1: 2020/05/18(月) 13:34:11.513 ID:oLaXJ7U60
ワイ、30手前のリーマン
家賃3万5千の1DKで半年前から一人暮らし
ペットはいない
彼女もいない

4: 2020/05/18(月) 13:35:02.393 ID:oLaXJ7U60
ワイ「アシダカグモさんですか?」

アシダカさん「・・・はい。・・・そうです。・・・よく・・・ご存じですね。」

ワイ「Gの狩人として有名ですから。」

アシダカさん「・・・そうなんですか。あのう・・・。」

ワイ「何ですか?」

5: 2020/05/18(月) 13:35:47.963 ID:oLaXJ7U60
アシダカさん「・・・私のこと、怖くないんですか?」

ワイ「いえ、姿を見る分には別に。どうして?」

アシダカさん「・・・人によっては私たちのことを怖がりますから。ひどい時は駆除されそうになる時もあるので・・・。」

ワイ「ああ、まあ、苦手な人はそうでしょうね。僕もさっき少しだけ驚きました。」

アシダカさん「・・・よかった。あなたが私のことを怖がらない人で・・・。」

7: 2020/05/18(月) 13:36:42.602 ID:oLaXJ7U60
ワイ「クモ全般が益虫ですし。ましてや、Gの駆除してくれるなんて、これほどありがたいことはないですよ。」

アシダカさん「人間さんはなぜ、Gさんが嫌いなんですか?」

ワイ「うーん?何ででしょうね?形?フォルム?」

アシダカさん「私も似たようものものだと思うんですけど・・・。」

ワイ「いやいや、それでもGよりはマシですよw」

アシダカさん「・・・ありがとうございます。」

8: 2020/05/18(月) 13:37:30.660 ID:oLaXJ7U60
ワイ「この部屋にいてもいいですよ。不法侵入者のGの駆除してくれるのはありがたいですし。」

アシダカさん「・・・私も不法侵入者ですけど・・・。」

ワイ「家主の僕が許可すれば、同居人ですよ。」

アシダカさん「・・・ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、この部屋のGさんがいなくなるまで、居させてもらいます。」

ワイ(しかし、僕の部屋、アシダカグモが赴任してくるくらい、Gの巣窟になっとるんかな?部屋はまあ、散らかってるし、汚い方だけど・・・。)

9: 2020/05/18(月) 13:38:17.348 ID:oLaXJ7U60
ワイ「それじゃあ、僕はもう寝ますんで。」

アシダカさん「え?あ、そうですか。おやすみなさい。」

ワイ「おやすみなさい。」

電気を消し、布団に入るワイ。

・・・・・・・・

カサカサ

10: 2020/05/18(月) 13:38:52.862 ID:oLaXJ7U60
ワイ「・・・」

カサカサカサカサ

ワイ「・・・あの・・・。」

カサカサ

ワイ「あの、アシダカさん?」

アシダカさん「・・・はい?」

11: 2020/05/18(月) 13:39:40.302 ID:oLaXJ7U60
ワイ「僕、そろそろ寝たいんで、動くのやめてもらえます?」

アシダカさん「・・・すいません。夜行性なので・・・。」

ワイ「だったら、向こうのキッチンのあたりに行ってもらえますか?」

アシダカさん「・・・ご迷惑でしたか?」

ワイ「見る分にはいいけど、動き回られるのはちょっと・・・。」

アシダカさん「・・・分かりました。・・・ごめんなさい。」

ワイ「いえ、申し訳ないけど・・・。」

12: 2020/05/18(月) 13:40:21.441 ID:oLaXJ7U60
なんとなく、気まずい空気になりながら、アシダカさんをダイニングの方に移動させ、再び布団に入った。
しかし、中々寝付けず、水を飲みに2時頃キッチンの方に行く。

ワイ「ん?アシダカさん、どこ行ったんだ?」

部屋の引き戸の前に居たのに、どこにも見当たらなかった。

13: 2020/05/18(月) 13:40:59.687 ID:oLaXJ7U60
ワイ「おーい。アシダカさん?」

ワイ「外に出て行ったのかな?」

ふと、玄関のあたりに目を移すと、アシダカさんがはじっこで大人しくしていた。

14: 2020/05/18(月) 13:42:02.338 ID:oLaXJ7U60
ワイ「そんなところに居なくてもいいのに。」

アシダカさん「・・・いえ、ここで・・・いいです。」

ワイ「・・・」

そんなアシダカさんが気になりつつ、再び布団に入った。

翌朝、アシダカさんの姿が見当たらなかった。

15: 2020/05/18(月) 13:42:38.387 ID:oLaXJ7U60
気を悪くして、どこかに行ってしまったのだろうか?せっかくGに遭遇する機会も増えてきたから、うちの部屋に赴任してきたのはありがたかったのになぁ。

などと、少し残念に思いながら、会社に行った。

その日の夜。

16: 2020/05/18(月) 13:43:21.650 ID:oLaXJ7U60
ワイ「ちと、喉乾いたな。なんか飲むか。」

G1「フェッフェッフェッ。今日はこの辺ウロウロしてやるぜぇ。」

ワイ「あ、G!」

G1「フェッフェッフェッ。やべぇ、ヒトカスに見つかっちまった。」

ワイ「この!この!これでも喰らえ。」

G1「フェッフェッフェッ。焼酎なんぞ、効くもんかい。」

ワイ「ちくしょう。逃げやがった。Gにアルコールが効くって聞いたから、甲類焼酎買ってきたけど、アルコール度低すぎて効かねぇのかな?」

17: 2020/05/18(月) 13:44:04.570 ID:oLaXJ7U60
さらに、別の日。

G2「オヒョヒョヒョ。今日は玄関のドアを歩き回ってやるわ。」

ワイ「あ、また別のGが・・・!コイツ!」

G2「オヒョヒョヒョ。おいおい冷てぇじゃねかよ。」

ワイ「くっそー。また洗濯機の下に逃げ込みやがって・・・。」

やっぱり、アシダカさんがいてくれればなぁ。
そう思い始めたまた別の日。

18: 2020/05/18(月) 13:45:14.389 ID:oLaXJ7U60
ワイ「さて、そろそろ寝るか。水だけ飲んどくか。あれ?」

アシダカさん「・・・・・・こんばんは。」

ワイ「アシダカさん!姿が見えないから、出て行っちゃったかと思いましたよ。」

アシダカさん「いえ、あの、悪いとは思いながら、物陰とかにいました・・・。すいません。」

ワイ「いや、謝らなくてもいいですけど、悪いとは思いながらもって?」

アシダカさん「・・・私のこと、お嫌いなようですから・・・。」

ワイ「へ?」

19: 2020/05/18(月) 13:46:08.724 ID:oLaXJ7U60
アシダカさん「・・・ダイニングの方に行ってくれって・・・。」

ワイ「ああ、あれは動き回られる音が気になるのと、布団とかに入られて、寝返りとかうった時にアシダカさんを潰してしまいそうだから、そう言っただけですよ。」

アシダカさん「じゃ、じゃあ、私ここに居てもいいんですか?」

ワイ「もちろんですよ。ぜひ、ここのGを全て駆除するまでいてください。」

アシダカさん「あ、ありがとうございます。」

ワイ「あ、でも、部屋にはなるべく入らないでくださいね。」

アシダカさん「はい、気を付けます。でも・・・。」

20: 2020/05/18(月) 13:46:58.825 ID:oLaXJ7U60
ワイ「でも?」

アシダカさん「私、あまり目が見えないもので・・・。」

ワイ「そうなんですか?じゃあ、部屋にいたときは音とかで誘導させた方がいいんですかね?」

アシダカさん「は、はい。お手数かけますけど、よろしくお願いします・・・。」

22: 2020/05/18(月) 13:47:46.288
孤独のあまり精神を狂わせてしまった哀れな現代人の像

23: 2020/05/18(月) 13:47:59.088 ID:oLaXJ7U60
そのまた別の日。
G3「ケケケケ。お、ヒトカスやんけ。」

ワイ「あ、またGかよ。しかも、天井近くの壁なんかいやがって・・・。」

G3「ケケケケ。そういきり立つなや。仲良くやろうぜ。」

ワイ「お前らなんかと仲良くできるか。それより、お前らこの部屋から引っ越し考えとけよ。」

G3「ケケケケ。なんだよ、それ。脅しのつもりか?ケケケケ。」

25: 2020/05/18(月) 13:51:52.485 ID:oLaXJ7U60
それから1か月後、Gどもの姿を見なくなった。

会社に行くときや外出するときに「それじゃあ、アシダカさん行ってくるよ。」、帰った時に「ただいま。アシダカさん。」と言うようになった。

恥ずかしがり屋のアシダカさんは声も出さないし、姿も見せない。姿も忘れた頃に見せてくれる程度。

ただ、クモ相手とはいえ、「行ってきます。」「ただいま。」を言えることが、これだけ嬉しいことだとは思わなかった。傍から見れば奇妙かもしれないが・・・。

アシダカさんは今の間しかいてくれないのかもしれないが、今だけでも同居してくれるのが本当に有難い。

次はペット可のアパートに越して、猫でも飼ってみたいと思うようになった。

が、

ムカデ「こ・ん・に・ち・わ・・・。」

ワイ「ムカデは無理!」

おわり。

26: 2020/05/18(月) 13:57:13.573
感動した

27: 2020/05/18(月) 14:00:36.380
行ってきますとただいまが言える場所があるって大事だよな…

28: 2020/05/18(月) 14:23:50.698
Gは素手で潰せる
軍曹は無理マジ無理
大の大人が悲鳴あげる

ムカデは適当なもので殴って頃す

引用元: ワイ「・・・・・・こんばんは。」アシダカさん「・・・・・・こんばんは。」