1: 2012/05/28(月) 01:22:29.65 ID:07xz8PEA0

先日の事。私は非常に憤りを感じておりました。

私のプロデューサーが過労で倒れてしまったのです。

やはり、一人でアイドルを何人も掛け持つというのは負担がかかりましょう。

私は彼のことを…お労しいと思ったのです。

少しでもあの人の為になれたら、と。



アイドルマスター2次創作SS
月の女王と蜜月を

5: 2012/05/28(月) 01:25:14.54 ID:07xz8PEA0
貴音「……」

貴音「すぅ、はぁ」


私はドアの前で気を落ち着けます。

貴音「では、参りましょうか」

果たして了承をもらえるでしょうか。

ガチャ

千早「四条さん、おはようございます」

真「貴音さん!おはようございます!!」

貴音「皆、おはようございます」

P「あぁ、おはよう貴音」

貴音「あなた様、おはようございます」ニコッ

貴音「随分と顔色が良くなりましたね」

P「ははっ。皆がサポートしてくれるからな」

貴音「それは真、良きこと」

8: 2012/05/28(月) 01:29:24.63 ID:07xz8PEA0
P「んじゃスケジュール確認しようか」

貴音「」ジー

P「?」

貴音「あの、少々お時間を頂いても構いませんか?」

P「…何か重要な話か?」

貴音「えぇ、とても」

P「うん、分かった。社長室に行こう」

貴音「はい」

ガチャ

バタン

千早「何かしら?」

真「なんか怪しいね」


P「んじゃ、話してくれ」

貴音「…私はあなた様の家に伺いたいのです」

P「は?」

10: 2012/05/28(月) 01:31:15.74 ID:07xz8PEA0
P「ふむ、俺の家に来たい、か」

貴音「えぇ」

P「今日?」

貴音「本日、です」

P「なんでまた急に……」

貴音「理由は何も聞かず。どうか」

P「最近掃除してないから汚いんだよ」

貴音「構いません」

P「というか、俺の家に来てどうするんだ?」

貴音「ただの好奇心ですよ」

P「…」

貴音「…」

P「はぁ…」

P「まぁ、いいけどさ」

貴音「!」

13: 2012/05/28(月) 01:35:59.67 ID:07xz8PEA0
P「夜には帰れよ?アイドルを泊めるとかご法度にも程がある」

貴音「はい!ありがとうございます!」



真「それでね、その時に雪歩がね…」

千早「そんなことがあったのね」

貴音「ふふっ。仲がよろしいですね」

キャッキャウフフ



P(そろそろ行くか。っと…その前に)

P「貴音」チョイチョイ

貴音「? はい、どうされましたか?」トテトテ

P「今日のことなんだけど…アイドルが男と二人で歩く、というのはマズいと思うんだ」ボソボソ

貴音「そうですね…」

P「仕事で遅れたら一緒に行けないかもしれんしな」

貴音「なるほど。では一人で行けばよろしいでしょうか?」

15: 2012/05/28(月) 01:40:03.18 ID:07xz8PEA0
P「いいか?」

貴音「私はそれで構いませんよ」

P「助かる。住所は…」

貴音「」フムフム

P「あと、家のカギのスペア渡すから…」スッ

貴音「なんと。あなた様の家の鍵、とは」

P「?」

貴音「まるで夫婦のようですね」

P「なっ?!何言ってるんだ!!」

ガタッ

千早・真「…?」キョトン

貴音「…少々声が大きいですよ?」クスクス

P「す、すまん。じゃあ頼むな」

貴音「えぇ。では行ってらっしゃいませ」

貴音「ふふっ、旦那様」

19: 2012/05/28(月) 01:43:26.19 ID:07xz8PEA0
P「からかうんじゃありません」ピシッ

貴音「い、痛いです…」

P「ははっ。んじゃ行ってくるよ」

ガチャ

バタン

貴音「」ニコニコ

真「ね、ねぇ、貴音さん」

貴音「秘密、ですよ?」

真「あぁ!まだ何も聞いてないのに!!」

真「ていうか、そんな言い方したら余計気になるじゃないかー!」

千早「ま、真!落ち着いてよ」

貴音「さて今日も特訓に励みましょうか」ニコニコ

22: 2012/05/28(月) 01:46:03.72 ID:07xz8PEA0
貴音「ふぅ、ありがとうございました」

真「いやー!歌うのも気持ちいいなぁ!」

千早「真にも四条さんにも負けてられないわね」

貴音「では、私はこれで」スッ

千早「四条さん、お疲れ様」

真「お疲れさまー!」

ガチャ
バタン

真「よし、尾行しようか!」

千早「あまり詮索はしないほうがいいわよ?」

真「千早は気にならないのか?!」

千早「…気になるけど」

真「でしょ?!だったら早く行こうよ!!」ワクワク

千早「尾行ってスパイ映画みたいで楽しそうだなぁ、とか考えてない?」

真「ぎくっ!そ、そんなことないよ!さぁ、貴音さんを見失っちゃうよ!」ダッ

千早「あ、待ってよ真!」

24: 2012/05/28(月) 01:48:29.38 ID:07xz8PEA0
貴音「…」テクテク

千早・真「」ソーッ

貴音「?」クルッ

千早・真「!」バッ!

貴音「…」フム

千早・真「」ドキドキ

貴音「…」クルッ

貴音「…」テクテク

千早「危なかったわね」

真「なんだかんだでノリノリじゃないか…」

千早「何か言ったかしら?あ、曲がるみたいよ」

真「よし、急ごう」

タッタッタッ

真「な…」

シーン

25: 2012/05/28(月) 01:50:55.09 ID:07xz8PEA0
千早「見失ったわね…」

真「あちゃー…気付かれてたっぽいね」



貴音(まだまだ甘いですね。千早、真。)テクテク

貴音「~♪」




貴音「ふむ、ここがプロデューサーの家ですか」

貴音「い、些か緊張してまいりました」モジモジ

ガチャン

貴音「お邪魔いたします」

貴音「…やはり、汚れていますね」

貴音「こんなこともあろうかと、持ってきておいて正解でした」

貴音「さて、始めましょうか」

26: 2012/05/28(月) 01:53:23.70 ID:07xz8PEA0
P「ふぅ、ただいまー」

貴音「あなた様、お帰りなさいませ」

P「あぁ、貴音。いらっしゃ、い…?」

P「何でエプロン装備なんだ」

貴音「似合っていますか?」クルンクルン

P「似合ってるけどさ……」

貴音「ふふ。あなた様、ご覧ください」

キラーン

P「おぉ、我が家が輝いとる…」

貴音「勝手ながら掃除させていただきました」

P「迷惑かけてすまんな」

貴音「こういう時は謝罪するものではありませんよ?」

P「そうだな。ありがとう」

貴音「えぇ、どういたしまして」クスクス

P「何かお礼しなきゃな」

28: 2012/05/28(月) 01:56:27.35 ID:07xz8PEA0
貴音「…それでしたら私、一度『撫で撫で』というものを体験したいのです」

P「な、撫で撫で?」

貴音「いつもやよいにしてるように頭を撫でて下さいませ」

P「ふむ、そんなんでいいんだったら」ナデナデ

貴音「これは…なんと趣きのある…」ブツブツ

P「…」ナデナデ

貴音「流石ですね…このようなことを毎日…」ブツブツ

P「こんなもんでいいか?」スッ

貴音「あっ…」

P「ん?」

貴音「何でもございません。ありがとうございました」ペコリ

P「こっちこそな」

29: 2012/05/28(月) 01:58:00.28 ID:07xz8PEA0
貴音「それにしても」

貴音「弁当の空き容器を放置するのは感心しませんね」

P「あぁ、最近コンビニ弁当多かったしなぁ。時間無いし…」

貴音「塩分を多く含むので健康に良くありませんよ?」

P「ラーメンはいいのか?」

貴音「ラーメンに罪はありません」プイッ

P「…前に控えろと言ったような気がするが」

貴音「と言うわけで」

P(話逸らしたな…)

貴音「私が夕食を作らせていただきます」

P「おぉ、本当か?」

貴音「材料は既に買っておきました」スッ

P「準備がいいな、おい」

貴音「ふふっ。では、しばしお待ちを」スタスタ

P「あぁ」

30: 2012/05/28(月) 01:59:30.17 ID:07xz8PEA0
P(台所に立つ貴音、か)

P(絵になるなぁ)

貴音「~♪」



貴音「お待たせ致しました」

P「肉じゃがかー」

貴音「はい、お口に合うか分かりませんが…」

P「いただきます」パンッ

貴音「どうぞ召し上がれ」

パクッ

貴音「」ドキドキ

P「…うまい」

貴音「それは良きこと」ホッ

P「美味しいよ。貴音」ナデナデ

貴音「あっ…」ドキン

32: 2012/05/28(月) 02:01:56.84 ID:07xz8PEA0
P「ご褒美、だろ?」

貴音「えぇ」

貴音「とても、温かい気持ちになれます」



P「ごちそうさま」

貴音「お粗末さまでした」

P「ホント、うまかったよ。毎日作ってもらいたいほどだ」

貴音「構いませんよ?」ボソッ

P「…え?」

貴音「ふふっ。では、食器を洗いますね」

P「あ、あぁ」

P(つーか、マジで通い妻状態じゃないか…)

34: 2012/05/28(月) 02:05:24.39 ID:07xz8PEA0
P「暗くなってきたなー」

貴音「そう、ですね」

P「…貴音、そろそろ」

貴音「あなた様」

P「ん?」

貴音「次はマッサージというものをさせていただきます」



P(いいのだろうか…これは)

貴音「ではベッドにうつ伏せに寝て下さい」

P「あ、あぁ」

ゴロン

P「これでいいか?」

貴音「はい」

P「んじゃお願いするよ」

貴音「体に乗らせていただきますね…」

35: 2012/05/28(月) 02:08:05.20 ID:07xz8PEA0
ギュムッ

P「うおお…」

P(貴音の体って柔らかいなぁ…)

貴音「重くありませんか?」

P「いや、軽いくらいだ」

貴音「ふふ、ありがとうございます。顔が赤いようですがどうかされましたか?」

P「い、いや何でもないぞ」

貴音「んっ…少々、体勢を変えますね」フリフリ

P「くっ…」

P(お姫ちんのお尻ちん…)

P(はっ!俺はなんて不埒なことを考えてるんだ!)ブンブン

貴音「?」キョトン

P「いや、何でもないぞ」

貴音「そうですか。では失礼して」

グッグッ

39: 2012/05/28(月) 02:11:06.49 ID:07xz8PEA0
P「…気持ちいい」

貴音「とても凝っていらっしゃいますね」

P「疲れてるからなぁ」

貴音「……」

グッグッ

P(何か今日はずっと貴音に尽くしてもらってるな)

貴音「…人が一人で出来る事なんて少ないのです」

P「貴音?」

貴音「あなた様は何でも抱え込みすぎなのです…」

P「…」

貴音「ご自愛ください…」

P「俺が倒れたときの話か?」

貴音「はい」

貴音「あの時はまさに背筋が凍りつく思いでした」

40: 2012/05/28(月) 02:14:20.79 ID:07xz8PEA0

……

P「おはようー」

貴音「あなた様、おはようございます」

貴音「何やら顔色が良くないように見受けられますが…」

P「そうか?まぁ平気だろ…」

P「あれ、今日は貴音に仕事あったっけ?」

貴音「…えぇ、この時間に」

P「あー…本当だ。んじゃ仕事片付けたら送ってくからもうちょい待っててくれな」

貴音「はい」

P「……」

貴音「どうされました?」

P「」フラッ

バタン

貴音「?!」

貴音「あなた様!!返事をしてください!!あなた様!!!」

42: 2012/05/28(月) 02:17:29.17 ID:07xz8PEA0
律子「貴音?どうしたの?」

貴音「いえ。そろそろ仕事の時間ですね。律子、申し訳ないですが送ってください」

律子「え、えぇ。貴音、何か顔が怖いわよ?」

貴音「平気です。すぐに落ち着きます故」

貴音(私はあの方に何も出来ていないのですね)



小鳥「プロデューサーさん、お茶が入りましたよ」

P「ありがとうございます。音無さん」

小鳥「今日は疲れを癒す効果があるハーブティを用意してみました!」

P「えぇ、美味しいです」



春香「プロデューサーさん!キャラメルですよ!キャラメル!!」スッ

P「あぁ、ありがとな。春香」

春香「いえいえ!では失礼します!!」

P「甘いなぁ」

45: 2012/05/28(月) 02:20:01.18 ID:07xz8PEA0
律子「プロデューサー、ここの書類間違ってましたよ?」

P「ん、どれどれ。あっちゃー」

律子「もう、しっかりしてくださいね」クスッ

P「え? …き、気をつけるよ」



P(俺が過労で倒れてから事務所の皆の気遣いがすごいな…)

貴音「…」

P「貴音?どうした?」

貴音「いえ、何も……」

貴音(私もプロデューサーに)

貴音(何かしてあげたい、と)

……

47: 2012/05/28(月) 02:23:48.82 ID:07xz8PEA0
貴音「何かしてあげたいと思ったのです」

P「…なるほど。それでこんなことを思いついた訳か」

貴音「はい」

P「ありがとな」

貴音「少しでも癒しになれば幸いです」

P「あぁ、とても癒されてる」

貴音「ふふっ…」

グッグッ

P「すまん、ちょっと眠くなってきた」

貴音「私に構わず。どうぞお休みくださいませ」

P「あぁ、おや、すみ…」

貴音「えぇ、良い夢を」

P「すぅ…すぅ…」

貴音(安らかな寝顔ですね)

貴音(願わくはずっと……)

48: 2012/05/28(月) 02:27:01.13 ID:07xz8PEA0
グッグッ

貴音「…」

貴音(やはり殿方の体は大きいですね)

ギュッ

貴音(…自分から抱きしめるなどと)

貴音(私はなんとはしたないことを)ドキドキ

貴音(すぐに離れなければ…)

貴音(しかし、離すのが惜しい…)

貴音(どういたしましょうか…)

貴音「…」

貴音「すぅ…すぅ…」



P「……ん。寝ちまってたか」

P「時間は…まだ夜か…」

貴音「くぅ……くぅ……」

51: 2012/05/28(月) 02:31:24.12 ID:07xz8PEA0
P(あれ?たかね…が…目の前に?)

P「た、貴音?!」

貴音「…?あなた様、おはようございます」

P「…あぁ、おはよう」

貴音「ふわぁ…」

P「貴音、あのな? ちょっと顔が近いというか。どいてほしいというか」

貴音「!」

バッ

P「…」

貴音「…」

貴音「これは!あの、違うのです!!」オロオロ

P「落ち着け!落ち着け、な?」

貴音「め、めめ、面妖にゃ!」

P「にゃ?」

貴音「…」カァァ

52: 2012/05/28(月) 02:34:10.54 ID:07xz8PEA0
P「ぷっ、くくく!」

貴音「あ、あなた様!!」プンスカ

P「ご、ごめん。つい!あはは!」

貴音「…」

貴音「…くすっ」



P「もう真っ暗だな」

貴音「はい。そろそろ時間ですね」シュン

P「そんな顔すんな。うーん…帰りがてらちょっと寄り道でもしようか」

貴音「?」

P「星でも見に行こう、か」

貴音「…えぇ。お供致します」

貴音「では」

貴音「星のかけらを探しに参りましょう」

◆星のかけらを探しに行こう again(Version Takane)◆
      作詞:杏子 作曲:馬場一嘉・杏子

55: 2012/05/28(月) 02:37:28.16 ID:07xz8PEA0
貴音「ここは…」

P「いい場所だろ?たまに来るんだ」

貴音「こんなに空が近く…」

P「貴音は月を見るのが好きだからな」

貴音「それはもう。毎晩のように恋焦がれています」

P「まぁ綺麗だしなー」

貴音「…」

P「…」

貴音「あなた様」

P「なんだ?」

貴音「夏目漱石が『I Love you』を『月が綺麗ですね』と訳したのは知っておられますか?」

P「あぁ、俺もそれは知ってるよ」

貴音「あなた様は愛とは何だと思いますか?」

P「ふむ、愛とは。か」ウーン

57: 2012/05/28(月) 02:40:48.81 ID:07xz8PEA0
貴音「…私が思うに」

貴音「愛とはきっと儚い感情なのでしょう」

貴音「しかし、それがまた趣きのあるものなのです」

貴音「手をつなぐ、その時の感情を」

貴音「いっしょにいる方も同じ気持ちで居てくれたら、と」

貴音「まるでそれは夢を見ているような」

貴音「素晴らしいものだと、そう考えるのです」


P「なるほどな」

貴音「…あと、もう一つ」

P「どうした?」

貴音「言葉では伝えられないこともございましょう」

P「?」

貴音「ふふっ」

59: 2012/05/28(月) 02:45:24.05 ID:07xz8PEA0
P「貴音」

貴音「はい」

P「愛とは。なんて聞かれても俺には答えられないよ」

貴音「えぇ、存じ上げております」

P「でも。月は綺麗だ、と思う」

貴音「…」

貴音「えぇ。真に良き月」


キラン

P・貴音「あっ」

P「流れ星だな」

貴音「えぇ」

P「貴音なら流れ星にどんな願いを託す?」

貴音「…くすっ」

60: 2012/05/28(月) 02:46:00.50 ID:07xz8PEA0

貴音「とっぷしぃくれっと。ですよ」

61: 2012/05/28(月) 02:47:05.71 ID:07xz8PEA0


本日の事。私はとても喜びを感じておりました。

私のプロデューサーと幸せな一時を過ごせたのです。

やはり、一人のアイドルでなく女性として扱って頂けたら嬉しく思いましょう。

私は彼のことを……愛しいと思ったのです。

少しでも一緒に居られたら、と。


END

63: 2012/05/28(月) 02:48:22.47 ID:07xz8PEA0
SSに縦読みを仕込む勇気
読んでくれた人お疲れ様でしたー

65: 2012/05/28(月) 02:49:08.11
綺麗でよかった!

乙!

66: 2012/05/28(月) 02:50:00.44
> 貴音「愛とはきっと儚い感情なのでしょう」
>
> 貴音「しかし、それがまた趣きのあるものなのです」
>
> 貴音「手をつなぐ、その時の感情を」
>
> 貴音「いっしょにいる方も同じ気持ちで居てくれたら、と」
>
> 貴音「まるでそれは夢を見ているような」
>
> 貴音「素晴らしいものだと、そう考えるのです」

気がつかなかった

引用元: P「俺の家に来たい?」貴音「はい」