1: 2012/10/02(火) 20:12:30.87 ID:6+vZ5BYFP
   放課後、軽音部部室

紬「・・・ふぅ」 ぱたん

唯「ムギちゃん、何読んでたの?」

紬「先週出た推理小説の文庫よ」

律「ムギはそういうの好きだな。犯人捜しなんて、警察に任せておけばいいだろ」

澪「まあその辺は、フィクションだからな」

紬「だから日本海の断崖絶壁がある訳よ」

律「いや。そのためじゃないだろ」


2: 2012/10/02(火) 20:14:36.25 ID:6+vZ5BYFP
唯「私達だと、放課後探偵?」

澪「それか、バンド探偵だな」

律「どんな難事件も、「楽器一つでじゃじゃんと解決」みたいなノリか」

紬「でも推理物やサスペンス物って、役割分担があるじゃない。それはどうする?」

唯「私が探偵役なのは決定として」

律「たまには、そういう斬新な設定も良いかもな」

唯「りっちゃん、ちゃんと突っ込んでよー」

澪、紬「あはは」


4: 2012/10/02(火) 20:16:34.21 ID:6+vZ5BYFP
唯「だったらムギちゃんが探偵で、澪ちゃんが相棒の敏腕刑事かな」

律「それっぽい雰囲気だな、確かに」

澪「律と唯は、何役なんだ?」

律「唯は言うまでも無く、うっかり役だろ」

唯「えー?だったらりっちゃんは?」

澪「謎の女Tだな」

紬「それが後々伏線となるって設定も良いわよね。日本海の断崖絶壁で」

律「うん。まずは、そこから離れようか」


5: 2012/10/02(火) 20:18:30.85 ID:6+vZ5BYFP
   カチャ

梓「済みません、遅れました」

律「犯人は、梓だっ」

梓「ええっ」 びくっ

澪「脅かすな」 ぽふ

唯「ごめん、ごめん。今、放課後ティータイム事件簿のキャストを考えてたんだよね」

梓「だからって、私が犯人なんですか?」

紬「5人しかいないから、そこは持ち回りよね」

梓(だったら最後は、全員捕まるんじゃないの)


7: 2012/10/02(火) 20:20:36.51 ID:6+vZ5BYFP
唯「・・・トンちゃんは見ていた」

律「それで」

唯「喋れないから、何も聞き出せなかった」

梓「なんですか、それ。大体ここが現場と決まった訳でもないでしょう」

澪「なるほどな。敢えて証拠をここに残し、私達のミスリードを誘った訳か」

紬「私、今すぐ日本海行きの切符を押さえるわ」

律「ムギ、落ち着け。それと、まだ何も事件は起こってない」


9: 2012/10/02(火) 20:22:32.39 ID:6+vZ5BYFP
唯「・・・いや。事件はこの部室で起きてるよ。だって、さっきまで10個あったマカロンが2つしかない。・・・これは一体どういう事?」

澪「唯が3つも食べたからだろ」

唯「私が3つで、りっちゃんが2つ。澪ちゃんとムギちゃんとあずにゃんが1つずつ」

律「辻褄は合うな」

唯「でも待って。1つしか食べていないのが3人なのに、残っているのは2つだけ」

梓「2つ食べられない人が出てきますね」

唯「この謎を解ける人は誰かいる?」

律「唯が謝れば、全て解決するんじゃないのか」

紬「なるほど。さすがは、おでこ探偵ね」

律「喜べばいいのか、それ」


10: 2012/10/02(火) 20:24:35.31 ID:6+vZ5BYFP
唯「・・・この数式、解ける探偵はいる?」

澪「こら、唯。宿題は、自分でやれ」

唯「だって、難しいんだもん」

澪「勉強はやらされる物じゃない。そしてその結果は、全て自分に返ってくるんだぞ」

律「説教探偵だな、こりゃ」

澪「なんだと?」

紬「まあまあ。お茶、淹れ直すわね」

梓「ムギ先輩も大変ですね」

紬「本当、眠り薬を仕込む暇も無いわ」

梓(何故、犯人目線)


12: 2012/10/02(火) 20:26:32.00 ID:6+vZ5BYFP
唯「ふー、やっと解けた」

澪「どれどれ。・・・唯、ここだけ代入の仕方が違うぞ」

唯「うー。数学って、本当に苦手だな。これって、何のためにあるんだろう」

澪「それは分からないけど、困難を乗り越える訓練にはなってるさ。・・・うん、今度はOK」

梓(なんだかんだと言って、澪先輩は優しいな)

律「だったら私は、唯の答えを写すとするか」

澪「こら、律」

唯「ふふん。では平沢先生が特別に、田井中さんを指導してあげましょう」

律「・・・なんかイラッと来るが、取りあえず頼む」

紬「うふふ♪」

梓(何か良いよな、こういう雰囲気)


14: 2012/10/02(火) 20:28:35.84 ID:6+vZ5BYFP
 30分後

律「ひー、疲れた」

唯「・・・」 ぐー

梓「思いっきり寝てますね」

紬「・・・誰かが睡眠薬を仕込んだって事かしら」

律「いや。お茶を入れたのムギだし」

紬「そう見せかけて、犯人はティーカップに薬を仕込んでおいたのよ」

澪「ティーカップも、ムギが用意したんだろ」

紬「うーん、なかなか迷宮入りにならないわね」

梓(うっかり役って、むしろムギ先輩じゃないの)



16: 2012/10/02(火) 20:30:31.98 ID:6+vZ5BYFP
   さらに30分後

唯「それにしても、全然事件が起こらないね」

澪「起きても困るだろ」

紬「となると、私達が起こすべき?」

律「・・・いや。そういう事でも無いから」

梓「でも、謎ならありますよ」

唯「え、何々?」

梓「非常に簡単な事、私達の根源に関わるミステリーです」

澪「どういう事だ、梓」

梓「つまりです。私達は軽音部なのに、何故演奏をしないかって事ですよっ」


17: 2012/10/02(火) 20:32:30.90 ID:6+vZ5BYFP
唯「りっちゃん、分かる?」

律「全然分からん。これは思うに、私達が卒業するまで解けない謎だな」

澪「ふざけるな」 ぽふ

紬「まあまあ。だったらこの謎は、どうやったら解決するのかしら」

澪「一に練習二に練習。単純に、それだけだろ」

梓「はいですっ」

律「しゃーない。久し振りに気合い入れるか」

唯「ふわふわにする?それとも、ぴゅあぴゅあ?」

紬「カレーも良いんじゃなくて?」

梓(このタイトルを思い付く人こそ、ミステリーだよな)

澪「ホッチキスか筆ペンか。・・・やっぱり私は、イチゴパフェが良いな♪」




19: 2012/10/02(火) 20:34:30.77 ID:6+vZ5BYFP
   30分後

唯「・・・切ないね♪」 じゃーん

律「結構上手く出来たな」

澪「練習を積み重ねれば、もっともっと上手くなる」

梓「はいですっ」

唯「やっぱりみんなで演奏するのって、楽しいね」

澪「唯はセンスあるんだから、練習すればもっと楽しくなるぞ」

唯「ありがとう、澪ちゃん。よーし、今日はバリバリ練習するぞー」

律「単純な奴め」

紬「でも、そこが唯ちゃんの良い所よね」

梓「はいですっ」


20: 2012/10/02(火) 20:36:31.56 ID:6+vZ5BYFP
   夕方、学内廊下

律「今日は結構頑張ったな」

澪「これが普通なんだ」

紬「うふふ♪」

唯「私、和ちゃんの所行ってくるね。今日一緒に帰る約束してるから」

律「それならみんなで帰ろうぜ」

澪「私も賛成と言いたいが」

紬「唯ちゃん、迷惑じゃない?」

唯「全然平気だよ。私が楽しいって事は、和ちゃんも楽しいって事だからね」

梓(この人、さらっとこういう事が言えるんだよな)


22: 2012/10/02(火) 20:38:31.75 ID:6+vZ5BYFP
   生徒会室

律「うーす。和、帰るぞー」

和「あら、みんなでどうしたの」

澪「唯と一緒に帰るって聞いたから、押しかけてきた。迷惑だったか?」

和「唯が良いって言ったんでしょ。だったら私が断る理由は無いわ」

唯「和ちゃーん♪」

紬「本当に仲が良いのね、唯ちゃん達は」

澪「まさしく親友って訳だな」

梓「真鍋先輩が親で、唯先輩は友達って事ですか」

唯「もう、あずにゃんのいじわる」

律、澪、紬、和「あはは」


23: 2012/10/02(火) 20:40:31.05 ID:6+vZ5BYFP
和「・・・でもちょっと、困った事があるのよね」

律「これはもしかして」

紬「ミステリーの予感?」

唯「どしたの、和ちゃん」

和「さっきから、消しゴムが見当たらないのよ」

律「・・・なんだ、そりゃ」

紬「待って、りっちゃん。これは大いなる事件への序章。言わば伏線じゃないかしら」

律「いや。そんなはずは・・・」

澪「全員、その場を動くなっ」

梓(えっ) びくっ


25: 2012/10/02(火) 20:42:34.15 ID:6+vZ5BYFP
唯「み、澪ちゃん、どしたの?」

澪「足元に落ちているとも限らない。蹴飛ばす前に、自分の周りを確認するんだ」

律「その程度の事で、声を張り上げるなよ。・・・特に無いな」

唯「私も」

梓「同じくです」

澪「まずは状況を整理しよう。和、その消しゴムを最後に使ったのはいつだ」

和「放課後、生徒会室に来てからね。さっきまで机の上にあったから」

澪「では、紛失した現場はここと推測出来る。ただ念のためだ、唯は教室に戻って和の机周辺を探してくれ。ゴミ箱の中。唯の机の中もだ」

唯「・・・なんか色々腑に落ちないけど、見てくるね」 とたとた

澪「和は一度立ち上がって、服を払ってくれ。どこかに引っかかってるかも知れない」

和「分かったわ」 ぱたぱた

澪「落ちてこないか。では次に、生徒会室に入ってからの行動を再現してもらおう」

律「消しゴム一つで、良くそこまで真剣になれるな」




27: 2012/10/02(火) 20:44:30.84 ID:6+vZ5BYFP
   10分後

唯「教室にはなかったよ」

澪「こちらも手がかり無しだ。だがこの部屋で使っている以上、必ずあるはずなんだが」

紬「・・・澪ちゃん、ご苦労様。だけど、秀才に出来る事はそこまでね」

澪「何だと?だったらムギは、この事件をどう解決するつもりだ」

梓(なんだ、この小芝居)




28: 2012/10/02(火) 20:46:31.65 ID:6+vZ5BYFP
紬「よく考えてみて。無くなったのは何だったかしら」

澪「・・・はっ。もしかして」

紬「そう、つまりは」

澪「消しゴムだけに」

紬「この世から消えて無くなったという訳なのよっ」

澪「その盲点には気付かなかったっ」

律「お前ら、ボケにボケを被せるな」 ぽふ


30: 2012/10/02(火) 20:48:39.01 ID:6+vZ5BYFP
唯「結局、どこ行ったのかな」

和「買えば済む話だから、正直気にもしてないんだけれど」

律「冷静な奴め。だったら、そろそろ帰るか」

澪「窓は閉めたと」

梓「机の上も片付きました」

和「ご苦労様。部屋の鍵を掛けるから、みんな外に出て」 

唯、澪、律、紬、梓「はーい」

カチャ

律「ミステリーだと、最後に鍵を掛ける奴が犯人だよな」

和「そうなんだ。じゃあ私、職員室に鍵を返しに行くね」

梓(聞いちゃいないし)


31: 2012/10/02(火) 20:50:43.73 ID:6+vZ5BYFP
   夜、平沢家リビング

唯「・・・消しゴムは結局、筆箱の中にあったんだよね」

憂「一度探した場所は二度探さないって言うし、そういう見落としは良くあると思うよ」

唯「でも謎を解くのって、ちょっと面白いかな」

憂「それはみんなと一緒にやってるからじゃない?」

唯「私もそう思う。あーでもない。こーでもないって、りっちゃん達と騒いでる時が一番楽しいもん」

憂「その内、本当に日本海の断崖絶壁に行っちゃうのかな」

唯「その時は、憂も一緒に行こうね」

憂「ありがとう、お姉ちゃん♪」

唯「憂ー♪」


32: 2012/10/02(火) 20:52:33.02 ID:6+vZ5BYFP
   翌朝 三年生教室

唯「という訳で昨日は、憂と旅行雑誌を見てました」

和「ミステリーと関係無いじゃない。つくづくのんき姉妹ね」

唯「和ちゃんだって、筆箱をちゃんと見てなかったでしょ」

和「昨日も言ったけど、当たり前過ぎて見直す気にならなかったの」

唯「灯台もと暗しって事?」

和「灯台もっと暗し。くらい言うと思ったわ」

唯「私も、そうそうボケてはいられないよ」

和「それ自体が、もうボケじゃないの?」

唯「もう、和ちゃんはー」

唯、和「あはは」


33: 2012/10/02(火) 20:54:34.43 ID:6+vZ5BYFP
律「うーす」

澪「和、消しゴムはちゃんと管理しておけよ」

紬「でも、ちゃんと見つかって良かったわね」

和「ええ。ただ昨日も言ったように、文房具くらいなら無くなっても困らないんだけど」

唯「私達の友情だけは、絶対に無くならないけどね」

律「それもそうだな」

澪「私達の友情は永遠だ」

紬「一生、友達でいてね♪」

唯「もう、真面目に返されるとこっちが恥ずかしいよー」

律、澪、紬「あはは」

和「みんな、そろそろHRが始まるわよ」

律「お前は少しくらい乗ってこい」



35: 2012/10/02(火) 20:56:30.79 ID:6+vZ5BYFP
   2年生教室

純「ミステリー、ね。唯先輩の場合、存在自体がミステリーって気もするけど」

梓「未確認生物。UMAみたいな?」

純「そうそう。軽音部に潜む謎の生物、ゆっしー。みたいな」

憂「ロッカーとかに潜んでるお姉ちゃんも、なんだか可愛いよね」

純「・・・いや、そういう事でも無いから」

梓「どちらかというと妖怪。座敷童系だよね」

憂「お姉ちゃんがいると、軽音部が栄えるって事?」

純「どこまで前向きな発想なのよ」


36: 2012/10/02(火) 20:58:30.91 ID:6+vZ5BYFP
   放課後 軽音部部室

律「謎はないけど、なぞなぞはどうだ」

澪「上は大火事、下は洪水。みたいな事か?」

律「そうそう。そういう奴」

紬「答えはお風呂だった?謎というか、とんちの部類ね」

律「まあな」

唯「・・・で、とんちってどういう意味?」

律「ほら、そこで泳いでるだろ」

澪「いや。それトンちゃんだし」

紬「やんが無いわよね」

唯「ムギちゃん。やんじゃないよ。ゃんだよ、ゃん」

律「聞く限りだと、何も違いは分からんけどな」


37: 2012/10/02(火) 21:00:34.58 ID:6+vZ5BYFP
   カチャ

梓「・・・済みません、遅れました」

唯「右は大火事、左は洪水。これーなんだ」

梓「急になんです。・・・ライブ中の軽音部じゃないんですか」

唯「どういう事?」

梓「澪先輩が右で照れてて、私が左で冷や汗かいてる構図です」

律「上手い事言うな」

紬「うふふ」

梓「で、答えはなんなんですか?」

唯「給湯器付きのお風呂だよ。右の蛇口からお湯が出て、左のバスタブに溜まるの」

梓(ひねりの欠片もないし、それだと両方火事だし)


40: 2012/10/02(火) 21:02:31.87 ID:6+vZ5BYFP
澪「とんちはもう良いから、練習するぞ」

律「へいへい」

カチャ

さわ子「あら珍しい。あなた達、演奏するの?」

唯「だって私達、軽音部だからね」

梓「いや。唯先輩が言っても、説得力の欠片もないんですが」

唯「あずにゃん、しどいよ」

紬「まあまあ。さわ子先生、今お茶の準備しますね。お菓子の用意もするから、梓ちゃん手伝ってくれる?」

梓「はいです」

さわ子「ありがとう。・・・そうね。ムギちゃん達がいない間、3人だけで演奏してみたら?」

律「大丈夫か?」 ちらっ

澪「構成としては、特に問題はないが」 ちらっ

唯「面白そうだし、やってみようよ♪」

梓(全然分かって無いな、唯先輩)


41: 2012/10/02(火) 21:04:30.85 ID:6+vZ5BYFP
   5分後

じゃじゃーん

唯「・・・あれ?」

さわ子「まあ、予想通りの結果だったわね。華やかさに欠けるとでも言うのかしら」

律「ムギと梓が抜ければ、メロディは唯一人だからな」

梓「はいです」

唯「へ、下手じゃなかったよね。失敗もしなかったよ」

澪「それはそうなんだが。結局、普段からムギに頼ってたって訳だ。アレンジもあるし、私達にも言える事なんだが」

唯「私はこれからも、みんなを頼っていくつもりだよ。それじゃ駄目なの?」

澪「え?」


42: 2012/10/02(火) 21:06:30.80 ID:6+vZ5BYFP
唯「私の足りない所をムギちゃんが補ったり、りっちゃんや澪ちゃんが補ったり。あずにゃんが助けてくれたり。私は、ずっとそうしたいんだよね」

澪「まあ、バンドとしてはそれでありなんだが。私もリズム隊として、律を頼る時もあるし」

梓「はいです」

律「なんか、上手く唯に言いくるめられたって感じだな」

紬「お茶、入りましたー。・・・みんな、どうかしたの?」

唯「ムギちゃん、ムギちゃん。私、一生ムギちゃんのお世話になるからね」

紬「大歓迎でーす♪」

律「・・・少しは否定しろよ」

澪「まあ、ムギらしいと言えばムギらしいが」

梓「唯先輩らしくもありますね」

唯「あずにゃん、それ褒めてないでしょー」

律、澪、紬「あはは」


43: 2012/10/02(火) 21:08:30.98 ID:6+vZ5BYFP
唯「自分に足りない物は、他の仲間が見つけてくれる。つまりバンド探偵とは、そういう意味だったんだよ」

律「この野郎、上手くまとめやがって」

さわ子「一体、何の話?」

澪「昨日から、ミステリーについて色々話し合ってまして」

さわ子「あなた達、そういうの好きね。というか唯ちゃんも助けてもらうばかりじゃなくて、自分もみんなを支えないと駄目でしょ」

唯「う、うぅ。これから精進しますです」

澪「でも唯は家で結構練習してるみたいだし、その成果は少しずつ現れると思うぞ」

紬「私も唯ちゃんと演奏してると、とても楽しいわ」

唯「澪ちゃん♪、ムギちゃーん♪」

さわ子「全く、二人とも甘いんだから」

律「さわちゃんはあれだろ。酸いも甘いも噛み分けた、長い人生の終着点を迎えてるんだろ。だははー」

さわ子「だったらお前には、砂を噛むような思いを味あわせてやろうか、このデコッパチ」

45: 2012/10/02(火) 21:10:31.19 ID:6+vZ5BYFP
律「あー、ひどい目にあった」

澪「自業自得だ。ただ他の人を頼るのも良いが、やっぱり各々が自分のスキルを磨いていかないとな」

律「真面目な奴め。・・・唯、何してるんだ」

唯「皆さんの足手まといにならないよう、コードの練習をしてますです。はい」 びびーん、びびーん

律「いや、全然押さえられてないんだが。大体、どういうコードなんだ?」

唯「C7/B♭だよ」

梓「・・・そのコードは、結構ハードルが高いと思いますよ」

唯「あずにゃんでも無理?」

梓「私は手が小さいので、余計無理です」

澪「私の場合は大きすぎて、逆に難しいけどな・・・」


46: 2012/10/02(火) 21:12:30.91 ID:6+vZ5BYFP
梓「え、えーと、澪先輩。こういう時は、普通簡素化しますよね」

澪「ああ。それにB♭の部分はベース部分だから、私の担当だ」

紬「となると残るのは、C7。唯ちゃんも、それなら弾けるわよね」

唯「うん、大丈夫だよ。みんなありがとー。本当にありがとー」

律「いやいや。改まって言われると、ちょっと照れるな」

澪「お前は何もしてないだろ」 ぽふ


47: 2012/10/02(火) 21:14:34.99 ID:6+vZ5BYFP
唯「やっぱり私達は、バンド探偵。5人揃えば、出来ない事は何も無いよ」

澪「まあ、そういう事になるのかな。勿論、日々の努力があっての話だけど」

紬「これで一件落着。日本海へ行くのは、次の機会までお預けね」

梓(次って、どういう機会?)

澪「それとバンド探偵として続けていくからには、もっと練習しないとな」

律「・・・ちょっと待て。謎はまだ残ってるぞ」

紬「やっぱり日本海?それとも、安楽椅子かしら?」

唯「警察犬なんてどうかな。私、可愛いコリー犬をもふもふしてみたいんだよね」

律「いや。二人とも、話がずれてるから」

梓(警察犬の代わりなら、私にお任せあれ♪) くんかくんか


48: 2012/10/02(火) 21:16:30.46 ID:6+vZ5BYFP
澪「それで、一体何が謎なんだ?」

律「軽音部が設立された経緯自体がだよ。これって、結構ミステリーだと思わないか?」

澪「そう言われてみれば。ムギは合唱部志望で、梓もジャズ研に行こうとしてんだよな」

紬「ええ、まあ」

梓「そんな時もありましたね」

律「唯も、初めはギター弾けなかっただろ」

梓「そこまで行くとミステリーどころか、殆ど奇跡ですね」

唯「そんな事無いよ、あずにゃん」

梓「え?」

50: 2012/10/02(火) 21:18:31.88 ID:6+vZ5BYFP
唯「りっちゃんがいれば澪ちゃんがいるし、ムギちゃんが訪ねてくれば絶対放っておかないよね」

律「それは、まあ」

澪「実際そうだったからな」

紬「仮に訪ねてこなくてもギターケースを担いでる梓ちゃんを見かけたら、私絶対声を掛ける自信があるわ」

梓「私もムギ先輩に声を掛けられたら、間違い無く付いていくでしょうね」

律「そう言われると、私達が集まったのも必然って気がしてくるな」

唯「でしょー♪」


51: 2012/10/02(火) 21:20:32.89 ID:6+vZ5BYFP
梓「でも待って下さいよ。音楽もやってなくてギターケースも担いでない唯先輩とは、どこで出会うんですか?」

唯「ちっ、ちっ、ちっ。あずにゃん助手、それは非常に簡単な話だよ」

梓「はぁ」

唯「お茶とお菓子あるところ、平沢唯あり。だから私は、何があろうとここにいるんだよ♪」

律「それは軽音部と、何一つ関係無いだろ」 ぽふ

澪、紬、梓「あはは」



終わり


53: 2012/10/02(火) 21:23:24.26

いい雰囲気だったな

引用元: 澪「それか、バンド探偵だな」