1: 2012/10/18(木) 20:53:32.26
>きたくろ
紬「ですのーと?」

唯「うん。最近はまっちゃったんだ」

紬「死神さんが出てくるお話ね」

唯「ムギちゃんも知ってるんだ?」

紬「菫に借りて読ませてもらったから」

唯「読ませてって、原作は小説なの?」

紬「あっ、唯ちゃんは映画を見たんだ」

唯「映画もあるの? 私が観たのはアニメだよ?」

紬「私が読んだのは漫画。漫画が原作なの」

唯「ふぅん。それじゃあ漫画も読んでみないと。でも映画もあったんだ……」

紬「唯ちゃん?」

唯「うん。どうせなら映画館の大きなスクリーンで見てみたかったなって」

4: 2012/10/18(木) 20:56:55.97
紬「う?ん」

唯「どうかした?」

紬「映画館はさすがに無理だけど、私の家で見る?」

唯「あっ、大きなテレビがあるんだ?」

紬「それもあるけど、ホームシアターがあるの」

唯「ホームシアター?」

紬「うん。ちょっと大きな画面で映画とかを楽しめる部屋のこと」

唯「行く行く! 大きな画面で見てみたいし」

紬「それじゃあTSUTAYAに寄ってから、私の家に行きましょうか」

5: 2012/10/18(木) 20:58:04.20
>むぎほーむ
唯「ここがホームシアター?」

紬「うん」

唯「スピーカーしかないけど」

紬「ぽちっとね」ポチ

うい?ん

唯「あっ、スクリーンが降りてきた」

紬「それじゃあ見ましょうか。あっ……」

唯「どうしたの、ムギちゃん?」

紬「前編だけで126分もあるの。後編は140分だって」

唯「長いね」

紬「うん。90分ぐらいだと思ってたのに……」

唯「遅くなると都合悪い?」

紬「私は大丈夫だけど、唯ちゃんは?」

7: 2012/10/18(木) 21:00:10.48
唯「私も大丈夫だよ」

紬「でも、憂ちゃんは?」

唯「今日は和ちゃんの家に泊まるんだって」

紬「憂ちゃんと和ちゃん、付き合い始めたんだよね?」

唯「うん。つい一ヶ月前からね。最近あの二人熱々でこっちが照れちゃうよ……」

紬「少し、寂しい?」

唯「……ちょっとだけ」

紬「寂しいなら、そう憂ちゃんに言えば?」

唯「それはいいよ」

紬「どうして?」

唯「だって付き合い始めたばっかりだし、寮に入ったらどうせ離れ離れになっちゃうんだから」

紬「……そう。じゃあ、今日は精一杯唯ちゃんをおもてなししなくっちゃ!」

唯「それよりさ、DVD早くみようよ」

紬「うん!」

10: 2012/10/18(木) 21:05:11.38
>二時間後
唯「ふぅ…」

紬「ふぅ…」

唯「普通かな」

紬「そう? 私はわりと良かったかなって思ったんだけど」

唯「どこが良かった?」

紬「ちゃんとわかりやすかったから」

唯「わかりやすい?」

紬「うん。それぞれのキャラクターをちゃんと描けてたし、感情移入していけるつくりになってたから」

唯「なるほど……」

紬「後半はお夕飯を食べてから見ましょうか」

唯「うん」

11: 2012/10/18(木) 21:06:19.20
>一時間後
唯「……お腹いっぱい」

紬「ふふっ、唯ちゃんは本当に甘いモノが好きね」

唯「御飯の後にケーキが待ってるなんて油断してたよー」

紬「なにも全部食べることはなかったのに」

唯「無理無理。残すなんてもったいなさすぎるもん」

紬「明日の部活に持っていく分がなくなっちゃった」

唯「えっ?」

紬「冗談よ」

唯「ふぅ……びっくりしたよ」

紬「明日の分もちゃんとあるから安心して」

唯「うん!」

紬「それじゃあ後編を見ましょうか」

13: 2012/10/18(木) 21:07:34.55
>二時間二十分後
唯「ふぅ……」

紬「ふぅ……」

唯「良かったね」

紬「ええ」

唯「アニメの最後って漫画と同じかな?」

紬「多分そうかしら」

唯「私は映画の終わり方のほうが好きかな」

紬「うん。綺麗に終わってよかったよね」

唯「ムギちゃんも映画版のほうが好き?」

紬「私はやっぱり原作がいいかな」

唯「なんで?」

14: 2012/10/18(木) 21:08:52.54
紬「映画も良かったけど、ちょっと綺麗過ぎると思うから」

唯「ん……綺麗に終わったほうがいいんじゃないの?」

紬「私、綺麗過ぎるオチはあんまり好きじゃないの」

唯「どうして?」

紬「なんだか、全部終わっちゃったって感じがして」

唯「ふぅん。ムギちゃんは変わってるね」

紬「そうかもしれないね」

唯「さて、そろそろ帰らなきゃ」

紬「帰っても誰もいないんでしょ?」

唯「だけど、いつまでもお邪魔してるわけにはいかないよ」

紬「……泊まっていかないかな?」

15: 2012/10/18(木) 21:10:18.70
唯「でも……」

紬(迷ってる。それなら……)

唯「……」

紬「アイスもつけちゃう」

唯「お願いします!!」

紬「やった!」

唯「……でも、迷惑じゃない?」

紬「ううん。全然そんなことないんだから」

唯「それじゃあ、お願いするよ」

紬「お願いされました」

19: 2012/10/18(木) 21:11:47.20
唯(それから二人でお風呂に入ってトランプをやった)

唯(最初はババ抜きをやったけど連戦連敗してしまった)

唯(私は考えてることが顔に出ちゃうらしい)

唯(次はポーカーをやったけど、これもボロ負けだった)

唯(最後にスピードをやった。4勝3敗。勝ったご褒美と言ってムギちゃんはアイスを用意してくれた)

唯(それから寝る時間になった)

唯(ムギちゃんは私のために客室を用意してくれた)

唯(だけど、断った。ムギちゃんのベッドはとても大きいから。二人で寝ても十分余るぐらい大きいから……)

唯(ううん、それは嘘。本当は――)

唯(ムギちゃんと一緒のベッドで寝たかったから)

21: 2012/10/18(木) 21:15:39.06
唯「ムギちゃん?」

紬「……」zzz

唯(よく寝てる)

紬「……」zzz

唯(眠り姫みたい……)

紬「……」zzz

唯(お客さんより先に寝るなんてずるいぞー)プニプニ

紬「……」zzz

唯(ぐっすり寝てるとキスしちゃうよー)プニプニ

紬「……」zzz

唯(うーん。眠れないや。何かすること……そうだ)

紬「……」zzz

唯(ムギちゃんが用意してくれた漫画版DEATH NOTEでも読もうかな)

24: 2012/10/18(木) 21:19:05.78
唯(邪魔にならないように、勉強机に座って、小さなライトをつけて)

唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯(ふぅ……ちょっと休憩)

唯(……)

唯(ムギちゃんいつもここで勉強してるんだ)

唯(……)

唯(……)

唯(///)

唯(……うん、続き読もう)

27: 2012/10/18(木) 21:25:15.11
唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯(あっ、このシーン……)

唯(デスノートを二重底の引き出しの中に隠すシーン。映画ではなかった気がする……)

唯「……」ペラ

唯「……」ペラ

唯(……まさか)

唯(ないない。でも……気になる)

唯(ムギちゃん、ごめん)

唯(引き出しを開けて、底を確認…………!)

唯(本当に二重底になってる!?)

唯(ま、まさかムギちゃんもデスノートを!)

唯(いやいや」、絶対ないって。デスノートがあるのは漫画のなかだけだよ。……映画やアニメにもあるけど)

唯(って、これは……)

唯(ノート……ピンク色の。表紙に何か書いてある……つむぎノート?)

29: 2012/10/18(木) 21:29:04.16
唯(中身は……『◯友達とハンバーガーショップに行きたい』『お祭りで焼きうどんを食べたい』)

唯(『友達の家に泊りに行きたい』『◯友達と一緒にバンドをやりたい』)

唯(『◯漫画みたいな恋がしたい』『お茶碗を作ってみたい』『◯白いブラックサンダーを食べてみたい』)

唯(……これは)

唯(ムギちゃんの夢……)

唯(このノートにはムギちゃんの夢が書いてあるんだ)

唯(◯がついてるのは叶った夢かな)

唯(……あっ、ここからりっちゃんについて書いてある。『◯りっちゃんと駄菓子屋にもう一度行きたい』)

唯(『りっちゃんと映画を見に行きたい』『◎りっちゃんのオデコにデコピンしてみたい』……)

唯(次は澪ちゃんについて書いてある。『◯澪ちゃんと二人で遊びに行きたい』『×澪ちゃんと一緒に2kg痩せる』……)

唯(今度はあずにゃん。『◯梓ちゃんにギターを教えてもらいたい』『梓ちゃんに猫耳だけじゃなくて肉球もつけたい』……)

唯(……ムギちゃん、ちょっとマニアックだよ)

31: 2012/10/18(木) 21:31:43.75
唯(次は私かな……)ドキドキ

唯「……」ペラ

唯(あれ……ない。次は和ちゃん、その次は憂、純ちゃん、更にその次はしずかちゃん、その次は……)

唯(わ、私のはきっと最後にあるんだよ……)

唯(ほら!)







『軽音部のみんなとずっと一緒にいたい』








32: 2012/10/18(木) 21:32:50.53
唯「……」

唯「……」

唯(ムギちゃんってひょっとして私のこと嫌いなのかな?)

唯(夏休みに何度も家に泊りにくるように言ったのに、全部断られちゃったし)

唯(……)

唯(ううん。ムギちゃんが私のことを嫌いなんて……そんなはずないよ! きっとどこかに……)

唯「……」パラパラ

唯「……」パラパラ

唯「……あっ!!!」

唯(お、思わず大声だしちゃった)チラッ

紬「……」zzz

唯(うん……。ちゃんと寝てるみたい)

唯(でもこれって……)

唯(私のことが小さく一行だけ……)


『唯ちゃんの妹になりたい』

34: 2012/10/18(木) 21:36:39.04
>あさ
紬「……」プニプニ

唯「……」zzz

紬「……」プニプニ

唯「……」zzz

紬「……」プニプニ

唯「……」zzz

紬「……」プニッ

唯「うーいーもうちょっと寝かせて……」

紬「あら、憂ちゃんじゃないわよ」

唯「……もう……ってあれ」

紬「おはよう、唯ちゃん」

唯「あっ、ムギちゃん。そういえば私……昨日はムギちゃんの家に泊まったんだ」

紬「うん。思い出した?」

唯「……うん」

唯(つむぎノートのことも全部思い出しちゃったよ)

36: 2012/10/18(木) 21:40:11.87
紬「それじゃあ、着替えて朝ごはんを食べに行きましょうか」

唯「……うん」

紬「ふふっ、唯ちゃん。まだ眠たそう。枕が変わって眠れなかった?」

唯「そんなとこかな」

紬「……それはごめんなさい」

唯「あ、謝らなくて大丈夫だよ。本当はデスノート読んでて夜更かしちゃっただけだから」

紬「あっ、そうなんだ。漫画版はどうだった?」

唯「それがあんまり覚えてないんだ」

紬「そうなんだ?」

唯「うん」

唯(つむぎノートの衝撃で全部忘れちゃったよ)

37: 2012/10/18(木) 21:44:23.70
>数日後
紬(あの日から唯ちゃんが余所余所しくなった)

紬(唯ちゃんが私の家に泊まってくれた、あの日から)

紬(何か失敗してしまったのかと思ったけど、心当たりはない)

紬(それに……嫌われてるというより、距離をはかりかねてるように見える)

紬(希望的観測だけど……)

紬(……)

紬(あの日から私のことを意識してしまったとか?)

紬(……ないない。唯ちゃんに限ってそれはないはず)

紬(理由が思い当たらないけど、今の状態は少し辛い)

紬(だからつむぎノートに『唯ちゃんと仲良くしたい』と書こうかと思ったけど、やめた)

紬(だって、それは違うから)

38: 2012/10/18(木) 21:45:36.50
>部活後
唯「あのっ」

紬「唯ちゃん?」

唯「今日一緒に帰らない?」

紬「うん!」

唯「それじゃあ帰ろっか」

紬「ええ」



>きたくろ
紬「ふふふーん」

唯「ムギちゃんごきげんだね」

紬「そう見える? 」

唯「うん」

紬「ふふっ。そうかもしれない」

紬(唯ちゃんから久しぶりに誘ってもらえたから)

41: 2012/10/18(木) 21:50:54.48
唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「なぁに?」

唯「今日、憂が家にいないんだ」

紬「えっ? あっ、和ちゃんのところに」

唯「うん。泊まるって」

紬「……」

紬(唯ちゃんがよそよそしいのは私に対してだけだと思ってたけど)

紬(ひょっとして憂ちゃんと上手くいってないのが原因なのかしら?)

紬(唯ちゃんと憂ちゃんは本当に仲がいい姉妹だから……)

紬(憂ちゃんの存在が唯ちゃんのメンタル面に及ぼす影響ははかりしれない)

紬(それなら……)

42: 2012/10/18(木) 21:53:15.50
唯「そ――」

紬「唯ちゃん!!!」

唯「」ビクゥ

紬「今日は家に来ない?」

唯「えっと、そうじゃなくて…」

紬「お菓子があるの!」

唯「だから…」

紬「アイスもあるわ!」

唯「じゃなくて…」

紬「ケーキもつけ――」

唯「ムギちゃん!!!!!!」

紬「は、はい……」

唯「今日は家に泊りに来てほしいかなって……」

43: 2012/10/18(木) 21:55:25.52
紬「えっ、今なんて」

唯「泊まりに来て欲しいんだけど」

紬「えっと……」

唯「無理かな? 無理なら……」

紬「ううん。そんなことない! 万難を排して行っちゃうから。ちょっと待ってね」トトトトトト

唯「う、うん」

45: 2012/10/18(木) 21:56:38.08
>でんわちゅう
紬「斎藤。…………ええ、友だちの家に」

紬「そんなのキャンセルよ、キャンセル!!」

紬「絶対無理? …………無理を無理やり捻じ伏せるのが斎藤の仕事でしょ!!」

紬「お願い! 本当にお願い! 一生に一度のお願いだから!」

紬「初めて聞いた? だって一生に一度のお願いだから、使っていいのは一回だけじゃないのかしら」

紬「……そう。やってくれるのね、斎藤。ありがとう。本当にありがとう」

紬「うん。うん。……それは大丈夫だから。女の子しかいないから」

紬「それじゃあお願いします。いつもありがとう、斎藤」


46: 2012/10/18(木) 21:58:58.77
>でんわご
紬「なんとかなったみたい」

唯「だ、大丈夫? 凄く大きな声がしたけど……」

紬「うん。家は外泊には厳しいの。でもなんとかなりそうだから、唯ちゃんは安心して」

唯「迷惑なら……」

紬「迷惑じゃないから!!」

唯「は、はい」

紬「わかってくれた?」

唯「……ん。あっ、そっか!」

紬「どうしたの?」

唯「な、なんでもないよ」

紬「そう?」

唯「うん!」

49: 2012/10/18(木) 22:00:34.40
唯(夏休みにお誘いを断られちゃったのは、お家の人に駄目って言われたからだったのかな?)

唯(合宿はムギちゃん家の別荘だったから良かったのかな?)

唯(……)

唯(なにはともあれ、嫌われてないってわかってよかったよ……)

唯(うん……)

唯(これで迷うことはなくなった)

唯(きっちりムギちゃんの願いを叶えてあげなきゃ)

唯(ムギちゃんを私の妹にしちゃおう!)

52: 2012/10/18(木) 22:03:46.21
唯「とうちゃーく」

紬「お邪魔しまーす」

唯「誰もいないけどね」

紬「お約束みたいなものだから」

唯「そう?」

紬「ええ」

唯「あっ、待ってて。お茶をいれてあげるから」

紬「うん」



唯「はい、どうぞ」

紬「ありがとう」ゴクゴク

唯「ムギちゃんいい飲みっぷりだね」

紬「それで、何をしよっか?」

53: 2012/10/18(木) 22:04:52.33
唯「今日は、ですね」

紬「うん」

唯「なんと」

紬「なんと?」

唯「ムギちゃんのために夜ご飯をつくあってあげようと思います。おー」

紬「おー」パチパチパチパチ

唯「だからムギちゃんはゲームでもして遊んでてくれる?」

紬「私も手伝いたい!」

唯「だーめ。ムギちゃんはゆっくりしてて」

紬「うーん。それじゃあここから唯ちゃんの様子でも見てようかしら」

唯「退屈じゃない?」

紬「そんなことないよ」

55: 2012/10/18(木) 22:06:33.45
>ゆいりょうりちゅう
唯(お姉ちゃんといったらやっぱり妹の世話をしないと)

唯(私はいつも憂にお世話してもらってるけど、世間一般では逆だよね)

唯(料理をつくあってあげて、お姉ちゃんっぽいことしてあげよう)

唯(そしたらムギちゃんもきっと喜んでくれるはず)

唯(作る料理はシチュー)

唯(まずは野菜の下ごしらえから)

唯(じゃがいも切って、玉葱切って、人参は……皮を剥いたほうがいいのかな?)

唯(一応剥いておこう。ムギちゃんは……)チラ

紬「……」ニコ

唯(///)

58: 2012/10/18(木) 22:07:44.19
>ゆいりょうりご
唯「できたよー」

紬「ホワイトシチューなんだ」

唯「うん。これなら絶対失敗しないと思って」

紬「それじゃあいただきます」パク

唯「いただきまーす」パク

紬「……」

唯「……」

紬「うん。……まぁ、美味しいかな」

唯「ムギちゃん、私も食べてるんだから嘘は言わなくていいよ」

紬「でもでも、食べられないことはないよ」

唯「いいって……どうしてこんなに味が薄くなっちゃったんだろ」

紬「ルーの量が足りなかったとか」

唯「それだよ!」

59: 2012/10/18(木) 22:09:21.49
紬「パッケージの裏にルーの量書いてなかった?」

唯「書いてあったけど、憂はいつも測らずに作ってたから……」

紬「なるほど……シチューのルーはまだあるかしら?」

唯「もうないんだ……」

紬「うーん。ちょっと冷蔵庫の中を見せてもらってもいい?」

唯「いいけど……」

紬「なにかあるかしら……あっ、粉末コンソメがある」

唯「コンソメ?」

紬「ええ、これでなんとかなるわ」

唯「どうするの?」

紬「まずもう一つ小さな鍋を用意して、おかわり用の鍋からシチューをちょっとだけ移して、コンソメを多めに入れて……」

唯「ふむふむ」


61: 2012/10/18(木) 22:12:26.87
紬「あっ、おかわりようの鍋にもコンソメを入れましょ……うん。もう溶けたみたい」

唯「えっと……この小さな鍋はどうするの?」

紬「そのシチューを私と唯ちゃんのシチューに入れてよくかき混ぜるの」

唯「あっ、それは私がやるよ」

紬「そう? じゃあお願い」



唯「できたよ」

紬「それじゃあ食べてみましょ」

唯「うん」パク

紬「どうかしら」パク

唯「うん……。美味しい」

紬「ええ、なんとか美味しく食べられる味になったみたい」

62: 2012/10/18(木) 22:14:16.31
唯「ムギちゃん料理もできたんだね」

紬「お菓子作りをたまにやるぐらいなんだけどね。菫が料理をしてるところをたまに見せてもらうから」

唯「ふぅん。私は憂が料理をつくるところを見てるけどさっぱりだよ」

紬「さぁ、冷めないうちに食べちゃいましょ」

唯「はーい」

63: 2012/10/18(木) 22:15:20.75
>しょくご
唯(うーん。料理でお姉ちゃんアピール作戦は失敗しちゃったよ)

唯(あれじゃあどっちがお姉ちゃんで、どっちが妹かわからないし)

唯(思えば憂にお姉ちゃんらしいことしたことなかったな)

唯(憂ごめんね……)

唯(……)

唯(うん。今は気をとりなおしてお姉ちゃんっぽいことを考えてみよう)

唯(肩もみとか。……これは親孝行だし)

唯(一緒にお風呂に入る。……これは関係ないし)

唯(……相談に乗ってあげるとか?)

唯(うん。これはとってもお姉ちゃんっぽいかもしれない)

66: 2012/10/18(木) 22:16:44.49
唯「ねぇ、ムギちゃん」

紬「なぁに?」

唯「ムギちゃんは悩みとかない?」

紬「悩み?」

唯「うん。私が相談にのってあげるからどーんとぶつけてみてよ」

紬「うーん。昨日まであったんだけど、なくなっちゃった」

唯「えっ」

紬「うん。今の私は何も悩みなんてないよ……あっ」

唯「何かあるの?」

紬「……もうちょっとだけ痩せたいなって」

唯「そんなに太ってるようには見えないけど」

紬「そう?」

唯「うん」

紬「そっかぁ……」

67: 2012/10/18(木) 22:17:48.87
唯「他に悩みはないの?」

紬「うん」

唯「それじゃあ、叶えたい夢とか」

紬「夢?」

唯「そう、夢。私にできることならなんでも叶えてあげるよー」

紬「夢ならたくさんあるよ。今日もたくさんん叶っちゃった」

唯「えっ」

唯(『唯ちゃんの妹になりたい』が叶ったとは思えないし……あっ)

唯(『友達の家に泊りに行きたい』って夢もあったっけ)

紬「こうやって唯ちゃんと一緒にゆっくり食後のお喋りするのも夢だったし」

唯「えっ、これも夢だったの?」

紬「うん。そして、唯ちゃんの手料理食べるのも夢だったの」

唯(そんなことつむぎノートには書いてなかったのに……)

69: 2012/10/18(木) 22:19:25.77
唯「えっと……それって本当に夢?」

紬「うん。そうだよ」

唯「本当に本当?」

紬「うん。どうしてそんなこと聞くの?」

唯「実は見ちゃったんだ。つむぎノート」

紬「えっ」

唯「この前ムギちゃんの家に泊まったときに……」

紬「唯ちゃん、つむぎノートを見ちゃったんだ」

唯「う…うん。ごめんなさい」

紬「ううん、私が迂闊だったの。デスノート見た後だったら、私も絶対同じことするから」

唯(それはどうなんだろ…)

紬「でも、見ちゃったんだ」

唯「うん。ごめんね」

紬「///」

71: 2012/10/18(木) 22:21:08.18
唯「ムギちゃん?」

紬「///」

唯「どうして真っ赤になっちゃったの、ムギちゃん?」

紬「だ、だって……」

唯「えっと……夢をみられて恥ずかしかったのかな」

紬「うん……」

唯「別に恥ずかしがることないのに」

紬「だって……私の気持ちばれちゃったんでしょ」

唯「えっ」

紬「唯ちゃんのこと好きだって、ばれちゃったんでしょ」

唯「ええっ」

73: 2012/10/18(木) 22:24:42.54
紬「ひょっとしてバレてなかった? 私、墓穴ほっちゃった?」

唯「うん。そうかもしれない……」

紬「ちょっと待って、カバンからつむぎノートを出すから」

唯(ムギちゃんのカバン……二重底になってる!?)

紬「ここなんだけど…‥」

唯「憂のところ? えっと……」


『◯憂ちゃんとおしゃべりしてみたい』

『憂ちゃんとお友達になりたい』

『憂ちゃんと一緒にお菓子を作ってみたい』



『憂ちゃんを義妹にしたい』

75: 2012/10/18(木) 22:26:00.30
唯「ん……? 憂を義妹にしたい?」

紬「///」

唯「ムギちゃん、これって」

紬「そ、そのままの意味です」

唯「それじゃあムギちゃんは…」

紬「唯ちゃんのことが好き。結婚したいぐらい」

唯「///」

紬「///」

唯「えっと……だったらなんで私のところには妹になりたいとしか書いてなかったの?」

紬「それは……唯ちゃんのページは破っちゃったから」

唯「えっ」

76: 2012/10/18(木) 22:27:04.39
紬「つむぎノートはね、おまじないなの。夢が叶いますようにって書くんだ」

唯「うん」

紬「でも唯ちゃんについての夢は、自分の力で叶えたいから。おまじないに頼りたくないから。だから破っちゃったの」

唯「……」

紬「『唯ちゃんの妹になりたい』って夢は次のページに書いてあったから残っちゃったんだ」

唯「そうだったんだ……」

紬「実は『唯ちゃんのお姉ちゃんになりたい』とか『唯ちゃんのお母さんになりたい』とも書いてあったんだ」

唯「どうしても私の妹になりたかったわけじゃないんだね」

紬「うん」

唯「そっかそっか……」

78: 2012/10/18(木) 22:28:54.23
紬「ひょっとして唯ちゃん」

唯「うん。どうやったらムギちゃんのお姉ちゃんになれるかって考えて、今日は色々やったんだ」

紬「そだったんだ」

唯「でも良かったよ……やっぱり私の妹は憂だけだし」

紬「それはどうかな」

唯「えっ」

紬「ねぇ、この前日本での同性婚が認められたでしょ」

唯「うん」

紬「ひょっとしたら憂ちゃんと和ちゃんがいつか結婚するかもしれないじゃない」

唯「そうなったらいいね」

紬「そしたら和ちゃんは唯ちゃんの義妹よ」

唯「和ちゃんが私の義妹……。うまく想像できないけど、楽しそうかも」

80: 2012/10/18(木) 22:32:09.87
唯「ところでムギちゃん、私がさっき言ったこと覚えてる?」

紬「えっと……お姉ちゃんになるために色々やったこと?」

唯「もっと前」

紬「それじゃあ、つむぎノートを見ちゃったこと?」

唯「もっともっと前」

紬「なんでも相談に乗るってこと?」

唯「ちょっとだけ後」

紬「……唯ちゃんにできることならなんでも叶えてくれるってこと?」

唯「うん」

紬「唯ちゃん?」

唯「ムギちゃんを憂のお義姉ちゃんにしてあげるよ」

紬「それって……」

唯「ねぇ、ムギちゃん。キスしよっか」

紬「……うん」

チュ

81: 2012/10/18(木) 22:33:15.01
紬「一番の夢が叶っちゃった」

唯「一番だったんだ」

紬「うん。ずっとずっと好きだったから」

唯「て、照れちゃうよ///」

紬「唯ちゃんも私のこと好きだったの?」

唯「うん。だからあのノートを見てちょっとショックを受けたんだ」

紬「唯ちゃんのページは破ってあったから……」

唯「うん」

紬「結局あのノートのおかげで夢が叶っちゃったね」

84: 2012/10/18(木) 22:34:24.72
唯「私があのノートを見つけたのがきっかけだもんね」

紬「ひょっとしたら効果があったのかもしれないね」

唯「えっと……どういうこと?」

紬「デスノートって破っても効果は続くでしょ」

唯「あっ、そういうこと」

紬「うん。あのノートに書いたから唯ちゃんと付き合えたのかも」

唯「それはどうだろう」

紬「どうだろうね」

85: 2012/10/18(木) 22:36:57.75
唯「これからどうしよっか」

紬「ねぇ、唯ちゃん。今から和ちゃんのところに押しかけない?」

唯「えっ?」

紬「未来の義妹さん達に挨拶をしに行かなきゃ」

唯「あっ、私達も憂達も結婚したら、和ちゃんはムギちゃんの義妹にもなるんだ」

紬「ええ」

唯「でも、迷惑じゃないかな?」

紬「遠慮しちゃ駄目。だって、家族なんだから」

唯「そうだね」

紬「それじゃあ行きましょ」

唯「うん。いこっ。あっ、ちょっと待って」

紬「どうしたの」

唯「手、つないでいこっ!」

紬「うん!」


おしまいっ!

87: 2012/10/18(木) 22:38:18.99

やはり唯紬はいい

88: 2012/10/18(木) 22:38:33.13
乙っす

90: 2012/10/18(木) 22:39:29.25
百合ノートさんおつかれさまああああああああああああああああああ
俺はこれからもけいおんSSを書き続けるよ
では、また

引用元: 唯「つむぎノート?」