1: 2012/05/30(水) 22:12:55.75 ID:3JhHD5cK0
ほむら「じゃあ本棚にあったこれでも」

『決定版 まんが日本昔ばなし101』

まどか「さ、流石にそれはちょっと」

ほむら「あら、読んでみると意外に面白いものよ」

まどか「そうなの?」

ほむら「私もよくママに…」

まどか「ママ?」

ほむら「お母さんに読んでもらったわ」

まどか「えっ、最近?」

ほむら「小さい頃ね、小さい頃よ」

まどか「ウェヒヒ」ニヤァ

ほむら「な、なに?どうしたの?」

6: 2012/05/30(水) 22:18:57.40 ID:3JhHD5cK0
ほむら「もう、意地悪するなら読んであげないわ」プイ

まどか「ごめんねほむらちゃん、読んでくれたら嬉しいなって」

ほむら「どんどん読みますはい」スッ

まどか「わくわく」

ほむら「じゃあ4ページ…『桃太郎』からね」

まどか「桃太郎の話くらいは知ってるよほむらちゃん」

ほむら「大丈夫、多少脚色するから」

ほむ太郎

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおった。

おじいさんは山へ魔女狩りに、おばあさんは川へ洗濯へいった。

杏子「誰がおじいさんだよまったく」

マミ「こんなダイナマイトなのにおばあさん役なのね、そうなのね?」

8: 2012/05/30(水) 22:22:44.10 ID:3JhHD5cK0
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きなももが…

どんぶらこっこ、どんぶらこっこと流れてきました。

おばあさんは、そのももを「どすこい」と言わんばかりに片手で拾い上げると、だいじにかかえて家へかえった。

魔女狩りから帰ったおじいさんもびっくり、ももをなでながらいうた。

杏子「一刻も早く食べよう」

マミ「一丁、割ってみましょうか」スッ

杏子「おお、そうすべえ」

マミ「スッ…ハァ…」スゥッ

マミ「ティロ・フィナーレ!」ブゥンッ

杏子「で、出た!マミの張り手ティロフィナーレ!」

11: 2012/05/30(水) 22:25:33.58 ID:3JhHD5cK0
おばあさんが、烈火の如くてのひらをももにあてた、そのとき…

ももがごそごそ、ごろん、と動いたんじゃあ。

杏子「こいつ動くぞ!?」

と思ったら、ももがかぱんと真ん中からわれて、中から元気な女の子がとびだした。

おじいさんもおばあさんもびっくらこいた。

もっとびっくらこいたのは、その女の子の元気のよさ。

すぐにごはんをほむほむ。その食いっぷりときたら、食うわ、食うわ。

おばあさんは数週間強制ダイエットによりソウルジェムを若干濁らせたそうな。

おばあさんは若干痩せ、おじいさんはたいそうおおよろこび。

ももから生まれたほむ太郎と名付けた。

杏子「なんでよ…」

13: 2012/05/30(水) 22:28:41.37 ID:3JhHD5cK0
杏子「しっかし、この子元気だけど…」

マミ「何も喋らないわね」

口リほむ「…」パクパク

杏子「しかしなんだ、全裸の幼女をまじまじと眺めるのはちょっと」

マミ「悪くないわね」

ほむ太郎は、食えば食っただけ、身体こそ大きくなるものの胸は大きくならなかったそうな。

おまけに、おとなもかなわないほどの力持ち。重いものでも、ひょい、ぽんと、かるがる持ち上げる。

こうしてほむ太郎は強い子に育っていった。

ところが、ちょっとだけ心配なことがあったんじゃ。

マミ「ほむ太郎ちゃん、ティロティロばーあ」

杏子「ブフッ」

マミ「な、なんであなたが笑うの…?」

おばあさんがいくらあやしても、ほむ太郎はだまったまま。

おじいさんがにっこりわらいかけてもしらん顔。

15: 2012/05/30(水) 22:31:39.15 ID:3JhHD5cK0
杏子「笑顔なんて無理だよ」

マミ「大丈夫、佐倉さんの笑顔ならどんな女の子だってイチコロよ」

杏子「あの、男性は」

マミ「…」

杏子「あの」

マミ「と、とにかく笑いかけてあげてちょうだい」

杏子「…」ニコッ

マミ「キュンッ」キュンッ

杏子「えっ」

いつまでたっても、ち~っとも話をしないほむ太郎に、

おじいさんもおばあさんもどうしたもんかと気にかけておった。

「この子、どうして口をきかんのじゃ。」

と、二人が顔を見合わせたときじゃ。

『来たわね、時が』

ほむ太郎がとつぜん声をだしたあ。

16: 2012/05/30(水) 22:34:17.80 ID:3JhHD5cK0
口をきいたあ!

ほむ太郎「巴マミ、佐倉杏子、私は鬼退治に行くわ」

おじいさんとおばあさんは、ただおどろいて、ぽけ~っとしておった。

ほむ太郎「仕度をして頂戴」

ほむ太郎の冷静な声に、おばあさんははっとしていうた。

マミ「鬼たいじだなんて、そんなおそろしいことを…」

そのころ、村にはたびたびおそろしい鬼があらわれて、

ものとり、人さらいと、ありとあらゆるらんぼうをはたらいて、

村の人たちをくるしめておった。

さや鬼「ほらほら、さらっちゃうぞー」

恭助「うわああああなんで僕があああっ」

仁美「きょ、恭助さあああああん!?」

18: 2012/05/30(水) 22:38:06.98 ID:3JhHD5cK0
ほむ太郎は、これを知って、もうがまんできなかったんじゃあ。

さや鬼「まどかは私の嫁になるのだああああっ」

まどか「た、助けてー!」

ほむ太郎「…」ギリィッ

マミ「ほ、ほむ太郎からただならぬスゴ味を感じる…」

おじいさんとおばあさんは、かわいいほむ太郎のために、きびだんごや晴れ着や凶器をそろえてやった。

とうとう、出発の日がやってきた。

ほむ太郎は、おじいさんのつくった晴れ着をきて、

ほむ太郎「なんで作業着しかないのよ…」

おばあさんのつくったきびだんごのつつみをこしにつけた。

ほむ太郎「1つ1つがソフトボールくらいの大きさなのだけど」

20: 2012/05/30(水) 22:42:09.80 ID:3JhHD5cK0
おじいさんとおばあさんは心配で心配で…。

それでも、ほむ太郎は、はりきって家を出ていった。

マミ「達者でね」

杏子「無事に帰ってこいよな」

マミ「まあ、相手美樹さんだし…」

杏子「今日中に終わりそうなもんだけどなあ…」

見送るおじいさんとおばあさんはとうとうなきだしてしもうたと。

マミ杏子「えっ?」

さて、ほむ太郎はというと、心配するおじいさんとおばあさんの気持ちも知らず、一直線にオクタ島めざす。

とちゅう、いぬが一ぴきやってきて、桃太郎に声をかけた。

QB「やあ」

ほむ太郎「チェンジ」

QB「わっけわかんねーわ…」トボトボ

21: 2012/05/30(水) 22:46:23.98 ID:3JhHD5cK0
しばらくいくと、さるが出てきた。

中沢「腹が減った、きびだんごをくれたら手伝うよ」

ほむ太郎「その必要はないわ」

中沢「だ、誰か食べ物を…」ヨロヨロ

こんどは、きじがとんできた。そしておなじことをいったそうな。

タツヤ「お譲さん、人の道ってェ物はだな…」

ほむ太郎(えっ?えっ?)

犬、猿、雉を乗り越えてゆくはわれらがほむ太郎。

花もあらしもふみこえて、

心にきめた鬼たいじ。

オクタ島目指してまっしぐら。

おそれを知らぬほむ太郎。

22: 2012/05/30(水) 22:48:47.05 ID:3JhHD5cK0
一度誓った大きな夢は、

何がなんでもやらねばならぬ。

それが女の花道よ。

by 作詞 作曲 巴マミ

ほむ太郎は、野をこえ山をこえ、海べについた。

ほむ太郎「盾にシーシェパードの船があった筈ね」

無駄にスタイリッシュな船にのりこんだほむ太郎。

すいすいと作業的に海をすすむ。

えんやあ、とっと。

えんやあ、とっと。

広い海原、広がる世界。

でっかい夢のせ、

えんやあ、とっと。

by 作詞 作曲 巴マミ

こうして数時間、海をすすんでいった。

24: 2012/05/30(水) 22:52:01.53 ID:3JhHD5cK0
とうとうついた、オクタ島。

海の中からつきでている岩山の島、それがめざす鬼が島だ。

ほむ太郎「索敵飛行レーダー配備」

船はそ~っと島に近づいて、いよいよ上陸だ!

ほむ太郎「あっ、あれはまどかじゃないの…」



さや鬼「がっはっは、うまい酒にいい女、極楽だーっ」

まどか「うう…」



ほむ太郎「」ギリィィィイィッ

ほむ太郎「鬼は酒盛りの最中ね、首を取るだけじゃ済まないわよ」

26: 2012/05/30(水) 22:57:23.87 ID:3JhHD5cK0
と、「オクタ門」へむかっていく。

ところが、門はしっかりしまっていて、びくともしない。

が、ほむ太郎の重火器の前では無意味であったそうな。

ほむ太郎「ファイア」ボシュッ

とつぜんあらわれたほむ太郎に、鬼はぽかんとしておった。

ほむ太郎「我こそは、日本一のほむ太郎!青魚を成敗に来た!」

青魚はおどろいて目を白黒。

さや魚「うわっ!いつの間にか魚に格下げされてる!!」

怪力ほむ太郎の強いこと強いこと。

あっという間に青魚を倒してしまったそうな。

さやか「ごめんなさい、もう悪いことはしません」

青魚はてのひらを返してペコペコあやまったそうな。

28: 2012/05/30(水) 22:59:41.83 ID:3JhHD5cK0
こうして、魚からたいそう美しい娘さんを取り戻し、帰ることになった。

さやか「なんで私まで…」

ほむ太郎「いやあ、流れで…」

まどか「ウェヒヒッ」

ほむ太郎は美しい娘さんと結婚し、りっぱな若者になったそうな。

めでたし、めでたし。

その後、おじいさんと青魚の仲におばあさんが嫉妬してまた少し痩せたのは別のお話。

恭助「あの、僕は…」

めでたし、めでたし。

30: 2012/05/30(水) 23:02:06.32 ID:3JhHD5cK0
ほむら「どう、ハッピーエンドでしょうまどか」

まどか「…」

ほむら「まどか?」

まどか「…zzz」スヤスヤ

ほむら「あら、寝ちゃったのね」

ほむら「おやすみなさい、まどか」パサッ

まどか「ウェヒヒ…ホムラチャーン…」ムニャムニャ

あなたも小さい頃、昔話を読んでもらい、いつの間にかあったかい布団の中で意識が薄れる体験、した事があるでしょう。

心地よく薄れゆく意識の中、タオルケットを優しくかけてくれた母のおもいで。

誰の心の中にも、あるおもいでだと思います。

38: 2012/05/30(水) 23:16:34.48
今回はこれで終わりか

引用元: まどか「眠れないよ」ほむら「仕方ないわね」