1: 21/04/24(土)21:07:02
伊織「ちょっと!あんた!さっきの仕事はどういうことよ!?」

P「どういうことってのは?」

伊織「ドキュメントの取材って言ってたじゃない!」

P「あぁ、人気ドキュメンタリー番組『プロフェッショナリスト』の取材だったじゃないか。何が不満なんだ?」

2: 21/04/24(土)21:08:51
伊織「内容よ、内容!普通こういうのって、『アイドル、水瀬伊織』で密着するんじゃないの!?何よ、『ツッコミ、水瀬伊織』って!?」

P「いや、伊織と言えばツッコミだし…」

伊織「なんであんたの方が無茶言われたみたいなテンションなのよ!?アイドルのイメージがツッコミっておかしいでしょうが!」

3: 21/04/24(土)21:10:12
P「そう言いつつ今もツッコんでるじゃないか」

伊織「あんたのせいでしょうが!?」

P「お、いいぞ!さすが765プロの誇るツッコミサイボーグ!」

4: 21/04/24(土)21:11:42
伊織「…わかったわよ、そんなに言うなら、私ツッコミやめるから」

P「え?」

伊織「もう私は何にも!金輪際!ツッコまないからね!」

5: 21/04/24(土)21:12:49
翌日

真「というわけらしくて…」

春香「はぁ…」

やよい「それで伊織ちゃん、ちょっと怒ってるんですね…」

伊織「…」スンッ

千早「…あまり変わらないと思うのだけれど…」

6: 21/04/24(土)21:13:40
真美「いや、いおりんは本気みたいだよ…」

亜美「そうだYO!昨日の竜宮小町のラジオで、亜美のほーふくぜっとうのボケをぜーんぶスルーしちゃったんだから!」

響「それもう職務放棄じゃないのか?」

真「それが職務になっちゃってることに不満があるのか…」

7: 21/04/24(土)21:15:00
雪歩「ど、どうしよう…私、伊織ちゃんみたいに上手にツッコめるかな…」

美希「雪歩はなんでちょっとやる気なの?」

あずさ「でも確かに、今まで伊織ちゃんに頼りすぎていたかもしれないわね…」

貴音「はい…年長である我々がしっかりするべきでした」

8: 21/04/24(土)21:15:50
春香「そう言われればそうか…確かにみんな自然にツッコミは全部伊織に任せてたよね…」

雪歩「それは流石に…」

真「ちょっとハードワークが過ぎるかもね…」

亜美「よし!そんじゃあしばらくはいおりんに頼らずにみんなでツッコミを回していこうYO!」

9: 21/04/24(土)21:16:37
やよい「みんなで?」

真美「そうだYO!いおりんにはちょーっとおやすみしてもらって、また元気なツッコミを聞かせてもらお?」

響「いや、ツッコミを歌声みたいに言われても…」

10: 21/04/24(土)21:17:29
亜美「お!さすがひびきん!早速ツッコミやってるぅ!」

響「え?自分、今ので良かったのか?」

真美「うんうん!さすが765プロ唯一のリアクション芸人!」

響「うぎゃぁぁぁあ!?自分リアクション芸人じゃないぞぉ!?」

11: 21/04/24(土)21:18:21
貴音「決まりですね…」

あずさ「えぇ、伊織ちゃんの負担を減らすためにも…」

雪歩「みんなでツッコミができるようになりましょう!」

春香「うん!765プロぉ…ファイトー!」

全員「おぉ!」

伊織(…いや、なんでそうなるのよ!?)

12: 21/04/24(土)21:19:15
伊織(ずーっと黙って聞いてたら話がドンドンおかしな方向に…)

伊織(けどここで訂正したら、またツッコミをすることに…)

美希「でも具体的にはどうするの?」

春香「え?」

伊織(そう!そこよ!いいところに気づくじゃない!美希!)

13: 21/04/24(土)21:20:05
春香「ツッコミの練習をする…とか?」

亜美「なんでやねん!?」

真美「どないやねん!?」

美希「うーん、でもデコちゃんがそんなツッコミしてるの見たことないよ?」

亜美「うっ…」

真美「た、たしかに…」

14: 21/04/24(土)21:21:20
雪歩「思ってるより、ツッコミって難しいんだね…」

やよい「伊織ちゃんみたいにはなれないのかな…」

伊織(ならなくていいのよ!そもそもアイドル事務所にツッコミは要らないの!この流れなら…)

15: 21/04/24(土)21:22:12
千早「…むしろボケの方を考えるべきじゃないかしら?」

伊織(…は?)

16: 21/04/24(土)21:23:02
あずさ「千早ちゃん、どういうこと?」

千早「いえ、水瀬さんは百戦錬磨のツッコミです。だから打ち合わせのないぶっつけ本番の会話の中からでも的確なツッコミができます」

伊織(何よ!?百戦錬磨のツッコミって!?)

17: 21/04/24(土)21:23:58
千早「けれど我々はどう考えても素人に毛が生えた程度、ならばむしろボケの方を考えて…」

真「はっ!?そ、そうか!ツッコミがしやすいボケをあらかじめ考えておけばいいのか!」

伊織(何を真理を覗いたみたいな顔してんのよ!?)

18: 21/04/24(土)21:25:00
千早「そういうことよ」

貴音「なるほど、確かにそれは盲点でした…」

亜美「いおりんのように、針の穴を通すようなツッコミをするために…」

真美「まさか針の穴を広くするなんて…」

伊織(人をスナイパーみたいに言うな!)

19: 21/04/24(土)21:25:50
あずさ「でも、それでも難しいわ…私たち別に芸人さんじゃないし…」

亜美「いおりんと違ってね…」

伊織(誰が芸人よ!?)

20: 21/04/24(土)21:26:33
貴音「そこまで深く考えずとも良いのでは?」

やよい「貴音さん!どういうことですか?」

貴音「難しい技術とはいえ、伊織が普段の我々の行動からつっこんでいるのは紛れもない事実…つまり…」

春香「私たちの普段の行動の中にヒントがある…ってことかな?」

伊織(いやいやいやいや、もうそろそろ誰か止めなさいよ…)

21: 21/04/24(土)21:27:40
雪歩「え?でも私たち普通に生活してるだけで…」

亜美「あっ!?」

やよい「ど、どうしたの?」

亜美「ゆきぴょんにはあるよ!必殺のボケが!」

22: 21/04/24(土)21:28:20
雪歩「私の…ボケ?」

真美「あぁ!『穴掘って埋まってます~』だ!」

伊織(あれボケたつもりなら相当迷惑なんだけど!?)

雪歩「あれ私のボケだったら相当迷惑な気が…」

伊織(自覚あったの!?)

23: 21/04/24(土)21:29:02
響「なるほど…たしかにあれは雪歩ならではだし、見てる人からすれば中々のインパクトがあるぞ…」

真「よし、雪歩、ボケをわかりやすくするために穴を掘る時は深さと直径を二倍にしよう」

伊織(いや迷惑!?)

24: 21/04/24(土)21:30:00
雪歩「うん!」

伊織(そんでできるんかい!?)

あずさ「私も、わざと道に迷ってみようかしら」

伊織(いや迷惑!?)

25: 21/04/24(土)21:31:18
亜美「それで逆にまっすぐ着いちゃうような気も…」

響「それならそれで逆にボケになるんじゃないか?」

伊織(なるかぁ!?『何迷わずに辿り着いてんのよ!』なんてツッコミ成立するわけないでしょうが!?)

26: 21/04/24(土)21:32:13
美希「…」zzz

伊織(寝るなぁぁぁぁあ!?飽きてんじゃないの!)

やよい「でも私たちはどうすれば…」

貴音「聞いたことがあります、『笑いとは緊張と緩和』だと…」

亜美「きんちょーと…」

真美「かんわ?」

27: 21/04/24(土)21:33:23
貴音「左様…つまり、真剣な場面、表情から突拍子も無いひょうきんなことを言えば良いはず…」

千早「それでは聞いてください…『アルミ缶の上にあるみかん』」

春香「お、おぉ…」

伊織(何が『おぉ…』なのよ!?ただのクソ寒いダジャレじゃない!?)

28: 21/04/24(土)21:34:34
千早「どうかしら?アルミ缶と上にあるみかんをかけてみたのだけれど…」

伊織(わかってんのよ!)

響「いや、でもこういうことだろ?千早が蒼い鳥を歌うようなテンションでダジャレを言えば…」

雪歩「大爆笑間違いなしだね!」

伊織(してないじゃないの!既に!今!)

29: 21/04/24(土)21:35:38
千早「この調子でどんどんボケを考えていきましょう」

亜美「はいはいはーい!」

真美「モノマネやりまーす!」

30: 21/04/24(土)21:36:27
亜美「スカイラブハリケーンを限界を超えて放つ、立花和夫と…」

真美「立花政夫」

ピキッ

亜美真美「「ぐぁぁぁぁあ!?」」

伊織(…)

31: 21/04/24(土)21:37:23
貴音「私は、らぁめんの代わりにそばを…」ズルズルズル

春香「…私は…歌います!聴いてください…響けファーンファーレ♪届けゴールまで~♪」

真「まっこまっこりーん♪」

美希「…」zzz

伊織(…)

32: 21/04/24(土)21:38:12
響「…なんだか収集つかなくなってきたぞ…」

やよい「あぅぅ…こんな時、律子さんたちがいてくれれば…」

伊織(そういえば、律子たちはどこに…?)

33: 21/04/24(土)21:39:04
トカチツクチテ-♪

亜美「ん?」

真美「兄ちゃんからメッセージだ!」

あずさ「プロデューサーさんから?」

34: 21/04/24(土)21:39:46
真美「んー、と、何々…『みんな、俺は今回の件で反省した。事務所内で起こることのツッコミを伊織に任せすぎた』」

伊織(…何よ、わかってんじゃない)

真美「『だから、今後は俺がツッコミをするよ』」

伊織(…は?)

35: 21/04/24(土)21:40:29
真美「『テレビをつけてみてくれ』」

やよい「テレビ?」

真「なんだろう…」ピッ

36: 21/04/24(土)21:41:08
ナレーション『男は語った…』

P『申し訳ないですけど、俺は誰かじゃなくて、アイツを笑顔にしたいんですよ…』

響「プロデューサーがテレビに出てるぞ!?」

伊織(いや、なにしてんのよアイツ…)

37: 21/04/24(土)21:42:10
ナレーション『大勢の誰かではなく、たった一人の少女のために、男は立ち上がった…』

P『目の前の女の子一人笑顔にできないやつが、アイドルのプロデュースなんてできるわけないでしょう?』

ナレーション『さあ、行け!輝きの向こう側へ!エントリーナンバー.765、りっちゃんピーちゃん!』

YES、We can can can can can can can can can♪

伊織(なんでM-1に出てんのよ!?)

38: 21/04/24(土)21:42:53
P『はいどーも!りっちゃんピーちゃんでーす』

律子『お願いしまーす』

伊織(律子ぉぉぉお!?あんたが止めなさいよぉぉぉぉお!)

39: 21/04/24(土)21:43:35
律子『しかし、会場には綺麗な人が多いですね』

P『まあうちのアイドルには及びませんけども』

律子『失礼でしょうが!』

ドッ

伊織(いや、ツッコミしなさいよ!何しれっとボケに回ってんのよ!)

40: 21/04/24(土)21:44:20
司会者『いやぁ、良かったで~。ネタはどっちが考えてんの?』

律子『私です』

伊織(じゃあアイツは本格的に何してるのよ!?)

41: 21/04/24(土)21:45:26
ナレーション『続いては…飛べない鳥は夜に鳴く!じゅんちゃんピヨちゃん!』

小鳥『はいどーもー!』

高木『よろしく頼むよぉ!』

伊織(いや、もういいわ!何で所属アイドルより目立とうとするのよ!?)

42: 21/04/24(土)21:46:12
千早「…プロデューサーも、律子も、社長も、音無さんも、みんな頑張ってる」

響「自分たちも負けてられないな!」

伊織(頑張る方向性!)

43: 21/04/24(土)21:46:57
ガチャッ

??「おらぁ!強盗だあ!」

伊織(はぁ?)

44: 21/04/24(土)21:47:36
春香「な、何なんですか!?」

強盗「へへへ、テレビ見てみりゃ芸能事務所のスタッフが全員生放送に出てんじゃねぇか。となりゃあ事務所にはか弱いアイドルしかいねぇ」

千早「くっ…まさかこんなことが起こるなんて…」

45: 21/04/24(土)21:48:45
亜美「おいおい、強盗の兄ちゃんよぉ、ちぃとバカにしすぎじゃありませんかい?」

真美「そうそう、こっちにはまこちんがいるんだよ?」

真「どういう意味だよ!?」

46: 21/04/24(土)21:49:38
雪歩「でも真ちゃんなら…」

強盗「おらぁ!」

やよい「うわぁ!?」

あずさ「やよいちゃん!?」

強盗「へへへ、それは人質をとってもかい?」

47: 21/04/24(土)21:50:35
やよい「うぅ…ご、ごめんなさい…」

貴音「なんと卑劣な…」

響「やよいをはなせ!」

美希「…」zzz

48: 21/04/24(土)21:51:32
強盗「なら逃走用の車と…金を用意してもらおうか!」

雪歩「い、いくらですか…?」

強盗「1億…いや、事務所の名前にあやかって765億用意してもらおうか!」

伊織「…いいわ、わかった」

春香「伊織!?」

亜美「いおりんが喋った!?」

49: 21/04/24(土)21:52:26
強盗「ほう、お前が水瀬伊織か…あの水瀬財閥なら765億用意するのも簡単だってか?」

伊織「ええ、お金は用意するわ。そして人質も私が代わる」

やよい「伊織ちゃん!?ダメだよ!」

50: 21/04/24(土)21:53:15
強盗「おいおい、勝手に話を進めてんじゃねぇよ」

伊織「そう?私が人質の方が身代金も受け取りやすいと思うけど?」

強盗「うーむ…それもそうか、よし、わかった!人質交換だ!こっちにこい!」

51: 21/04/24(土)21:53:58
伊織「えぇ、今行くわ…」

強盗「大人しくしてろよ…」

伊織「…ってするかぁぁぁあ!?」ベシッ

強盗「ほげぶ!?」

52: 21/04/24(土)21:54:38
伊織「大人しく!するわけ!ないで!しょうが!この!この!」ゲシゲシ

強盗「ぐへ!?がふ!?げほ!?」

伊織「この現代日本で!それだけの現金と人質を抱えて!逮捕されずにすむと!本気で思ってんの!?」グリグリ

強盗「ぐぁぁぁぁあ!?」

53: 21/04/24(土)21:55:30
伊織「大体展開が唐突すぎるでしょうが!何で事務所の社員が居ないから即強盗なのよ!?その行動力を別に活かしなさいよ!なんでもできるわ!!」

強盗「ごふっ…くっ、くそ…全うなことを言いやがって…こうなりゃ逃げるぜ!」ダッ

響「待て!」

真「逃すか!」

美希「…」zzz

54: 21/04/24(土)21:56:28
伊織「雪歩ぉ!!!」

雪歩「へ!?わ、私?」

伊織「何してんのよ!さっさと穴掘りなさいよ!すっとこどっこい!」

雪歩「ひぃう!?そ、そんなに言わなくても…穴掘って埋まってますぅ!!」

強盗「うぉぉお!?」

55: 21/04/24(土)21:57:16
亜美「す、凄い…」

真美「いつもの倍の深さと直径だから…」

あずさ「強盗さん…落ちちゃったわねぇ…」

56: 21/04/24(土)21:58:14
春香「でもこれで…」

亜美「いおりんもツッコむようになったし…」

貴音「無事に声も聞けました」

あずさ「全部解決ね」

57: 21/04/24(土)21:59:07
伊織「そうそう、解決…じゃないわよ!」

全員「え?」

伊織「どいつもこいつも!頑張る方向が明後日すぎるでしょうが!」

千早「私は頑張っていた方だと思うけれど…」

伊織「あんたが一番酷いわ!クソさむいダジャレで許されてんのはあんたが歌手じゃなくてアイドルだからよ!」

千早「くっ…」

58: 21/04/24(土)22:00:08
貴音「しかし、我々のぎゃぐは…」

伊織「ラーメンの代わりに蕎麦を食べることの何が面白いの?」

貴音「そ、それは…」

59: 21/04/24(土)22:01:01
伊織「真はそれを一発ギャグみたいに使って良かったの?もっと大事なものじゃないの?あんたにとって、まこまこりんって」

真「う、うん…」

60: 21/04/24(土)22:01:56
伊織「春香ぁ!」

春香「は、はい!」

伊織「…単純に下手!」

春香「えぇ!?」

61: 21/04/24(土)22:02:46
伊織「どうせやるなら練習してからにしなさい」

春香「いや、なんかこう…もっとツッコミどころがあるような…」

伊織「亜美ぃ!真美ぃ!」

亜美「は、はぃい!?」

真美「な、何でしょうか…」

62: 21/04/24(土)22:03:40
伊織「あんたたち、世間一般からはモノマネができて器用にバラエティをこなすイメージがあるけど、いざというときは双子ネタに頼ってるのバレつつあるわよ。一番自信があるのはわかるけど、ここぞって時にとっときなさい」

亜美「亜美たちだけ感じ違くない!?」

真美「めっちゃ恥ずかしいYO!」

63: 21/04/24(土)22:04:33
伊織「あずさは迷子にならないでよね!これはツッコミじゃなくてマジの注意だから!」

あずさ「えぇ、気をつけるわ」

伊織「響ぃ!」

響「は、はい!」

伊織「…特に無し!」

響「えぇ!?」

64: 21/04/24(土)22:05:30
伊織「むしろもっとボケなさいよ!やりにくいわね!」

響「無茶苦茶だぞ!?」

美希「…」zzz

伊織「あんたはいつまで寝てんのよ!」

美希「あふぅ…あ、デコちゃん元に戻ってるの」

伊織「強盗が入ってんのに寝てるのはあんたくらいよ!」

65: 21/04/24(土)22:06:40
貴音「しかし、強盗は先ほど警察の方に引き渡しました…」

響「ちょっとしたニュースになってるかもな」

千早「テレビをつけてみましょう」ピッ

アナウンサー『速報です』

真「あ、このニュースかな?」

春香「芸能事務所に強盗って、よくよく考えたら凄い事件だもんね…」

66: 21/04/24(土)22:07:20
アナウンサー『M-1グランプリで史上初のアマチュアチャンピオンが誕生しました』

伊織「アイツ優勝してるじゃないの!?もういいわ!」

終わり

引用元: P「伊織がツッコミをやめた日」