比企谷八幡「だれかが風の中で」
195: 2013/11/30(土) 08:29:13.32 ID:rkSAgjcTo
ある夏の日に、平塚静邸にて

196: 2013/11/30(土) 08:29:45.72 ID:rkSAgjcTo
陽乃「静ちゃん静ちゃん、そろそろいい具合じゃないかな?」

静「よしじゃあ入れていこうか。聞くまでもないんだが、抜かりはないな、陽乃」

陽乃「もちろん、一事が万事、オールクリアだよー。……ホントにだいじょぶ? これ」



八幡「…………ちょっと」

197: 2013/11/30(土) 08:30:20.36 ID:rkSAgjcTo
静「問題ない問題ない。よしよしよし。それじゃあ手はず通りにやっていこうか」

陽乃「う、うーん……まあいいや、オーケーボス!」


八幡「あのちょっと、おふたりさん」

198: 2013/11/30(土) 08:31:00.13 ID:rkSAgjcTo
静「ん? 何か呼んだかね八幡。長旅で疲れてるだろう。少し横になるか?」

陽乃「枕持ってこようか? 今日の主賓だものね、おもてなししちゃうよ!」

静「美人で若々しいお姉さんの匂いの篭った枕だ、興奮するなよ?」

陽乃「やだもー静ちゃんたら、今はまだお昼だよー?」

静「いやいや失敬失敬、ははは!」



八幡「いやあんたらちょっと……おもてなしも何もさあ」

199: 2013/11/30(土) 08:31:36.90 ID:rkSAgjcTo
陽乃「え、なに? お姉さんの膝枕が良い? あらやだもー八幡ったら積極的!」

静「おおっ見せつけやがるねお二人さん! 憎い! この世の全てが憎いっ!」

陽乃「あれあれ静ちゃん、そういうなら交代で膝枕してあげよっか。きっと喜ぶよ!」

静「そりゃまたグッドアイディアじゃないか陽乃くん! よしきた、任せろ!」




八幡「んだよさっきからうるっせぇなあんたら! 帰せよいいから俺を家によぉ!」

200: 2013/11/30(土) 08:32:53.41 ID:rkSAgjcTo
静「何を言ってるんだ八幡。これからお前の帰郷祝いを始めるところなんじゃないか」

陽乃「主賓が帰っちゃったら今回の私たちの努力とか心遣いとかみんな無駄になっちゃうんだよ? 分かってる八幡?」



八幡「帰郷祝いも何も、あんたら俺はついさっき千葉に戻ってきたんだよ。努力も心遣いもいいから家に帰らせてくれよ」

陽乃「……?」

八幡「おいこら、何不思議そうな顔してる」



陽乃「いやいやだから私たちは今ここでね? ついさっき帰ってきた八幡の帰郷祝いを執り行おうと、今まさに準備の最中に取り掛かってる最中なのだよ?」

201: 2013/11/30(土) 08:34:06.51 ID:rkSAgjcTo
八幡「いや、だからそれがそもそもおかしいって言ってんだけど俺はさあ。おい聞けよ」

八幡「とにかく話を整理しよう、今ここに俺が至るまでに何があったのかを改めてキチンと説明するから、ちゃんと耳かっぽじって聞きなさいよあんたがた」



陽乃「なに? 今私たち味付けで忙しいんだからあんま騒がないでね」

静「手短に頼むぞ、この作業はスピードと集中力が命なんだ、ラディカルグッドスピードなんだ。お前の馬鹿みたいな屁理屈聞いてやる暇だって、こっちにはないんだ」

八幡「なんだとおいこの!」

202: 2013/11/30(土) 08:35:12.01 ID:rkSAgjcTo
八幡「まあいいよ言うぞおい、俺はついさっきまで温泉街に1泊2日で旅行に行ってたんだよ、湯治の旅だ」

八幡「自然に囲まれた伝統の街で美味いもん食って風呂入って土産だってしこたま買って、そりゃもうゴキゲンな旅行だったよ。最高だった」


陽乃「あーいいよねぇ羨ましい」

静「そこに置いてある紙袋はやっぱり土産か。後でくれよ」

八幡「はいはい後でな。そういう羨ましがられるような旅だったんだよついさっきまでは。そんであれだ、俺は電車乗って故郷の千葉まで帰ってきたんだよ13時過ぎな」

203: 2013/11/30(土) 08:36:03.84 ID:rkSAgjcTo
静「30分くらい前だな。おつかれさん」


八幡「どーもどーも、そんで俺は家に帰ろうつって歩き出したんだよ。当たり前だろ、故郷に戻ったんだから。まずは家に帰って羽伸ばそうなんて考えるよ」

八幡「愛する妹の小町ちゃんにも土産渡したいんだからそりゃ帰るよ」

陽乃「相変わらずのブラコンだねぇ」




八幡「そしたらなんだおい、突然現れた2人組の女に俺は車に押し込まれてそのまま今ここだよ」

204: 2013/11/30(土) 08:38:28.79 ID:rkSAgjcTo
静「物騒な世の中だなあ、気をつけろよ陽乃」

陽乃「静ちゃんも気をつけてね」


八幡「……そんでその2人組が今何してるかってなんだ、このクソ暑い中クーラーも入れずに鍋グツグツと煮込んでてさ、え?

八幡「やれ帰郷祝いだなんだと訳のわからないことを、1泊2日しかしてない男にのたまってだ」


陽乃「せっかくのパーティなんだから、そりゃ皆で楽しめる鍋でしょ!」

静「安くてたくさん食べられるものな。しかも楽しいんだから、これしかないだろ」

205: 2013/11/30(土) 08:39:19.33 ID:rkSAgjcTo
八幡「何が楽しいだよこっちはひとっつも楽しくねえんだよ……誰も頼んでねえんだよこんなもん! 誰が帰ってくるなり誘拐まがいの真似してクソ暑い中鍋作れなんて頼んだよ!」

陽乃「言いだしっぺは私で」

静「主犯は私だ」


八幡「分かっとるわいそんなこと! いいから俺をここから出せ、帰らせろよ俺を!」

216: 2013/12/01(日) 08:00:50.61 ID:cVtym3+Zo
静「とは言われても、もう鍋できあがるぞ。昼飯まだだろ、食べていけよ」

陽乃「どーせ帰ったってゴロゴロするだけでしょー? いいじゃんちょっとくらい」

八幡「ゴロゴロしたいんだよ俺は!」



八幡「ていうか鍋できるったってあんたこれ、もやししか入ってねえじゃねえかよ!」

217: 2013/12/01(日) 08:01:48.28 ID:cVtym3+Zo
陽乃「静ちゃん給料日前だから仕方ないよ。私はこんなことにはびた一文お金使いたくないし」

静「もやしは貧乏人の救世主さまだよ八幡。いいから文句言わずに食べよう。なーっ!」


八幡「なーっもなにも給料日前で金ないならやるなよこんなこと」

八幡「そんで腹黒、てめえはいいから人の心ってのを持てよ。かわいそうだろ、もやししか買えないこと暴露された方も今からもやし食わされる方も」

218: 2013/12/01(日) 08:03:01.86 ID:cVtym3+Zo
静「とにかくもうすぐ出来上がるんだ、いいから食べよう、よく噛んで食べよう」

陽乃「なんだかんだお腹減ってるんでしょーいいでしょ別にー」

八幡「たしかに腹は減ってるけどなあ、こんなもやしばっかの鍋食いたかねえや!」



八幡「……ていうかこれなんだ、やたら色が赤いっていうか、なんか目に痛い匂いがするんだけど。あんたがた何入れたこれ」

陽乃「え? あー……あり合わせの激辛調味料を少々」

静「夏こそ健康的に汗をかかんといかんからな。激辛カレールーとかキムチ鍋の素とか片っ端から突っ込んである」

219: 2013/12/01(日) 08:03:31.84 ID:cVtym3+Zo
八幡「帰る。俺は帰る。俺は帰って家で小町と幸せラブラブにお昼ご飯食べる」

静「まあそう遠慮するな。超絶美人お姉さん2人を侍らせてラブラブに鍋を食べようじゃないか」

陽乃「やったね八幡! 痛々しい中学二年頃に夢にまで見たであろう、ひたすら都合の良い馬鹿みたいなハーレムだよ!」

八幡「さらっと毒吐くな! ぶっ飛ばすぞクソアマ! つうかもう食えねえだろそんなもん、食えるわけねえだろ!」

220: 2013/12/01(日) 08:03:58.93 ID:cVtym3+Zo
静「え? いや、食えるだろ。食えるもん入れるんだから、食えるだろ」

八幡「ああ? じゃあなにか、あんた見本見せてくれんのか? 食えるんだろ、俺より先に食えよ」

静「……いや、お前のために作ったんだから、お前一人で食ってくれ」

八幡「馬鹿じゃねえのかババアてめえ年寄りだからってボケたことぬかしてんじゃいだだだだだだだだ!」

221: 2013/12/01(日) 08:04:25.32 ID:cVtym3+Zo
静「んん? 今何か不適切な言葉を聞いた気がするよぉ? おかしいなぁこんなに若々しくて可憐で美しい黒髪ロングの知的美少女を捕まえて、何やら変なこと言ったボウヤがいるよぉ?」

陽乃「わー片手で頭をミシミシ言わせてるー……ていうか、やっぱりそのあたりの単語はタブーなんだね静ちゃん……」



八幡「悪い! 悪かった! 俺が悪かった美人のおねーさん! いいから離せ! 話せばわかる! わかるから!」

222: 2013/12/01(日) 08:05:04.78 ID:cVtym3+Zo
陽乃「食べるよね、八幡? 食べなきゃ離さないよこの人」

静「締まっちゃうよぉ。生意気なボウヤはどぉんどん締まっちゃうよぉ」

八幡「なんだその二択! ていうか静さんあんた、そりゃしまっちゃうおばさ……いだだっだだだっだ! わかった! 食べる! ありがたくいただきます美人のお姉さま!」

静「よろしい。では早速椀と箸の準備だ」



八幡「うううう。午前までの清々しい爽快感はどこに……」

陽乃「人生ってね、八幡。理不尽なんだよ……」

八幡「うるせえよ……お前にだけは言われたかないわ……」

229: 2013/12/02(月) 21:21:30.50 ID:P4u/CuyBo
陽乃「いよーし、じゃあ行ってみよう!」

八幡「食うのか……本当に食うのか、これを。俺が……」

静「男に二言なし! 行けよ八幡、行けばわかるさ!」

八幡「あんた覚えとけよマジで……椀よこせ、あと、箸も」

230: 2013/12/02(月) 21:22:09.64 ID:P4u/CuyBo
静「うむ、よかろう……ほら、普段私が使ってる箸だ。舐るなりしゃぶるなり好きにしたまえ!」

八幡「なんならへし折るぞバカ野郎! ……あー、もやし、赤いなあ……」

陽乃「様々な色の香辛料を突っ込んだ割には、奇跡的に普通の赤になってるねえ。うっわぁ……」

八幡「その事実が逆に恐怖を増幅させるんだよ……お前ら本当、何してんだよぉ……」

231: 2013/12/02(月) 21:22:40.10 ID:P4u/CuyBo
八幡「はぁ、ふう……食うぞ、食うぞ……!」

静「おおっ、一口に……!」

陽乃「……どう、かな、どうかな?」



八幡「…………意外と食える、気が、する、ん、だけどぉぉぉぉッホ、ッゴッホゴホゴホッ」



陽乃「お、おーう……」

静「ものの十秒もせずに、盛大に咳き込みだしたな」

232: 2013/12/02(月) 21:23:27.88 ID:P4u/CuyBo
八幡「ウェッヘ、グホッ! ―――――ァツッウツア、フゥアオゥッ」

静「なんか人間的じゃない発音をしだしたぞ」

八幡「フォアッフォアッ! ……ヌグッヌグウゥ」

静「ヤカンから直に水を飲み出す……だと……」

陽乃「あの、静ちゃん、やっぱりこれ、やばいんじゃ……!」

233: 2013/12/02(月) 21:23:56.21 ID:P4u/CuyBo
静「なんだこれしきみっともない。どれ、私も……」

陽乃「えっ?! あ、ちょっ!」




静「ウェェェェッヒ! ガブッ! ゥッゥウウアッアゥ、フォアオゥッ」

陽乃「ああ?! 被害者がまた一人!? ていうかなんで食べるの静ちゃん! 水、水!」

234: 2013/12/02(月) 21:24:29.33 ID:P4u/CuyBo
八幡「ゼヒーッゼヒーッ」

静「ヒューッフ、ヒューッフ」

陽乃「ようやっと落ち着いてきたね……救急車呼ぼうか本気で迷ったよ……」

静「……ちょっと、どころでなくやりすぎたようだな……ホントに洒落にならないぞ……」

八幡「こ、このババアッ……冗談抜きでぶっ頃すぞ……凶器ならあんだぞ、そこに……」

静「さ、流石に言い訳できん……ホントに、だめだ、氏ぬ……」

陽乃「これは、ひどい……ていうかどうするのこれ。丸々1キロは残ってるんだけど」

235: 2013/12/02(月) 21:24:59.70 ID:P4u/CuyBo
八幡「舌の、感覚、ねえんだけど、これ……あと1キロ、とか、氏んじまうよ、本当に」

静「と、とり、あえず……煮込んで、水分、飛ばして、次から、次へと、水とか牛乳を、足そうか。いずれ味も、薄まるだろ……八幡、まだ食えるか?」

八幡「薄めたやつならなんとか……あんたはどうなんだよ、食えないとは言わせねえぞ」

静「今すぐには無理だ……ちょっと、時間置かないと」

八幡「俺もだ……よし、援軍呼ぼう」

236: 2013/12/02(月) 21:25:40.52 ID:P4u/CuyBo
陽乃「援軍? 誰?」

八幡「決まってるだろ。デブ」

静「……一応聞いておくが、理由は?」

八幡「小町や戸塚にこんなもん食わせるわけにはいかない。川崎姉弟も耐性なさそうだから、本当に病院沙汰になりそう」



八幡「その点あのデブは良心の呵責もないし甘辛両方いけそうだからな」

237: 2013/12/02(月) 21:26:09.45 ID:P4u/CuyBo
陽乃「消去法もここまでくると逆にツンデレっぽいねー」

静「それを言うなら捻デレだろう。なんだかんだ相棒みたいな関係だものなあ」

八幡「……ひどく不快な話の流れだが、まあいいや。電話かけるぞ」



八幡「……おう、材木座」

250: 2013/12/04(水) 22:11:12.54 ID:xT3KsYy7o
八幡「うるせえよ中二。相変わらずお気楽な脳みそしやがるじゃねえかてめえ」

八幡「おう、ついさっきな。今? ……家だ。お土産ちゃんと買ってあるぞ、感謝しやがれ」

八幡「ところで今暇だろ、暇だよな。暇だと言え。……そうか暇か。ならちょっと来てくれ」

八幡「駅まで来れば迎えにいくから。どのくらいかかる? 30分? 了解了解」

251: 2013/12/04(水) 22:11:38.96 ID:xT3KsYy7o
八幡「ああそうそう、お前昼食った? まだ? なら途中でなんか食ったりすんなよ。いや、マジで。ごちそうあんだよ。洒落にならないほどの至高の絶品が」

八幡「そうそう。だから何も食わずに来いよ。おうおう、じゃーな」




八幡「来るってよ」

静「悪魔かお前」

252: 2013/12/04(水) 22:12:33.29 ID:xT3KsYy7o
陽乃「嘘は言ってないところがまた、ひどいねー」

八幡「君たちはいつもそうだ。元はといえば自分たちの所業が原因なのに、すぐに人に矛先をむける」

八幡「まったく、わけがわからないよ。ってことで、静さんちょっと駅まで行ってこい」

静「はあ? なんで私が」

253: 2013/12/04(水) 22:13:00.55 ID:xT3KsYy7o
八幡「あんたの家に案内すんのになんで俺や陽乃が行くんだよ、おかしいだろ」

静「えー……というか、ちょっと待て。そうなるとあれか。あいつを家に入れるのか、私」

陽乃「あー、まあ、見た目はちょっと、だからね材ちゃん」



静「う、ううむ。やはりみだりに男を女の家に入れるのはだなあ」

八幡「俺が居る時点でみだりもなにもねえだろ」

254: 2013/12/04(水) 22:13:30.29 ID:xT3KsYy7o
静「ぐ、ぐぬぬ。あ、あれだ、元とは言え生徒を教師が家に上げるのは」

陽乃「私も八幡も元生徒だよー」



静「ぬ、ぬぐぐ。お、お前たちはほら、友達だから。あいつは友達じゃないぞ!」

八幡「良い機会だ、この際に友達増やせ」

255: 2013/12/04(水) 22:14:01.38 ID:xT3KsYy7o
静「よりによってお前がその台詞を吐くのか!? 選ぶ権利くらい私にだってあるだろ!」

八幡「そう、かんけいないね」

陽乃「ねんがんの、おとこともだちを、てにいれたぞ!」

静「な、なにをいう、きさまらー!」

257: 2013/12/04(水) 22:15:01.59 ID:xT3KsYy7o
静「仕方ない、行ってくるが……このことが原因で野獣と化したヤツに寝込みを襲われるようなことがあったら貴様らの責任だからな!」

八幡「俺の知り合いの中で一番腕っ節が強い癖に何言ってんだ。そもそもそんな気も起こさねえよあいつは。最近いよいよ二次元の世界にのめり込んでいってるからな」

陽乃「ある意味この世で最も女性に対して害の無い種類の存在になっちゃったねー」

八幡「高校時代はまだ現実の女性への憧れがあったと思うんだが、何があったのやら」



陽乃「……ごく身近でえらい苦労しちゃってた例を見たからじゃないかな」

八幡「なんのこっちゃ」

陽乃「いやいや別に別にー」

258: 2013/12/04(水) 22:16:34.07 ID:xT3KsYy7o
静「うう、ご近所の目が気になる……行ってくる」

陽乃「いってらっしゃーい」

八幡「気ぃつけてなー」



八幡「……つうか普通に考えて、一度案内されたくらいで道覚えられねえだろ。結構入り組んでるぞこの辺」

陽乃「それに元教師の家に気安く通うタイプじゃないよね」

八幡「それ以前に材木座は静さん苦手だからなあ。しかしあの人も大概人間不信だな……」

陽乃「今となっては誰よりも更生が必要な人だから……」

263: 2013/12/07(土) 12:12:50.32 ID:egxhkthOo
八幡「あーっ、暑い……陽乃、クーラーつけよう」

陽乃「はいはい。ああ、鍋に水も足してくね。牛乳は、あとちょっとだけあるか」



八幡「本当にお前ら何してくれてんだよ全く……」

陽乃「いやー、まさかここまで洒落にならなくなるとは思わなくて。ごめんねー?」

八幡「いいから水足せ水足せ。せめてまともに食えるくらいにしとかねえと、さっきみたいなもん食ったらあのデブ氏ぬぞ」

264: 2013/12/07(土) 12:13:19.39 ID:egxhkthOo
八幡「あー、まだもうちょい薄めないとダメか」

陽乃「結構入れたのにねー……あ、そうそう八幡。お土産ちょーだい!」

八幡「いやに唐突に言うじゃねえかてめえ。ここまでの仕打ちをしておいてよく言えたなおい」

陽乃「でもどーせくれるんでしょ? なら早めに貰っとこうと思って」

八幡「相変わらずまあ面の皮の厚いこと……まあいいや、ちょっと待ってろ」

265: 2013/12/07(土) 12:13:46.83 ID:egxhkthOo
八幡「ええっと、あ、あった。ほれ、受け取れパース」

陽乃「受け取るキャーッチ……って、は? なにこれ、将棋?」

八幡「思うがまま動く駒だぞ。あと、これも」

陽乃「えっ……えっ? 独楽?」

八幡「大中小の独楽にベーゴマ2つ、あとこれ、ベイブレード」

陽乃「はぁ!?」

266: 2013/12/07(土) 12:15:21.20 ID:egxhkthOo
八幡「いや最初は将棋だけにしとこうと思ったんだよ、めんどくさかったしな」

八幡「そしたら土産屋で独楽とベーゴマ、ベイブレード見っけてさあ。こらご注文にぴったりやなと」

陽乃「…………」

八幡「これなら技術しだいでいくらでも思うままに動くだろ。いやあ最初にあのメールを読んだ時は何考えてんだこのバカ犬でも飼ってろよとか思ってたけど、さすが俺、機転が利くねえ!」

267: 2013/12/07(土) 12:15:50.67 ID:egxhkthOo
陽乃「…………お菓子は?」

八幡「へ?」

陽乃「まんじゅうは? クッキーは? カステラにケーキにラングドシャは?!」

八幡「え、いや、お前の分はそれで終いだよ? 当たり前だろ、注文に応えただけなんだから」




陽乃「……見損なったよ、八幡」

268: 2013/12/07(土) 12:16:33.52 ID:egxhkthOo
八幡「……あ? 何が」

陽乃「八幡のことだからきっと、私のメールの裏を読んで適当に美味しいお菓子を買ってきてくれるって信じたのに……!」

陽乃「最初の将棋は冗談にしても、きっと後からまんじゅうとか甘いものを渡してくれるって……!」

八幡「はあ?!」

陽乃「期待してたのに! 信じてたのに! この、うらぎりものー!」

269: 2013/12/07(土) 12:17:21.79 ID:egxhkthOo
八幡「……なるほどなるほど、な、る、ほ、どおぉぉぉ」

陽乃「むー……!」

八幡「言いたいこと言ってくれんじゃねえかよぉ、おい……」

陽乃「なにさ!」



八幡「じゃあ言うけどなあ」

276: 2013/12/08(日) 09:43:12.65 ID:CczA2ejGo
八幡「お前のさあ、なんだ、アホみてえな悪ふざけのさあ、裏とかこっちは知ったこっちゃねえんだよそんなもん」

陽乃「あ、アホみたいって……」

八幡「アホだろうがよう、ええ? 人が気楽に湯治に行くっておい、俺言ったよなあ」

八幡「土産だって気まぐれで買うかもしれねえつったのもお前、知ってたよなあ」

277: 2013/12/08(日) 09:43:47.37 ID:CczA2ejGo
八幡「そんでお前、人がせっかく気まぐれ起こして土産欲しいか聞いてやったらなんだ、思い通りの駒がどうとかバカ丸出しのメール送りつけやがってよぉ」

陽乃「う、ううう」

八幡「お前がドヤ顔して送りつけてきた悪ふざけの文面に隠された真意をさあ、なんで気楽な湯治真っ最中の俺が考えなけりゃいけないんだよ。探偵じゃねえんだぞこちとらよぉ」

陽乃「ドヤ顔なんてしてないよ!?」

278: 2013/12/08(日) 09:44:31.63 ID:CczA2ejGo
八幡「そんでなんだ人がそれでも頭ひねって洒落た返しを考えて渡してみりゃだ、おい。やれ裏読めだの甘いもん食わせろだの、なんで俺が怒られてんだよ、ええ?!」

陽乃「は、八幡ならそのくらいの意図はわかってくれるって私はですね」


八幡「分かるわけねえだろ聞いたこともないようなそんな意図! エスパーじゃねえんだぞ俺は! 言わなきゃ分かるわけねえんだよそんなもん!」

陽乃「結構友達付きあい長いでしょ私たち!?」

279: 2013/12/08(日) 09:45:15.63 ID:CczA2ejGo
八幡「関係あるかそんなもん! 大体今のこの状況からして俺は怒ってんだよ!」

八幡「なんで気分良く旅行から帰って来たと思ったら誘拐されて激辛鍋食わされてんだよ俺が!」

陽乃「いや、それはその」


八幡「誰も頼んでねえのに帰郷祝いだおもてなしだと息巻いてだ! もやししか入ってねえ鍋食わされてだ! あげくに土産渡したら逆ギレくらう!?」

陽乃「あ、あの、八幡、お、落ち着いて、ね?」

280: 2013/12/08(日) 09:45:56.12 ID:CczA2ejGo
八幡「今時ガキでもやらねえような悪ふざけしやがって、裏の意図読めだわかってくれると信じてたのにだ勝手な屁理屈捏ねてさあ! 分かるわけねえんだよこんなもん! お前の家族だって分からねえよ!」

陽乃「いやいやきっと分かってくれる! 多分!」

八幡「あ!? おおじゃあ送れよあのメールお前の妹に! 返事すら来ねえぞ絶対! まんじゅうどころか独楽の一つも買ってこねえぞあの妹は!」

陽乃「そこであの子引き合いに出すの!?」

281: 2013/12/08(日) 09:46:49.74 ID:CczA2ejGo
八幡「何だったら今からあの妹に温泉街行かせりゃ良いじゃねえかよええ!?」

八幡「飯食って風呂入ってのんびりしてる頃にあのメール送るから訳分かんねえつったらお前の姉ちゃんに言えって言ってやるんだよそしたらさあ!」

陽乃「行くわけないでしょあの子が! ていうかアドレス知らないでしょ!?」



八幡「俺はお前の親兄弟かなんかか? 違うだろ! だったら勝手に思い込んで意味分かんねえ期待すんなよ! 付き合いきれねえよバカ!」

282: 2013/12/08(日) 09:47:28.73 ID:CczA2ejGo
陽乃「さ、さっきから聞いてれば! そこまで言われるとこっちだって黙っちゃいないよ!」

八幡「なんだ!?」

陽乃「なにを!?」




静「おーう戻ったぞー、ほら入れ材木座」

材木座「お、おじゃましまーす…………おお! ファハハハハ!! 待たせたな八幡よぅ!! 剣豪将軍材木座義輝、ここに推・参!」

283: 2013/12/08(日) 09:48:00.46 ID:CczA2ejGo
陽乃「おーおかえり静ちゃん! 材ちゃんもひゃっはろーぅ!」

八幡「でかした静さん! よく来た材木座! ささ、こっち来い!」

静「ああ。ところでお前らまた漫才してただろ。声響くんだから近所迷惑だ。やめろ」

八幡「あいよ」

陽乃「りょーかーい」



材木座「むぅ……相変わらずのコンビネーション! べ、別に八幡と息が合ってるのが羨ましくなんてないんだからね!」

290: 2013/12/11(水) 22:26:12.37 ID:OID9saxAo
材木座「それで八幡よ、さぞかし良い旅行であったろうなあ。土産は?」

八幡「いきなりそれかい。ほれ、カスタードクリームまんじゅうとキーホルダー」

材木座「キーホルダーは頼んでおらぬぞ……というか、小さいなまんじゅう!」

八幡「てめえの健康を案じた結果だありがたく思え。どうだ! 貴重な俺のデレだぞ!」

材木座「キモいわ! ええい、他にないのか他に!」

陽乃「ベイブレードならあるよー」

291: 2013/12/11(水) 22:27:13.84 ID:OID9saxAo
材木座「むう!? それは昔懐かしの名玩具! 雪ノ下殿、何故これを!?」

陽乃「そこのおバカさんが私へのお土産ってさ」

材木座「お、おーぅ……八幡、喧嘩は相手見て売らなきゃダメだって」

八幡「急に素になるなよな。お前はともかく俺はもう、そこのアホに恐れることはないから無問題なんだよ。つうかおい、せっかくの人の土産を何て扱いだ」

陽乃「つーん」

292: 2013/12/11(水) 22:28:07.40 ID:OID9saxAo
静「随分と薄まってるな、鍋。これなら食えるだろ。ほれほれ、続きするぞ」

材木座「ほぷん? これなら食える?」

八幡「あっ」

陽乃「あっ」




材木座「……ふぉぅ!? なんぞこれは!? 地獄のような赤さ! ていうか辛い、痛い、匂いが!?」

静「えーいグダグダ抜かすな。これでも当初の十分の一くらいなんだ、食える範疇ではある」

材木座「は? は、は? ……はち、は、八幡? え、何? 謀ったの我を?!」

八幡「何が?」

293: 2013/12/11(水) 22:28:50.15 ID:OID9saxAo
材木座「いや、お主、洒落にならない至高の絶品がどうとか」

八幡「至高の絶品だぞ実際。辛さにかけては至高の頂だぞ」

陽乃「一口食べたら八幡も静ちゃんも悶絶したよ。洒落にならなかったよ」




材木座「……ふ、ふぉぅぁぁあああぉうぅ!? か、帰る! 俺帰る!」

八幡「あっデブ、てめえ今更逃げんな!」

294: 2013/12/11(水) 22:29:20.26 ID:OID9saxAo
陽乃「ぃよいしょぉ、居合投げぇ!」

材木座「はぽぉぉぉぉっん!?」

静「投げるな! 埃が立つだろ! 近所迷惑だろ!!」

八幡「迷惑はともかく埃はてめえで掃除しろ! きったねえな!」

295: 2013/12/11(水) 22:30:24.91 ID:OID9saxAo
材木座「う、ううう。……あっ、そうか! だからあの時、躊躇いがちに家だって……!」

八幡「聞こえるか材木座。聞こえているなら、俺の友人関係の不幸さを呪うがいい」

材木座「何? 友人関係だと?」

八幡「そう、友人関係だ」

材木座「は、八幡、お前は?!」

296: 2013/12/11(水) 22:31:08.90 ID:OID9saxAo
八幡「君は良い知人だったが、俺の交友関係がいけないのだよ。ふふふふ、はははは……!」

材木座「……八幡、謀ったな、八幡」

陽乃「さらっと私と静ちゃんを不幸扱いしたね八幡。怒るよ」

静「ほれできたぞ材木座。お椀いっぱいの激辛もやしだ。ぜひご賞味あれ」

八幡「このタイミングでかよ、鬼かあんた」

297: 2013/12/11(水) 22:32:33.20 ID:OID9saxAo
材木座「……我とてお前の唯一無二の親友だ。無駄氏にはしない」

八幡「何勝手に親友ヅラしてんだこいつ……」

陽乃「むしろいい加減認めなよ八幡……」





材木座「剣豪将軍材木座義輝に栄光あれーっ! ハムッハフッ! ハフハフッ! ハフッ!!」

302: 2013/12/13(金) 22:01:11.48 ID:ZDu28E3vo
静「一気にかきこんだ、のか」

八幡「いや、あるいは有効かもしれんぞこれ。辛さを認識するまでもなく飲み込めば」



材木座「ウェェェェェェェェッッッッッフ!! ウェへッ、ヘッフッ、ゴブハァッ!?」



八幡「大して意味はないか」

陽乃「いやいやいやいや水、水」

303: 2013/12/13(金) 22:02:17.12 ID:ZDu28E3vo
材木座「ウェッヘエェ……グゥエッフ……」

八幡「なんとか一命はとりとめたか」

静「危ないところだったな……」

陽乃「この分じゃまだ、水足してった方がいいかもねー」



材木座「ひ、人一人氏なせかけといて、なんて冷静なんだ主ら……」

305: 2013/12/13(金) 22:03:00.51 ID:ZDu28E3vo
八幡「だって俺らその十倍濃いやつ食ってるもん」

静「それで生きてるんだから、お前が氏ぬわけないだろ」

陽乃「苦しみ方も材ちゃんの十倍くらいだったけどね」




八幡「しゃあない、もうちっと水足すぞ陽乃。材木座、しばらくゆっくりしとけ」

材木座「できれば今すぐ帰りたいのだが八幡よう……」

八幡「なら今食うか、このもやし。1キロあるぞ」

材木座「どうぞ存分に薄めるが良いぞ! いくらでも我は待とう!」

306: 2013/12/13(金) 22:03:44.80 ID:ZDu28E3vo
陽乃「ていうかもう16時だよー……」

静「今から更に水で薄めて、温め直して、食べて……もう夕食だなこれ」

八幡「何が悲しくて昼も晩ももやしなんだよ俺ら……昼に至ってはほとんど食ってねえしさあ」




陽乃「最初にやろうって言い出しといてなんだけど……私もう帰りたいなーって……」

307: 2013/12/13(金) 22:04:45.91 ID:ZDu28E3vo
八幡「……ああ? なんだお前、随分とムシの良いこと言うじゃねえか」

静「人の金で遊ぶだけ遊んで飽きたらそれか……? 私はお前がやれっていうからやったんだが?」

静「給料日前で金ないって言ってる私を無理やり丸め込んだのはどこの誰だ? ん?」

陽乃「え、あ、いやー冗談! ただの冗談だよ、うん!」

308: 2013/12/13(金) 22:05:35.17 ID:ZDu28E3vo
八幡「……あんまり変なこと言うなよ、そろそろ冗談一つとってもマジにするぞ俺」

静「何年か前にも言ったよなあ……悪ふざけもほどほどにしておけよ雪ノ下陽乃」

陽乃「……メールはマジにとったくせに。静ちゃんもノリノリだったくせに」

八幡「あ?」

静「ああ?」

陽乃「なんでもない! よし、水足そう、水!」



材木座「ううむ、殺伐としてきたぞ。おっかない……」

309: 2013/12/13(金) 22:06:17.82 ID:ZDu28E3vo
八幡「ああー……! 家に帰りてぇー!」

材木座「我も帰りたい……」



八幡「ううううー小町ーこまちぃー」

陽乃「禁断症状が出始めたよ……」

八幡「小町ぃーお元気ですかー……今ぼくはー……夏の夕暮れにー……鍋を食べようとしていますうー」

静「うわごとまで言い始めたな」

310: 2013/12/13(金) 22:07:03.76 ID:ZDu28E3vo
八幡「誘拐されてー昼から晩までーもやしなのっ! 激辛なのっ!」

材木座「見るに堪えん、むごすぎる……平塚女史、雪ノ下殿、なぜこのようなことを……」

静「私は悪くない! 私は悪くない! 陽乃が、陽乃がやれって言うから……!」

八幡「私は家に帰ります。……ここにいると、バカの悪ふざけにイライラさせられる」



陽乃「逃がさん……八幡だけは」

材木座「あっ詰んだ」

311: 2013/12/13(金) 22:07:43.24 ID:ZDu28E3vo
八幡「材木座! この家から脱出できない!」

陽乃「……静ちゃんめ! こんな悪ふざけを実行するなど!」

静「……私を責めることはできまい。最初に言いだしたのは陽乃だ」

材木座「わかっていただろうにのう……八幡」

317: 2013/12/15(日) 10:39:11.20 ID:3miDvYuto
陽乃「冗談はさておいて、流石にいい感じになってきたねー」

静「コトコト煮込み始めてほぼ4時間、薄め始めて3時間弱……我ながらなんて休日の過ごし方だと思わなくもないが、とにかくどうにか食べられる感じだなあ」

八幡「やっと人間の食えるものになったか……ほれ材木座、行け」

材木座「唯一無二の親愛なる相棒よ、逝く刻は我ら常に共に逝こう。それがかつて交わした悠久の誓いにして永遠の絆」

八幡「クーリングオフしたいのですが、構いませんね!」

材木座「そんな、ひどい……」

318: 2013/12/15(日) 10:39:38.13 ID:3miDvYuto
静「いいから食うぞお前ら。いい加減食い終えてラーメンでも食いに行きたい」

陽乃「そんなお金無いでしょ?」

静「お前の奢りに決まってるだろ」

陽乃「はいい!?」

319: 2013/12/15(日) 10:40:22.59 ID:3miDvYuto
八幡「おっ? 奢りってのはいいなあ。そりゃあいいよ陽乃くん。ゴチになるねえ」

材木座「ゴラムゴラム! ならば疾く眼前の邪悪なるもやしを片付けなければな!」

陽乃「いや、私は別に、そんなつもりは一切ないんですけど!」



静「人の休日をくだらないことで潰しといてなんだ、えらく他人事じゃないか陽乃ぉ……」

八幡「俺に至っては再三言ったけど旅行直後の事態だからなこれ。お前ら本当に覚えとけよ」

320: 2013/12/15(日) 10:40:55.16 ID:3miDvYuto
静「私だって被害者だぞ! 仕返しなら陽乃にだけやれ! こいつだけだぞ何にも酷い目見てないの! もやしも食べてないし!」

陽乃「え、ちょっ静ちゃんそれは酷いって! 私だってもう飽きちゃって面倒だから帰りたいのに、みんなしていつまでもダラダラグダグダと食べてくれず帰らせてもらえないっていう被害を」

八幡「いい加減にしろよお前」

静「そろそろ私も冗談じゃ済ませられなくなってきたんだが」

陽乃「分かりました! ラーメンなりなんなりと奢らせていただきます!」

321: 2013/12/15(日) 10:41:33.03 ID:3miDvYuto
静「いい心がけだ陽乃くん」

八幡「最初からそう言っていればこっちだって変に頑なにならなくて済むんじゃないか」

陽乃「う、うううう。とばっちりだよー……」

材木座「完璧に自業自得だと思いまするが……とにかくそうと決まれば話は早い! ゆくぞ諸君!」

八幡「諸君じゃねえんだよボケ。お前が一番槍なんだよ」

材木座「はぷん!?」

322: 2013/12/15(日) 10:42:35.70 ID:3miDvYuto
陽乃「いーっき! いーっき!」

材木座「行けぬわ!? く、くう……このもやしを前にすると不思議と身体が震える……! 先ほどの体験が世界でも類を見ぬ程のトラウマになっておるわ……」

八幡「は? それはこれまでの人生が洒落にもならないトラウマばかりだった俺に対する挑戦状か何かですか材木座くん?」

静「まあその鍋食ったところで人格変わって目も腐る程のトラウマ負うことになるとも思えんわな。安心して逝け、材木座」

材木座「グウの音も出ぬとはこのことか……!」





陽乃「えらい言われようですな八幡さん」

八幡「事実なだけに返しようがないがとりあえずデブ、てめえさっさと食え」

323: 2013/12/15(日) 10:43:18.74 ID:3miDvYuto
材木座「む、むう……ぐぬぬ、南無三!」

陽乃「おっ食べた!」

八幡「どうだ、どうだ?」

静「水道代だってバカにならないんだ、頼むぞおい」




材木座「……ああ、うん。コホッ、普通に辛いっていうのかなこれ。ちょっと喉にくるだけで、食べられなくはないと思う」

324: 2013/12/15(日) 10:43:49.49 ID:3miDvYuto
八幡「かつてここまで素をさらけ出している材木座を見たことがないんだが俺」

陽乃「ある意味私より分厚い面の皮してるよね材ちゃん、生きててしんどくならない?」

静「よくある話だな、大した設定のないモブキャラと思っていたら実は一番ややこしいっていう」

材木座「主らちょっと酷過ぎやせんか? 至極まっとうに意見を述べただけではないか我」

八幡「んなこと言われても、そんなふっつーにコメントされたらなあ」

325: 2013/12/15(日) 10:44:16.08 ID:3miDvYuto
静「南無三とか言ってたのにな、せめてハイパー化くらいしろよ」

陽乃「いっそバイストン・ウェル行ってみる?」

材木座「氏ねって言ってる?! ねえ俺に氏ねって言ってるの?!」

八幡「だから素が出てるんだってばよお前。だがまあそうか……どうにか普通に食えそうだな、その様子だと」

静「ならもう早く食べよう。いい加減この赤いのも見飽きたよ」

333: 2013/12/18(水) 21:35:48.64 ID:kNY6a8o8o
陽乃「えーとひい、ふう、みい、と。お椀とお箸にお水、三人とも行き渡ったね!」

八幡「おう待てやこら」

静「当たり前のように自分だけ食う気ないなお前」

陽乃「私ラーメン奢る役だしぃー。この位いいでしょーそんなに辛くもなさそうなんだからさぁー」

材木座「うっぜえ……」

334: 2013/12/18(水) 21:36:27.63 ID:kNY6a8o8o
八幡「材木座にまで言われて恥ずかしくないのかお前」

陽乃「全然? え、だってほら、私って雪ノ下陽乃だし? むしろこれが本領ですけど?」

静「いっそ清々しい気分にすらさせてくれる性質の悪さだなあ」

八幡「自己申告してくる辺り大分丸くなってるとは思うけどな。もういいや、食おう……」

材木座「おお……八幡の目がかつての濁りを取り戻していく……よかった、ぼっちにあるまじきイケメンの比企谷八幡なんてどこにもいなかったんだね……」

335: 2013/12/18(水) 21:36:55.33 ID:kNY6a8o8o
静「こいつのどこがぼっちなんだ? というか八幡、流石に疲れてきてるんだな……無理もない。さっさと食って本当の意味で労ってやろうか……」

材木座「あともう少しだ、気張れよ八幡」

八幡「ああ、ありがとよ、二人共……」

陽乃「あれ、私への感謝は?」

八幡「お前はほんっと覚えとけよ。必ずこの恨み晴らすからな」

336: 2013/12/18(水) 21:37:29.27 ID:kNY6a8o8o
八幡「じゃあいただきます」

陽乃「……どう? どう? どうかな?」

静「……ッ、ンンッ、ッフ」

材木座「エフッ、オフッ」

八幡「ッ……スゥ、ハァー」

337: 2013/12/18(水) 21:38:25.57 ID:kNY6a8o8o
八幡「……食える。食えるけど、やっぱ辛い」

材木座「舌にいつまでもヒリヒリとした痛みが……」

静「冗談でも美味いとは言えんが、まあ、行けるか……」

陽乃「おお! よしよし、じゃあどんどん行こう!」

静「……食ってもない奴が一番はしゃいでるってどういうことだおい」

材木座「八幡よう、ちょっと本気で友人関係を見直したらどうだ?」

八幡「考えとく……とにかくさっさと食っちまおう……」

338: 2013/12/18(水) 21:39:00.13 ID:kNY6a8o8o
静「……あーっ、やっぱきっついなこれ」

八幡「薄くしようが何しようが、辛いもんは辛いからな」

材木座「……フーッ……フーッ……」

陽乃「材ちゃんから表情と言葉が消えてるんだけど」

339: 2013/12/18(水) 21:40:10.70 ID:kNY6a8o8o
静「ていうかすっごいな汗! やめろよ人の家で!」

八幡「自業自得だろ! ていうかやっぱ無理なんだって! デブに真夏に鍋食わせるなんてさあ!」

陽乃「いや呼んだの八幡でしょ!」

八幡「見ろよかわいそうに、なんか熱したフライパンの上の牛脂みたくなってるじゃねえかよ!」

材木座「……モフッフーゥ……スゥッハァーア……」

静「流石にラード扱いはやめてやれ……あー、休憩するか。一息入れよう」

340: 2013/12/18(水) 21:41:02.48 ID:kNY6a8o8o
陽乃「なんだかんだもう18時だねー……」

静「当初あったもやしも、どうにかあともう少しってところまできたわけだが」

材木座「おかしい……夏の休日とはここまで過酷なものだったろうか」

八幡「なんか塩ぶっかけた蛞蝓みてーになってるけどお前大丈夫かよ……」

静「人の、しかも女性の家でよくもそこまで汗を流してくれたな材木座ァ……」

341: 2013/12/18(水) 21:41:41.14 ID:kNY6a8o8o
材木座「無茶言わんでくだされ! クーラーだって大して意味もないこの熱気で一体どうしろと!?」

陽乃「まるでサウナだね……私もちょっと暑くなってきたなあ」

八幡「むしろお前らなんで汗の一つもかいてないんだよ……汗腺ぶっ壊れてんじゃねえのか……」

静「知らんのか? 美人は汗かかない!」

陽乃「およよー? もしかして八幡ってば、汗でしっとりべたついたお姉さん方のえOちぃ姿でも期待してたのかなー? かなー?」

342: 2013/12/18(水) 21:42:17.46 ID:kNY6a8o8o
静「えっ……あ、やだ、八幡たら、もう……ちょっとだけなら、見てもいいよ?」

八幡「どうしてそっち方面に話が行くんだよ馬鹿ども! てめえらまだ陽も落ちてないんだぞ! 未成年相手にちっとは自重しろ!」

材木座「哀れなり八幡……大人しくさっさともやし食べてラーメン食いに行こう。我もう疲れたよ……」

八幡「お前に慰められるのが個人的に一番堪える……」

材木座「ひっでぇ」

348: 2013/12/21(土) 10:03:53.45 ID:Rx+i4n9po
八幡「さて、いよいよラストスパートと行こうか……」

静「ほんっとうに長かった……お前を拉致ってからもうかれこれ6時間近くになるな……」

材木座「ついに拉致と認めおったな女史……しかしなんだ、この無駄な達成感」

陽乃「力を合わせて一つの目的に向かって邁進する……そうか、これが青春なんだね……」

349: 2013/12/21(土) 10:04:26.01 ID:Rx+i4n9po
静「休日になけなしの金使って来たくもない奴呼んで嫌がらせする青春?!」

八幡「まちがっているってレベルじゃねえだろ!」

材木座「我に至っては未だになんでここでこんなことしてるのかが不思議なのだが!?」

八幡「そもそもてめえもやしひとっつも食ってねえだろ! そんでなにが力を合わせてだよ!」

350: 2013/12/21(土) 10:05:15.14 ID:Rx+i4n9po
陽乃「だって私は企画立案司会進行役ですしー! こんなん食べてたら命がいくつあっても足りませんしー!」

八幡「あーっこの野郎! ついに開き直ったぞ!」

静「若干キャラ崩壊してるじゃないかおい! そこまでして食べたくないような代物を人に食べさせてるんじゃあない!」

材木座「もう、もうこの人ほんっと怖い……2次元帰りたい、帰りたい……」

八幡「落ち着け材木座、帰るも何も向こう側にはいけない」

静「いよいよ人格崩壊が始まりつつある……食べよう、食べなければ終わらない」

351: 2013/12/21(土) 10:05:49.04 ID:Rx+i4n9po
八幡「あー……」

静「……からっ……」

材木座「スゥーッ……スゥーッフ……」



陽乃「相変わらず食べてる間は静かだねー……お行儀いいねー」

八幡「行儀もクソも……喋るといてえんだもんよ……」

352: 2013/12/21(土) 10:06:44.94 ID:Rx+i4n9po
静「しかしこれ……もやしでよかったな、味は染み込んでない。絡まってる汁が氏ぬほど辛いだけだから……これがもし麸みたいな味の染み込みやすい食材だったら」

八幡「想像するだに恐ろしいんだよもう……黙って食えよもう……」

材木座「……ブモーッ……ブモホーッ」

陽乃「さっきから黙って食べてる人が一人、今にも氏にそうな様子ですが八幡さん?」

八幡「ちょっと今後悔してるんだから言うなよ……気安く呼びすぎた……」

静「お前に罪悪感持たせるとか、すごいな材木座……」

353: 2013/12/21(土) 10:07:28.91 ID:Rx+i4n9po
八幡「ついに……あと、一口か!」

静「長かったあ……長かったなあ……」

陽乃「もう19時を30分を回ったところだから、かれこれちょうど6時間たってるねえ」

材木座「……」

八幡「もう材木座に至っては喋る気力もないよ。なんか魂抜けてるよおい」

354: 2013/12/21(土) 10:08:18.25 ID:Rx+i4n9po
静「水やら勢いやらでごまかし続けてきたが……やっぱり無理があるぞ、これ……」

陽乃「それでもついにあと一口まで食べ尽くした皆様には尊敬の念を禁じえませんの、わたくし」

八幡「……。さて、そろそろ誰が最後の一口を食べるか」

静「誰がこの果てしなく意味のない迷惑行為に終止符を打つか、決めなくてはな。ところで八幡」

八幡「なんだよ」

355: 2013/12/21(土) 10:08:52.11 ID:Rx+i4n9po
静「提案なんだが、最後の一口はとある方に食べてもらおうじゃないか」

陽乃「えっ」

八幡「……ふん? 詳しく聞こうか静くん」

静「いやな八幡くん。私も人の子だから、この数時間お前や、まあ途中からだが材木座と共に苦痛を乗り越えてきたのだなあと思ったら、なんだか堪え難い感動がしみじみ湧いてきたのだよ」

八幡「……はあ。ほお。……で、なんだい」

356: 2013/12/21(土) 10:09:52.01 ID:Rx+i4n9po
静「たとえこのような、誰も得をしない狂ったイベントだとしても、やり遂げることには価値があると私は信じているのよ。だから、ね。八幡」

静「この悪夢を終えるにふさわしいと思える人に、最後の一口を食べて欲しいの」

陽乃「いや……ちょっと静ちゃん? なにを急にそんな女性口調に」

八幡「……続けてくれ静さん、いや、静」

364: 2013/12/22(日) 22:44:26.26 ID:Jkg2L1k4o
静「私たちのこのどうしようもない半日が、少しでも良い形に終わるように!」

陽乃「待って……待って静ちゃん」

静「今日という一度しかない日を、最高の思い出にするために!」

陽乃「いや、いやいや……この流れはマズイって……マズイんだって!」




静「この場において誰よりもふさわしい人物! すなわち! イベント企画立案司会進行を務め! 何一つ痛い目を見ること無かった雪ノ下陽乃さんに食べていただくのが最も素晴らしい終わりになるのではないだろうか!」

365: 2013/12/22(日) 22:45:01.48 ID:Jkg2L1k4o
八幡「素晴らしいッ! その提案、喜んで受け入れようッ!」

陽乃「素晴らしくないッ! ダメですッ認めませんッ!」

静「認めないのを認めませんッ! なんなら多数決を取りましょうか陽乃さん!」




静「最後の一口食べる人、だーれ、だ! ……ハイッ、雪ノ下陽乃!」

366: 2013/12/22(日) 22:45:35.74 ID:Jkg2L1k4o
八幡「陽乃」

材木座「……雪ノ下殿」

陽乃「ああっ!? 活動停止していた材ちゃんまでもが!?」

静「以上! 賛成多数により雪ノ下陽乃さんに決定いたしました!」

367: 2013/12/22(日) 22:46:06.48 ID:Jkg2L1k4o
陽乃「異議有り! これは不当な数の暴力であります! 裁判長!」

八幡「どうです裁判長」

材木座「……却下」

静「訴えは退けられました! これにて閉廷! 次に刑の執行に移る!」

陽乃「刑って言った! 刑って言ったよ今!?」

368: 2013/12/22(日) 22:46:46.62 ID:Jkg2L1k4o
静「とは言え最後のたった一口だ、そのまま食うんじゃ芸がない」

陽乃「なくて良いよ、なくて良いから!」

八幡「執行人執行人、そこで取り出しましたるはこちら、床に転がっておりました激辛一味唐辛子にてございます」

陽乃「……ぴぃっ!?」

369: 2013/12/22(日) 22:47:35.01 ID:Jkg2L1k4o
静「おお、よろしい! どうせ最後だ、華々しくせねばならんな!」

八幡「左様にてございますれば、ご覧あれ。ひとつ振りなばただの粉、ふたつ振りなば彼岸花、みっつ振りなばこれこの通り、血の池地獄にございます!」

静「いやはや天晴れ天晴れ! これぞ最期に相応しき鮮血の色なり!」

陽乃「ま、まっかっか……?! いや、いや、いやいやいやいや!」

370: 2013/12/22(日) 22:48:14.93 ID:Jkg2L1k4o
八幡「さささ、陽乃殿、召し上がれ」

陽乃「ふぇ、ふぇええええええ」

静「おや何を哭いておられるやら皆目検討もつかぬ。さささ、ほれ、ほれぇ」




陽乃「う、うう、うううううううう」

371: 2013/12/22(日) 22:48:53.03 ID:Jkg2L1k4o
八幡「ま、マジ泣きしてる……かわいそぉになあ」

静「そう言いつつ必氏に笑いを堪えてるあたり相当のサディストだなお前さん」

材木座「そういう平塚女史も満面の笑みではござらぬか……おっかねえ」

八幡「おっ、復活したか。一応聞いとくけど、大丈夫かよお前」

材木座「流石にこれ以上はそんなもん食べられないが大丈夫なり! 心配かけたのう朋友」

372: 2013/12/22(日) 22:49:22.24 ID:Jkg2L1k4o
八幡「そこまで舐めた減らず口叩けるんなら大丈夫そうだな、一応安心しといてやるよ」

陽乃「八幡……。わ、私も……私も心配してぇ……」

八幡「そこまで舐めた減らず口叩けるんなら大丈夫そうだな、一応安心しといてやるよ」

静「一言一句違わぬ台詞でも、まったく別の意味を持たせるとはな。教師である私ですら感服する次第だよ八幡」

383: 2013/12/28(土) 11:29:14.26 ID:2l5/zP+5o
陽乃「くぅっ……わかったよ、最後の一口だもん、食べるよ私だって」

静「悪はさった!」

八幡「地球は救われた!」

陽乃「氏ぬこと前提に話しないで!」

384: 2013/12/28(土) 11:29:53.39 ID:2l5/zP+5o
材木座「往生際が悪いですぞ雪ノ下殿……日本男児たるもの腹の括り時は弁えるもの」

陽乃「いや女だからね私、戸塚くんじゃあるまいし!」




陽乃「……わかった、わかりましたよ。ふんだ、みんなしていたいけな美少女を虐めてさ、良心ってものがないの? 私だってそんな非人道的なこと考えつかないよ」

385: 2013/12/28(土) 11:30:19.25 ID:2l5/zP+5o
八幡「考えついた結果が今のこの惨状だろうが」

静「お前に比べたら遥かに良心的だと思う」

材木座「最早開き直りすら通じない状況でござるな」

陽乃「いやもうほんと、まるで私を鬼か悪魔かのように言うね……」

386: 2013/12/28(土) 11:30:59.21 ID:2l5/zP+5o
八幡「だからお前自覚しろって。旅行直後の学生拉致して半日拘束して、自分は痛い目見ずに人の苦しむ姿見て愉悦に浸ってるような奴は鬼とか悪魔に分類されるの」

材木座「その内恩師とか手にかけそうであるな。笑いながら」

陽乃「かけないよ! 私どんなキャラなの!?」

静「ううむそうなると陽乃の前では油断を晒せんな……」

387: 2013/12/28(土) 11:31:43.15 ID:2l5/zP+5o
陽乃「安心してくれていいよ。静ちゃんを恩師だと思ったことなんて一瞬たりともないし」

静「……普通ならショックを受けるところなんだろうが……私も陽乃を教え子だと思った時期が短かったから特に何も感じるところがないなあ」

材木座「仲が良いというべきかなんというか……」

八幡「歪んでるんだよなあ根本的に」

388: 2013/12/28(土) 11:32:35.07 ID:2l5/zP+5o
静「そろそろいい塩梅だ、さあ食え」

陽乃「ううう……ええいままよ! はむっ」

八幡「本当に食いやがったこのバカ!」

材木座「食べると思っての行動ではなかったのか八幡!?」

389: 2013/12/28(土) 11:33:01.12 ID:2l5/zP+5o
静「いやあまさか開き直って食べるとはなあ……見くびっていたようだ!」

材木座「雪ノ下殿に負けず劣らずの悪鬼どもがここにおったか……」





陽乃「……グヘェッッッ」

材木座「およそ美人の上げてはならない声が今聞こえた?!」

397: 2013/12/29(日) 20:43:46.76 ID:UQKj9wevo
静「第3部完ッ!」

八幡「雪ノ下陽乃先生の来世にご期待下さいッ!」

陽乃「ウウウッ! ウウウウウゥゥゥ! ウ ボ ァ ー」

材木座「いやなんか悶絶しとるのだが?! これ耐性ないんじゃないの雪ノ下殿?!」

398: 2013/12/29(日) 20:44:24.81 ID:UQKj9wevo
八幡「まあおそらくは人生初であろう地獄級の辛さだろうしなあ。静さん、水の一つもくれてやったらどうだい。まったく気の利かない女だねえ」

静「この私をパシるとかお前も本当に性質が悪くなったよ。やれやれ、仕方ない」

材木座「早くしてやらんとなんかこれ、痙攣し始めたのだが……」

八幡「こんな程度でどうにかなるタマなら数年前にどうにかなっとったわ。おうこら、起きろッ!」

399: 2013/12/29(日) 20:44:52.02 ID:UQKj9wevo
陽乃「うひっ?! ……氏に体の、美少女に、蹴り……入れる、フツー!?」

静「文句言える余力があるなら氏に体とは言わん。ほれ、水だ。あとで金払えよ」

八幡「どこの世紀末だよ」

材木座「地獄の沙汰もなんとやらだのう」

401: 2013/12/29(日) 20:45:26.96 ID:UQKj9wevo
陽乃「あー、あー。まだ口の中ヒリヒリするー……」

八幡「みんなそうなってるからな随分と前から。他ならぬお前のせいでな」

陽乃「これ舌、血出てない? 八幡見てー」

八幡「知るか、出てねえよ。出てたって飲め」

静「舐めてー」

402: 2013/12/29(日) 20:45:56.92 ID:UQKj9wevo
材木座「ぶふもぅっ?!」

八幡「なにぃ!?」

陽乃「今の私じゃない! 静ちゃん声色真似ておかしなこと言わないで!」

静「男に自分の舌出して見てくれなんてもう舐めてと言ってるようなもんだろ貴様ァッ!」

陽乃「ちょっとしたスキンシップすらそんな解釈しちゃうの?! こじらせすぎだよ静ちゃん!」

403: 2013/12/29(日) 20:46:42.49 ID:UQKj9wevo
八幡「これが魔神アラフォーの実力か……」

静「アラサーだよゥッ! いやしかしな、あの舌出しは邪推するだろ!?」

材木座「いや正直ちょっと同感な部分が」

陽乃「材ちゃんまで!?」

404: 2013/12/29(日) 20:47:51.63 ID:UQKj9wevo
八幡「日頃男を手玉にとってばっかだからそういうオーラが滲み出ちゃってんだよ悪女」

八幡「大学で何人侍らせてんだか知らねえけど俺の前には引き連れてくんなよ。いつぞやみたくアホみたいな勘違いで敵視されたら堪らん」

陽乃「いやーあれから結構、数が減って助かってるんだよねー……というか別に侍らせてはいないからね」

陽乃「私に気に入られたい馬鹿な男たちが周りを飛び交ってるだけで、私はいたって清純だからね」

八幡「馬鹿な男とか言ってるよ。ほらもうこの時点でダメじゃん。性質悪いじゃん」

静「いいなあ、羨ましいなあ。私も欲しいなあ。よこせよ」

材木座「妖怪男おいてけとな」

静「男! 男おいてけ! なあおい!」

405: 2013/12/29(日) 20:48:22.79 ID:UQKj9wevo
陽乃「いやほら、静ちゃん。きっと近い内にでも良い人見つかるって、ね!」

八幡「お前その言葉去年にも吐いてなかったか」

材木座「おそらくは来年も吐くことになるのだろうのう……」

静「うううううう……格差が怨めしい……」

八幡「まああれだ、一歩ずついけ一歩ずつ。大事なのは真実に辿り着こうとする意思だって」

陽乃「静ちゃんはずっと終わりのないのが終わりな感じになってるけどねー」

416: 2014/01/03(金) 23:08:04.00 ID:OMBIpH2Po
八幡「食い終わったなあ……いやもう、言葉が」

静「苦節6時間30分……半日使って何してるんだ本当……悪かったな八幡、材木座」

材木座「まあ喉元過ぎれば何とやらでござろう。中々ない体験であったのう」

八幡「お前らに迷惑かけられるのもいつもっちゃいつものことだしな。別にもういいや」

陽乃「そうそう、大切なのは許容の心、寛大な精神なのだよ八幡くん? 私は今回そのことを伝えたくて」

八幡「あーラーメンじゃなくて回んない寿司とか食いたいなー! どうかな静さんー!」

417: 2014/01/03(金) 23:08:41.01 ID:OMBIpH2Po
静「いいねえ私だったら超高級中華とか食べたいなあ! あー友人に懐の深い金持ちの家の令嬢でそこはかとなく世の中舐めきってたけど最近になってようやく改心し始めたバカ女とかいないかなー!」

陽乃「ラーメンで! ラーメンでお願いします! あと静ちゃんすっごい辛辣!」

材木座「基本的にここはアウェイだと思っていただきたい雪ノ下殿」

陽乃「ここにこの面子を集めた立役者なのにアウェイ!?」

418: 2014/01/03(金) 23:09:12.03 ID:OMBIpH2Po
八幡「立役者だからアウェイなんだよ! いい加減にしろ!」

静「立役者っていうなら打ち上げだってきちんとしてもらうからなあ。おう行くぞお前ら、これからが本番だあッ!」

材木座「ヒャッハーッ! ステーキ寿司ピザラーメンだぁッ!!」

陽乃「ラーメンだけじゃないのォ!?」

419: 2014/01/03(金) 23:09:44.01 ID:OMBIpH2Po
静「なに舐めたこと言ってんだ馬鹿ちんが! いいから片付けろ馬鹿ども!」

八幡「少なくとも俺と材木座はあんたより馬鹿じゃねえだろ馬鹿。おうこら動けデブ、ステーキが待ってるぜおい」

材木座「ぽっちゃり系と言い直せい! そうか寿司か、回らない寿司か! 楽しみだわいのう!」

陽乃「ラーメン! ラーメンだから!! 何勝手に意味不明なメニューを加えてるの!?」

420: 2014/01/03(金) 23:10:13.39 ID:OMBIpH2Po
八幡「ここまでの所業がラーメンで贖えると本気で思っとったんかいお前」

静「共犯の私でさえうすら寒い思いがしてくるな……」

材木座「雪ノ下殿、やはり貴殿は人間ではない何か別の冷血動物なのでは」

陽乃「人間だよ!? 何みんなして突然ドン引きしてるの?!」

八幡「ずっと前からドン引きしとったわ馬鹿たれェッ!」

421: 2014/01/03(金) 23:10:43.92 ID:OMBIpH2Po
八幡「もういい! いいからさっさと食いに行くぞお前ら!」

静「その前に片付けていけよ。さすがにこのまま放置はまずい」

材木座「むう……終わってみれば行き絶え絶えの4人と殺人現場と見間違うような凄惨な光景……」

陽乃「だいたい静ちゃんと材ちゃんが汚してるよねこれ。あーもう、床にまでこぼしてさあ」

422: 2014/01/03(金) 23:11:13.88 ID:OMBIpH2Po
材木座「我は悪くねぇ! 我は悪くねぇ!」

静「陽乃が! 陽乃が食えっていうから!」

陽乃「にしたってこれは無いでしょー……子供が好き勝手暴れたみたいになってるよー」

八幡「つくづく仕方ねえなあ……オラオラさっさと洗うぞ、全部台所持ってけ」

423: 2014/01/03(金) 23:11:49.80 ID:OMBIpH2Po
静「よし、元通り!」

八幡「元通りも糞もお前、元々散らかってた衣服やらなにやらまで片付けさせられたんだけどそれは」

静「……元通り! よしじゃあ陽乃の奢りで食事に行こう」

材木座「無理やり話を締められた……もう別に構いもしませぬが……」

陽乃「本当に私がおごるのー? これじゃケチってもやししか使わなかった意味がさあ……って痛い!」

424: 2014/01/03(金) 23:12:26.28 ID:OMBIpH2Po
八幡「陽乃くん、もういい。もういいからそのネタは。これ以上俺の拳骨が火を噴く前に降伏しなさい?」

陽乃「こっ……これは弾圧っていうべき暴挙では?!」

八幡「やったらやりかえされるんだよ馬鹿たれ!」

材木座「『撃ってもいいのは……撃たれる覚悟のある奴だけだぜ、レディ』」

425: 2014/01/03(金) 23:12:57.00 ID:OMBIpH2Po
静「フィリップ・マーロウ」

材木座「イエス。でも、ノー。正確にはマーロウを模倣した鳴海壮吉」

八幡「アオイくんごっこは流石に若干マニアックだろ」

陽乃「ううう、皆が私を無視して名作アニメごっこを始めている……」

434: 2014/01/12(日) 20:00:22.48 ID:520k1teno
静「よし、じゃあいよいよ晩御飯食べにいくか、陽乃の奢りで」

八幡「ちょっと待て……ついでだから、愉快な仲間たちも呼ぼう」

陽乃「えっ」

材木座「なんだかんだ最終的にはいつもの馬鹿騒ぎ集団に行きつくのだのう」

八幡「当たり前だろ。お前らもあいつらも含めての俺たちだ」

435: 2014/01/12(日) 20:00:57.72 ID:520k1teno
陽乃「いやあの、大した更生ぶりだけどちょっとお姉さん的にはポイント低いかなあ!?」

静「お前的ポイントの減少よりも私たち的ポイントの増大の方が明らかに大きいからどうでもよかろう八幡。呼びたまえ。お前が私たちである為に」

八幡「大仰だな……今やっとる」

八幡「……おう沙希。一昨日ぶりだな」

436: 2014/01/12(日) 20:01:24.87 ID:520k1teno
八幡「悪い悪い、今まで厄介なのに捕まっててなあ。いや、いつもの馬鹿二人」

八幡「そんで陽乃が飯奢るつってんだけど、来るか? ん、よし。じゃあ駅前な」

八幡「なんなら家族も連れて来いよ。お前一人ってのも気が引けるだろ」

陽乃「いや八幡!? ちょちょっと待って!?」

八幡「あ? ノイズノイズ、気にすんな。じゃあ30分後に駅前で落ち合おうぜ、土産持って待ってるわ」

437: 2014/01/12(日) 20:01:52.43 ID:520k1teno
八幡「じゃあ次は大天使サイカエルだな」

陽乃「本当に呼ぶの!?」

八幡「彩加呼ばなかったら誰呼べってんだ!? ああ!?」

静「相も変らぬ盲信振り……」

438: 2014/01/12(日) 20:02:20.06 ID:520k1teno
材木座「最近では向こう方も満更ではないようだから困る……」

静「さいはちキテル……」

陽乃「きてない!」





八幡「……もしもし、八幡だ。彩加、久しぶりだなあ」

439: 2014/01/12(日) 20:02:47.76 ID:520k1teno
八幡「ああ、俺も寂しかったよ。今だって声だけじゃ足りない、彩加の存在やぬくもりを体中で味わい尽くしたい」

八幡「冗談なもんかよ! 俺にはお前しか見えない……なあ、今から会えないか? 氏ぬほどどうでもいい馬鹿が一匹、殊勝にも日頃の感謝を込めて俺らに奢ってくれるらしい。それすらもどうでもいいんだが彩加、お前に会いたい」

八幡「ああ、来てくれるか! ありがとう彩加。一秒でも早くお前の姿が見られることを楽しみにしてるよ。……ああ、30分後に駅前だ。じゃあまたな。今度会ったら抱きしめるぜ、彩加」

440: 2014/01/12(日) 20:03:15.07 ID:520k1teno
八幡「よしじゃあ彩加を待たせちゃいかん、行こうか……ん?」

材木座「……」

静「……」

陽乃「……」

八幡「……なんだおい。言いたいことがあるなら言えよ」

441: 2014/01/12(日) 20:03:41.15 ID:520k1teno
静「気持ち悪い」

陽乃「地獄に落ちろ」

八幡「ひでぇ!?」

材木座「親友がいつの間にか洒落で済まされないショタコンになっていたでござる」

八幡「彩加は同い年だろ!? 確かに見た感じ10代前半の美少女だけど!」

材木座「言い逃れにすらなってない……だめだ、こいつ……」

448: 2014/01/19(日) 23:23:15.78 ID:Ytd9LIaLo
材木座「我も最初からずっと友人だと思っているぞ八幡。いまでは心友であるが!」

八幡「黙れぽっちゃり系。貴様の奇行に現在進行形で付き合わされている身にもなれ」

静「それでもちゃんと付き合ってやってるんだな、八幡?」

八幡「……うっせーばか。お前の知ったことか!」

陽乃「わあ顔真っ赤。ほんっと材ちゃんにはツンデレだよねー」

449: 2014/01/19(日) 23:23:51.15 ID:Ytd9LIaLo
材木座「我もう八幡でいいや。戸塚殿とは違うベクトルで美少年系だし?」

八幡「気持ち悪い!」

陽乃「地獄に落ちて!」

静「もしもし警察ですか! 巨体の不審者が若干美青年を追い回しているんですが!!」

材木座「やめて! マジやめて! 最近よく職質受けるの!」

八幡「もう滲み出てるんだなホ〇デブ不審者オーラが! ていうか若干ってなんだ!」

450: 2014/01/19(日) 23:24:19.14 ID:Ytd9LIaLo
八幡「くそっ、俺の貞操が危うい! 早く駅行って沙希に退治してもらおう!」

陽乃「女の子に守ってもらうんだ……いや確かに沙希ちゃん強いけど」

静「ヒーローとヒロインの立場逆だなあ」

材木座「というか退治されるの我!? 川崎女史めっちゃ強いの!?」

451: 2014/01/19(日) 23:24:47.17 ID:Ytd9LIaLo
八幡「ケン・イシカワ世界でやってけるくらいには強いんじゃね?」

静「人類最強クラスじゃないか……」

陽乃「目とかグルグルしてないよね?」

材木座「その内真理とか宇宙とか生命について何か悟りきったようなこと言い出しそうなのだな……?」

八幡「多分人類以外には容赦ないから頑張れよハチュウ人類。花くらいは添えてやる」

452: 2014/01/19(日) 23:25:19.69 ID:Ytd9LIaLo
材木座「人間! 人間だから我! 別に宇宙から飛来した謎のエネルギーが弱点とかじゃないから我!」

陽乃「むしろハチュウ人類相手に特攻していくキャラだよね」

静「そして遠い未来に宇宙で侵略の限りを尽くすのか。なんだやっぱり悪じゃないか警察警察」

材木座「俺が悪かったですみなさん! どうもすみませんでした警察だけは勘弁してください!」

453: 2014/01/19(日) 23:25:46.81 ID:Ytd9LIaLo
八幡「これに懲りたら業の深い性癖とは縁を切れよ」

材木座「ははーっ」

陽乃「……ついさっき彩ちゃんをあれだけ口説き倒した男の言うこととも思えないよね、それ」

八幡「口説いてない。あれは呼吸音だ」

静「息を吐くように男に睦言囁くのか!? 私に囁けよ畜生!」

八幡「彩加に生まれ変わってからならいいぞ」

454: 2014/01/19(日) 23:26:41.16 ID:Ytd9LIaLo
八幡「……うし、じゃあ行くか。忘れ物ないなお前ら」

静「そもそも夕食に行くだけだから荷物も何もないからな」

陽乃「途中コンビニ寄るよ……貯金下ろさなきゃ……」

材木座「ゴチになりますのう!」

455: 2014/01/19(日) 23:27:11.04 ID:Ytd9LIaLo
陽乃「こんなことなら八幡拉致しなきゃ良かった……八幡のばか」

八幡「こいつ……」

静「何にも悪びれてないな……」

材木座「ところで八幡よ。妹君は呼ばぬのか?」

456: 2014/01/19(日) 23:27:50.61 ID:Ytd9LIaLo
八幡「もう家じゃ夕食終わってるだろうしな。それに小町に夜遊びさせられない」

静「流石のシスコンだが……父兄が認めない以上、教師としても認められないからな」

陽乃「……多分大志君来るよ。お姉さんに引っ付いて。いいの静ちゃん」

静「家族の許可は得るだろう? いいじゃないかそのくらい」

457: 2014/01/19(日) 23:28:20.62 ID:Ytd9LIaLo
八幡「つうか沙希が保護者扱いでいいだろ。……うし、戸締りいいな。行くぞー」

材木座「ヒャッハー暴飲暴食だー!」

静「他人の金で呑む酒はうまい!」

陽乃「やめてー! わ、私の諭吉が泣いているうううう!」

458: 2014/01/19(日) 23:29:55.63 ID:Ytd9LIaLo
八幡「いい加減あきらめろ陽乃」

陽乃「八幡……私の何が間違っていたのかなあ……」

八幡「間違ってたも何もお前……いや」



八幡「……」

陽乃「? ……八幡?」

459: 2014/01/19(日) 23:30:51.85 ID:Ytd9LIaLo
本日は以上になります。
後は簡素ながらエピローグ投下して終わりになります。ぜひご覧ください。
次回はまた来週末にでも。

ありがとうございました。

460: 2014/01/19(日) 23:48:27.58
乙です

462: 2014/01/27(月) 21:55:46.86 ID:TbZCHa5/o
投下したいと思います。

463: 2014/01/27(月) 21:56:38.56 ID:TbZCHa5/o
かつて考えられなかった現在。きっと認められなかっただろう関係。

それでも今はこれでいいと信じられる。きっとこれからも信じていける。


多くのことが変わっていった。彼も、多くのことを変えていった。

けれど確かに変わらずにいる想いもある。

464: 2014/01/27(月) 21:57:33.33 ID:TbZCHa5/o
それこそが間違っていると言われるのかもしれない。

間違っているからこそ、彼は多くの失敗を引き起こしてきたと言う者も確かにいるのだろう。



だけど間違っている彼が、今の彼へと導いてくれた。

間違っている想いでも、確かに救えた人がいた。

絶望の底にいた彼を助けてくれた縁を繋げてくれた。



その結果今、ここにこうして生きている。

465: 2014/01/27(月) 21:58:03.83 ID:TbZCHa5/o




だから比企谷八幡は胸を張ってこう言うのだ。

466: 2014/01/27(月) 21:58:50.53 ID:TbZCHa5/o

八幡「……いいじゃねえか、間違ってたって。……これはこれで、いいんだよ、きっとさ」

陽乃「いや……いやいやいや何を神妙に。間違っていたから諭吉さんがですねえ……」



陽乃「……」



陽乃「……うん。まあ、いいか。きっと楽しいもんね。これがいいや」

467: 2014/01/27(月) 21:59:22.74 ID:TbZCHa5/o
互いに笑い合う。きっと間違っていなければこんな風な関係にもならなかったのだろう。

こいつとも。あいつとも。そいつとも。誰かとも。

468: 2014/01/27(月) 21:59:54.70 ID:TbZCHa5/o
静「おーい行くぞ八幡、陽乃」


材木座「何を笑い合っとるかリア充めが!」





陽乃「……行こ、八幡!」

469: 2014/01/27(月) 22:00:42.42 ID:TbZCHa5/o
迷いはある。

失敗も数知れないし、得たものより失ってきたものの方が多い。




これからもきっとそうなのだろう……彼が比企谷八幡である限り。

470: 2014/01/27(月) 22:01:24.95 ID:TbZCHa5/o
それでも。

青春ラブコメは間違っていたけれど、歩んできた道はこれで良かった。





そう信じて、これからどんな風にでも生きていきたい。

比企谷八幡は、そう思うのだ。

471: 2014/01/27(月) 22:01:54.41 ID:TbZCHa5/o




八幡「……おう!」

472: 2014/01/27(月) 22:02:24.42 ID:TbZCHa5/o




いつかまたどこかで、繋がる縁がきっとあるから。

473: 2014/01/27(月) 22:12:09.45 ID:TbZCHa5/o
これにて本当に終了になります。至らぬ点の多い駄文ではございましたが、ご覧いただきありがとうございました。
8巻を読んでモヤモヤして、それをどうにかしたくて書き始めました。3か月かかるとは思いませんでしたが、どうにか書き終えて一安心です。


476: 2014/01/27(月) 22:17:21.63
大変乙でした
面白かったよー
弄られるはるのん可愛い

477: 2014/01/27(月) 22:32:24.98


引用元: 比企谷八幡「だれかが風の中で」