1: 2011/06/08(水) 21:21:09.49 ID:X3/0OW3V0
マミ「♪~~」 シャワーー
QB「マミはシャワーを浴びているのか」
ガチャッ
QB「あ、出てきた。 でもマミ、君は風邪気味だと言っていたのに」
マミ「ふう、いい気持…… はっくちゅ」
マミ「やっぱりだめだわ。早く着替えなくちゃ」パジャマパジャマ
QB「やれやれ」
マミ「うーん、ふらふらする… 今夜は魔女退治は無理ね」
QB「はっきゅしゅ」
マミ「?」
2: 2011/06/08(水) 21:23:03.74 ID:X3/0OW3V0
QB「あれ……」グラ~
QB「」パタン
マミ「キュゥべえ? やだ、ちょっと」
マミ「どうしたの!?大丈夫!?」
QB「なんだか体がおかしい……。僕も感染したかも」ケホ
マミ「た、大変! えーと、お医者さん…いや獣医?」
QB「それには及ばないっていうか地球外生物だし」
3: 2011/06/08(水) 21:24:05.74 ID:X3/0OW3V0
QB「そもそもマミの魔力で治せないのかい? 僕も、マミ自身も」
マミ「それが、ちょっと魔力も減退してて、無理なのよ」
QB「グリーフシードのストックを使えばいいじゃないか」
マミ「あまり余裕がないの。少々の風邪くらいで、無駄にはできないわ」
QB「げほげほ」フラフラ
マミ「こほんこほん」フラフラ
4: 2011/06/08(水) 21:24:47.43 ID:X3/0OW3V0
マミ「もう、今日は早くベッドに入って寝ちゃいましょう」
QB「それがいいね。僕もおそらく、体内で抗体ができればすぐ治る程度の症状だ」
マミ「良かった。 お薬は……いらないかしら」
QB「むしろ地球人の薬は、悪影響が出ると思う」
マミ「じゃあ私だけ飲んでおくわ。 あ、飲み物だけでも、いる?」
QB「僕は別にいいよ」
マミ「ごくごく」
マミ「さて、お布団に入ってと。キュゥべえもいらっしゃい」
QB「うん…… う?」
5: 2011/06/08(水) 21:25:28.81 ID:X3/0OW3V0
QB「うぐっ!」
マミ「え?」
QB「うわっ……うあああああああああああああ!!!!」
マミ「キュゥべえ!」
QB「ああああッあああああ わああああ!!」バタバタ
6: 2011/06/08(水) 21:26:02.39 ID:X3/0OW3V0
マミ「キュゥべえ!? しっかりして!どうしたの!?」
QB「はぁ、はぁ、はぁッ」
マミ「病状が悪化しちゃったの!?」
マミ「だ、誰か他の魔法少女を呼んで回復を……」
マミ(……電話番号わかる人がいない……)
マミ「やっぱりグリーフシードを使うしか」
QB「ち、違うんだ、マミ……僕は今、遮断されただけだ」
マミ「遮断?」
7: 2011/06/08(水) 21:26:39.11 ID:X3/0OW3V0
QB「僕らの種族は全体意識で活動している」
QB「でも僕という端末が今回、未知のウイルスに感染した」
QB「稀ではあるけど、もし精神がダメージを受けると思われた場合」
QB「全体へ影響するリスク回避のため、端末は全体意識から一時遮断されるんだ」
QB「そして……この端末は、初めて遮断を経験したんだ」
8: 2011/06/08(水) 21:27:07.63 ID:X3/0OW3V0
マミ「えーっと、つまり」
QB「ううっ……個体にひとつしか精神がない……これは」
マミ「つまり、私たち地球人と同じじゃない?」
QB「こんな……怖い……」
マミ「怖い?」
QB「うう……怖いよ……」ハアハア
10: 2011/06/08(水) 21:27:46.27 ID:X3/0OW3V0
QB(初めて感じる、これが恐怖感……)
QB(周りに何もなくて、誰もいなくて真っ暗で、寄るべない気分だ……)
QB(地球人は皆、こんなにも不安定な状態で)
QB(これが普通で、ずっと生きているっていうのか!)ハアハア
QB「怖い、怖いよぅ……」ハアハア
11: 2011/06/08(水) 21:29:06.16 ID:X3/0OW3V0
マミ「キュゥべえ、おいで」
QB「……?」フラフラ
マミ(抱きっ)
QB「……あ」
マミ「大丈夫よ」
マミ「大丈夫。私がいるからね。一人じゃないわ」
QB「マミ……」
12: 2011/06/08(水) 21:29:48.99 ID:X3/0OW3V0
QB「今、僕の中で実におかしな精神的現象が起こっている」
マミ「なあに、それ?」
QB「さっきまで震えと、恐ろしさに支配されて、本当におかしくなりそうだった」
QB「それがマミに抱かれて、君の言葉を聞いたら」
QB「半分くらい、楽になった」
QB「震えも、止まった……」
13: 2011/06/08(水) 21:30:56.38 ID:X3/0OW3V0
マミ「ふふっ、そういうものなのよ」
QB「わけがわからないよ……これは一体、何だっていうんだ」
マミ「んー」
マミ「それが感情、じゃない?」
QB「感情だって? ばかな。でも、これは」マミマミ
QB「……マミの胸が柔らかくて、心地いい」マミマミ
QB「これが感j
マミ「ちょっと!////」スパーン
14: 2011/06/08(水) 21:31:25.84 ID:X3/0OW3V0
QB「イタイ」
マミ「あ、ごめんなさい、思わず」
マミ「とにかく寝ましょう。風邪は体を休めるのが一番よ」
QB「うん」
15: 2011/06/08(水) 21:32:13.48 ID:X3/0OW3V0
~ 布団の中 ~
QB「マミ……」
マミ「ん?」
QB「僕は君に対する評価を改めなくちゃならない」
マミ「なんの評価?」
QB「君は、こんな恐ろしい『孤独』という精神状態と戦いながら」
QB「そのうえ、強い魔女や使い魔たちと戦ってきた」
QB「今の僕ならわかる。君は自分を弱いなんて言っていたが」
QB「君は強いよ。とても」
17: 2011/06/08(水) 21:33:33.46 ID:X3/0OW3V0
マミ「私は……強くなんかないわ」
マミ「一人で泣いてばかりだった。キュゥべえも見ていたはずよ」
マミ「恥ずかしいから、他人には見せないだけ……」
QB「それでも、凄いことだと思う」
QB(こんな脆弱な生物が……単体で孤独や氏の恐怖に耐え続けるんだ)
QB(絶望しやすいわけだよ……)
18: 2011/06/08(水) 21:34:26.93 ID:X3/0OW3V0
QB「ごめんよ、マミ」
マミ「えっ、どうして謝るのキュゥべえ」
QB「ごめんよ……」フルフル
QB(今の自分に置き換えて考えてみれば、彼女はこんな状態で)
QB(戦いに巻き込まれて、これから先、長く精神が持つはずがない)
QB(僕は……なんて運命を売っているんだ)
マミ「くすっ」
マミ「キュゥべえ、私はあなたに感謝しているのよ?」
QB「えっ」
19: 2011/06/08(水) 21:35:07.21 ID:X3/0OW3V0
マミ「あなたがいなければ、とっくに私はあの事故で氏んでいたもの」
マミ「あなたが命をくれたんだもの。謝られる筋合いなんてないわ」
QB「でも……」
QB(……すべてを話してしまいたい)
QB(いや、魔法少女が魔女化すること、それだけは言えない)
QB(今の僕がマミと同じような精神状態だとして)
QB(仮に僕が今、そんな未来を知れば……絶望しかないだろう)
20: 2011/06/08(水) 21:36:26.81 ID:X3/0OW3V0
QB(いや……そもそも絶望させるのが目的じゃないか)
QB(何なんだ、僕は。なぜ家畜の心情に、自分を重ね合わせているんだ)
QB(僕はいったい、何がしたいんだ)
マミ「ありがとう、キュゥべえ」
QB「やめてよ……感謝なんて……」
21: 2011/06/08(水) 21:36:59.63 ID:X3/0OW3V0
マミ「チュッ」
QB「え……!?」
マミ「好きよ、キュゥべえ」
QB「やめておくれよ……マミ」
マミ「いけなかったかしら?」
マミ「私、あなたに嫌われてる?」
QB「違うよ……」
22: 2011/06/08(水) 21:37:47.71 ID:X3/0OW3V0
QB「好きなんて言われたら……」
QB「今の僕は、なぜ君に好かれたかの理由を探すために」
QB「これまでの君との記憶を全て、頭で再生して検討し直してしまう」
QB「普段の状態の僕なら、そこにただ論理的な理由を見つけるだろう」
QB「だけど」
23: 2011/06/08(水) 21:40:06.51 ID:X3/0OW3V0
QB「今は……これまでのマミとの生活が、全部」
QB「現象の記録としてではない、まったく違うものに感じられるんだ……」
QB「マミのことで……頭が、
一杯になる……」
25: 2011/06/08(水) 21:42:17.09 ID:X3/0OW3V0
マミ「ありがとうね」ギュ
マミ「ずっと一人ぼっちで、誰かに想われるなんて、思いもしなかった」
QB「こんなの……おかしいよ」
マミ「おかしい? これは『素敵』なことよ、キュゥべえ」
QB「『素敵』?……これが、そうなのかい」
マミ「もう。こんな可愛い女の子にキスされるなんて、素敵に決まってるでしょ」クスクス
QB「自分で言うんだ……それに、僕には性別もないんだけどな」
26: 2011/06/08(水) 21:43:16.75 ID:X3/0OW3V0
マミ「ねえキュゥべえ。私、こう思うの」
マミ「私たちは一人ひとりが別の生物。誰も、心の中までひとつにはなれない」
QB「地球の生物の精神システムは、そのようだね」
マミ「私たちそれぞれが、世界と言ってもいいわ」
QB「それぞれの主観的世界しか存在しない、ということだね」
QB「でもそれは寂しくて、永遠に辛いことだよ。耐えがたいよ」
27: 2011/06/08(水) 21:44:12.49 ID:X3/0OW3V0
マミ「だから触れ合って、支えあうの。 お互い、寂しくないように」
QB「……僕の震えを止めたように?」
マミ「ええ。そして、私の震えも止まるの」
マミ「最初に魔女と戦う前の、私の震えを止めてくれたのは、あなたの存在なのよ」
QB「僕の……」
マミ「いつも、あなたが隣にいてくれるから」
マミ「私は震えず、運命を恨まずに戦い続けられる」
マミ「キュゥべえ。 あなたは優しい……」
28: 2011/06/08(水) 21:44:49.77 ID:X3/0OW3V0
QB(それは単に魔女狩りをサポートし、効率を上げるためだよ)
QB(優しいわけ、ないじゃないか……)
QB「マミ……」
マミ「ん、眠く……なってきちゃった」
QB「マミ、あの」
マミ「キュゥ……べえ」スリスリ
マミ「あったかいよ……」
マミ スー… スー…
29: 2011/06/08(水) 21:45:55.22 ID:X3/0OW3V0
QB「……寝ちゃったんだね、マミ」
QB「僕がこれから言うことを、君が聞くことはない」
QB「そして僕自身も、覚えてはいても、その意味はわからなくなるだろう」
QB「なぜなら僕のこの疾患は、もうすぐ体内で抗体が作られて治る」
QB「そうすれば仲間の全体意識との精神リンクが復活し、遮断状態を脱する」
QB「今の僕の記憶は、記録としては消えはしないけど」
QB「でもこの感情は……明日には……」
QB「言えるうちに、言葉にしておくよ」
30: 2011/06/08(水) 21:46:42.17 ID:X3/0OW3V0
マミ スースー…
QB「……マミ」
QB「ごめんよ、マミ。ごめんよ」
QB「ありがとう、マミ。僕を必要としてくれて」
QB「ありがとう……」
QB「マミ」
QB「……好きだよ……」
31: 2011/06/08(水) 21:47:14.40 ID:X3/0OW3V0
マミ「おはよう、キュゥべえ」
QB「やあマミ、風邪は治ったようだね」
マミ「ええ、すっかり。キュゥべえはどう?」
QB「見てのとおりさ」ピョンピョン
マミ「完治したみたいね。 じゃ、また今夜から魔女退治に行かないとね」
QB「ああ、頼むよマミ!」
49: 2011/06/09(木) 05:09:02.65
魔女「キシャアアアアア!!!」
マミ「ねえキュゥべえ、昨日のこと、覚えてる?」
ドンッドンッ
QB「覚えているよ?」
マミ「次にあなたが風邪をひいたときは、約束してほしいの」
QB「ひくことがあればだけどね。何だい」
バシュッ! ドドドドドッ
魔女「ガアアアアアアア!!!」
----------------
32: 2011/06/08(水) 21:57:02.60 ID:X3/0OW3V0
マミ「次はあなたからキスしてよね」
QB「口唇による接触? そんなことならお安い御用さ」
マミ「むー、なんだか心がこもってないわよ?」
QB「そ、そんなことないよ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!!!」
ドオオオオオオン!
魔女「……」グシャッ
QB ピョン「僕はマミのことが好きだもの」
マミ「ふふ、私もよ」ナデナデ
マミ「 私の、キュゥべえ 」
33: 2011/06/08(水) 21:57:39.65 ID:X3/0OW3V0
QB(昨日の記憶を、研究という意味で何度か脳内で再生し直してみた)
QB(結果、地球では『好き』と言われたら『好き』と言い返すだけで)
QB(その個体と友好的な関係を築き易いという、至極単純な答えに至った)
QB(僕というこの端末が発したイレギュラーな一連の言動は、当然ながら)
QB(現在のエネルギー収集業務においては、特に解析の必要もないだろう)
34: 2011/06/08(水) 21:58:59.20 ID:X3/0OW3V0
QB(だがノルマを達成する為には、表面上、円滑な関係が必要と思われる)
QB(次にまた抗体を持たないウイルス性疾患に罹患した場合は……)
QB(一応、僕からキスをする約束は、記憶に留めておこう)
35: 2011/06/08(水) 21:59:35.17 ID:X3/0OW3V0
~ 公園のベンチ ~
ほむら「インキュベーター」
QB「やあ、暁美ほむら」フラフラ
ほむら「? ……なんだか様子が変ね」
QB「ちょっと風邪をひいているんだ」
ほむら「あなたたちにも、そんなことがあるのね」
ほむら「どうでもいいことだけど」ファサ
QB「僕を頃すなら、いいチャンスだよ?」
ほむら「あなたなど、鹿目まどかに契約さえ迫らなければ」
ほむら「生きようが氏のうが、私には関係ないわ」
36: 2011/06/08(水) 22:00:03.25 ID:X3/0OW3V0
ほむら「……で、何の用?」
QB「巴マミが、氏んだよね」
37: 2011/06/08(水) 22:00:44.67 ID:X3/0OW3V0
ほむら「ええ、1週間になるわね。魔女にソウルジェムを砕かれて」
ほむら「絶望する暇もなく、彼女は魔女にならなかった」
ほむら「あなたたちにとっても残念な結果ね。 それが何か?」
QB「僕はマミと約束していたんだ」
ほむら「契約ではなく、約束?」
QB「うん。 果たせなかったけどね」
QB「うう……う……っ」
ほむら「……どうしたっていうの、インキュベーター」
ほむら「今のあなたはまるで」
38: 2011/06/08(水) 22:01:13.26 ID:X3/0OW3V0
QB「約束したのに!!」
QB「どうしてだよ……!」
QB「どうして……僕を置いて行っちゃうんだよ」
QB「マミ……」
ほむら「インキュベーターが、さも感情を持っているかのように振舞って」
ほむら「それを私に見せて、何の効果を期待しているのかしら」
39: 2011/06/08(水) 22:01:51.66 ID:X3/0OW3V0
QB「ちがう……違うんだ……」
QB「僕はただもう一度、マミを抱きしめて」
QB「キスをしてあげたかったんだ」
QB「僕を好きだと言った……あの子に」
ほむら「……」
40: 2011/06/08(水) 22:02:42.95 ID:X3/0OW3V0
QB「僕は……マミを助けられなかった」
ほむら「あなたはあの時、巴マミを助ける行動などしなかったでしょ」
QB「そうだよ。そうだった」
ほむら「いよいよ、わけがわからないわ」
QB「だろうね。わかってもらえるとは思わない」
41: 2011/06/08(水) 22:03:30.23 ID:X3/0OW3V0
QB「でも」
QB「鹿目まどかへの異様な執着を愛だと考えれば、君なら何かわかると思った」
ほむら「……」
QB「教えてよ、暁美ほむら。 僕は……マミを愛していたの?」
42: 2011/06/08(水) 22:04:06.22 ID:X3/0OW3V0
ほむら「さあ」
ほむら「あなた本人がわからない気持ちなんて、他人にわかるはずもないわ」
ほむら「ただ、自分の意志で、誰かとの約束を守りたかったのなら」
ほむら「それは『素敵』なことだと信じるべきね」
ほむら(信じなければ……やっていられない)
QB「……ありがとう」
ほむら「調子狂うわね」
43: 2011/06/08(水) 22:05:33.02 ID:X3/0OW3V0
QB フラフラ
ほむら「どこへ行くの。どこかの魔法少女に、体を回復して貰うつもり?」
QB「回復なんか要らない」フラフラ
QB「マミの部屋へ行く。 あの部屋に……居たいんだ」
QB「明日に、なるまで……」
ほむら「……インキュベーター?」
44: 2011/06/08(水) 22:06:00.39 ID:X3/0OW3V0
QB( そう。 明日になれば、僕はインキュベーター )
QB( だから )
QB( 今日だけは……
マミの「キュゥべえ」で、いたいんだ )
― 終わり ―
47: 2011/06/08(水) 22:12:46.37
乙っち乙マミ
キュゥマミか……QB憎さで敬遠してたジャンルだけどやっぱり仲良いんだよなぁ
キュゥマミか……QB憎さで敬遠してたジャンルだけどやっぱり仲良いんだよなぁ
56: 2011/06/13(月) 18:48:50.59 ID:7DJDFOPp0
あれで終わりでも良かったんですが、イチャイチャもいいなと
思ったので続き投下
思ったので続き投下
57: 2011/06/13(月) 18:49:54.52 ID:7DJDFOPp0
その日、キュゥべえは巴マミの部屋で過ごした。
QB「ここは1週間前と、何も変わってない」
QB「変わったのは、この部屋の主がいないことだけだ」
QB「ベッドと部屋に、微かに……マミの香りが残ってる」
マミの温かな体温の記憶が、冷えた体に蘇る。
屈託の無い笑顔が、脳裏をよぎる。
寂しげな瞳が、目蓋に浮かぶ。
そして魔女にソウルジェムを破壊され、動かぬ抜け殻となった
―――マミの最期が。
58: 2011/06/13(月) 18:50:46.79 ID:7DJDFOPp0
QB「……マミ……」
QB「あうっ……うううっ」
QB「どうして、氏んじゃったんだよ」
QB「会いたいよ、マミ……」
QB(頭がぐらぐら、する)
QB(風邪のせいか)
QB(それとも、泣いたからかな……)
59: 2011/06/13(月) 18:52:00.95 ID:7DJDFOPp0
---------------------------------
QB(スー スー……)
シャワーーーーーッ
QB(ん……)
QB(シャワーの水音が聞こえる……)
シャワーーーッ
??「♪~~」
QB(あれは誰だ…? ここは、どこだ)
??「♪サーーティーーローヤーーリィ~~♪」シャワーーーッ
QB ムクリ
QB「誰だ…って、僕は何言ってるんだ」
QB「マミに決まってるじゃないか。 だってここはマミの部屋だもの」
60: 2011/06/13(月) 18:52:35.92 ID:7DJDFOPp0
QB「ねえ、マミー。学校休んで、本当に良かったのかい?」
マミ「ええ、だってキュゥべえが風邪なんですもの」シャワーーーッ
マミ「看病するのは私の役目よ、気にしないでベッドで待っててね」シャワーーーッ
マミ(なんかマミーって伸ばされると、森永の白い液体っぽいわ)
QB「あぁそうだった、僕が風邪をひいたから……」
61: 2011/06/13(月) 18:53:13.08 ID:7DJDFOPp0
QB(しかし考えてみると)
QB(いつもの僕には感情ないから、マミと風呂に入ったりしても)
QB(何の感慨も湧かなかったわけだけど)
QB(……)
QB(いま、風呂には髪を下ろした全裸のマミが……そして)
QB(僕に感情がある時イコール風邪で、マミと一緒に風呂れないという)
シャワーーーーーッ
QB(フヌオオオオオオオオオオオオオオーーーー!!!) ゴロゴロゴロ
QB(僕のバカチーーーーーーン!!) ゴロゴロゴロ
マミ「何やってるのかしら」シャワーーーッ
62: 2011/06/13(月) 18:53:59.00 ID:7DJDFOPp0
QB「マミー」シッポパタパタ
マミ「はーい、待ってね」シャワーーーッ
QB「マミー、マミー」
マミ「ふふっ、学校休んで正解だったわ。だって風邪ひきの時のキュゥべえって」
マミ「甘えん坊さんで、すっごく可愛いんだもの////」シャワーーーッ
QB「マミーー」
マミ「はいはい」
マミ(テレビでよく見る、しゃべる猫みたいww)
63: 2011/06/13(月) 18:54:43.49 ID:7DJDFOPp0
QB「マミー! 焦げてる!なんか焦げてるって!!」
マミ「え……? ああああっ!!」ガチャッ
マミ「やっちゃった!ケーキをオーブンに入れてたんだわ!!」バタバタ
マミ「あー……せっかくキュゥべえのために焼いてたのに……」
QB(濡れた髪を下ろした裸マミ、「ラマミ」が目の前に!)
QB(種族を超えてなお魅力的に映る、そのつややかな体のライン…)
QB「ごっつあんですッ!!」ビッシイィィ
マミ「まだ食べてないでしょケーキ?」
64: 2011/06/13(月) 18:55:33.86 ID:7DJDFOPp0
マミ(着替えた)
QB(ひどく黒いケーキが出来上がった……)
マミ「ちょ、ちょっと焦がしちゃったけど、大丈夫…かな?」
QB(ちょっと…?)
QB「いや大丈夫、いただくよ!」
マミ「む、無理して食べなくてもいいのよ?」
QB「マミが焼いてくれたんだもの、美味しいに決まってパク苦ッ」
マミ「苦いわよね……やっぱり」ショボーーン
QB「え、いやいやほんと!美味しいってばパクパク」
QB(苦いけど……うん、甘い)
65: 2011/06/13(月) 18:56:13.79 ID:7DJDFOPp0
マミ「キュゥべえ、今日は一日、一緒に居ましょうね」ダキッ
QB「抗体ができるまであまり動けないしね」
QB「でも感情モードでマミの看病が受けられるなんて、ラッキーだよ」
マミ「……実は私、看病っていうより」
マミ「ただキュゥべえと一緒に過ごしたいだけかも」
QB「大抵、いつも一緒なんだけどね」
マミ「いつものキュゥべえも好きだけど、風邪の時は特別だから……」
マミ「私の、キュゥべえだから」スリスリ
QB「……うん///」
66: 2011/06/13(月) 18:56:44.16 ID:7DJDFOPp0
QB(これが人間のいう、幸せなのかな)
QB(マミの暖かさのせいか、自分の熱のせいか、頭がボーっとする)
QB(この国には、夢見る、という言葉がある)
QB(それは望み得ぬものを望む、という意味でもある)
67: 2011/06/13(月) 18:57:13.55 ID:7DJDFOPp0
QB(そうか……これは夢なのか)
QB(僕が望んだ、とても幸せな、夢)
QB(現実の僕は今も、誰も居ないマミの部屋で)
QB(独りで泣き疲れて、眠っているんだ……)
68: 2011/06/13(月) 18:58:06.06 ID:7DJDFOPp0
QB(―――あれ?)
QB(―――僕、そんなことしたっけ?)
QB(いま僕は、何考えてたんだ?)
QB(わけがわからないよ)
QB(自分に言うとは思わなかったこのセリフ)
マミ「キュゥべえ? どうしたの、眠くなった?」
QB ハッ!「いや、何でもないよ、まだ眠くない」
QB「ちょっとボーッとしてただけ」
69: 2011/06/13(月) 18:59:19.53 ID:7DJDFOPp0
マミ「ね、キュゥべえ。 約束、覚えてる?」
QB「もちろん覚えてるよ。君との約束を、忘れたりするもんか」
マミ「ん……」ジーーッ
QB(はう、マミが顔を赤らめて)
QB(目を閉じて待ってる!)
マミ ジーーッ
70: 2011/06/13(月) 18:59:55.68 ID:7DJDFOPp0
QB(えーとえーと)
QB(な、なんか)
マミ「…どうしたの?嫌?」
QB(あああぁそんな目しないでえええ)
QB「違、その、いざとなると」
QB「き、緊張して」
QB(よしッ!僕も男だ!いや性別ないけど!)
71: 2011/06/13(月) 19:00:35.95 ID:7DJDFOPp0
チュッ
QB「好きだよ、マミ」
マミ「………」ポロッ
QB「え、どうしたのマミ!」
マミ「あは、どうしてかしら…」ポロポロ
72: 2011/06/13(月) 19:01:13.62 ID:7DJDFOPp0
マミ「嬉しい、はずなのに、どうして」ポロポロ
QB「おかしいよ、泣くなんて」
QB「……!」ポロポロ
マミ「グスッ、あなたも泣いてるわ、キュゥべえ」
73: 2011/06/13(月) 19:01:41.57 ID:7DJDFOPp0
QB「……なぜだろう」ポロポロ
QB「約束を守れたことが、マミがここに居ることが、こんなに嬉しいのに」
QB「遠い、いつかどこかで、ひどく悲しいことがあったような」
マミ「私も、そんな気がする……」
QB「でもきっと、これは」
マミ「……うん、嬉し涙、よね」
74: 2011/06/13(月) 19:02:22.71 ID:7DJDFOPp0
---------------------------------------
偶然か、必然か。
「僕の望んだ幸せな夢」は、覚めることはなかった。
これは後になって、暁美ほむらに聞いた話だ。
QB「世界の因果律が改変された?」
ほむら「そう。ある魔法少女の力によって、過去と未来に本来存在したすべての魔女は消え」
ほむら「魔女に殺されたはずの巴マミも、氏ななかったことになった」
75: 2011/06/13(月) 19:02:54.62 ID:7DJDFOPp0
QB「途方もない話だね。それにもし本当に因果律が変わったとしても」
QB「その渦中に居る僕らには、それを知覚するすべもない」
QB「証拠も無いし、君の妄想と区別が…」
ほむら「インキュベーター、あなた、巴マミと約束があるでしょう」
QB「……! なぜそれを? マミが話したのかい?」
76: 2011/06/13(月) 19:03:37.53 ID:7DJDFOPp0
ほむら「いいえ。私は改変前の世界の、あなた本人に聞いたのよ」
ほむら「あなたたちの約束は、どうやら因果律が変わっても残っていたようね」
QB「成程、君がそれを知っているのが、ひとつの証拠ってわけか」
77: 2011/06/13(月) 19:05:39.96 ID:7DJDFOPp0
ほむら「あの時の私は、インキュベーターとはほとんど敵対関係にあったし」
ほむら「公園ではあなたにちょっと冷たく当たってしまったわね」
QB「公園って、何のこと?」
ほむら(ああ、巴マミが氏ななかったから)
ほむら(改変後の世界では、インキュベーターとの公園での会話は無かったのだった)
78: 2011/06/13(月) 19:06:33.66 ID:7DJDFOPp0
杏子「よー、お二人さん。なんかまた、小難しい話してんなー」
杏子「つーか、たまに仲いいよな? アンタらって」
QB「別に仲は」
ほむら「良かないわ」
杏子「わりと息合ってんじゃん。あれか、ほむらの喋りって」
杏子「ちょっと宇宙人っぽいからかw」
79: 2011/06/13(月) 19:07:38.87 ID:7DJDFOPp0
ほむら「う……宇宙 人……」
ほむら「そんなことないもん……」ホムーーン
QB「あ、凹んだ」
杏子「んで何? またエントロピーをショウガとか何とかの話?」
QB「少なくとも食べ物の話ではない」
ほむら「約束は大事だって話よ」
ほむら(だよね、まどか……)
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80: 2011/06/13(月) 19:08:33.43 ID:7DJDFOPp0
~ ベッドの中 ~
マミ「あのね、キュゥべえ」
QB「なに?」
マミ「また約束をしてもいいかしら」
QB「いいよ」
マミ「我ながら勝手で、面倒くさい子だって思うけど」
マミ「……えっと、あの、ね////」モジモジ
QB「?」
81: 2011/06/13(月) 19:09:05.46 ID:7DJDFOPp0
マミ「これからもずっと、私を愛してくれる?」
QB「うん。ずっとさ、マミ」
マミ「ふふっ。感情がある時は、優しい嘘もついたりするのね、キュゥべえ」
QB「う、嘘じゃないよ?」
82: 2011/06/13(月) 19:09:35.37 ID:7DJDFOPp0
マミ「いつものあなたなら『厳密には、その約束は無理だね』って言うわ」
QB「……ううっ、言いそう」
QB「普段の僕は、恋愛感情を持ち合わせないし」
QB「いざという時、君を守れないかもしれない。 そう思うと」
QB「愛してるなんて言葉も、空々しいんじゃないかって」
83: 2011/06/13(月) 19:10:55.25 ID:7DJDFOPp0
マミ「ううん、私は満足よ。 約束できる人がいる、それでいいの」
マミ「それだけで私、もっと強くなれると思う」
QB「……マミ」
マミ「この世界の理は、悲しいことや辛いことだらけだけど」
マミ「きっともっとたくさんの、誰かと誰かの約束で繋がっている」
マミ「それって『素敵』なことだと思わない?」
84: 2011/06/13(月) 19:12:07.40 ID:7DJDFOPp0
QB「そうだね。 約束は、素敵だ」
QB「僕もそれに関して、素敵なアイデアが浮かんだ」
マミ「?」
QB「ま、それはあとで。 あらためて言わせてもらうよ、マミ」
マミ&QB「ずっと、愛してる」
85: 2011/06/13(月) 19:13:06.82 ID:7DJDFOPp0
~「キュゥべえ」から「インキュベーター全体意識」への発信 ~
QB(ここ最近の記憶を、研究という意味で何度か脳内で再生し直してみた)
QB(結果、地球では相互に『愛してる』という『約束』だけで)
QB(個体同士が非常に友好的な関係を築く、という単純な答えに至った)
QB(だが単純ながら、巴マミという個体の「強くなれる」という申告により)
QB(この『約束』が彼らの精神・肉体面の強化に繋がり)
QB(我々のエネルギー収集効率の向上に寄与するのでは、という仮説が得られた)
86: 2011/06/13(月) 19:14:21.81 ID:7DJDFOPp0
QB(キュゥべえという端末は仮説実証の為、巴マミの研究担当となる)
QB(なおウイルス性疾患時以外にも、僕の自己判断で)
QB(全体意識のリンクを遮断することがあるが)
QB(研究の為なんで、あしからず。きゅっぷぃ。)
~ 終わり ~
87: 2011/06/13(月) 19:18:00.54
乙 すごくよかった
引用元: マミ&QB「風邪ひいた……」
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