1: 2010/05/27(木) 20:23:03.01 ID:U9NPTYAn0
澪「やめろよー!!律ー!!」

律「傑作だったよなwwww」

3: 2010/05/27(木) 20:25:39.26 ID:U9NPTYAn0
唯「ねえねえ、何の話、何の話?」

律「あぁ、唯、あのさぁ…」

澪「いちいち説明しなくていい!!」

梓「私も気になります」

澪「って梓、お前までのってくるなよ!」

紬「みんなー、お茶が入ったわよー」

紬「お茶菓子もあるわよ」

唯「あ、ムギちゃん、ありがとー」

律「おっ!!いっただきーっ!!」

梓「ありがとうございます、ムギ先輩」

澪「あ…ああ、いつもすまないな」

4: 2010/05/27(木) 20:27:31.93 ID:U9NPTYAn0
ゴクゴク

律「ぷはーっ、で、話の続きなんだけどさぁ!」

澪「ブッ!!続くのかよ!!」

紬「まあ何の話?私も気になるわ」

律「ほらほら、オーディエンスの意見は満場一致みたいだぜ?」

律「これに答えなきゃあ、真のエンターテイナーとは言えないっしょ!!」

澪「……もういい、好きにしろ……」

唯「ごめんねー、澪ちゃん。でもここまできたら誰だって気になるよ」

律「いや、つってもたいした話じゃないんだけどさー。昔の話だよ、昔のはなし」

5: 2010/05/27(木) 20:30:30.37 ID:U9NPTYAn0
唯「昔?去年とか一昨年のコト?」

律「ん?いや、そーじゃなくて、小学校のころの話だよ」

梓「そういえば…先輩二人は小学校から一緒なんでしたっけ」

律「そそ。えっと、あーれは何年生のころだったけなぁ…?あんまり細かい年まではおぼえて無いんだけど」

律「ほら、そろそろ運動会の季節じゃん?それで思い出したんだよ、その年の運動会のコトを」

律「私と澪はそんとき同じクラスでさ、んで同じ競技に出たわけよ」

紬「同じ競技?リレーとか?」

律「うんや。借り物競争」

梓「…借り物競争…なんでだか分からないけど律先輩にはすごく似合ってる気がします…」

律「なんでだよ梓!いや、まぁ確かに私はソツなくこなしたんだけどな」

唯「『私は』ってことは…」

澪「……」

6: 2010/05/27(木) 20:33:50.12 ID:U9NPTYAn0
律「まぁ、お察しのとおりっつーか、私の後が澪の番でさ」

律「借り物をとりに行くトコまでは問題なかったんだよな。よくあるもんだったし」

唯「澪ちゃん足速いしねー」

紬「借り物はなんだったの?澪ちゃん」

澪「……メガネ」

梓「普通ですね」

8: 2010/05/27(木) 20:38:57.40 ID:U9NPTYAn0
律「まあ、そのへんは見物客の中から適当に見つけたワケだ。問題はその後」

律「コイツ変に真面目なのか、わざわざ借りたメガネをしっかりその場で掛けちゃってさー、視力いいのに」

律「んでしかもそれがオッサンの掛けてたかなり度が強いヤツだったんだよ」

梓「なんだか読めますね…」

律「ま、そういうこと。急に澪、千鳥足になってさぁ!ゴールとは反対側のウチらにむかって突っ込んできたんだよ!」

澪「…」プルプル

律「しかも借りたメガネがどうやら老眼鏡だったみたいで、すっげーでかい涙目の澪がパニックになってて!」

澪「も、もういいだろ!!だれにだって失敗のひとつやふたつくらいあるだろうが!!」

律「いやぁもうそんときの澪の顔が目に焼きついて忘れらんなくてさー!!」ゲラゲラ

11: 2010/05/27(木) 20:43:10.37 ID:U9NPTYAn0
澪「あー、もーせっかく私は忘れていたのに!律ーーーー!!」

梓「トラウマになってたんでしょうね」

紬「うふふ、たしかに場面を想像したらちょっとおかしいかも」

唯「…でもちょっとりっちゃん笑いすぎじゃないー?ほら澪ちゃん今も涙目だし」

律「はははははは…、あぁ、…わりぃわりぃ澪」クスクス

澪「……いいよ、もう」グズッ

12: 2010/05/27(木) 20:45:06.07 ID:U9NPTYAn0
律「……いや、ただ、たしかそんとき澪泣きながら『りつー』ってわたしのこと呼んでてさ」

澪「ん…!」

律「あー私けっこー信頼されてんだなぁって思ってすぐ駆け寄ったの、そういうコトも含めてよく憶えてんだけどね」

澪「…そうだったか?私はそんなこと言ったおぼえはないけどなっ…」

紬「あらあらあらあら」ポワワワ

梓(!?ムギ先輩かがやいてる!?)

13: 2010/05/27(木) 20:48:28.79 ID:U9NPTYAn0
唯「なーんだ、やっぱり二人は昔からなかよしさんなんだねえ」ニヤニヤ

澪「…別にそんなんじゃないよ、ま、まったく」

梓「でも確かに、そんな昔から思い出を共有してるのは、ちょっとうらやましいかもです」

唯「…あれあれ、あずにゃん、さびしがってる?」

梓「へっ?いえ、そういうつもりじゃ…」

唯「あずにゃん!なにもうらやましがることはないんだよ!」

唯「私たちもこれから負けないくらいの思い出を作っていけばいいじゃないかー!」ギュッ

梓「にゃっ!!?ちょ、ちょっと、急にひっつかないでくださいっ!!」

唯「なになに、てれるな、てれるなー」ピトピト

梓「ちがいます照れてるんじゃありませんっ!」ゴロゴロ

紬「あらあらうふふ」ポワワンヌ

澪(なんかムギの様子が…)

14: 2010/05/27(木) 20:51:56.79 ID:U9NPTYAn0
律「…まあ、実際なんだかんだでこの5人になってからはまだ1,2年しかたってないもんな」

唯「みんなでもっともっと思い出をつくっていけたらいいね!」

澪「…なんかクサいぞ、唯」

唯「ええ!!わたしクサい!?ちゃんとお風呂入ったんだけどなー」クンクン

澪「いやそうじゃなくて…」

律「でもそうだなー、うちらすでに結構いろんなことやってきたよなー」

紬「そうね、いろんなところにも行ったものね」

梓「私はやっぱり最初に見たみなさんのライブが忘れられないです」

16: 2010/05/27(木) 20:54:33.53 ID:U9NPTYAn0
律「あー、えと、なんの曲やったんだっけ、ふわふわ時間か?」

梓「ちがいます、ホッチキスです」

律「あー、そかそか、たしか唯が歌の入り飛ばしちゃったんだよな」

唯「あったねえ、そんなことも」

紬「あの時は澪ちゃんがフォローしてくれたのよね」

澪「唯のやつ、完全に 歌詞忘れた! って顔してたからな」

唯「リフに集中しすぎてねえー、でへへ、そのせつはお世話になりやした」

律「あったなー、そんなアクシデントも」

律「でも、アクシデントつったらやっぱあれだろ、澪の」

澪「おい…」


17: 2010/05/27(木) 20:59:27.13 ID:U9NPTYAn0
律「なー、澪はおぼえてるかー?」ニヤニヤ

澪「…さぁな、なにがだ?」

律「パンツ」

澪「なっ…!」

梓「急にどうしたんですか、律さん」

唯「そうだよ律ちゃん、はしたないよー」

紬「一応食事中よー?」

梓「っていうかどういう意味なんですか、いきなり口をついたらパンツって」

18: 2010/05/27(木) 21:11:50.89 ID:U9NPTYAn0
梓「…ん、澪さん?」

澪「…///」シューーーー

梓(煙吹いてる…)

律「あれ?梓は知らないんだっけ」

紬「たしか、一番最初の学園祭のライブの時だったんじゃないかしら」

唯「てことは、あずにゃんはまだ入部してないころかー」

唯「あ!思い出した。私が声出せなくなっちゃって、それで澪ちゃんがボーカルやってくれたんだよね」

律「そうそう!そんときそんとき」

19: 2010/05/27(木) 21:17:15.63 ID:U9NPTYAn0
梓「ん…なんだか録画された映像は見たことがあるような気もしますけど…」

梓「あっ…、なんだかわかったような…前も律さん話してた…」

梓「…思い出しました。…てことは、また澪さんが恥ずかしがる話じゃないですか…」ジトッ

澪「そうだぞ…さっきの運動会の話をまたするし…律なんてだいきらいだっ!!」キッ

律「いやいや!そんな目でみんなよ!ほほえましい思い出話じゃん!」

律「ほらほらこれこれ、最近部屋掃除してたら出てきたんだよ」ゴソゴソ

唯「あ!生徒会の活動記録!」

21: 2010/05/27(木) 21:23:45.68 ID:U9NPTYAn0
紬「そっか律ちゃんの家にあったんだ」

澪「いまさら出してくんなよそんなもの!!」

律「おいおい、そんなコト言うなよー、私たちの青春の大事な記録じゃん?」

律「あとで誰かんちで見て、盛大に懐かしもうぜぇー!ひさびさに全員そろってるんるんだし!」

唯「澪ちゃんにはわるいかもだけど、たしかにすっごく見たい」

紬「私もー」

22: 2010/05/27(木) 21:27:03.62 ID:U9NPTYAn0
澪「……まあな、懐かしいのは確かだ…他の映像なら私も見たいし…」

澪「ただし、あのシーン絶対とばすぞ!!」

律「はーいはい、わかってますーって」

澪(ホントかなぁ…)

梓「律さんはほんと澪さんをからかうの好きですよね…」

律「ん?なんか言ったか」

梓「いえなにも」

唯「あ、ポテト来た」

24: 2010/05/27(木) 22:06:09.55 ID:U9NPTYAn0
律「お、ほんとだほんとだー、食おうぜ」

澪「何人分だ、コレ?」

紬「一応追加で五人分頼んでおいたわ」

澪「ちょっと多くないか」

律「いーじゃん細かいことは、みんなで食おうぜ」ザバッ

唯「あ、その食べ方なつかしー!」

紬「ほんとだぁ」

澪「学生時代を思い出すな」

律「まぁ、いまとなっちゃ遠い思い出だなー」

25: 2010/05/27(木) 22:13:30.47 ID:U9NPTYAn0
律「誰かとファーストフードなんて最近はめったに来ないし」

紬「でも私は初めて律ちゃんと澪ちゃんと一緒に食べたときのこと、よく憶えてるわ」

澪「けいおん部結成のころか」

律「おーあったなーそんなころもー」バクバク

澪「…お前はちっとも変わってないけどな」

梓「でも、よくこうやって部のメンバーでご飯たべましたよね」

唯「部活帰りなんかにねぇ」バクバク

紬「毎日部室でお茶もしてたのにね」バクバク

梓「今にして思うと、私たち食べてばっかりだったかもしれませんね」バクバク

澪(過去形…?)

26: 2010/05/27(木) 22:23:50.28 ID:U9NPTYAn0
梓「……ただ、あのころはそれが当たり前で…なんだかずっと続くような気がしてました」

律「……なんだよー梓ー、ちょっぴりおセンチか?」

梓「い、いえっ、ちがいます」

唯「…あずにゃん」

唯「あっ、そういえばムギちゃん、トンちゃんは元気?」

唯「最近会ってなかったからさ、今度会ったときに聞こうって思ってたんだ」

紬「ああ…それが…」

紬「…最近ちょっと元気がないみたいなの」

梓「えっ!大丈夫なんですか?」

紬「うん…、別に病気とかってわけじゃないんだけど…お医者さまが言うには寿命だろうって…」

唯「寿命!?」

27: 2010/05/27(木) 22:30:43.66 ID:U9NPTYAn0
澪「…そっか」

律「うーむ…悲しいが…そうだな、よく考えたらもうだいぶトシだもんなぁ…トンちゃんも」

唯「そんな!!亀は一万年生きるんじゃ!?」

唯「…ハッ!、ってことは私たちが出会ったあの時点でトンちゃん既に9990歳ってこと!?」

梓「センパイ…」

唯「あずにゃんよりも先輩だったんだ…トンさん…」

唯「ううー…でもトンさん氏んじゃうのやだよー…」ボロボロ

律「…こいつもこいつで全然かわんねーな…」

梓「同感です…」

29: 2010/05/27(木) 22:38:54.03 ID:U9NPTYAn0
紬「…あのね、みんな、これから家に来れない?」

唯「えっ!」

澪「いいのか?ムギ」

紬「うん、トンちゃんにみんなの顔見せてあげたいし…」

律「そうだな、梓にとっては唯一の後輩だもんなー」

梓「そ、それは……でもそうですね、私もトンちゃんの顔見たいです」

澪「確かにトンちゃんとこのままサヨナラするのは嫌だしな…」

律「まぁ、最初から誰かんちで晩飯の予定だったからムギさえ良けりゃさ」

30: 2010/05/27(木) 22:50:41.48 ID:U9NPTYAn0
律「…行くんなら、しめっぽくなってもしょうがねーし、ちゃんと明るい顔みせてやろーぜっ!」

唯「わっ、なんだか部長っぽい」

律「んで晩御飯はおいしいものをご馳走になる、と」

紬「それはまかせて、りっちゃん!」ニコ

梓「…さすが律先輩」ジト

律「なんだよ文句あんのかよー」

唯「まっててねっ、トンちゃんっ、あずにゃんも、ほら笑顔っ」キリッ

澪「もう、みんな騒がしいな…」

澪(…でも、なんだか学生時代に戻ったみたいだな…)

律「ま、たまにしか会えないんだし、しっかりと楽しもうぜ!」

31: 2010/05/27(木) 22:56:24.74 ID:U9NPTYAn0


律「しっかし、食べた食べた」

唯「満腹…もう、はいらない」

澪「私もだ…また呼んでくれた上にこんなご馳走まで、あらためてありがとう、紬」

紬「ううん、私もまたみんなと楽しい時が過ごせて嬉しいわ」

紬「トンちゃんもみんなの顔が見れるって喜んでくれてると思うし」

梓「そうだと嬉しいですね」

律「だな」

32: 2010/05/27(木) 23:02:43.00 ID:U9NPTYAn0
澪「…でもそういえばどうしてトンちゃんをこっちに連れてきたんだ?」

紬「ああ、それは…スッポンモドキってウミガメみたいな姿をしているでしょう?」

紬「だから生きているうちに本物の海を見せてあげたいなって思って、あの年の夏に連れてきたの」

唯「そっか…トンちゃん最後は幸せだったのかな」

梓「紬さんみたいな人にこんないい所で面倒見てもらえたんだから、幸せに決まってますよ」

唯「うん、確かにそうだね」

律「腹がこなれたら、みんなで一緒に墓参り行ってやろうな」

澪「ああ」

唯「うん…あれ?」

34: 2010/05/27(木) 23:14:47.03 ID:U9NPTYAn0
紬「どうしたの?」

唯「ムギちゃん、そういえばあのガレージって確か」

紬「ん?…ああ、そうよ。最後みんなで合宿で来たのときの練習場」

紬「といっても私一人ではほとんど使わないから、もう20年近くそのままになってるけど」

唯「今でも使えるの?」

紬「ええ、私は使わなくても係りの人が最低限の整備はしてるし、楽器や機材も一通りそろっているはずよ」

35: 2010/05/27(木) 23:18:29.89 ID:U9NPTYAn0
澪「ひょっとして、いつでも使えるようにしてくれていたのか?」

紬「うーん…特に意識していたわけではないけど…でもそうね、今日みたいな日をなんとなく期待していたのかもね」

紬「使いたいときに使えなくちゃ、って」

律「結局みんな卒業してからは、今回みたいに一緒に旅行する暇なんて無かったからな」

唯「じゃ、ちょっとお邪魔するだけしてもいいかな。ほら、あずにゃんも一緒に」

梓「あ、はいっ」

律「じゃー、私たちも」

澪「見学させてもらうか」

紬「じゃあ、開けてもらってくるわね」

ガラガラ

37: 2010/05/27(木) 23:24:54.53 ID:U9NPTYAn0
律「思っていた以上に物が多いな、倉庫みたい」

澪「でも、確かに楽器の位置なんかはあの日のままだ」

梓「なんとなく憶えてます、私も」

紬「スペアの楽器は棚のケースの中よ」

唯「わっ、こんなにたくさん…しかも結構なお値段の…」

澪「見てるだけでも楽しいな」

律「さすがにドラムは一セットだけかぁ…」

ゴソゴソ
カツッ

梓「ん?…これって」

38: 2010/05/27(木) 23:31:11.26 ID:U9NPTYAn0
唯「どうしたの?あずにゃん」

梓「なんかケースの下に…カセットテープみたいです」

律「カセット!!ふるっ!!」

梓「放課後ティータイム合宿 って書いてあります」

澪「それって…」

紬「そのテープがあるの、私も全然知らなかったわ」

唯「結局合宿で録音したテープ、こっちに忘れちゃってたんだ」

律「…聞こうぜ!」

紬「いまラジカセもって来るね」

律「ラジカセッ!!」ゲラゲラ

40: 2010/05/27(木) 23:32:43.62 ID:U9NPTYAn0
カチャ

……

ザーーーーーーーーーーーー

ザーーーーーーー…

41: 2010/05/27(木) 23:44:20.01 ID:U9NPTYAn0
梓「…ノイズしか聞こえないです…」

澪「ダメか…残念だったな…」

律「まぁ、よくよく考えりゃこんな長い間ほっぽかれちゃなぁ、しょうがないか」

紬「せっかく昔の演奏が聞けると思ったのにね…」

唯「…」

42: 2010/05/27(木) 23:55:14.32 ID:U9NPTYAn0
唯「じゃあさ」

唯「今の私たちの演奏が聞きたくない?」

澪「!」

43: 2010/05/28(金) 00:02:34.72 ID:JEc9ej6/0
律「はは…いや、さすがになぁ、今日はさんざん海で遊び疲れたからドラムなんて叩けるかどうか」

律「言いたくはないけど、さすがに私らもそこそこトシだし」

澪「…それに唯や梓と違って、私は卒業してからはほとんど楽器なんて触ってないぞ」

澪「ベースって一人で弾いても意味無いからな…」

律「いやいや私も、最後にドラムに触ったのはいったい何年前だったか」

律「プロの二人に合わせる腕なんか持ち合わせてないよ、昔も今も」

梓「そんなことないと思いますけど…」

紬「私は…」

紬「私はせっかくだからやりたいわ!」

44: 2010/05/28(金) 00:12:36.31 ID:JEc9ej6/0
紬「…卒業した後はみんなバラバラになっちゃって、五人そろうなんて滅多に無かった…」

紬「たまに会ったとしても、それぞれの生活があって、バンドやろうなんて言える感じじゃないし、出来るとも思わなかった」

紬「なんとなく、そういうのも卒業したのかなって思うようにしてたの、大人になったしね」

紬「でも違うの。正直に言えば、私はみんなと過ごした放課後を忘れたことは一日もないわ」

紬「あの頃の日々は、今でも輝いていて、でも、輝きすぎて少しまぶしくて…それで」

ポロポロ

紬「あ、御免なさい、お酒が入ったからかな、少し熱くなっちゃった…」

45: 2010/05/28(金) 00:23:20.41 ID:JEc9ej6/0
梓「いえ、そんなこと無いです、紬さん」

梓「私だってそうです。あの頃の思い出があるから、今でも音楽を続けているんです」

梓「あの頃の思い出のせいで…」

梓「だから、すこしでも昔の私たちを取り戻したいです」

律「…そうだな、二人の気持ちはよくわかったよ」

46: 2010/05/28(金) 00:28:58.57 ID:JEc9ej6/0
律「といっても、ま、そんな硬くならないで、気楽にやらないか?」

律「それが放課後ティータイム流じゃん?」

梓「ぶちょう…」

紬「りっちゃん…」

澪「そうだな、やろう」

澪「…といってもほんとに楽器には全然触ってないから、ミュージシャン二人には申し訳ないが…」

唯「そんなことないよー、澪ちゃん」

唯「それに私もうプロじゃないし」

澪「えっ!」

50: 2010/05/28(金) 00:37:25.31 ID:JEc9ej6/0
律「なに!?ギターやめるのか、唯!?」

唯「ううん、音楽はマイペースでやるよ、これからも。でも仕事としては、おしまい」

唯「あずにゃんには先に言ってたんだけどね」

梓「はい…」

梓「今回唯先輩がこんな長い休みが取れたのも、それが理由だったんです」

澪「そんな事情があったのか…」

律「うーん、まぁ、唯が自分で決めたんならしょうがないか、人生いろいろあるしな」

唯「ありがとう、りっちゃん」

紬(なんとなく、唯ちゃんに元気がないなとは思ってたけど…そうだったの)

52: 2010/05/28(金) 00:46:37.00 ID:JEc9ej6/0
律「ただまぁ、それはそれとしても、別に唯のギターの腕が下がるわけじゃないしな…」

澪「いったい何の曲だったらみんなで合わせられるか…」

律「ムギなんかはいまでも鍵盤弾けそうだけど、正直うちらは昔以下だからな」

澪「バンドの曲もひとつひとつはちょっと思い出せないかも…」

唯「それならだいじょぶだよ!」

唯「あの曲があるじゃない」

54: 2010/05/28(金) 00:56:20.37 ID:JEc9ej6/0
ガチャガチャ

パチッ

ジーーーーーー

トントン

唯「あーあーあー、マイクテスト」

キーン

唯「うわ、ハウった…」

55: 2010/05/28(金) 01:03:20.50 ID:JEc9ej6/0
ジャーーーン

唯(でもこれなら、ギー太に留守番なんかさせないで、連れてくればよかったな)

ジャカジャカジャカ

唯「たった一夜の恋だけど、よろしくねギータランティーノ」

ボーン ボンボン

澪「ちゃんとレフティを用意してあるとは…さすがムギ」

ボン ボン ボン ボン

澪(しかし、今になってこみんなでこの曲をやるとは…なんかちょっと感動的だ)

澪(でもちゃんと弾けるかな…まずはリラックスしなきゃ)

56: 2010/05/28(金) 01:13:17.01 ID:JEc9ej6/0
ポロ ポロ ポロロン 

紬「でも、そういえば梓ちゃんはこの曲弾いたことあったっけ?」

チャッ チャッ チャカチャカチャカ

梓「いいえ、でも、えーとたしか、活動記録で皆さんが演奏してるのを見たことはあります」

梓「だいぶ前ですけど、ムギさんの家で」

紬「ああ、そうだったわね、でも弾いたこと無くて大丈夫かしら?」

唯「だいじょぶ、だいじょぶ、あんまりうまくない方がいいやつだから」

紬・梓「?」

58: 2010/05/28(金) 01:29:53.29 ID:JEc9ej6/0
ドンッ ドンッ タタタッ ドッ タッ シャーン

律「ふーむ、よしよし、少しは勘がもどってきたな」

律(…にしても、みんなが後ろから見えるこのポジションなつかしーなー…ん?)

律「なにやってんだ、澪」

澪「へっ!!…いや、緊張したらいけないと思ってな…」

60: 2010/05/28(金) 01:33:59.54 ID:JEc9ej6/0
律「それで掌に人か?ガキじゃあるまいし」

澪「いいだろっ!!昔はよくやってたんだよっ!!」

律「べつに観客がいるわけじゃないんだしさ…あ、そうだ」

バサッ 

ギュッ

61: 2010/05/28(金) 01:37:22.64 ID:JEc9ej6/0
律「ほらほら、私はパイナップルー、これで緊張しないだろ?」

澪「もうっ、この歳になってからかうなよ!!」

唯「あれ、なんだっけ、それ」

律「いやほら、澪が小学生の頃、作文コンクールでさぁ…」

澪「いまはいーんだっ!!そんなはなしは!!」

律「じゃあ、運動会の話にするか?」

澪「いいかげんにしろ!」

律「はいはい、わかりましたよー」

64: 2010/05/28(金) 01:41:23.73 ID:JEc9ej6/0
律「…んじゃ、まぁ、軽く行きますか?」

唯「オッケーだよ」

梓「はい、私もです」

紬「…」コクッ

澪「ああ」

律「ほんとにいんだな?じゃあ、カウント行くぞ!」

カツッ カツッ

律「せーのっ!ワンツスリーフォー!」

65: 2010/05/28(金) 01:44:57.55 ID:JEc9ej6/0


「いま わたしの」


「ねがいごとが」


「かなうならば つばさが ほしい」



「こどものころ」


「ゆめみたこと」


「いまもおなじ ゆめに みている」


66: 2010/05/28(金) 01:51:04.99 ID:JEc9ej6/0
 「この おおぞらに つばさをひろげ とんでゆきたいよ」

 
 「かなしみのない じゆうなそらへ つばさはためかせ」



67: 2010/05/28(金) 01:56:06.61 ID:JEc9ej6/0


唯「ゆーきーたーいー♪」

澪「…お、懐かしい曲だな」

唯「あれ、澪ちゃん…」

澪「憶えてるか、最初にその曲をこの部屋で…」

唯「あたりまえじゃない、昨日のことよりよく憶えてるよ」

澪「…私もだよ」クス

69: 2010/05/28(金) 02:00:09.76 ID:JEc9ej6/0
唯「あの時は律ちゃんに無理やりつれてこられて…なぜかお茶になって…それで、ふふ」

澪「ばっさりだったよな」

唯「あのときはごめんなさいね、でも、あんまりうまくなかったから部に入れたんだよ?」

澪「確かに、唯が入らなかったら廃部だったからな…あれでよかったんだな」

唯「さわ子先生には会ってきた?」

澪「ああ、挨拶してきたよ。今年で退職だってな」

70: 2010/05/28(金) 02:05:02.33 ID:JEc9ej6/0
澪「まあそのおかげで、取り壊されるまえに、こうして自由見学できるわけだけどな」

唯「憂も来てるよ」

澪「うん、下で会った」

唯「教室は見てきた?」

澪「ああ」

71: 2010/05/28(金) 02:07:21.67 ID:JEc9ej6/0
唯「意外と変わってなかったね」

澪「うん、…ただこの部室はぜんぜん違うな」

唯「備品も何も全部とっぱらっちゃってるからね」

澪「こんな埃っぽいところで、あの優雅なティータイムを満喫してたとはとても思えんよ」

唯「でも、ほら」

唯「こうして窓から見える景色は変わってないよ」

澪「…そうかもな」

72: 2010/05/28(金) 02:09:22.42 ID:JEc9ej6/0
澪「律とか紬とか…他のみんなも来れればよかったのにな」

唯「うん」

澪「…梓も」

唯「…うん」

サーーーーー…

74: 2010/05/28(金) 02:15:26.17 ID:JEc9ej6/0
澪「最近は、結構風が涼しい季節になってきた」

唯「そうだね」

澪「…」

唯「…」

澪「なあ、さっきの歌だけど」

唯「うん?」

76: 2010/05/28(金) 02:17:27.82 ID:JEc9ej6/0
澪「最後に五人そろったときに演奏したのおぼえてるか?」

唯「ああ、紬ちゃんの別荘で?」

澪「そうだ」

唯「もちろん、憶えてるよ。でも結構前だよね」

澪「ああ…」

澪「あのときも、ここでの最初の演奏を思い出していたんだよ」

澪「バンドのメンバーが何年かぶりにみんなそろって、一番最初に弾いた曲をやるなんて…」

澪「ちょっと映画のエンディングみたいじゃないか?ってな」

78: 2010/05/28(金) 02:22:12.92 ID:JEc9ej6/0
唯「ふふ、そういえばそうだったかも」

澪「でも違うんだよな…あのとき感じていた懐かしささえ、今は懐かしいよ」

唯「うん…」

澪「本当に当たり前だけど、変わっていくよな、みんな、ずっと」

唯「たしかに…こんな歳になってもね」

澪「ああ、でも私なんか、おばあちゃんのやり方、まだ全然わからないぞ」

唯「あはは、私もだよー」

澪「エンディングはまだまだ遠いな」

唯「…でも、澪ちゃんの、そのちょっと詩的なとこ、ぜんぜん変わってないと思うけどねぇ」

79: 2010/05/28(金) 02:25:04.95 ID:JEc9ej6/0
澪「ん…そうかぁ?まあ、三つ子の魂百までっていうしな」

唯「ふふ…どっちなの、そのちょっといい加減なところは律ちゃんに似てきたかも」

澪「ええ…そうかぁ!?それはちょっと心外だな」

唯「律ちゃん聞いたらおこるよー」

澪「いいんだよ…それにしてもさっきから窓の外見てるけど、なんかあるのか?」

唯「え?ううん、たいしたことじゃ……あ、こけた」

澪「へ?」

80: 2010/05/28(金) 02:29:05.09 ID:JEc9ej6/0
唯「あ、ほら、さっきから校庭で子供があそんでるの。かけっこかな、かわいいと思って」

澪「ああ、なるほどな…」

唯「…」

澪「…」

唯「…あ、またこけた」

澪「……ぷっ…!!」

唯「へ?澪ちゃん?…かわいそうだよ、笑っちゃ」

澪「あはは、いやいや、そうじゃなくてな…」

澪「その子と、この季節と、律の名前も出てたんでおもいだしたんだろうけど…」

81: 2010/05/28(金) 02:35:32.20 ID:JEc9ej6/0


律「私がなんなんだよ」

紬「急に澪ちゃん、ふきだしたから、びっくりしたわ」

梓「だいじょうぶですか、澪先輩」

澪「いやいや、最近むかしのことよく思い出しちゃって」

澪「律のほうがよく話してたことだよ」

唯「あー、あの話かな?」

梓「ですね」

82: 2010/05/28(金) 02:42:37.87 ID:JEc9ej6/0
澪「ほら小学校のころ、運動会でさ…」

紬「澪ちゃん、昔はその話恥ずかしがってたのに」

律「ああ、澪の大暴走か?」

澪「憶えてるか?律」

律「あたりまえだろー」

澪「あれ、おかしかったよな」

律「そりゃー、あのときの澪のかおったら…」

澪「いや、顔はわすれろ」


律「いやだね」


律「一生わすれねーよ」







84: 2010/05/28(金) 02:44:26.08
おつかれちゃん

90: 2010/05/28(金) 03:05:39.00 ID:JEc9ej6/0
読み返して自分でもすぐわかるのは

・わかりづらい

ということで次はサクッとわかりやすい話がかけるよう精進します

ちなみに場面は10年ずつ、5から6回転換しています

転換している場所に改行を多めに入れて目立たせたつもりだったのですが、
何回も書き込むにつれてゴチャゴチャとしてしまって、ほとんど意味を成しませんでした
今回の反省点だと思います

ながながと語ってすみません、最後にこんな時間まで付き合ってくれた
みなさん、本当にありがとうございました

96: 2010/05/28(金) 08:31:56.77
こういう書き方好きだけどな
>>1

97: 2010/05/28(金) 11:56:36.07

引用元: 律「にしても、あのときの澪の顔ったらwwww」