1: 2021/04/22(木) 18:22:50.975 ID:ftpBFcBm0
ビュゴォォォォォ……!

協力者「すごい吹雪だ! これ以上は無理ですよ!」

男「いや……このぐらいの天候じゃないとイエティは現れない!」

協力者「これ以上は付き合いきれない! 俺はもう引き返します!」

男「ああ、好きにしろ」

ザクザクザク…

協力者「ったく、なんて執念だ……」

協力者「巷じゃ“UMAオタク”だなんていわれてるらしいが、イカれてやがる!」

4: 2021/04/22(木) 18:26:11.113 ID:ftpBFcBm0
男「……」ザッザッ…

男「ん!」

男「この足跡……間違いない! イエティだ!」

男「これを……たどっていけば……」

ザッザッザッ…

男「あっ!」

イエティ「……ウホ?」

男「あれは……イエティ!」

5: 2021/04/22(木) 18:29:08.607 ID:ftpBFcBm0
男「やった! やっと見つけた!」

イエティ「ウホ……」

男「初めまして、日本から来ました」

イエティ「ウホホホホ」

イエティ「ウホ」

男「え、洞窟まで案内してくれるの? ありがとう!」

6: 2021/04/22(木) 18:32:05.787 ID:ftpBFcBm0
イエティ「ウホホ」

男「これは……木の実で作ったスープか。いただきます!」ゴクッ

男「うん……素朴な味でおいしい!」

イエティ「ウホッ、ウホホッ」

男「後で一緒に写真撮らせてもらってもいいかな?」

イエティ「ウホッ!」コクッ

…………

……

7: 2021/04/22(木) 18:34:12.592
フレンドリーなイエティーだな

8: 2021/04/22(木) 18:35:39.897 ID:ftpBFcBm0
記者「このたびは大発見でしたね!」

男「ありがとうございます」

記者「イエティを見つけた時はどんな気持ちでしたか?」

男「とにかく嬉しいの一言に尽きます」

記者「今後のご予定は?」

男「とりあえず、このことを恋人に報告して、その後はツチノコ探しですかね」

記者「幻のヘビですね。“UMAオタク”のさらなるご活躍に期待してます!」

10: 2021/04/22(木) 18:38:09.369 ID:ftpBFcBm0
ガサガサ…

男「集めた情報を整理すれば……この森の中に……ツチノコがいるはず……」

男「……!」

男「この這ったような跡……もしかして!」

男「よし、俺もツチノコのような姿勢で……」

ズルズル…

男(ツチノコになった気分で、森を探索するんだ……!)

11: 2021/04/22(木) 18:41:13.772 ID:ftpBFcBm0
ツチノコ「……」モゾモゾ

男「!」

男「いたーっ!」

ツチノコ「……」モゾモゾモゾ

男「そこだ!」パシッ

男「よし、捕まえたーっ!」

ツチノコ「……」

12: 2021/04/22(木) 18:44:32.712 ID:ftpBFcBm0
男「皆さん、これがツチノコです。ついに捕獲することができました!」

ツチノコ「……」

オオッ…

「さすが、“UMAオタク”だ」

「すげえ……」

「爬虫類学者によると、マジで新種のヘビらしいぜ」

ワイワイ…

13: 2021/04/22(木) 18:47:45.741 ID:ftpBFcBm0
男(さて、次に見つけたいのはスカイフィッシュ)

男(いわずと知れた、ものすごいスピードで動く白い飛行生物だ)

男(今ではスカイフィッシュの正体は虫だなんていわれてるけど、俺は信じない)

男(“UMAオタク”である俺が捕まえて、スカイフィッシュの実在を証明してやる!)



男「スカイフィッシュが多く目撃されてる土地にやってきたが……」

男「……」

男(罠を仕掛けつつ気長に待つしかない。未知との遭遇のコツは忍耐と工夫だ!)

15: 2021/04/22(木) 18:52:08.284 ID:ftpBFcBm0
シュンッ

男「!」

男(今たしかに俺の横を何かが横切った!)

シュンッ

男「まただ!」

男(俺は確実にスカイフィッシュに近づいている! ようし……!)

シュンッ

男「今度はこっち!」

16: 2021/04/22(木) 18:54:14.094 ID:ftpBFcBm0
シュンッ

男(次で捕まえてやる……!)

男(ここに網を!)パサッ

シュンッ

ズボッ!

男「やった!」

スカイフィッシュ「……!」ビチビチッ

男「おお、ちゃんと細長くて白い体をしてる!」

17: 2021/04/22(木) 18:57:25.241 ID:ftpBFcBm0
男(今日は彼女とデートだ……)

男「やぁ!」

男「スカイフィッシュを見つけたおかげで、また“UMAオタク”としての名が上がってね」

男「テレビ出演やらなんやらで儲けたから、今日はプレゼント買ってきたんだ」

男「どう? このバッグ、気に入ってくれるかい?」

…………

……

19: 2021/04/22(木) 19:00:12.614 ID:ftpBFcBm0
男(今日はネス湖にやってきた)

男(狙いはもちろんネッシー。かつて世間を騒がせた怪獣だ)

男(例の首を出した写真は捏造で、今ではネッシーなんかいないというのが常識になってるが)

男(そういう常識を打ち破ってみせるのが、俺の役目であり使命!)

男(ネッシーを見つけるまでテコでも動かないぞ!)

男「……」

22: 2021/04/22(木) 19:03:05.725 ID:ftpBFcBm0
男(あらゆる手段でネッシーを呼び寄せようと試みるも、なかなか効果はない……)

男(だが、ネッシーは必ずいるはず……)

ブクブクブク…

男「ん?」

ネッシー「ギャォォォォォォン!」ザバァァァァァッ

男「ネッシーだぁ! やったぁぁぁぁぁ!」

23: 2021/04/22(木) 19:06:42.964 ID:ftpBFcBm0
男(俺はとある池にいる)

男(狙いは……水の生き物、河童!)

男(こうやって釣り竿にきゅうりをつけて、ずっと待っているが……)

男「ん?」グイグイッ

男「手応えあり!」グイイッ

ザバァッ!

カッパ「クエエエッ!」

男「河童だァ!」

24: 2021/04/22(木) 19:10:00.008 ID:ftpBFcBm0
男(次のターゲットは都市伝説に登場する人面犬)

男(野良犬がまだ生息してるというこの地方なら、見つけられるかもしれない!)

男(ドッグフード片手に捜査してやる!)

人面犬「ワン! ワンワン!」

男「うわっ!?」

男「こんなところに人間……!? いや、人面犬だ! なかなか愛嬌のある顔してるじゃないか!」

25: 2021/04/22(木) 19:10:18.525
昔はこういう生き物探す番組よくやってたなー

26: 2021/04/22(木) 19:12:36.702 ID:ftpBFcBm0
男(遠路はるばる南米にやってきた)

男(吸血生物チュパカブラ……俺の手で捕まえてやる!)

ガサッ

男「む!」

チュパカブラ「ギャオオオッ!」ババッ

男「改造スタンガンで……」バチバチッ

チュパカブラ「グギャアッ!」ドサッ…

男「よし、捕獲成功!」

27: 2021/04/22(木) 19:15:40.240 ID:ftpBFcBm0
その後も――

男「あれはビッグフット!」

ビッグフット「ウゴォォォッ!」


男「ケセランパサランだ!」

ケセランパサラン「……」フワフワ


男「あなたは口裂け女さんですか?」

口裂け女「私、キレイ~?」



――――

――

28: 2021/04/22(木) 19:18:22.589 ID:ftpBFcBm0
記者「次から次に未確認生物の実在を明らかにしましたね。さすが“UMAオタク”です」

男「ありがとうございます」

記者「もはや、あなたに見つけられない生き物なんていないんじゃないですか?」

男「いや……そんなことはありませんよ」

記者「え?」

男「イエティ・ツチノコ・スカイフィッシュでさえ見つけた私でも……無理なものはあるんです」

記者「またまた、ご冗談を……」

男(俺が未だに見つけられないもの、それは――)

30: 2021/04/22(木) 19:21:36.215 ID:ftpBFcBm0
男「やぁ、遅れちゃってごめん!」

ギャル「マジ遅いんだけど! あーし待たせんじゃねーよ!」

男「次狙ってるUMAについての情報を集めててさ」

ギャル「いっとくけど、あーしはあんたのUMA話なんかどうでもいいの。“UMAオタク”とかマジキモイし!」

ギャル「ほら、さっさと金ちょうだい」

男「分かってるよ……とりあえずこれ」

ギャル「ちぇ、シケてんの。じゃ、もう行くわ」

男「え、もう行っちゃうの……久しぶりに会ったのに……」

ギャル「あーしの彼氏でいたかったら文句いうんじゃねーよ。じゃ、クラブ行こっと!」

男「……」

男(“オタクに優しいギャル”だ)





おわり

引用元: 男「イエティ・ツチノコ・スカイフィッシュでさえ見つけられる俺だけれど……」