1: 2013/03/05(火) 01:44:18.66 ID:MCbWeid40
―――
部室!
―――

紬「今日はガシューナッツクッキーを焼いてきたの!」

梓「いただきます」ハムハム

紬「どうかな」ワクワク

梓「とっても香ばしくて、甘さもちょうどよくて・・・美味しいです」

紬「やった♪」

紬「まだまだあるからどんどん食べてね!」

梓「はい」ハムハム

紬「・・・」ジー

梓「・・・」ハムハム

紬「・・・」ジー

梓「・・・あの、ムギ先輩?」

紬「どうしたの?」

梓「そんなにジッと見られていたら食べ難いです」

4: 2013/03/05(火) 01:50:22.78 ID:MCbWeid40
梓(ムギ先輩が隠れ食いしているのを知ってからしばらく)

梓(たまにムギ先輩からメールが来るようになりました)

梓(部活が始まるまでの間、お菓子を一緒に食べないかって)

梓(お誘いのメールがあった日は、ダッシュで教室を出て部室に駆けつけます)

梓(最近はムギ先輩お手製のお菓子の日もあるんです)

梓(これがなかなかどうして美味しくて)

梓(私の密かな楽しみになっています)

梓(だけど今日のムギ先輩は少しおかしいような・・・)

5: 2013/03/05(火) 01:50:42.59 ID:MCbWeid40
紬「ごめんなさい。あっち向いてるから」

梓「そうじゃなくて、ムギ先輩も一緒に食べてください」

紬「そ、そうね・・・」カリッ

梓「・・・」ハムハム

紬「・・・」カリッ

梓「・・・あの、ムギ先輩?」

紬「どうかした?」

梓「さっきから全然食べてませんが」

紬「・・・」

梓「あのっ・・・」

紬「ごめんなさい梓ちゃん。私は今あんまり食べられないの」

梓「どうしてですか?」

紬「それは・・・」

7: 2013/03/05(火) 01:51:01.29 ID:MCbWeid40
梓「言い難いことですか?」

紬「・・・うん」

梓「太ったんですね」

紬「・・・」

梓「沈黙は肯定と受け取ります」

紬「・・・・・・うん」

梓「はぁ~。体重なんて気にしなくていいのに・・・」

紬「あ、あずさちゃんには分かりません!!」

梓「・・・」

紬「・・・」

梓「なんだかごめんなさい」

紬「ううん。私が悪いの。だから梓ちゃんは気にせず食べて」

8: 2013/03/05(火) 01:51:15.91 ID:MCbWeid40
梓「・・・そういうわけにはいきません」

紬「どうして?」

梓「・・・」

紬「・・・?」

梓「・・・ムギ先輩に遠慮してしまって楽しく食べられません」

紬「そっか、そうよね・・・」

梓「ムギ先輩。ダイエット始めませんか。私も手伝いますから」

紬「ダイエット? 梓ちゃんが手伝ってくれるの?」

梓「もちろんです」

10: 2013/03/05(火) 01:52:09.81 ID:MCbWeid40
紬「そうねぇ。梓ちゃんが手伝ってくれるならやってみようかしら」

梓「痩せたほうが健康にもいいです。それに・・・」

紬「・・・なぁに?」

梓「私も少し持久力をつけようと思ってたんです。ほら、演奏って体力使いますから」

梓(ムギ先輩と二人で食べたい・・・とはさすがに気恥ずかしくて言えないっ)

紬「持久力をつけるってことは運動するのね!」

梓「そうですね。朝ランニングとかどうでしょう」

紬「・・・う~ん」

梓「どうしました?」

紬「朝かぁ・・・」

梓「もしかして都合悪いですか?」

紬「・・・そういうわけじゃないけど」

11: 2013/03/05(火) 01:53:13.24 ID:MCbWeid40
梓「なら、明日から朝ムギ先輩の家に行きますから、30分ほどランニングしましょう」

紬「え、ええ。それでお願いするわ」

―――
琴吹邸
―――

梓(いつ見ても大きいお家だなー)

梓(ポチッとな)ピンポーン

斎藤「中野様でございますね」

梓「あ、はい」

斎藤「お嬢様はお部屋に居られます。どうぞこちらへ」

―――
部屋前
―――

斎藤「では、ごゆっくりどうぞ」

梓(・・・いっちゃった)

梓(とりあえずノックしてみよう)トントン

梓(・・・反応がない。入ってみよう)ガチャ

14: 2013/03/05(火) 01:54:32.53 ID:MCbWeid40
梓(・・・)キョロキョロ

梓(あっ、ベッドで寝てる)

ジリジリジリジリ

梓(!?)

梓(・・・目覚ましですか)

梓(大きな音が鳴ってるのに全然起きる気配がない・・・)

梓(ムギ先輩って意外と朝弱いのかも)

梓(朝ランニングの話をしたときも反応が悪かったし)

梓(ふむふむ・・・)

紬「すーすー」

梓(後輩がきたのにぐっすり眠ってるとは・・・)

紬「すーすー」

梓(ちょっと鼻をつまんでみよう)

紬「すー。・・・・・・・・・」

15: 2013/03/05(火) 01:54:59.35 ID:MCbWeid40
梓(あれ・・・)

紬「・・・」

梓(口から息してない? 呼吸がとまってる?)

紬「・・・」

梓「む、むぎせんぱい!!!!!」

紬「・・・! ぜーーー!! はーーー! はーー!!!」

梓「大丈夫ですか、ムギ先輩」

紬「ぜーーー!! はーーー! あ、あすさしゃん!?」

梓「ごめんなさいムギ先輩、実は」

――――
梓説明中
――――

紬「つまり、鼻を塞いだら、息が止まったと」

梓「はい。すいませんでした」

16: 2013/03/05(火) 01:55:35.42 ID:MCbWeid40
紬「許してあげるけど、次からはもっと優しく起こしてね」

梓「///」

紬「梓ちゃん?」

梓「は、はいっ」

紬「どうして赤くなったの?」

梓「気のせいです」

梓(言えません! 優しく起こす妄想をして赤くなったなんて言えませんっ!!)

紬「じゃあ私着替えるね」

梓「あっ、はい」

紬「・・・」

梓「・・・」ジー

17: 2013/03/05(火) 01:56:07.92 ID:MCbWeid40
紬「梓ちゃん。そんなジッと見られていると着替えにくいのだけど」

梓「ご、ごめんなさい。私廊下で待ってます」

紬「そ、そこまでしなくてもいいわ。女同士なんだから」

梓「そ、そうですよね。女同士ですもん」

紬「え、ええ・・・」

梓「・・・」

紬「・・・」ヌギヌギ

梓「・・・//」ポーッ

紬「・・・//」ヌギヌギ

梓「・・・//」ポーッ

紬「終わったわ//」

梓「それじゃあ行きましょうか//」

紬「ええ//」

19: 2013/03/05(火) 01:56:36.63 ID:MCbWeid40
―――
公園!
―――

梓「いい天気で良かったです」

紬「晴れててもちょっと寒いけど」

梓「そうですね。準備体操は念入りにやりましょう」

紬「うん!」

梓「いちにっさんしー」

紬「にいにっさんしー」

梓「いちにっさんしー」

紬「にいにっさんしー」

20: 2013/03/05(火) 01:57:04.86 ID:MCbWeid40
梓「あっ、ムギ先輩背中を向いてくれますか」

紬「こう?」

梓「はい。それで手をあげて」

紬「うん・・・あっ」

梓「じゃあその手を引っ張ってくれますか?」

紬「あれね! 背中の上に乗る奴!」

梓「はい」

紬「えいっ!」ギュッ

梓「あわわ・・・浮いてます」

紬「浮いちゃ駄目なの?」

梓「・・・たぶん」

憂「呼んだ?」

紬・梓「えっ」

22: 2013/03/05(火) 01:57:48.08 ID:MCbWeid40
憂「おはようございます紬さん、梓ちゃん」

梓「なんで憂がここに・・・」

憂「私も公園にランニングしにきたんだよー」

紬「へぇ~・・・」

紬(憂ちゃんもダイエット)コソコソ

憂(・・・それもあります)コソコソ

紬(それも・・・?)コソコソ

憂「実はお姉ちゃんの付き合いできたんです」

憂「今度ボーカルやるから肺活量増やさなきゃって」

23: 2013/03/05(火) 01:58:11.50 ID:MCbWeid40
梓「あの唯先輩が・・・」ジーン

紬「そうだ。みんなで一緒に走りましょうか」

憂「う~ん」ジー

梓「どうしたの? 憂」

憂「今日はやめておきましょう。お互い邪魔になるといけないので」

紬「・・・そうね」

梓「どういうことですか?」


唯『うい~どこ~~?』


憂「お姉ちゃんが呼んでる。じゃあね梓ちゃん、紬さん」

紬「ええ、唯ちゃんによろしく」

24: 2013/03/05(火) 01:58:29.00 ID:MCbWeid40
梓「・・・」

紬「梓ちゃん?」

梓「お互い邪魔ってどういうことでしょうか?」

紬「う~ん。憂ちゃんは唯ちゃんとデートしたかったってことじゃないかしら」

梓「・・・えっ。でもあの二人、いつも家では一緒ですよね」

紬「ええ家の中ではそうね。だからこそ、外で二人きりになりたかったんじゃない」

梓「なるほど」

紬「さて、私達も走りましょうか」

梓「はい」

26: 2013/03/05(火) 01:59:03.81 ID:MCbWeid40
梓(私たちは公園の外周を30分ぐらい走りました)

梓(朝の冷たい空気はとても美味しくて)

梓(髪を揺らしながら走るムギ先輩は、いつもより少しだけ綺麗に見えました)

27: 2013/03/05(火) 01:59:31.00 ID:MCbWeid40
紬「そろそろ時間かしら」

梓「そうですね。これ以上公園にいたら遅刻しちゃいます」

紬「あのね、梓ちゃん」

梓「どうしました?」

紬「明日からも続ける?」

梓「えっと・・・ムギ先輩さえよければ」

紬「そっ、そうなの!」

梓「あっ、やっぱり嫌でしたか?」

紬「ううん。逆! 朝から梓ちゃんといられてとっても嬉しいなって!」

梓「・・・//」

紬「梓ちゃん。これからもよろしくね♪」

29: 2013/03/05(火) 02:00:00.22 ID:MCbWeid40
梓(それから毎日)

梓(朝早くムギ先輩の家を訪ねて)

梓(眠っているムギ先輩を起こして)

梓(公園へ行って走る)

梓(そんな日常がはじまりました)



梓(三週間後――)

30: 2013/03/05(火) 02:00:52.03 ID:MCbWeid40
―――
琴吹邸
―――

紬「・・・」ドキドキ

梓「・・・」ドキドキ

紬「緊張するね・・・」

梓「はい・・・」ゴクリ

紬「・・・えいっ!」

梓「・・・」チラッ

紬「・・・」チラッ

梓「・・・これは」

紬「梓ちゃん!」

梓「はい、はい。やっと・・・」

紬「目標体重に届いた!!」

梓「はい、です!」

33: 2013/03/05(火) 02:01:33.88 ID:MCbWeid40
紬「さっそく明日、二人だけでティータイムをしましょう」

梓「いいですね」

紬「それじゃあ今からお菓子を作らないと・・・」

梓「それなら・・・」

紬「どうしたの?」

梓「私も手伝っていいですか」

紬「えっ、でも悪いわ」

梓「いいんです、私が手伝いたいんですから」

紬「そう? ならお願いします♪」

梓「はい、お任せください♪」

36: 2013/03/05(火) 02:02:40.58 ID:MCbWeid40
紬「うふふ、でもこれでランニングが終わっちゃうと思うとちょっと寂しいね」

梓「それなんですが・・・よかったら続けませんか」

紬「梓ちゃん?」

梓「楽器の演奏って力がいりますし、私もいつかボーカルをやる日が・・・」

紬(梓ちゃんのボーカルって・・・)

梓「あっ、今、失礼なこと考えましたね」

紬「ご、ごめんなさい」

梓「・・・まぁ、いいです。そのかわり明日からも付き合ってもらいます」

紬「はい、喜んで♪」

梓「リバウンドも怖いですし」

紬「・・・むっ」ペチッ

梓「あ痛っ!」

37: 2013/03/05(火) 02:03:44.59 ID:MCbWeid40
梓(そんなこんなで次の日もムギ先輩を起こして)

梓(公園で一緒に走って)

梓(それから学校へ行きました)

梓(お昼御飯を食べてる途中にメールがきました)

梓(お昼休みにこっそりティータイムしようというお誘いのメール)


純「梓」

梓「わっ! 急に声かけないでよ」

純「いや~、ね。にやけた顔でメールしてるから何かなと思って」

憂「純ちゃん。梓ちゃんもそういうお年ごろなんだよ」

純「へ~」

梓「そ、そんなんじゃ・・・」

純「ない?」

梓「もうっ! 純には関係ない話でしょ」

39: 2013/03/05(火) 02:04:28.17 ID:MCbWeid40
梓(二人に誂われながらお弁当を食べ終えた私は、部室に向かいました)

梓(部室には既にムギ先輩がいました)

梓(だけどムギ先輩は・・・)

―――
―――

―――

唯「りっちゃん隊員、報告お願いします」

律「ぴー。こちら律。ターゲットは部室にいる模様」

唯「ぴー。引き続き監視をお願いします」

澪「ムギがコソコソしてたからついてきたわけだが・・・おまえらは何をしてるんだ」

律「なにって・・・ナニ?」

唯「ムギちゃん追跡任務を実行中なんだよ!」

律「だ、そうだ」

澪「はぁ・・・」

40: 2013/03/05(火) 02:04:47.91 ID:MCbWeid40
澪「それでムギは・・・」

唯「おお、これは・・・」

律「ああ・・・」

澪「そっとしておこう」

唯・律「・・・うん」

澪「ふたりとも、よい夢を――」



紬・梓「zzz」



おしまいっ!

42: 2013/03/05(火) 02:05:29.30

短くまとまってていいね

44: 2013/03/05(火) 02:06:38.16

引用元: 梓「ムギ先輩減量計画!」