1: 2012/06/25(月) 18:49:09.71 ID:37DyN7110
P「”また”ってなに?日本語おかしくない?」

春香「おかしくないですよ!インパクトがあればそれでいいんです!」

P「…………うん、やっぱりおかしい。全然良くないよ」

春香「でもまた行くつもりなんですよね?」

P「そりゃあ、まぁ……」

春香「私も行きたいです」

P「出た……」

小鳥「ふふ、出ましたね」

春香「私もツーリング行きたいです」

P「はぁ……」

小鳥「春香ちゃんもすっかりバイクにハマっちゃったわね」

春香「はい!だって楽しいんですもの!」

P「……今度行くところは山じゃないぞ」

春香「え?」

P「海だ」

2: 2012/06/25(月) 18:52:25.82
風になってこい!

4: 2012/06/25(月) 18:54:51.50 ID:37DyN7110
春香「う、海ですか?まだ五月ですよ?」

P「泳ぎに行くわけじゃないからな。それでどうする?」

春香「行きます」

小鳥「即断ですね」

P「即決でしたね」

春香「いいですよ……ね?」

P「はぁ……今更だよな。いいよ」

春香「う~!わっほい!」

P「じゃあ早速だけど来週の日曜で」

春香「はい!」

P「午前2時集合で」

春香「はい?」

5: 2012/06/25(月) 18:59:14.15 ID:37DyN7110
プロデューサーさんには、あのツーリングの後も月に一回くらいでバイクに乗せてもらってる。
だけど日が落ちた後に走ったことはほとんど無い。

プロデューサーさん曰く

P「夜のバイクはなにかと危険だからな」

とのこと。


なのにいきなり真夜中のランデブー。

これは……まさか……。

勝手に想像して恥ずかしくなった私はベッドの上でバタ足をしてしまった。


春香「いやいやいや、そんな訳無いじゃん」

冷静になって枕を跳ね除けた。


あのヘタレのプロデューサーさんに、いきなりそこまで進展させる度胸があるワケない。
夜釣りでもしに行くのだろうか?
オジサン嗜好のプロデューサーさんだから、ありえるかもしれない。

でも、でも……もしかしたら?


私はその日ベッドの上を100mは泳いだ。

8: 2012/06/25(月) 19:02:25.03 ID:37DyN7110
春香「む~~……」

しょぼついた目を擦りながら1階に下りた。

お父さんもお母さんもとっくに寝ている。

事前に出かけることは言ってあるけど、起こしたりしたくない。


もっとも

春香父『あぁ、彼なら大丈夫だろ。行ってらっしゃい』

春香母『お土産は海産物ならなんでもいいわよー』

こんな二人だ。多少騒いだところで起きたりしないだろう。

10: 2012/06/25(月) 19:05:10.69 ID:37DyN7110
言われた通りにしっかりと服を着こんで鏡の前に立つ。

モコモコしてるけど、精一杯かわいい服を選んでみた。


一度だけ薄着(と、言っても街中なら十分な格好だ)で行ってしまったことがある。

プロデューサーさんの服を借りたのだけれど、おかげで風邪を引かせてしまった。


春香「うん、これならいいかな」

リボンの色も合わせて準備完了。

持ち物は少ないけどきっちり三回確認してから外に出た。

鍵を忘れたので部屋に帰ってもう一度だけ確認した。

11: 2012/06/25(月) 19:09:21.37 ID:37DyN7110
プロデューサーさんは家から徒歩40秒の場所で立っていた。

春香「……不審者みたいですよ?」

P「大きなお世話だ」


朝の挨拶もそこそこにいつもの私達だ。

春香「そう言えば海ならすぐそこにありますよ?」

私の家は海から近い。

P「じゃあやめるか」

春香「いえいえいえいえいえいえ!」

未練無く立ち去ろうとするプロデューサーさんの裾を引っ張って全力で止めた。

春香「いやー私海好きだから大喜びですよ!名前にも海が入ってますしね!」

P「それは重畳」

春香「……そうやって覚えたばかりの言葉すぐにひけらかすの良くないと思いますよ?
   あ、うそうそ!待ってくださいよー!」


プロデューサーさんは子供っぽいところが多いので時々拗ねてしまうのだ。

いやまぁ今のは私が悪いんだけど。

13: 2012/06/25(月) 19:15:05.46 ID:37DyN7110
プロデューサーさんは近くのコンビニにバイクを止めてきたらしい。

春香「なんでわざわざ?」

P「ん……、ほらバイクってうるさいじゃん。慣れてない人には特に」

春香「あー……」

私も最近になって慣れてしまったけど、たしかに。


P「バイクって世間じゃあんまり良いイメージないからさ」

春香「プロデューサーさんって……」

P「ん?」

春香「意外と神経細いんですね。かなり驚きました。
   
     ……ちょ、ちょっと!全力で走らないでくださいよ!」

ご町内の皆様、早朝からお騒がせしております。ゴメンナサイ。

16: 2012/06/25(月) 19:18:24.70 ID:37DyN7110
大通りに面したコンビニでプロデューサーさんのバイクが待っていた。
ここは割と治安がいいので変な人がたむろしてることは少ない。

もしそんな人がいたら……。
プロデューサーさんがバイクを押してきただろう事は、想像に難くなかった。


今回は言われる前にトイレに行く。

ついでに温かい飲み物を買っておいた。コーヒーと紅茶。

春香「はいどうぞ」

P「お、サンキュー。春香は気が利くな」

春香「どういたしまして」

17: 2012/06/25(月) 19:23:30.84 ID:37DyN7110
プロデューサーさんは一気に飲んでしまった。

私はトイレに行きたくなるといけないのでポケットに突っ込んだ。

缶が温かい。


P「よし、いこうか」

春香「はーい」


何度も乗った私は立派なタンデマーだ。

ヒラリと乗り込む。

春香「ふふふふ」

P「なぜ先に乗ったのかね」

19: 2012/06/25(月) 19:27:37.09 ID:37DyN7110
実はバイクには乗る順番が決まっている。
ライダー→タンデマーの順列は不同で、いかに前衛的であろうとも認められることはない。

無理をすれば出来るのかもしれないけど。


大通りはこんな時間でも車が走っている。
当たり前だけど少し不思議だ。


信号待ちで止まると

P「高速に乗るからニーグリップしっかりな」

春香「はーい」

膝でぎゅっと挟むニーグリップ。
基本である。


というか

春香「高速に乗るんですか?」

P「うん。静岡まで行くからな」

春香「oh……」

がんばれ私の大腿筋。

22: 2012/06/25(月) 19:32:01.15 ID:37DyN7110
高速道路のチケットはどうするんだろうか?

入り口まで差し掛かった辺りで私は気がついた。


発券機の近くまでスルスルと進んで停車。

……普通に取っていた。

プロデューサーさんは上着の中にしまうと、クセなのか後ろを確認してから発車した。

P「加速するぞ」

春香「あ、はい」

プロデューサーさんがわざわざ宣言したのは初めてだ。

いつもの肩と腰では心許ないので、プロデューサーさんのお腹の前でしっかり握り合わせる。

春香「オッケーですよ!」

プロデューサーさんが一つ頷くと、バイクは後ろから蹴飛ばされたかのように加速した。

24: 2012/06/25(月) 19:36:17.09 ID:37DyN7110
コレは凄い。
速度ではなく加速度。
全身をGが押さえつけてくる。

背中に頭をつけてグッとこらえた。

加速度は思い返せば一瞬で、私たちは高速道路の流れの中にいた。
強烈な体験だった。
これもバイクなのだ。

暴力的ともいえる加速度は、バイクの新しい一面を見せてくれた。


春香「うわぁ……」

顔を上げればオレンジ色の外灯はまばゆいほどに道路を照らし出していた。
一瞬で後方に流れていく光は流星を思わせて美しい。

これもプロデューサーさんのおかげなのだろうか?
家族で出かけたときも、ロケバスから見たときも、こんなに綺麗ではなかったはずなのに。

春香「綺麗ですねー!!」

P「何か言ったー!?」

春香「素敵でーす!!」

眠気も溶けて消えてしまった。

27: 2012/06/25(月) 19:40:24.70 ID:37DyN7110
高速道路は山道よりもずっと安全だ。

道路の幅は広く、先も見通しやすい。
カーブのRも大きく緩やかだ。
スピードを出すのは至極容易である。

……はずなのだが。

ヒュン!    シュン!


私達はさっきから追い抜かれてばかりいる。

メーターを見れば100km/hを正確に差したままだ。
ちなみにメーターは240km/hまである。

別にスピード狂ってわけじゃないけども、なんだか悔しい。
本当になんとなくだけど。

プロデューサーさんは追い抜かれるのを全然気にしてないようで、
一番左の車線をマイペースで走ってた。


こんな事で腹を立てた自分が子供っぽく思えた。

照れ隠しに『寒くなってきたから』なんて聞かれてもいない言い訳を用意して、
私はプロデューサーさんにさらにくっついてみた。

広い背中が風をさえぎって、ほんの少し温かくなった。

28: 2012/06/25(月) 19:45:24.64 ID:37DyN7110
高速道路は安全だけどそのぶん単調だ。

流れる景色は綺麗だけど、どこまで行っても同じに見える。

それでも退屈はしなかった。

加速も制御も穏やかで、倒れるんじゃないかってほどのバンクもないけれど、それでもやっぱりバイクは楽しい。


ゴウゴウとうなる風と全身にぶつかってくる空気を、
甲高いエキゾーストを奏でながら、全身で真っ二つに切り裂いていく。

むき出しの体でしがみ付いていると、バイクはロケットみたいだ。


道路にタイヤを擦りつけながら直進直進、また直進。
どこまでも行けそうだった。

この非日常的な感覚は、慣れ親しんだ車からでは得られない。
対向車のライトを数えながらそう思った。


スッと減速が始まる。

ゆっくりと上体を起こし始めた。

ウィンカーを点滅させながらサービスエリアに入った。

29: 2012/06/25(月) 19:48:37.55 ID:37DyN7110
夜のサービスエリアのフードコートはほとんどが閉店してた。

お腹は空いてないのでどうでもよかったけども。


もはや反射ともいえるレベルでリボンを直しながら

春香「なんだか……」

P「廃墟みたい?」

春香「うーん……。とも違うんですけど……」

まとまりのない会話をする。

34: 2012/06/25(月) 19:51:20.18 ID:37DyN7110
人がいないわけではない。

運送業の方や、深夜のドライブを楽しんでる人。

数は多くないもののバイクで来てる人もいた。


P「よっこらせー……」

うらやましい。

念のこもった視線を浴びせて私も座る。

春香「静かですね……」

P「そうだな。感傷的になりそうだ」

春香「プロデューサーさんは意外とロマンチストですからね」

P「バイク乗りは多少の差はあるけどみんなロマンチストなんだよ」

そういうものなのだろうか。

35: 2012/06/25(月) 19:55:18.00 ID:37DyN7110
備え付けのベンチは硬かったけど、背中が伸ばせるのは助かる。

春香「うーん……」

P「うーん……」

二人でネコみたいに大きく伸びた。

春香「プロデューサーさんや」

P「なんだい春香さんや」

春香「どうしてスピード出さないんです?二人乗ってると出ないんですか?」

まだまだバイクに余裕はあったみたいだけど。

P「コイツはそれなりに弄ってあるから二人乗ってても200キロは出るよ。やらないけど」

春香「いえ、最高速に挑戦して欲しいわけじゃないです」

プロデューサーさんの運転技術は信用してるけど、だからと言って最高速チャレンジがしたいわけでもない。

春香「ただドンドン抜かされていくのに平気そうだったから不思議に思って……」

36: 2012/06/25(月) 19:58:31.85 ID:37DyN7110
P「春香は若いなぁ」

春香「はい、若いです」

P「そうだね。俺もそういう時期があったけどさ」

春香「はぁ」

本当にオジサンみたいだ。

P「公道でスピード出しても全然偉くないってことだよ」

春香「それはわかりますけど……」

意外だ。

子供っぽいところのあるプロデューサーさんだからてっきり

P『俺が最速だあああああああ!!』
くらいは言いそうだと思ったのだが。


P「どんなイメージで俺を見てるの?」

外灯が明るすぎて星がよく見えない。北極星はあっちかな?

P「どこ見てるんだ?……学生のころ無茶してな、そっからの経験則」

悔いているような声音だった。

37: 2012/06/25(月) 20:01:25.67 ID:37DyN7110
春香「それって……」

P「おっとあんまりノンビリしてられないな、そろそろ行くぞ?」

春香「はーい」


さっきの話をしてるプロデューサーさんの顔はなんだか苦々しかった。

なにがあったんだろう?


相変わらず私たちは追い抜かされたり、追い越されたりした。


学生のころの無茶。

連想される単語は、事故、怪我、入院……。

どう考えてもいい話ではなさそうだ。


私の知るプロデューサーさんは、
いい加減で、おっちょこちょいで、イジワルで、不器用で、それでちょっと優しい。

春香「イメージ合わないな……」

浮かんだ単語は不吉なものばかりで、どれもプロデューサーさんとはピッタリ合わなかった。

38: 2012/06/25(月) 20:06:08.99 ID:37DyN7110
インターチェンジを降りると、そこは静岡国だった。
世界的に有名な一節を大胆に剽窃して所感を述べてみた。
ちなみに気になっていた料金の支払いは、ビニール袋にピッタリの金額を入れて渡していた。芸が細かい。

海は思ってたよりもずっと近くにあった。
堤防の近くまで行ってバイクを止める。
近くの自販機に私のお気に入りの紅茶が見えた。

春香「潮の匂いですね」

夜の海は静かで、匂いまで落ち着いていた。

P「これでよかったっけ?」

春香「ありがとうございます」

スチール缶を受け取り堤防に並んで腰掛けた。


ザザーン……

            ザザーン……

春香「静かですね」

P「真っ暗だな」

春香「海の音がたくさんしてます」

甘くて熱い紅茶を飲むと体の芯から温まった。

39: 2012/06/25(月) 20:11:25.48 ID:37DyN7110
真っ黒な海を見ていたら、突然意識してしまった。
深夜の海に二人っきり。
誰がなんと言おうとデートだ。

今までのツーリングも、デートと言えばそうなのだが、ここまでムードのあるものじゃなかった。

P「春香」

春香「は、はい!」

イキナリの呼びかけに背筋が伸びた。


これは……来てしまうのか!?

一歩先んじてしまうのか!?


小鳥さんみたいに一足飛びで思考が跳躍した。


P「こっちから切り上げておいてなんだけど、さっきの続きいいかな?」

春香「へ?は、はい!」

私の中の小鳥さんを隅っこにピヨピヨ追いやる。

そういう話ではなさそうだ。

ちょっと残念。少し安心。

40: 2012/06/25(月) 20:16:29.21 ID:37DyN7110
P「やっぱり聞いてもらったほうが言いかなって。バイクが楽しいなら特に」

春香「…………?」

なんだろうか。


プロデューサーさんの事は出来るだけたくさん知りたい。

こういうのも独占欲なのかな。嫉妬深い女になりたくはないんだけど。


P「学生のころにコイツを買ったんだけどね」

プロデューサーさんはバイクの事を絶対に『コレ』と言わない。
大事な人を呼ぶみたく『コイツ』と言う。
さっき言ったばかりでバカみたいだけど、ちょっとだけ嫉妬した。


P「免許取って3ヶ月くらいだったかな。調子に乗ってスピード出しすぎて、大きい事故しちゃったんだ」

春香「事故……ですか」

予想はしていたけど、やっぱりピンとこない。
プロデューサーさんが目の前にいるのも原因なのだろうか。

P「うん。俺は骨折で入院して……、コイツも廃車寸前だったんだ」

ポンポンとタンクを叩く。

42: 2012/06/25(月) 20:21:08.49 ID:37DyN7110
春香「それは……大変でしたね……」

月並みなコメントしか出てこなかった。

P「うん。親も田舎から飛んできてさ、『もうバイクには乗るな!』って、エラい剣幕だったよ」

春香「はい……」

P「俺もなんだかバイクに乗ることが怖くなっちゃって、もういいかなって思ったんだけど……」

プロデューサーさんはバイクを優しく撫でていた。

P「ギブス嵌めたままバイク屋に行ったらさ、コイツがボロボロで……
  何でかわからないけど、泣けてきたんだ」

バイクのエンジンが冷えて音を出している。
まるで生きてるみたいだ。

P「コイツが俺をかばってくれたみたいでね。どうしても……もう一度一緒に走りたくなったんだ」

私の家にも古い車があるからなんとなくわかる。
一度愛着が湧いてしまうと、どんなに古くて壊れても、なんとか直してあげたくなるのだ。

P「幸いなことに本当に大事な部分は異常がなかったから直したんだけど……。
  バイク屋には止められたよ。だって新車を買うほうが安くつくんだもの」

春香「……大事なんですね。そのバイク」

P「うん、俺の相棒だからね」

43: 2012/06/25(月) 20:25:14.63 ID:37DyN7110
相棒
大事な仲間

プロデューサーさんはどこか誇らしげに語った。


春香「バイクに乗るのが怖くなったのは平気だったんですか?」

P「それも現金なものでさ、コイツのエンジンの音聞いたら全部飛んでっちゃった」

春香「ぷっ……、なんですかそれ」


二人でクスクスと笑った。

月明かりを受けてバイクも一緒に笑っていた、なんて言ったら叙情に過ぎるだろうか?

45: 2012/06/25(月) 20:27:59.44 ID:37DyN7110
P「そっからは親を説得して、バイトの量を増やして……、いや~きつかったなー」

苦労話も楽しげだ。

P「『もう無茶な運転はしない!』って約束したけど、そんなもの無くてももうしない。
  色んな人に心配させたし、コイツにも悪いしな」

バイクに語りかけるプロデューサーさんの目はすごく優しかった。

春香「……その割には200キロも出るようになってるんですよね?」

P「それは……その……ロマン……だよ。うん。スピード出すときはサーキットとか行くよ。行ったことないけど」

春香「ふふっ、ロマンチストですものね」

46: 2012/06/25(月) 20:32:21.47 ID:37DyN7110
P「さて……そろそろかな」

ひとしきり話したり笑ったりするとプロデューサーさんは時計を見ながら呟いた。

今日はお開きか。

でもプロデューサーさんの事をまた一つ知ることができたのだから満足です。

春香「じゃあ行きましょうか」

P「え?」

春香「あれ?」

かみ合わない。


P「あぁ、違う違う。あっちだよ」

プロデューサーさんが指差したのは、黒く満ち干きを繰り返す海。

49: 2012/06/25(月) 20:36:26.47 ID:37DyN7110
春香「んー?」

当然何も見えない。



春香「太陽が……」

P「コイツが帰ってきて最初に来たのがここなんだ」


ゆっくりと 

本当にゆっくりと 

朝日が。


力強い。

波が朝日を反射して宝石のように輝きだした。


P「ありきたりだけど、こうやって太陽が昇ってくるのを見てると元気にならない?」

春香「……はい」

51: 2012/06/25(月) 20:41:18.46 ID:37DyN7110
太陽がジリジリと大気を押し上げて、陽光が空に差し込む。

春香「すごく……綺麗です……」

P「うん…………」

目を閉じても光が当たるのがわかる。

P「春香もこうやってみんなを元気に出来るアイドルになろうな。
  俺も一緒にがんばるから。春香ならできるよ、絶対」

春香「はい!」

私は息を大きく吸い込んだ。

肺一杯に潮風が満ちる。

春香「がんばりまーす!!」

青春映画みたいに海に向かって叫んだ。

すごく、気持ちよかった。


日が昇りきるまで太陽と海を眺めていた。

少し陽に焼けたかもしれないけど全然気にならなかった。

53: 2012/06/25(月) 20:45:54.54 ID:37DyN7110
帰りの高速道路では相変わらずの安全運転だ。

ぽかぽかと好い陽気に釣られて、

……私はおひさまにもらった元気を使いたくなった。


緊張する。

昇りゆく朝日を思い浮かべて。

深呼吸を一つ。


プロデューサーさん。

私は  

あなたが


春香「大好きですよー!!!!」


言っちゃった。

組んだ手に力が入った。

54: 2012/06/25(月) 20:46:32.68 ID:37DyN7110
P「えー!?何か言ったー!?」

春香「内緒でーす!!」


やっぱり聞こえてなかった。

ホッと安心。すごく残念。


春香「離れませんよー!!!」

P「しっかり捕まっとけよー!!!」

春香「はーい!!!!」


絶対に離れませんからね?







おしまい

55: 2012/06/25(月) 20:47:26.48 ID:37DyN7110
ありがとうございました

途中で恥ずかしさのあまりに、事故らせようかと割と本気で思いましたが我慢しました

あと投下中に気がついたんですが、前回と基本一緒の流れでしたね  ゴメンナサイ

春香さんのかわいらしさを、少しでも伝える事が出来てたらとても嬉しいです

56: 2012/06/25(月) 20:48:18.90

楽しかったぜ

57: 2012/06/25(月) 20:48:32.94

引用元: 春香「プロデューサーさん!またツーリングですよっ!ツーリング!」