1: 2009/12/19(土) 21:15:17.68
古泉「ええ、そうです」

キョン「メチャクチャ?」

古泉「メチャクチャです」

キョン「メチャクチャと言われてもいまいちよく分からんな」

キョン「そもそもあいつの能力は、それこそ世界を作り変えちまうほどのものだろ?」

キョン「それよりもさらに強力って、どういうことだよ?」

古泉「そういう強力とはちょっと違うんですよ……おっと、続きはまた後で」

ハルヒ「やっほー! みんな揃ってる?」バァン

キョン「でかい声を出すな。相変わらず騒々しい奴だな」

長門「……」

4: 2009/12/19(土) 21:18:10.88
ハルヒ「あれ? みくるちゃんは?」

キョン「まだ来ていない。掃除当番じゃないか?」

ハルヒ「そう。走ってきたから何か喉乾いたわ」

キョン「普通に歩いてくればいいだけだろうが」

ハルヒ「あー、みくるちゃん早く来ないかしら?」

古泉「あ」

キョン「ん? どうした古泉?」


「ヒィヤァァァァァァ!!!!」


キョン「い、今、遠くのほうから悲鳴が聞こえてきたような……?」

5: 2009/12/19(土) 21:21:06.71
「ヒャアア!! キィヤアアアアアアアアア!!!!」


キョン「な、何だ? 悲鳴がどんどん近づいてきてるぞ」

ハルヒ「騒々しいわね。迷惑だわ」

キョン「お前がそれを言うか……しかし、いったい誰が」ガチャ


みくる「ひっ! ひゃっ! あ! きょ、キョンくーん!!」

キョン「あ、朝比奈さん!? 朝比奈さんが凄い勢いでこっちに! 何してるんですか!?」

みくる「か、身体が勝手に! と、止まらないんですぅー!!」

キョン「うわ!! ぶつかる!!」


ドシーン!!

6: 2009/12/19(土) 21:24:07.34
みくる「きゅう……」

キョン「痛て……あ、朝比奈さん、大丈夫ですか?」

ハルヒ「ちょっとちょっとみくるちゃん!! どうしたのよ!!」

古泉「ああ、やはりこうなってしまいましたか」

みくる「あ、あ、あたしにも何が何だか……急に身体が勝手に動き出して……」

キョン「身体が勝手に? って、うわ!! 朝比奈さん、そ、それ……」

みくる「え? それって…………ひゃあああああああ!!!!」ガバァ!!

キョン「な、何でお尻丸出しなんですか……?」

みくる「これはその!! 用を足している時に身体が勝手に動き出しちゃったから、その……」

ハルヒ「こらキョン!! みくるちゃんに何してんのよ!!」ゴンッ!!

キョン「俺のせいじゃねぇ!!」

7: 2009/12/19(土) 21:27:07.96
キョン「あの朝比奈さん、何かすみませんでした」

みくる「キョンくんは何も悪くないですよ。あたしの方こそぶつかっちゃってごめんなさい」

ハルヒ「大丈夫なの、みくるちゃん?」

みくる「あ、はい平気です。もう大丈夫です」

ハルヒ「そう。じゃあ早くお茶淹れてくれる? もう喉がカラカラなのよ」

みくる「はぁい」


キョン「で、古泉よ。ひょっとしてこれがさっき言ってた……」

古泉「ええ、強力になった涼宮さんの能力の影響です」

古泉「先程涼宮さんが『みくるちゃん、早く来ないかしら?』と言っていたでしょう?」

キョン「それで強制的に部室まで連行されたってことか?」

古泉「その通りです。朝比奈さんの意思に関係なく、です」

8: 2009/12/19(土) 21:30:08.61
キョン「ん? そうだとしても何をいまさらという感じなんだが。今までにもそういうことはあっただろう」

古泉「確かにそうです。特に映画撮影の時が凄かったですね」

キョン「ミクルビームとか、鳩の色を変えたり、季節外れの桜を咲かせたり好き放題やっていたじゃないか」

キョン「あの時もハルヒがしたいと思った事を口に出すたびに、現実になっていっただろ。どう違うんだ?」

古泉「あなたは涼宮さんが願望を叶える際、どのようにして実現させていると思っていますか?」

キョン「は? そりゃあ自分のやりたいことを強く念じて……」

古泉「それですよ。涼宮さんはあくまで『自分のやりたい事、自分自身の願望』を実現させてきたんですよ」

古泉「ところが今の状態は『涼宮さんの願望』を実現するのではなく『涼宮さんが口に出した事』を片っ端から実現させているんです」

古泉「今までにも罰として裸でグラウンドを走る事とか遅れたら氏刑と言われた事もありましたが、それは現実にはなっていないでしょう?」

古泉「それは涼宮さんが本気で望んでいなかったからです。しかし、今はたとえそれが本心でなかったとしても実現されてしまうんです」

キョン「つまり今、ハルヒに『氏ね』と言われたら?」

古泉「氏にます」

キョン「『地球滅びろ』と言ったら?」

古泉「滅びます」

11: 2009/12/19(土) 21:33:07.93
キョン「おいおい! メチャクチャやばいじゃないか! どうするんだよ!?」

古泉「現状では有効な打開策はありません。何とか刺激しないようにするしか」

ハルヒ「ねえ、いい加減に隅っこで何かコソコソするのやめてくれない?」

キョン「うおっと、あー、そのだな……」

古泉「失礼しました。話はもう済みましたので」

キョン「おい、いいのかよ?」

古泉「仕方ありません。また後ほど」


みくる「あの、涼宮さん、お茶です」

ハルヒ「ありがと。あれ? みくるちゃん、メイド服着てないじゃないの」

みくる「え? あ、忘れてました! すぐに着替えます!」

ハルヒ「あ、ちょっと待ってみくるちゃん」

みくる「あ、はい」ピタッ

ハルヒ「う~ん……」

長門「……」ペラッ

13: 2009/12/19(土) 21:36:07.60
ハルヒ「いつもいつもみくるちゃんばかりが着替えるんじゃ芸がないわね」

みくる「え? そ、そうですか」

ハルヒ「ねえ有希、今日は有希がメイド服を着てみなさい」

長門「了解した」スクッ スタスタ

ハルヒ「あら? 案外あっさりOKするのね」


キョン「これはハルヒの能力のせいか? ただ単に長門が断らなかっただけか?」

古泉「どうやら長門さんでも今の涼宮さんの発言には抗えないようです。ほら、本が開きっぱなしで床に」

長門「……」ゴソゴソ

キョン「本当だ……長門があんなことするとは思えないしな……」

長門「……」ヌギヌギ

古泉「どうやら予想以上ですね。さて、どうしたものでしょう」

ハルヒ「ちょっとあんた達! 有希が着替えてるんだからさっさと外に出なさい!!」

キョン「うわっ!! あまりに自然に脱ぎだしたからつい!!」

古泉「大変失礼しました。では」ガチャ

14: 2009/12/19(土) 21:39:07.91
キョン「やれやれ。で、話の続きだが、いつからハルヒはあんな状態になってるんだ?」

古泉「30分ほど前からです」

キョン「ついさっきじゃねえか!! というか何でそんなことが分かったんだ?」

古泉「分かってしまうから、としか言えませんね。初めて超能力者になった時のように……」

キョン「何でハルヒはそんな状態になっちまったんだ?」

古泉「それはまだ分かりません。長門さんにも相談したかったのですが、その前に涼宮さんが来てしまいましたので」

キョン「そうか。それでマジでどうするんだ? いっそのことハルヒを眠らせるなりなんなりすれば」

古泉「涼宮さんに手出しするのは得策ではありません。下手に刺激するとそれこそ最悪の事態になりかねません」

キョン「まさかずっとこの状態が続くのか?」

古泉「いえ、おそらくですがそんなに長くは続かないと思われます。いずれ元に戻るかと」

キョン「何だ、そうなのか」

15: 2009/12/19(土) 21:42:07.41
古泉「正確な時間は長門さんに聞いてみなければ分かりませんけどね」

キョン「じゃあ下手に刺激するよりは、おとなしく耐えながら時間が来るのを待ったほうがいいな」

古泉「現在機関で対策会議が行われていますが、おそらく同じ結論が出ると思います」

古泉「もっとも周りにあまり迷惑がかからないように手配する必要はありますが」

キョン「いい加減こういったトラブルに慣れてきてる自分が怖いな…………ん?」

古泉「どうしましたか?」

キョン「さっきから悪いほうにばかり考えてるが、使いようによっては大チャンスじゃないかこれ?」

キョン「たとえば『キョンは頭がよくなる』とか言ってもらえれば、勉強をする必要がなくなる!」

古泉「涼宮さんの能力を私利私欲に使うのは感心しませんね」

古泉「それに、そう都合よく涼宮さんがそのようなことを言ってくれると思いますか?」

キョン「う……確かにあいつのことだから、罵りの言葉とともに真逆の事を言ってきそうだな……」

古泉「でしょう。あまり変な事を考えず、極力能力を使わせないようにしていきましょう」

17: 2009/12/19(土) 21:45:07.66
ハルヒ「2人とも、入っていいわよー」

古泉「おや、お許しが出たようですね」

キョン「長門のメイド姿か、どれどれ……」ガチャ

キョン「おお……」

古泉「これはこれは」

長門「お帰りなさいませご主人様」

ハルヒ「違う違う有希! もっと感情を込めて!」

長門「お帰りなさいませ♪ ご主人様ぁ♪」ニコッ♪

キョン「おふっ!!」

古泉「とても似合っていますよ長門さん、可愛らしいです」

キョン「普段とのギャップがたまらんな」

みくる「……」ムー

古泉(おや? ライバル心でも芽生えたのでしょうか?)

ハルヒ「そうでしょ! 似合ってるでしょ! ただ胸のところが余ってるのが難点だけどねー」

長門「……」ムー

20: 2009/12/19(土) 21:48:08.63
ハルヒ「いい有希? メイドというのはね……」

古泉「熱く語り始めましたね」

キョン「まさか全世界のメイドさんに影響が出るんじゃないだろうな?」

みくる「あの、キョンくん、古泉くん」

キョン「朝比奈さん。めずらしくハルヒから解放されましたね」

みくる「その、さっきのアレはやっぱり涼宮さんの……?」

キョン「ええ、実はですね」

ハルヒ「みっくるちゃーん!」

みくる「ひゃ! あ、はい、何でしょうか?」

ハルヒ「ごめんね、みくるちゃんのことも忘れてないからね。拗ねてない?」

みくる「いえ、そんな…………そんなことありませんよーだ」ツーン

キョン(拗ねちゃったよ……)

ハルヒ「あんもー、そんなみくるちゃんも可愛い! 食べちゃいたいくらいよ!!」ギュウウウ

キョン「あ」

25: 2009/12/19(土) 21:51:07.30
みくる「あ、あのぅ、涼宮さん?」

ハルヒ「みくるちゃんの胸、とってもおいしそうね……」

みくる「え?」

ハルヒ「フトモモもこんなにムチムチしてて……フヒッ!!」ジュルリ

みくる「す、涼宮さん! 目が、目が怖いです!?」

ハルヒ「いただきまーっす!!」カプッ!!

みくる「ひゃあああ!! 痛い痛い痛い!!」

ハルヒ「アグアグ」

キョン「こ、こらハルヒ! やめんか!!」

古泉「涼宮さん、落ち着いてください!」

ハルヒ「何よー、邪魔しないで!」

キョン・古泉「はーい」

28: 2009/12/19(土) 21:54:09.19
みくる「キョンくーん! 古泉くーん! 助けてぇぇ!!」

キョン「た、助けたいのは山々なんですけど、助けに入れない!?」

古泉「邪魔するなと言われてしまいましたからね」

ハルヒ「うひひひひ!! こっちもおいしそうねぇ~……」ススッ

みくる「涼宮さん!! そこは駄目!! 駄目ですぅ!!」

長門「……」スタスタ

キョン「ん? 長門? 何をするつもりだ?」

古泉「何やら紙を持っていますね」

長門「涼宮ハルヒ」

ハルヒ「何よ有希?」

長門「これを読んで」

ハルヒ「何よ、この『やめる』って? 何か意味が…………や~めた」パッ

みくる「はうぅ……」ドサッ

30: 2009/12/19(土) 21:57:07.88
古泉「おお、さすが長門さんですね」

キョン「こんな単純な手で……この手を使えば大丈夫なんじゃないか?」

古泉「いえ、あんまり続けて使うと怪しまれてしまいますから、そう何度も使える手ではありません」

キョン「だよなぁ……」

みくる「はあ……はぁ……はう……」

キョン「朝比奈さん、大丈夫ですか?」

みくる「な、何とか、大丈夫です……危ないところでした……ありがとうございます長門さん」

キョン「よくやった長門」

長門「……」コクッ


ハルヒ「はあ、身体動かしたから小腹がすいてきたわね」

ハルヒ「何か甘いものが食べたいわ。ケーキとか」

34: 2009/12/19(土) 22:00:08.54
キョン「あいつ! また余計な事を……」

古泉「今度は何が起こるのでしょうか?」


ドタドタドタドタ!!!!


ケーキ屋「へいお待ちぃ!! ケーキお持ちいたしやしたぁ!!」バァン!!

キョン「うわぁ!! びっくりした!!」

ケーキ屋「こちら当店自慢の高級チョコレートケーキでございやす!! お召し上がりくだせぇ!!」コトッ

ハルヒ「は、はぁ、どうも」

ケーキ屋「ではでは!!」ゴソゴソ

キョン「お、おい、何で俺のカバンを漁ってるんだよ?」

ケーキ屋「代金700円! 確かに頂戴いたしやす!!」

キョン「あああ!! 俺のサイフ!! 返せ!!」

ケーキ屋「ええい!! 離せ離せ!!」ゲシゲシ

35: 2009/12/19(土) 22:03:08.69
ケーキ屋「毎度おおきに! 失礼いたしやしたぁ!!」


バタンッ!! ドタドタドタドタ……


キョン「くそ、持ってかれた……」

ハルヒ「ケーキ屋さんに出前なんてあったのね。あんたも気が利くじゃない」

キョン「俺が頼んだんじゃねえよ……」

ハルヒ「あら、このケーキ凄くおいしいわね」パクパク

キョン「そうかい、よかったな」

ハルヒ「でもあたし1人で食べるのも悪いわね。どうせなら人数分頼めばよかったのに」

キョン「げっ!!」


ケーキ屋「どうも!! お待たせいたしやしたぁ!!」バァン!!

キョン「来るなぁ!!」

36: 2009/12/19(土) 22:06:08.01
キョン「くそっ、結局人数分の金取られちまった……」

古泉「とんだ災難でしたね」

ハルヒ「何をブツブツ言ってんのよ。みんなも早く食べなさい、おいしいわよ」

みくる「あ、はい、いただきます」

キョン「ちくしょう、ホントに美味いなこのケーキ……」モグモグ


ハルヒ「ごちそうさま! さぁて、ネットでもしようかしら」

キョン「おのれハルヒ。この恨み晴らさでおくべきか……」

古泉「変な事はしないでくださいよ」

キョン「分かっている。失った金を取り戻すだけだ」キュッキュッ

みくる「何を書いてるんですかぁ?」

『キョンは金持ちになる』

キョン「これをあいつに読ませる!」

古泉「全然分かってないじゃないですか……」

37: 2009/12/19(土) 22:09:07.63
キョン「なあ、ハルヒ」

ハルヒ「何よ?」

キョン「ちょっとこれ、声に出して読んでみてくれないか?」

ハルヒ「読むって……はぁ? 何よこれ?」

キョン「まぁいいからいいから。サラッと」

ハルヒ「たくもう、分かったわよ」

キョン(よっしゃ!!)

ハルヒ「『キョンは貧乏になる』」

キョン「おい!!!!」


ボゥッ!!


みくる「ひゃ!! きょ、キョンくんのカバンから煙が!?」

キョン「ま、まさか!!」ガバッ

キョン「あーー!! サイフが!! サイフが燃えてる!!」

40: 2009/12/19(土) 22:12:09.94
ハルヒ「何よあんた? こっそりライターでも持ってきてたの?」

キョン「燃え尽きた……俺の全財産が塵一つ残さず……」

古泉「だから変な事はしないほうがいいと言いましたのに」

キョン「なあ、ちょっとハルヒ燃やしていい?」

古泉「落ち着いてください。失ったお金なら、後で機関から渡してもらえるよう頼んでみますから」

キョン「え? いいのか!」

古泉「涼宮さん絡みのアクシデントですからね。仕方ないです」

キョン「助かる。しかし、これであいつに下手に何かを言わせないようにした方がいいってのはよーく分かったな」

古泉「あまり気にしすぎていても仕方ありません。ここはいつも通り過ごしながら様子を見ましょう」スッ

キョン「オセロか。こんな状況で楽しめるとは思えんがな」

みくる「あ、あたしは編み物でもしてますね。何もしてないと不自然ですから」

42: 2009/12/19(土) 22:15:07.00
ハルヒ「うーん……」カチカチ

キョン「ハルヒは相変わらずネットか。何か妙なものを見つけなければいいんだが」パチッ

古泉「そうですね。実際に興味を持っても口にさえ出さなければ大丈夫なのですが」パチッ

みくる「あうう、何だか怖いです……」

長門「……」ペラッ

キョン「長門はメイド姿のままで読書か。せっかく着替えさせたのに、飽きるのも早いんだなあいつ」

ハルヒ「ねえキョン」

キョン「うぇ! あっと、な、何だ?」

ハルヒ「やおいって何かしら?」

キョン「やめてくれ!!」

45: 2009/12/19(土) 22:18:09.99
ハルヒ「あーもー! 何にも面白いもの見つからないわねー!!」

キョン(お、やった。ああ言ったってことは、もう変なものを見つける心配はないな)

ハルヒ「はあ、暇ね。退屈だわ!!」

キョン「ん? あれ?」

古泉「おや? これは……」

キョン「何か今やってるオセロが恐ろしくつまらなく感じてきたぞ……」

古泉「僕もです。もう、やってられません!」

みくる「やーめた」ポイッ

長門「……飽きた」パタン

キョン(長門が読書を放棄するとは……あらためて凄い効果だな……)

ハルヒ「あら、もうこんな時間?」

46: 2009/12/19(土) 22:21:07.59
ハルヒ「それじゃ明日はいつも通り不思議探索よ! 駅前に9時ね!」

ハルヒ「キョン、遅れたら氏刑だからね」

キョン「うげ……わ、分かった……」

ハルヒ「それじゃ戸締りよろしくね! お先!」バタン


古泉「おやおや、何気に大変なことになりましたね」

キョン「いつもだって遅刻はしてないってのに……やれやれ」

みくる「気をつけてくださいね、キョンくん……」

長門「……」

キョン「おっと長門、先に着替えてくれ。その後でじっくり対策を練ろう」

長門「了解した」

キョン「それじゃ外に出て待ってるぞ」

バタン

53: 2009/12/19(土) 22:24:08.29

キョン「さーて、不思議探索か。街中に出る分、今日よりやばいかもしれんな」

みくる「そうですね、大騒ぎにならないといいんですけど」

キョン「あれ? そういえば……」

古泉「どうかされましたか?」

キョン「俺はサイフを燃やされ、長門はメイド姿にされ、朝比奈さんは襲われかけ……」

キョン「よく考えたらお前だけ特に被害を受けてないな」

古泉「別にいいではないですか、そんなこと」

キョン「いや、何かむかつく。今からでもハルヒに……」

古泉「うはははは!! そんなことはよそうぜ、うはははは!!」

キョン「うわ!! びっくりした!! いきなり何だ古泉!?」

古泉「分からぬ!! いきなり口調が!! ばははははは!!」

みくる「あ、ひょっとして涼宮さんが……」

56: 2009/12/19(土) 22:27:08.45
キョン「でしょうね。おそらく独り言か何かで……しかしどう言えばこんな状態になるんだ?」

古泉「ぶはははは!! 困ったものですなぁ!! ばはははは!!」

キョン「鬱陶しいな!! ちょっと黙ってろ!!」

古泉「ひっど!! うはははは!! ぶわはははは!!」

みくる「古泉くん……」


ガチャ


長門「……」

キョン「お、長門、早かったな……ってメイド服のままじゃないか。どうしたんだ?」

長門「脱げない」

キョン「え?」

長門「メイド服が脱げない」

58: 2009/12/19(土) 22:30:07.68
キョン「へ? 脱げないってどういうことだ?」

古泉「ぶはははは!! おそらくぅ!! 涼み」

キョン「うるさい!! お前は黙ってろ!!」

みくる「えっと、涼宮さんが『メイド服を着ること』って言ったきりだから、脱げないんじゃないですか?」

キョン「つまりハルヒからお許しが出ない限り脱げないと……まったくもう……」

キョン「ちょっと待ってろ長門、今ハルヒに電話するから」ピッ


ハルヒ『何よ? 何か用?』

キョン「あーそのだな、長門にもうメイド服を脱いでもいいって言ってやってくれないか?」

ハルヒ『はあ? そんなの別にあたしが言わなくたって』

キョン「えっと、以前孤島でもお前の『ドアを開けるな』という言いつけを頑なに守ってたことがあったろ?」

キョン「長門はそういう変に意固地なところがあるんだ。だからさ……」

ハルヒ『ふーん、まぁいいわ。有希に代わって』

ハルヒ『有希、もうメイド服着替えてもいいわよ。ご苦労様』

長門「了解した」

61: 2009/12/19(土) 22:33:08.27
キョン「やれやれ、面倒くさい奴だな」

古泉「ばはははは!! ぶぉくは!! 何故ぶぉくを戻すように頼んでくれなかっふわはははは!!」

キョン「あ、忘れてた。けどお前の場合どう説明すればいいのか分からんしなぁ」

古泉「ごはははは!! 惨し!! 恨めし!! うひゃはははは!!」

キョン「やかましい!!」

長門「着替え終わった」ガチャ

キョン「おっ、そうか。それで長門よ、ハルヒのあの状態はいつまで続くんだ?」

長門「24時間」

キョン「え?」

長門「あの状態が続くのは24時間。明日の午後4時には元に戻る」

みくる「そうなんですか? 思っていたよりも短いですね」

キョン「それぐらいなら何とかなりそうだ。少し安心したな」

62: 2009/12/19(土) 22:36:07.72
キョン「それで、何か変な事態にならないような有効な手段はないのか?」

長門「ない。今の涼宮ハルヒの能力には、わたしの情報操作も効果がない」

キョン「そうか……やっぱり何とか時間まで耐えるしかないようだな」

キョン「ま、これまでも何度も危機を乗り越えてきたんだ。今回も大丈夫だろう」

みくる「そ、そうですよね! 大丈夫ですよね!」

古泉「機関もぅ!! 出来る限りサポートゥしまっす!! ふははははははは!!」

キョン「長門、ひょっとしたら一般人を巻き込んじまうこともあるかもしれない。その時はお前に頼めるか?」

長門「了解した」

キョン「よし、そうと決まれば早く帰ろう。明日に備えないと」

みくる「みんな、明日は頑張りましょう!」

古泉「くはははは!! あーはっはははははは!!」

67: 2009/12/19(土) 22:39:08.04
~夜 キョン宅~


キョン「はああ、疲れた……」

キョン「いや、明日はもっと大変だろうからな。これぐらいで疲れてる場合じゃないな」

TV『ここで、臨時ニュースです』

キョン「ん?」

TV『今から30分ほど前、某県某市沖の海上に謎の巨大な未確認生物が現れました』

TV『目撃者の証言によると「あれは間違いなくゴジラだった」ということです』

キョン「げ……」

TV『それからさらにもう1体の巨大生物が出現。こちらも「あれは間違いなくウルトラマンだった」という証言が得られています』

TV『2体の巨大生物はしばらく交戦した後に相打ちとなり、突如消失』

TV『目撃情報が多数寄せられていますが、現場に物的証拠が何もないことなどから専門家は集団催眠などの…………』

キョン妹「へ~、不思議なことがあるんだね、キョンくん」

キョン「まさか……いや、まさかってこともないな」

キョン「あの馬鹿、また余計なことを。このニュースを見てなければいいんだが……」

69: 2009/12/19(土) 22:42:07.28
キョン「いちいち気にしていてもキリがないな。今日はさっさと寝よう」

キョン妹「あれ? キョンくんもう寝るの?」

キョン「ああ、おやすみ」


キョン「さてと、寝る前に目覚ましをセット……あ、あれ?」

キョン「な、何だ!? 身体が思うように動かな……いや! 身体が勝手に動いてる!?」


ガチャ ドタドタドタ


キョン「何だ何だ!! またハルヒの仕業か! 俺に何をさせようってんだ!?」

キョン「ええい止まれ俺の足!! どこに行こうってんだ!!」

キョン「ん? 玄関に向かってる? まさか外に出る気か!?」

キョン妹「あれ? キョンくん、こんな時間にどこ行くのー?」

キョン「俺も知らん!!」

72: 2009/12/19(土) 22:45:07.96
キョン「待て待て!! せめて靴を履かせてくれ!! というかパジャマのまま!!」


ガチャ ビュオオオオ


キョン「うおお! 寒!!」

キョン妹「いってらっしゃ~い、キョンくん」

キョン「いってらっしゃいじゃねえ!! ちくしょう!!」


ドタドタドタ


キョン「痛て! 痛ててて!! アスファルト! 足の裏が痛い!!」


グニョン


キョン「何か踏んだ!? 何かグニョッとしたもの踏んだ!!」

キョン「くそ!! ハルヒめ、覚えてろよー!!」 

74: 2009/12/19(土) 22:48:07.13
キョン「はあ、はあ、随分遠くまで走らされたな。どこだここ? 誰かの家の前だが……」


『涼宮』


キョン「……まあ大体予想はしてたけどな」

キョン「たく、いったい何の用で呼び出したんだ、あいつは」

ハルヒ「誰よ? こんな時間に玄関先でブツブツと…………って、キョンじゃない!」

ハルヒ「何よあんた、こんな時間に。何か用なの?」

キョン「俺が聞きたいわ! お前俺に対して何か言わなかったか?」

ハルヒ「はぁ? 何であんたのことなんか……あ、そういえば」

キョン「心当たりあるのか?」

ハルヒ「さっきゲームで負けてイライラしててね、キョンの顔でも引っ叩いてやりたいわって呟いたような」

ハルヒ「……あんたまさかそのために? いやまさかね」

キョン「そのまさかだよちくしょう。何となーーーく、そんな気がして来ただけだ」

78: 2009/12/19(土) 22:51:12.51
ハルヒ「あんたも変わった奴ね。ま、いいわ。そういうことなら遠慮なく」

キョン「は?」


パァン!!


キョン「いってぇ!!」

ハルヒ「あースッキリした。じゃあ気をつけて帰りなさいよ」


ガチャ バタン


キョン「……」

キョン「今に始まった事じゃない。今に始まった事じゃないが!!」

キョン「どうしてこんな目に合わないといけないんだ!! まったく!!」

キョン「はあ、こんな事言ってもしょうがないか。今あいつに文句つけたらもっと恐ろしい事態になりそうだしな」

キョン「……帰るか。はぁぁぁ」

79: 2009/12/19(土) 22:54:09.75
キョン「そういやさっきハルヒに『変わった奴ね』と言われたが、特に変化はないな……」

キョン「まさか……俺は一般人だ! 普通の人間だー!!」

古泉「どーーもぉ!! ばははははは!!」

キョン「わぁーー!! びっくりした!! 古泉、何でこんな所にいるんだよ!?」

森「涼宮さんの監視をしていたからですよ」

キョン「森さん!」

新川「どうぞお乗りください。家までお送りします」ガチャ

キョン「新川さんまで。ど、どうもありがとうございます」


バタン ブロロロロ…


古泉「うはははは!! あれからぁ!! 新たに判明したこともあってねぇ!! ぐはははは!!」

キョン「うるせぇ!! というかまだその口調なんだな、古泉」

キョン「はあ、もういい。それで、新たに分かったことって何だ?」

80: 2009/12/19(土) 22:57:07.76
森「私から説明させていただきますね。涼宮さんは現在、閉鎖空間を発生させる能力を消失しています」

キョン「え? それはどういうことなんですか?」

森「これはあくまでも推測なのですが、今回の件は閉鎖空間に代わる新しい能力を試しているのではと思われます」

キョン「閉鎖空間に代わる、ですか?」

森「閉鎖空間が何のために発生するかはご存知ですか?」

キョン「それは、ハルヒがストレスを溜めると発生するんですよね?」

森「そうです。そうして発生した閉鎖空間を、我々機関が処理しているわけです」

森「ですが、だからと言って涼宮さんの気分が晴れるわけではないですし、ストレスが発散されているわけでもないんです」

キョン「そうですね。なぜかその役目が俺にまわってくることが多いんですが……」

森「涼宮さんはそれを不満に思っていた。そこで新しい方法、自分のストレス発散にもなる方法を試しているのでは、という事です」

キョン「ん? けどハルヒは自分の能力の事を知らないんですよね? 自覚したら大変な事になるとも言ってたじゃないですか」

森「もちろん知りません。ですが、今回の件でその辺の考え方も若干変わってきまして」

森「涼宮さんは心の奥底では自分の能力に気づいている、しかもそれを自分が自覚してはいけないということも知っている」

森「こういう考え方も機関内で出てきているんですよ」

キョン「何だかよく分からない話になってきましたね……」

83: 2009/12/19(土) 23:00:13.78
キョン「要するに、今のあいつの能力は自分の新しいストレス発散方法で」

キョン「効果が24時間ということは、今回はあくまでもお試し期間。そういうことですか?」

森「ええ。そのように考えてもらって結構です」

キョン「お試しってことは、採用されてしまう可能性もあるんですよね? そうなったらどうするんですか?」

森「いえ、おそらくそれはないと思いますよ」

キョン「え? なぜです?」

森「先程も言いましたが、涼宮さんは自分が能力を自覚してしまうことを無意識のうちに避けています」

森「今日もどことなく不自然なところがありませんでしたか?」

キョン「……そういえば、目の前で結構不思議なことが起こってたのに、特に興味を示さなかったような」

キョン「さっきもいきなりこんな時間に俺が訪ねてきたのに、ほとんど追求しなかったし」

森「1日だけならそんなこともあるかとスルーできても、それがずっと続くとなるとどうですか?」

キョン「確かに自分の能力に気づいてしまう可能性大ですね。だからハルヒはこの能力を採用しないと?」

森「機関ではそう結論付けられました。もちろん100%そうだとは言い切れませんから、今後も監視は続けます」

84: 2009/12/19(土) 23:03:07.22
キョン「今回この能力を採用しなかったとしても、また別の能力を試すという可能性はあるんですか?」

森「それはまだ分かりません。元々の涼宮さんの能力自体、まだ解明されてないことも多いですからね」

キョン「そうですか。分かりました」

新川「着きましたぞ」キキィ

キョン「ありがとうございます。助かりました」ガチャ

森「明日は頑張ってください。影ながら我々もサポートいたします」

キョン「ええ、よろしくお願いします」

古泉「ぶはははは!! ではでは!! おやすみグッナイィ!!」

キョン「はいはい、おやすみ」


ブロロロロ……


キョン「はあ、自分のストレス発散でここまで人を振り回すなよな……」

キョン「しかし、まあやってやるさ。あの冬の事件で自分が選んだ道だ」

キョン「とりあえず、親と妹にどう言い訳しようか。騒がしくしちまったからなぁ……」

86: 2009/12/19(土) 23:06:07.76
~キョン宅 自室~


キョン「やっぱり説教くらっちまった。やれやれ……」

キョン「何か一気に疲れてきた……さっさと寝よう」


ボフッ


キョン「はああ、おやすみ……」

キョン妹「キョンくん、はさみ~」ガチャ

キョン「うるさい、勝手に持っていけ……」

キョン妹「前は勝手に持っていくなって言ってたじゃん」

キョン「……zzz」

キョン妹「あれぇ? キョンくんもう寝ちゃってる」

キョン妹「何だか疲れてるみたいだし、ゆっくり寝させてあげよう。おやすみキョンくん」


バタン

89: 2009/12/19(土) 23:09:08.42
~翌朝~


キョン「ふあああ~、よく寝た」

キョン「今、時間何時だ? えーと、8時50分か……」

キョン「集合時間は9時だったな。じゃあ行く……か……」

キョン「…………あれ? 俺、寝る前に目覚ましセットしたっけ?」

キョン「…………………………あれぇ?」


ハルヒ『キョン、遅れたら氏刑だからね』

           『氏刑だからね』

            『氏刑だからね』  
 
             『氏刑だからね』

              『氏刑だからね』



キョン「きゃあああああああああ!!!!」

91: 2009/12/19(土) 23:12:10.35
キョン「うわああ!! 嘘だろ!! 何やってんだ俺は!!」

キョン「と、とと、ともかく!! 急いで準備して向かわなければ!!」ズダダダダ

キョン妹「あ、キョンくん、おはよー」

キョン「お前、普段は頼みもしないのに無理矢理起こすくせに、何で今日は起こしてくれなかった!!」

キョン妹「え? だって昨日キョンくん凄く疲れてたから、ゆっくり休ませてあげようと思ったんだもん」

キョン「人を思いやれる子に成長してくれて兄は嬉しいよ!! ちくしょう!!」

キョン妹「わ~い、褒められた~。じゃああたし、ミヨちゃんと約束があるからもう行くね」

キョン「そうだ! 俺もこんなことしてる場合じゃない!! 急がないと!」


キョン「よし準備できた!! 靴を! 靴靴!!」

キョン「待てよ、今からでもハルヒに電話して何とか言い訳を!! いやそれよりも急いだほうが!! あああ!!」

キョン妹『おじちゃん、キョンくんに何か用事なのー?』

???『うむ』

キョン「ん? 玄関の外から声が。誰か来てるのか?」

93: 2009/12/19(土) 23:15:08.81
キョン妹「キョンくーん、このおじちゃんがキョンくんに用だって」ガチャ

キョン「はあ? 今はそれどころじゃ……」

侍「御免」

キョン「……」

キョン妹「あたし行くねー」


侍「……」

キョン「……どなた?」

侍「……首」

キョン「はい?」

侍「その首、もらった!」チャキン

キョン「か、か、刀ぁ!!」

侍「どりゃあああ!!」グアア!!

キョン「うわ!! うわ!! うわわわ!!」

98: 2009/12/19(土) 23:18:08.68
キョン「何だあいつ! 何だあいつ!! 何でいきなり殺されそうになってるんだ俺!?」

キョン「……まさか、これが『氏刑』ってことか? というか何で侍なんだ!?」

侍「逃さぬ!! 待て待てぇい!!」ドドドッ

キョン「おわ!! とととにかく、早く脱出してハルヒの元に行かないと!! 窓! 窓!」ガラッ

キョン「よしっ脱出成功!! あとは自転車で!!」ガチャン

侍「罪人は首を切る!! 切るのだー!!」ズダダダッ!!

キョン「来るなぁ!! 俺は罪人じゃねえ!!」

キョン「くそっ!! あいつの氏刑のイメージはどうなってんだー!!」

侍「首ぃーー!!!!」

キョン「おりゃああ!! 自転車に追いつけるものなら追いついてみやがれ!!」

100: 2009/12/19(土) 23:21:08.38
キョン「うりゃああああ!!」シャコシャコシャコシャコ!!!!

侍「ぬうう!! 待てぇい!!」シュタタタタ!!

キョン「うお!! あいつ速えぇ!!」

侍「首首首首ぃ!! 首を切る切る!! 切るのだぁ!!」

キョン「負けてたまるか!! うらあああ!!」シャコシャコシャコシャコ!!!!

侍「待てぃ!! ま……て……首…………切…………」

キョン「どうだ!! さすがに自転車の全力疾走には追いつけないようだな!!」

キョン「よし、ようやく見えなくなるまで引き離したぞ。何とか助かったな」




侍「待て待てぇ~い!!」パカラッ!! パカラッ!!

キョン「馬ーー!!」

103: 2009/12/19(土) 23:24:07.75
~駅前~

ハルヒ「キョン奴、何やってんのよ! まったく!」

みくる「どうしたんでしょう、キョンくん……」

古泉「うはははは!! 電話かけても出んわ!! それどころじゃない事態が発生している模様!!」

長門「……」


「ウ~~ワアアアアアアアアア!!」


ハルヒ「あれ? あの声……」

みくる「あ、キョンくんです! キョンくん来ましたよ!」

キョン「ハーールヒーーー!!!!」シャコシャコシャコシャコ!!!!

古泉「ぶはははは!! 様子がおかしいなぁ!!」


ガシャン!! ダダダダダッ!!


キョン「ハルヒぃぃぃ!!!!」ガバァ!!

ハルヒ「きゃああ!! ちょっと何!? なにいきなりしがみ付いてんのよ!?」

107: 2009/12/19(土) 23:27:07.17
キョン「ハルヒぃぃ!! ごめんなさい!! ごめんなさいぃ!!」

ハルヒ「え? なに? 何のことよ!?」

キョン「遅れてごめんなさい!! 本当にごめんなさい!!」

キョン「だから許して!! 殺さないでぇぇ!!」ギュウウウ

ハルヒ「わ、分かった! 分かったわよ!! 許すから離しなさい!!」グイグイ

キョン「ありがとう!! ありがとうありがとう!! ありがとうございますぅぅ!!」


侍「無念」シュウウウ……


みくる「な、何ですか、今のお侍さん……」

古泉「ぐはははは!! 2人に迫る直前でいきなり消えましたな!! お化けか? ぶはははは!!」

長門「危機一髪」

113: 2009/12/19(土) 23:30:10.43
ハルヒ「もう、たかが遅刻したくらいで泣き喚くなんて恥ずかしい真似しないでよ!」

キョン「言われてみれば、何か恥ずかしくなってきた……いや、命がけだったんだからしょうがないだろ」

ハルヒ「ほらほら、やっと揃ったんだからさっさといつもの所でグループ分けするわよ」

みくる「キョンくん、大丈夫ですか?」

キョン「ふふふ、もう命の危機には慣れっこですよ……」



~喫茶店~


ハルヒ「はい、じゃあクジ引いて」

キョン(さて、ハルヒと一緒になる奴は責任重大だぞ)


結果

ハルヒ、キョン、古泉グループ
みくる、長門グループ


ハルヒ「うん! じゃあ早速出発よ!」

115: 2009/12/19(土) 23:33:09.05
みくる「キョンくん、古泉くん、頑張ってくださいね」

キョン「ええ、任せてください」

古泉「ふはははは!! ファイトじゃ!! ぶはははは!!」

長門「……」スタスタ

みくる「あ、長門さん! 待ってくださぁい」タタッ


ハルヒ「ほら、あたし達も行くわよ!」

古泉「イエッサー!! ほぁはははは!!」

ハルヒ「……ねぇ古泉くん。ずっと気になってたんだけど、その口調やめてくれないかしら?」

古泉「ふははは、は、や、やっと元に戻りました……」

キョン「お、よかったな古泉」

古泉「ずっと組織の人達に白い目で見られてましたからね。結構つらかったです……」

ハルヒ「何の話してるのよ? ほらほら歩いた歩いた」グイグイ

キョン「腕を引っ張るなコラ!」

116: 2009/12/19(土) 23:36:08.37
ハルヒ「テンション上がってきたわ! 着いてきなさい2人とも!」ズンズン

キョン「さて、鬼が出るか蛇が出るか……」

古泉「出来る限り一般人に被害が及ばないようにしないといけませんね」

ハルヒ「あるーひー♪ もりのーなーかー♪」

古泉「あの歌は!」

キョン「やばい!」ダッ

ハルヒ「くまさー」

キョン「おいハルヒ!!」

ハルヒ「ひゃ! な、何よ?」

キョン「あ、いや、えーとだな、きょ、今日はいい天気だな」

ハルヒ「そう? 何か曇ってきてない?」

キョン「お前がそんなこと言うから本当に曇ってきたじゃないか……」

117: 2009/12/19(土) 23:39:08.07
ハルヒ「せっかくの不思議探索なのにね。あめとか降ったりしないでしょうね?」

キョン「あー……傘持ってきてないのに……」

古泉「早速やってしまいましたが、この程度なら」


コン


キョン「ほら、降ってき……ん?」


コン コン ココン


古泉「様子がおかしいですね。これは……」


パラ……パラ……バラバラバラバラバラバラ!!!!


ハルヒ「な、何よコレ!?」

古泉「これは、飴玉です! 空から飴玉が!」

キョン「痛て! 痛ててて!! 雨じゃなくて飴って何かの漫画でなかったか!?」

121: 2009/12/19(土) 23:42:07.67
ハルヒ「痛い! ちょっと! 何で飴が降ってくるのよ!」


バラバラバラバラバラバラ!!!! コン! ココン!! ゴン!! ゴン!


古泉「発音が悪かったのが原因みたいですね。それにしてもこれは……つっ!!」


ワーワー!! キャーキャー!! ガシャーン!! パリーン!!


キョン「おい! 周囲がパニックになってるぞ! 何とかしないと! だぁ!! 目に!」

古泉「す、涼宮さん! この飴は」

ハルヒ「あーもー痛いわね!! 止みなさいよこのバカ飴!!」

キョン「おっ」


パラ……パラ…………


古泉「何とか止みましたね」

キョン「いきなりやってくれやがって。やれやれ」

124: 2009/12/19(土) 23:45:08.97
キョン「あーあ、辺り一面飴玉だらけ……」

ハルヒ「はー、いったい何だったのかしら?」

古泉「おそらく積荷として大量の飴を運んでいた飛行機に、何かしらのアクシデントがあったのかと」

古泉「それにより積荷の飴玉が空から地上にばら撒かれたのだと思われます」

ハルヒ「へー、そんなことがあるものなのかしら?」

キョン「それ以外に説明がつくか?」

ハルヒ「まあそんなところでしょうね。ちょうどいいからこの飴玉貰って行きましょう」

キョン「それって窃盗にならないか?」

ハルヒ「これだけたくさんあるんだからバレやしないわよ。あ、ザクロ味見っけ」

キョン「まったくお前という奴は……お、キウイ味見っけ」

126: 2009/12/19(土) 23:48:08.39
ハルヒ「思わぬ収穫だったわね! 大量大量!」

キョン「古泉、いきなり一般人を巻き込んじまったが大丈夫なのか? 怪我人とかいたら……」

古泉「そのあたりのフォローは他の機関のメンバーに任せましょう。その為に来てもらっているのですから」

キョン「俺達はあくまでもハルヒのお守りに徹しろってことか。分かった」

ハルヒ「2人とも出発するわよ!」

キョン「ああ、はいはい。しかしハルヒよ」

ハルヒ「なに?」

キョン「不思議探索ってのは不思議を探すためにやってるんだろ? この飴が充分不思議じゃないか?」

ハルヒ「それもそうだけどね。今日はちょっと行きたいところがあるのよ」

キョン「行きたいところ?」

ハルヒ「みくるちゃんの新しいコスプレ衣装を買いたいのよ」

129: 2009/12/19(土) 23:51:08.05
キョン「はあ? 朝比奈さんの新しいコスプレ衣装?」

ハルヒ「あと有希のも買いたいわね。よさそうなコスプレ衣装専門店を見つけたのよ」

キョン「……不思議探しはどうしたんだ? 不思議探しは」

ハルヒ「たまにはいいじゃないの。細かいこと言わない」

キョン「ぐ……たく、相変わらずというか何というか」

古泉「確か今までの衣装は主にネットで購入されていたのですよね?」

ハルヒ「そうなのよ。でもやっぱり自分の目で見て選びたいじゃない」

キョン「そこに朝比奈さんの意思はないのか? こういうのは本人がいる時に買うもんじゃないのか?」

ハルヒ「そりゃあそうしたかったけど、たまには男性陣の意見を聞くのもいいと思ったのよ」

キョン「そこにだけはこっそり賛成しておく」

古泉「ふふ、正直ですね」

ハルヒ「あ、あの店よ! さぁ行きましょ!」

130: 2009/12/19(土) 23:54:08.44
~コスプレ衣装専門店~


ハルヒ「うっわー、さすが専門店! たっくさんあるわねー!」

古泉「これは……何と言うか、異様な雰囲気ですね」

キョン「そりゃあ普通の服屋じゃないからな。確かに居心地が……」

ハルヒ「さぁ選ぶわよ! んふふ~、どれにしようかしら!」

キョン「あいつは全然気にしていないようだな。居心地悪そうにしてるハルヒってのも想像つかんが」

古泉「さすがは涼宮さん、と言ったところですね」

キョン「褒めるところか、それ?」

ハルヒ「ねえキョン! これどうかしら、これ?」ファサッ

キョン「……何だそりゃ? えらくスカートが短いが?」

ハルヒ「ミニスカポリスよ。で、どーなの?」

キョン「あーその、似合うんじゃないか? というか朝比奈さんなら何でも似合いそうだ」

ハルヒ「そうよね! じゃあこれ買い! 次次!」

キョン「まだ買うのかよ……」

132: 2009/12/19(土) 23:57:08.96
ハルヒ「古泉くん、これ有希に似合うと思わない?」

古泉「キャビンアテンダントですか。大変結構かと」

ハルヒ「キョン! この2つどうよ!」

キョン「天使と小悪魔か。天使はもちろん朝比奈さんとして……」

キョン「案外長門は小悪魔のコスチュームなんて似合うかもしれないな」

ハルヒ「あんたもなかなか分かってきたじゃない! じゃあ2つとも買うわね!」

キョン「待った! 天使はピンクよりも白のほうが!」

古泉「あなたもだんだんノリノリになってきましたね」


キョン「はっ!! ついハルヒのペースにのせられて……」

古泉「見ていて微笑ましかったですよ。おや? これは……」

キョン「何か見つけたのか?」

古泉「ええ、良さそうなツナギを見つけたもので。しかしここに書かれている『やらないか』とは何でしょうか?」

キョン「やめろ!!」

135: 2009/12/20(日) 00:00:07.94
ハルヒ「あら? このへんは着ぐるみのコーナーなのね」

キョン「着ぐるみか。確か部室にカエルの着ぐるみがあったな」

ハルヒ「そうねえ、新しい着ぐるみもいいかもしれないわね」

ハルヒ「ほら、この羊の着ぐるみなんて可愛いわよ」モフモフ

キョン「んん?」ピクッ

古泉「どうかしましたか?」

キョン「あ、いや、この羊の着ぐるみを見た時になぜか朝比奈さんが思い浮かんでな……」

ハルヒ「へえ、ナスの着ぐるみまであるわ。誰が買うのかしらこんなの?」

キョン「長門!?」

古泉「はい? なぜ長門さん?」

キョン「何だ? 何かよく分からんデジャヴが……ちなみにお前を見てると山が思い浮かぶ」

古泉「何ですか、それ?」

ハルヒ「着ぐるみはいいわ。充分いいの見つかったし、そろそろ行きましょ!」

138: 2009/12/20(日) 00:03:07.83
ハルヒ「いやー、いい買い物したわね!」

キョン「そして荷物は人に押し付けるんだな、お前は……」

古泉「おや? あの人は……」


鶴屋「おんや? ハルにゃん達じゃないかい!」

キョン「どうも、鶴屋さん」

鶴屋「また例の不思議探しかい? 相変わらず楽しそうだね! ところでその荷物はなんだい?」

ハルヒ「んふふ~、じゃーん」バッ

鶴屋「おやおや、豪華衣装がいっぱいだね! またみくるに着せるのかい?」

ハルヒ「まぁね! 有希とあたしの分もあるわ。今から次の団活が楽しみよ!」

鶴屋「あはは! その時は是非あたしも誘ってほしいっさ!」

ハルヒ「もっちろんよ!」

鶴屋「それじゃ、あたしも買い物の途中だからさ! バイバイ!」

141: 2009/12/20(日) 00:06:10.08
キョン「お前、やっぱり鶴屋さんとは気が合うんだな」

ハルヒ「う~ん」

キョン「どうした?」

ハルヒ「そういえば鶴屋さんのコスプレ姿は見たことないなーって」

キョン「そうだっけ? 俺は文化祭の時にウェイトレス姿を見たが、あれは似合ってたなぁ」

ハルヒ「何よ、デレデレしちゃって」

キョン「デレデレなんてしてな…………ウヘヘ」

ハルヒ「気持ち悪い笑い方しない!!」

キョン「はい!」シャキッ

古泉「この程度なら見ていて面白いんですけどね」


ハルヒ「けど本当に鶴屋さんなら何を着ても似合いそうよね。スタイルもいいし」

キョン「まあそうだな」

ハルヒ「脱いだら凄そうよね」

キョン「おま!! ば!!」

145: 2009/12/20(日) 00:09:08.39
バシュゥン!!


鶴屋「にょろ?」

鶴屋「おや? 何だか急に寒くなったような……?」

鶴屋「やけに全身がスースーするっさ。何でだろう?」

鶴屋「……」

鶴屋「あれ?」

鶴屋「あたし…………何で……裸…………?」

鶴屋「……」

鶴屋「……えぇ?」


ザワザワザワ…… オオー!! ヒソヒソボソボソ…… フゥ……


鶴屋「き……き……きゃあああああああ!!!!」

152: 2009/12/20(日) 00:12:09.83
キョン「うわ! やっぱりこうなってたか!」

古泉「まずいですね。早く何とかしなければ」

ハルヒ「何!? 鶴屋さん何やってるのよ! 露出狂!?」

キョン「あああ!! これ以上余計なことを言うな!」


鶴屋「あっはっは! みんな見るっさー!!」ガバァ!!


キョン「うおお!! 俺は見てない!! 見てないぞ!!」

古泉「早くこのコートを! はっ、あれは!」


ブロロロロロ!! キキィ!!


森「鶴屋さん、こちらへ!」グイッ!!

鶴屋「わっとっと!!」


バタン!! ブロロロロロ……

156: 2009/12/20(日) 00:15:10.16
キョン「い、今のは機関の……?」

古泉「鶴屋さんは森さん達に任せましょう。今は……」

ハルヒ「なに? 何で鶴屋さんがあんな……」

古泉「そのことですが、実は僕達と別れた後に鶴屋さんが盛大にコケるのが見えましてね」

ハルヒ「え? コケた?」

古泉「あなたと彼はすでに歩き始めていたため、気づかなかったようですが。おそらくその時に頭をぶつけてしまったのだと」

ハルヒ「それでおかしくなっちゃってあんなことを? 鶴屋さんも災難だったわね」

キョン(こんな説明で納得しちゃったよ。ホントに無意識に気づかないようにしてるんだな)

古泉「ですが一時的なものでしょう。涼宮さんも早くよくなるように祈っていてください」

ハルヒ「分かったわ。鶴屋さんなら大丈夫よ。すぐ元通りになるわ」

キョン(お、ナイスフォロー)

159: 2009/12/20(日) 00:18:07.70
キョン「古泉、鶴屋さんが元に戻ったのはいいとして、目撃者についてはどうするんだ?」

キョン「ひょっとしたら鶴屋さんの顔見知りがいたかもしれないだろ? 飴玉の時と違って言い訳は難しいんじゃないか?」

古泉「機関の方である程度は何とかしますが……そのあたりは長門さんにお願いするしかないかもしれませんね」

キョン「できれば鶴屋さん本人からも記憶を消したほうがいいだろう。あんなの覚えててもしょうがない」


ハルヒ「2人ともー、そろそろ時間だし喫茶店に戻るわよー」

古泉「おっと。はい、今行きます」

キョン「あいつはのん気でいいよな。俺達の苦労も知らないで」

古泉「仕方ないではありませんか。今日の4時までの我慢ですよ」

キョン「分かってる。だが愚痴ぐらいいいだろう。まったく、本当にあいつは人に迷惑しか掛けないな」


ポーーン ポーン コロコロ……


ハルヒ「あら? サッカーボール?」


男の子「お姉ちゃーん、そのボールとってー」タタッ

161: 2009/12/20(日) 00:21:08.53
ハルヒ「はいはい、今そっち……あ!!」

キョン「お、おい、あれ!!」


ブオオオオオン!!!! グオオオオオ!!!!


古泉「トラックが! 男の子に!」

キョン「おもいきり信号無視じゃねーか! あの馬鹿トラック!! おい坊主、危ない!!」


男の子「え? え? 何?」ピタッ


キョン「うわあ!! 道の真ん中で止まっちまった!! 違う! 走れー!!」

古泉「間に合いません!! くっ!!」


男の子「あ……あ……」


グオオオオオオオオ!!!!

164: 2009/12/20(日) 00:24:07.26
キョン「駄目だ! 恐怖で竦んじまってる! くそっ!!」

ハルヒ「な、何よ! 止まりなさいよ!! この馬鹿トラック!!!!」


ギギギィ!!!! プシュゥゥゥゥン……


男の子「あ…………あれ?」


キョン「と、止まった……」

古泉「涼宮さんの能力のおかげですね。間一髪でした」


ハルヒ「ちょっとあんた! 大丈夫! 怪我ないよね!?」

男の子「あ、う、うん、大丈夫だよ」

ハルヒ「よかった。道を渡る時はちょんと確認しないとだめよ」

男の子「うん、今度から気をつけるね」


キョン「…………あいつもいいことするじゃねえか」

古泉「ですね」

166: 2009/12/20(日) 00:27:07.95
キョン「しかしあのトラック、すごい止まり方したな。あのスピードでほぼ一瞬で止まったぞ」

古泉「涼宮さんの能力で無理矢理止められましたからね」

キョン「中の人は大丈夫か? ただじゃすまないだろ、あれ」


運転手「うう……」


キョン「ほら、なんかグッタリしてるぞ。助けなくていいのか?」

古泉「周りの方が救急車を呼んでくれたようですし、大丈夫でしょう」

古泉「それに……あの運転手、よく見てください」

キョン「よく見てって……そういややけに顔が赤い……あ! ビール缶が大量にある! 酔っ払い運転かよ!!」


運転手「お……おい…………誰か……さっさと俺を……助けろ…………」


古泉「酔っ払い運転の上、子供を轢き頃しかけたんです。同情の余地なんてありませんよ。行きましょう」

キョン「お前、案外怖いんだな……」

167: 2009/12/20(日) 00:30:22.52
~喫茶店 昼食~

みくる「そ、そんなことがあったんですか」

キョン「大変でしたよ、ホントに……」

ハルヒ「あらキョン、そのポテト美味しそうね」

キョン(む! 何の変哲もないフライドポテトが極上の味に!!)

ハルヒ「……」ジ~

キョン「何だよ? 分けないぞ」

ハルヒ「分けろなんて言わないわよ。全部よこしなさい」

キョン「だろうと思ったよ! 持ってけドロボー!」

ハルヒ「何このポテト! めっちゃウマ!!」バクバク

キョン「まったく、せっかくトラックの件で見直したのに」

古泉「僕のを分けましょうか?」

キョン「いらん!」

長門「……」スッ

キョン「おっ、分けてくれるのか長門、サンキュー」

170: 2009/12/20(日) 00:33:11.13
ハルヒ「午後のグループ分けをするわよ! みんなクジを引きなさい!」

キョン(さて、今度はどうなる?)


グループ決定

ハルヒ、長門、古泉グループ
キョン、みくるグループ


みくる「キョンくん、よろしくお願いしますね」

キョン「ええ、こちらこそ」

キョン(ふむ、ハルヒとは別のグループか)

キョン「長門、古泉、頼んだぞ」

古泉「ええ、出来る限りやってみますよ」

長門「……」

ハルヒ「……」ムー

171: 2009/12/20(日) 00:36:07.98
ハルヒ「キョン分かってる? デートじゃないんだからね! みくるちゃんに手を出したら許さないわよ!」

キョン「言われなくても分かってる」

ハルヒ「ちゃんと真面目に不思議を探してくるのよ! もし何も見つけられなかったら……」

ハルヒ「氏刑だから」

キョン「げっ!!」

みくる「ひゃっ!!」

古泉「す、涼宮さん、それは……」

キョン「ハ、ハルヒ! 氏刑は勘弁してくれ! な!」

ハルヒ「却下よ! 普通に不思議を見つけてくればいいだけなんだから!」

キョン「普通にってお前なぁ……」

古泉「涼宮さんもあくまで物のたとえで言っているだけですので、説得は難しそうですね」

キョン「そのようだな。まったく」

177: 2009/12/20(日) 00:39:09.26
ハルヒ「何よキョン、いきなり暗い顔しちゃって」

キョン「誰のせいだ誰の……」ドヨ~ン……

ハルヒ「ほらほら! あたしの元気と力を少し分けてあげるからシャキッとしなさい!!」バンバン!

キョン「いてぇ! 背中叩くな! くそ、本当に元気出てきたのが腹立つ!! やってやるよ!!」

ハルヒ「そうそう、それでいいのよ。ま、楽しみにしてるわよ」

ハルヒ「古泉くん! 有希! 行くわよ!」ズンズン

古泉「おっと、それでは幸運を祈っています」

長門「……」スタスタ


キョン「まったく、何であいつはいつも余計な事まで言うんだよ……」

180: 2009/12/20(日) 00:42:08.62
キョン「はあ、これでノンビリする訳にもいかなくなりましたね。何か見つけないと」

みくる「そ、そうですね、頑張りましょう!」

キョン「と言ってもそう簡単に見つかるわけがないし、どうするかなぁ?」

みくる「うーん……」

キョン(よく考えたら朝比奈さん自身が未来人なんだから、不思議と言えば不思議なんだが……)

キョン(まさか朝比奈さんを『世にも珍しい未来人です』と言って差し出すわけにもいかないからな)

キョン「とりあえず俺達も出発しましょう。とにかく行動あるのみですよ」

みくる「うん、行きましょう」

キョン(ま、最悪ハルヒに泣きついて許してもらうという手もあるしな。みっともないからあまり使いたくはないが)



侍「……」


キョン「お前は物陰から様子を覗ってんじゃねーよ!!」

185: 2009/12/20(日) 00:45:08.17
キョン「不思議ー、どこかに不思議ないかー?」

みくる「凄くいまさらですけど、不思議ってどうやって探せばいいんでしょう?」

キョン「そうですよね、そもそもどういうのが不思議かもよく分からないですし」

みくる「あたし達が『あれ? これ何なんだろう?』って思ったのを持っていけばいいのかなぁ?」

キョン「それでいいと思いますよ」

みくる「え~と、あ! そういえば、あたしずっと船が何で水に浮かぶのか不思議に思ってたんですけど」

みくる「これって不思議じゃないですか?」

キョン「あ~、確か孤島合宿の時にも言ってましたよね、それ」

キョン「残念ながらそれではハルヒは納得しないと思います。そもそもこの街に船ないですし」

みくる「そうですかぁ……他に探すしかないですね」

キョン「そもそもあいつ自身が一番不思議なんですけどね。不思議はどこだー?」

189: 2009/12/20(日) 00:48:07.85
キョン「ここに不思議はないかなっと」カパッ

みくる「キョンくん、ゴミ箱に不思議はないんじゃないかなぁ?」

キョン「分かりませんよ。何か不思議な生き物がいたり…………ゴキブリしかいなかった」

みくる「なかなか見つからないですね」

キョン「そんなに簡単に見つかるとは思っていませんでしたが……あ、朝比奈さん」

みくる「はい、何ですか?」

キョン「肩、蝶々がとまってますよ」

みくる「え? あ、ホントです。モンシロチョウですね」

キョン「ふーむ……」

みくる「どうかしたんですか?」

キョン「そのモンシロチョウ、実はモンシロチョウではなく白いモンキチョウだったら不思議だなーって」

みくる「はあ、モンキチョウですか?」

キョン「ああいや、深い意味はないです。気にしないで下さい」

191: 2009/12/20(日) 00:51:08.98
キョン「あ、50円玉が落ちてました」

みくる「落し物は交番に届けないといけませんよ」

キョン「ふーむ……」

みくる「何ですか?」

キョン「この50円玉、実は表の模様が裏に、裏の模様が表にある50円玉だったり」

みくる「えと、さっきからキョンくんの言っている事がよく分からないです……」

キョン「自分でも何を言っているのか分からなくなってきました。何かの漫画の読み過ぎかな?」

キョン「午前中にいろいろありましたからね。昨日も大変だったし、疲れが溜まってきているのかもしれない」

キョン「それもこれもみんなハルヒのせいだ! まったく!」

みくる「キョ、キョンくん落ち着いて! 最後まで頑張りましょう!」

キョン「す、すみません朝比奈さん。少し取り乱してしまいましたね……」

キョン「もう大丈夫です! さ、不思議探しを続行しましょうか!」

193: 2009/12/20(日) 00:54:08.81
キョン「そういえば、今頃ハルヒ達はどうしてるんでしょうね?」

みくる「うん、確かに気になりますね」

キョン「古泉と長門、うまくやってくれてればいいんですけど」

キョン「ハルヒと一緒にいたらいたで大変ですが、一緒にいなくても見えない所で何をしでかすか分からない怖さがありますね」

みくる「あたしも午前中はそんな感じでした。大変なことになってないかな~って」

キョン「実際にいろいろ大変でし…………あれ?」

みくる「どうかしましたか、キョンくん?」

キョン「あの、あれ……やっぱり!」


長門「……」タッタッタッタッ


みくる「長門さん!?」

キョン「どうしたんだ長門! 何でここに?」

長門「……」

キョン「まさか、ハルヒに何か言われたのか?」

196: 2009/12/20(日) 00:57:09.00
長門「このウ○コ野郎」

キョン「へ?」

長門「便所のクソよりも役に立たないゴミ虫」

キョン「な、長門さん?」

長門「近寄らないで。そのバイ菌まみれの手で触れないで」

キョン「ちょ、ええ!!」

長門「あんたなんか、肥溜めにはまって窒息氏してしまえばいい」

キョン「!!!!」ガーン!!


キョン「な、長門にウ○コ野郎って言われた……バイ菌って言われた……」ズーン……

みくる「キョンくん! 気を確かに持ってぇ!!」

200: 2009/12/20(日) 01:00:09.66
長門「朝比奈みくる」

みくる「ひゃい!! え? あああたしですか! なな何でしょう?」

長門「……」

みくる「はう……えっとぉ……あの……」

長門「……」スッ

みくる「ひっ!!」


チュッ


みくる「ふえ? え? ふえええ!!!!」

長門「用事はすんだ。涼宮ハルヒの所へ戻る」


タッタッタッタッ……


みくる「あ……はう……あう……」カアァァ

キョン「う……く…………ハルヒー!! 長門に何を言ったんだー!!」

203: 2009/12/20(日) 01:03:08.67
みくる「キョキョキョンくん、あたし長門さんと、その、あの……」

キョン「忘れましょう」

みくる「ふぇ?」

キョン「どうせハルヒの仕業です。もういちいち気にしてたらキリがないです」

キョン「幸い周りに被害が及ぶようなことでもなかったですし、今までに比べればこんなのどうってこと……はぁぁ」

みくる「ショックだったんですね、キョンくん……」

キョン「いえ平気です! さぁ行きましょう!」

みくる「あ、は、はい!」

みくる「……」

みくる「長門さんの唇、柔らかかったなぁ……」ボソッ

キョン「何か言いましたか?」

みくる「何でもないです! 気にしないでくださぁい!!」

206: 2009/12/20(日) 01:06:09.72
キョン「あれから何にも見つからないな。くそ……」

みくる「キョンくん、そろそろ時間がなくなってきました」

キョン「マジですか…………よし、こうなったら奥の手を!」

みくる「お、奥の手って何するんですか?」

キョン「この三つ葉のクローバーにボンドで細工して十つ葉のクローバーに……」

みくる「あの……それは……」

谷口「お、キョンじゃねーか」

キョン「ん? 谷口!」

国木田「奇遇だね」

キョン「国木田もか。お前らこんなところで何してるんだ?」

谷口「別に~。ただ退屈だから街をブラブラしてただけだ」

国木田「よく言うよ。人を無理矢理ナンパに付き合わせといて。予想通り全敗だよ」

210: 2009/12/20(日) 01:09:08.45
キョン「お前も相変わらずだな谷口。ご苦労なこった」

谷口「うっせー、ほっとけ……ん?」

みくる「あ、どうも、こんにちは」ペコッ

谷口「朝比奈さん!! どーもお久しぶりです!! ご機嫌いかがですか!」

みくる「えっと。はい、お久しぶりです」

キョン「こら、気安く朝比奈さんに近づくんじゃない」

谷口「ん? そういやキョン、何でお前が朝比奈さんと2人きりでいるんだ?」

キョン「は? そりゃあ不思議探索で……」

谷口「さてはデートか!! この野郎!! 抜け駆けしてんじゃねえぞ!!」グイグイ

キョン「こ、こら! 首絞めるな馬鹿!!」

谷口「誰が馬鹿だ! こんにゃろー!!」グググッ

国木田「君だよ谷口」

214: 2009/12/20(日) 01:12:09.09
みくる「あの、その、喧嘩はやめてくださ~い!」

キョン「くぉの! いい加減にしろ! 離せ!!」グイイイ!

谷口「おわっと!? いきなり変なところ引っ張るな!」

キョン「まったく……ん? 谷口、肩の辺りに何か……?」

谷口「肩? ああこれか。アザだよアザ」

キョン「アザ? やけにクッキリと……って、何だこのアザ、おもいきりハートの形してるじゃないか」

国木田「僕もつい最近知ったんだよ。何か凄いよね、それ」

谷口「俺も親に言われるまで気づかなかったぜ。でも何かカッコよくねーか、コレ!」

キョン「お前にハートなんて全っ然似合わん」

谷口「んだとぉ!!」

キョン「ふむ……」ジー…

谷口「な、何だよ? どうしたんだ?」

キョン「これも不思議と言えば不思議かな……」

217: 2009/12/20(日) 01:15:09.47
キョン「よし。谷口、お前ついて来い」グイグイ

谷口「おいおいおい! 何だ、どこに連れて行こうってんだ!?」

キョン「いいから来い! 今の俺達はお前を必要としているんだ!」

谷口「訳分かんねえっての! 理由を話せ理由を!」

国木田「いきなり連行はないよキョン。ちゃんと訳を話してくれないと」

国木田「ひょっとして、涼宮さんに何か言われているのかい?」

キョン「あ、ああ、そうだ。何か不思議を見つけてこないと氏刑だって言われてるからな」

谷口「何だそりゃ。そんなの別に本気にすることないだろ。強引に連れてこうとするからどんな理由かと思ったら!」

谷口「冗談じゃねえよ。今日はまだまだ忙しいんだ、俺は!」

キョン「いや、そこを何とかだな……」

谷口「とにかく! 俺は絶対行かねえぞ! 他を当たってくれ!」

みくる「あの、あたしからもお願いします。一緒に来てくれませんか……?」

谷口「もちろんです!! どこまででもお供しますよ!!」

キョン「こいつは……」

221: 2009/12/20(日) 01:18:08.60
キョン「まあいい。そうと決まればさっさと行くぞ」

谷口「あ~キョンよ、俺は朝比奈さんのお願いはきくつもりだが、お前の頼みを引き受けた覚えはねえぞ」

キョン「はあ? どっちみち来るんだから同じことだろうが」

谷口「人に何かしてもらう時ってのは、それ相応の代価が必要だとは思わないか?」

キョン「……何が言いたいんだ?」

谷口「ん~~、何か腹が減ってきたな~~、肉まんでも食いたいな~~」

谷口「お!! あんなところにコンビニがあるぞ!! いや~~それにしても腹減ったな~~」

キョン「お前と言う奴は……」

国木田「別にただ着いていくだけなんだから、ただで引き受ければいいのに」

谷口「いや、無理にとは言わねえよ。ただ人にお願いする時には誠意ってのが必要だと思うけどな~~」

キョン「分かった! 分かったよ! 奢ればいいんだろ、奢れば!」

谷口「それでこそキョンだぜ! やっぱり持つべきものは親友だよな!」

キョン「よく言うぜ……」

224: 2009/12/20(日) 01:21:08.14
キョン「じゃあ買ってくるから、ちょっと待ってろ」

谷口「美味いやつ頼むぞー」

キョン「どれも一緒だっての」

みくる「あ、キョンくん。あたしも行きます」

キョン「いえいえ、肉まん買ってくるだけですから俺だけで大丈夫ですよ」

みくる「ううん、あたしもちょっと買いたい物があるから」

キョン「そうなんですか? では一緒に行きましょうか」


ドオオオオオオ……ンン……


キョン「うわ!!」

みくる「きゃあああ!!」

谷口「な、何だぁ!? 今、遠くのほうからでっかい音が聞こえてきたぞ!?」

国木田「何か爆発音みたいだったね。あ! あそこ、煙が!」

226: 2009/12/20(日) 01:24:11.12
国木田「何か事件か事故でもあったのかな?」

谷口「サイレンの音も聞こえるな。なぁ、ちょっと見に行ってみないか?」

国木田「よしなよ」


みくる「キョンくん、あれってひょっとして……」

キョン「ええ、おそらくハルヒの仕業でしょうね」

みくる「はうう、やっぱり……」

キョン「まったく、どこまでも人騒がせな奴ですね。結構すごい爆発でしたし、被害者が出てなければいいんですが」

キョン「ともかく、早く買い物を済ませて出発しましょう。ここにいても何もできる事はありませんし」

みくる「そうですね。行きましょう」

キョン「はあ……やっぱりあいつは目の届くところにいないと不安だ」

227: 2009/12/20(日) 01:27:07.45
~その頃のハルヒ達~


ハルヒ「な、なによ今の!?」

長門「爆発音。あっち」

ハルヒ「うわっ、何か煙出てるわね。何かあったのかしら?」

古泉(今、涼宮さんは何も言ってなかった。ということは、あれは涼宮さんの仕業ではない)

古泉(とはいえ気になりますね。機関に頼んで調べてもらいましょうか)ピッ

ハルヒ「ここからはだいぶ離れてるけど、気になるわね。ちょっと行ってみ」

長門「危険。やめておいたほうがいい」

ハルヒ「へ? そ、そう? まあ有希がそう言うなら。もうすぐ集合時間だしね」


古泉(おや、もうメールが。さすがに仕事が早いですね…………これは)

ハルヒ「でも気になるわね。ホントに何があったのかしら?」

古泉(あれこれ変な予想を言われるよりは、キッパリ本当のことを言ったほうがよさそうですね)

古泉(本当のことならどれだけ言われようと影響は少ないでしょうし。それに時間も残り少ないですからね)

230: 2009/12/20(日) 01:30:15.72
古泉「涼宮さん、たまたま現場の近くにいた友人から電話が来まして、何があったのか分かりましたよ」

ハルヒ「え、ホント! 何があったの?」

古泉「どうやら銀行強盗のようです。それもかなり悪質な」

ハルヒ「悪質?」

古泉「最近テレビのニュースでも話題になっていたでしょう。これまで50回以上も銀行を襲った3人組の強盗です」

古泉「特徴としましては、犯行後に必ずその銀行をダイナマイトで爆破して去る、というところですね」

ハルヒ「何よそれ! メチャクチャひどいじゃない!」

古泉「ええ、どうやらこの街にも現れたようですね」

ハルヒ「さっきのでかい音はそれだったのね。ということは、まだ逃走中なのかしら?」

ハルヒ「心配だわ。まさかみくるちゃんとキョン、巻き込まれたりしてないでしょうね」

古泉「あ」




強盗団「動くな!! このコンビニは我々が占拠した!!」

キョン「どうしてこうなったー!!!!」

233: 2009/12/20(日) 01:33:08.39
強盗1「動くなよ~動いたら容赦無く撃ち頃すからな~」

みくる「きょ、きょ、キョンく~ん……」

キョン「朝比奈さん、静かに。ここはおとなしくしていましょう」

強盗2「ついさっき一仕事終えてたんまり金が手に入ったからな。これだから銀行強盗はやめられねぇ!」

キョン(銀行強盗? するとさっきの爆発はこいつらが……)

強盗3「ごちゃごちゃ喋ってねえでさっさと済ませるぞ。ちょっとこっち手伝え」

強盗2「はいはい。じゃあお前、人質の見張り頼むな」

強盗3「了解~」

キョン(しかし、もう銀行襲って大金は手に入れたんだろ? 何だってまたこんなケチなコンビニなんかに?)



強盗3「よし、肉まんを一つ残らずもらっていくぞ! もう腹が減ってしょうがないぜ!!」

キョン(んなもん普通に買えーー!!!!)

234: 2009/12/20(日) 01:36:09.54
ハルヒ「何か本当に巻き込まれてるような気がしてきたわ」

古泉「あの、涼宮さん! そんなことは絶対にありませんよ! 大丈夫です!」

ハルヒ「みくるちゃんなんておとなしいから、すぐに人質にとられそうね」

古泉(聞いていない……)



強盗3「おいお前、今俺のことを睨んだだろ?」

みくる「ふぇ! え? あたし? あたしそんなことしてないですぅ!!」

強盗3「やかましい! ちょっとこっちに来い!」グイッ!!

みくる「きゃああああ!! キョンく~ん!!」

キョン「あ、朝比奈さん! 待ってくれ! 人質になら俺がなるから朝比奈さんを離してくれ!」

強盗3「うっせーんだよ!」ドカッ!!

キョン「がふっ!!」ズダン!

237: 2009/12/20(日) 01:39:08.72
古泉「だ、大丈夫ですよ! 警察の力ですぐに解決しますよ!」

ハルヒ「だめよ古泉くん。こういう時って警察なんて結構役立たずなんだから」



国木田「な、何だか凄い大騒ぎになってるね。野次馬がたくさん……」

谷口「これじゃあ警察も何も近づけないな。キョン達は大丈夫かよ……」



キョン(くそ! 朝比奈さんが……何とかして助けないと!)

キョン(し、しかし、あいつらは全員銃を持っている。うかつには近づけない)

強盗1「よっ、とっ、ああくそ! 片手じゃやりにくい!!」ガチャ

強盗1「おい。お前らも肉まんを袋に入れるの手伝え」

強盗2「へいへい」ガチャ

強盗3「俺は人質を抱えてるから片手でもいいか?」ガチャ

キョン(全員銃から手を離した!! これはチャンスか!?)

239: 2009/12/20(日) 01:42:08.55
キョン(いやいや! いくら相手が丸腰だからって、3人相手に勝てるわけないだろ!)

キョン(仮にうまく朝比奈さんを奪還できたとしても、その後はどうする? うまく逃げられるのか?)

キョン(店員や他のお客さんなどの人質もいるんだ。無茶はできない。ここはやはりおとなしくするしか……)



ハルヒ「う~ん。みくるちゃんが人質にとられたとして、キョンはどうするのかしらね?」

古泉「か、彼ならやってくれますよ! 隙を見て朝比奈さんと脱出してくれるはずです!」

ハルヒ「そんなわけないじゃない。あの馬鹿のことだから無策でつっこんで返り討ちにあうのがオチよ」



キョン(えーい!! ゴチャゴチャ考えずに特攻あるのみだ!!)ダダダッ!!

強盗3「な、何だお前!?」

キョン「朝比奈さんを離せ! うりゃあああ!!」グアッ!

強盗3「ほりゃ」ペシッ

キョン「ぐわっ!!」ゴロゴロ!

242: 2009/12/20(日) 01:45:09.75
強盗1「ナメた真似しやがって! おらぁ!」ドゴッ

キョン「ぐはっ! げほっ! ごほっ!」

みくる「キョンくん! キョンくーん!!」

強盗3「おら、お前はおとなしくしてやがれ」グイッ!

みくる「離して! 離してぇ!!」

強盗2「お、俺も一発。うらぁ!!」ボグッ!

キョン「ぐぼっ!! うあああ……」

強盗1「ほらよっと」バキィ!

強盗2「まだまだぁ!」ドカッ!


キョン(何で……何で俺がこんな目に……)

キョン(くそ……せめて……朝比奈さんだけでも…………)

244: 2009/12/20(日) 01:48:09.58
強盗1「よーし、こいつを使ってみるか」ゴトン

キョン(て、鉄パイプだと! マジかよ、シャレにならねーぞ!!)

強盗1「おい、そのガキを床に押さえつけろ。頭カチ割ってやるからよ」

キョン「や、やめ……」

強盗2「ほらほら、おとなしくしやがれ」グイイイ!!

キョン「は、離せ! くそっ!!」バタバタ

みくる「ひ、ひぐっ、キョンくん! やめて! やめてくださーい!!」

強盗1「よっしゃ、いっちょグシャっとやってやるか。いくぞー」ブンブン



ハルヒ「あいつのことだから、こんな大ピンチになってたりしてね」

古泉「涼宮さん!!」

247: 2009/12/20(日) 01:51:08.32
ハルヒ「な、何よ古泉くん。いきなり大きな声をだしたりして」

古泉(落ち着け、あまり強い調子で言って刺激を与えないほうが…………しかしどう言えば……は!)

古泉「涼宮さん、でしたらどうすれば彼と朝比奈さんは助かるのでしょうか?」

ハルヒ「どうすれば? そうね~……」



強盗1「じゃあな糞ガキ、うりゃああ!!」ブンッ!!!!

キョン(終わった……)



ハルヒ「こういう時は正義の味方が助けてくれるわよ、きっと」



ガキィィィン!!!!


強盗1「な、何だ!! って、刀ぁ!!」

キョン「あ、あんたは……」


侍「させぬでござるよ」

249: 2009/12/20(日) 01:51:57.45
侍キターwww

251: 2009/12/20(日) 01:52:16.92
侍wwww

261: 2009/12/20(日) 01:54:08.86
強盗1「何だてめぇ!! どこから入ってきやがった!!」

強盗2「しかも何だその格好、馬鹿にしてんのか?」

キョン「ぐ……あ、あんた、何で?」

侍「安心しろ、すぐに終わらせるでござる」

強盗1「はぁ? 何を訳の分からないこt」


シュンッ!!


強盗1「ご……は……」ドサリ

強盗2「な!! てめぇ! いったい何しやがったんだ!!」


シュンッ!!


強盗2「は…………げ……」ドサッ

侍「案ずるな、峰打ちじゃ」

キョン「は、速えぇ……全然見えなかった……」

262: 2009/12/20(日) 01:54:15.69
この為の伏線かwww

268: 2009/12/20(日) 01:57:09.74
強盗3「な、な、何なんだよ!? 何なんだよお前はぁ!!」

侍「残るは1人か」

強盗3「来るな!! 来るとこいつを頃すぞ!!」グイッ!!

みくる「きゃあああ!!」

キョン「朝比奈さん!!」

侍「そいつは困るでござるな。この少年だけでなく、その娘を助けるのも拙者の役目ゆえ」

強盗3「だ、だろう! だったらおとなしく……」

侍「そうもいかん」ダダダッ!!

強盗3「な! くそ! この女を殺……」

侍「遅い!!」シュンッ!!

強盗3「ぼ……は…………」ドサリッ

侍「ふむ、これでよしと」

キョン「すげぇ、あっという間に片付けちまった……」

271: 2009/12/20(日) 02:00:08.92
みくる「キョンくん! キョンくん! キョンく~ん!」タタッ


ギュウウウ


キョン「わっ!! あ、朝比奈さん!?」

みくる「よかった……助かって本当によかったです……」

キョン「朝比奈さん……朝比奈さんこそ大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」

みくる「あたしは大丈夫ですぅ。キョンくんこそ……」

キョン「俺も平気ですよ。これくらい何でもないです」

侍「拙者の役目は終わった。さらばだ」

キョン「あ、ちょっと待ってくれ!」

侍「何でござるか?」

キョン「あ、その……ありがとうございました!」ペコッ

侍「礼には及ばぬ。これが拙者の役目ゆえ」



強盗3「く……そ…………このまま……捕まってたまるかよ…………」

275: 2009/12/20(日) 02:03:08.39
強盗3「何なんだあいつは……みんなあっという間にやられて…………くそ! くそくそ!」

強盗3「何もかも完璧だったのになぜこんなことに…………もう何が何だか分からねぇ……」

強盗3「こうなったら全部吹っ飛ばしてやる……捕まるくらいなら……何もかも吹っ飛ばしてやる……」


みくる「……あ、あれ? あの人まだ意識が!」

キョン「おいお前!! 何してるんだ!?」


強盗3「ひひひ……準備おーけーだ……みんなみんな……吹っ飛んじまえ!」バチバチバチッ!!


キョン「ダ、ダイナマイト!! マジかよ!!」

侍「だいなまいと? 何だそれは?」

キョン「おいよせ!! やめろ!!」


強盗3「ひ……ひ…………爆発まであと5秒……」


キョン「ご!!」

281: 2009/12/20(日) 02:06:08.56
キョン(ご、5秒だと! 無理だ! とてもじゃないが間に合わない!!)

キョン(氏ぬ……氏ぬのか……こんなところで……朝比奈さん……)

キョン(……冗談じゃない!! こんな訳も分からないまま氏んでたまるか!! くそ!!)

キョン(消えろよ! ダイナマイト!! こんなところで爆発するんじゃねえ! 消えろ! 消えろ!!)


キョン「消えろーーーーーー!!!!!!!!」


バシュン……


強盗3「……へ? あ、あれ? ダイナマイトは? ダイナマイトが消えた!?」

侍「はっ!!」シュンッ

強盗3「ぐぼっ!!」ドサッ

侍「先程より強く打った。しばらく目覚める事はない」


キョン「た、助かった……のか?」

288: 2009/12/20(日) 02:09:08.22
みくる「い、今、キョンくんが叫んだ瞬間にダイナマイトが消えませんでしたか?」

キョン「やっぱりそう見えましたか? しかし何で? 俺にはそんな特殊能力…………あ!!」

キョン「そういえば昼の喫茶店で……」


(ハルヒ「ほらほら! あたしの元気と力を少し分けてあげるからシャキッとしなさい!!」バンバン!)

(キョン「いてぇ! 背中叩くな! くそ、本当に元気出てきたのが腹立つ!! やってやるよ!!」)


キョン「あの時にハルヒの能力も少し分け与えられていたってことか?」

みくる「たぶんそうだと思います。あれはまさしく涼宮さんの能力でした」

キョン「……ともかく助かりましたよ。あいつには感謝しとくかな」

キョン「いや待てよ、そもそもこの状況自体がハルヒのせいなんだから、感謝の必要は……ややこしいな」

291: 2009/12/20(日) 02:12:09.51
侍「あれは拙者の不手際であった。申し訳ない」

キョン「あ、いえ、あなたのおかげでみんな無事でしたし」

侍「今度こそ拙者の役目は終わった。失礼する」

キョン「本当にありがとうございました」

みくる「あ、あたしからも。キョンくんを助けてくれてありがとうございました」

侍「うむ。では、さらばだ」シュウウウ……


キョン「消えた……」

みくる「いい人でしたね」

キョン「ええ。しかし氏刑執行人と命の恩人が同一人物って、ハルヒのイメージも妙なものですね」


ザワザワザワザワ……


キョン「あっと、他の人質の人達のことを忘れてた……」

みくる「えと、どうやって説明しましょう?」

キョン「警察も面倒ですね。後は長門や機関の人達に任せて、俺達はさっさと行きましょうか」

293: 2009/12/20(日) 02:15:08.98
古泉(機関から連絡が。どうやら事件は無事に解決したみたいですね)

古泉(人質がいるために迂闊に踏み込めなかったようですが……本当によかった)

ハルヒ「駅前到着っと。有希、今何時?」

長門「15時50分24秒」

ハルヒ「キョンとみくるちゃんはまだ来てないわね。また遅刻かしら」

古泉「まあまあ。きっと不思議探しに夢中になっているのでしょう。ゆっくり待ってあげてはどうですか?」

ハルヒ「冗談じゃないわ。まったく馬鹿キョンは! 相変わらずあたしを待たせて!」

ハルヒ「もし遅刻なんてしたら氏刑だからね」

古泉「あ」





侍「待てーい!! その首もらったー!!」

キョン「うわわわわー!!」ダダダダッ!!

296: 2009/12/20(日) 02:18:08.95
古泉「おや、彼が来ましたよ」

ハルヒ「結局また遅刻じゃない! この馬鹿キョ……ン……?」

キョン「ハルヒーー!!!!」ガバァ!!

ハルヒ「ちょちょちょっと!! また!?」

キョン「ごめんなさい!! ごめんなさい!! 許してください!!」ギュウウウ

ハルヒ「こ、こら! 離せ! 離しなさいってば!!」

古泉「落ち着いてください。ほら離れて!」グイグイ

キョン「嫌だ嫌だ! 氏ぬのは嫌だ! 早くハルヒに許してもらわないと!!」

古泉「涼宮さんの能力ならもうとっくに元に戻っていますよ」ボソッ

キョン「へ?」

長門「現在の時刻は16時7分56秒。時間はもう過ぎている」

キョン「あ……そういえば侍がどこにも……」

ハルヒ「何を訳の分からない事を言ってるのよ、もう」

298: 2009/12/20(日) 02:21:09.39
キョン「す、すまんハルヒ。取り乱した」

ハルヒ「ホントにもう。そういえば、あんたみくるちゃんは?」

キョン「あ……」

ハルヒ「何よ? どうしたのよ?」

キョン「……置いてけぼりに」

ハルヒ「アホンダラ!」ゴンッ!

キョン「ぎゃ!!」



みくる「涼宮さ~ん、キョンく~ん」タッタッタッ

ハルヒ「あ、みくるちゃん。やっと来たわね」

みくる「ごめんなさい。お待たせしちゃいました」

国木田「いったいどうしたんだいキョン? 急に全力で走って行っちゃったりして」

谷口「まったく! 朝比奈さんを置いていくとはとんでもない奴だ!」

ハルヒ「谷口に国木田? 何であんた達までいるのよ?」

299: 2009/12/20(日) 02:24:08.29
谷口「まあちょっとな。おいキョン。いくら怖かったとはいえ、女を守れねえようじゃあ男失格だぜ!」

キョン「うるせえ! 命がけだったんだこっちは!!」

みくる「あの、キョンくん。あたし分かってますから。気にしないでね」

キョン「ああ、その……すみませんでした。しかし、みんな無事でよかったですよ」

ハルヒ「あ! そういえばキョン、あんたちゃんと不思議を見つけてきたんでしょうね?」

キョン「ん? あ、ああ。おい谷口、ちょっとこっち来い」

谷口「おお、そういやそうだったな。はいよ」スッ

キョン「ほらハルヒ、ここ、ここ」

ハルヒ「何よ? ただのアザじゃない」

キョン「ハートの形してるだろ?」

ハルヒ「まあ確かにそうね。で、それがどうかしたの?」

キョン「不思議~」

ハルヒ「アホか!!」ガンッ! ゴンッ!

キョン「あだっ!!」

谷口「いでっ!!」

301: 2009/12/20(日) 02:27:10.00
ハルヒ「何よコレ、くっだらないわね! あんたってホントに使えないわね」

キョン「何だと! そういうお前は何か見つけてきたのかよ!」

ハルヒ「うぐ……何も見つからなかったわよ!! 何か文句ある!!」

キョン「大有りだ馬鹿野郎! お前も人のこと言えないじゃないか!!」

キョン「まったくお前はいつもいつも自分の事ばかりだ! 人のことなんて考えたことないだろ!」

ハルヒ「何よ! そんなことないわよ!」

キョン「いーや、お前は常に自分が中心じゃないと気がすまないんだろ? いつもくだらないことばかりだ!」

キョン「たまには世のため人のために役立つことでも考えたらどうだ? え?」

ハルヒ「なによなによなによ!! あたしだってたまにはそういう事考えたりもするわよ!」

キョン「ほ~? たとえばどんなだ?」

ハルヒ「え? え~と、世界平和とか、戦争がなくなりますようにとか…………って、何いきなりうなだれてんのよ?」

キョン「お前って奴は……今ごろそれを言うか……」

302: 2009/12/20(日) 02:30:09.34
ハルヒ「ま、楽しかったからいーわ。今日はこれで解散!」

ハルヒ「また明後日、部室で会いましょ。じゃーね」タッタッタッ……


キョン「……はぁ~~、やれやれ」

古泉「ふふ、お疲れ様です」

谷口「あ! キョン、そういえばお前、肉まんは?」

キョン「あんな状況で買えるわけないだろ!!」

国木田「そうだよ谷口。キョン、今日は大変だったね」

キョン「あ、ああ。何か変なことにつき合わせて悪かったな。肉まんならまた次の機会に奢ってやるよ」

国木田「楽しみにしとくよ。じゃあ僕らも帰るね。行くよ谷口」

谷口「さようなら朝比奈さん!! またお会いしましょう!!」

キョン「お前はさっさと帰れ」

303: 2009/12/20(日) 02:33:08.70
キョン「はあ、終わったか……」

古泉「僕はまだ機関のほうで仕事がありますので、これで」

キョン「今回の後始末か?」

古泉「ええ、いろいろ派手にやってくれましたので、大変ですよ」

古泉「あの、長門さん。できれば長門さんにも手伝っていただきたいのですが。主に一般人の記憶の件で」

長門「……」

キョン「長門、俺からも頼む。手伝ってやってくれ」

長門「分かった」

古泉「あなたと朝比奈さんは特に大変でしたからね。今日はもう帰ってゆっくり休んでください」

キョン「そうさせてもらう。実はさっきからもう倒れそうだ」

みくる「あたしもです。今日はお疲れ様でした」

古泉「では長門さん、行きましょうか」

キョン「悪いな2人とも」

古泉「いいんですよ、これが仕事ですから。では」

304: 2009/12/20(日) 02:36:07.89
~その日の夜 キョン宅~


キョン「はぁぁ、風呂も入ったし今日はさっさと寝るとするか」

TV『次のニュースです。今日午後4時ごろ、日本中を騒がせていた3人組の強盗グループが某市のコンビニで逮捕されました』

キョン「お、やってるやってる」

TV『人質になっていた人物の証言によりますと、3人とも突如意識を失い倒れたそうです』

TV『その隙に人質は脱出、3人はすぐに確保されたそうです』

キョン「だいぶ事実と違うな。長門と古泉達、頑張ってくれたんだな」

キョン「ま、これで本当に全て解決だな。さて、寝るか」

TV『次のニュースです。今、世界中の戦場で不思議なことが起こっています』

キョン「ん?」

TV『世界各地の戦場で、兵士達が次々と武器を放棄。今現在、戦争がまったく行われておりません』

TV『兵士達にインタビューしたところ、「戦争なんて馬鹿馬鹿しい、平和が1番だ」と口を揃えているということです』

キョン「へぇ……」

310: 2009/12/20(日) 03:00:18.53
~2日後 月曜日の放課後 部室~


キョン「やっぱりあれはハルヒの能力なのか?」

長門「そう。ただし、強化版の方ではなく涼宮ハルヒ本来の能力」

キョン「やっぱりそうか。口先だけだと思ってたんだが、ハルヒもやるじゃないか」

みくる「あたしも思わず感動しちゃいました」

古泉「涼宮さんが心から願ったからこそですね。僕達も苦労した甲斐がありましたよ」

キョン「ああ。ただなぁ……」

古泉「ええ……」

みくる「そうですね……」




キョン「1日しか……もたなかったな……」

312: 2009/12/20(日) 03:03:38.33
古泉「翌日のニュースで流れましたね。各地の戦場で再び兵士達が武器をとり、戦争を再開したと」

キョン「結局戦争が止まったのは24時間だけか……これはどうしてなんだ、古泉……?」

古泉「分かりません。最初から『1日だけでも』と願ったためか、涼宮さんの能力を持ってしても1日が限界だったのか」

キョン「そうだとしたら、人間ってのはつくづく馬鹿で恐ろしいな……」

長門「……」

みくる「あ、あたしは1日だけでも平和な時間があってよかったと思います」

キョン「……」

古泉「……」

みくる「あの、その、でもただの気休めだったのかな……? えと、そのよく分からないです……」

キョン「俺も同じ気持ちですよ、朝比奈さん」

313: 2009/12/20(日) 03:06:08.66
キョン「なあ、結局ハルヒの能力って何なんだろうな?」

古泉「何なんだろう、とは?」

キョン「俺達は今まであいつの能力によって散々振り回されてきた。時には命の危機にも直面したりと厄介な能力にな」

キョン「ところが今回あいつは、僅か1日とはいえ人類の夢である世界平和をいともあっさりと成し遂げやがった」

長門「……」

キョン「なあ、あいつの能力ってのは『使い方さえ間違わなければ、何でも願い事の叶う便利な打ち出の小槌』なのか?」

キョン「それとも『一歩間違えれば人類や地球もろとも全てが滅びてしまう悪魔の破壊兵器』なのか?」

古泉「……」

キョン「古泉、お前はどう思う? 機関の一員としてではなく、お前自身はどう思う?」

古泉「そうですね……」

キョン「…………いや、すまん悪かった。変なこと聞いちまったな」

314: 2009/12/20(日) 03:09:10.68
古泉「いえ……僕は涼宮さんの能力により、超能力者となりました。そして普通の人生を歩めなくなった」

キョン「古泉……」

古泉「そのことで、正直恨んだ事もあります。涼宮さんを、涼宮さんの能力を……」

古泉「しかし、涼宮さんに感謝していることもありますよ」

キョン「感謝? 何をだ?」

古泉「あなた達に出会えたこと、SOS団に入れたことをですよ」

キョン「お前、随分とクサいことをサラリと言うんだな……」

古泉「本心ですよ。僕がただ任務のためだけにSOS団にいるとお思いですか?」

キョン「……」

古泉「僕は今、毎日が楽しいですよ。もちろん機関の任務ではつらい時もありますが」

古泉「そういう意味では、決して涼宮さんの能力は憎みべきものではないと思っています」

みくる「あたしもです。あたしもSOS団の活動がとっても楽しいです」

みくる「最初連れて来られちゃった時はびっくりしたけど、今は心からありがとうって言いたいです」

キョン「古泉……朝比奈さん……」

315: 2009/12/20(日) 03:12:10.78
キョン「長門、お前はどうなんだ? 今が楽しいのか?」

長門「……」

キョン「それは肯定と受け取っていいのか? しかしそうか、みんな楽しいか……」

古泉「ただし、僕達がそうであっても、誰しもが涼宮さんの能力を好意的に思っているわけではありません」

古泉「情報統合思念体、未来人組織、機関。さらにはそれぞれ別組織であったり派閥があったりします」

古泉「そしてそれぞれが独自の解釈を持っている。涼宮さんの能力をよからぬことに使おうとしている所も少なくありません」

古泉「たった1人の少女をめぐってこんなにも対立している。普通に考えればこれは異常です」

古泉「涼宮さんの能力がいいものであろうと、悪いものであろうと……」

古泉「1人の少女が持つにはこの力はあまりに大きすぎる。僕はそう思っています」

キョン「じゃあどうすればいい? 能力をどこかに捨ててハイおしまいってわけにはいかないだろ」

古泉「そのことに関する対策はまだ見つかっていません。ですが、いつかきっと涼宮さんを解き放ってみせますよ」

古泉「そのために日々頑張っていますからね」グッ!

キョン「……そうだよな。グダグダ考え込んでもしょうがないよな」

317: 2009/12/20(日) 03:15:11.97
ハルヒ「みんな揃ってるー?」バァン!!

古泉「どうもこんにちは、涼宮さん」

みくる「あ、今お茶を淹れますね」

長門「……」

キョン「よ、ハルヒ。もうみんないるぞ」

ハルヒ「そう。じゃあ早速団活を始めるわよ! 今日の議題は今週の不思議探索についてよ!!」

キョン「今週のって、まだ月曜日だろうが!!」

ハルヒ「今週は思い切って隣町にまで行こうと思ってるのよ。場所を変えれば不思議も見つかりやすいかもしれないしね」

キョン(聞いてねえ……)

ハルヒ「この考えどう、古泉くん?」

古泉「大変結構かと」

キョン(しかし、ま……)

320: 2009/12/20(日) 03:18:11.23
キョン(これからも、厄介ごとに巻き込まれていくんだろうなぁ)

キョン(こいつの能力で変なことも起こるかもしれないし、そもそもこいつは能力抜きでも充分厄介だからな)

キョン(……どうなっていくんだろうな、こいつの能力)

キョン(この能力は一生消えないのか、ハルヒの成長とともに消えていくのか)

キョン(この能力は役立てるべきなのか、封印するべきなのか)

キョン(……いや、あんなでかすぎる能力、人の手でどうこうするべきものじゃないのかもしれない)

キョン(俺なんかがこうやってグダグダ考えてても、結論なんか出るわけないよな)

キョン(こういうのは専門家に任せるとして、今の俺に出来ることは……)


ハルヒ「よし決まり!! 今度こそ不思議を見つけてみせるわよ!!」

キョン(こいつにずっとついていてやることくらいかな。世話の焼ける奴だ)


ハルヒ「ちょっとキョン! 聞いてるの!」

キョン「ああ、聞いてるさ。嫌でも聞こえる」

キョン(やれやれ。どーかみんな無事にやっていけますように)


おしまい

322: 2009/12/20(日) 03:19:47.52

327: 2009/12/20(日) 03:21:24.28
乙!

333: 2009/12/20(日) 03:31:30.22
乙!!
侍笑ったwwww
ありがとう元気と力もらえた気がするよ

引用元: キョン「ハルヒの能力がメチャクチャ強力になってる?」