1: 2021/03/27(土) 18:30:22.276 ID:yZIbiwmI0
母「お願いです! やめて下さい!」
大男「うるせえ!」バキッ!
母「きゃっ!」ドサッ…
少年「ママーッ!」
少女「うえぇぇぇぇぇん!」
大男「こりゃあ上質なガキどもだ。高く売れるぜ。ボスもお喜びになる!」
大男「よし、こいつらさらってとっととずらかるぞ!」
手下A「へい!」
手下B「へい!」
大男「うるせえ!」バキッ!
母「きゃっ!」ドサッ…
少年「ママーッ!」
少女「うえぇぇぇぇぇん!」
大男「こりゃあ上質なガキどもだ。高く売れるぜ。ボスもお喜びになる!」
大男「よし、こいつらさらってとっととずらかるぞ!」
手下A「へい!」
手下B「へい!」
2: 2021/03/27(土) 18:34:38.612 ID:yZIbiwmI0
『悪魔を生みし者』
【 PART1 紳士からの依頼 】
―美術館―
紳士「ご足労ありがとうございます、ミスター・エルフ13」
エルフ13「絵を見たまま話してもらおう……」
紳士「これは失礼」
エルフ13「用件を聞こうか……」
紳士「この絵は……“楽しく遊ぶ子供達”を描いたものですが、今この国ではこんな光景はまさに絵空事となっています」
紳士「我が国では現在、子供を狙った誘拐が横行しています」
紳士「路上暮らしの子供達はもちろん、ちゃんと両親のいる子供達までもが」
紳士「悪質なグループに狙われ、奴隷として売りさばかれているのです……」
エルフ13「…………」
【 PART1 紳士からの依頼 】
―美術館―
紳士「ご足労ありがとうございます、ミスター・エルフ13」
エルフ13「絵を見たまま話してもらおう……」
紳士「これは失礼」
エルフ13「用件を聞こうか……」
紳士「この絵は……“楽しく遊ぶ子供達”を描いたものですが、今この国ではこんな光景はまさに絵空事となっています」
紳士「我が国では現在、子供を狙った誘拐が横行しています」
紳士「路上暮らしの子供達はもちろん、ちゃんと両親のいる子供達までもが」
紳士「悪質なグループに狙われ、奴隷として売りさばかれているのです……」
エルフ13「…………」
3: 2021/03/27(土) 18:37:32.127 ID:yZIbiwmI0
紳士「奴隷として売られた子供達の末路は悲惨なものです」
紳士「過酷な労働を強要され命を落としたり、慰み者にされたり……」
紳士「中には洗脳教育を施され、職業犯罪者にされてしまう子供もいるのです」
紳士「売る人間が許せないのはもちろんですが、買う方もまた……」
エルフ13「あんたはこの国の奴隷事情を講義するために俺を呼び出したのか……?」
紳士「あっ、これは失礼しました! さっそく本題に入りましょう!」
紳士「過酷な労働を強要され命を落としたり、慰み者にされたり……」
紳士「中には洗脳教育を施され、職業犯罪者にされてしまう子供もいるのです」
紳士「売る人間が許せないのはもちろんですが、買う方もまた……」
エルフ13「あんたはこの国の奴隷事情を講義するために俺を呼び出したのか……?」
紳士「あっ、これは失礼しました! さっそく本題に入りましょう!」
4: 2021/03/27(土) 18:45:36.415 ID:yZIbiwmI0
紳士「私は商売で成功を収め、そういった子供達を救うため≪チャイルドガーディアン≫という会を立ち上げました」
紳士「しかし、成果は乏しいというのが実情です」
紳士「特権階級にも子供の奴隷を愛玩してる者は多く、国家権力の協力も得にくいですしね」
紳士「ですが、このたびついに特に悪質な奴隷商人を突き止めることに成功しました」
紳士「子供をあらゆる手段で誘拐しては売りさばいているという……まさに血も涙もない“悪魔”です」
紳士「この男が生きている限り、子供達は安心して大人になれません」
紳士「あなたにはこの奴隷商人を始末して頂きたい!」
エルフ13「…………」
紳士「しかし、成果は乏しいというのが実情です」
紳士「特権階級にも子供の奴隷を愛玩してる者は多く、国家権力の協力も得にくいですしね」
紳士「ですが、このたびついに特に悪質な奴隷商人を突き止めることに成功しました」
紳士「子供をあらゆる手段で誘拐しては売りさばいているという……まさに血も涙もない“悪魔”です」
紳士「この男が生きている限り、子供達は安心して大人になれません」
紳士「あなたにはこの奴隷商人を始末して頂きたい!」
エルフ13「…………」
5: 2021/03/27(土) 18:47:35.745 ID:yZIbiwmI0
エルフ13「標的(ターゲット)について……分かってることは?」
紳士「奴は拠点を転々としているのですが、現在はある山小屋をアジトにしています」
紳士「子供達もそこに監禁されているものと思われます」
紳士「ある程度人数が集まったら、闇のマーケットでまとめて売りさばくのでしょう」
紳士「一度売られてしまったら、もはや子供達を救うのは不可能です」
紳士「ですから、なんとしてもそれまでにお願いしたい」
紳士「報酬はすでにキャッシュで用意しております」
エルフ13「分かった……やってみよう……」
紳士「おおっ!」
紳士「奴は拠点を転々としているのですが、現在はある山小屋をアジトにしています」
紳士「子供達もそこに監禁されているものと思われます」
紳士「ある程度人数が集まったら、闇のマーケットでまとめて売りさばくのでしょう」
紳士「一度売られてしまったら、もはや子供達を救うのは不可能です」
紳士「ですから、なんとしてもそれまでにお願いしたい」
紳士「報酬はすでにキャッシュで用意しております」
エルフ13「分かった……やってみよう……」
紳士「おおっ!」
7: 2021/03/27(土) 18:49:34.598 ID:yZIbiwmI0
紳士「あの“悪魔”さえ倒せば……大勢の子供達が救われるでしょう……」
紳士「うっ、うっ、うっ……」
エルフ13「…………」
…………
……
紳士「うっ、うっ、うっ……」
エルフ13「…………」
…………
……
8: 2021/03/27(土) 18:52:44.410 ID:yZIbiwmI0
【 PART2 “悪魔” 】
―山小屋―
大男「ボス、新しいガキを仕入れてきました」
奴隷商人「ご苦労」
大男「さっそく品定めを」
奴隷商人「どれどれ……」
少年「く、くそっ……!」
少女「うええええん……!」
―山小屋―
大男「ボス、新しいガキを仕入れてきました」
奴隷商人「ご苦労」
大男「さっそく品定めを」
奴隷商人「どれどれ……」
少年「く、くそっ……!」
少女「うええええん……!」
9: 2021/03/27(土) 18:55:10.215 ID:yZIbiwmI0
奴隷商人「ほう……どちらもなかなかの上物だ」
奴隷商人「それぞれ10万Gぐらいの値はつくかもな。そうしたらボーナスをくれてやる」
大男「ありがとうございます!」
奴隷商人「どれ、もっとよく顔を見せてみろ」グイッ
少年「ペッ!」
奴隷商人「!」ビチャッ
少年「クズ野郎! さっさと殺せ!」
奴隷商人「ククク……いい味だ」ベロン
少年「…………!」
奴隷商人「それぞれ10万Gぐらいの値はつくかもな。そうしたらボーナスをくれてやる」
大男「ありがとうございます!」
奴隷商人「どれ、もっとよく顔を見せてみろ」グイッ
少年「ペッ!」
奴隷商人「!」ビチャッ
少年「クズ野郎! さっさと殺せ!」
奴隷商人「ククク……いい味だ」ベロン
少年「…………!」
10: 2021/03/27(土) 18:57:32.175 ID:yZIbiwmI0
奴隷商人「イキのいいガキだ……。昔の自分を思い出す」
奴隷商人「俺は商品を傷つけるような愚かなことはしない。二人とも丁重に閉じ込めておけ」
大男「分かりました!」
奴隷商人「こういうガキがどんな地獄に落ちるか、実に楽しみだよ……」ベロンベロン
大男「さあ、来い!」
少年(なんだこいつ……! 絵本に登場する悪魔みたいなやつだ……!)
奴隷商人「俺は商品を傷つけるような愚かなことはしない。二人とも丁重に閉じ込めておけ」
大男「分かりました!」
奴隷商人「こういうガキがどんな地獄に落ちるか、実に楽しみだよ……」ベロンベロン
大男「さあ、来い!」
少年(なんだこいつ……! 絵本に登場する悪魔みたいなやつだ……!)
11: 2021/03/27(土) 19:00:19.487 ID:yZIbiwmI0
大男「この中に入ってろ! 大人しくしてねえとブッ頃すからな!」
少年「くっ!」
少女「きゃあっ!」
子供A「また……新しい子か……」
子供B「かわいそうに……」
子供C「ぼくたち、みんなどこかに売られるんだよ……」
少年「…………!」
少年(誰か……。誰かぼくたちを、みんなを助けて……!)
少年「くっ!」
少女「きゃあっ!」
子供A「また……新しい子か……」
子供B「かわいそうに……」
子供C「ぼくたち、みんなどこかに売られるんだよ……」
少年「…………!」
少年(誰か……。誰かぼくたちを、みんなを助けて……!)
12: 2021/03/27(土) 19:03:12.652 ID:yZIbiwmI0
見張りをする手下たち。
手下A「火ィあるか?」
手下B「おう」シュボッ
手下A「サンキュー」スパー…
手下A「しっかし、ボスは恐ろしい人だ。よくもまあ、あそこまでガキどもを商品扱いできるもんだ」
手下A「この俺ですら多少の情は湧いちまうってのによ」
手下B「お前知らないのか?」
手下B「実はボスも……昔は奴隷として売り飛ばされたんだぜ」
手下A「マジかよ!」
手下A「火ィあるか?」
手下B「おう」シュボッ
手下A「サンキュー」スパー…
手下A「しっかし、ボスは恐ろしい人だ。よくもまあ、あそこまでガキどもを商品扱いできるもんだ」
手下A「この俺ですら多少の情は湧いちまうってのによ」
手下B「お前知らないのか?」
手下B「実はボスも……昔は奴隷として売り飛ばされたんだぜ」
手下A「マジかよ!」
13: 2021/03/27(土) 19:06:23.391 ID:yZIbiwmI0
手下B「ガキの頃親に売られて、それはもう悲惨な子供時代だったらしい」
手下B「だからあの人がガキどもに情をかけるなんてありえないんだよ」
手下B「むしろ、この世のガキども全てを自分と同じ目にあわせてやるなんて思ってるフシまであるぜ」
手下A「なるほど、そういうことだったか……」
手下B「おっと、この話は内緒な。こんなこと話したなんて聞かれたら、俺まで殺されちまう!」
手下A「分かってるよ」
手下A「……ちょっと小便行ってくる」
手下B「おう、ここは任せとけ」
手下B「だからあの人がガキどもに情をかけるなんてありえないんだよ」
手下B「むしろ、この世のガキども全てを自分と同じ目にあわせてやるなんて思ってるフシまであるぜ」
手下A「なるほど、そういうことだったか……」
手下B「おっと、この話は内緒な。こんなこと話したなんて聞かれたら、俺まで殺されちまう!」
手下A「分かってるよ」
手下A「……ちょっと小便行ってくる」
手下B「おう、ここは任せとけ」
14: 2021/03/27(土) 19:09:18.254 ID:yZIbiwmI0
手下B「…………」
手下B「あいつ、おせえな……」
手下B「まさか、サボってるんじゃ……」
手下B「おーい……」ガサゴソ…
手下B「ん? なんだこりゃ……」
手下B「あいつの氏体……!? 額に矢が突き刺さって――」
手下B「誰かっ!」
ヒュッ ビシッ!
手下B「あいつ、おせえな……」
手下B「まさか、サボってるんじゃ……」
手下B「おーい……」ガサゴソ…
手下B「ん? なんだこりゃ……」
手下B「あいつの氏体……!? 額に矢が突き刺さって――」
手下B「誰かっ!」
ヒュッ ビシッ!
15: 2021/03/27(土) 19:12:12.932 ID:yZIbiwmI0
ガンガンガン! ガンガンガン!
奴隷商人「なんだ?」
大男「敵襲のようです!」
奴隷商人「国の兵士どもか?」
大男「いや、国の上層部が今さら俺らを狙うとは考えにくい……」
大男「おそらく≪チャイルドガーディアン≫の連中かと。ガキどもを奪還しに来たんでしょう」
奴隷商人「あの偽善者集団か……とっとと片付けろ!」
大男「お任せを!」
奴隷商人「なんだ?」
大男「敵襲のようです!」
奴隷商人「国の兵士どもか?」
大男「いや、国の上層部が今さら俺らを狙うとは考えにくい……」
大男「おそらく≪チャイルドガーディアン≫の連中かと。ガキどもを奪還しに来たんでしょう」
奴隷商人「あの偽善者集団か……とっとと片付けろ!」
大男「お任せを!」
16: 2021/03/27(土) 19:14:17.990 ID:yZIbiwmI0
大男「野郎ども!」
手下達「へい!」
大男「襲撃だ! ≪チャイルドガーディアン≫がガキを取り戻しに来たと考えられる!」
大男「返り討ちにして、俺たちの恐ろしさをたっぷり味わわせてやりなァ!」
ワァァァァ… ドドドドド…
大男「いざという時は頼むぞ。高い金払ってんだ」
弓使い「フッ……俺の矢ですぐ仕留めてやるさ」
手下達「へい!」
大男「襲撃だ! ≪チャイルドガーディアン≫がガキを取り戻しに来たと考えられる!」
大男「返り討ちにして、俺たちの恐ろしさをたっぷり味わわせてやりなァ!」
ワァァァァ… ドドドドド…
大男「いざという時は頼むぞ。高い金払ってんだ」
弓使い「フッ……俺の矢ですぐ仕留めてやるさ」
17: 2021/03/27(土) 19:18:06.657 ID:yZIbiwmI0
【 PART3 激突 】
手下C「敵はどこだ!? ――どこにいやがる!?」
ビシッ!
手下C「ぐあっ……!」
手下D「こんな奴とどう戦えばいいんだ……!」
ビシッ!
手下D「ぎゃっ……!」
手下C「敵はどこだ!? ――どこにいやがる!?」
ビシッ!
手下C「ぐあっ……!」
手下D「こんな奴とどう戦えばいいんだ……!」
ビシッ!
手下D「ぎゃっ……!」
18: 2021/03/27(土) 19:18:35.929
安心感がすごい
20: 2021/03/27(土) 19:19:18.880
渋いエルフだな
21: 2021/03/27(土) 19:21:29.889 ID:yZIbiwmI0
手下E「大変です! 仲間が次々矢に射抜かれて……」
弓使い「敵は狙撃手(スナイパー)らしいな。だったら俺に任せとけ。弓には弓だ」
手下E「おおっ、あんたがいりゃ百人力だ」
弓使い「ただし、まずは敵をおびき出さなきゃ始まらねえ……」
弓使い「お前、そこらへんを歩いて、わざと敵に狙われろ」
手下E「えっ、そんなことしたら俺が……」
弓使い「心配すんな。敵がお前を狙う瞬間、俺の矢がそいつを射抜く。お前が氏ぬことはねえ」
手下E「それなら安心だ! 頼みますよ、弓使いさん!」
弓使い「敵は狙撃手(スナイパー)らしいな。だったら俺に任せとけ。弓には弓だ」
手下E「おおっ、あんたがいりゃ百人力だ」
弓使い「ただし、まずは敵をおびき出さなきゃ始まらねえ……」
弓使い「お前、そこらへんを歩いて、わざと敵に狙われろ」
手下E「えっ、そんなことしたら俺が……」
弓使い「心配すんな。敵がお前を狙う瞬間、俺の矢がそいつを射抜く。お前が氏ぬことはねえ」
手下E「それなら安心だ! 頼みますよ、弓使いさん!」
23: 2021/03/27(土) 19:24:20.155 ID:yZIbiwmI0
手下E「…………」スタスタ
手下E「…………」キョロキョロ
手下E(俺を狙え! 俺を撃とうとした時がお前の最後だ!)
ヒュッ!
ビシッ!
手下E「がっ……!」ドサッ
弓使い(見えた!)
手下E「…………」キョロキョロ
手下E(俺を狙え! 俺を撃とうとした時がお前の最後だ!)
ヒュッ!
ビシッ!
手下E「がっ……!」ドサッ
弓使い(見えた!)
24: 2021/03/27(土) 19:26:38.223 ID:yZIbiwmI0
弓使い(そこだっ!)ギリリッ…
ビュッ!
グサッ! ドサッ…
弓使い「やった! 命中だ!」
弓使い(フッ……これでまた俺の値打ちも上がるってもんよ。オトリになった奴は気の毒だがな)
ビュッ!
グサッ! ドサッ…
弓使い「やった! 命中だ!」
弓使い(フッ……これでまた俺の値打ちも上がるってもんよ。オトリになった奴は気の毒だがな)
25: 2021/03/27(土) 19:29:40.567 ID:yZIbiwmI0
弓使い「……ん? これは……氏体!?」
弓使い(俺は氏体を射抜いただけなのか!? だとしたら、敵はどこに――)
ヒュッ ビシッ!
弓使い「ぐはっ……!」
弓使い「な、なんだと……。この俺が……」ドサッ…
弓使い(俺は氏体を射抜いただけなのか!? だとしたら、敵はどこに――)
ヒュッ ビシッ!
弓使い「ぐはっ……!」
弓使い「な、なんだと……。この俺が……」ドサッ…
26: 2021/03/27(土) 19:32:49.518 ID:yZIbiwmI0
エルフ13「…………」
弓使い(こいつが……敵……)
弓使い(耳が尖ってる……。エルフ、か……?)
弓使い(たしかにエルフは弓に長けるという……。だが、こいつが弓の腕以上に恐ろしいのは……)
弓使い(俺を仕留めたってのに……まるで喜んでない……)
弓使い(ただ、“事を処理した”としか思ってねえ……)
弓使い(へへ……上には上が……いる、ということか……)ガクッ
弓使い(こいつが……敵……)
弓使い(耳が尖ってる……。エルフ、か……?)
弓使い(たしかにエルフは弓に長けるという……。だが、こいつが弓の腕以上に恐ろしいのは……)
弓使い(俺を仕留めたってのに……まるで喜んでない……)
弓使い(ただ、“事を処理した”としか思ってねえ……)
弓使い(へへ……上には上が……いる、ということか……)ガクッ
27: 2021/03/27(土) 19:35:41.560 ID:yZIbiwmI0
【 PART4 “悪魔”の最期 】
―山小屋―
大男「ボス! 逃げて下さい!」
大男「手下どもは全滅です! 弓使いさえやられちまった!」
奴隷商人「なんだと!?」
ヒュッ! ビシッ!
大男「ぐえっ……!」ドサッ…
―山小屋―
大男「ボス! 逃げて下さい!」
大男「手下どもは全滅です! 弓使いさえやられちまった!」
奴隷商人「なんだと!?」
ヒュッ! ビシッ!
大男「ぐえっ……!」ドサッ…
29: 2021/03/27(土) 19:38:31.985 ID:yZIbiwmI0
エルフ13「…………」ザッ
奴隷商人「お前が敵か……。ククク……たった一人の救出作戦というわけか」
奴隷商人「おそらく、≪チャイルドガーディアン≫に雇われた“プロ”だな……」
奴隷商人「あいつら、やはり偽善者だったな。なにしろ俺を消すためにプロを使うんだからよ!」
奴隷商人「動くな!」ガシッ!
少年「うわっ!」
奴隷商人「動くとこのガキを頃すぞ……!」
エルフ13「…………」
奴隷商人「お前が敵か……。ククク……たった一人の救出作戦というわけか」
奴隷商人「おそらく、≪チャイルドガーディアン≫に雇われた“プロ”だな……」
奴隷商人「あいつら、やはり偽善者だったな。なにしろ俺を消すためにプロを使うんだからよ!」
奴隷商人「動くな!」ガシッ!
少年「うわっ!」
奴隷商人「動くとこのガキを頃すぞ……!」
エルフ13「…………」
30: 2021/03/27(土) 19:41:29.950 ID:yZIbiwmI0
奴隷商人「お前は子供を救出にきたんだろう? 氏なせるわけにはいかないよな?」
エルフ13「…………」ギリッ…
奴隷商人「よ、よせっ! このガキにも当たるぞ!」
少年「いいよ……ぼくごと撃って!」
奴隷商人「余計なことをいうな!」
エルフ13「小さな子供の後ろに隠れきれるわけでもあるまい……」
奴隷商人「…………!」
ヒュッ! ビシッ!
奴隷商人「がふっ……!」
奴隷商人「ち、ちくしょう……。俺の時も、お前みたいな奴が……来てれば……」ガクッ
エルフ13「…………」ギリッ…
奴隷商人「よ、よせっ! このガキにも当たるぞ!」
少年「いいよ……ぼくごと撃って!」
奴隷商人「余計なことをいうな!」
エルフ13「小さな子供の後ろに隠れきれるわけでもあるまい……」
奴隷商人「…………!」
ヒュッ! ビシッ!
奴隷商人「がふっ……!」
奴隷商人「ち、ちくしょう……。俺の時も、お前みたいな奴が……来てれば……」ガクッ
31: 2021/03/27(土) 19:44:09.981 ID:yZIbiwmI0
ザワザワ… ガヤガヤ…
少年「あ、あの……」
エルフ13「…………」
エルフ13「ここに待機していろ……。救助隊が来る手はずになっている……」
少年「は、はいっ!」
エルフ13「…………」ザッザッ…
少年「あ、あの……」
エルフ13「…………」
エルフ13「ここに待機していろ……。救助隊が来る手はずになっている……」
少年「は、はいっ!」
エルフ13「…………」ザッザッ…
32: 2021/03/27(土) 19:46:39.129 ID:yZIbiwmI0
少年「みんなーっ! ぼくたち助かったんだよーっ!」
ワァァァァ…
子供A「ワーイッ!」
子供B「夢みたいだ!」
子供C「おうちに帰れる!」
少年「よかったな!」
少女「うん……!」
ワイワイ… ワイワイ…
少年(それにしてもあのおじさん……何者だったんだろう……?)
ワァァァァ…
子供A「ワーイッ!」
子供B「夢みたいだ!」
子供C「おうちに帰れる!」
少年「よかったな!」
少女「うん……!」
ワイワイ… ワイワイ…
少年(それにしてもあのおじさん……何者だったんだろう……?)
34: 2021/03/27(土) 19:50:45.777 ID:yZIbiwmI0
【 PART5 会長の氏 】
―≪チャイルドガーディアン≫本部―
紳士「この矢文は……」
紳士「…………」
紳士(そうか、やってくれたか。エルフ13……)
紳士(これで私も心おきなく……)
―≪チャイルドガーディアン≫本部―
紳士「この矢文は……」
紳士「…………」
紳士(そうか、やってくれたか。エルフ13……)
紳士(これで私も心おきなく……)
35: 2021/03/27(土) 19:54:39.628 ID:yZIbiwmI0
コンコン…
秘書「…………?」
コンコン…
秘書「失礼します」ガチャッ
秘書「!?」
秘書「――会長!?」
秘書(自分で自分のノドを――)
秘書「誰かッ! 会長が! 会長がーっ!」
秘書「…………?」
コンコン…
秘書「失礼します」ガチャッ
秘書「!?」
秘書「――会長!?」
秘書(自分で自分のノドを――)
秘書「誰かッ! 会長が! 会長がーっ!」
36: 2021/03/27(土) 19:57:39.867 ID:yZIbiwmI0
【 PART6 懺悔 】
紳士『依頼の最後に……お願いしたいことがあるのです』
紳士『標的を仕留めたら……すぐにその旨を矢でお知らせ下さらないでしょうか』
エルフ13『理由を……聞こうか』
紳士『あなたは依頼人が隠し事をするのを許さないと聞いています。全てお話ししましょう』
紳士『実は……標的である奴隷商人は私の息子なのです!』
エルフ13『…………』
紳士『依頼の最後に……お願いしたいことがあるのです』
紳士『標的を仕留めたら……すぐにその旨を矢でお知らせ下さらないでしょうか』
エルフ13『理由を……聞こうか』
紳士『あなたは依頼人が隠し事をするのを許さないと聞いています。全てお話ししましょう』
紳士『実は……標的である奴隷商人は私の息子なのです!』
エルフ13『…………』
37: 2021/03/27(土) 20:00:49.811 ID:yZIbiwmI0
紳士『私は若い頃、ある女性との間に子供が産まれましたが、その女性は氏にました……』
紳士『そして当時商売で忙しく、まとまった金も欲しかった私は……私は……』
紳士『持て余した息子をある奴隷商に売ってしまったのです!』
紳士『そう、息子を“悪魔”にしてしまったのは他ならぬ私なのです!』
エルフ13『…………』
紳士『≪チャイルドガーディアン≫を立ち上げたのは、その罪ほろぼしに過ぎません……』
紳士『ですから……息子が氏んだら私もすぐ後を追います。どうか……』
紳士『そして当時商売で忙しく、まとまった金も欲しかった私は……私は……』
紳士『持て余した息子をある奴隷商に売ってしまったのです!』
紳士『そう、息子を“悪魔”にしてしまったのは他ならぬ私なのです!』
エルフ13『…………』
紳士『≪チャイルドガーディアン≫を立ち上げたのは、その罪ほろぼしに過ぎません……』
紳士『ですから……息子が氏んだら私もすぐ後を追います。どうか……』
38: 2021/03/27(土) 20:03:36.038 ID:yZIbiwmI0
エルフ13『俺にあんたを裁く趣味はない……。だが、報告の件は引き受けよう……』
紳士『ありがとうございます……!』
エルフ13「…………」
闇マーケットにおける少年少女の売買は大きな社会問題となっているが、
その摘発は難しく、今なお多くの子供達が犠牲になっているのが実情である……。
END
紳士『ありがとうございます……!』
エルフ13「…………」
闇マーケットにおける少年少女の売買は大きな社会問題となっているが、
その摘発は難しく、今なお多くの子供達が犠牲になっているのが実情である……。
END
39: 2021/03/27(土) 20:03:45.155
oh...
40: 2021/03/27(土) 20:03:48.770
神父が依頼した密輸組織のボスが実は神父だったと言う話を思い出した
>>1おつ
>>1おつ
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります