1: 2020/11/27(金) 18:02:07.216
男「スマホに映像が送られてきたと思ったら……なんだこれは」
DQN『このお城がなんだか分かるゥ~?』
男「まさか……」
DQN『魔王城で~す!』
女『今まで隠しててすまない……我々二人はずっと魔王軍と戦い続けてきたのだ』
男「なんだってぇ!?」
DQN『せめて最後の戦いぐらい見てもらいたくて、リアルタイム映像を送ってま~す!』
男「なんてこった……!」
DQN『このお城がなんだか分かるゥ~?』
男「まさか……」
DQN『魔王城で~す!』
女『今まで隠しててすまない……我々二人はずっと魔王軍と戦い続けてきたのだ』
男「なんだってぇ!?」
DQN『せめて最後の戦いぐらい見てもらいたくて、リアルタイム映像を送ってま~す!』
男「なんてこった……!」
6: 2020/11/27(金) 18:05:26.753
男「なんで!? なんで二人が魔王軍と……!」
女『私の家系は実は勇者の一族でな……』
女『生まれながらにして、魔王と戦うことを運命づけられてきたのだ』
男「だからってなにも君が……!」
女『血には逆らえぬ。宿命とはそういうものだ』
男「……!」
DQN『お前が止めたい気持ちも分かる。だが、俺たちは止まるわけにはいかねえんだ!』
DQN『さあ、魔王城に入るぞ!』
女『私の家系は実は勇者の一族でな……』
女『生まれながらにして、魔王と戦うことを運命づけられてきたのだ』
男「だからってなにも君が……!」
女『血には逆らえぬ。宿命とはそういうものだ』
男「……!」
DQN『お前が止めたい気持ちも分かる。だが、俺たちは止まるわけにはいかねえんだ!』
DQN『さあ、魔王城に入るぞ!』
8: 2020/11/27(金) 18:08:08.083
DQN『魔王城は薄暗いでぇ~す! あちこちに不気味な装飾がありまぁ~す!』
女『まったく悪趣味な……』
魔物A『おい……侵入者だぜぇ!』
魔物B『八つ裂きにしてやる!』
男「魔物がたくさんいるけど大丈夫か……?」
女『問題ない。はあああああっ!』
ザシュッ! ズバッ! ザンッ!
男「つ、強い!」
女『まったく悪趣味な……』
魔物A『おい……侵入者だぜぇ!』
魔物B『八つ裂きにしてやる!』
男「魔物がたくさんいるけど大丈夫か……?」
女『問題ない。はあああああっ!』
ザシュッ! ズバッ! ザンッ!
男「つ、強い!」
18: 2020/11/27(金) 18:11:27.579
デーモン『ガアアッ!』ズバッ!
女『でやっ!』ズバッ!
デーモン『グゥゥ……』ズシン…
女『傷を負ってしまったか……』
DQN『問題ない、すぐ治す! 癒やしの光よ……』パァァァ…
男「DQNヒーラーかよ!」
DQN『これでも聖職者の家系なんでな』
男「なんでグレたんだよ」
DQN『お前の彼女をキズモノにはさせねえぜ!』
男「上手いこといいやがって」
女『でやっ!』ズバッ!
デーモン『グゥゥ……』ズシン…
女『傷を負ってしまったか……』
DQN『問題ない、すぐ治す! 癒やしの光よ……』パァァァ…
男「DQNヒーラーかよ!」
DQN『これでも聖職者の家系なんでな』
男「なんでグレたんだよ」
DQN『お前の彼女をキズモノにはさせねえぜ!』
男「上手いこといいやがって」
21: 2020/11/27(金) 18:14:04.561
女『だあっ!』ザンッ!
女『であっ!』ザシュッ!
DQN『癒やしの光よ……』パァァァ…
女『む、明らかに今までとは違う扉がある』
DQN『すげえ魔力を感じるぜ……』
男「気をつけろ! 強敵がいるはずだ!」
女『であっ!』ザシュッ!
DQN『癒やしの光よ……』パァァァ…
女『む、明らかに今までとは違う扉がある』
DQN『すげえ魔力を感じるぜ……』
男「気をつけろ! 強敵がいるはずだ!」
23: 2020/11/27(金) 18:17:11.807
≪土の四天王・ゴーレム≫
ゴーレム『来たか、勇者ども』
ゴーレム『捻り潰してくれるわァ!』
女『ふん、そうはいくか!』チャキッ
女『でやぁぁぁっ!』
ザンッ!
DQN『腕を斬り落としたぜ! これで勝負ありだ!』
男「いや……」
ゴーレム『グフフフ……』ズボッ
女『腕が生えてきただと!?』
ゴーレム『来たか、勇者ども』
ゴーレム『捻り潰してくれるわァ!』
女『ふん、そうはいくか!』チャキッ
女『でやぁぁぁっ!』
ザンッ!
DQN『腕を斬り落としたぜ! これで勝負ありだ!』
男「いや……」
ゴーレム『グフフフ……』ズボッ
女『腕が生えてきただと!?』
25: 2020/11/27(金) 18:17:47.971
DQN系ヒーラーとは新しい
26: 2020/11/27(金) 18:20:08.356
ゴーレム『アースパンチ!』
ドゴォッ!
女『ぐっ!』
女『でやぁぁぁぁぁっ!』
ザシュッ! ズバッ! ザンッ!
女『ダメだ、いくら斬っても再生されてしまう!』
DQN『こんなのどう倒せばいいんだ!?』
男(おいおい、胸にこれ見よがしに点滅してるコアがあるじゃないか!)
ドゴォッ!
女『ぐっ!』
女『でやぁぁぁぁぁっ!』
ザシュッ! ズバッ! ザンッ!
女『ダメだ、いくら斬っても再生されてしまう!』
DQN『こんなのどう倒せばいいんだ!?』
男(おいおい、胸にこれ見よがしに点滅してるコアがあるじゃないか!)
29: 2020/11/27(金) 18:23:33.864
男「胸だ! 胸のコアを狙うんだ!」
女『そうか、胸か!』
女『たああああっ!』
ザシュッ!
ゴーレム『グオオッ! グゴオオオオオ……!』サラサラサラ…
DQN『ゴーレムが土に還っていく……』
女『ありがとう、助かった!』
男「いやぁ、どういたしまして」
女『そうか、胸か!』
女『たああああっ!』
ザシュッ!
ゴーレム『グオオッ! グゴオオオオオ……!』サラサラサラ…
DQN『ゴーレムが土に還っていく……』
女『ありがとう、助かった!』
男「いやぁ、どういたしまして」
32: 2020/11/27(金) 18:26:50.223
≪水の四天王・ウォータードラゴン≫
ドラゴン『よくぞここまでたどり着いた……』
ドラゴン『褒美に我が水のブレスを喰らうがよい!』
ブシュゥゥゥゥゥゥッ!!!
女『うわあああああっ……!』
DQN『すぐ回復するぜ!』パァァァ…
男(水で濡れた彼女もすげえ色っぽい……って俺はなに考えてんだ!)
ドラゴン『よくぞここまでたどり着いた……』
ドラゴン『褒美に我が水のブレスを喰らうがよい!』
ブシュゥゥゥゥゥゥッ!!!
女『うわあああああっ……!』
DQN『すぐ回復するぜ!』パァァァ…
男(水で濡れた彼女もすげえ色っぽい……って俺はなに考えてんだ!)
33: 2020/11/27(金) 18:29:16.677
女『水のドラゴンなら話は早い!』
女『火属性攻撃で、蒸発させてやる!』
女『火炎斬!』ズバボワァッ!
ドラゴン『ぬ……』
女『火炎斬!』ズバボワァッ!
ドラゴン『勇者とは、この程度かァ!』ブシュゥゥゥゥゥッ!
女『なんだと!? あまり効き目がない!?』
男「そりゃ、水に火ってあまり効き目ないでしょ……」
女『火属性攻撃で、蒸発させてやる!』
女『火炎斬!』ズバボワァッ!
ドラゴン『ぬ……』
女『火炎斬!』ズバボワァッ!
ドラゴン『勇者とは、この程度かァ!』ブシュゥゥゥゥゥッ!
女『なんだと!? あまり効き目がない!?』
男「そりゃ、水に火ってあまり効き目ないでしょ……」
37: 2020/11/27(金) 18:32:20.572
男「水に効くのはやっぱり雷だ! 雷で攻撃するんだ!」
女『おおっ、なるほど!』
女『雷鳴斬!』ズババリィッ!
ドラゴン『ぐおおっ!?』
女『トドメだ! 雷鳴斬!』ズババリィッ!
ドラゴン『ぐはぁっ……!』ズズン…
DQN『よっしゃ、四天王二人目も倒せたぜ!』
男「ふぅ……よかったよかった」
女『おおっ、なるほど!』
女『雷鳴斬!』ズババリィッ!
ドラゴン『ぐおおっ!?』
女『トドメだ! 雷鳴斬!』ズババリィッ!
ドラゴン『ぐはぁっ……!』ズズン…
DQN『よっしゃ、四天王二人目も倒せたぜ!』
男「ふぅ……よかったよかった」
40: 2020/11/27(金) 18:35:48.366
≪風の四天王・トルネード≫
女『なんだこいつは……』
DQN『竜巻じゃねえか!』
トルネード『クゥ~ックックック!』ビュゴォォォォォッ
トルネード『オレは竜巻が魔物化した存在……切り裂いてくれるわ!』
ギュオオオオオオッ!!!
女『ぐあああっ!』
DQN『ぐおおおっ!』
男「なんていう切れ味だ!」
女『なんだこいつは……』
DQN『竜巻じゃねえか!』
トルネード『クゥ~ックックック!』ビュゴォォォォォッ
トルネード『オレは竜巻が魔物化した存在……切り裂いてくれるわ!』
ギュオオオオオオッ!!!
女『ぐあああっ!』
DQN『ぐおおおっ!』
男「なんていう切れ味だ!」
41: 2020/11/27(金) 18:41:26.638
女『だああああっ!』
バチンッ!
女『ぐああっ!?』
トルネード『クゥ~ックック! 剣など効くか!』
女『ダメだ! まとも斬りかかってもハネ飛ばされてしまう!』
DQN『こんなの勝てっこねえよ!』
男「……渦だ」
DQN『え?』
男「台風でいうところの“目”……渦の中心に飛び込むんだ!」
バチンッ!
女『ぐああっ!?』
トルネード『クゥ~ックック! 剣など効くか!』
女『ダメだ! まとも斬りかかってもハネ飛ばされてしまう!』
DQN『こんなの勝てっこねえよ!』
男「……渦だ」
DQN『え?』
男「台風でいうところの“目”……渦の中心に飛び込むんだ!」
42: 2020/11/27(金) 18:43:19.790
女『よし……』ダッ
トルネード『トドメだ! まとめて切り刻んでやる!』ギュオオオオッ!
女『ハアッ!』バッ
女『竜巻の中心へ――』
トルネード『し、しまった中に飛び込まれた!』
女『内部から貴様を散らせてやる! 乱れ斬り! でやぁぁぁぁぁっ!』ズババババッ!
トルネード『ぐわああああっ……!』
DQN『よっしゃあ!』
男「……なんとかなったか」
トルネード『トドメだ! まとめて切り刻んでやる!』ギュオオオオッ!
女『ハアッ!』バッ
女『竜巻の中心へ――』
トルネード『し、しまった中に飛び込まれた!』
女『内部から貴様を散らせてやる! 乱れ斬り! でやぁぁぁぁぁっ!』ズババババッ!
トルネード『ぐわああああっ……!』
DQN『よっしゃあ!』
男「……なんとかなったか」
43: 2020/11/27(金) 18:45:25.413
≪火の四天王・ダークフレイム≫
フレイム『……』
女『これが……最後の四天王?』
DQN『ただの黒い炎じゃねえか』
男「そいつの火力は凄まじいぞ! 甘く見るな!」
フレイム『……』ゴォワァァァァッ!
女『あづっ!』
DQN『なんだこりゃあっ!?』
フレイム『……』
女『これが……最後の四天王?』
DQN『ただの黒い炎じゃねえか』
男「そいつの火力は凄まじいぞ! 甘く見るな!」
フレイム『……』ゴォワァァァァッ!
女『あづっ!』
DQN『なんだこりゃあっ!?』
45: 2020/11/27(金) 18:49:11.012
女『だが、炎なら水で攻撃すればいい! 水流斬!』ザバズバァッ!
フレイム『……』ゴォワァァァァッ!
女『なんという高熱! 水などとても通用しない!』
DQN『水がダメならどうやって倒せばいいんだよ!?』
男「火が燃えるには酸素が必要だ」
男「その部屋を密室にして、酸素を遮断してみるんだ!」
女『分かった! やってみる!』
女『たあっ! どりゃあっ!』ズバッ! ザンッ!
ズズゥン…
フレイム『……』ゴォワァァァァッ!
女『なんという高熱! 水などとても通用しない!』
DQN『水がダメならどうやって倒せばいいんだよ!?』
男「火が燃えるには酸素が必要だ」
男「その部屋を密室にして、酸素を遮断してみるんだ!」
女『分かった! やってみる!』
女『たあっ! どりゃあっ!』ズバッ! ザンッ!
ズズゥン…
47: 2020/11/27(金) 18:52:26.958
女『出入り口を塞ぎ、完全に空気を遮断したが……』
フレイム『……』
フレイム『……』ジジ…
フレイム『……』ボボ…ボボボ…
フレイム『……』ジュゥゥゥ…
女『やった! 酸素がなくなったことで燃え尽きたようだ!』
男「作戦大成功!」
フレイム『……』
フレイム『……』ジジ…
フレイム『……』ボボ…ボボボ…
フレイム『……』ジュゥゥゥ…
女『やった! 酸素がなくなったことで燃え尽きたようだ!』
男「作戦大成功!」
48: 2020/11/27(金) 18:54:29.377
男「ところで……酸素がなくなったのに平気なの?」
女『私は呼吸しなくても一時間は生きていける』
男「さすが勇者……」
DQN『……』ピクピク
男「だけどDQNはヤバイ! すぐ外に連れ出してくれ!」
女『しっかりしろ、DQN!』
DQN『うう……バイクの3ケツはいいけど、酸欠はゴメンだぜ……』
女『私は呼吸しなくても一時間は生きていける』
男「さすが勇者……」
DQN『……』ピクピク
男「だけどDQNはヤバイ! すぐ外に連れ出してくれ!」
女『しっかりしろ、DQN!』
DQN『うう……バイクの3ケツはいいけど、酸欠はゴメンだぜ……』
51: 2020/11/27(金) 18:57:12.225
女『ついに最深部に到着したな』
DQN『ああ、ここに魔王がいる!』
男「……」
女『今こそ魔王を倒し、宿命を断つ時だ!』
DQN『おう!』
男「……」
女『魔王覚悟ォ!!!』バァンッ!
DQN『ああ、ここに魔王がいる!』
男「……」
女『今こそ魔王を倒し、宿命を断つ時だ!』
DQN『おう!』
男「……」
女『魔王覚悟ォ!!!』バァンッ!
53: 2020/11/27(金) 19:00:11.213
男「よく来たな」
女「あれ、なんで……?」
DQN「どうしてお前がここに……!?」
男「まだ分からんのか。勘が鈍い奴らだ……」
男「俺が魔王だからだよ!」
女「なんだってぇ!?」
DQN「信じらんねえ……!」
女「あれ、なんで……?」
DQN「どうしてお前がここに……!?」
男「まだ分からんのか。勘が鈍い奴らだ……」
男「俺が魔王だからだよ!」
女「なんだってぇ!?」
DQN「信じらんねえ……!」
55: 2020/11/27(金) 19:05:08.931
男「お前らが勇者とその相棒ってことを俺に隠してたように、俺も自分が魔王ってことを隠してたってことだ」
DQN「ウソだ……!」
DQN「だってお前、スマホを通じて四天王を倒すのに協力してくれたじゃねえか!」
男「あんなもん、俺がお前らを倒す楽しみがなくなるからに決まってるだろうが」
男「さあ、行くぞ! 我が魔力を味わうがよい!」
ズガガガガァァァァンッ!!!
女「ぐあっ!」
DQN「くうっ!?」
DQN「ウソだ……!」
DQN「だってお前、スマホを通じて四天王を倒すのに協力してくれたじゃねえか!」
男「あんなもん、俺がお前らを倒す楽しみがなくなるからに決まってるだろうが」
男「さあ、行くぞ! 我が魔力を味わうがよい!」
ズガガガガァァァァンッ!!!
女「ぐあっ!」
DQN「くうっ!?」
56: 2020/11/27(金) 19:08:25.571
男「フハハハーッ! 俺を倒さなきゃ世界は闇に包まれるぞ!」
男「魔王はいくらでも魔族を生み出せるんだからな! 四天王だって蘇らせてやる!」
女「お前は大切な人だったが……魔王ということなら容赦はできない!」
女「覚悟ッ!」
ズバッ!
男「うぐっ……!」ヨロッ…
女「……!」
女「すまぬっ!!!」ダッ
男(これでいい……)
DQN「!」
男「魔王はいくらでも魔族を生み出せるんだからな! 四天王だって蘇らせてやる!」
女「お前は大切な人だったが……魔王ということなら容赦はできない!」
女「覚悟ッ!」
ズバッ!
男「うぐっ……!」ヨロッ…
女「……!」
女「すまぬっ!!!」ダッ
男(これでいい……)
DQN「!」
57: 2020/11/27(金) 19:10:26.300
DQN「やめろ!」ガシッ
女「DQN、なぜ止める!?」
男「そうだ……戦いの邪魔をするな……」
DQN「俺は見たぜ……お前が一瞬微笑むのを」
男「う……」
DQN「お前、もしかして……倒されたがってるんじゃないのか?」
男「……!」
女「DQN、なぜ止める!?」
男「そうだ……戦いの邪魔をするな……」
DQN「俺は見たぜ……お前が一瞬微笑むのを」
男「う……」
DQN「お前、もしかして……倒されたがってるんじゃないのか?」
男「……!」
58: 2020/11/27(金) 19:13:59.229
DQN「いやもっというと、お前そのものは魔王じゃない」
DQN「上手くいえねえが、お前の中に魔王がいるんじゃ……?」
男「DQNのくせに鋭いじゃないか……。そう、その通りだよ」
男「この俺の中には魔王が巣食っているんだ」
女「どういうことだ?」
男「お前が勇者の血を引くように、どうやら俺も人でありながら、遠い遠い祖先が魔王らしくてな……」
男「大昔に氏んだ魔王が何十もの世代を経て、血を通じて力を蓄え、ついに俺の中で蘇りやがったんだ」
男「魔王は少しずつ少しずつ俺を侵食していき……魔族を復活させ、こんな城を生み出し……」
男「今だって自由意志があるように見えるが、実際にはかなり行動を制限されてる」
男「気づいた時には自頃すらできないありさまになってしまった」
男「俺を倒せるのは勇者だけ……だから、俺はずっと勇者を待ってたんだ」
男「まさか……お前たちが来るとは思わなかったけど」
DQN「上手くいえねえが、お前の中に魔王がいるんじゃ……?」
男「DQNのくせに鋭いじゃないか……。そう、その通りだよ」
男「この俺の中には魔王が巣食っているんだ」
女「どういうことだ?」
男「お前が勇者の血を引くように、どうやら俺も人でありながら、遠い遠い祖先が魔王らしくてな……」
男「大昔に氏んだ魔王が何十もの世代を経て、血を通じて力を蓄え、ついに俺の中で蘇りやがったんだ」
男「魔王は少しずつ少しずつ俺を侵食していき……魔族を復活させ、こんな城を生み出し……」
男「今だって自由意志があるように見えるが、実際にはかなり行動を制限されてる」
男「気づいた時には自頃すらできないありさまになってしまった」
男「俺を倒せるのは勇者だけ……だから、俺はずっと勇者を待ってたんだ」
男「まさか……お前たちが来るとは思わなかったけど」
59: 2020/11/27(金) 19:17:09.902
男「もし魔王が俺の中で完全に覚醒したら、もはやお前にも勝ち目はない!」
男「だから俺がまだ人であるうちに、頃すしかないんだ!」
男「お前がいったように人は血には逆らえない。宿命を断つにはこれしかないんだ!」
女「……!」
女(私の彼氏は魔王だった……とはいえ乗っ取られてるも同然の状態……)
女(頃したくはない……! しかし、やらねば……!)グッ
男(それでいい!)
DQN「やめろぉ!!!」
男「だから俺がまだ人であるうちに、頃すしかないんだ!」
男「お前がいったように人は血には逆らえない。宿命を断つにはこれしかないんだ!」
女「……!」
女(私の彼氏は魔王だった……とはいえ乗っ取られてるも同然の状態……)
女(頃したくはない……! しかし、やらねば……!)グッ
男(それでいい!)
DQN「やめろぉ!!!」
61: 2020/11/27(金) 19:20:27.225
DQN「やめてくれぇ……」
DQN「俺は見てるゥ! 今までずっとお前らがデートしたり、愛し合ってた姿を!」
DQN「そんなお前らが頃し合うなんて……俺には耐えられねえよ……」グスッ
男「DQN……」
女「DQN……」
女「そうだな、私にはお前を頃すなど考えられぬ」
女「もしお前が魔王となってしまい、世界が滅ぶとしても、頃すことなどできぬ……」
女「私はとてつもない過ちを犯すところだった……」
DQN「俺は見てるゥ! 今までずっとお前らがデートしたり、愛し合ってた姿を!」
DQN「そんなお前らが頃し合うなんて……俺には耐えられねえよ……」グスッ
男「DQN……」
女「DQN……」
女「そうだな、私にはお前を頃すなど考えられぬ」
女「もしお前が魔王となってしまい、世界が滅ぶとしても、頃すことなどできぬ……」
女「私はとてつもない過ちを犯すところだった……」
63: 2020/11/27(金) 19:23:45.526
男「しかし……!」
女「これでいいんだ」
女「お前が完全に魔王になってしまったら、そうしたら必ず私が倒す」
女「無理だったとしても、私に後悔はない……」
女「私は勇者失格だ。だが、これこそが一人の女としての私の決断だ……」
男「ううっ……俺だって……俺だって……」
男「本当は氏にたくなかったよ……。少しでも長くお前と生きたい……」
女「これでいいんだ」
女「お前が完全に魔王になってしまったら、そうしたら必ず私が倒す」
女「無理だったとしても、私に後悔はない……」
女「私は勇者失格だ。だが、これこそが一人の女としての私の決断だ……」
男「ううっ……俺だって……俺だって……」
男「本当は氏にたくなかったよ……。少しでも長くお前と生きたい……」
64: 2020/11/27(金) 19:26:28.332
男『グオオオオオオオオオオッ!?』
女「!?」
男『ク、クルシイ……! ナンダコノ波動ハァ……!』モクモクモク…
モワモワモワモワモワ…
魔王『ハァ、ハァ、ハァ……』
女「なんだこいつは!?」
男「邪悪を具現化したような……」
DQN「そうか……勇者と魔王という宿命を超えた二人の愛が! 愛の波動がッ!」
DQN「魔王を体内から追い出しやがったんだ!」
女「!?」
男『ク、クルシイ……! ナンダコノ波動ハァ……!』モクモクモク…
モワモワモワモワモワ…
魔王『ハァ、ハァ、ハァ……』
女「なんだこいつは!?」
男「邪悪を具現化したような……」
DQN「そうか……勇者と魔王という宿命を超えた二人の愛が! 愛の波動がッ!」
DQN「魔王を体内から追い出しやがったんだ!」
65: 2020/11/27(金) 19:29:05.058
魔王『グ……くそっ! こんなことになるとは――』
男「よくも人の体を乗っ取ってくれたな! このヤドカリ野郎!」
女「覚悟しろ!」チャキッ
魔王『ほざけ! たとえ実体がなくとも貴様ら如きィ!』グワッ
ドゴォォォォォォンッ!!!
シュゥゥゥゥゥ…
魔王『フハハハハ! 終わりだ! まとめて消し飛びおったわ!』
男「よくも人の体を乗っ取ってくれたな! このヤドカリ野郎!」
女「覚悟しろ!」チャキッ
魔王『ほざけ! たとえ実体がなくとも貴様ら如きィ!』グワッ
ドゴォォォォォォンッ!!!
シュゥゥゥゥゥ…
魔王『フハハハハ! 終わりだ! まとめて消し飛びおったわ!』
66: 2020/11/27(金) 19:32:42.911
男「ありがとう、DQN!」
女「魔王の攻撃が当たった瞬間、回復してくれたとはな!」
DQN「へっ、タイミングバッチリだぜ!」
魔王『なにい!?』
女「さあ、お前もこの剣を持て」
男「うん」ガシッ
魔王『よせ……やめろ!』
女「お前は勇者と魔王……二つの力によって滅ぶのだ!」
男「家賃は……お前の命で払ってもらう!」
ザンッ!!!
魔王『ウギャァァァァ……!』
魔王(実体のない状態で……倒されたら……復活でき、な……い……)ボシュゥゥゥゥゥ…
女「魔王の攻撃が当たった瞬間、回復してくれたとはな!」
DQN「へっ、タイミングバッチリだぜ!」
魔王『なにい!?』
女「さあ、お前もこの剣を持て」
男「うん」ガシッ
魔王『よせ……やめろ!』
女「お前は勇者と魔王……二つの力によって滅ぶのだ!」
男「家賃は……お前の命で払ってもらう!」
ザンッ!!!
魔王『ウギャァァァァ……!』
魔王(実体のない状態で……倒されたら……復活でき、な……い……)ボシュゥゥゥゥゥ…
68: 2020/11/27(金) 19:36:02.531
女「……やったな!」
男「ああ!」
女「……」ウルッ
男「どうしたの?」
女「お前を頃すことにならなくて……本当によかった……」
女「よかったよぉ……生きてるよぉ……!」ギュッ
男「コラコラ、勇者に涙は似合わないぞ」
女「もう……勇者じゃないもん……」
ギュッ…
男「ああ!」
女「……」ウルッ
男「どうしたの?」
女「お前を頃すことにならなくて……本当によかった……」
女「よかったよぉ……生きてるよぉ……!」ギュッ
男「コラコラ、勇者に涙は似合わないぞ」
女「もう……勇者じゃないもん……」
ギュッ…
69: 2020/11/27(金) 19:38:40.742
DQN「……」
DQN「おっとこれ以上見てるわけにはいかねえな!」
DQN「俺は一人でお城の外に出るぜ」ザッ…
― 完 ―
DQN「おっとこれ以上見てるわけにはいかねえな!」
DQN「俺は一人でお城の外に出るぜ」ザッ…
― 完 ―
70: 2020/11/27(金) 19:42:55.850
乙
面白かったよ
面白かったよ
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります