4: 2012/05/01(火) 22:01:50.42 ID:YWX3IQVI0
10月上旬/14:00/765プロ事務所

貴音(わたくしは、どうしてしまったのでしょう)

貴音(プロデューサーの顔を思い浮かべると、胸がしめつけられる様に痛みます……)

貴音(もしや……これが恋煩いというものでしょうか……?)

貴音(…………)


14: 2012/05/01(火) 22:09:49.79 ID:YWX3IQVI0

貴音「……ここは、喫茶店、なのですか?」ハテナ

真「そうだね。最近オープンしたらしくってさー」

春香「なんてゆーか、とってもオシャレで、大人なカンジだよね~」キラキラ

美希「ミキもハニーと行ってみたいの~」キラキラ

真「まあ、記事にも書いてあるけど、さっそくデートスポットとして注目浴びてるみたいだね」

貴音「でーと……つまり、男女が仲を深め合うために逢瀬を重ねるという……」

響「まあ要は、好きな人と出かけることだぞ」

美希「あーあ、ミキもハニーとデートしたいなあ」


10: 2012/05/01(火) 22:06:06.35 ID:YWX3IQVI0
真「あっ! 貴音! ちょっとこっち来てよ」

貴音「……はて? 皆で顔を寄せあって、何を……?」トテトテ

春香「実は、みんなで雑誌を読んでるんです~」

美希「貴音! これ見て? ここのケーキ、とっても美味しそうなの!」

響「まあまあ、貴音も座ってすわって」

貴音「は、はあ……」チョコン

真「やっぱり、こんなお店に行くなら……彼氏とだよねっ!」

春香「そうだね~。ま、実際はそんな男の人も、居ないんだけど……」ガクン

美希「ミキ的には、真くんとなら行ってもイイと思うなあ」

響「なら自分は、ハム蔵たちを連れて行ってみたいぞ!」

真「ね、猫カフェとかじゃないんだからさあ……」


23: 2012/05/01(火) 22:18:49.27 ID:YWX3IQVI0

真美「ほんとに美しいもの、見つけたよ」

やよい「でーと、してくれますか?」

美希「プラネタリウムで好きして!」  です。


19: 2012/05/01(火) 22:14:57.93 ID:YWX3IQVI0
真「あはは。プロデューサー、忙しそうだもんね~」

貴音(でーと……。なるほど、誘ってみるのも良いやもしれません)

春香「……貴音さん、どうかしたんですか……?」

貴音「い、いえ……。それでは、わたくしはこれで」タタタ

響「あ、行っちゃったぞ……」

美希「貴音、何か変だったよー?」

真「へ? そうかなあ。あ、見てよ春香! この服可愛いよ!」パアア


…………

……

24: 2012/05/01(火) 22:21:52.79 ID:YWX3IQVI0
貴音(果たして、でーととは、何をするものなのでしょう?)

貴音(まずは知識を得るべきでしょうか。今事務所に居る者で適任は……)

貴音「…………」トコトコ

貴音「あの……もし……?」

あずさ「あらあら貴音ちゃん。どうしたの?」

貴音「実は……三浦あずさを見込んで、話があるのですが」

あずさ「わたしに? いいわよ~。何でも言ってね?」

貴音「それでは……。三浦あずさは、『でーと』なるものを経験したことがあるのですか?」

あずさ「デート? う~ん、まあ……この歳にもなるとねえ」

貴音「そ、それは誠ですか? ならば、幾つか質問を……」

あずさ「ええ。どーんときなさい♪」

28: 2012/05/01(火) 22:26:06.49 ID:YWX3IQVI0
貴音「三浦あずさが『でーと』をするのなら、何処へ行きたいと考えますか……?」

あずさ「う~ん、そうねえ~」

あずさ「……わたしなら、『カラオケ』ね」ポンッ

貴音「からおけ……。皆で宴のように歌い踊り、すとれすを発散させるというアレですか……?」

あずさ「ちょっとそのイメージは違うと思うけど。そうね、男の子と行くなら、可愛い曲をいーっぱい歌いたいわ~」

貴音「なるほど……。女性らしい一面を見せることにより、相手を魅了する、という算段なのですね」

あずさ「算段というわけではないけれど……。やっぱり、女の子としては、『可愛い』って言って欲しいじゃない?」

貴音「たしかに、世の女性のほとんどが、そのように思っているやもしれません」


31: 2012/05/01(火) 22:29:37.59 ID:YWX3IQVI0
あずさ「ねえ、貴音ちゃん。どうしてこんな事聞くの?」ニコッ

貴音「……! そ、それは……とっぷしーくれっとです……」モジモジ

あずさ「うふふ。冗談よ♪ それじゃ、わたしはお仕事に行ってくるわね」

貴音「は、はあ……。それでは」ペコリ

扉「ガチャ」

あずさ(……ごめんね。貴音ちゃん)

あずさ(…………)

あずさ(わたし……21になってもデート、したことないのよね)ホロリ


…………

……

32: 2012/05/01(火) 22:34:47.63 ID:YWX3IQVI0
貴音(もう少し……下調べをするべきでしょうか……)

貴音(むむむ……)

雪歩「あれ? 四条さん、どうかしたんですか?」トコトコ

貴音「……! 萩原雪歩。丁度よいところに現れましたね」

雪歩「へ……? 何の話ですかあ?」

貴音「萩原雪歩。『でーと』なるものを、知っていますか?」

雪歩「で、デートですかあ? まあ、人並み程度には……」


36: 2012/05/01(火) 22:39:04.11 ID:YWX3IQVI0
貴音「それでは、雪歩は男性と『でーと』をするのなら、何処へ行きますか?」

雪歩「お、男の人とですかあ!? うう~、二人っきりでなんて考えられないです~」アセアセ

貴音「ふむ。それでは……真との『でーと』と仮定した場合……」

雪歩「ま、真ちゃんとデートですか!? それなら……」ポワン

雪歩「…………」

貴音「……雪歩?」ツンツン

雪歩「はっ! す、すみません四条さん。妄想の世界にトリップしてしまいましたあ……」

貴音「いいのです。それで、理想ではどのようなデートがしたいと思いますか?」

雪歩「そうですね~。やっぱり私は『映画』が良いと思います」キラキラ


37: 2012/05/01(火) 22:44:51.80 ID:YWX3IQVI0
貴音「映画、ですか……?」

雪歩「はいっ! 暗い空間の中で、真ちゃんと2人……。最高ですねっ」ギラリ

貴音「そ、そうなのですか……。はて、映画と言えども、幾つもあるでしょう? 萩原雪歩はどのようなものを選ぶのですか?」

雪歩「うーん……。ホラー系の映画で真ちゃんの腕に抱きつくのもイイし……。感動系のストーリーで一緒に泣くのもイイと思うけど……」

貴音「……?」

雪歩「やっぱり、恋愛ものかなあ? あ! 最近観たもので、オススメがありますよ~」ピラッ

貴音「ほう……これはラヴ・ストーリーですか。なるほど、男女の仲をより深めるには相応しいやもしれませんね」


38: 2012/05/01(火) 22:50:42.24 ID:YWX3IQVI0
雪歩「ロマンチックですよね~。ところで、四条さんはどうしてそんな事を聞くんですかあ?」キョトン

貴音「そ、それはとっぷしーくれっとです。故に、お話できません」カアア

雪歩「……四条さん? 顔赤いけど、大丈夫ですかあ?」

貴音「い、いえ……。わたくしはこれで……」タタタ

雪歩「あっ……。行っちゃった。なんだったんだろ?」

社長「ああ、萩原君。悪いんだがね。ちょっとお茶を持ってきてくれるかな?」

雪歩「あ、お疲れ様です。ちょっとだけ、待っててください。すぐに用意しますね」トテテ

社長「いつもすまんね。萩原君は『お茶汲み系アイドル』として売り出しても良いかもしれないなあ。はっはっは」

小鳥(社長……。新しいけど、それ、何か間違ってますよ……)

…………

……

39: 2012/05/01(火) 22:54:13.64 ID:YWX3IQVI0
貴音(さて……『でーと』については、ある程度の知識が得られました)

貴音(あとは……そうですね。『でーと』における、女性の嗜みを知っておかねばなりません)

貴音(はて……誰に聞くべきでしょうか)キョロキョロ

亜美「あれ? お姫ち~ん! どしたの? キョロキョロしちゃって」トコトコ

真美「あっ! 亜美ぃ、まだゲーム途中だよ~」

貴音「亜美に、真美も……。そうですね、今二人とも、空いていますか?」

亜美「んー? 暇でしょーがないカンジだよ? ね、真美」

真美「うん。そだね。ゲームも飽きて来ちゃったトコだしね」

貴音「それでは……」ゴニョゴニョ

40: 2012/05/01(火) 22:57:22.32 ID:YWX3IQVI0

亜美「……へ? デートしたことあるかって?」

真美「ほほー。お姫ちんもついに恋愛に興味を持ち始めたという事ですな?」ニヤリ

貴音「だ、断じてそのようなこと……」アセアセ

亜美「亜美たち、まだデートしたことないケド、マンガとかいっぱい読んでるから、けっこー知ってるよね、真美!」

真美「ま、真美は……、デートの経験あるよ?」

亜美「どーせ嘘っしょ→? 見栄はっちゃダメだよ真美ぃ」

真美「むむむ。まあ、ないケドね……」ズゥーン


44: 2012/05/01(火) 23:02:12.08 ID:YWX3IQVI0
貴音「……亜美、真美。わかる範囲で答えて欲しいのですが……」

貴音「『でーと』における、女性の嗜みとして、どのような事が挙げられますか?」

亜美「たしなみ~? 亜美、難しいことわかんないけど、とりあえず大人の魅力は大事っしょ→」

貴音「大人の……魅力?」ハテナ

真美「うんうん。お姫ちんみたいな、ぼん、きゅ、ぼんの人は……、キワドイ服来て、誘惑しちゃえばイチコロだよ→」

貴音「ぼん……きゅ? 誘惑、ですか?」

亜美「そだ! お姫ちん! デートするなら、可愛い服買わなきゃダメだよっ!」

真美「んっふっふ~。なんなら、メチャイイ洋服を真美たちが選んじゃうよ~?」

貴音「なるほど……。少々不安ですが、わたくしよりは精通しているようですね……。頼みますよ、亜美、真美」

亜美「よーっし、んじゃ明日、お姫ちん改造計画、スタ→トだねっ!」

真美「なんだか、楽しくなってきたね! 亜美!」


…………

……

45: 2012/05/01(火) 23:06:11.80 ID:YWX3IQVI0
翌日/午後/女もの洋服店

貴音「それで……どういった衣装を選ぶべきでしょうか?」

亜美「まあまあ。ここは亜美と真美にどーんと任せて!」タタタ

真美「そだよ。お姫ちんは、そこのイスでゆっくりしてて!」ダダダ

貴音「は、はあ……」チョコン

―20分後―

亜美「お姫ちん! お待たせ」トテテ

真美「可愛くってサイコーのやつ、持ってきたからねっ!」

貴音「こ、こんなにたくさん……。試着が大変そうですね」

亜美「ねね、早く着てみてよ~」

真美「むふふ。楽しみですなあ」


46: 2012/05/01(火) 23:09:26.07 ID:YWX3IQVI0
ヌギヌギ……ヌギヌギ……。

貴音「ど、どうでしょうか……」モジモジ

亜美「お、おおお……ダァイナマァイトボデー」パチパチ

真美「ん~、お姫ちんの太ももはすごいですな」キラーン

貴音「こ、こんなに短いワンピースがあるのですね……」クルリ

貴音「む、胸元も……。こんなに……」

亜美「だいじょーぶだよお姫ちん。似合ってるよ→」

真美「もう秋だし、夜はすこーし冷えてくるから、薄手のカーディガンを羽織ればおっけーだねっ!」


47: 2012/05/01(火) 23:13:31.09 ID:YWX3IQVI0
貴音「そうでしょうか……。いえ、ありがとう。亜美、真美」

亜美「同じ事務所の仲間っしょ→? それに、亜美たちも楽しかったよね、真美?」

真美「うん! ところで、お姫ちん誰かとデートするの?」ワクワク

貴音「……!? いえ……、それは……」

亜美「へ? 違うの?」キョトン

貴音「……まだ、誘ってはいないのです」

真美「……? まあ、お姫ちんならだいじょーぶだよ!」ニパ

亜美「そおだよ! 自信持って、お姫ちん!」グッ

貴音「……そう、ですね……。何事も、挑戦です!」キリリ

…………

……

50: 2012/05/01(火) 23:17:34.28 ID:YWX3IQVI0
翌日/19:00/765プロ事務所

春香「あれー? 貴音さん、帰らないんですか?」

千早「春香。みんな先に行っちゃうわよ」

貴音「え、ええ。少し、プロデューサーにお話が……」

春香「そうなんですかあ。それじゃあ、お疲れ様ですっ!」ペコ

春香「千早ちゃーん、待ってえー」トテテ

貴音「……ふう。誰も、居ませんね」キョロキョロ

貴音「……意識すると、どうも緊張してしまいます。何か、気を紛らわす方法は……」

貴音「…………」トコトコ

貴音「…………」ヌギヌギ

貴音「…………」スポン

貴音「……ゲロゲロ」


55: 2012/05/01(火) 23:22:37.44 ID:YWX3IQVI0
扉「ガチャリ」

P「ただいまー。ってうわあっ!? か、カエルお化け!」

貴音「…………」クルリ

P「な、なんだ貴音か……。驚かすなよ……」ハアア

貴音「すみません……」ペコリ

P「……何、してるんだ? もうみんな帰っちゃっただろ?」

貴音「いえ……、あなた様を、待ち伏せしていたのです……」

P「待ち伏せ……?」

貴音「はい……。げろっぱ」

P「よく分からないが……。とりあえず話があるなら聞くから、まずはその着ぐるみをだな……」

貴音「……はい。着替えてきます……」トテテ

P「どうしたんだ……? 貴音のやつ」


…………

……

56: 2012/05/01(火) 23:25:40.81 ID:YWX3IQVI0
P「それで、何か悩み事か? なんでも聞くぞ」

貴音「あのう……その……」

P「……貴音?」

貴音「あ、明日の日曜なのですが……暇を持て余してはいませんか?」

P「ん? そうだなあ。とりあえず大きな仕事も一段落ついたし、特に予定は無いな」

貴音「そ、それは、誠ですか?」パアア

P「ああ。どうしてだ?」

貴音「実は……わたくしと……」カアア

P「……貴音と……?」

貴音「でーと、なるものを、して頂きたいのです」モジモジ

P「……えええ!?」

…………

……

59: 2012/05/01(火) 23:28:46.34 ID:YWX3IQVI0
当日/11:00/待ち合わせ場所駅前

貴音「やはり……丈が気になりますね……///」クルリ

貴音(会う前から、どうして落ち着いて居られないのでしょう)

貴音(でーとだと気負わずに、力を抜けば良いのです)スーハー←深呼吸

貴音「…………」

P「おーい! 貴音ー」

貴音「……! あ、あなた様」ドギマギ

P「悪いな。待たせちゃったみたいで……」

貴音「いえ……。待ち合わせの時刻より10分も早めに来てしまった、わたくしが悪いのです」

P「ごめんな。ところで、貴音……その服」

62: 2012/05/01(火) 23:32:19.61 ID:YWX3IQVI0

貴音「……や、やっぱり……派手、でしょうか」モジモジ

P(やばい……工口過ぎる……)ドキドキ

貴音「…………」ウルウル

P「い、いや。良いと思う。可愛いよ、貴音」ニコッ

貴音「……っ。その……あまりじろじろと見ては……」

P「そ、そうだな……」

貴音「…………」

P「ところで、何処に行くか、決めてるのか?」

貴音「え、ええ。行きたい場所が幾つか……」

P「そっか。それじゃあ、行こうか」

貴音「……はい。あなた様」

…………

……

63: 2012/05/01(火) 23:36:17.03 ID:YWX3IQVI0
11:20/カラオケBOX

P「貴音が行きたいところって、カラオケだったのか」

貴音「実は……今まで縁が無かったもので……」

P「へえ~。それは珍しいなあ。じゃあ、2人だし、2時間くらいでいいか?」

貴音「はい。お手柔らかに、お願いします」

P「ははは。そんなに緊張しなくていいんだぞ」

P「それじゃ、2時間でお願いします。えっと会員証……ちょっと待ってください」ガサゴソ

P「よし、それじゃ行こう」

貴音「…………」コクッ

テクテク……テクテク……


64: 2012/05/01(火) 23:40:15.25 ID:YWX3IQVI0
P「205……ここだな」ギイイ

貴音「なるほど。このような個室は見たことがありません」キョロキョロ

P「最近のカラオケは凝ってるからなあ。ミラーボールとかもあるし」

貴音「なんとっ! ……あなた様、この端末は……?」

P「ああ。それで曲を探して、転送するんだよ」

貴音「まさに、人類の叡智を尽くした娯楽というわけなのですね……。また一つ、賢くなれたように思います」

P「そんなカラオケぐらいで大げさな…」

貴音「……あなた様、この“採点”機能とは……?」

P「文字通り、歌の採点が出来るんだ。なんなら勝負するか?」

貴音「それは良い考えですね……。互いに競い合うことで、何事も成長してゆくものです」

P「それじゃ、まずは貴音が歌っていいぞ」

貴音「よ、よろしいのですか?」

P「ああ。仕事以外で貴音の歌を聴くのは初めてだしな」


68: 2012/05/01(火) 23:43:15.55 ID:YWX3IQVI0
貴音「そうですね……それではまず……」

貴音「…………」ポチポチ

1:キラメキラリ
2:スキ
3:ふるふるフューチャー☆
4:ラブリ
5:My Best Friend
6:Do-Dai
7:ジェミー
8:何度も言えるよ




73: 2012/05/01(火) 23:50:18.07 ID:YWX3IQVI0
貴音『おかしいね涙が~♪ うっれしいのに~とまら~ない~よ~♪』

貴音『わたしね~。何度も言えるよ~♪』

貴音『だいすきっ、だっ、よ♪』パチン


採点中…………。


74: 2012/05/01(火) 23:53:11.45 ID:YWX3IQVI0
「97点」パンパカパーン

P「高っ! 点数高っ!」

貴音「これは……良い結果なのでしょうか?」ハテナ

P「100点満点だぞ? なかなか見れる点数じゃないよ。それにしても……」

貴音「…………」キョトン

P「貴音はかわいいなあ」

貴音「あ、あなた様……そのような事を面と向かって言われては……」///

P「普段のイメージと違って、可愛らしい曲も合うじゃないか」

貴音「……可愛かった、でしょうか?」

P「ああ。こんな貴音が見れただけでも、今日は来てよかったと思うよ」

貴音「~~~!!」バタバタ

P「貴音? 大丈夫かー?」

貴音「は、はい……。取り乱してしまいました……。それでは、次はあなた様の番ですね」


76: 2012/05/01(火) 23:56:23.04 ID:YWX3IQVI0
P「そうだなあ。何を歌おうかな……」

P「…………」ポチポチ

1:大スキ
2:バレンタイン・キッス
3:涙そうそう
4:星間飛行
5:ふたりのもじぴったん
6:ラムのラブソング
7:ウイスキー、お好きでしょ
8:津軽海峡・冬景色


81: 2012/05/02(水) 00:03:30.53 ID:PaafXWVw0
P『わあぁぁああああたしいいもむぉおおひとりぃぃぃ』

P『れんらぐぅううううううせええんに乗りいいいいぃぃ』

P『こんごえそおなかんもめ見つめなあんいていんましたっ』

P『あんあんあんああぁぁ~』

P『つんがるか~い~きょうを~、ふんゆげぇぇええしきぃぃぃ~』


採点中…………。

85: 2012/05/02(水) 00:06:23.72 ID:PaafXWVw0

「62点」パチパチパチ

P「」

貴音「なんと……。いえ、とても素晴らしき歌声でした、あなた様」

P「そ、そうかな……。もうちょい取れるかなと思ったんだけど」ハハハ

貴音「まだまだ、めげてはいけませんよ。闘いは始まったばかりなのです」

P「そうだな。よーっし、どんどん歌おう! 貴音!」グッ

貴音「はい。それでは四条貴音、2曲目、歌います」スクッ

…………

……

88: 2012/05/02(水) 00:09:27.99 ID:PaafXWVw0
13:20/カラオケBOX前

P「なんだかんだ、貴音には一度も勝てなかったなあ」

貴音「わたくしは運が良かっただけかと。それに、あなた様の歌声も良かったと思います」

P「ありがと、貴音。さてと、それじゃあ、どこかでお昼食べようか?」

貴音「そうですね。少し遅くなりましたが、実は行きたい店があるのです」

P「へえ。何処なんだ?」


92: 2012/05/02(水) 00:12:24.45 ID:PaafXWVw0
貴音「最近雑誌で取りあげられて、人気の喫茶店なのですが……」

P「なるほど、良さそうだな。よし行こう」クルッ

貴音「はい……。あ、あの……」

P「ん? どした? 貴音」

貴音(手を……おつなぎしてみたい……)

P「おーい、貴音ー?」

貴音(しかし……そのような事言えるはずがありませんっ!)///

P「たーかーねー?」

貴音「い、いえ……。それでは参りましょう」

…………

……

94: 2012/05/02(水) 00:15:36.51 ID:PaafXWVw0
13:40/喫茶MOON

P「中々洒落てるじゃないか」

貴音「噂通り、素敵なお店ですね」

P「なんか、隠れ家っぽいよな」

貴音「ええ。はて……めにゅーはどちらに……」

P「えーと、ああコレだ。おお、どれも美味そうだなあ」

貴音「わ、わたくしにも見せてください」ワクワク

P「ああ、悪いわるい。縦向きに置けば二人で見れるかな」

貴音「……!?」

95: 2012/05/02(水) 00:17:53.00 ID:PaafXWVw0

P「これは迷っちゃうなー」

貴音(お顔が……こんなにも近く……)

貴音(…………)カアア

P「貴音は何にするんだ?」

貴音「わ、わたくしは……あなた様と同じものを」

P「それでいいのか? じゃあ、このベーグルにしようかなあ」

貴音「なるほど。良き選択ですね、あなた様」

99: 2012/05/02(水) 00:20:44.05 ID:PaafXWVw0

P「貴音はベーグル、好きか?」

貴音「嫌いなものなど、わたくしにはありません」

貴音「食すということは、他の生命の犠牲により成り立つもの。好き、嫌いなど言ってはなりません」

P「貴音は真面目だな。でも、好きなものはあるよな。ラーメンとか」

貴音「らあめんはわたくしの“そうるふーど”なのです。その魅力は……やがて全宇宙にまで広がり……惑星間の……」

P「はいはい。ラーメン談義は後でゆっくり聞くから、先に注文しちゃおう」

貴音「そもそも麺の種類によって様々な楽しみ方が……」

…………

……

100: 2012/05/02(水) 00:23:47.77 ID:PaafXWVw0

P「いやあ、美味かったなあ。コーヒーもいい香り」

貴音「誠、料理人と食材に感謝しなければなりませんね」

P「ははは。それより、この後はどうする?」

貴音「そうですね……。実は午後4時10分より、ある映画が上映されるのです。あなた様がお嫌いでなければ、是非」

P「映画かあ。久しぶりだなー。貴音は、映画とかよく観るのか?」

貴音「いえ、あまり……」

P「そっか。じゃあ、楽しみだな」ニコッ

貴音「ええ。ありがとうございます。あなた様」

P「何だよいきなり。俺だって楽しいんだから、礼を言われる筋合いなんてないよ」

貴音「ですが……自然と、言葉が口をついて出てしまいました」テレ

P「はは。貴音は面白いなあ。それじゃ、そろそろ出ようか」

貴音「ええ。少しばかり時間があるようですし、街探訪などして、過ごしましょう」


102: 2012/05/02(水) 00:27:16.95 ID:PaafXWVw0
P「ああ。じゃ、会計してくるなー」ガタッ

貴音「あっ……それでは代金を……」ガサゴソ

P「いいって。飯くらい奢らせてくれよ。社会人だぞ?」

貴音「しかし……あなた様、特に金の貸し借りなどは、人の仲を悪しくする恐れがあり……」オロオロ

P「貴音は律儀だなあ。なら、今回だけ……な?」

貴音「……はい」コクッ

P「ありがとう。貴音」

貴音「……! そんな、むしろわたくしが礼を言うべきであり……」

P「こんな事でもさ、男って生き物は嬉しいもんなんだよ」

貴音「そうなのですか……?」

P「ああ。それじゃ、荷物まとめておいてな」タタタ

貴音「……………ぽっ」///

…………

……

104: 2012/05/02(水) 00:30:28.02 ID:PaafXWVw0
 15:10/雑貨屋「AROMA」

貴音「はて……、これは一体……?」ハテナ

P「えーと、これはアロマだな。ほら、部屋とかに置くんだ。リラックス効果もあるらしい」

貴音「……特に、女性に人気と書いてありますね……」

女性店員「何かお探しですかあ?」トテテ

P「ああ。そうですね、このアロマって……」

女性店員「…………」ペラペラ

P「…………」ペラペラ

貴音(なにやら楽しそうに会話をしています)

貴音(……プロデューサーはあのような女性が好みなのでしょうか?)シュン

貴音(…………)


108: 2012/05/02(水) 00:33:32.90 ID:PaafXWVw0

P「……貴音、たかね」

貴音「……! は、はい」ビクッ

P「せっかくだから、貴音にプレゼントするよ」

貴音「この『あろま』を、ですか?」

P「ああ。店員さんに一通りの説明と、おすすめのオイル教えてもらった」

貴音「はて……おいる、とは……?」

P「えーと、この中にある、綿みたいな、ガーゼみたいなヤツに、これを染み込ませるんだ」サッ

貴音「…………?」キョトン

P「まず、この『ライム』を4滴、次に、『ユーカリ・グロブルス』を2滴。んで、最後に『リツエアクベバ』を2滴だ」

貴音「…………?」ハテナ

110: 2012/05/02(水) 00:36:51.29 ID:PaafXWVw0

P「……ちょっと待ってて。さっきの店員さんに手順を書いてもらってくる」タタタ

貴音「あ、あなた様……」

貴音(……いいのでしょうか。こんなに……)

貴音(とても、嬉しいことには相違ないのですが……)

貴音「…………」

貴音「きっと……良き香りを纏う女性になって欲しいとの、願いなのですね」キリッ

P「お待たせ。貴音、何か言った?」

貴音「い、いえ……何も」ドギマギ

P「そっか。それじゃ、映画館へ行こうか」

貴音「……ありがとうございます……あなた様っ」

カランカラン……。

…………

……

112: 2012/05/02(水) 00:40:02.59 ID:PaafXWVw0

 15:40/映画館

P「それで、なんていう映画なんだ?」

貴音「これなのですが……」ピラッ

P「ん……『穴掘り少女と王子様』?」

貴音「実は、萩原雪歩の薦めでして……」

P「なるほど……雪歩らしいな……。ジャンルは?」

貴音「一応、ラヴロマンスだと聞いています」

P「へえ。とりあえず、チケット買っちゃおうか」

貴音「はい……それでは、わたくしは、ぽっぷこーんを買って来ます」トテテ

P「わかったー」


114: 2012/05/02(水) 00:43:11.94 ID:PaafXWVw0

―10分後―

貴音「お待たせいたしました……っ!?」ヨロッ

P「おっと。大丈夫か?」ガシッ

貴音「……! そ、その……すみません」カアア

P「はは。気をつけろよ? 春香じゃないんだから」

のワの「!?!?」ビクッ

貴音「そうですね……待たせてはいけないと、少しばかり焦ってしまいました」

P「まだ上映まで時間あるから平気だよ。えーと、ホール7は二階か……」キョロキョロ

貴音(肩を掴まれるだけで、こんなにも胸が高鳴るなんて……)ドギマギ

P「おーい、貴音。ボーっとするなよ~」

貴音「はっ! はい。それでは、中へ参りましょう」ドキドキ

…………

……

116: 2012/05/02(水) 00:46:53.12 ID:PaafXWVw0
16:10/映画館

『ひと昔前、フランスのある田舎町で、少女がお婆さんと暮らしていました……』

『その少女は、ただひたすらに、穴を掘る事が趣味なのでした』

『お婆さんと、貧乏ながらも幸せな日々を過ごしていた少女に、ある出来事が起こります……』

『王都から、王子『マコリーヌ』が訪れたのです……。そして、少女――ユキポーヌは、一目で恋に落ちてしまい……』


118: 2012/05/02(水) 00:49:51.61 ID:PaafXWVw0
―2時間後―

ユキポーヌ「本当に……わたしでよろしいのですか……?」

マコリーヌ「自分を卑下するような事、言わないでおくれよ。ボクは君が良い。白く輝く、花のような君が好きなんだ……」

ユキポーヌ「ああ……。い、いけません……マコリーヌ様……」

マコリーヌ「この部屋の中では、ボクと君はただの男と女だよ……」

P(こ、この映画……濡れ場があったとは……ッ!)

P(女の子と観るのは、少し気まずいなあ)

P(た、貴音はどんな顔で観てるんだろう……?)チラリ

貴音「…………」メカクシ

P(ひ、必氏で見ないようにしてる……! 何だか可愛いなあ)

貴音(こ、このような……。いけません……。他人の情事など、見ては……見ては……)チラチラ

貴音……(互いに好き合った男性と女性は、こうして愛を確かめ合うのですね……///)

貴音(わたくしにも、いつか訪れるのでしょうか……)

…………

……

122: 2012/05/02(水) 00:53:20.35 ID:PaafXWVw0

18:40/映画館前


P「いやー、良い映画だったなあ」

貴音「まこと、涙なしでは語ることの出来ない傑作でありました……」

P「もう外も暗くなったなあ。まあ、秋だし仕方ないか」

貴音「そう、ですね……。まもなく、夜の帷が下りてきましょう……」

P「どうする? そろそろ帰るか?」


123: 2012/05/02(水) 00:56:23.11 ID:PaafXWVw0

貴音「……あの、あなた様……」

P「ん?」

貴音「でーとの最後に、見せたい場所があるのです……」

P「おお。構わないぞ。どこなんだ?」

貴音「わたくしの、心の依り処とでも、言うべきでしょうか」

P「そっか……んじゃ、行こ」

貴音「はい……。少しだけ、歩きますがよろしいですか?」



…………

……

124: 2012/05/02(水) 00:59:34.30 ID:PaafXWVw0
P「うって変わって、閑静なところだな」

貴音「ええ……。あと数分で着きますので……」

ブロロロロ……!!

女性の声「きゃあああっ!!!」ドカッ

貴音「……!?!?」ビクッ

P「……な、なんだ? 事故か!?」クルッ

貴音「いえ、あれは……ひったくりです!」キッ

P「あ、貴音! 待て!」


125: 2012/05/02(水) 01:03:17.52 ID:PaafXWVw0

 女性のバッグを奪い取ったバイクの男は、速度を緩めようともせずに、わたくしの方へと向かって来ます。

 前方20メートルほどの路肩では、女性が足首を押さえて、必氏に何かを叫んでいるようでした。

つんざくようなバイクの咆哮を全身に浴びて、わたくしは思わず身震いをしてしまいます。

しかし、荒れ狂う猪がごとく猛進するバイクの進行を妨げようと、わたくしは道の真中に佇み、声を荒らげました。

貴音「待ちなさいっ! この不届き者!」バッ

P「た、貴音! 危ないッ!」



126: 2012/05/02(水) 01:06:50.30 ID:PaafXWVw0
瞬間、大きな手によって、わたくしは抱き締められていました。

 バイクの男が、勝鬨をあげるがごとく、高らかに笑いながら遠ざかって行きます。

貴音「……わ、わたくしは……」

P「貴音……! この、馬鹿」

貴音「……っ!」

 肩口から、呻くような、搾り出すようなプロデューサーの声が聞こえて、ようやくわたくしは、我にかえりました。

P「良かった……。貴音が無事で……本当に」

 まるで子供のように、何ども繰り返すプロデューサーの様子に、わたくしはひどく狼狽しました。

 もう少しで取り返しのつかない事になって居たと思うと、身が竦みます。

貴音「わ、わたくしは……わ、たくし……」

同時に、涙が溢れてきました。氏ぬかもしれなかった恐怖よりも、自分をこんなにも心配してくれる身近な存在に、ただ申し訳なく思ったのです。


128: 2012/05/02(水) 01:09:45.35 ID:PaafXWVw0
P「頼むから……。もう、こんな無理しないでくれ……」

貴音「はい……、はいっ」

P「……あ、ご、ごめんな貴音」サッ

貴音「い、いえ……」ドキドキ

プロデューサーが、慌ててわたくしの背後から離れます。

 ほのかに温もりが残っているようで、少し気恥ずかしく思いながら、わたくしは改めて頭を下げました。

貴音「もう二度と……このような事はいたしません」

P「ああ、約束だぞ。貴音は765プロの大事なアイドルなんだからな」

貴音「はいっ……あのう、あなた様?」

P「なんだ……?」

貴音「手を……握っていてもらえませんか?」

P「……ああ」ギュッ

貴音「ありがとう、ございます……」ポッ

…………

……

129: 2012/05/02(水) 01:13:57.65 ID:PaafXWVw0
19:10/秘密の公園

P「こう言っちゃなんだけど、あの人の怪我、大したこと無くて良かったな」

貴音「ええ。驚いて足首を捻っただけのようでした」

すっぽりとベールに覆われるように、暗くなった秋の夜。

 この公園は今日も、月の光を受けて妖艶に輝いています。

P「被害届を出すように言っておいたけど……、犯人、捕まえるのは難しいだろうなあ」

貴音「……はい。顔は勿論の事、バイクのなんばーさえも、タオルか何かで隠しているようでした」

P「常習犯なのかもしれないな。まったく、物騒になったもんだよ」

貴音「まこと……。由々しきことです」

穏やかに髪をなびかせる風には、少々夏の名残を感じます。

 辺りに人気は無く、わたくしたちの周りには、何種もの花が見守るように佇んでいました。


130: 2012/05/02(水) 01:17:14.32 ID:PaafXWVw0

 P「なあ、貴音」

 貴音「はい……」

 P「 そういえば、前に警察で一日署長を任されたことあったよな」

 貴音「……ええ。仕事と言えども、良き経験であったと記憶しています」
 
 P「はは。貴音は人一倍、正義感が強いのかな。立派だよ」

 貴音「いえ……けして、尊敬されるような事ではありません」

 P「世の中って、二極的な側面があるよな。善と悪。どっちの人間も同じくらい居てさ」

 貴音「わたくしは……、自分に正直に生きていたいと思っているだけなのです」

 P「それでもさ。皆が貴音みたいな人だったら、犯罪なんて起きないんじゃないか?」


131: 2012/05/02(水) 01:20:00.80 ID:PaafXWVw0
 
 貴音「……それでは、世界中の食糧がそのうちに底を突いてしまいます」

P「それもそうだなあ」ニヤッ

貴音「い、いまのは否定してくださいっ」ムム

P「ご、ごめんごめん。なあ、貴音」

貴音「はい……?」

P「どうして、いきなりデートがしたいなんて言ったんだ?」

貴音「……! そ、それは……」モジモジ

P「昨日はびっくりしたよ」

貴音「……あのう、今日は、楽しかったでしょうか?」

P「ああ。カラオケも、買い物も、映画も、全部が楽しかったよ」

貴音「それは……誘ったわたくしとしても、嬉しい限りです……」ドキドキ

P「そっか。なあ、この公園は貴音の何なんだ?」


133: 2012/05/02(水) 01:23:58.90 ID:PaafXWVw0
貴音「お話をしていませんでしたね。この公園は……」

貴音「わたくしの、心の安らぐ場所なのです」

P「心が……?」

貴音「はい。現代の人間は、多くのしがらみに縛られ、無理やりに生かされているような節があります」

P「まあ、俺が言うのもなんだが、日本人は働き過ぎだよなあ」

貴音「やはり、休息は不可欠。特に、心を休めることは、仕事の成果にも直結するほどに重要なのです」

P「なるほどな。つまり、疲れた時とかに来るのか」

貴音「はい。後は……一人で物想いに耽るときなどに……」

P「へえ。そういう時は、どんなこと考えているんだ?」

貴音「……!? そ、それは……」

 言えるはずがないのです。仕事で付き合いがある以上、より親密な関係を築けば、支障をきたすことになります。

  ……欲望に負けてはなりません。


134: 2012/05/02(水) 01:26:56.57 ID:PaafXWVw0
P「……貴音? 何でも言ってくれて、いいんだぞ?」

貴音「あ、あなた様……」

 どくん、どくんと心臓が脈打つの音が漏れてしまいそうで、わたくしは頬が上気するのを感じました。

  それこそ、指の先まで真っ赤に染まるほどに、身体が熱く火照っていました。

  それに、わたくしを見つめるプロデューサーの瞳に吸い寄せられるようで、立つことさえ堪りません。

P「貴音? だ、大丈夫か? どこか具合が……」

貴音「す、すみません……!」ダキッ

P「た、貴音!?」オロオロ

ああ、わたくしは一体何をしているのでしょう。

  自ら男性の胸に飛び込むなどと、以前のわたくしが見れば、破廉恥な、と叱咤するやもしれません。

  それでも良いと、今は思います。こうしてプロデューサーの胸に身体を預けている間だけは……。

  恋焦がれる女性で居られるのですから。

貴音「……何も言わずに、聞いていただけますか?」

P「……うん」


135: 2012/05/02(水) 01:29:23.40 ID:PaafXWVw0


貴音「ずっと、あなた様のことを、お慕いしておりました」

貴音「気づかぬうちに、この気持ちは最早、わたくしの制御出来ぬものとなってしまいました」

貴音「この一時だけで良いのです。夢を……見させて下さい」



139: 2012/05/02(水) 01:32:13.17 ID:PaafXWVw0

P「……貴音」

P「俺も、嬉しかったんだ」

貴音「……?」

P「貴音とデート出来てさ、嬉しかった。なんていうか、気恥ずかしいけどさ。こういうの」

貴音「あ、あ、あなた様……」

P「俺も、貴音の事、好きだよ」


141: 2012/05/02(水) 01:35:16.85 ID:PaafXWVw0

貴音「~~~!!!」ポカポカ

P「な、なっ! い、痛いよ貴音!」

貴音「あ、あなた様は、卑怯ですっ!」ポカポカ

P「ど、どうして?」

貴音「そんな事……そんなことを言われてしまっては……」ウルウル

P「…………」

貴音「もう……許しません……」ググッ

少し、強く夜風が吹きました。

 唇が触れ合った瞬間、なんとも形容しがたい、充足感、安堵感、寂寥感。

 その他様々な感情が入り交じった何かが、胸の内で渦巻くようでした。


142: 2012/05/02(水) 01:37:56.50 ID:PaafXWVw0

貴音「……こうして手を取り合っていると……。まるで舞踏会に招かれたようですね……」

P「月のワルツに合わせて踊ってみる?」

貴音「それも、良いですが……」

P「……貴音?」

たくさんの花が咲き誇る、秘密の公園。

 色とりどりの花たちに、わたくしは身を委ねました。

 すうっと鼻腔をくすぐる、懐かしいような香りに包まれて、わたくしは言葉を紡ぎます。

貴音「今のわたくしは……フラワーガールですよ、あなた様」


…………

……

147: 2012/05/02(水) 02:00:05.47 ID:PaafXWVw0

20:00/らあめん屋「風花」

P「た、貴音……一体何杯食べるつもりだ……」

貴音「らあめんならば、幾らでも」ズルズル

P「ははは……。これじゃあ経費で落とせないな……」

貴音「なんとっ! 事務所のお金を遣うと言うのですか……。それならば、もう少しだけ……」

P「ちょ、ちょっと貴音~! 勘弁してくれ~!」



貴音『これが……恋煩いでしょうか……』―Flower Girl―


 FIN

154: 2012/05/02(水) 02:07:07.12

楽しかった

引用元: 貴音「これが……恋患いでしょうか……」