1: 2012/07/02(月) 14:57:51.12 ID:KFMl/aQTP
ザーザーザー

紬「……」タッ

紬「……」タッ

紬「……」タッ

紬「……」タッ

紬「……」タッ

紬「……」タッ

ニャーン

紬「…?」

子猫「……」

紬「……あら、子猫さん」

子猫「……」

紬「雨の中うずくまってる……怪我でもしちゃったのかな」

子猫「……」

紬「…………連れて帰りましょうか」

6: 2012/07/02(月) 15:02:38.30 ID:KFMl/aQTP
紬「菫、いる?」トントン

菫「……お姉ちゃん? 入っていいよー」

紬「うん。お邪魔するね」

紬「猫を拾ったの」

子猫「……」

菫「わっ、真っ黒な子猫」

紬「うん。道端にうずくまってたから連れてきたの」

菫「震えてるね」

紬「ちょっとホットミルクと毛布を用意して欲しいと思って」

菫「わかったよ」

紬「あ、ホットミルクは牛乳を水で薄めてから作ってね」

菫「うん」

紬「あっ、それと、猫舌だから」

9: 2012/07/02(月) 15:06:23.62 ID:KFMl/aQTP
菫「はい、毛布」

紬「ありがとう、ほら」グルグル

子猫「……ニャッ」

菫「あとこれ」

紬「ミルク……飲めるかな?」

子猫「……」

子猫「……」ペロッ

紬「飲んだね」

菫「うん」

子猫「……」ペロッ

子猫「……」ペロッ

子猫「……」ペロッ

子猫「……」zzz

紬「寝たね」

菫「うん」

12: 2012/07/02(月) 15:24:25.65 ID:KFMl/aQTP
子猫「……」zzz

菫「幸せそうに寝てるね」

紬「ええ」

菫「……ねぇ、お姉ちゃん、友だちのお見舞いはどうだった?」

紬「…………まだ意識が戻らないって」

菫「大変だね」

紬「ええ」

菫「……ねぇ! この子に名前をつけない?」

紬「……やめておきましょう」

菫「なんで?」

紬「逃がしてあげるとき、寂しくなるから」

菫「……そう」



紬「……梓ちゃん」

14: 2012/07/02(月) 15:28:13.88 ID:KFMl/aQTP
子猫(…………ここはどこ?)

子猫(これは…毛布?)

子猫(うぅ…なんだか体が変だ)

子猫(手が黒い? というか……えっ!)

子猫「ニャーッ!!」(どういうことなの?)

紬「…! なにごとっ!!」バッ

子猫「ニャッ…ニャニャ」(ム…ムギ先輩?)

紬「あら、起きてたの」

子猫「ニャ…ニャニャニャッ」(え、ムギ先輩が大きくなった)

紬「ほら、抱きしめてあげるから落ち着いて」

子猫「ニャー……ニャー……」(捕まっちゃった…あっ、あれは鏡)

紬「ほら、よしよし」

子猫「ニャーン…………」(私、猫になっちゃったの?)

17: 2012/07/02(月) 15:33:12.33 ID:KFMl/aQTP
子猫(思い出した)

子猫(部室で練習が終わって、一息いれようってときにコードにつまずいちゃって)

子猫(机の上に置いてあったショートケーキの角に頭ぶつけて……)

子猫(……私、氏んだ?)

子猫(氏んじゃったの?)

子猫(だから猫に生まれ変わったの?)

子猫(なんとかムギ先輩に自分のこと伝えなきゃ)

19: 2012/07/02(月) 15:35:59.76 ID:KFMl/aQTP
子猫「ニャ! ニャニャン!! ニャンニャン!!」(私です! 梓です!! 中野梓です!!!)

紬「もう、怖い夢でも見たの? 抱きしめていてあげるから落ち着いて」ギュ

子猫「ニャ……ニャンニャン///」(お、おっOいがもろにあたってるです///)

紬「こら、静かにしなきゃ怒られちゃうよ。もう夜遅いんだから」

子猫「ニャン……」(ごめんなさい…)

紬「わかってくれたの? 賢いんだね」

子猫「ニャン!」(当然です!)

20: 2012/07/02(月) 15:37:56.93 ID:KFMl/aQTP
紬「一緒のお布団で寝る?」

子猫「ニャン」

紬「ほら、今日は眠りましょ」

子猫「ニャン……」

紬「よしよし」

子猫「ニャ……ニャン」


子猫(明日起きてから考えよう……)

子猫(明日起きてから……)

子猫「……」zzz

紬「……」zzz

22: 2012/07/02(月) 15:40:29.70 ID:KFMl/aQTP
菫「おはよう」

紬「菫、おはよう」

菫「今日もお見舞いに行くの?」

紬「うん。だから」

菫「その間この子を見てればいいんだね」

子猫「……」(誰?)

紬「ええ、お願いするわ」

子猫「……ニャ…」

紬「よしよし……待っててね」

子猫「ニャン!」(わかりました!)

菫「ほら、子猫ちゃん、こっちにおいで」

紬「じゃあ、行ってくるわ」

菫「いってらっしゃい」

23: 2012/07/02(月) 15:42:40.70 ID:KFMl/aQTP
菫「お姉ちゃん大丈夫かな……」

子猫「……ニャ?」

菫「子猫ちゃん、お話を聞いてくれるのかな?」

子猫「ニャニャ」(任せるです)

菫「お姉ちゃんね、責任感じてるんだ」

子猫「ニャ?」

菫「自分が持っていったショートケーキの角に頭をぶつけて大切な後輩が意識不明になっちゃったから」

子猫「……」

菫「お姉ちゃんが責任感じる必要ないのにね…どう考えてもその子がドジ…」

子猫「……」(返す言葉もないです)

菫「ううん……こんなこと言ってたらお姉ちゃんに怒られちゃう」

子猫「ニャ……」(元気を出すです)

菫「子猫ちゃん。お姉ちゃんを元気づけてくれない」

子猫「ニャニャン!」(任せるです!)

菫「って、わかるわけないよね……はぁ…」

24: 2012/07/02(月) 15:46:58.65 ID:KFMl/aQTP
子猫(彼女の名前は斎藤菫、ムギ先輩の妹同然に育ったらしい)

子猫(ムギ先輩のことをとても慕っているようだ)

子猫(菫ちゃんは私に向かっていろいろ話してくれた)

子猫(どうやら私は氏んでないみたい)

子猫(私の体は意識不明の重体……)

子猫(その責任を感じてしまっているムギ先輩……)

子猫(はぁ……どうしてこうなってしまったんだろう)

子猫(どうすれば戻れるんだろう)


子猫(それと、どうやら私は精神まで猫化しているらしい)

子猫(どういうことかというと……)

26: 2012/07/02(月) 15:55:31.24 ID:KFMl/aQTP
菫「ほら子猫ちゃん、猫じゃらしでちゅよ」

子猫「ニャッ……ニャニャン」(ね、ねこじゃらしっ!)

菫「ほらほら、こっちでちゅよ」

子猫「ニャン! ニャン! ニャン!」(こっちですか! あっちですか!)

菫「ほら、今度は上でちゅよ」

子猫「ニャン! ニャン!」(このっ! やってやるです!)

菫「本当に猫じゃらしの好きな子猫ちゃんでちゅね」

子猫「ニャァオ……」(く、悔しい……でも追いかけちゃう)

菫「ほらほらよくできまちたねー」

子猫「ニャ……ニャン」(赤ちゃん言葉……馬鹿にして!)

28: 2012/07/02(月) 16:01:34.85 ID:KFMl/aQTP
紬「……」

菫「ほら、次はこっちでちゅよー」

子猫「ニャ」(このっ!)

紬「……菫? どうしちゃったの?」

菫「ハッ! ……お姉ちゃん!? ……こ、これは」

紬「随分なついてるみたいだけど……赤ちゃん言葉のせい?」

菫「そ、そうかもしれないね」

紬「子猫ちゃん。こっちでちゅよ」

子猫「……」(ムギ先輩まで……ここは無視するです)

紬「こっちを向くんでちゅよ」

子猫「……」(無視です。徹底的に無視です)

紬「駄目ね…」

子猫「ニャァオ」(普通に喋ってください)

菫「お姉ちゃん。私はそろそろ部屋に戻るから」

紬「ええ、今までありがとう」

29: 2012/07/02(月) 16:05:11.64 ID:KFMl/aQTP
紬「子猫ちゃん。こっちにきて」

子猫「ニャア」

紬「今度はきてくれた」

子猫「ニャアニャア」(ムギ先輩!)

紬「ねぇ、子猫ちゃん。後輩の容態が安定してきたの」

子猫「ニャッ」(本当ですか?)

紬「順調にいけば数日で意識が戻るかもしれないって」

子猫「……」(体に戻れるかもしれない)

紬「子猫ちゃんのおかげかな。黒猫なのに幸福を呼んでくれるなんて」

子猫「ニャア」(照れるです)

紬「照れてるの? ……そんなわけないか…このままよくなるといいな」

子猫「ニャン」

31: 2012/07/02(月) 16:09:48.65 ID:KFMl/aQTP
紬「はい、ミルクよ」

子猫「ニャア…ニャア」ペロペロ

紬「それ飲み終わったらお風呂に入りましょうか」

子猫「ニャニャ?」(にゃんだと)

紬「体の隅々まで洗ってあげるから」

子猫「ニャア……」(私どうなっちゃうんだろう)


>お風呂場

紬「さて、ここがお風呂場よ」

子猫「ニャッ…ニャーニャーニャー」(裸のムギ先輩……刺激が強すぎるです)

紬「さて、石鹸を泡立てて……」

子猫「ニャ~」(あわわわ)

紬「耳の中に水が入らないように気をつけないとね」ゴシゴシ

子猫「ニャ……ニャニャ」(こしょがしいです)

33: 2012/07/02(月) 16:13:38.32 ID:KFMl/aQTP
紬「いい毛並みね。きれいに洗ってあげるから」ゴシゴシ

子猫「ニャン」

紬「はい、じゃあゴロンしましょう」

子猫「ニャ…ニャニャニャニャニャ」(大事なところが全部…は、恥ずかしいです)

紬「はい、ごしごしごし」ゴシゴシ

子猫「ニャ、ニャー!ニャー!ニャー!」(オッパイをそんなに強くこすっちゃらめぇ!)

紬「はい、下の方もよく洗おうね」ゴシゴシ

子猫「ニャ、ニャンニャンニャーーーーー!」(そこは駄目です。本当に駄目なんです……うぅあっうっ…だめぇ…)

紬「ごしごしごし」ゴシゴシ

子猫「ニャニャニャーーーーーーーーン!!………………ニャ」(らめぇ、イっちゃう!!!!……………ふぅ)

紬「あら、幸せそうな顔しちゃって、そんなに気持ちよかったの?」

子猫「ニャア…」ピクッピクッ

35: 2012/07/02(月) 16:15:56.96 ID:KFMl/aQTP
紬「ほら、抱いててあげるから、一緒にお湯船に浸かりましょ」

子猫「ニャン」


38: 2012/07/02(月) 16:21:33.28 ID:KFMl/aQTP
紬「ふぅ…お風呂気持ちよかったね」

子猫「ニャア……」(もうどうとでもしてください……)

紬「うふふふ。疲れちゃったのかな。今日はもう寝ましょう」




子猫(こんなハプニングがありつつも、ムギ先輩のペットとしての生活が続きました)

子猫(私は、元の体にすぐに戻れるだろう、と気楽に考えていました)

子猫(しかし、その日はいつまでたっても来ませんでした)

子猫(やがてムギ先輩にも変化が起こり始めました)

40: 2012/07/02(月) 16:24:21.45 ID:KFMl/aQTP
紬「…………」

子猫「ニャア?」

紬「子猫ちゃん……ちょっと抱きしめさせて」

子猫「ニャッ!」(いきなりっ!)

紬「梓ちゃんがいつになっても目を覚まさないの」

紬「もうどこも悪いところはないはずなのに」

紬「お医者様も不思議がってたわ」

子猫「……」

紬「はぁ……」

子猫「……ニャ…ニャアニャア」prpr

紬「……もしかして慰めてくれてるの?」

子猫「ニャア」

紬「……」


子猫(私がなんとかしないと……)

41: 2012/07/02(月) 16:28:05.21 ID:KFMl/aQTP
菫「お姉ちゃん、またお見舞いにいっちゃった」

菫「最近お姉ちゃん元気ないねぇ…」

子猫「…ニャア」

菫「それにしても子猫ちゃん。あなたお姉ちゃんの前では猫被ってないでちゅか?」

子猫「ニャッ!?」

菫「なにか怪しい気がするなー。そこんとこどうなんでちゅか?」

子猫(…! ひょっとしてこれってチャンスなんじゃ…)

子猫「ニャ!」

菫「えっ、返事した?」

菫「じゃあ、お姉ちゃんのこと好きでちゅか?」

子猫「ニャ!」

菫「……お姉ちゃんのこと嫌いでちゅか?」

子猫「…ニャーン」

菫「うーん……まさかとは思うけど、人の言葉がわかるのかな……?」

子猫「ニャ!」

43: 2012/07/02(月) 16:33:54.54 ID:KFMl/aQTP
菫「あったあった」

菫「昔こっくりさん用に作ったあいうえお表だよ」

子猫「ニャ! ニャ! ニャ!!」

菫「すごい反応……えっ、足で指さしてる、えっと…」

菫「わ・た・し・は・あ・す・さ」

子猫「ニャ!」

菫「あすさ……梓!? 梓って入院してるお姉ちゃんの後輩さんだよね」

子猫「ニャ! ニャニャニャン」

菫「あ、今度は…」

菫「ひ・よ・う・い・ん・に・つ・れ・て・け」

子猫「ニャ!」

菫「病院に連れて行けってことだよね……まさかとは思うけど」

子猫「ニャ!」

菫「でも、そんなオカルトありえるわけ……」

44: 2012/07/02(月) 16:35:39.81 ID:KFMl/aQTP
子猫「ニャニャニャン!!」

菫「でも、それでお姉ちゃんが元気になる可能性があるなら、やってみるしかないよね」

子猫「ニャ!」

菫「じゃあこの鞄に入ってね子猫ちゃん」

子猫「ニャ!」


>病院


菫「この病室だね……」

菫「この子が梓さん。かわいい人だな…」

菫「ほら子猫ちゃん出ておいで」

子猫「ニャニャ!」

菫「で、どうすればいいのかな」

子猫「ニャニャニャ!!」

菫「近づきたがってるのかな?」

47: 2012/07/02(月) 16:40:11.50 ID:KFMl/aQTP
子猫「ニャ!」

菫「はい」

子猫「ニャアニャア」ペロペロ

菫「……」

子猫「……」

菫「何もおきないね」

子猫「ニャア」

菫「……ふう、やっぱりそんなオカルトあるわけないか」




梓「菫…ちゃん?」

菫「…!」

梓「わ、私戻ってる」

菫「え……えっと」

梓「戻った! やっと戻れたんだ!!」

48: 2012/07/02(月) 16:43:09.39 ID:KFMl/aQTP
バタン!
梓「…!?」

菫「…!?」

紬「あ、梓ちゃん?」

梓「ムギ先輩!」

紬「梓ちゃん」ガバッ

梓「ム、ムギ先輩…そんなに強く抱きしめられたら苦しいです」

紬「梓ちゃんごめんなさい…私がもってきたケーキのせいで」

梓「それは本当に関係ないです。むしろ衝撃が抑えられたと思います」

紬「本当に良かった……」


紬「あ、いけない。休憩室にご両親がいたから呼んでこなくっちゃ」

梓「あ……行っちゃった」

50: 2012/07/02(月) 16:47:21.25 ID:KFMl/aQTP
梓「……」

菫「……」

梓「菫ちゃん……だよね」

菫「はい。梓さんはやっぱりこの子のなかに?」

梓「うん。菫ちゃんのおかげで助かっちゃった」

菫「そんな……」

梓「それでね。その子の中にいたこと、ムギ先輩には秘密にしてくれない?」

菫「どうしてですか?」

梓「色々恥ずかしいところ見られちゃったし、されちゃったし、いかされちゃったし」

菫「子猫だったから気にすることないと思いますが…」

梓「私が気にするのっ!!」

菫「は…はいっ」ビクッ

梓「ど、怒鳴っちゃってごめんね」

52: 2012/07/02(月) 16:49:04.72 ID:KFMl/aQTP
菫「それにして本当にオカルトってあるんですね」

梓「私も驚いたよ。本当にこんなことが起きるなんて…」

梓「菫ちゃん……今まで遊び相手になってくれてありがとう」

菫「いえいえ」

梓「……」

菫「……」

梓「……」

菫「……」

梓「……」

菫「……」

梓「寂しくなっちゃうなっちゃうね……」

菫「えっ?」

53: 2012/07/02(月) 16:50:22.00 ID:KFMl/aQTP
梓「子猫の間、お父さんやお母さん、友達やけいおん部のみんなと会えなくて寂しかったけど……」

梓「ムギ先輩や菫ちゃんと一緒の毎日もとっても楽しかったから」

菫「……」

梓「……はぁ」

菫「ねぇ、梓さん。また遊びにきてください。今度は人間の姿で」

梓「え?」

菫「私歓迎しますから」

菫「お姉ちゃんもきっと喜びますから」

梓「……うん!」

菫「あ、ご両親がいらっしゃったみたいですよ」

___
___
___

56: 2012/07/02(月) 16:52:12.51 ID:KFMl/aQTP
紬「菫、いる?」トントン

菫「……お姉ちゃん? 入っていいよー」

紬「うん。お邪魔するね」

紬「猫を拾ったの」

梓「……」

菫「わっ、猫耳つけた女の子」

紬「うん。かわいかったから連れてきたの」

菫「真っ赤になってるね」

紬「ちょっと菫の洋服を貸して欲しいと思って」

菫「わかったよ。猫じゃらしも忘れずにもってくるから」

紬「えっ?」

菫「妹の座は簡単には渡さないでちゅよ!」

梓「ニャニャッ!!」(私だって負けません!)

子猫「ニャ~ン」

おしまいっ!

57: 2012/07/02(月) 16:54:10.34

あずにゃんはネコ語をマスターしたのかww

58: 2012/07/02(月) 16:54:35.46
おつー
なんだかんだでよかったよ

引用元: 紬「猫を拾ったの」