1: 2013/02/17(日) 01:48:30.11 ID:fAUZVI+Z0

~放課後 教室~

アスカ「ぇー……」

ヒカリ「わあ、超めんどくさそう。……予想通りの反応だけど」

アスカ「だって、湯せんして形を整えて……準備するのも億劫だわ」

ヒカリ「(やっぱそこか)じゃ、じゃあ市販品でもいいわ、バレンタイン当日の今でもまだまだ売ってるわよ」

アスカ「バレンタイン限定系って高くない?」

ヒカリ「え? じゃ、じゃあ普通にポッキーとか市販品でも……」

3: 2013/02/17(日) 01:50:13.82 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「市販品ね~、でも普通のはしょっちゅうシンジに買ってあげたり、もらってるし~」

ヒカリ「…………」

アスカ「よくシンジと一緒に食べてるから」

ヒカリ(なぜそこまでの仲なのに、それ以上いかないかな……)

ヒカリ「お、お菓子に限らなくてもいいんじゃない? 何か碇くんが欲しがってたものとか」

アスカ「アイツがほしいもの?」

ヒカリ「そうそう」

4: 2013/02/17(日) 01:52:02.30 ID:fAUZVI+Z0

アスカ「……ヘンケルスってとこの包丁とか欲しがってたわね」

ヒカリ「……え?」

アスカ「そういうのって普通男から女へあげるでしょ? いや逆もあるかもしれないけどさ、中学生がよ?」

アスカ「そりゃあんまり家事をしない私が言うのもなんだけどさ、ちがくない?」

ヒカリ「あー……まあ、そうね」

ヒカリ(プレゼントとしてはいいけど、バレンタインに中学生が包丁って……な、無いかも)

アスカ「変に高いもの渡すとさ、アイツ変に真面目だからお返しとか気使っちゃうんだろうな」

ヒカリ(私の知らないアスカがいる。ここまで碇くんに気をつかうだなんて……)

5: 2013/02/17(日) 01:53:50.16 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「?」

ヒカリ「……そこまで仲いいのにお互い何もないの?」

アスカ「……」グッタリ

ヒカリ「ア、アスカ? ご、ごめん、気にしないで」

アスカ(別に…………シンジなんか……気にして……)

アスカ(……)

アスカ「ま、いいか。帰りにコンビニでも行くわ」

ヒカリ「うん」
 

6: 2013/02/17(日) 01:56:03.87 ID:fAUZVI+Z0
 
~コンビニ~

ヒカリ「はい、もうどれも食べてそうだから、ストレートにポッキー。渡しやすいでしょ?」

アスカ「そ、そりゃそうだけどね。早いわね、見つけるの」

ヒカリ「えへへ」

アスカ「……ヒカリ、強引ね」

ヒカリ「アスカも強引にシンジくんを引っ張ってみたら?」

アスカ「え? な何のためによ」

ヒカリ「碇くん密かに人気者だからためらってると誰かに取られちゃうよ? 例えば綾波さんとか」

アスカ「何でその名前が出るのよ!?」

ヒカリ「だって、碇くんお弁当作ってきてあげたりしてるし、普通同居人以外のお弁当ってそうそう作らないわよ?」

アスカ「……」

7: 2013/02/17(日) 01:59:53.53 ID:fAUZVI+Z0
 
~教室~

ケンスケ「シンジいくつ貰ったんだ?」

シンジ「え?」

トウジ「とぼけたらアカンで、センセェ。靴箱やったり、式波が席外した時とかに女子から何人か声掛けられとったやろ?」

シンジ「え、えと……」

ケンスケ「式波がいるにも関わらず、よくもまあ」

シンジ「べ、別にアスカと付き合ってる訳じゃ――」

トウジ「シンジがそう言っとるから周りの女子も隙あらばと狙ってくるんやろなぁ」

ケンスケ「こりゃ式波怒るんじゃないの? っていうか本人からもらってないのか?」

シンジ「アスカからは貰ってないよ、……向こうはそういう風に想ってくれてないんじゃないかな……」

8: 2013/02/17(日) 02:02:04.49 ID:fAUZVI+Z0
 
トウジ「? どした弱気やな、シンジ」

ケンスケ「うん、珍しい」

シンジ「……多分」

トウジ「多分?」

シンジ「うん、アスカは本当に只の友達としか見てないんじゃないかなって」

ケンスケ「ええ? そうかぁ?」

トウジ「それはないやろ」

シンジ「……」

10: 2013/02/17(日) 02:06:23.73 ID:fAUZVI+Z0
 
~ヒカリと別れて~

アスカ(そういやアイツの部屋にあった工口本、短髪だった気が……)

アスカ(まさかね)

アスカ(でも……)

アスカ(一冊しか見なかったし、ひょっとしたら他にあるかも)

アスカ(金髪ロングヘアーとか……)

アスカ(あ、ひょっとして日本って金髪系はあまり人気無いのかしら!?)

アスカ「んが~~、もっと探索すりゃよかったわ~~」

アスカ(……ああもう、息苦しいったらありゃしないわ)

11: 2013/02/17(日) 02:08:23.22 ID:fAUZVI+Z0
 
~葛城邸~

アスカ「ただいま、シンジいる?」

シンジ「おかえり、アスカ。いるよ?」

アスカ「シンジ、アンタチョコ何個貰った?」

シンジ「えっ! い、いきなりなに聞くのさ?」

アスカ「べっつに~、学校のアイドルシンジ様はいくつ貰ってるのかなって気になってさ~」

シンジ「なんだよそれ……」

アスカ「で、どうなの?」

シンジ「何個か……貰ったよ」

アスカ「ふうん……何個かね。さぞ本命チョコとやらで溢れてるでしょうに」
 

12: 2013/02/17(日) 02:12:22.19 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「な、何言って――」

アスカ「この袋ね?」

シンジ「あ、ちょっと!?」

アスカ「いいじゃない、減るもんじゃなし――」

アスカ「……うわ、何これ」

アスカ「アンタ、これ全部超本命系ばっかじゃん!?」

アスカ「うわ、これラッピング凄!? こっちは……何この大きさ!」

シンジ「あ、あはは……」

アスカ「全くいつの間にこれだけの量を……結構目を光らせてたつもりなのに……」ブツブツ

シンジ「え?」

アスカ「ん、コレは」

14: 2013/02/17(日) 02:17:39.38 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「ああ、それは……」

アスカ「……ほう、ほうほう」

シンジ「……」

アスカ「エコヒイキからね……アンタいつ貰ったの?」

シンジ「え? 綾波の? ネルフの帰りに貰ったけど」

アスカ「これを?」

シンジ「そうなんだ、凄いよね? 綾波が自分で作ったんだって」

アスカ「自分で?」

シンジ「うん、わざわざ持ってきてくれたんだ、嬉しかったな」

アスカ(……)

アスカ「へぇ」

アスカ(…………)
 

15: 2013/02/17(日) 02:20:39.82 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「それはそれは……。ふ~ん、見事なハート型だし? アンタの事好きなのかしらね?」

シンジ「え!? そ、そうなのかな? あは、あははは///」

アスカ(……)ズキ

アスカ(なに……)

アスカ(痛い……)

アスカ(口の中が乾く……)

アスカ(胸が渦巻いて……気持ち悪い……)

16: 2013/02/17(日) 02:23:24.35 ID:fAUZVI+Z0
 

『誰かに取られちゃうよ?』


アスカ(……ゃ)


『例えば綾波さんとか』


アスカ(…………)


『取られちゃうよ?』


アスカ(…………)


『綾波』


アスカ(…………)


『取られちゃうよ?』


アスカ(…………なのに)

17: 2013/02/17(日) 02:27:06.86 ID:fAUZVI+Z0
 
 
『綾波さんに…………れちゃうよ?』


アスカ(…………私のシンジなのに?)


『綾波さんに取られちゃうよ?』


アスカ(…………)


『綾波さんに取られちゃう』


アスカ(違う…… シンジは私の……)

アスカ(…………そうよ)

アスカ(シンジは私のモノなのよ!!)プチ

19: 2013/02/17(日) 02:29:49.26 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「……シンジ、私もあげるわ」

シンジ「ほ、ほんと?(やった!)」

アスカ「ええ、買ってきたのよ、待ってて今出すわ、すぐ食べて欲しいし」

シンジ「あ、ありがとう……え? すぐ?」

アスカ「あとどうせならゲーム形式で渡したいんだけど、参加してくれる?」

シンジ「ゲーム?」

シンジ(そういえば今はあまりしてないけど、アスカはゲーム好きだったな……)

シンジ(……特に断る理由もないし、せっかくだから参加しようかな?)

シンジ「うん、いいよ」

20: 2013/02/17(日) 02:33:42.36 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「ん、じゃあちょい待ち」パク

シンジ(ポッキーを咥えた?)

アスカ「はい」

シンジ「……え?」

アスカ「アンタもポッキーの片方咥えなさい」

シンジ「あ、アスカ……?」

アスカ「早くする!」

シンジ「わ、わかったよ」パク

アスカ「……いい? 目を閉じて?」

シンジ「え? どうして?」

シンジ(そういやどんなゲームするのか聞いてなかった)

アスカ「ゲームって言ったでしょ? お互い目を閉じてポッキーを両端から食べて――」

アスカ「先に食べきった方の勝ち、負けたら罰ゲーム。なんでもいうこと聞くのよ? いい?」

シンジ「た、食べきったらって、それって――」

21: 2013/02/17(日) 02:37:27.26 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「スタート」

シンジ「!?」

カリカリカリカリ

アスカ「……何やってんの?」

シンジ「だ、だって」

カリカリカリ

シンジ「!」

カリカリ……

アスカ「……ほら、あと一噛みよ? シンジ?」

シンジ「あ、え……と……」

23: 2013/02/17(日) 02:40:42.60 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……もういいわ、私がアナタを引っ張ってあげる……」

パクッ

シンジ「! アス――んむぅ!」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」
 

24: 2013/02/17(日) 02:43:19.71 ID:fAUZVI+Z0
  
アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――う」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

25: 2013/02/17(日) 02:45:28.47 ID:fAUZVI+Z0

 
アスカ「――っはぁ……」

シンジ「……」ドキドキ

シンジ「ア、アスカ……!?」

アスカ「……」

シンジ「……ァ」

アスカ「なにキスくらいで動揺してんのよ? しっかりしなさい、私のファーストキスもらって嬉しくないの?」

シンジ「う、うれしいけど」

アスカ「そ」

シンジ「……うん」

アスカ「じゃあもう一回」ガバッ

シンジ「え? ちょっとアス――ぁむぅ!?」

26: 2013/02/17(日) 02:48:00.99 ID:fAUZVI+Z0
 
~十五分後~

アスカ「ふふ、何回目のキスだっけ?」

シンジ「アスカ……僕、も、もう――」

アスカ「アンタなに興奮してんのよ? バ……工口シンジ!」

シンジ「だ、だって……」

アスカ「ふん、不潔ね。 アンタ変な期待なんかしてないでしょうね?」

シンジ「……し、してな――」

アスカ「嘘つき」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……し、したよ」

アスカ「フン……」

27: 2013/02/17(日) 02:52:23.55 ID:fAUZVI+Z0
 

『アスカも強引にシンジくんを引っ張ってみたら?』


アスカ(……フフン)

アスカ「アンタ、私の部屋に来なさい」

シンジ「え!?」

アスカ「嬉しいでしょ? さっきアンタが期待したのを叶えてあげるって言ってんのよ、工口シンジ」

シンジ「あ、アスカ」

アスカ「ミサトはまだ帰ってこないわ……ほら、いくわよ」

シンジ「え、あ……」

アスカ「……シンジその扉閉めた瞬間から罰ゲームスタートだからね? 何でもいうこと聞くのよ?」

シンジ「あ、そういえば、ま、まだ罰ゲーム始まってなかったんだね」

アスカ「そうよ、何でも言うこと……聞くのよ」

28: 2013/02/17(日) 02:54:32.82 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「さ、閉めて、シンジ、私がバレンタインあげるわ……」

シンジ「――う、うん」

ガチャ

ミサト「ただいま~」

ドカッ

シンジ「ぐは!」

ミサト「キャッ!? え? ちょっ、ちょっとシンちゃん!?」

アスカ「おかえり、ミサト」

ミサト「う、うん、ただいま……って、何があったの? シンジくん生きてる?」

アスカ「たかだかポッキーあげただけで勘違いした成れの果てよ」

ミサト「へ?」

29: 2013/02/17(日) 02:56:50.24 ID:fAUZVI+Z0
 
~深夜シンジの部屋~

シンジ(今日のアスカ、一体……)

シンジ(……うう、おもいっきり急所蹴られた)

シンジ(まだじんじんする)

シンジ(……でも)

シンジ(……キスしてしまった)

シンジ(うう、なんか緊張して眠れない……じんじんする……)

シンジ(な、なんで突然キスなんか……)

シンジ(もしかして本当に僕のこと……)

シンジ(……アスカともう一度キスしたくなって――)

ガラッ

シンジ「!?」

30: 2013/02/17(日) 02:59:50.38 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「……」

シンジ「アス――痛」

アスカ「しー、静かに」

シンジ「わ、分かったから鼻つまむのやめてよ」

アスカ「わかったわよ、ホラ」パッ

シンジ「ってて……それよりどうしたのさ? こんな時間に」

アスカ「別に? またキスでもして欲しいのかな~っと思って来たのよ」

シンジ「うぁっ!?」

アスカ「へ~図星? クスクス」

シンジ「ち、違うよ!」

アスカ「違うの? 私はさっきの続きしに来てあげたのに?」

シンジ「え……そ」

31: 2013/02/17(日) 03:03:38.96 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「……」ジト目

シンジ「あ」

アスカ「……何期待してんのよ工口シンジ」

シンジ「う……」

アスカ「欲望丸出しねアンタ……、寝てるとはいえミサトもいるのに、バカシンジ! 工口シンジ!」

シンジ「うう……ご、ごめん」

アスカ「……シンジ」

シンジ「え? あっ――むぐぅ」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――っん、おしまい」

シンジ「……」

32: 2013/02/17(日) 03:06:03.86 ID:fAUZVI+Z0
アスカ「じゃ、寝るわ。おやすみ、シンジ」

シンジ「……」

アスカ「おやすみ!」

シンジ「あ、う、うん。おやす……み」

ガラッ バタン

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ(うああああぁぁ~~~……)ゴロゴロゴロゴロ……

33: 2013/02/17(日) 03:11:24.63 ID:fAUZVI+Z0
 
~翌朝~

シンジ「ぉはようございます」

ミサト「おはよう、シンジく……なんか眠そうね? 疲れ? いつも悪いからたまに家事休んでいいわよ?」

シンジ「あ、だ、大丈夫です。すぐ朝ご飯作りますね。お弁当は昨日作ってるので――」

アスカ「わたしは先行くから」

シンジ「!」

ミサト「ご飯食べないの? いってらっしゃい……どしたの? シンジくん?」

シンジ「い、いえ……」

アスカ「シンジ」

シンジ「え!? あ、はい!」

アスカ「今日お昼ご飯は一緒に視聴覚室でね? わかった?」

シンジ「う? うん?」

ミサト「うんうん、仲の良いことはいいことだわ」

34: 2013/02/17(日) 03:15:00.53 ID:fAUZVI+Z0
 
~学校 昼休み~

シンジ(な、なんで急に? 今までお昼なんて一緒に食べたことなかったのに……)

シンジ(やっぱりアスカ僕のこと! ついに僕にも春が!!)

シンジ(また……キスを……してくれるかな……)

レイ「碇くん」

シンジ「っわあ!!」

レイ「?」

シンジ「あ、あ、ごめん。ちょっと考え事してて……あ、昨日はありがとう。その、嬉しかったな」

レイ「本当? 良かった」

シンジ「まだ食べてないんだけど、でも勿体無くてなかなか」

レイ「そう。食べたいときに食べてくれればいいわ……それより」

シンジ「?」

レイ「弐号機の人が見てるわ」

シンジ「っ!!」バッ

アスカ「……」

35: 2013/02/17(日) 03:17:12.53 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「あ、ご、ごめん。じゃあまたね綾波」ガタッ

レイ「ええ……」

シンジ「あ、アスカお待たせ、ごめ――」

アスカ「先に行ってて」

シンジ「う、うん……」

~視聴覚室~

ガラガラ――ピシャリ ガチャ

シンジ(? え?)

シンジ「アスカ、別に鍵まで――」

アスカ「ゆっくり食べられるじゃない? 念のため確認したけど午後から使用予定無かったし」

シンジ「そ、そうなんだ」ドキドキ

アスカ「じゃあ食べましょ? お、今日のおかず美味しそう」

シンジ「うん、ありがとう。いただきます」

36: 2013/02/17(日) 03:19:10.19 ID:fAUZVI+Z0
 
数分後

アスカ「ごちそうさま」

シンジ「ごちそうさま」

アスカ「唐揚げ美味しかったわ」

シンジ「ありがとう、揉んで揚げるだけの簡単調理だけど」

アスカ「ご褒美あげる」スッ

シンジ「え? あっ――むぐぅ」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――」

シンジ「――」

アスカ「――はい……おしまいよ」

37: 2013/02/17(日) 03:21:24.35 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「あ……アス――!」

アスカ「こら」

シンジ「カ」

アスカ「おしまいって言ったらおしまいなのよ」キッ

シンジ「…………」

アスカ「ね」ニコ

シンジ「う、うん……」

シンジ「……」

シンジ(……何か……引っかかるんだよな……)

シンジ「ねえアスカ、ひとつ聞いていい?」

アスカ「何?」

シンジ「ア、アスカは……」

アスカ「……」

38: 2013/02/17(日) 03:25:58.16 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「ぼ、ぼく、僕のこ――」

アスカ「アンタ、もちろん私のこと好きでしょ?」

シンジ「え!?」

アスカ「……違うの?」

シンジ「ええ? な、そんな……」

アスカ「嫌いなんだ」シュン

シンジ「い、いや――」

アスカ「さっきおしまいって言ったのにさらにキスを求めてきたくせに」

シンジ「えええ!?」

アスカ「昨日だってミサトが帰ってきてなかったら、アンタ私に何するつもりだったの?」

シンジ「え!? あ、昨日っ!? あれはアスカが――!」

アスカ「それともアンタは女の子の誘いだったら誰にでも乗るわけ?」

アスカ「クラスの女子とか、ヒカリとか、……エコヒイキとか」

シンジ「ち、違うよ」

39: 2013/02/17(日) 03:31:32.35 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「キスした時驚きはしてたけど、嫌がってないじゃない?」

アスカ「それってアタシとキスするのが嫌じゃないってことでしょ? 誰でもいいわけじゃないんでしょ?」

シンジ「も、もちろん!」

アスカ「じゃあ昨日私の部屋に来た理由は私だからって理解していいのね?」

シンジ「! ……そ、そうだよ!」

アスカ「ね、シンジ?」

シンジ「な、何?」ゾク

アスカ「アンタ、全部私のモノになりなさいよ」

シンジ「(え?)……どういう意味?」

アスカ「そのままよ、幸せでしょ?」

シンジ「(……)アスカ、それは……アスカも僕のこと」

アスカ「アンタは私のモノ」

シンジ「も、モノって、なんだよ……? 意味がわからないよ」

アスカ「そのままよ、いつも私を大事に優しくしてくれればいい」

40: 2013/02/17(日) 03:33:34.46 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「……」

アスカ「もちろん私も優しく大事にしてあげるわ」

シンジ「……」

シンジ(モノ……、モノ……、モノ……)

シンジ「……教室に帰る」ガラッ

アスカ「は? シンジ?」

シンジ「僕は……アスカの人形じゃないよ」スタスタスタ

アスカ「……」

41: 2013/02/17(日) 03:36:07.30 ID:fAUZVI+Z0
 
~放課後 帰り道~

アスカ「シンジ」

シンジ「……アスカ」

アスカ「アンタなにコソ~っと帰ってんのよ」

シンジ「……」

アスカ「なによ、何か文句あんの?」

シンジ「……ないよ、ないけど」

アスカ「……帰るわよ」

シンジ「ごめん、今日は一人で帰るから……」

アスカ「……」

シンジ「……じゃあ」

アスカ「……」

42: 2013/02/17(日) 03:38:04.93 ID:fAUZVI+Z0
 
アスカ「シンジ」

シンジ「……なんだよ?」

アスカ「アンタは私のモノよ、誰にも渡さないから、とくにエコヒイキなんかにはね」

シンジ「だから僕はアスカのモノでも人形でも何でもないんだ! それに綾波は関係ないだろ!?」

シンジ「もういいよ、じゃあね」

アスカ「ま、待ちなさい!」

アスカ(まさかエコヒイキと帰ったりしないわよね!?)

43: 2013/02/17(日) 03:41:12.26 ID:fAUZVI+Z0
 
シンジ「……」スタスタ

アスカ「……」スタスタ

シンジ「……」スタスタ

アスカ「……」スタスタ

シンジ(すっごい後ろ付けられてる……)スタスタ

アスカ(今のところエコヒイキと帰る線は無さそうね……)スタスタ

シンジ「あ、あのさ」ピタ

アスカ「……なに?」ピタ

シンジ「……なんでピッタリ後つけてくるの?」

アスカ「アンタばかぁ? 家がおんなじなんだから当然でしょ?」

シンジ「……じゃ、じゃあアスカ先に行ってよ」

アスカ「……わかったわよ」スタスタ

シンジ「……」

44: 2013/02/17(日) 03:43:53.63 ID:fAUZVI+Z0
 
15分後

シンジ(さすがにもう電車に乗ったぐらいかな?)

シンジ(……でもどうして急に『私のモノ』なんて)

シンジ(……)


シンジ『アスカ、それは……アスカも僕のこと』

アスカ『アンタは私のモノ』


シンジ(…………僕のこと……好きってワケじゃないって……ことか……)

シンジ(ただの……便利な男ってことなのかな……)

シンジ(キスも、いつものからかってくる延長みたいなものなのかな?)

シンジ(……)ウルッ

シンジ(なんだか泣けてきた……)

シンジ(…………今日は30度超えてるのに……寒いや……)

45: 2013/02/17(日) 03:47:57.70 ID:fAUZVI+Z0
 
~アスカ自室~

アスカ(なんで私のこと好きって言ってるくせにああも反抗的なのかしら?)

アスカ(ただ単にもっと私を大事に優しく扱ってくれればいいだけなのよ! それが恋人でしょ!? バカシンジ!)

アスカ(全く……それとも私の台詞が何か違ったのかしら……)

アスカ(あのサイト通りに行動してみたし、台詞もなぞってみたんだけどな……)

アスカ(ああもう……頑張ってキスもしたのに!)

アスカ(……勇気を振り絞って部屋にも……ま、あれはミサトが帰ってきたし、しょうがないか)

アスカ(よし、とりあえず今日はあのサイトで得た作戦を実行してみるか!!)

アスカ(え~と、なんだっけ? 確か……ゴスちっくな服と……)

アスカ(今日はミサト帰ってこないの知ってるし……よし、覚悟しなさいよシンジ)

47: 2013/02/17(日) 03:56:17.14 ID:fAUZVI+Z0
 
~玄関前~

シンジ(落ち込んでてもしょうがないか、少なくとも嫌われてはないんだろうし……)

シンジ(いつかアスカに振り向いてもらえるようになってやる)

シンジ(明日から頑張ろう!)

シンジ(……大体アスカもあんなに甘えてくれるんだったら)

シンジ(ゴス服とかで迫ってきてくれた方が……)

シンジ(ビーストモードが発動するのに!!!!!!)

シンジ「まあいいや……」

ガチャ

シンジ「ただいま~」

50: 2013/02/17(日) 04:01:49.78 ID:fAUZVI+Z0
 
~アスカの部屋~

アスカ「よし、こんなもんね、あとはリボン付きチョーカー巻いてっと……」

アスカ「完成」

ガチャ

アスカ「む!?」

シンジ『ただいま~』

アスカ「遅かったわね、ノロシンジ! アンタまさかエコヒイ――」

シンジ「」

アスカ「ん?」

シンジ「コード777開放!!!! ビーストモード!!!!」

アスカ「きゃあああああああああああああぁぁぁぁ!!??」


終劇 (続きは各自で脳内保管計画)

51: 2013/02/17(日) 04:04:38.90 ID:fAUZVI+Z0
ダラダラでようやく終わりました。
さるよけ支援などありがとです。

52: 2013/02/17(日) 04:11:58.62
乙ー

引用元: ヒカリ「アスカ、この時期恒例のバレンタイ作戦よ~!」 アスカ「」