1: 2012/12/08(土) 04:44:26.25 ID:8d38kmyK0
>12月1日
>むぎほーむ むぎのへや

和「えっ」

紬「どうしたの?」

和「ごめんなさいムギ。もう一度言ってくれるかしら」

紬「唯ちゃんのサプライズ誕生日パーティーをやろうと思うのだけど‥ ‥」

和「‥ ‥ムギ。お医者様のところへ行きましょうか」

紬「ど、どうして?」

和「だって、唯の誕生日はこの前終わったところじゃない」

和「パーティーだってちゃんとやったし」

紬「うん」

和「うん、って‥ ‥」

4: 2012/12/08(土) 04:48:06.85 ID:8d38kmyK0
紬「だからこそサプライズパーティーをしようと思って」

和「確かに驚くと思うけど‥ ‥普通は誕生日に本人に内緒でやるものでしょ」

紬「でもそれだと『みんな私の誕生日を忘れてるんだ』って思わせちゃうよね」

和「ええ」

紬「悲しい気持ちになるよね」

和「そうね」

紬「そういうのあんまり好きじゃないから‥ ‥」

紬「落としてから上げるんじゃなくて、上げてから、もっと上げるようなサプライズパーティーを考えてみたの」

和「‥ ‥まぁ、ムギらしい発想かしら」

紬「和ちゃん、協力してくれる?」

和「唯のためなら協力しない理由なんてないわ」

紬「それでこそ和ちゃんね」

6: 2012/12/08(土) 04:49:32.75 ID:8d38kmyK0
和「それで‥ ‥何か案はあるの?」

紬「あん?」

和「普通にパーティやるだけだと、嬉しいというより戸惑うだけでしょ」

紬「そうかな?」

和「‥ ‥そうでもないかしら」

紬「ええ、みんなで美味しい料理を囲むだけで楽しいと思うの」

和「そうね」

紬「でも和ちゃんのいうことも一理あるかな」

和「そう?」

紬「ええ、せっかくのサプライズパーティーなんだから何かあっと驚くようなものがあるといいわ~」

和「何かあるかしら」

7: 2012/12/08(土) 04:52:16.67 ID:8d38kmyK0
紬「そうだ、手品とかどうかしら」

和「手品? ムギってそういうの得意だっけ?」

紬「得意じゃないけど、これを使えばいろいろできると思うの」

和「さっきから気になってたんだけど、この機械はなにかしら。やけに仰々しい見た目をしているけど‥ ‥」

紬「ちょっと待ってね‥ ‥」

和「ええ‥ ‥」

紬「こうやったここに入って、ボタンをポチッと押すと」

和「押すと」

紬「私が消え――」

和「‥ ‥ムギ?」

和「‥ ‥えっ」

和「ムギ! どこにいるの、ムギィ!!」

和「ムギィィィィィィィ!!!!!」

紬「わっ!!!」

和「ムギっ!」ギュッ

9: 2012/12/08(土) 04:53:18.34 ID:8d38kmyK0
紬「わっ//和ちゃん///どうしたの?」

和「どうしたのって‥ ‥ムギが突然消えたから心配したじゃないの」

紬「ごめんね。ちょっと驚かそうと思って」

和「ええ、心臓が止まるかと思ったわ」

紬「ごめんなさい」

和「もういいわ。それでこれは‥ ‥何?」

紬「量子テレポーテーション装置よ」

和「えっ」

紬「仕組みはよくわかんないけど、遠い所まで一瞬でものや人を運べるの~」

和「‥ ‥こんなのノーベル賞ものじゃない。なんでムギの家に‥ ‥」

紬「和ちゃん」

和「なぁに?」

10: 2012/12/08(土) 04:55:07.96 ID:8d38kmyK0
紬「これが世界中に広まったら、航空会社や運送会社はどうなっちゃうと思う?」

和「それは‥ ‥」

紬「大きな発明というのは得てして、機を見計らってその存在が大衆に知らされるものよ」

和「‥ ‥」

紬「それまでの間は少数の特権階級だけが、便益を享受できるの」

和「‥ ‥ムギといると、自分の常識が崩れていくわ」

紬「褒め言葉と受け取っておくね」

和「えぇ‥ ‥」

紬「それで、これで手品をやろうと思うんだけど」

和「ねぇ、これってどんなに遠くでも一瞬で人を運べるの?」

紬「うん」

和「安全性は?」

紬「米国大統領が緊急時に使うぐらいには安全よ」

11: 2012/12/08(土) 04:56:26.16 ID:8d38kmyK0
和「それなら手品じゃなくてもっと別のことに使えないかしら?」

紬「妙案でもあるの?」

和「こういうのはどうかしら?」


カクカクシカジカ


紬「流石和ちゃんね。さっそく手配しましょう!」

和「唯、喜んでくれるかしら」

紬「和ちゃんの考えたんだもの。きっと喜んでくれるわ~」

13: 2012/12/08(土) 04:57:51.89 ID:8d38kmyK0
>12月8日
>ぶしつ

ガラッ

唯「あっ、ムギちゃんだ」

紬「唯ちゃんきたんだ」

唯「ねぇねぇ、今日はりっちゃんも澪ちゃんもあずにゃんも部活にこないって」

紬「そうなの?」

唯「うん。みんなサボりすぎだよー」

紬「そうねぇ。でも、どうしましょう。二人だけじゃ部活にならないわよね」

唯「そうだね。でもお茶のんでお話す――」

紬「そうだ! 唯ちゃん。私の家に来ない?」

唯「ムギちゃんの家?」

紬「ええ、美味しいケーキがあるんだけど」

唯「ケーキ? 行く行く」

紬(これでよしっ!)

14: 2012/12/08(土) 04:59:18.24 ID:8d38kmyK0
>むぎほーむ おおひろままえ

唯「おおきな扉だねー」

紬「あけてくれる?」

唯「私が?」

紬「ええ。お願い」

唯「いいけど‥ ‥」

ガラッ

パンパンパ-ン

パンパンパ-ン

和律澪紬梓純憂菫唯父唯母和父和母律父律母澪父澪母紬父紬母梓父梓母純父純母「おたんじょうびおめでとー!!」

唯「えっえっ」

16: 2012/12/08(土) 05:03:11.02 ID:8d38kmyK0
和「今日はね、唯のためにサプライズ誕生パーティーを企画したのよ」

唯「でも、私の誕生パーティーはこの前‥ ‥」

和「サプライズだから」

唯「なるほど!」

澪「その説明で分かったのか?」

唯「うん。私を驚かせるためにやってくれたんでしょ」

律「ああ、そうだが」

唯「とっても嬉しいよー。和ちゃんありがとう」

梓(なんてものわかりの良さ‥ ‥)

唯「でもなんでお父さんやお母さんまで」

唯父「唯の誕生日に何もしてやれなかったからね」

唯母「それで今回参加させてもらったのよ」

唯「でもお父さん達昨日までヨーロッパにいたんじゃ?」

17: 2012/12/08(土) 05:05:21.32 ID:8d38kmyK0
唯父「それは大人の事情というやつさ」

唯母「そうよー」

唯「そっかー」

梓(そっかーで済ませちゃうんですか!)

唯「あと他の大人の人たちは‥ ‥?」

和「それは私達の両親よ」

唯「そういえばあの人‥ ‥」

和母「久しぶりね、唯ちゃん」

唯「和ちゃんのお母さん!」

和「唯の御母様からみんなの両親にパーティーの話が伝わったらしく――」

20: 2012/12/08(土) 05:08:22.36 ID:8d38kmyK0
紬父「私が会場を用意させてもらったのですよ」

唯「(眉毛の形からして)ムギちゃんのお父さん?」

紬父「いつも娘がお世話になっております」

唯「いえいえ、私のほうこそムギちゃんには」

紬父「いえいえいえ、娘のほうこそ――」


>茶番が5分ほど続いた


紬父「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえい――」

紬「御父様、そろそろ」

紬父「あぁ、そうだったな。それでは乾杯の音頭は」

紬「えーっと、和ちゃんお願いします」

和「それでは、唯の誕生日を祝って」

みんな「カンパーイ♪」

23: 2012/12/08(土) 05:11:04.64 ID:8d38kmyK0
 
律父「うちの律が迷惑をかけていなければいいのですが」

律父「あれが部長と聞いて私は気が気じゃありませんでして」

梓母「梓から聞きましたよ。律先輩は軽音部のムードメーカーだって」

律父「そんな、うちの娘なんて‥ ‥」

梓母「もっと自信を持ってください!!」

律父「は、はい‥ ‥」

梓(お母さん、それ以上はやめて!)


純父「一度お話してみたいと思ってました」

澪母「私とですか?」

純父「純が娘さんのファンクラブに入ってるそうで」

澪母「ファンクラブ!? 娘にそんなものがあるんですか」

純父「ええ、ええ。結構な規模だそうですぞ」

澪純「//」

24: 2012/12/08(土) 05:13:22.38 ID:8d38kmyK0
唯「AHAHAHAHAHAHAHAHA」

紬父「WAHAHAHAHAHAHAHA」

唯父「KAHAHAHAHAHAHAHAHA」

律父「HAHAHAHAHAHAHAHAHA」

律「なんだあれ」

律母「意気投合したらしいわよ」

紬「あの、楽しんでもらえてますか?」

律母「あら、あなたがムギさんね」

律母「よくできた子だこと。それにひきかえうちの律ときたら」

律「母さん、そういうのはいいからっ!」

紬「いえいえ、りっちゃんは凄いんですよ」

紬「りっちゃんがいなかったら、今の私たちはいませんでしたから」

律母「そうなの、律?」

律「そんなこと‥ ‥ちょっとはあるかな」

26: 2012/12/08(土) 05:15:58.89 ID:8d38kmyK0
 
憂「菫ちゃんって言うんだ」

菫「‥ ‥うん」

憂「菫ちゃんはお姉ちゃんのこと好き?」

菫「だいすき」

憂「そっかぁ、私と一緒だね」

菫「同じ?」

憂「ねぇ、ちょっとお話しよっ」


紬(憂ちゃん、ありがとう)



紬母「では、そろそろ」

純父「ええ。ええ。はじめましょう」

梓父「そうですね」

29: 2012/12/08(土) 05:19:57.82 ID:8d38kmyK0
唯「あっ、あの人たち楽器を取り出した?」

純「お父さんがサックス持ってるの久しぶりに見た」

梓「お父さん、ギターなんて持って‥ ‥まさか」

紬「あれは、お母様のピアノ」

ジャラララララン♪

純父「こほん。えー。えー。せっかくの機会なので私達で何かやれないか、お話したところ」

紬母「楽器を扱える人が三人もいたので演奏することにしましたー」

梓父「えーっと。唯ちゃん、誕生日おめでとうございます」

梓父「うちの娘は家に帰ってくるといつもあなたのことばかり話しているんですよ」

梓父「それが私は少し寂しくて‥ ‥」

梓「お、お父さん!」

紬母「それはうちの娘も同じです」

紬母「唯ちゃんの話が始まると、あの子私のことを離してくれないんですよ」

紬母「本当に唯ちゃんのことが大好きらしくて‥ ‥」

紬「//」

30: 2012/12/08(土) 05:21:39.96 ID:8d38kmyK0
純父「こほん。こほん。それではそろそろはじめましょう。楽曲はふわふわタイムジャズアレンジです」









>しっとりとしたなかにも盛り上がりのある大人のジャズ演奏に皆は聞き入った
>デートをすっぽかされたさわ子先生も途中から乱入し会場を大いに盛り上げた
>演奏が終わると、皆は歓談へと戻った



紬「のーどかちゃん」

和「あら、ムギじゃない」

紬「あっ、唯ちゃんのこと見てたんだ」

和「ええ」

紬「唯ちゃん、楽しそうだね」

31: 2012/12/08(土) 05:23:17.06 ID:8d38kmyK0
和「ええ、ほんとうに」

紬「今回はご苦労様。ご父兄の方の日程調整と連絡役、大変だったでしょ?」

和「生徒会の仕事と似たようなものよ」

紬「そう?」

和「そうよ。それに疲れたとしても――」

紬「うん?」

和「あの顔を見れただけで十分よ」

紬「‥ ‥そうだね」

和「ふふふ」

紬「うふふ」

34: 2012/12/08(土) 05:26:27.87 ID:8d38kmyK0
和「ねぇ、ムギ」

紬「どうしたの?」

和「やっぱり私、唯が好き」

紬「突然どうしたの?」

和「言ってみただけ」

紬「そっかぁ。私も唯ちゃんが好き」

和「知ってるわ」

紬「うん」

和「でも、たとえ相手がムギでも唯は譲れない」

紬「でも、憂ちゃんが相手なら譲るんでしょ?」

35: 2012/12/08(土) 05:28:02.77 ID:8d38kmyK0
和「う、憂は別よ。だってあの姉妹は本当に‥ ‥」

紬「もう、そんなこと気にせずアタックしちゃえばいいのに」

和「そういうムギだって、相手が澪だったら譲るんでしょ」

紬「う‥ ‥」

和「ムギは唯澪萌えだものね」

紬「う、う~ん。そのときになってみないとわからないかしら」

和「まったくムギったら」

紬「‥ ‥」

和「‥ ‥でも、今はいっか」

紬「あの笑顔を見てるだけで‥ ‥ね」

和「‥ ‥ええ」

36: 2012/12/08(土) 05:29:15.16 ID:8d38kmyK0
 
憂「和ちゃん‥ ‥」

唯「憂、どうしたの」

憂「うん。ちょっと盗み聞きしてたんだ」

唯「憂は悪い子だね」

憂「うん‥ ‥」

唯「あれっ、あんまり元気ない?」

憂「お姉ちゃん最近モテモテだよね」

憂「律先輩は澪先輩も明らかにお姉ちゃんを見る目が変わってきたし

憂「梓ちゃんも私に牽制かけてくるようになったんだよ」

憂「たぶん純ちゃんも‥ ‥」

唯「うん。困っちゃうねー」

憂「そろそろ決めてあげないとみんな可哀想かなって」

37: 2012/12/08(土) 05:30:28.20 ID:8d38kmyK0
唯「うーい」

憂「お姉ちゃん?」

唯「私は誰か一人を選んだりしないよ」

唯「和ちゃんもムギちゃんもりっちゃんも澪ちゃんもあずにゃんも純ちゃんも――」

唯「それからもちろん憂も。みんなみんな私のものだよ」

憂「お姉ちゃん‥ ‥それは修羅の道だよ」

唯「もとより女の子同士なんて道なき道だよ。今更引き返すことなんてできないんだから」

憂「お姉ちゃんにそんな覚悟があったなんて‥ ‥私精一杯協力するね」

唯「憂が味方なら百人力だよ。それじゃあまずはあの二人にアタックしよっか!」

憂「うん!」

ダダダダダッ

唯「和ちゃん!! ムギちゃん!! 大好き!!!!」ダキッ

和・紬「きゃっ」


おしまいっ!

39: 2012/12/08(土) 05:32:13.32

いい話と無茶さがいい具合に混ざってたな

引用元: 紬「和ちゃん。唯ちゃんのサプライズ誕生パーティーをやろうよっ!」