1: 2013/01/14(月) 23:52:54.37 ID:HY7SnAPt0
紬「あら」

梓「あっ」

たまたま、出会ってしまった。
大学を卒業してからもHTTとしては集まることはあった。
でも、ムギ先輩と二人きりで会うことは卒業してから一度もなかった。

紬「久しぶりねぇ」

梓「はい……です」

私はムギ先輩に弱みがある。
数年前、成人の日のこと。。。

5: 2013/01/14(月) 23:57:44.61 ID:HY7SnAPt0
成人の日は祝日だ。
あの日はHTTのメンバー(純と憂含む)で集まって、飲んだ。
とは言え、二十歳になっていなかった憂はジュースだけ。
私と純は先輩達にすすめられるままお酒を飲みまくった。
ビールからはじまり、カクテル、焼酎、ワインなど、あらゆるお酒を飲まされた。
もちろん先輩たちも沢山飲んで、最後には憂だけが残った。

氏屍累々状態から多少なりとも回復した後、
澪先輩を律先輩が、
純と唯先輩を憂が、
私をムギ先輩が部屋まで運ぶことにきまったらしい。

「らしい」というのも、その時の記憶が全くないからだ。

12: 2013/01/15(火) 00:11:30.20 ID:6woAtNTF0
記憶が戻ったのは、次の日の朝のことである。
ベッドの横にはほとんど裸のムギ先輩が寝ていた。
そして私もほぼ裸だった。

何が起こったのか、想像することはできた。

私から求めたのか。
ムギ先輩から求めたのか。
もしくはお互いに求めてしまったのか。

どれかはわからないけど、きっとそういうことなのだろう。
起き上がったムギ先輩は「昨日のことは忘れて欲しい」と言った。

その言葉に私は少なからずショックを受けた。
ムギ先輩に淡い恋心を抱いていたからだ。

14: 2013/01/15(火) 00:13:41.03
酔った勢いパネェ

15: 2013/01/15(火) 00:17:44.21 ID:6woAtNTF0
それ以降、大学構内で会っても、よそよそしく振る舞うようになってしまった。
それを悟られたのか、ムギ先輩のほうから私に近づくことも少なくなった。

そうしているうちに卒業し、今日の再開である。


梓「あの、ムギ先輩。今日、お暇ですか」

紬「ええ、暇だけど……」

梓「ならっ! 私とお酒飲みませんか?」


ムギ先輩は考えるような仕草をした後、ニコリと頷いてくれた。

18: 2013/01/15(火) 00:22:46.30 ID:6woAtNTF0
私の部屋で飲むことになった。
あの頃のように下手な飲み方はしない。
私は度の低いチューハイ類を飲み、ムギ先輩には焼酎をすすめた。
最初は嫌がっていたムギ先輩だったが、アルコールが回ってくると、強いお酒を抵抗なく飲んでくれた。


梓「ムギ先輩、聞かせてくれませんか?」

紬「にゃにをききたいのー?」

梓「あの日のことです」

紬「あにょひってー?」

梓「成人の日のパーティーのこと」

紬「……あずしゃしゃんのいじわるー!!」

19: 2013/01/15(火) 00:24:07.13
策士あずにゃん

23: 2013/01/15(火) 00:30:42.05 ID:6woAtNTF0
梓「いじわる……ですか?」

紬「そうですっ!!!!!」


いじわる……いじわる。
つまり、ムギ先輩にとって話したくないこと。
なら……ムギ先輩から襲ったということ?
それなら!


紬「せんぱいのちたいの話をするなんて、あずしゃちゃんはいじわるなの!」

梓「痴態?」

紬「……」グーグー


ムギ先輩は突然眠ってしまった。

25: 2013/01/15(火) 00:36:33.29 ID:6woAtNTF0
梓「寝たふりしたって駄目です。教えてくださいよー」

紬「……」グーグー

すっかり眠ってしまったようで、起きてくれませんでした。
ひとり残された私は、お酒を飲みました。
ただ、ひたすらに……





紬「あずさちゃん?」

梓「どーひました」

紬「またっ……梓ちゃん」

梓「わームギ先輩だ―ーーーーーーーうぇっぷ」

紬「梓ちゃん。お便所に行きましょう」ダキッ

梓「おそらでーす」

28: 2013/01/15(火) 00:43:44.15 ID:6woAtNTF0
【自主規制】


紬「大丈夫?」

梓「……」

紬「梓ちゃん?」

梓「……」

紬「飲み過ぎたのね。もっと吐いて楽になりなさい」

梓「……いやですっ」

紬「なにが嫌なの?」

梓「……っ」


私は手を振りほどこうとしたんだと思います。
でも、そんな力はなくて、ムギ先輩に任されるまま、吐きました。
そして、朝。

私の横には、洋服を着たムギ先輩が寝ていました。
そして、あの日のことを思い出しました。

29: 2013/01/15(火) 00:47:59.97 ID:6woAtNTF0
……
……
……

紬「梓ちゃん?」

梓「ごめんなさい」

紬「昨日のことは忘れてもいいから、土下座はやめて、ね」

梓「そういうわけにはいきません。だってあの日も」

紬「あの日?」

梓「はい、私が二十歳だった成人の日のことです」

紬「あの日はお互い様じゃない」

梓「えっ」

紬「だってあの日は……ね」

30: 2013/01/15(火) 00:50:08.72 ID:6woAtNTF0
梓「あの日、何があったんですか?」

紬「あの日はね、部屋に戻った梓ちゃんが突然吐きそうになっちゃって」

梓「やっぱり私が……」

紬「それはね、大丈夫だったの。おトイレでやってもらったから」

梓「……?」

紬「でもね。私がもらってしまって」

梓「えっ」

紬「私と梓ちゃんの服をね……その……ごめんなさいっ!」


ムギ先輩は五体投地でベッドに突っ伏した。
ネタなのか、本気なのか、判断に迷うけど、おそらく本気だと思う。
ムギ先輩だから。

33: 2013/01/15(火) 00:54:31.94 ID:6woAtNTF0
紬「そのせいだよね。梓ちゃんが急によそよそしくなったの」

紬「とっても寂しかったけど、ずっと我慢してたの」

紬「だって、私のせいだから」

紬「梓ちゃんに嫌な思いさせちゃったし……」

紬「臭かったよね……」

紬「でも、昨日誘ってくれたってことは、許してくれたってことなのかなって」

紬「だから……とっても嬉しかった……」

紬「だからっ……これからも私の友達で……」


梓「馬鹿です」


紬「えっ」

梓「私もムギ先輩も馬鹿ヤローです」

34: 2013/01/15(火) 00:58:31.89 ID:6woAtNTF0
梓「私はずっと思ってました。あの日、お酒のせいで過ちが起きたんだと」

紬「ええ、起きたの」

梓「違います。そうじゃなくて……ええと……あっちのことです」

紬「あっち?」

梓「そうです、あっちのことです!!」

紬「ごめんなさい。ぜんぜん意味がわからないわ」

梓「だから……朝起きたら裸だったから……です」

紬「……」

紬「……」

紬「……//」


梓「だからムギ先輩に『忘れて欲しい』って言われて悲しかったんです」


紬「あっ……」

37: 2013/01/15(火) 01:03:50.02 ID:6woAtNTF0
梓「ムギ先輩から離れていったのはそれが理由です」

梓「考えれば考える程、無駄なことをしたと思います……」

紬「……ねぇ」

梓「?」

紬「『悲しかった』って言ったよね」

梓「……はい」

紬「それって……梓ちゃんも私のことを好きだったってこと?」

梓「『も』?」

紬「……うん」

梓「それって……」

そして二人は見つめ合った。
私も思っていたことを、ムギ先輩が口にする。

紬「もう遅いかな……」

39: 2013/01/15(火) 01:10:51.51 ID:6woAtNTF0
梓「遅かったら、お酒になんて誘いません」

紬「それじゃあ……」

梓「……でもその前にちょっとだけ飲みませんか」

紬「どうして?」

梓「恥ずかしくてムギ先輩の顔が見れないので」

紬「真っ赤な梓ちゃん、かわいいのに」ギュッ

梓「わっ、抱きつかれたら……私……」

紬「どうなっちゃうの?」

梓「こうなっちゃいます」ムギュムギュ

紬「ひゃん//」

梓「このっ、このおっ!」ムギュムギュ

紬「仕返ししちゃうんだからっ!」ムギュムギュ

梓「そ、そこは駄目です//」

41: 2013/01/15(火) 01:12:35.57 ID:6woAtNTF0
……
……
……


お酒は時として悲劇をうむ。
でも、昨日ムギ先輩をお酒に誘わなければ、
こうして関係を修復することも、新たな一歩を踏み出すこともできなかったはずだ。

裸になって横で寝ているムギ先輩に、そう伝えてみた。
するとムギ先輩はこう言った。

紬「きれいにまとめようとしてるけど、あの日飲み過ぎなければ、もっと早く一緒になれたよね?」

まったくその通りだと思う。
でも、

梓「こうやってムギ先輩に抱きつける日がきたのだから、関係ないです」ギュー

紬「もうっ」ギュー

ムギ先輩はいい匂いがした。


おしまいっ!

42: 2013/01/15(火) 01:13:50.61 ID:6woAtNTF0
最後に謝っとく。澪誕に微妙に汚いSS投下してごめん。成人の日のうちに終わらせたかったけど無理だった

43: 2013/01/15(火) 01:14:42.91
いや、最高だった。乙!

44: 2013/01/15(火) 01:15:25.46

まあゲロだもんなぁwww
でも面白かったよ

引用元: 紬「飲み過ぎにご注意!!」