなんて珍しいですね……また補習ですか?」

男「いんや」

後輩「なら……男友さんと?」

男「心配するほどでもない。少し話をしてただけだ」チョロチョロ

後輩「そうだったんですかー」シャワワー

319: 2010/08/03(火) 23:51:16.25 ID:ReeS8UWn0
前レスの後輩の台詞  男が余計でした
いつか出ると思ってた発言がやっと出て安心

後輩「よし、これで終わりっと……」

男「ん、そうだな」

後輩「……先輩?なんか変ですよ?」

男「……そうか?」

後輩「なんだか、表情硬いですよ?」

男(……癪だが、あいつの言ったとおりになってしまっているらしい)

後輩(んー……やっぱり、友さんとなにかあったんじゃ)

345: 2010/08/04(水) 14:31:23.93 ID:w5LpYMGF0
後輩「先輩、やっぱり何か隠してませんか……?」

男「いや、そんなことは」

後輩「……私には話せないことでしたら、仕方ないですけど」

男「ちょっと、座ろうか」

後輩「え?……はい」

男「……ふー」

後輩(なんか、今日はいつにも増して変な感じ……)

346: 2010/08/04(水) 14:41:10.21 ID:w5LpYMGF0
男「後輩は、なんで花壇の手入れを手伝ってくれたんだ?」

男「変な奴と思っただろ。誰も見ないような場所で水やりしてるなんて」

後輩「……え、えと……」

男「正直に言っていい。俺も後輩を変だと思ってた」

後輩「え、そうなんですか!?」

男「うん」

後輩「あうう……」

348: 2010/08/04(水) 15:18:59.21 ID:w5LpYMGF0
男「だから、手伝いをしてくれてるのが不思議でしかたなかった」

男「どうしてなんだ?」

後輩「あの……それは……そのぅ……」

後輩「いつも水やりしてる、変な人がいるなー……って」

男「やっぱり」

後輩「で、でも!そりゃ最初のうちは先輩に流される感じでしたけど……」

後輩「だんだん花壇に水やったり、先輩と一緒にいるのが楽しくなってきて!」

後輩「あの、その、上手く言えないんですけど……」

男「ん、俺も後輩といるの楽しいよ」

後輩「その、えと、……っえ!?」

男「好きってこと」

後輩「えっ……えぇぇっ!?」

350: 2010/08/04(水) 15:31:09.02 ID:w5LpYMGF0
男「あれ、なんでそんな驚いてんの」

後輩「いや、そりゃ、なんっ……え」

後輩「むしろなんでそんな冷静なんですか!!」

男「いや、そこまで冷静でもない」

後輩「十分冷静ですってば……」

男「ダメだった?」

後輩「いえ……私も、言おうとしてましたし」ボソッ

男「あ、そうだったのかー……先に言えてよかった」

後輩「だからもっと驚いてくださいってば!」ポカポカ

351: 2010/08/04(水) 15:42:22.86 ID:w5LpYMGF0
男「これでも驚いてるほうだが……」

後輩「全然そう見えないです!」

男「そう?」ダキッ

後輩「ひゃう!?」ビクッ

男「心臓の音、やばいと思うんだけどなー」

後輩(凄い早く鳴ってる……本当に緊張してたんだ)

後輩「せん……ぱい……」ギュッ

?「おーい、もう下校の時間だぞーっ!」

後輩「!!!!!!」バッ

男「……もうそんな時間か」

男友「へへ、流石にお前は騙せないか」

後輩「友……さん……」

355: 2010/08/04(水) 16:07:37.96 ID:w5LpYMGF0
男「……最初から見てたのか?」

男友「おやおや、流石の男さんも照れちゃってますか?」

男「……」

男友「そう睨むな……まだいるか見にきただけ、覗いちゃいないよ」

後輩「その……友さん……むぐ」

男友「そういうのいい。惨めになる、だけだから」

後輩「……はい」

男「……帰るか」

男友「そうだな、本当に見回りきたらシャレにならんし」

364: 2010/08/04(水) 20:29:27.37 ID:w5LpYMGF0
男友「そういや、そろそろ卒業式だなー」

後輩「そういえば……そんな時期だったですね」

男「あれ?そうだったけ」

男友「……後輩ならともかく、お前は当事者だろうが」ペシ

男「卒業ねぇ、実感わかねぇな」

男友「まぁ……な。っと、ここまでだな」

男「おう、また明日」

男友「……男、絶対幸せにしてやれよ?」

男「言われるまでも無い」

男友「そうか……安心だな、後輩」

後輩「……はい」

男友「じゃ……お幸せに」タタタッ

365: 2010/08/04(水) 20:47:41.53 ID:w5LpYMGF0
後輩「先輩は、卒業したらどうするんですか?」

男「んー……まだはっきりと決まってないな」

後輩「そうなんですか?」

男「ま、大学に行こうかかなーとは思ってるけど」

後輩「先輩が大学……想像出来ないです」クスッ

男「自分でも想像できんから、後輩が想像出来ないのは仕方ない」

後輩「……凄く、寂しくなります」

男「すまんな」

後輩「先輩が謝ることじゃないですよ……それに」

後輩「毎日メールしますから、覚悟してくださいよ?」

男「ん、覚悟しておこう」

366: 2010/08/04(水) 21:06:39.03 ID:w5LpYMGF0
後輩友『へー、やっと上手くいったんだー。よかったじゃん』

後輩「そうなんだけどさー……」

後輩友『こんな卒業間近に告白とは、あの先輩もなかなかなセンスしてるね』

後輩「……先輩バカにすんのは許さないよ」ムー

後輩友『はは、ごめんごめん』

後輩「まぁ……心配ではあるけどさ」

後輩友『先輩が誰かに取られないか心配ーってか?』

後輩「……うん」

後輩友『まぁ、初めて付き合うならそういうの仕方ないんじゃない?せいぜい悩め悩め』

後輩「あんたは、付き合ったことあるわけ?」

後輩友『……ノーコメもありかな』

368: 2010/08/04(水) 21:13:28.83 ID:w5LpYMGF0
男友『随分と遅い告白になっちまったな、おい』

男「まぁ……な」

男友『多分あの子凄い寂しがると思うよ』

男「分かってる」

男友『ぜーったいに、泣かせたらダメだぞ?』

男「……自身はあまり無い」

男友『また女の子泣かせるわけ?』

男「……また?」

男友『お前……ぶっ飛ばすぞ』

369: 2010/08/04(水) 21:35:33.57 ID:w5LpYMGF0
前レスの男 自身→自信ですね

男「……」

妹(何を仏頂面で携帯握ってるんだろ?)

男「……」ピッピッ

妹(あ、メール打ち始めた)

男「……ふー」コト

妹(なんか凄い時間かかってた……あ、トイレ行くんだ)

妹「……」ソロー ソロー

妹「何を必氏に打ってたのかな……?」パカッ

男『元気か?』

妹「……え、これだけ?」ガタン  「はっ!?」

男「……覚悟は、出来てるな……?」

妹「ひ、ひぃっ!?お、おにいちゃん、ご、ごめっ……」メコッ

379: 2010/08/05(木) 00:55:45.45 ID:+bhwVPXp0
後輩「……ふわぁぁぁ」

後輩「昨日は結構遅くまで話し込んじゃったなぁ」ポリポリ

後輩「さっさと準備しなきゃ……」

後輩「おかあさーん、ご飯出来てるー?」

後輩母「もう、いつまで寝てるのよ!早く支度しなさい!」

男「そうだな、急いだほうがいい」

後輩「分かってますよーだ……って、えぇっ!?」

男「おはよう、後輩」

後輩「あ、あの……おはよう、ございます」

380: 2010/08/05(木) 00:59:53.54 ID:+bhwVPXp0
後輩「家に来るなら、昨日のうちに連絡くださいよ!」

男「……連絡、したはずだが?」

後輩「え」ピッ ピッ 「……中まで入ってくるなんて、聞いてないです!」

男「いや、俺も聞いてなかったよ」

後輩「お母さんめ……絶対許さん……」

男「迷惑、だったか?」

後輩「いえ……その……寝起きなんでヒドかったですよね?顔とか、髪とか……」

男「別に。普通に可愛いかったけど」

後輩「え、えと……ありがとうございます」

男「そろそろ急ごうか」タタタッ

後輩「あ、待ってくださいっ」スタタッ

383: 2010/08/05(木) 02:06:46.59 ID:+bhwVPXp0
男友「よう、お惚気さん」

男「なんだいきなっ」ガシッ 「うぐっ」

男子生徒「お前……年下の彼女か!ちくしょう!!」グリグリ

男「なんだ、うざったい奴め」バシン

男子生徒「あぁんっ!?」ドサ

男友「まぁ、ラブラブなのはいいことだ」

男「別に大したことじゃねぇさ」

男友「あいつがそう思ってるかって話だな」

男「?」



後輩友「お暑いねぇ、まったく」

後輩「……見てた?」

後輩友「まぁ、少なくとも私は」

後輩「……あう」ボッ

385: 2010/08/05(木) 02:10:01.66 ID:+bhwVPXp0
後輩(散々茶化された……はぁ)

男「~♪」シャワワー

後輩「先輩今日は先越されちゃいましたね」

男「ん、後輩か」


387: 2010/08/05(木) 02:20:23.46 ID:+bhwVPXp0
なんか途中で書き込まれちゃった


男「……この花壇も、もう見納めになるわけか」

後輩「やっぱり、愛着ありますか?」

男「まぁ、なんだかんだで長く世話してたからな」

男「残っていってくれるなら、それに越したことはないが……」

後輩「……私が、世話をしますよ」

男「おっと、今度は先を越されたか」

後輩「この花壇がなければ、先輩とも会えて無かったですし……大切にしたいです」

男「なんか恥ずかしい台詞だな」

後輩「ちゃ、茶化さないでくださいっ!……言ってて恥ずかしいって分かってるんですから」

男「……だけど、俺もそう思う」

後輩「え、せ、せんぱ……ん、んぅ……」

388: 2010/08/05(木) 02:32:34.73 ID:+bhwVPXp0
後輩「……」

男「……」

後輩「……いきなり、ですか」

男「……すまん」

後輩「いえ、先輩が悪いとかじゃないんです!全然そんなんじゃなくて、その」

後輩「突然でビックリしただけで……はう」ポッ

男「……ダメだ、我慢できん」ギュゥッ

後輩「え?ひゃわわっ!?」


男友「……さて、帰るか」

女子生徒「今日は一緒に帰ってあげようか?」

男友「……感謝するよ」

男子生徒「あれ?もしかしてこれ、俺フラグ?」

女子生徒「黙れ」

男子生徒「……すんません」


389: 2010/08/05(木) 02:38:27.36 ID:+bhwVPXp0
後輩「……」

男「……」

後輩「わ、わたしっ!今日はもう帰りますっ!」ダダダダダダッ

男「あ」

男「……俺も、帰るか」



後輩(あわわわわわわわ……)

後輩(先輩と先輩と……あわわわわわ)バタン

後輩母「あら、おかえ」  ダダダダッ

後輩母「……あら?」



後輩「あわわわわわわわわ」

後輩友『よし、とりあえず日本語喋れ』

391: 2010/08/05(木) 03:18:47.94 ID:+bhwVPXp0
後輩友『なるほど、ね……こりゃまた随分と大胆な』

後輩「あわわわわわ」

後輩友『……切るよ?』

後輩「その……まだ、ドキドキしてるの……」

後輩友『そりゃ、ドキドキしないほうがおかしいでしょ』

後輩「もう……先輩の顔まともに見れないよー」

後輩友『……よかった、いい人で。私も一安心」

後輩「友……」

後輩友『私への感謝の数々、忘れんなよ?』

後輩「……うん!ありがと!」

392: 2010/08/05(木) 03:24:10.73 ID:+bhwVPXp0
男「……」

妹「おかえりー……って、おにいちゃん!顔真っ赤だよ?」

男「そうか?」

妹「そうかって……熱があるんじゃないの?」

男「いや、んなことはない」

妹「おにいちゃんはいっつもそうやって風邪だったりするじゃない!ほらこっちこっち」

男「……」

妹「熱は……無いみたいね。声も枯れてないし……」

男「だから大丈夫って言ったろ」

妹「じゃぁ、なんであんな真っ赤だったの?」ニヤニヤ

男「……あんまり調子に乗るなよ?」

妹「ハイ、ゴメンナサイ」

393: 2010/08/05(木) 03:34:56.68 ID:+bhwVPXp0
後輩「はふー……まだ夢見てるみたい……」ブー ブー

後輩「あれ?メールが来てる……え、先輩!?」

男『元気か?』

後輩「……ふふ、先輩らしいや」

後輩『元気ですよ。先輩はどうです?」

男『ん、もちろん元気だ』

後輩『私は今もドキドキが続いてます……』

男『そうだろうと思って、メールにした。電話じゃ話しづらいだろうし』

後輩『……ありがとうございます』

男『じゃ、俺は風呂に行くから。また明日』

後輩『はい、ではまた明日』

後輩「また明日……か。あと何回また明日できるんだろ……?」

394: 2010/08/05(木) 03:51:14.77 ID:+bhwVPXp0
「また明日」   「また明日」


後輩「先輩方、おはようございます」

男「ん、おはよう」

男友「おはよう、後輩」

後輩「もう明日、なんですね……」

男「そうだなー」

男友「相変わらず実感なさそうだな、お前……」

男「まぁ実際あまり実感はない」

男友「……本音言えば、実は私もだ」

後輩「先輩達と会えなくなるんですね……」ポン  「……!」

男「会いに来る、絶対」

後輩「先輩……」

男友「はいはい、メロドラマするには一日早いですよっと」

男友「最後の思い出が遅刻で怒られたこと、なんて勘弁だぞ?」

男「ん、同感だな」タタッ タタタ

406: 2010/08/05(木) 12:02:43.39 ID:+bhwVPXp0
後輩友「もうすっかり開き直ったね、あんた」

後輩「まぁ……ね、もう慣れたよ」

後輩友「仲睦まじいのは良きことかな」

後輩「まだ少し恥ずかしさはあるけどね……」

後輩友「それも明日まででしょ?」

後輩「……」

後輩友「……ん、今のはごめん」

後輩「んーん、だいじょぶ。ほんとの……こと、だから」

後輩友「半泣きで言われたらだいじょぶには見えないよ」

408: 2010/08/05(木) 12:14:38.36 ID:+bhwVPXp0
男「……」ボー

男友「おい、授業終わってるぞ」

男「……ん、ああ」

男友「何を間抜けな声出してんだ、ばか」

男「いつもこんなだぞ」

男友「そういやそうだな」

ガラッ

後輩「先輩いますかー?」

男「おう、後輩」

後輩「はいどうぞ、お弁当です」

男「ん、いつもすまんな」


男子生徒「……ぬぐぐぐ、ぬぐぐぐ」

女子生徒「念じても爆発なんてしないわよ?恥ずかしいから止めなさいクズ」

男子生徒「……クズて……クズ、て……」

410: 2010/08/05(木) 12:30:32.45 ID:+bhwVPXp0
男「後輩、料理上手くなったな」モグモグ

後輩「そう、ですか?ありがとうございます」

男友「そりゃ毎日作ってりゃ上手くもなるだろうな、うん」ハムハム

後輩「友さんは最後までパンなんですね」

男友「ん?まぁな。あんまりたくさんは食べれないから」

後輩(じゃぁどうしてこんなに差が出るんだろ……)

男友「なんだなんだ、人のことをじーっと見て」

後輩「い、いえ……なんでもないです」

男「お、この卵焼き美味い」

412: 2010/08/05(木) 13:37:54.12 ID:+bhwVPXp0
後輩「こうやって一緒に帰るのも、明日で終わりなんですね」

男「ん」

後輩「そういえば、久しぶりですね。二人で帰るのって」

男「そういや、友が一緒のことが多くなってたな」

後輩(今日は気を使ってくれたのかな?)

男「久しぶりついでに、ゲームセンターでも行くか?」

後輩「え……いいんですか?」

男「この後別に用事も無いしな。さぁ、行こう」

後輩「はい!」

418: 2010/08/05(木) 17:05:16.38 ID:+bhwVPXp0
ジャララアララ  ジャララララン

男「この音も、慣れたら平気なもんだな」

後輩「おぉ!」タタタタ

後輩「先輩!先輩!」チョイチョイ

男「ん、どうした後輩」

後輩「これ、新作ですよ新作!」

後輩「最近情報チェックしてなかったけど、出てたんだ……」

男「やってく?」

後輩「事前情報なしですけど……やってみたいです」

男「うし、やってみようか」チャリン チャリン

420: 2010/08/05(木) 17:12:06.70 ID:+bhwVPXp0
後輩「流石に事前情報無しだと、難しいですね……」ビビビビ ビビビビ

男「その割には随分進めるな」

後輩「先輩のサポートもあるからですよ……凄く上手くなりましたよね」

男「まぁ、何回も一緒にやってればな」

後輩「……迷惑でしたか?」

男「迷惑だったらこんな上手くならん。おっと危ない」ポチ バリバリバリ

後輩「あ、ありがとうございました」

男「ん、構わん」ビキューン ビキューン

421: 2010/08/05(木) 17:17:31.76 ID:+bhwVPXp0
デレレレーン  ボバババババ

男「お、こいつ随分かっこよくなったな」

後輩「でも、基本的な部分は引き継いでるみたいです」

男「そうだな。パターンが似てる」

ビビビビ ボゴーン ボゴーン

男「ん、形態が変わったな」ガチャガチャ

後輩「このままいけば余裕ですね」

ボボボボボ  ピカーン

男「んー、あっけないから嫌な予感はしてたが……」

後輩「どうやら、二段変形になったみたいですね」

男「こっからはパターンが謎だな」

後輩「大丈夫です!先輩と一緒なら!」

男「根拠は無いが頑張ってみよう」

423: 2010/08/05(木) 17:55:56.39 ID:+bhwVPXp0
ピピピピピピ  ボゴーン ボガーン
テーレーテレーレー♪

男「ここの曲は変わってないんだな……うお」ガタン

後輩「やりました、やりましたよ先輩!」ガバッ

男「おう、やったな」

後輩「情報無しでクリアしたのはこれが初めてですっ!」テカテカ

男「そうだったのか」ポンポン

後輩「あー、まだドキドキしてます……」

男「うむ、俺も緊張している」

モブA「またあの人達か……」

モブB「リア充のうえにゲームまで……クソッ!クソッ!」

男「相変わらずの人気だなー。羨ましい限りだ」

後輩(先輩に対してのほうが多い気がしますけど……)

428: 2010/08/05(木) 18:22:15.93 ID:+bhwVPXp0
男「結構遅くなっちゃったなー」

後輩「すいません、あの後もヒートアップしちゃって……」

男「楽しかったか?」

後輩「はい!ゲームセンターは久しぶりでしたから……先輩は、どうでしたか?」

男「ん、もちろん楽しかったぞ」

後輩「……先輩が卒業する前に、また一緒に遊べてよかったです」

後輩「友さんには、感謝ですね」

男「……」


男友(え?今日は一緒に帰れないって……)

男(すまん、今日は後輩と一緒に遊んでやりたいんだ)

男友(あー、なるほどね……気が利かなかったわ、すまん。了解したよ)

男(ありがとよ)

男友(あたり前だろ。頑張れ、我が友よ)

男「……ほんとに、な」

431: 2010/08/05(木) 18:47:14.61 ID:+bhwVPXp0
男(すまん、今日は後輩と一緒に遊んでやりたいんだ)

男友「……あの鈍い奴が、言うようになったもんだ」

男友「ずるずると意地悪く引きずってれば、今と違う結果になってたのかな?」

男友「……そんな訳、ないか」

男友「あー、なんか引き際よすぎて泣けてきた」グスン

?「お前に涙は似合わないぜ」

男友「……誰だ」

男子生徒「俺だ」ボゴォ 「ごふぇ!?」

女子生徒「あんたのことだから一人で泣いてると思ってね……元気だしなよ」

男子生徒「俺もいるしな!」メゴッ 「いでぇっ!?」

女子生徒「あんたは黙ってろっての!」

男友「……」クス

男友「悩んでんのがバカらしくなってきたよ、ありがと」クスクス

女子生徒「うん、やっぱあんたにしおらしい役は似合わないよ」

男友「……ありがとう、女」
男子生徒「あれ?俺「黙れ」……はい」

440: 2010/08/05(木) 21:44:18.21 ID:+bhwVPXp0
男「ただいまー」

妹「あ、おにいちゃんお帰りー。今日は遅かったね」

男「ん、ちょっとな」

妹「何、彼女ー?彼女なのー?」

男「おう、そうだ」

妹「……」パチクリ

妹「……彼女?」

男「おう」

妹「……彼女」

妹「……おかあさぁーん!」

男「なんなんだ、騒がしい」

442: 2010/08/05(木) 22:03:52.94 ID:+bhwVPXp0
後輩「……ただいま」

後輩母「あら、おかえりなさい」

後輩「……」トッ トッ トッ

後輩父「……どうしたんだ、あいつは」

後輩母「色々あるのよ、この時期の女の子は」

後輩父「こんな遅くに帰ってきて……少し話を」ガッ

後輩母「色々、あるのよ……?」

後輩父「そ、そうだな……色々、だな……ハッハッハ」クピ


後輩「……もう二度と会えないわけじゃ、無いけど……けど……」

後輩「やっぱり少し、寂しいな……」

後輩「でも、明日は出来るだけ笑うようにしよう……泣いてたら先輩に悪いし」

後輩「……もう、寝よう」

447: 2010/08/06(金) 00:15:44.90 ID:6GJwBjSR0
しろいひかりのなーかにー♪ やまなみはもえてー♪


男「……卒業、か」

男友「中学の時とはなんか雰囲気違うなー」

男「そうか?大して変わらんかったぞ」

男友「ま、お前に言うのは間違いだったか」

男「かもな」

男子生徒「ぐすっ……ぐ、ひぐっ……みんな……」

女子生徒「ほーら、何泣いてんの」バシン


男友「……お前もあんぐらい何か感じないのか?」

男「いや、いくらなんでもあれはオーバーだろ」

男友「そうか?あのぐらい泣いてもいいと思うがな」


後輩「……ひぐ、うぐ」グス グス

後輩友「ほらほら泣かないの」ポンポン

452: 2010/08/06(金) 00:34:55.99 ID:6GJwBjSR0
男「あおーげばー、とおーとしー……ってか」シャワワー

後輩「……せん、ぱい」グスン

男「おう、後輩」

後輩「やっぱりここに、いたんですね」

男「ま、最後だからな」ギュッ 「……む」

後輩「やっぱり……寂しいです」

後輩「昨日は泣かないって思ってたのに……いざ、式が始まったら……」

後輩「こう……なんか……その……うく」ポン

男「泣くことを、我慢する必要なんてない」

男「笑顔でお別れなんて、簡単に出来るもんじゃないからな」

後輩「……せん……ぱぁい」ギュウウ


後輩友「あーあー、あんな泣いちゃってもう……」

男友「男、そこはギュッと抱き返せよ……」

後輩友「……どうも」ジー

男友「……おう」ジー

454: 2010/08/06(金) 00:47:02.63 ID:6GJwBjSR0
後輩「……」

男「おう、少しは落ち着いたか?」

後輩「はい……恥ずかしいとこ、お見せしてしまって申し訳ありません……」

男「泣くことは別に恥ずかしいことじゃないぞ」

男「泣ける時に泣いて、その分笑えるときに泣かないようにしとかないとな」

後輩「……先輩は、私を笑わせてくれますか?」

男「もちろん」

後輩「……ありがとうございます」

男「ま、そのためには今涙を止めてやらないとな」スッ

後輩(先輩の心配そうな顔が……近づいてきて……)フワッ

後輩「……んっ」

男「……っ!」

後輩「……今度は、私からさせてもらいましたよ?」ニコッ

男「……不意を、つかれた」

455: 2010/08/06(金) 01:01:30.21 ID:6GJwBjSR0
後輩「……いっぱい泣いて、なんかスッキリしちゃいました」

男「そりゃ一安心だ」

後輩「心配おかけしたみたいで、すいません」ペコッ

男「年下が年上に心配かけるのは、当たり前のことだ」

男「むしろ、心配かけない奴ほど心配だ」

後輩「……なんか、手がかかるって言われてるみたいです」

男「違うか?」

後輩「むー、私だってしっかりしてますよ!」

男「ふむ、そんだけしっかりしてれば安心だな」

男「この花壇、よろしく頼んだぞ」

後輩「はい!任せてください!」

456: 2010/08/06(金) 01:11:00.61 ID:6GJwBjSR0
女友「あんた、何ぼーっとしてんの?」

女「ん、ちょっと先輩のこと思い出してた」

女友「そういえば、もう半年経ったんだねー……で、調子は?」

女「んー、いつも通り?」

女友「いつも通り、ですか」

女「そ、いつも通り」

女友「……ならいいや」

女「この前遊びに行ったときなんてね……」

女友「ハイハイ、ワカリマシタ」(聞いてないって……)

462: 2010/08/06(金) 01:24:25.09 ID:6GJwBjSR0
女「ブーン ブンシャカ ブブンブーン~♪」シャワワー

後輩「先輩、今日もお疲れ様です!」

女「ん、やっほー」

後輩「地球を救うのは、大変ですか?」

女「一筋縄にはいかないねー、やっぱ」

後輩「では、ボクも手伝います!」チョロチョロ

女「ん、ありがと」



女「よし、終わり」

後輩「けっこう暗くなっちゃいましたね……送りますよ、先輩!」

女「ありがと、でも大丈夫」ニコ

後輩「え、そういうわけには……行っちゃった」

後輩「……次こそは!」

465: 2010/08/06(金) 01:45:39.62 ID:6GJwBjSR0
男『へー、花壇の世話に手伝いがねー』

女『変な子がいるもんですよね』

男『そうやって継いでいくのも、面白いかもしれんな』

女『そうですね。あの花壇には不思議な力があるのかもしれません』

男『んなわきゃない。そんなもんあったら放置なんてされとらんだろうし』

女『……むぅ、酷いです……』

男『ま、後輩が楽しいならそれでいいさ』

女『……これからも、笑えるとき笑って、泣くとき泣いて……楽しめなくなるまで楽しみましょう』

男『ん、当然だ』

女『それじゃ……先輩。今日もお疲れ様でした!』



~こんなんで終わり~

466: 2010/08/06(金) 01:48:41.70
乙!
男子生徒と女子生徒にも何かあって欲しかったんだぜ!

でも楽しませてもらったよ~

467: 2010/08/06(金) 02:00:37.80 ID:6GJwBjSR0
よし、散々自分勝手やってやっと終われた

マイペースに書いて落ちたらそれでいいかなーとか思ってたら予想以上に残ってしまった
まさか、一週間以上残るなんて思わなかったよ さすが休みパワー
ほのぼの書こうとしたらなんか主題がはっきりしないよく分からん作品になってた
実は、3分で戦う人の話にしようとして付けたタイトルだったんだけどねー

こんなのを頑張って保守してくれた方、本当にありがとうございました
オチが気に入らない場合は、作者の力不足です。申し訳ない
またどっかでSS書いてんの見かけたらブタを見る目で見てやってください


こっから先のスペースは自由に使っちゃって

479: 2010/08/06(金) 06:30:39.51
大層乙であった

引用元: 後輩「あ、先輩。今日もお疲れ様です」