1: 2010/02/18(木) 17:04:54.52 ID:JWVbBMZv0
私は耳を疑った
魔王?碇司令はそう言ったのだろうか
いったい何を言っているのだろう

聞き間違えであることを祈りながら、私は碇司令に聞き返した

「今、なんとおっしゃったのです?」

「聞こえなかったのか赤木博士。実は、私は魔王なのだ」

ますます訳がわからない

3: 2010/02/18(木) 17:06:17.73 ID:JWVbBMZv0
「魔王というのは具体的にどのような存在なのでしょうか」

「魔王は最強だ。あらゆる魔法を使える。力も強い。勝てるのは勇者だけだ」

ああ、碇司令がおかしくなってしまった
ネルフの総司令がこんなことではいけない。なんとかしなくては

「突然で、びっくりしましたわ」

「今まで隠していてすまない」

「今、皆の混乱を招くと非常に困ります。このことは他言無用に」

「そうだな。そうしよう」

4: 2010/02/18(木) 17:07:46.02 ID:JWVbBMZv0
司令の妄言が外に漏れることは防ぐことが出来た
さて、これからどうしようか。なぜこんなことになってしまったのか
カウンセリングを受けさせてみようか。なにかわかるかもしれない

私は決意した。私の手で、碇司令を元に戻す
学生時代から憧れていた、あの人を・・・

翌日、私は決意を新たに職場へと向かった

「碇司令、おはようござい・・・」

司令の頭に二本の角が生えていた

5: 2010/02/18(木) 17:10:26.07 ID:JWVbBMZv0
「ああ、おはよう。赤木博士」

「あの・・・その頭は・・・?」

「ああ、似合うか?せっかくだからつけてみたんだ」

そう言いながら、司令は少し頬を赤らめた
よかった。生えてきたわけじゃないんだ。しかし・・・

「私は昨日、あのことは他言無用と言いましたわよね?」

「・・・口に出せないならせめて身なりで表現しようかと」

「ダメです。今すぐ外してください。今日、誰かに会いましたか?」

「ああ。さっきレイに」

遅かった・・・

6: 2010/02/18(木) 17:11:02.58
>「魔王は最強だ。あらゆる魔法を使える。力も強い。勝てるのは勇者だけだ」
じゃあ勇者が最強じゃん

7: 2010/02/18(木) 17:12:34.73 ID:JWVbBMZv0
私はすぐさまレイの元へ向かった
レイがうっかり誰かに口外でもしたら、組織内に一気に広まってしまうかもしれない
そうなっては碇司令の権威はガタ落ちだ。
ネルフ総司令ではなく、頭から角を生やした変なオッサンになってしまう
私がどうにかしなくては

「レイ。少し話があるのだけど・・・」

「はい」

「その・・・司令のことなんだけどね・・・」

「角のことですか?かっこいいですよね」

なんと

8: 2010/02/18(木) 17:15:18.22 ID:JWVbBMZv0
「あれはねレイ、昨日、私と碇司令がある賭けをしていて、その罰ゲームなの」

我ながらうまい
これならば司令が好んであんな角をつけていたという事実は
ひとまず隠蔽することが出来る

「だから、他の人には言わないであげてね。可愛そうだから」

「わかりました」

これでいい。その日、私は安心して今日の仕事を始めた

「父さ・・・角をつけ・・・」

今・・・なにか聞こえた?

11: 2010/02/18(木) 17:17:49.85 ID:JWVbBMZv0
振り返った先にいたのは、シンジ君と、レイ

「シンジ君、レイ。今何を話していたのかしら」

「ああ、リツコさん。今朝、父さんの頭から角が生えていたってほんとですか?」

「レイ・・・あなた」

「すみません。どうしても誰かに言いたくて・・・碇君ならいいかなって」

そういう問題じゃねーよ
こうなっては仕方ないわね。この二人にも協力してもらおう

12: 2010/02/18(木) 17:20:11.60 ID:JWVbBMZv0
私は二人を司令の元へ連れて行くことにした

「碇司令、失礼します」

部屋に入ると角をつけた司令がいた
こいつ・・・一人のときにこっそりつけて楽しんでるのね

「どうしたのだ?赤木博士。レイと、シンジも」

「二人とも、よくて?見ての通り、司令は、実は魔王だったの」

ああ、自分でもなにをいっているのだろうと思った

13: 2010/02/18(木) 17:22:57.13 ID:JWVbBMZv0
「でも、使途と闘うネルフの総司令が魔王なんて知れたら
世界は大混乱に陥るわ。だから、このことは秘密にしてもらいたいの
できる?これは正義のための約束なのよ?」

「正義・・・そうですね!僕、秘密にします!」

「私も」

正義という言葉で、二人の顔がなにやら輝いている
どちらにしても、うまくいったならそれでいい。秘密は守られる。
そう思い安心したのもつかの間、司令の口から思いもよらない言葉が飛び出した。

「シンジは、実は伝説の勇者なのだ」

こいつは・・・

15: 2010/02/18(木) 17:31:54.30 ID:JWVbBMZv0
「僕が・・・伝説の勇者?」

ただでさえキラキラしていたシンジ君の顔にがより一層輝き始めた
まぶしい。まぶしすぎるよシンジ君

「そうだ。魔王を、私を倒せる唯一の存在。それがお前だ」

「司令、いい加減にしてください」

「嘘ではない。今はまだ経験値が足りないが、いずれ最強の勇者となる」

ダメだ。本格的にダメだ。これでレイが魔法使いなんて言われたら・・・

「レイは大魔道士の血をひいている」

もう、いいかな・・・

16: 2010/02/18(木) 17:33:56.20
不思議な香りのするスレッドを開いてしまった

18: 2010/02/18(木) 17:38:56.21 ID:JWVbBMZv0
翌日、私は憂鬱な気分で職場へと向かった
司令が魔王であること、シンジ君が勇者であること、レイが大魔道士であること
これらすべてを口止めしておいたが、どうなることやら
レイなんて、約束を三十分で破ったしなあ

私が職場に着くと、司令が一人、先に来ていた
なんか最近、司令は一番乗りで来ている
そしてなにをするわけでもなく座っている
ネルフの総司令とやらはそんなに暇なものなのかしら
そんなことを思いながら私は司令に挨拶をする

「おはようございま・・・」

司令の背中には羽が生えていた

20: 2010/02/18(木) 17:44:11.65 ID:JWVbBMZv0
私は司令を別室へと連れて行った

「どういうつもりですの?」

「魔王は進化するものだ」

司令は得意げな顔でそう言った

「とにかく、誰かに見られては困ります。公の場では自重してください」

「ああ、わかった」


午後になると、学校を終えたシンジ君とレイがやってきた



シンジ君は鎧を、レイはローブのようなものを身につけて

21: 2010/02/18(木) 17:50:24.76 ID:JWVbBMZv0
「やっぱりこの格好は落ち着きますね。
 ああ、つくづく自分は勇者なんだなあって実感します」

なによそのとってつけたようなキャラ設定
あと得意げな顔で言うのはやめなさい

「私は賢者じゃないわ。私を呼ぶなら大魔道士とでも呼んで」

こっちはこっちでなにかぶつぶつ言っている
あなたもその得意げな顔をやめなさい

まったくこの子達は・・・

22: 2010/02/18(木) 17:56:52.49 ID:JWVbBMZv0
「父さん!僕、新しい技を覚えたんだ!
ノーザングランブレードっていうんだよ!」

「そうか、さすが勇者だ。しかし私にはまだ敵わんだろうな」

「私は氏なないわ。一生懸命に生き抜くの
 一瞬、だけど閃光のように・・・」

最近三人は毎日のように集まっている
なにやら楽しそうに

シンジ君、あなたお父さん怖がってたわよね?

そもそも魔王と勇者が仲良く談笑ってどうなの?

26: 2010/02/18(木) 18:15:55.20 ID:JWVbBMZv0
ネルフはもうダメかもな

「先輩、どうしたんですか?元気ないですね」

私の様子を心配したマヤが声をかけてくれた
なかばヤケになっていた私は現在の状況をマヤに相談した

「なるほど・・・わかりました。私に任せてください!」

どうしたことか今日はマヤが輝いている
少し心配だが、こうなったら任せてみよう

27: 2010/02/18(木) 18:20:21.10 ID:JWVbBMZv0
私はマヤとともに司令の元へ向かった

今度はシッポが生えていた。もうどうでもいい

マヤにどんな策があるのか
それはわからないがこれ以上状況がひどくなることは無いだろう
今はとにかくいろいろ試してみたほうがいいわ

「碇司令、実は私、黒いウィンドウだったんです」

え?

28: 2010/02/18(木) 18:25:14.81 ID:JWVbBMZv0
「ど、どういうことだ」

あの碇司令が驚いている
無理も無い。突然なにを言い出すのかこの子は
そう。どういうことなのマヤ。ちゃんと説明なさい
私にもわかるように

「ウィンドウは物語の語り手。
進行のすべての権限は、実は私が持っていたんです!」


「そ、そうだったのか・・・
魔王が出現し、勇者が現れたのに
そこからさっぱり何も起こらないと思ったら、君が足りなかったのか」

なにやら納得しているようだった
えーと、私はいなくてはいいのでは?

29: 2010/02/18(木) 18:30:01.16 ID:JWVbBMZv0
マヤの登場により突然最終決戦が始まった
彼女によれば魔王が倒されればこの茶番は終わるらしい
ゲームとはえてしてそういうものなのだという


「シンジは オーラブレードで きりつけた」
「ゲンドウに 3のダメージ」
「レイの ベギラゴン」
「ゲンドウに 96のダメージ」
「ゲンドウは ぶきみに ほほえんでいる」
「シンジの ノーザングランブレード」
「ミス ゲンドウにダメージをあたえられない」

伊吹マヤはウィンドウ
すべての進行は彼女の思うままだ
碇司令は魔王なのに、不気味に微笑むことしか許されない
ナレーションも難なくこなすとは、さすがといったところね

司令のHPはみるみる減っていった
退屈だからお茶でも淹れようかしら

31: 2010/02/18(木) 18:33:13.44 ID:JWVbBMZv0
「レイの メドローア」
「ゲンドウに 256のダメージ」
「ゲンドウを たおした」

「まさか・・・こんなことが・・・ぐふっ」

なにもさせてもらえずに司令は倒された

少しだけ、ざまあみろと思ったのは内緒

「いくら勇者とはいえ僕だけの力じゃ魔王は倒せませんでした
 仲間に感謝します」

シンジ君は満足そうだし、レイもホクホク顔だ

とにかく、これですべてが終わるわ

32: 2010/02/18(木) 18:41:52.91 ID:JWVbBMZv0
翌朝、魔王も倒され、私は久しぶりに晴れやかな気持ちで職場へと向かった

相変わらず司令は一番乗りで来ている

・・・角も、羽も、シッポも、すべてがグレードアップした司令がそこにいた

「あいつは私の部下で最弱の存在だ
 大魔王の私がいる限り、真の平和は訪れない」

司令はまだまだ遊び足りないようだった
私はまた同じ苦労をするかと思うと辟易した

でも変ね。少しばかりだけど・・・身体が大きくなっているような・・・?

34: 2010/02/18(木) 18:48:39.06 ID:JWVbBMZv0
司令の身体は日を追うごとに巨大化していった

さすがに3mを越えたあたりから誤魔化すことは困難になり
周りからは奇異な目で見られるようになった

驚くことに、司令の身体はわずか一週間で初号機よりも巨大なものとなった

当然そんな大きな身体が地下で動き回れるわけも無く
司令はネルフの外に行くことを余儀なくされた

36: 2010/02/18(木) 18:55:40.69 ID:JWVbBMZv0
私は副司令、ミサト、加持君と共に、碇司令の今後について話し合った

「碇はなぜこんなことになってしまったのか
 原因を突き止めなければどうすることも出来んな」

原因・・・
彼が・・・大魔王だから?

「そういえば、碇司令の格好、ありゃなんですか?
 角や羽、おまけにシッポ。まるでモンスターだ」

「何かへの反抗なのかしら・・・」

そう。あながち間違ってはいない
彼は大魔王だ。いや、大魔王になったのだ。きっと

私は何も話せずにいた
そんなことを言ったら、私まで異常者扱いされてしまう

37: 2010/02/18(木) 19:01:42.81
シンジがゲンドウに乗れば初号機いらなくね?

38: 2010/02/18(木) 19:03:33.02
>>37
むしろ乗る必要あるのかそれ

39: 2010/02/18(木) 19:06:51.05 ID:JWVbBMZv0
司令の巨大化は、初号機を少し上回ったあたりで止まった
とりあえず、これ以上大きくなることはないのかしら?
司令の居場所が外に移されて以来、彼は口もきかず、ずっと座り込んでいる
大魔王なのに、破壊活動もしないし、魔法も使わない

今回のネルフの対応については、未だ白紙
私は時間がたてば、そのうち元通りになるのではという淡い期待を持っていた

そう、あの夜が来るまでは

41: 2010/02/18(木) 19:12:40.70 ID:JWVbBMZv0
その日、私は珍しく遅くまで残業をしていた

すべて片付いたとき、時計を見ると、もう午前2時

いい加減帰らなくてはと急いで支度をしていると
なにやら外から声が聞こえた

外にいるのは・・・碇司令?

私はとんでもないものを見てしまった

碇司令が・・・初号機を犯していた

42: 2010/02/18(木) 19:17:48.61 ID:JWVbBMZv0
「ユイ・・・!ユイ・・・!」

司令は初号機相手に夢中で腰を振っている

吐き気が止まらなかった
早くこの場から立ち去らなければ

車に乗り、フルスピードでそこから逃げ出した
10kmほど離れたところで車を止め
先ほど目撃した事態を思い出した
毎晩毎晩、人がいなくなった後にあのようなことを繰り返していたのだろうか

私は少し想像し、すぐさまそれを後悔した
押し頃した吐き気がまたこみ上げてくる・・・私はたまらず嘔吐した


目の前にある自らの吐瀉物を見つめながら、私は確信した

碇司令が巨大化したのは・・・きっと・・・

44: 2010/02/18(木) 19:23:55.31 ID:JWVbBMZv0
「なに?碇の巨大化の原因はユイ君への未練だと?」

「はい、そうとしか考えられませんわ」

「しかしなあ・・・」

副司令は信じていないようだった
私は仕方なく、あの夜の出来事を打ち明けた

「そうか・・・あの馬鹿めが・・・」

そう言いながら副司令は苦笑した
少し前かがみになっているのが気になる

「司令の気持ちは大切にしてあげたいと思います
 しかし、毎晩のように初号機を・・・その・・・性行為に使われては
いずれ初号機にとんでもないエラーがでる危険があります」

「ふむ・・・」

45: 2010/02/18(木) 19:31:13.28 ID:JWVbBMZv0
話し合いの結果、司令から初号機を引き離すことが決まった
碇司令を、どこか遠い大陸へと移動させようという案だった

しかし、こんな巨大な生物を快く引き取ってくれる国などあるはずが無かった

「碇司令、ごめんなさいね
 あなたを海へ沈めることに決まりました」

47: 2010/02/18(木) 19:37:31.82 ID:JWVbBMZv0
「緊急事態発生!第一種戦闘配置!」

司令が暴れだした
こうなっては手のつけようがない
碇司令は本物の大魔王になったようだった

「碇め・・・やむをえん。初号機と零号機を出撃させろ!」

「あなたたち。今度の敵は大魔王よ。心してかかりなさい」

「はい!」
「わかりました」

いつもはエヴァに乗るのを嫌がるシンジ君が
今日は珍しく意気込んでいる。これはいい傾向ね

「大魔王め。大魔王め大魔王めええええええええ」

この子のツボがわかってきたわ
レイはもう飽きているようだからこの手は使えないけど、支障は無いわね

53: 2010/02/18(木) 20:13:40.34 ID:JWVbBMZv0
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

私は目の前の光景を信じられなかった
横たわっているのは首の無い初号機と、胴のちぎれた零号機

幸い、神経接続の解除が間に合ったから、今のところ二人は無事のはず

碇司令が叫んでいる
我を忘れているようだった

なんせ、あの初号機をなんの躊躇も無く破壊したのだ

あんなに愛した・・・あの人を・・・

55: 2010/02/18(木) 20:22:11.07 ID:JWVbBMZv0
最悪のタイミングで使徒がやって来た
今、エヴァ二体は闘える状況ではない

それどころか、あそこに横たわったままではパイロット二人の身が危険・・・!

どうにかしないと・・・そればかり考える

しかし解決策などあるわけが無く、どんどん使徒はこちらへ接近してくる

突然、上空から赤い物体が降ってきた

57: 2010/02/18(木) 20:30:17.38 ID:JWVbBMZv0
あれは・・・
エヴァンゲリオン・・・
そういえば今日、ドイツから弐号機パイロットが来ると聞いていた

最高のタイミングだ
弐号機は使徒のほうへ向き直った

その直後、私が見たのは弐号機がひざをついた姿だった

58: 2010/02/18(木) 20:34:15.04 ID:JWVbBMZv0
そう碇司令が後ろから弐号機を攻撃したのだ
こいつ・・・余計なことを・・・

「なによ!このおっさん!こいつも使徒なわけ!?」

弐号機パイロットが怒っている
助けに来たと思ったら得体の知れない巨大なオッサンに殴られたのだから
当然といえば当然の反応ね

弐号機は碇司令を敵と認識したようだった

「まずはあんたからね!」

この子・・・ずいぶんうまくエヴァを乗りこなすわ
さすが、向こうでは天才と呼ばれていただけのことはあるわね

だって、碇司令と対等・・・いや、この子の方が押している・・・?

その後、決着はすぐについた




弐号機の敗北という形で

59: 2010/02/18(木) 20:42:00.96 ID:JWVbBMZv0
なにがおきたの?

現在、弐号機は完全に沈黙・・・
パイロットの生存も確認できない危険な状況・・・

弐号機は、完全に碇司令を圧倒していた
そう、途中までは・・・完全に

弐号機は着実に碇司令を追い詰めていた
そして、これでとどめというところで碇司令は雄叫びを上げたのだ

その後の碇司令の動きは、まさにモンスターそのものだった
四速歩行になり、跳躍力、スピード、パワー、それらすべてがアップしたようだ

「魔王は進化するものだ」

かつての碇司令の言葉が、私の頭をよぎった

あれは・・・そういう意味だったのですか・・・?

60: 2010/02/18(木) 20:47:00.55 ID:JWVbBMZv0
私は最後の賭けに出た

「碇司令!聞こえますか!?」

スピーカーで司令へ呼びかけを試みる

「現在、初号機は大変危険な状態です!
 今すぐ使徒を倒さなければ、あなたの愛した初号機が・・・」

碇司令は初号機に目をやった
泣いている・・・正気を取り戻した?


碇司令は改めて、使徒のほうに向き直った

そうだ。彼が使徒を倒してくれれば問題は無い

頑張って。碇司令!

63: 2010/02/18(木) 20:56:04.39 ID:JWVbBMZv0
碇指令は泣いている。泣きながら、闘っている
その涙が自らの手で初号機を傷つけたことによる後悔なのか
己の変貌した姿への憎悪なのか、それはわからない

しかし、このときの碇指令は言葉通り最強だった

「魔王は最強だ。あらゆる魔法を使える。力も強い。勝てるのは勇者だけだ」

また、碇司令の言葉がよぎった
ふふ、でも、ひとつだけ嘘を吐きましたね
彼は魔法は使わなかった

64: 2010/02/18(木) 21:01:44.36 ID:JWVbBMZv0
司令はとうとう使徒を追い詰めた
これで子供たちも助かる。私は勝利を確信していた

しかし・・・追い詰められた使徒は、なにやら様子が変わった

「まさか・・・自爆する気!?」

今の碇指令なら難なく耐えられるだろう
でも・・・子供たちが・・・

「どうにかできないの!?リツコ!」

ミサトの問いに、私は答えることが出来なかった

65: 2010/02/18(木) 21:14:32.84 ID:JWVbBMZv0
碇指令は初号機のほうに顔を向け、少し困ったように笑った

そして、使徒を抱きかかえ、なんと飛び上がった

ああ、司令・・・魔法・・・嘘じゃなかったんですね・・・




「それで、父さんはどうなったんですか?」

ここは病室。私の前には包帯を巻いたシンジ君がいる

「あなたのお父さんはあなたたちを、いえ、初号機を助けたかったのね
 かつて、自分が愛した女性。その分身を・・・
 碇指令は使徒を抱え、空高く飛び上がったわ
 普通に考えれば、爆発に巻き込まれているでしょうね
 でも、あの人はそんなことでは氏なないわ」


そう、彼が戻るその日まで、私たちがネルフを守っていこう
いつか彼を見つけても、彼が自分で帰ってきても
このネルフ本部や、そこで働く人々を見て
これが私が守った場所だと、誇らしく胸を張れるるようにしよう


おわり

66: 2010/02/18(木) 21:15:58.88
カオス乙

67: 2010/02/18(木) 21:15:58.90

70: 2010/02/18(木) 21:21:54.49
ダイー!

71: 2010/02/18(木) 21:36:04.05
多分このゲンドウは記憶をなくした状態で部族の長になってる

引用元: ゲンドウ「実は、私は魔王だったのだ」