3: 2011/10/30(日) 18:15:24.30 ID:X0B3p96d0
ガチャリ


梓「すいません、遅れましたー」

梓「ちょっとHRが長引いちゃって……あれ?」

しーん

梓「……だ、誰もいない?」

梓「いつもならみんな、席についてお茶してるはずなのに……」

梓「もしかして、私のほうが早かったのかな」

がたがた

梓「ん?部室のほうに誰かいる……」


5: 2011/10/30(日) 18:17:12.39 ID:X0B3p96d0

ガチャ

澪「あれ、梓か?」

梓「あ、澪先輩……そんなとこでどうしたんです?」

澪「うん、ちょっとな」

梓「ちょっと……なんですか?」

澪「おかたづけを……」

梓「へ?」

澪「だから、かたづけだよ。軽音部のものを部室にしまってたんだ」

梓「かたづけ……ですか?」

7: 2011/10/30(日) 18:19:46.08 ID:X0B3p96d0

梓「でも、かたづけならこの前やりませんでしたっけ?」

澪「ああ、それはこっちの部室のほうな。今度はちょっと、音楽室もやっとこうかと思って」

澪「部活で一番使うのはここだからな。ちょうどいい機会だし」

梓「な、なるほど」

梓「ところで澪先輩、他のみなさんはどうしたんです?」

澪「いや、梓こそどうしてここにいるんだ?」

梓「え……」

澪「何か忘れ物か?用事でもあるのか?」

梓「そ、それって私はもう、部活にくるなってことですか……?」

澪「へ?ち、違う、そういう意味じゃなくてな……もしかして忘れてるのか?」

梓「?」

澪「今日、部活休みだぞ」

梓「ええっ!?」

8: 2011/10/30(日) 18:21:35.57 ID:X0B3p96d0

梓「ど、どうして休みですか?てか、そんな話いつ……」

澪「メール送らなかったか?今日は律とムギが用事あってこれないし」

澪「3時から合唱部の集まりでここ使いたいみたいだから、だから部活は休もうってことになったんだ」

澪「それを昨日メールでみんなのとこ送ったはずだけど」

梓「えっ、き、きたかな?」

パカッ

梓「………」

梓「……きてた」

9: 2011/10/30(日) 18:23:09.52 ID:X0B3p96d0

澪「気づかなかったか」

梓「すいません……後から来たメールが被ってたみたいで」

澪「まあ、よくあるよ。私もメールじゃなくて電話にしたほうがよかったな」

澪「そういえば唯も朝きたとき忘れてたから、今日でこの会話二回目だ」

梓「あう……すいません」

澪「こっちこそごめんな。梓一人だけ伝えきれなくて」

梓「い、いえしょうがないですよ。学年違うんですから」

10: 2011/10/30(日) 18:25:19.91 ID:X0B3p96d0

梓「それより澪先輩。先輩こそ部活ないのに、どうしてかたづけするんです?」

澪「部活がないから空いてる時間にちょうどいいと思ったんだよ」

梓「だからいい機会、ですか」

澪「うん、前々からやっておきたいって思ってたけどね」

澪「でも放課後はみんなここ使うし、それに軽音部だけのものじゃないから、なかなかできなかったんだけど」

梓「え、でも、3時からここ使うんですよね」

澪「だから、それまでできるだけやるつもりだ」

澪「一人なら整理整頓くらいできるだろうし、あと軽く掃除もしておきたいけど」

梓「………」

澪「そんなわけで今日は部活ないから、梓。来てもらったとこ悪いけど……」

12: 2011/10/30(日) 18:27:20.66 ID:X0B3p96d0

梓「え……えっと、あの」

澪「ん?」

梓「私も、手伝っていいでしょうか?おかたづけ」

澪「え……別にいいよ。こんなの自己満足だしさ」

梓「いえ、手伝わせてください。澪先輩がやるなら私もやりたいです」

澪「別に後輩だからって気を使わなくていいけど……」

澪「でも、それなら手伝ってもらおうかな」

梓「はいっ、ありがとうございます」

澪「うん」

澪「………」

14: 2011/10/30(日) 18:30:11.07 ID:X0B3p96d0

梓「先輩?」

澪「ああ……違うぞ梓」

梓「へ?」

澪「手伝ってもらうのは私のほうなんだから、私がお礼言わないと。ありがとな」

梓「あ、いえそんなっ、気にしなくていいですよ」



澪「じゃあ、まずはその辺の棚のかたづけから始めよっか」

梓「はい、あ、でも勝手に開けたりしていいんですか?授業で使うのもありそうですけど」

澪「先生に聞いたらいいってさ。楽器とかはさすがに動かしちゃまずいけど」

澪「そこの棚は軽音部でもよく使ったらしいから、かたづけといてって言ってたよ」

梓「これ、軽音部で使ってたんですか」

澪「私らは全然使わないけどね。一応そうらしいよ」

15: 2011/10/30(日) 18:32:25.96 ID:X0B3p96d0

梓「あ、だったらバンドスコアとか音楽雑誌が出てくるかもしれませんね」

澪「そうだな、参考になるのとか残ってるかも」

梓「開けてみますね」

ぱか

梓「………」

澪「………」

梓「……ゴミの山ですね」

澪「……うん、これはひどい」

16: 2011/10/30(日) 18:36:50.40 ID:X0B3p96d0

梓「と、とりあえずどうします?全部出しちゃいますか?」

澪「そうだな……とりあえず出してみて、捨てるやつととっとくやつを分けよう」

澪「大半が捨てることになりそうだけど……」

梓「ですね……なんか音楽雑誌じゃなくてファッション誌とかアイドル誌ばっかなんですけど」

澪「軽音部って、一体……」

がさごそ

梓「うわっ、紙類がすごいです」

澪「無理矢理詰め込まれててクシャクシャだけどな」

澪「ほとんどゴミ箱行きだ」

梓「あ、私ゴミ入れる袋とか持ってきましょうか?」

澪「うん、そうだな。頼むよ」

梓「わかりました」

18: 2011/10/30(日) 18:42:44.17 ID:X0B3p96d0



がさごそ

梓「お待たせしましたー……って、すごいですね」

澪「ああ、ありがと。まあ見ての通りの量だ」

梓「袋入りきるかな……なにかいいものはありましたか?」

澪「なんにも。楽譜とか歌詞とかあったけど……」

梓「それは、部活で使えませんかね?」

澪「いや……たぶん、音楽の授業で使ったやつだろうから」

梓「それって、この中に捨ててったってことですか……」

澪「ほとんどいらないからここに押し込んでっただけだと思う」

19: 2011/10/30(日) 18:44:21.01 ID:X0B3p96d0

澪「……答案らしきものもあったから」

梓「そ、それはあんまり見ないほうがいいですね」

澪「もうクシャクシャでだいぶ古いしな」

澪「あ、あとこんなのもあった」

梓「ストラップですか?」

澪「キーホルダーかな?よくわかんないけど、処分に困るんだ」

梓「落し物として届けましょう」

澪「そうするかな」

20: 2011/10/30(日) 18:47:11.87 ID:X0B3p96d0

がさごそ

梓「ん?」

澪「どうした?」

梓「部活の申請書と……勧誘で配るチラシですかね」

梓「裏面は落書きされまくってますけど」

澪「なんか、軽音部員だった人の性格がわかってくるぞ……」

がさごそ

梓「ふう、袋パンパンです」

澪「全部燃えるゴミだったな。よし、じゃあ出してくるよ」

梓「一階までですよね?私も行きます」

澪「あ?ああうん、別にいいけど……」

梓「えへへ、じゃあ行きましょう」

22: 2011/10/30(日) 18:49:14.46 ID:X0B3p96d0



梓「とりあえずかたづけ終わったけど、どうします?」

澪「うーん……まだ時間結構あるな」

梓「それならもうちょっと続けましょうか?」

澪「梓はいいのか?」

梓「はい、全然問題ないですよ」

澪「それなら……戻ってから何やるか考えてみよう」

梓「そうですね」

澪「あ、ちょっと待った梓。ジュース買ってこう」

澪「梓はどれがいい?」

23: 2011/10/30(日) 18:51:48.30 ID:X0B3p96d0
梓「え?」

澪「手伝ってくれたお礼、かな」

梓「え、いえ、いいですよっそんな」

澪「遠慮しないでいいからさ。ちょっと奢りたいだけなんだ」

梓「は、はあ……じゃあ、これをお願いします」

澪「うん、わかった。買ったら休憩して飲んでこう」

澪「その後、また頑張ろうな?」

梓「はいっ!」



24: 2011/10/30(日) 18:53:57.25 ID:X0B3p96d0

澪「他に軽音部で使うものというと……」

梓「机とか長椅子とか、あとムギ先輩の食器棚とか」

澪「それはムギのものだから……無理にいじらないほうがいいかな」

梓「そうですね……高そうなものとかありますし」

澪「それに、ムギはよく自分で掃除してたからな。綺麗だと思うよ」

梓「そうすると、あとは机とかでしょうか?」

澪「それより床が気にならないか。さっきかたづけてて思ったんだけどさ」

梓「そういえば……毎日掃除してるはずですけどね」

澪「ちゃんと掃除してるのかな。ほこりとか結構ある」

梓「この、床についた汚れも気になります」

澪「拭けばとれるかな……」

梓「掃除道具持ってきましょうか?」

澪「まだ時間はあるし、そうだな。そうしよう」

梓「はい、わかりました」

25: 2011/10/30(日) 18:57:57.52 ID:X0B3p96d0



澪「梓は今掃除どこ担当?」

梓「私は四階のLL教室です。箒担当ですよ」

梓「澪先輩はどこですか?」

澪「私は教室。黒板担当だ」

梓「あれって、粉がつくから大変ですよね……」

澪「まあね。でも綺麗になった黒板って気持ちいいから、やりがいはあるかな」

梓「あ、わかります。黒板消しのムラがないと、見てて気持ちいいですよね」

澪「そうそう」


26: 2011/10/30(日) 19:00:23.91 ID:X0B3p96d0


梓「えーっと、雑巾とバケツと……雑巾は二枚でいいですよね?」

澪「うん、二枚で足りると思うよ。水はトイレの洗面台でくもう」

澪「あとは……その道具持ってこっか。雑巾つけるやつ」

梓「ああ、このモップみたいなやつですね」

澪「そうそう、だけどそれってなんて名前なんだろうな。よく知らないんだけど……」

梓「た、確かにそうですね。モップみたいだけど、それはこっちにあるし……」

梓「使い方わかってても、名前知らないやつって結構ありますよね」

澪「あるある。あと明らかに掃除とは関係ないものまで入ってることあるよな」

梓「ありますねー。私もこの前会議室担当だったときに……」


27: 2011/10/30(日) 19:02:47.93 ID:X0B3p96d0

梓「水くんできました」

澪「ありがと。わざわざごめんな」

梓「いいえ、平気ですよこれくらい」

澪「じゃあ雑巾浸すか」

梓「冬になるとこれが冷たいんですよね」

澪「わかるよ、冬場はみんな雑巾担当避けるんだよな」

梓「それで、夏になると今度は雑巾やりだして……」

澪「しばらく手を水につけたままでいるんだよな」

澪「でもまあ、今はそんなに寒くないし」

梓「そうですね。じゃあ、やっちゃいましょうか」

28: 2011/10/30(日) 19:05:35.55 ID:X0B3p96d0

じゃぶじゃぶ

梓「………」

じゃぶじゃぶ

梓「………」

澪「ん?どうかしたのか?」

梓「いっ、いえ、何でもないです」

澪「?」

じゃぶじゃぶ

澪「よし、このくらいでいいかな」

ぎゅっ

梓「わ、すごい…」

30: 2011/10/30(日) 19:09:45.03 ID:X0B3p96d0

澪「ん?」

梓「澪先輩やっぱり力ありますね。すごい絞れてます」

澪「そうかな?今まで気にしたことないけど」

梓「私が絞っても……ほら、全然違います」

澪「どれ、ちょっと貸して」

ぎゅっ

梓「すごい、やっぱり違いますよ」

澪「………」

梓「澪先輩?」

澪「もしかしたら、手が大きいせいかも知れない……」

梓「そ、そんなことないですよ」

32: 2011/10/30(日) 19:12:55.76 ID:X0B3p96d0



澪「さてと、じゃあ磨くか」

梓「はいっ、とりあえずこの汚れてるとこ重点的に磨きますか?」

澪「そうだな。そこが一番目立つから、そこを重点的にやろう」

ごしごし

澪「………」

梓「………」

ごしごし

梓「……なかなか落ちませんね」

澪「うん……かなり頑固な汚れだ」

ごしごし


33: 2011/10/30(日) 19:14:24.96 ID:X0B3p96d0


梓「ふう……」

澪「磨いてもなかなか落ちないな……どうするかな、あんまり時間もなくなってきた」

梓「……手で持って磨いたほうが落ちる気がします。やってみますね」

澪「あ、それじゃあ服汚れちゃうぞ」

梓「まあ、しょうがないですね。スカートですし」

梓「でも、やるだけのことはやってみたいですから」

澪「いいよ、そこまで……」

梓「いえ、私がやりたいだけですよ」

梓「ここはいつも使わせてもらってるから、綺麗にできたら嬉しいんです」

梓「私もまだまだお世話になるんですし……」

梓「でも駄目だったら駄目だったで、諦めますけどね」

ごしごし

澪「………」

34: 2011/10/30(日) 19:17:45.71 ID:X0B3p96d0
澪「……よしっ」

梓「先輩?」

澪「私も気合入れよう。梓がやるなら、私もやらなくちゃな」

梓「せ、先輩髪、髪!」

澪「まあ、しょうがないよ。ゴムはロッカーの中だし」

梓「それなら私の使ってください!片方ほどきますから」

澪「梓のを?」

梓「はいどうぞ。私は一つ結びにしますから」

澪「あ、ありがとう……ならさ梓、悪いけど結んでくれないかな?」

梓「わ、私がですか?」

澪「うん、あんまり自分じゃやったことないからさ」

梓「でも……手、綺麗じゃないですよ?」

澪「かまわないよ。よかったらやってくれるか」

梓「は、はいっ」

35: 2011/10/30(日) 19:19:30.51 ID:X0B3p96d0

梓「はい、できましたよ」

澪「ん、ありがと。これで掃除しやすくなったよ」

梓「あの、それで……」

澪「どうした?」

梓「私も澪先輩みたいに、結んでくれませんか?」

澪「私が、梓のを?」

梓「はい……」

澪「いいよ、じゃあ後ろ向いて」

梓「お願いします」

澪「あ、私も手汚れてるけど……」

梓「いえ、全然気にしませんから」

澪「わかった」


37: 2011/10/30(日) 19:21:32.92 ID:X0B3p96d0

澪「はい、できたぞ」

梓「ありがとうございます。えへへ」

澪「じゃあ、続きをやろっか」

梓「はい、頑張りましょうね!」

ごしごし

梓「やっぱり手でやると違いますね」

澪「うん、強く擦るとけっこう落ちる」

ごしごし

梓「………」

澪「………」

ごしごし

41: 2011/10/30(日) 19:28:23.17 ID:X0B3p96d0

澪「あのさ、梓」

梓「はい?」

澪「今日はありがとな」

梓「ど、どうしたんですか先輩?」

澪「いや、今日手伝ってくれてありがとなってこと」

澪「私一人じゃここまでできなかっただろうし」

澪「それに今日梓が来なかったら、こんな気持ちでやれなかっただろうなーって」

梓「……それは、どんな気持ちなんですか?」

澪「そうだな……楽しくて、なんかすがすがしい気持ち」

澪「自分でもよくわかんないけど、でも掃除したり梓と喋ったりして楽しかったよ」

梓「………」

43: 2011/10/30(日) 19:29:20.75 ID:X0B3p96d0
澪「ごめんな、ちょっと何言ってるかわかんないよな」

梓「私も……」

澪「ん?」

梓「私も澪先輩と一緒で、楽しくていっぱい喋れて……楽しかったです」

澪「……そっか。梓も楽しかったんだな」

梓「はいっ」



45: 2011/10/30(日) 19:33:13.39 ID:X0B3p96d0


澪「せーのっ」

どたどたどたどた

梓「負けましたあ」

澪「ちょっとずるいかったかな」

梓「澪先輩のほうが足速いもん……」

澪「でも、梓のほうが体格的に有利な気がする」

梓「むー、それって遠回しに小さいって言ってません?」

澪「い、いや別にそういうわけじゃないけど……」

梓「ふふっ、冗談ですよ」

46: 2011/10/30(日) 19:34:56.83 ID:X0B3p96d0

梓「でも、なんだかいいですね。こういうのって」

澪「まあ、普段はなかなかできないしな」

梓「中学じゃ男子はよくやってましたけど、女子じゃできませんでしたから」

澪「そうだな。高校入ってもスカートだし、みんなの見てる前じゃ無理だな」

梓「じゃあ、今がいいチャンスなんですね」

澪「もう一回やるか?」

梓「やりましょう!今度は勝ちますよ」

澪「じゃあ位置について……」

どたどたどたどた


47: 2011/10/30(日) 19:36:44.70 ID:X0B3p96d0

梓「うわー、雑巾真っ黒」

澪「やりすぎたかな。汚れを落とすのが大変だ」

梓「でも、それで床は綺麗になりましたよ」

澪「ああ、見違えるくらい綺麗になった」

梓「明日みなさん気づきますかね?なんか綺麗になってるって」

澪「気づいたら嬉しいけど……でも黙ってよう。気づいて驚いてたら、こっそり笑おう」

梓「あ、いいですねそれ。たまには私たちが驚かせたいですね」

澪「そうそう、やられっぱなしは悔しいからな」

48: 2011/10/30(日) 19:37:55.62 ID:X0B3p96d0

梓「いつもこっちが驚かされてるんですから、もっとやり返してみたいですよね」

澪「じゃあ今度さ、何か一緒に考えてみないか?あの三人を驚かせる方法とか」

梓「それは楽しそうです♪」

澪「ふふっ」

じゃぶじゃぶ

ごしごし

梓「……それにしても、全然落ちませんね」

澪「ここまで黒くなるのは予想外だったな……」

49: 2011/10/30(日) 19:39:27.18 ID:X0B3p96d0
澪「私、バケツの水捨ててくるよ」

梓「あ、私もいきます。途中で交代しましょう」

澪「そうか?じゃあ、そうしようか」

梓「どこで交代します?」

澪「そうだな……階段降りた踊り場で一回交代しようか」

澪「よいしょっ」

梓「大丈夫ですか?」

澪「ああ、平気だ」


てくてく

51: 2011/10/30(日) 19:41:31.98 ID:X0B3p96d0
梓「ここで交代しますよ」

澪「ん、じゃあ頼むぞ。重いから気をつけてな」

梓「はい……おっとと」

澪「だ、大丈夫か?」

梓「す、すみません……何とか大丈夫です」

澪「無理しなくていいぞ。早めに交代しような」

梓「はい」


てくてく

52: 2011/10/30(日) 19:43:11.19 ID:X0B3p96d0

じゃば~

梓「何とか終わりましたねー」

澪「ああ、なんかすごいやり遂げたって感じだ。大袈裟かもしれないけど」

梓「わかります、澪先輩が言ってたみたいにすがすがしいです」

澪「ふふっ、そうか。心の中までかたづいたのかな」

梓「ぷっ……さすが澪先輩、詩的です」

澪「な、なんだよ梓。今笑わなかったか?」

梓「ええっ、笑ってませんよ」

澪「いや、確かに笑ったように聞こえたぞ」

梓「気のせいじゃないですか?」

澪「でも吹き出したみたいに……うー」

梓「ふふっ」

55: 2011/10/30(日) 19:45:03.45 ID:X0B3p96d0

澪「ほら、笑った」

梓「あ、いえ、今のは違います。頭抱えてる澪先輩が面白くて……」

澪「面白いって何だよっ」

梓「す、すいませんっ!悪気はなかったんです」

澪「……ぷっ、あはは。ごめんな、ちょっとからかってみただけだ」

梓「そ、そうなんですか?……意地悪ですよっ、澪先輩」

澪「ごめんごめん」


56: 2011/10/30(日) 19:47:32.33 ID:X0B3p96d0

澪「じゃあ、そろそろ帰ろっか。もうじき3時になるし」

梓「あ、はい」

梓「……あの、澪先輩!」

澪「ど、どうした?」

梓「そ、そのっ、よければ今日の帰り道、ちょっと寄り道してきませんか?」

澪「え?」

梓「この前おいしいクレープ屋見つけたんです。あと可愛いアクセサリーとか、楽器を見たかったり……」

梓「……澪先輩がよければ、一緒に行きたいなって」

澪「………」

澪「……梓もだいぶ染まってきたな」

梓「ええっ!?」

57: 2011/10/30(日) 19:50:35.85 ID:X0B3p96d0

澪「うそうそ、冗談だよ。そうだな、今日は早いからいろんなとこ行こうか」

梓「いいんですか?」

澪「ああ、一仕事終わったし、ちょっと遊びたい気分なんだ」

梓「やったっ、じゃあ行きましょう」

ぎゅ

澪「わっ……あ、梓?」

梓「えへへ。すいませんちょっと、なんだか幸せになっちゃって」

澪「幸せになると手をつなぎたくなるのか?よくわかんないな」

梓「自分でもわかりませんよ。でも、そんな感じになったんです」

梓「嫌でしたか?」

澪「嫌なわけないよ。ちょうど手が冷たかったし、こうしてると……」

ぎゅ

澪「……温かいな」

梓「はい……温かくて幸せです」

58: 2011/10/30(日) 19:52:18.43 ID:X0B3p96d0

澪「あ」

梓「?」

澪「ごめん、ヘアゴム返すの忘れてた」

梓「あ、いいですよ。もらっちゃってください」

澪「え?いや、でも」

梓「いいからいいから、家にほかのもあるから大丈夫ですよ」

梓「それに……今の澪先輩の髪型、すっごく似合ってるからほどくのはもったいないです」

澪「そ、そうか?」

梓「はい♪」

澪「あ、梓も今の髪型、似合ってていいと思うぞ?」

60: 2011/10/30(日) 19:57:04.37 ID:X0B3p96d0

梓「……本当ですか?」

澪「ああ、ほとくのがもったいないくらい……」

梓「じゃあ……今日はこのままでいます」

澪「うん……」

梓「……大切にしてくださいね、そのヘアゴム」

澪「ああ、大事にする」





おわり


62: 2011/10/30(日) 20:04:03.53
おつんつん

引用元: 梓「おかたづけ」