2: 2012/12/26(水) 00:45:40.15 ID:qlZXR9h30
AAAヴンダー内 碇シンジ隔離室

サクラ「シンジさーん 晩御飯ですよぉー?」カチャ

シンジ『……あ、はい』

サクラ「……」カチャ……

シンジ『ありがとう、ございます』

3: 2012/12/26(水) 00:46:38.18 ID:qlZXR9h30
シンジ『……』モグモグ

サクラ「……」

シンジ『……コレって、誰が作ってるんですか?』

サクラ「え、えぇっと。当艦の調理当番は……○○さんです」

シンジ『○○さん?』

サクラ「はい。うちの艦の中では一番料理お上手な人ですよ」

シンジ『そう、なんだ。うん、美味しいよ』

4: 2012/12/26(水) 00:47:11.31 ID:qlZXR9h30
サクラ「……せやったら、もっと美味しそうに食べた方がいいですよ?」

シンジ『ん、ごめん』

サクラ「……はぁ」

シンジ『あ、でも、僕が言っていたって言わないでね』

サクラ「……そうですか」

5: 2012/12/26(水) 00:48:08.21 ID:qlZXR9h30
艦内廊下

マヤ「葛城艦長……!」タッタッタ

ミサト「何か?」

マヤ「シンz……碇シンジ隔離室周辺の修復が、先ほど完了しました」サッ

6: 2012/12/26(水) 00:48:36.47 ID:qlZXR9h30
ミサト「そう。引き続き修復作業を続行しなさい」

マヤ「了解しました」チラッ

リツコ「……ご苦労様」

マヤ「……//////」ペコリ

青葉「……ハァ」

7: 2012/12/26(水) 00:49:28.42 ID:qlZXR9h30
アスカの部屋

マリ「ねぇ、どう思う?」

アスカ「何も」

マリ「何もーってこたぁなーいでしょー?」ニヤニヤ

アスカ「別に、私が思うことは何もないわよ」

8: 2012/12/26(水) 00:50:11.55 ID:qlZXR9h30
マリ「だってぇ、わんこ君ってば、

   ここに来て周り敵だらけみたいな感じだったっていうのに

   アダムスの器ちゃんのお誘い断ったんだよ?

   普通あの状況だったら脱走を選ぶと思うけどにゃー?」

9: 2012/12/26(水) 00:50:46.78 ID:qlZXR9h30
アスカ「どうせ首輪が怖くて逃げられなかったんでしょ?」

マリ「……模範解答すぎてツマンナイ」プイッ

アスカ「うっざ……て言うかあんたねぇ、

    アイツに関する事があると入り浸るのやめなさいよ

    いい加減うっとうしいんだけど」

10: 2012/12/26(水) 00:51:19.30 ID:qlZXR9h30
マリ「ニヒヒー わんこ君関係ないときは普通なのに、

   わんこ君関係あると姫はすぐカリカリするにゃー」ニヤニヤ

アスカ「っさいわね! アンタがニヤニヤしてるのが気にいらないっつってんのよ!」ブンッ

マリ「わっぷ」ボフッ

アスカ「これ以上何か言うなら枕じゃないものが飛んでいくけど?」

11: 2012/12/26(水) 00:51:48.46 ID:qlZXR9h30
マリ「……枕も結構痛い」ヒリヒリ

マリ→退室

アスカ「……」

12: 2012/12/26(水) 00:52:42.31 ID:qlZXR9h30
廊下

マリ「♪~」フラフラァ

サクラ「……あ、おつかれさまです」

マリ「~♪」ヒラヒラァ

サクラ「あはは……」

13: 2012/12/26(水) 00:53:11.31 ID:qlZXR9h30
マリ「~~♪    『さっちん』」

サクラ「はい? 何ですか?」

マリ「わんこ君、どうだった?」

サクラ「えーっと……」

マリ「……思ったとおりに言ってみ」クルッ

14: 2012/12/26(水) 00:53:37.63 ID:qlZXR9h30
サクラ「、 はい。気持ち悪いくらいおとなしいです。遠慮の塊みたいなカンジで」

マリ「そう、まぁ、大方予測通りかにゃ」

サクラ「マリさんてシンジさんのことお詳しいんですか?」

マリ「ぜんっぜーん♪ でも姫の王子様だし、興味津々!」

サクラ「え、でも予測通りて」

マリ「姫から聞いたわんこ君だったらそうするだろう、って思ってねー」クルッ

15: 2012/12/26(水) 00:54:19.89 ID:qlZXR9h30
サクラ「あ、面会するなら、許可……」

ミサト「構わないわ」

サクラ「ひぃぃ!? 艦長!?」

マリ「……」

ミサト「……」

マリ「……ありがとうございます」プイッ

ミサト「……」

16: 2012/12/26(水) 00:54:47.22 ID:qlZXR9h30
サクラ「えっと、艦長? いいんですか?」

リツコ「心配には及ばないわ」

サクラ「……はぁ、せやったら、いいんですけど」

17: 2012/12/26(水) 00:55:17.49 ID:qlZXR9h30
碇シンジ隔離室

シンジ『~♪……違う……~~♪』

シンジ『こうだったかな?……~♪ あ、あれっ?』

マリ→入室

マリ「~~~♪」

シンジ『!!』

18: 2012/12/26(水) 00:55:52.23 ID:qlZXR9h30
マリ「ひさしぶり! わんこ君!」

シンジ『えっ……?』

マリ「覚えてない?」

シンジ『いえ……その……』フイッ

19: 2012/12/26(水) 00:56:54.77 ID:qlZXR9h30
マリ「んー、あー、大丈夫だよ。私はわんこ君のこと恨んでたりとかしないから」

シンジ『……』

マリ「信じられないかにゃ?」

シンジ『……』

マリ「……」

マリ「ま、こんなガラス隔ててたらね。信用なんてできないよね」コンコン

マリ「ってことで、権限発動ー ピッポッパ♪」

20: 2012/12/26(水) 00:57:20.61 ID:qlZXR9h30
ガシャン

シンジ「え!?」

マリ「お邪魔するよ!」

シンジ「だ、だめだよ。中に入ったら、ミサトさんに……」

マリ「私のIDなら入ってもいいことになってるってことは、

   艦長も容認しているってことだよ」スタスタ

シンジ「……っ」シュバッ

マリ「お、おう?」

21: 2012/12/26(水) 00:58:03.30 ID:qlZXR9h30
シンジ「……な、何で近づいてくるの?」タジタジ

マリ「何もしないって、逃げるんじゃないよぉ? わんこ君」

シンジ「……っ」プルプル

マリ「そんな、目ぇ瞑ってまで怯えちゃってぇ……そんなに怖い?

   それはそれで失礼だよ君ぃ」

シンジ「……」

22: 2012/12/26(水) 00:58:56.85 ID:qlZXR9h30
マリ(聞いてた通りだと、ここで謝ってくると思ったんだけどにゃー)

マリ「OK 近づかない。わんこ君が逃げるならこの距離で話すよ」

シンジ「……そう、ですか」

マリ「あー、あと、敬語いらないよ……っていうと遠慮しそうだから

   わんこ君はこれから私にタメ口で話すこと、コレ命令」ビシィッ

シンジ「っ……わかりま……わかったよ……えっと」

マリ「真希波マリ 要望としてはマリと呼んでほしい自称御年28歳!」

シンジ(あれから14年……てことは)「同い年、なのかな?」

23: 2012/12/26(水) 00:59:22.87 ID:qlZXR9h30
マリ「そ。だから気楽にいこう、気楽に」

シンジ「……う、うん。わかったよ。マリさん」

マリ(先は長いにゃー)ハァ

24: 2012/12/26(水) 01:00:10.89 ID:qlZXR9h30
翌日

サクラ「シンジさーん ご飯ですよー」

シンジ『……どうも』

サクラ「……!? ちょ!?」

シンジ『……』ゲンナリ

25: 2012/12/26(水) 01:00:36.63 ID:qlZXR9h30
サクラ「マリさん! 隔離室、入って……いや、ていうか、えぇ!?」

マリ『んー? オハヨー さっちん』

サクラ「どうやってそっち側に!?」

マリ『いーからご飯頂戴よー』

サクラ「ご飯どころの話じゃあらしまへん!!」タッタッタ

マリ『あぁーん! ご飯……』

シンジ(僕の分のご飯を食べるつもりだったんだ……)

26: 2012/12/26(水) 01:01:15.05 ID:qlZXR9h30
数分後

ミサト「マリ、出てきなさい」

マリ『……お断りします』

ミサト「そう。なら仕方ないわね」

サクラ「マリさん! 早く出てこんと、処分されちゃいますよ!」

ミサト「諦めなさい……サクラ少尉」

サクラ「は、はい?」

27: 2012/12/26(水) 01:01:45.39 ID:qlZXR9h30
ミサト「二人分の朝食の用意を」

サクラ「え?」

マリ『え?』

シンジ(ホッ……)

28: 2012/12/26(水) 01:02:12.99 ID:qlZXR9h30
ミサト「……一応言っておくけど、マリ。

    貴方には与えられた権限の中で自由にする権利がある。

    越権行為には口を出すけど、そうでない場合私は何も言いません」

マリ『そうですか』

ミサト「以上です」カツカツカツ

29: 2012/12/26(水) 01:02:50.22 ID:qlZXR9h30
サクラ「……え? ええんですか?」

ミサト「何か問題が?」

サクラ「あ、いえ! 何でもありません!」ビシィ!

ミサト「……」カツカツカツ

30: 2012/12/26(水) 01:03:27.77 ID:qlZXR9h30
数分後 シンジ側

サクラ『はぁ、もってきましたよー』

マリ「ありがとねん♪ さっちん」

サクラ『別にええですけど……マリさんが処分されへんか心配でしたよ』

マリ「真っ先に報告しに行ったくせにー」

サクラ『さっさと出て貰わんと、何かあってからじゃ遅いからです!』カチャカチャ……

31: 2012/12/26(水) 01:03:59.62 ID:qlZXR9h30
シンジ「あ、ありがとうございます。いただきます」

マリ「いっただきまーす!」

モグモグ

シンジ(厚切りベーコンとトースト、サラダ。

    人工肉の味と、なんか不自然な野菜の味……)

32: 2012/12/26(水) 01:05:04.68 ID:qlZXR9h30
マリ「ごちそうさまー!」

シンジ「早っ!」

マリ「男の子なのにわんこ君ってば食べるの遅いぞー」

サクラ『マリさんが早いだけと違います?』

マリ「それは否定しないけど、でも本当に食べるの遅いね」

シンジ「あ、ごめんなさい。今食べ終わるから」

33: 2012/12/26(水) 01:05:32.67 ID:qlZXR9h30
サクラ『別に、急がなくてもいいですよ』

マリ「ンフフー、わんこ君てば、気ぃ使いすぎだよ?」

シンジ「いや、でも……」モグモグ


サクラ『……どーせ残すんですから』ボソッ


シンジ「……」

マリ「……残す?」

34: 2012/12/26(水) 01:06:00.15 ID:qlZXR9h30
サクラ『物資ギリギリやっちゅうのに、残しはるんですよ。この人』

マリ「……」

シンジ「……」

35: 2012/12/26(水) 01:06:28.93 ID:qlZXR9h30
数分後

マリ「……さっちんも居なくなったし、出るなら今かねー」

シンジ「行くの?」

マリ「うん。また来るね」

シンジ「いや、もう来ない方が……」

マリ「また来る」

シンジ「……」

マリ→隔離室出る

36: 2012/12/26(水) 01:07:03.04 ID:qlZXR9h30
シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「……」

シンジ「うっぷ……」ダダダ

シンジ→トイレ

シンジ「うげぇぇぇぇ……」

37: 2012/12/26(水) 01:07:30.95 ID:qlZXR9h30
数分後 ヴンダー内 管理室

マリ「……」キョロキョロ

リツコ マヤ「……?」

マリ「ちょっと、『リツコ様』。お話が……」コソコソ

38: 2012/12/26(水) 01:07:57.08 ID:qlZXR9h30
リツコ「……忙しくはないからある程度は対応できるけど

    艦長に気付かれたくないことなのかしら?」

マリ「艦長というか、艦内の誰にも、気付かれたくないことなんです、けど」

リツコ「そう、なら。私に言うべきことではないわね」

マリ「リツコ様……」シュン

マヤ「先輩……」

39: 2012/12/26(水) 01:08:27.09 ID:qlZXR9h30
リツコ「……それにしても、管理室は暑いわね。  そうだ、マリ」

マリ「にゃんですか……?」シュン

リツコ「涼しい部屋に案内して頂戴。今は忙しくないから艦内ならどこでもいいわ」

マヤ「せんぱぁい……」キュンッ

マリ「リツコさまぁ!」ガバッ

リツコ「暑いって言ってるのに……」

40: 2012/12/26(水) 01:08:52.67 ID:qlZXR9h30
碇シンジ隔離室

シンジ『~♪ うーん、だめだ。 思い出せない……』

ガシャン

リツコ「なるほどね」

マリ「えっと、その」

リツコ「で? どうしてほしいの?」

シンジ(マリさんがリツコさんを連れてきた?)

41: 2012/12/26(水) 01:09:19.84 ID:qlZXR9h30
マリ「あの、わんこ君体調悪いみたいで……診てあげてくれないかにゃ、って」

マヤ「? シンジ君の体調管理は、サクラちゃんに任せているんじゃ……?」

リツコ「でも、わざわざ私を連れてくるくらいだから、何か考えがあってのことなのよね?」

マリ「ええ、まぁ」

リツコ「わかりました。  シンジ君?」

シンジ『! は、はい』

リツコ「診察の時間よ」

42: 2012/12/26(水) 01:10:19.99 ID:qlZXR9h30
一時間後 サクラ自室

リツコ「……重度の胃腸炎……ね」

サクラ「ホンマに、すんませんでしたぁ!」

リツコ「……このメモの通り、あとはよろしくね」

サクラ「うぅぅ……はいぃ……」

リツコ「サクラ少尉。シンジ君の世話係は、とても大変だと思うわ。

    だから色々考慮して今回のことは内緒にしておきます」

43: 2012/12/26(水) 01:11:29.14 ID:qlZXR9h30
サクラ「……そこまでして貰う資格、ウチにあるんでしょうか」メソメソ

リツコ「今回の問題は、『貴方の注意不足』程度の問題じゃないのよ

    遠慮の塊みたいなシンジ君は、注意して見ても気付かせてくれないのよ

    それと今後、定期的にマリとシンジ君を接触させるようにして」

サクラ「え? マリさんを、ですか?」

44: 2012/12/26(水) 01:11:55.72 ID:qlZXR9h30
リツコ「シンジ君は今、回りが自分を憎んでる人ばかりだと思っている

    まぁ、実際その通りよね。
    
    碇シンジ隔離室のドアの開閉に関する権限を

    艦内の人間全員に持たせたらどうなると思う?」

サクラ「間違いなく、シンジさん殺されますね」

45: 2012/12/26(水) 01:12:23.77 ID:qlZXR9h30
リツコ「そして、もちろんシンジ君は貴方も、
    
    自分を憎んでいる人間だと思っている」

サクラ「それは……」

リツコ「否定しなくてもいいわ。

    複雑でしょうけど、それでも隠せない敵意が、貴方にはある」

サクラ「……」

46: 2012/12/26(水) 01:13:07.16 ID:qlZXR9h30
リツコ「ミサトは論外 アスカもあの調子……

    だけどそこにマリというニュートラルな存在が現れた

    彼女なら、彼の心の支えになれるかもしれない」

サクラ「……心の支え」

リツコ「更にマリは、シンジ君との距離が一番近かったと思われるアスカから

    シンジ君に関する多くの情報を有している。

    シンジ君の不調に気付けたのもコレが理由ね」

サクラ「……単に、彼が気を使いすぎて臆病なんと違います?」

47: 2012/12/26(水) 01:13:39.36 ID:qlZXR9h30
リツコ「そうね。彼はとても臆病

    しかも極め付けに、敵意を持っている相手が世話係

    誰にも頼れるわけがない。
    
    頼っても面倒くさいと思われてもっと嫌われるかもしれない。

    碇シンジは、そういう人間よ」

サクラ「……」


49: 2012/12/26(水) 01:15:24.57 ID:qlZXR9h30
リツコ「ホンマめんどくさい人やわーシンジさんて って考えてるわね?」

サクラ「め、めめめめ滅相も!」

リツコ「考えて見なさい

    精神的には14歳の少年が、無意識のうちに世界を滅亡させてしまって、
    
    その被害者に、恨まれつつも世話をされる状況」

サクラ「……」

リツコ「頼りたくても頼れないのよ。

    でも氏にたくても怖くてできない。 氏なせてももらえない」

50: 2012/12/26(水) 01:15:54.93 ID:qlZXR9h30
サクラ「……」
 
リツコ「……かわいそうだと思わない?」

サクラ「……でも、大罪人です」

リツコ「っ ごめんなさい、お喋りが過ぎたわね。

    とりあえず、薬とかはこっちで手配するから、なくなったら私に直接

    ……いいわね?」

サクラ「はっ、はいぃ! 恐縮です!」

51: 2012/12/26(水) 01:16:44.54 ID:qlZXR9h30
碇シンジ隔離室

シンジ「~♪ そうだ。こんなカンジだったはず……っぷ……うぅ……」

マリ『おじゃま』ガシャン

シンジ「!?」ババッ

マリ「しまーす」ガシャン

52: 2012/12/26(水) 01:17:13.06 ID:qlZXR9h30
シンジ「あ、あはは……こんばんわ、マリさん」

マリ「ちゃんと寝ないと治らないぞぉ、わんこ君」

シンジ「そうだね。でもちょっと寝付けなくて」

マリ「今君、胃腸炎でボッコボコなんぞ?

   然るべき治療に従わずに治りが遅いと叱られるのはさっちんなんだからね」

シンジ「そう、だよね。 うん、寝るよ」

マリ「よろしい。 んじゃ私もそろそろ寝ようかにゃー」ゴソゴソ

53: 2012/12/26(水) 01:17:41.79 ID:qlZXR9h30
シンジ「あ、あはは……こんばんわ、マリさん」

マリ「ちゃんと寝ないと治らないぞぉ、わんこ君」

シンジ「そうだね。でもちょっと寝付けなくて」

マリ「今君、胃腸炎でボッコボコなんぞ?

   然るべき治療に従わずに治りが遅いと叱られるのはさっちんなんだからね」

シンジ「そう、だよね。 うん、寝るよ」

マリ「よろしい。 んじゃ私もそろそろ寝ようかにゃー」ゴソゴソ

54: 2012/12/26(水) 01:18:21.99 ID:qlZXR9h30
シンジ「ダメだよ! 今度こそ叱られるかもしれないよ?」

マリ「昨日語り明かした仲じゃないのさー」

シンジ「やめたほうがいいよ……あんまり僕にかかわらない方が……」

マリ「だーいじょーぶ、心配しなくても」

シンジ「だって、マリさんが嫌われるかもしれないよ」

マリ「全然気にしない。だって、私も嫌われ者だし」

シンジ「え?」

マリ「……どういう意味か知りたい?」ニヤリ

55: 2012/12/26(水) 01:18:48.13 ID:qlZXR9h30
シンジ「え、うん。まぁ……聞かせてくれるなら」

マリ「じゃあ、今日は寝よう! 寝てくれたら明日教えたげる」

シンジ「えぇぇ、そんなのズルイよ」

マリ「はいはい、電気消すよー」

56: 2012/12/26(水) 01:19:20.23 ID:qlZXR9h30
翌日

サクラ『シンジさん、食前のお薬ー……』

シンジ「zzz……」

マリ「んにゅふふふ……可愛い寝顔しとるのぉ」ツンツン

サクラ『ま……マリさん……!』

マリ「しーっ! 起きちゃうよー」ヒソヒソ

サクラ『は、破廉恥です! そんな、寝込みの男性に跨って……!//////』ヒソヒソ

マリ「……羨ましいかにゃ?」ヒソヒソ

57: 2012/12/26(水) 01:19:48.87 ID:qlZXR9h30
サクラ『そういう話じゃなく……!』ヒソヒソ

サクラ『ていうか、普通に! 起きてくださいシンジさん! 襲われてますよ!』

シンジ「え?」

マリ「オハヨーございますにゃー♪」

シンジ「っ!? なっ //////」

マリ「起きちゃったかー、失敗失敗~」シュタッ

58: 2012/12/26(水) 01:20:14.66 ID:qlZXR9h30
シンジ「//////」

マリ「朝ごはんみたいだよわんこ君。早く起きなって」

シンジ「わ、わかってるよ」モタモタ

マリ「ああ、別なところも起っきしちゃって勃ってるのに立てません、と」

シンジ サクラ「『マリさん!!!!」』

59: 2012/12/26(水) 01:20:55.66 ID:qlZXR9h30
数分後

シンジ「お粥だ」パァァ

サクラ『○○さんに事情話したら、内緒で作ってくれはりました』

シンジ「あ……」

サクラ『……○○さんはご飯作ってくれてるだけです。

    お礼言うくらい、気にせず言うたってください』

シンジ「うん、じゃあ、ありがとうございますって、伝えてください」

サクラ『はいはい』

60: 2012/12/26(水) 01:21:23.50 ID:qlZXR9h30
シンジ「……」モグモグ

マリ「私もお粥かー、味気にゃーい」フーフー

サクラ『我慢してください』

マリ「梅干うまーい!」

サクラ『はぁ……』

マリ「でももうちょっとボリュームもほしいにゃー」フーフー

サクラ『ここに特別な食事もってくるなんて事してるのばれたら、居心地悪ぅなりますよ』

マリ「え、それって」

61: 2012/12/26(水) 01:21:57.99 ID:qlZXR9h30
サクラ『ここにいる間は同じ食事してもらいます。シンジさんが食べられへん時は断食です』

マリ「そっ! そんにゃあ!」

サクラ『嫌でしたらここで寝泊りするのやめたらええやないですか』

マリ「えー、でもぉ……」

62: 2012/12/26(水) 01:22:29.63 ID:qlZXR9h30










サクラ『……それはそれとして、まだ食べてへんのですか?』

マリ「だって熱いんだもん」フーフー

63: 2012/12/26(水) 01:22:58.31 ID:qlZXR9h30
食後

シンジ「あの、マリさん」

マリ「んにゃー?」カコカコ カコカコ

シンジ「昨日の事なんですけど」

マリ「ん、あー、嫌われ者の話?」カコカコ

シンジ「どういう意味なのかな、って、思って」

64: 2012/12/26(水) 01:23:25.74 ID:qlZXR9h30
マリ「……んー、それなんだけどねぇ。やっぱり言うのやめとくわー」パタコン

シンジ「そう、か。まぁ、言えないなら聞かないよ」

マリ「アリガトね。言いたくなったら私のほうから言うよ」



マリ「さってと、そいじゃ私は、そろそろ行かなくちゃ、だね」

シンジ「行くの?」

65: 2012/12/26(水) 01:24:01.52 ID:qlZXR9h30
マリ「うん。あ、でも、その布団必要になるかもしれないから、置いといて」

シンジ「ま、また来るの? マリさんがいいなら別にいいけど……いいのかな?」

マリ「権限がありますからにゃー」ガシャン

マリ『じゃ、しばしのお別れー バイバーイ』フリフリ

シンジ「えっと、バイバイ」フリフリ

66: 2012/12/26(水) 01:24:56.38 ID:qlZXR9h30
アスカの部屋

アスカ「……どういうことなのよ。コネ眼鏡」

マリ「どうって、そのまんまの意味だにゃー」

アスカ「ふっざけんじゃないわよ! さっきのメール……」

67: 2012/12/26(水) 01:25:25.32 ID:qlZXR9h30
~~~~~~~~~
差出人:コネ眼鏡
題:Re
内容:わんこ君なら隣で寝てるけど?
~~~~~~~~~

68: 2012/12/26(水) 01:25:54.03 ID:qlZXR9h30
アスカ「……アンタ、マジであそこで寝泊りしてるの?」

マリ「三日ほど」

アスカ「!? 姿を見せないと思ったら……アンタそんな事」

マリ「だって、わんこ君ってば激しいんだもん」

アスカ「―――っ!!! やっぱり、アンタそういうこと……っ!」

マリ「凄かったよ……わんこ君の……大きくて、すっごい……」トロン

アスカ「聞きたくない聞きたくない聞きたくない!!!!不潔!」

マリ「胃腸炎」

アスカ「ふけ……え?」

69: 2012/12/26(水) 01:26:36.48 ID:qlZXR9h30
シンジ隔離室

シンジ(ポラリータ?……違うな、何だっけ、えっと、プラリータ? あ、近い近い)ボー

シンジ(そうそう、プラシーボだ)

ドタバタドタバタ……

シンジ(何の音だろ?)

ゼーハーゼーハー……

シンジ(結構、扉の外の音聞こえるんだな)

フーフー……ッ!

ガシャン

アスカ『……』

シンジ「!」ビクッ

シンジ「アスカだ……あ、あれ?」

70: 2012/12/26(水) 01:27:36.18 ID:qlZXR9h30
ガラスの向こう側

アスカ「バカシンジ……相変わらずシケた面してるわね」

シンジ『……』

アスカ「何よ、驚きのあまり声も出ないってわけ?」

シンジ『……?』

アスカ「はぁ、まぁいいわ」

アスカ「ていうかねぇ! アンタ、バッカじゃないの!? 

    コネ眼鏡と一緒に寝てるんですって!?」

71: 2012/12/26(水) 01:28:04.40 ID:qlZXR9h30
シンジ『……?』

アスカ「真希波マリよ! あ、コネ眼鏡のやつ、あの布団で……!」

シンジ『……』

アスカ「こら! 視線そらすな、話聞けぇ!!」

シンジ『……』ハァ

アスカ「ため息つきたいのはこっちのほうよ!

    アンタ、マリに迫られて変なことしたら、承知しないんだからね!」

72: 2012/12/26(水) 01:28:36.37 ID:qlZXR9h30
シンジ『……』フラフラ

アスカ「あ、ちょ! 寝るな。バカシンジ! あんたそこまで生意気になっちゃったわけ!?」

ミサト「……」

アスカ「あ、んのクソガキ……あくまで無視するわけね」

ミサト「……」

アスカ「いいわよ、別に……アンタなんかそこで勝手にのたれ[ピーーー]ばいいんだわ」

ミサト「……」

アスカ「……私を、あんな目に合わせておいて……無視するなんて、最低ね

    屑よ、アンタは屑だわ」

ミサト「……貴方に権限を与えないで正解だったわ」

アスカ「!?!?!? み、ミサト!? い、いつからいたのよ」

73: 2012/12/26(水) 01:29:03.66 ID:qlZXR9h30
ミサト「……アスカ大尉。貴方にはこの部屋において、三つの規制がされている」

アスカ「規制、ですって!?」

ミサト「一つは、この部屋への進入禁止。

    もう一つは、ガラスの向こうへの音声の伝達禁止

    そして、ガラスの向こうへの映像の伝達禁止」

アスカ「……え?」

ミサト「今は貴方の姿も音声も、彼には一切届いておらず、こちらから向こうが見えるだけ」

アスカ「……ど、どうしてそんな規制を、私に?」

74: 2012/12/26(水) 01:29:32.66 ID:qlZXR9h30
ミサト「理由は、貴方が彼に与える精神的ストレスが、今の彼にとっては治療の邪魔だから」

アスカ「治療?……っハ! 艦長様ともあろうかたが、おやさしい事で!」

ミサト「……」

アスカ「あんな大罪人飼い頃しにするくらいなら、

    いっそのことこのまま症状悪化させて頃しちゃいなさいよ!

    アンタがヴンダーの総意なら、そうするべきなんでしょう!?」

75: 2012/12/26(水) 01:30:02.43 ID:qlZXR9h30
ミサト「……」

アスカ「……」

ミサト「……とにかく、貴方が碇シンジに会うには時期尚早。

    話す事があるのなら、規制が解かれた後にして

    ……それからマリ!」

マリ「……はーい」

76: 2012/12/26(水) 01:30:33.81 ID:qlZXR9h30
ミサト「アスカ大尉をこの部屋に入れたのは貴方ね?

    アスカ大尉はこの部屋に入る権限を有していない。

    手引きによって引き入れる事は越権行為よ」

マリ「……私は止めましたー」

ミサト「わかってていってるのでしょう?

    処分は下さないから、とにかく規制が解けるまで

    アスカをこの部屋に入れる事は遠慮しなさい」

マリ「……はい」

ミサト「わかったなら、両名部屋の外へ」

マリ アスカ「……」トボトボ

77: 2012/12/26(水) 01:31:01.43 ID:qlZXR9h30
ガラスの向こう側

シンジ(ガラスの向こうが見えるようになった……)

シンジ(アスカはいなくなったけど、代わりにミサトさんがいる。あれ?)

ミサト『……碇、シンジ君』

シンジ「え、あ、はい」

ミサト『体調不良は、すぐにサクラ少尉に伝えるように』

シンジ「すみません。言い出せなくて」

ミサト『……』カツカツカツ

シンジ「あ、あの! ミサトさん」

ミサト『……』カツカ……クルッ

シンジ「あ、えっと……ごめんなさい、なんでもないです」

ミサト『……そう』カツカツカツ

78: 2012/12/26(水) 01:31:36.40 ID:qlZXR9h30
ガシャン

リツコ「……」

ミサト「……」

リツコ「艦長室の人払い、する?」

ミサト「……必要、ないわ」

79: 2012/12/26(水) 01:32:34.39 ID:qlZXR9h30
昼飯

サクラ『鮭まぶしてあるみたいですよ。食べやすいように、○○さんエラい工夫してくれてはります』

シンジ「うん。凄く美味しい」

サクラ『そうです。美味い飯には美味いと言って、ありがとうって言うのが礼儀です』

サクラ『たとえ頃したいほど憎んでる相手でも、不味そうに食われるよりはイイもんです』

シンジ「……」モグモグ

サクラ『……』

80: 2012/12/26(水) 01:33:04.10 ID:qlZXR9h30
シンジ「……ねぇ。僕が嫌われてるのは、どうしようもないと思うけど……」

サクラ『……』

シンジ「……マリさんが嫌われてるのは、おかしくないかな?」

サクラ『私は嫌ってませんけど……まぁ、エヴァのパイロットは得てして嫌われるんです』

シンジ「エヴァのパイロットが、皆?」

マリ『おっと! その話はそこまでだよ!』

サクラ『マリさん』

81: 2012/12/26(水) 01:33:32.23 ID:qlZXR9h30
マリ『そんな事言ったら私が、姫のほかにはわんこ君くらいしか友達いないみたいじゃないのさ』

サクラ『わかってますよぉ。私と、アスカさんと、シンジさんだけですよね?』

マリ『なんでやねん! って言わせたいんでしょ。ハーイハイ』ナデナデグシャグシャ

サクラ『やーんもう! 冗談きついですわー!』

シンジ「ふ、あはは」

82: 2012/12/26(水) 01:33:58.70 ID:qlZXR9h30
マリ『! わんこ君が笑った』

サクラ『ここに来て初めてですね。 28とは思えないあどけない笑顔やわぁ』

シンジ「ちょ、やめてよ、そういう風に人の顔見るの……//////」

マリ『えっへへー、間近で見て辱めてやるー!』

ガシャン

サクラ『全く、あっちゅうまに入ってしまうんですね』

マリ「ただいまー!」ガバッ

シンジ「わっ、ただいまって……」

83: 2012/12/26(水) 01:34:25.90 ID:qlZXR9h30
サクラ『隔離室にただいま言う人がいますか』

マリ「まーいいじゃん。私はわんこ君気に入ってここにいるんだし

   わんこ君もたまーに二人でいてあげないと寂しくて氏んじゃうよ?」

シンジ「たまーに、ってここ最近ずっとじゃないか」

マリ「おぉん? 言うねぇ、わんこ君ってば」グイ

シンジ「ふぁ、や、やめふぇよ」

85: 2012/12/26(水) 01:36:59.75 ID:qlZXR9h30
マリ「ふふん、わんこ君、良いこと教えてあげようか?

   この部屋ってね。私の権限があれば外部との音と映像を遮断できるんだよ」

シンジ「さっきみたいに?」

マリ「アレよりもっと強固。外からもこちら側が見えないようにするの」

シンジ「え……」

86: 2012/12/26(水) 01:37:32.53 ID:qlZXR9h30
マリ「なんとなくわかったかな? つまり、

   ゴウモン しても ばれない んにゃよ」ズイッ

サクラ『ちょ、ちょっと、マリさん?』

マリ「権限発動ー! 裏コード132!」

ヴン……

87: 2012/12/26(水) 01:38:02.07 ID:qlZXR9h30
ガラスの向こう側

サクラ「ほ、ホンマに何も見えへん! 聞こえへん!」

サクラ(アカン! シンジさんのストレスがマッハで、胃袋に穴空いてまう!

    でもマリさんほどの権限なんて私には……)

サクラ「マーリーさーん!! ちょ、開けてちょーだいよー!」バンバン

サクラ(ええい! ダメでもともと! ID認証……)

88: 2012/12/26(水) 01:38:48.16 ID:qlZXR9h30







ガシャッ


三人「え?」

89: 2012/12/26(水) 01:39:20.79 ID:qlZXR9h30
シンジ(何で開いたんだろ?)

マリ(ちぇーっ)

サクラ(何で二人とも半脱ぎなんやろ)



シンジ マリ「……」クンズホグレツ

91: 2012/12/26(水) 01:40:04.93 ID:qlZXR9h30
サクラ「はっ! ちゃう、ちゃうねん。なんで扉開いてん!?」

マリ「そりゃ、さっちんはお世話係だし?」パッ

シンジ「マリさん、服直したほうがいいよ//////」

サクラ「……」

サクラ「なんやー、せやったらウチずっと中に入れたんやないですか……」

マリ「そーだね」ナオシナオシ

サクラ「……」カツカツカツ

92: 2012/12/26(水) 01:40:39.76 ID:qlZXR9h30
サクラ(サードインパクトの元凶

    碇シンジ

    お兄ちゃんの、お兄ちゃんたちの命を奪った張本人)ツカツカ

シンジ「っ……」ビクッ

サクラ(なんや、こんな簡単やったんや

    一発殴るの

    私に、こないな権限与えられてたなんて……)ツカツカ……

93: 2012/12/26(水) 01:41:19.88 ID:qlZXR9h30
シンジ「……」

サクラ「フンッ!」ドゴォ

シンジ「っ……!!!!」

ドタァ

マリ「うひぃ……いったそー……」







94: 2012/12/26(水) 01:42:05.70 ID:qlZXR9h30




サクラ「すまんなぁ、シンジさん。

    私はアンタを殴らなあかん。殴っとかな気が済まへんのや」





95: 2012/12/26(水) 01:42:32.86 ID:qlZXR9h30
シンジ「……ごめん」

サクラ「謝ってもらっても何にもなりません

    ……もう、どうしようもないことやのですから

    まぁ、アンタがエヴァに乗らんでくれる事こそが誠意やと思います」

シンジ「……」

サクラ「それだけはお願いします」

96: 2012/12/26(水) 01:42:59.33 ID:qlZXR9h30



シンジ(……僕は、やっぱりエヴァに乗るべきじゃなかったのかな)

シンジ(最初から乗っていなければ、皆……)




97: 2012/12/26(水) 01:43:29.63 ID:qlZXR9h30






サクラ「……で、こっからは、シンジさんの親友の妹として、接します」

シンジ「……?」

98: 2012/12/26(水) 01:45:23.81 ID:qlZXR9h30
サクラ「お兄ちゃん、いつもゆうてはりました。

    センセは、何もかも一生懸命頑張ってる。

    何があってもセンセの味方せなアカン。

    センセが何か間違ごうた時も、ちゃんと叱って、助けてやれって。

    だから、これからは私、全力でシンジさんの味方します」

シンジ「……トウジが……?」

99: 2012/12/26(水) 01:46:09.61 ID:qlZXR9h30
サクラ「お兄ちゃんだけが理由じゃありません。

    シンジさんはずっと、ずっと戦ってきてくれたんですもん

    私、ちゃんとそれを知ってるから、やから私はシンジさんの味方です」

シンジ「……っ……」ッ

サクラ「……シンジさん、頑張ったのに、こないなことになってしもて

    辛かったですやろ?」

シンジ「……っ、……そんな、こと……」

100: 2012/12/26(水) 01:48:55.52 ID:qlZXR9h30
サクラ「ええですよ。『今』は私、トウジの妹です。

    シンジさんのこと、そんな嫌いやありません」

シンジ「でも……僕……」ボロボロ

サクラ「守りたかったんですよね。 皆のために戦ったんですよね。

    本当はシンジさんおらへんかったらこの世界すらもないってこと、

    私はちゃんとわかってます」ギュッ


102: 2012/12/26(水) 01:51:37.19 ID:qlZXR9h30
シンジ「うっく……グス……うぅぅう……」ボロボロ

サクラ「今までエヴァに乗って戦ってくれて、

    ホンマに、ホンマにありがとうございました」

シンジ「……!」

シンジ「う、うああああぁぁぁぁぁ……あああぁぁぁぁ……」ボロボロ

サクラ「ん……」ギュッ

マリ「……」

103: 2012/12/26(水) 01:52:06.93 ID:qlZXR9h30
数分後 廊下

マリ「わんこ君、寝ちゃったね」

サクラ「ほんまやわー。赤ん坊かっちゅうねん」

マリ「わんこ君の涙でビチョビチョじゃん。さっちんてば、濡れちゃったね」

サクラ「エッロいカンジに言わんでくださいよ! もう!」

マリ「……さっちん、あのさ」

サクラ「……?」

104: 2012/12/26(水) 01:52:54.03 ID:qlZXR9h30
マリ「……私も、エヴァに乗ってていいのかな?」

サクラ「何ですか? 乗りたなくなったんですか?」

マリ「そうじゃなくて……間違って、サードインパクトみたいなのが起こったら」

サクラ「まぁ、そら大問題ですわな」

マリ「そしたら、さっちんは私のこと殴るの?」

サクラ「殴ります」キリッ

マリ「……その後。さっきわんこ君にしたみたいに、してくれる?」

サクラ「?  マリさん。言っておきますけど、ほかの誰がなんと言おうと、

    私、エヴァのパイロットは胸張って誇っていい仕事やと思いますし、

    マリさんやアスカさんには日ごろからエラい感謝してますよ」

105: 2012/12/26(水) 01:53:20.40 ID:qlZXR9h30
マリ「……っ」

サクラ「もちろん、かつての綾波さんや、シンジさんにも感謝してます

    マリさんたちが戦ってへんかったら、物理的に世界滅亡ですもん」

マリ「……さっちん」

サクラ「なんですか? リップサービスはコレくらいにしたいんですけど」

マリ「ちゅーしていい?」

サクラ「リップサービスは、コレくらいに、したいんですけど」

マリ「じゃあハグして」ギュッ

サクラ「もー、ビチョビチョやのにー」ギュッ

106: 2012/12/26(水) 01:54:00.26 ID:qlZXR9h30
数日後 碇シンジ隔離室

シンジ『……どう、ですかね?』

リツコ「もう完治したみたいね。嘔吐もないんでしょう?」

シンジ『はい。大丈夫です』

リツコ「……何か、いい事あった?」

シンジ『え、っと』

リツコ「隠さなくてもいいわ。

    心因性の胃腸炎の治りがやたらと早いってことは、そういうことだもの」

マヤ「でも、先輩。シンジ君はこの隔離室で一人……」

107: 2012/12/26(水) 01:54:28.41 ID:qlZXR9h30
マリ『ニャッ』ニョキッ

リツコ「あら、貴方が頑張ってくれたのかしら?」

マリ『メインは私じゃないと思うけどにゃー』

リツコ「? そう?」

ガシャン

サクラ「シンジさーん、マリさーん。ごはんですよー」

リツコ「あら、ご苦労様」

サクラ「あ、赤木博士! いいんですか、ここに居て」

108: 2012/12/26(水) 01:55:06.96 ID:qlZXR9h30
リツコ「あくまで被検体の研究よ」

マリ『リツコ様がわんこ君のこと気にかけてくれてたの、私知ってるよー』

リツコ「ふふふ、そうね。まぁ貴方たちに横取りされちゃったみたいだけど」

マヤ「先輩ってば……」

リツコ「それより、シンジ君。右の頬がちょっと腫れているみたいだけれど」

109: 2012/12/26(水) 01:55:32.53 ID:qlZXR9h30
シンジ『これは、ちょっと転んじゃって……』

サクラ「私が殴りました」

シーン……

リツコ「……」

マヤ「え、サクラちゃん……?」

サクラ「……艦内代表として、一発だけシンジさんをぶん殴りました」

110: 2012/12/26(水) 01:55:58.80 ID:qlZXR9h30
シンジ『ちょ、ちょっと! 違うんです! サクラちゃんが悪いわけじゃなくて』

リツコ「……そう。なるほどね」スッ

マヤ「え? 先輩」

リツコ「シンジ君、お薬はもう終わり。食事も今日からいつも通りよ」

シンジ『あ、はい……?』

111: 2012/12/26(水) 01:56:25.39 ID:qlZXR9h30
リツコ「それとね、サクラ少尉?」

サクラ「……はい。いかなる処分も―――」

リツコ「頑張るのよ。シンジ君ったらてんでニブチンなんだから」

サクラ「……そ、そんなんじゃありません」

リツコ「ふふっ まぁ、せいぜい健全な関係を育みなさい」カツカツカツ

リツコ マヤ→退室

112: 2012/12/26(水) 01:56:56.53 ID:qlZXR9h30
マリ『……ッフゥ……さっちん?』

サクラ「……コレは、ケジメです。殴ったのは事実ですから」

マリ『助け舟には乗っかっとくもんだよ?』

サクラ「ええんです。私はコレで。それより」

ガシャン

サクラ『はよぉご飯食べましょー。私もお腹ペコペコですわ!』

マリ『わーい!』

シンジ『お肉久しぶりだなぁ』シミジミ

113: 2012/12/26(水) 01:58:55.27 ID:qlZXR9h30
ある日 碇シンジ隔離室

サクラ「シーンジさんっ、あっそびに来ましたよー」ガシャン

シンジ「いらっしゃい……って、言わされるようになってから少し経つけど、

    ここってあくまで隔離室だよね」

サクラ「ええんです。どうせここに入る権限持っとって好き好んで入ってくるのは

    私かマリさんくらいですし」

114: 2012/12/26(水) 01:59:22.56 ID:qlZXR9h30
シンジ「遊びに来てくれて嬉しいけど……」

サクラ「いらん心配せんといてくださいっ

    私はシンジさんのことが好きでここに来てるんですから」

シンジ「……あ、ありがとう」

サクラ「それにシンジさんの部屋に居るってだけでお仕事してることになりますし」

シンジ「あー、なるほどね」

サクラ「内緒ですよ?」テヘペロ

シンジ「うん、内緒にする」

116: 2012/12/26(水) 02:01:59.53 ID:qlZXR9h30
シンジ「……ねぇ、サクラちゃん」カチャカチャ

サクラ「なんですー? あ、音爆弾いきますよ」カチャカチャ

シンジ「了解  あのさ、今日って」

サクラ「ん? あ、もしかして、シンジさん」

シンジ「うん。で、お願いがあるんだけど……」

サクラ「できる範囲でなら協力します!」

118: 2012/12/26(水) 02:06:52.85 ID:qlZXR9h30
アスカの部屋

マリ「姫ー」

アスカ「……何よ」

マリ「ご飯食べよー」

アスカ「はぁ? アンタはバカシンジと一緒に食べるんでしょ?」

マリ「最近姫ってばずっと不機嫌なんだもん でも、今日は姫と一緒がイイの」

アスカ「ふんっ、勝手にすれば?」スッ

マリ「ちょっとまったぁ!」

アスカ「何よ、扉に立ちふさがってたら食堂にいけないじゃないの」

119: 2012/12/26(水) 02:07:21.81 ID:qlZXR9h30
マリ「……ね、今日は何の日でしたっけ?」

アスカ「なっ……し、知らない……わよ」

マリ「ニヒヒwwww  私はぁ、わかってるよぉー?

   お姫様の聖誕祭じゃありませんかぁ?」

アスカ「……そうよ」

マリ「特別なお料理を用意させてもらいましたにゃー」ガラッ

アスカ「ったく……変な気使ってんじゃないわよ、もう」

マリ「姫ー、一回でいいから素直にアリガトーって言って」

120: 2012/12/26(水) 02:08:00.06 ID:qlZXR9h30
アスカ「べ、別に祝ってくれなんていった覚えは」

マリ「……」ジー

アスカ「っ、あ、ありがとう! 嬉しかったわよ……ごめん、素直じゃ、なかった」

マリ「そんな姫が大好き! シェフも喜ぶよ!!」ガバチョ

アスカ「んもー! くっつくな! 恥ずかしい! ほら、料理冷めちゃうでしょ?」

マリ「えっへへー、三ツ星シェフが腕によりをかけて作りましたー!」

アスカ「ハンバーグ? 一応言っとくけど、私、ハンバーグにはうるさいわよ」

マリ「コレで満足できなかったらこの世界で満足できる味はないとおもうにゃー」

アスカ「ふふん、どうだか。でも、ありがたく頂戴するわよ」

122: 2012/12/26(水) 02:11:24.03 ID:qlZXR9h30
艦長室

ミサト「……何事?」

リツコ「いいじゃないの。たまにちょっとは贅沢しても」

ミサト「物資には限りがあるのよ? 少量とはいえ、あまり感心できないわね」

リツコ「『今日』くらい、いいんじゃないの? 美味しそうじゃない、ハンバーグ」

ミサト「……」

リツコ「ちゃんと味わって食べなさいよ。シェフもそのほうが喜ぶわ」

123: 2012/12/26(水) 02:11:51.32 ID:qlZXR9h30
アスカの部屋

アスカ「……」モグモグ

マリ「……♪」モグモグ

アスカ「……」モグモグ

マリ「……んにゃは、最期の一口までおいちー♪」パクッ

アスカ「……」モグ、モグ

マリ「ごちそーさまでした」

アスカ「……ごちそう、さま」

124: 2012/12/26(水) 02:12:21.69 ID:qlZXR9h30








マリ「……三ツ星シェフの正体、わかったかにゃ?」

アスカ「……」コクン

125: 2012/12/26(水) 02:12:53.86 ID:qlZXR9h30
艦長室

リツコ「ミサト……?」

ミサト「……っ」

リツコ「口に合わなかった? 食べ始めてからずっと黙ってるけど」

ミサト「……そんなわけ、ないじゃない」

リツコ「……だと思った」

ミサト「……少し、歩いてくる」

リツコ「はいはい」

126: 2012/12/26(水) 02:13:31.40 ID:qlZXR9h30
碇シンジ隔離室

シンジ(本当に調理器具貸してもらえるなんて思ってなかったなぁ

    ○○さん、いつか会えるといいなぁ。直接お礼言おう)

シンジ(でもなぁ……もしかしてさしでがましいことしちゃったかな?

    ミサトさんだって、大変だろうに……

    僕のこともあんまり見たくないような感じだったし……)

127: 2012/12/26(水) 02:13:58.14 ID:qlZXR9h30

カツカツカツカツ

シンジ(? 誰か来た?)

カツカツカツカツ ガシャン

ミサト『っ……ッハァ、ハァ……』キョロキョロ

シンジ「ミサト、さん?」

128: 2012/12/26(水) 02:14:27.10 ID:qlZXR9h30

ミサト『!』タタタタッ

シンジ(あれは、監視カメラと集音マイク……?)

ミサト『フンっ!』ブチィッ

129: 2012/12/26(水) 02:15:20.73 ID:qlZXR9h30
ミサト『……シンジ君!!!!』

シンジ「は、はい」









ミサト『……美味しかった!!!!』




130: 2012/12/26(水) 02:15:50.37 ID:qlZXR9h30
シンジ「!!」

ミサト『……美味しかったわよ。すごく……』フルフル

シンジ「……ミサトさん」

131: 2012/12/26(水) 02:16:29.23 ID:qlZXR9h30
ミサト『……ごめんなさい。シンジ君……私……』プルプル

シンジ「……いえ、なんとなく。わかります。仕方ないですよね」

ミサト『……ありがとね……』

ミサト『っ』カツカツカツ

132: 2012/12/26(水) 02:16:56.37 ID:qlZXR9h30
廊下

ミサト「……っ、アスカ、大尉」

アスカ「……何よ、ミサト」

ミサト「……」

133: 2012/12/26(水) 02:17:26.78 ID:qlZXR9h30
アスカ「……用がないなら、私行くけど」

ミサト「アスカ」

アスカ「何よ」

134: 2012/12/26(水) 02:18:29.52 ID:qlZXR9h30



ミサト「誕生日、おめでとう アスカ」




アスカ「……フンッ ミサトも、もうちょっとしたらゾロ目ね」



ミサト「耳に痛いわ……」

アスカ「……」

135: 2012/12/26(水) 02:19:09.92 ID:qlZXR9h30
ミサト「こんな気持ちになれるのも、おそらく今日くらいだと思う。

    だから、今だけ本心を言わせてもらうわ」

ミサト「いつか、いつかね……シンジ君と、貴方と三人で、また……」







アスカ「わかってるわよ!」ギュッ

136: 2012/12/26(水) 02:19:45.92 ID:qlZXR9h30
ミサト「……っ」

アスカ「私だけは、ちゃんとわかってるから」

ミサト「あすかぁ……」メソメソ

アスカ「四十路になってそんなみっともない声出すなっての! ここ、廊下!」

ミサト「グス……アスカだってアラサーの癖に」

アスカ「ッさいわね。あとね、ミサト。

    別に、私にだったらいつでもその情けない姿さらしても大丈夫だから」

ミサト「何よあんたたちはぁ……いい大人を泣かせて楽しいのかしら?」グスグス

137: 2012/12/26(水) 02:20:23.36 ID:qlZXR9h30
アスカ「超楽しいわよ! でも廊下で艦長が泣いてたとか噂されたら困るから、

    早く艦長室戻れ!!」バッ

ミサト「うん、戻る。ちょっち泣いてくる」グスグス

リツコ「艦長室周辺の人払い完了しました」

ミサト「ありがとね、ヒッグ……リツコ……あとお酒付き合って」メソメソ

リツコ「……やめたんじゃなかったの?」

ミサト「今日だけよぉ……お願いぃ……」

リツコ「いいわよ、いいから、艦長室に入ってから泣いて頂戴」

138: 2012/12/26(水) 02:21:03.48 ID:qlZXR9h30
碇シンジ隔離室

シンジ『……』ポケー

アスカ「なんて面してるのよ……ったくしっかりしなさいよね」

シンジ『アスカ?……アスカ!!』ガバッ

139: 2012/12/26(水) 02:21:31.25 ID:qlZXR9h30
アスカ「はいはい、そんなガラスにへばりつかなくてもそっち行ってあげるから」

ガシャン

アスカ(通れた)ホッ

シンジ「アスカ、ごめん……僕は……」

アスカ「……」

シンジ「あんなことをしてしまって……僕が乗ったエヴァで、あんな……」

140: 2012/12/26(水) 02:22:04.85 ID:qlZXR9h30
アスカ「……バカシンジ!!」ポカッ

シンジ「あいたっ!」

アスカ「そうじゃないでしょ! 今日は何の日なのよ!!!」

シンジ「え、あ、そうだった。アスカ、あの、誕生日おめでとう」

アスカ「あんたバカァ!? 女はね、アラサーになると祝われても複雑なのよ!

    祝うにしても気の効いたプレゼントとかそういう感じで

    雰囲気を大切にするものなのよ!!

    それが何? ハンバーグ!?」

シンジ「ご、ごめん。でも、僕がここでできる事なんて……」

アスカ「それしかないでしょうね。 当然だわ!

    だから……その」

141: 2012/12/26(水) 02:22:30.20 ID:qlZXR9h30



アスカ「また……作りなさいよ」モジモジ

シンジ「えっ……」

アスカ「美味しかったっつってんの……

    一口目ですぐわかったわよ。あんたの味だって」

シンジ「……うん、わかったよ」

アスカ「……うん」

シンジ「……」

アスカ「……」

142: 2012/12/26(水) 02:23:03.44 ID:qlZXR9h30
アスカ「て、いうか……」

シンジ「あ、やっぱり突っ込む?」

アスカ「……何なのよ、この部屋はぁ!!!?」



マリ「いらっしゃい姫ー って、あれ? 二位だ!」マンマミーヤッ

サクラ「マリさんがどエラいよそ見してる間に追い抜かせてもらいました」ワノレイージイズナンバーワンッ

マリ「ちぇーっ あ、姫もお菓子食べるー?」

143: 2012/12/26(水) 02:23:42.13 ID:qlZXR9h30
アスカ「バカシンジ、アンタねぇ! 隔離されてるんじゃないの? 軟禁じゃないの!?」

シンジ「そう聞いてるんだけど、でも二人が入り浸ってから物が増えちゃって……」

アスカ「あ、これ、コネ眼鏡このゲームどこで……」

マリ「やろーよー、コレでちょうど四人対戦できるしー」

サクラ「えーアスカさんやるんですか? 

    マリさんはチョロかったのに、

    これからは本気出さんとイカンみたいですね」

マリ「お? お? なんだい、私だってやるときゃやるよー! リベンジだ!」

144: 2012/12/26(水) 02:24:12.78 ID:qlZXR9h30
アスカ「……呆れた。 全然心配する必要なかったんじゃない」

シンジ「あ、ありがとう。心配してくれて」

アスカ「っ、べ、別に……まぁ? 胃腸炎も大変だったろうし?」

サクラ「ツンデレツンデレしとらんと、お二人も参加してくださいません?」

アスカ「はぁ? 軽口叩いていられるのも今のうちよ!」

マリ「ボッコボコにしてやんよ!」

145: 2012/12/26(水) 02:24:51.26 ID:qlZXR9h30
シンジ「なんか、いいのかな、って思うよ。やっぱり」

サクラ「え?」

シンジ「本当なら隔離で済まないような罪を犯しているのに……

    皆と一緒に居てもいいのかな……って」

サクラ「……そうですね。正直、こんなの見たら納得しない人も居ると思います」

シンジ「……」

サクラ「でも、シンジさんは、ここに居てもええと思いますよ?」

シンジ「……」

サクラ「少なくとも、今ここに居る人と、艦長、赤木博士。

    この人たちは、シンジさんに居てほしいと思ってます」

シンジ「……僕は、ここに居てもいいのかな?」

サクラ「ええです!」

シンジ「……そっか、僕は」





シンジ「僕は、ここに居てもいいんだ……」




147: 2012/12/26(水) 02:29:13.13
終わったか?

146: 2012/12/26(水) 02:25:29.48
めでたいなぁ!(パチパチ

148: 2012/12/26(水) 02:31:01.94 ID:qlZXR9h30
一応ここでひと段落っぽくしたけど、
工口あり変態要素ありの続きって需要ある?
書いてる途中だけどここで終わったほうが綺麗だなって思った。

149: 2012/12/26(水) 02:34:27.59
私見だけどここで終わったほがいいと思うよ
面白かった 乙!

658: 2013/01/03(木) 09:20:27.96 ID:g0S4VJ140
一ヵ月後 碇シンジ隔離室

サクラ『シンジさーん』ヒョコ

シンジ「あ、サクラちゃん いらっしゃい!」

サクラ「もうこの光景も板についてきましたね」

シンジ「うん、サクラちゃんが料理器具借りてきてくれたからだよ」

サクラ「○○さんに感謝やね」

シンジ「うん、ていうか」

アスカ「バカシンジー ご飯ー」

マリ「わんこ君ー♪ ご飯ー!」

シンジ「皆、最近ナチュラルにココに集まるようになったね」

アスカ「アンタは私のご飯を作る使命があるのよ! 

    喜びなさいよね、この私の世話ができるんだから」

シンジ「ははは、まぁ、良いけどね」

サクラ「でも、シンジさんのご飯メチャクチャ美味しいですもん。

    集まりたくなる気持ちわかりますわ」

マリ「さっちんも、そう言いながらご飯食べないでココに来るようになったよねー」

サクラ「いいやないですかぁ シンジさんかて

    一人分作るのも数人分作るのも変わらん て言うてくれますし」

シンジ「そうだね。それに僕料理するの好きだし、

    食べたいって言ってくれるのは本当に嬉しいよ」

659: 2013/01/03(木) 09:20:55.21 ID:g0S4VJ140
アスカ「ヘラヘラしちゃって、

    何だかんだ言って女の子に囲まれてスケベな事考えてるんでしょ?」

シンジ「そ、そんなこと考えてないよ! 

    あ、ハイ、とりあえずサラダ食べながら待っててよ」

サクラ「シンジさん最近、お食事前にサラダ出しますね」

マリ「あー、私ドレッシングはゴマがいいにゃー、ゴマー」

アスカ「そういえばずっと青紫蘇よね。なに、あんたの好み?」

シンジ「いや、食事の前にサラダ食べるとダイエットに良いらしいから、

    もしかしてご飯と一緒に食べたかった?」

サクラ「シンジさん……」

アスカ「んー……」

マリ「わんこ君、それはちょっと乙女心的に微妙なところだよ」

シンジ「え? でもアスカがよくダイエットって言って

    何も食べない事とかあるから、

    それだったら普段から気をつけたほうが良いかなって思って」


660: 2013/01/03(木) 09:21:23.07 ID:g0S4VJ140
アスカ「……ムムム……ッたく、わかったわよ。別にイヤって意味でもないしね」

サクラ「心情的には微妙やけど、正直ホンマなら試さずにはいられません」

マリ「ゴマドレッシングとってー」

ミサト「はいどうぞ」

サクラ「ブフウゥゥゥゥゥゥ!!!」

661: 2013/01/03(木) 09:22:06.89 ID:g0S4VJ140
ミサト「サクラちゃん、お食事中よー?」

サクラ「な、何で! 艦長がココに来てるんですか!!」

ミサト「? ご飯食べに」

サクラ「いや、そーやなくてですね。あの、艦長のイメージとしては……」

ミサト「こないだからこっそり来てたわよ」

サクラ「な!?」

ミサト「流石にサクラちゃんにはまだ黙っておきたかったのよねぇ……

    一応、艦長としてはあのキャラで売ってるところあるから」

アスカ「たまにはココに来てハメはずしなさいよって言ったらこの様よ。

    ほんと、人間って堕落するとすぐ一直線ね」

マリ「いいじゃん堕落してもー、ココだけヴィレじゃないみたいで落ち着くし

   ねー艦長ー♪」

ミサト「そうよねー♪」

シンジ(混ぜるな危険の臭いがする……)

サクラ「アカン……ちょっと憧れてたのに……」

ミサト「大人ってこういうものよー」

サクラ「ウチかて大人ですけどね」

ミサト「……そういやそうね。あんたたち皆同い年くらいに考えちゃってたわ」

アスカ「ん? ちょっとまって、それって私たちの事ガキ呼ばわりしてない?」

ミサト「そのつもりだけど?」

アスカ「こんなナリでもこちとら28だっつーの! 大人よ大人!!」

マリ「アラサー主張する独女って……」

アスカ「あ ん た も 同 じ で しょ」

マリ「やーぁ! つねらないでぇー!」キャッキャ

ミサト「アースーカ お食事中でしょ」

アスカ「はいはい」

662: 2013/01/03(木) 09:22:38.07 ID:g0S4VJ140
夜 

サクラ「シンジさん、起きてます?」

シンジ「ん、起きてるよ」

アスカ マリ「zzz……」

サクラ「……ふふ、なんか変ですね。隔離室やのに、人が集まって寝泊りしとる」

シンジ「そう、だね」

サクラ「……みんな、シンジさんの事が好きなんやなぁ」

シンジ「そうなの、かな」

サクラ「そうですよぉー そうでなかったら人なんて集まりません

    好かれる人のところに人は集まるモンです」

シンジ「……そうなら、嬉しいな……」

サクラ「好きな人のところに集まるから、幸せな家庭とかができるんです

    ウチも、子供生んで幸せな家庭作りたいんですわぁ……」





663: 2013/01/03(木) 09:23:11.90 ID:g0S4VJ140
サクラ「シンジさん。

    もし、ヴィレの戦いが終わったら……

    エヴァは全部解体されるそうです」

シンジ「そうなんだ。

    うん、それがいいと思うよ」

サクラ「ウチもそう思います。で、

    そうなったら、もうインパクトなんて起こらんようになるわけですよね」

シンジ「そうだね。使途もいないエヴァもいない世界なら、ね」

サクラ「そしたら、シンジさんがココで隔離される理由はなくなるわけです」

シンジ「……そうかな? その時こそ僕は、サードインパクトの原因として……」

サクラ「そんなことにはなりません。

    もし世界がそれを望んでも、艦長がさせませんよ」

シンジ「……ミサトさん自身はそう思ってくれてるかもしれないけど……

    ヴィレの艦長としてのミサトさんは、そうしていられないでしょ?」

サクラ「艦長はな、ヴィレの中で色々な人脈作ってますねん

    いつかシンジさんが平和に暮らせるように、

    新しい戸籍作るのかてちょちょいのちょいやで」

シンジ「新しい戸籍、かぁ

    そうしたら、僕も一人暮らししなくちゃね」

サクラ「どうですやろ? アスカさんとマリさんもついてくるかもしれませんよ?」

シンジ「えぇ? それって、同棲ってこと?」//////

サクラ「さぁ、お二人からしたら『ご飯ほしさ』で押しかけるんやと思いますけど」

シンジ「あー……そういう、ね」クスクス

サクラ「……ウチも、行くかもしれませんけど……」ボソッ

シンジ「……」

サクラ「な、なんでも、ありません……」

シンジ「……いつでも来てよ」

サクラ「……」

サクラ「はい……」




……


664: 2013/01/03(木) 09:23:39.31 ID:g0S4VJ140
翌日 昼



サクラ「はぁ、訓練は大変やな」

ミドリ(ピンク髪)「あんた医官だし、訓練のときは楽じゃん」

サクラ「それはそうやけどー」

ミサト「……サクラ少尉」

サクラ「あ、はい!」

ミサト「……何か 忘れてない?」

サクラ「えっと、あ! 今日も特別訓練、ですっけ?」

ミサト「……赤木博士のところへ行くように。それと」

カツカツカツ

ミサト『今日の晩御飯なに?』

サクラ『豚のしょうが焼きです』

ミサト『ありがと、訓練頑張ってね』

サクラ『どもです』

カツカツカツ

ミドリ「……なんかアヤしー、何はなしてたのよ」

サクラ「内緒や内緒ー」

ミドリ「はぁ? なにそれぇー!」



665: 2013/01/03(木) 09:24:14.01 ID:g0S4VJ140
訓練後

アスカ「……」スンスン

アスカ「……」スンスン

マリ「……」スンスン

アスカ「!? な、何してんのよ」

マリ「いや、姫が自分の匂い嗅いでるからさ。どーしたのかにゃーって思って

   嗅いでみた」

アスカ「バッカじゃないの……やめてよね」

マリ「いいじゃん、わんこ君は嗅がせてくれるよ?」

アスカ「それよ……アンタがバカシンジのこといい匂いだとかいうから、

    私も、匂いってあるのかなって思って」

マリ「あるよ」

アスカ「うっそ!?」

マリ「ある。 姫の匂いはねぇ……」スンスン

アスカ「ちょ、かーぐーなー!」

マリ「イメージとしては、

   『太陽』かな。嗅いでると落ち着くし、一緒にいると気持ち良い

   そんな感じ」

アスカ「……太陽? なんか、メルヘンな事言おうとしてるのはわかったけど」

マリ「メルヘンかにゃ?」

アスカ「もういいわよ。さ、早くバカシンジのとこにご飯たかりに行くわよ」

マリ「ごっはーんー!」






666: 2013/01/03(木) 09:24:44.74 ID:g0S4VJ140
ビービービービービービー

アスカ「な、なに?」

マリ「警報?」

放送『緊急事態発生 緊急事態発生 ネルフのエヴァが接近中

   総員 第一種戦闘配備』

アスカ「アイツ……!」

マリ「アダムスの器ちゃんかな?」

アスカ「しかありえないでしょ!!」ダッ







667: 2013/01/03(木) 09:25:11.83 ID:g0S4VJ140
ミサト「ヴンダーの砲台の七割を右翼に向けておいて。

    奴らの目標は恐らく碇シンジ。最終的にそこへ向かうのは確実」

ミサト「他砲台は左翼に

    前後方は他艦隊でカバー 主砲はいつでも発射可能にしておいて

    上下はエヴァで対処する」





ミサト「アスカ マリ 準備は?」

アスカ『いつでも』

マリ『OK!』

ヒデキ「え、えっと、」ペラペラ

ヒデキ「目標、前方より来ます!」





668: 2013/01/03(木) 09:26:31.40 ID:g0S4VJ140
ミサト「主砲! 照準合わせて待機!

    前方A班の砲台は掃射開始!
    B班の砲台は照準合わせて待機!

    左舷の砲台は目標を左に近づけないよう威嚇射撃開始!
    右舷砲台、目標の到達予測場所に照準セット!」

リツコ「前面から来た……何か策があるのかしら」

スミレ「そのようです。後方からも来ます!」

ミサト「これは……?」

ミドリ「モニターに写し……っ!? うっげ……」

コウジ「インフィニティ!? いや、なりそこないではあるが……

    再生させたのか!?」

リツコ「カシウスの槍は一時的にではあるけれど、ネルフの手にあったわ。

    これだけの準備はできてもおかしくない」

リツコ「インフィニティが三機、地上から接近している

    前方からは空中のマークナイン

    よい状況とはいえないわね」

ミサト「本艦はマークナインに集中 

    他艦隊の個別指揮にて、後方のインフィニティを撃破せよ!」

ヒデキ「通達 OKです!」

日向「マークナインよりエネルギー反応。攻撃、来ます!」

青葉「ATフィールド展開! 角度を変えてそらします」

ミサト「防衛面は任せたわ」

日向 青葉「サー!」

ミサト「……さて……」



669: 2013/01/03(木) 09:27:00.78 ID:g0S4VJ140
ミサト「マリ アスカ」

マリ『はーぁい』

アスカ『なぁに?』

ミサト「マリはマークナインの接近まで待機、

    主砲発射と同時に遠距離攻撃主体で応戦して」

マリ『おっけー』

ミサト「アスカなんだけど、ちょっち大変な役を背負うことになるわ」

アスカ『まっかせなさい!』

ミサト「後ろからインフィニティが来ているのは聞こえてるわね?

    全艦の砲撃によって三機のうちいくつ落とせるかわからないけど、

    前回の襲撃から考えて、シンジ君を狙っているのは確実。

    ヴンダーに直接乗り上げてくるはずよ」

ミサト「アスカは乗り上げてきたインフィニティと交戦し、これを排除

その数は、0かもしれないし3かもしれない。

    やってもらえるかしら?」

アスカ『当たり前よ!』

ミサト「……頑張って!」

コウジ「艦長! 目標、射程圏内に侵入」

ミサト「5秒後発射!」

コウジ「5 4 3 」

ミサト「発射確認後、目標が回避したところをB班の砲台で追撃!」

コウジ「2 1 発射!」




670: 2013/01/03(木) 09:27:42.66 ID:g0S4VJ140
マリ「きたか!」

ッヅォォォアアアァァァァァァォォァァァァァァァァ!!!!

マリ「主砲発射確認! いっくよー!」

ダッ

マリ「見えた!    け   ど」

ドゥルルルッルルルッルルルウルッルウウル

マリ「B班の射撃が追い討ちして、かーらーのー!



   スナイプ!」

トゥグゥゥゥゥゥゥン…… ドゴァッ!

マリ「っしゃおらぁ! 当てたよー! 見てないだろうけどわんこ君見てるー?」

ミサト『マリ! まだよ!』

マリ「え、当てたよ?」

ミサト『よく見て』







ミドリ「目標の腹部に命中、風穴開いてますけど止まりません!」

青葉「風穴がそのままでも動いている……不気味なヤローだ」

リツコ「全身コアね……どこを削っても生命体として成り立つ……

    存在を消滅させるしか手はないわ」

ミサト「主砲が打てる目安!」

コウジ「後一発分打ってる間に射程角度を外れる!」

ミサト「急ぎ準備、完了次第打て!」

コウジ「サー!」

671: 2013/01/03(木) 09:28:19.62 ID:g0S4VJ140

ヒデキ「あ、うああああ!」

ミサト「うろたえるな! 報告が先!!」

ヒデキ「そ、そんな、ああああ……」

ミサト「多摩ヒデキ!!」

ヒデキ「後方のインフィニティC! 五番艦を襲っています!」

ザワッ


リツコ「……どのエヴァも、本艦を離れることはできないわ」

リツコ「ミサト、即決して。五番艦を爆破すれば、

    コレ以上の損害を食い止められるかもしれない」


ミサト「っ……艦ごと……爆破せよ!!」

スミレ「っ……通達しました」

ヒデキ「っく……あ!」






ゴォォァァァァァアアアアアアアア……

ヒデキ「五番艦の反応消滅! 消滅…ぅうぅ……

    インフィニティの反応……有り!」

ミサト「撃破せよ! 手負いはせめて砲台で打ち落とせ!

    こちらのエヴァへの負担を少しでも減らすのよ!」

コウジ「主砲の用意d」

ミサト「打ち抜け!!」

コウジ「応!!」

ッヅォォォアアアァァァァァァォォァァァァァァァァ!!!!









672: 2013/01/03(木) 09:29:07.79 ID:g0S4VJ140



アスカ「二度目の主砲の音……遠くでの爆発音……

    インフィニティも、そろそろ来るってカンジかしらね」

スミレ『本艦にインフィニティA到達! 左後部翼に乗っています

    Aの損傷は大。 エヴァに任せます』

アスカ「後部翼、遠いわね。打ちながら行くか!!」ジャコン

ガォゥンガォゥンガォゥンガォゥン
ダッダッダッダ

アスカ「オラオラオラオラオラァァァァ!」

日向『ぜ、前段命中……』


アスカ「負けてらんないのよ!」


ダッ!……………………



アスカ「あんた達にぃぃ!!!」



ッガアアァァァァァァァァァァァアアン!!



スミレ『!! インフィニティ、まだ反応あります』

日向『反撃による弐号機の損傷大!』


アスカ「分かってるわよっ そんで、そっちのアンタ!!」

ミドリ『弐号機情報からもインフィニティBが来ます!!』

アスカ「丸見えだっつーの!」

ゴッシャアアアア

ミドリ『す、すげ、腕、胴体貫いてる……』

アスカ「おおあああああああああああああ!!!!」

ブゥン! ゴッシャアアアアアアァァァン


スミレ『AとBの反応が同時に消滅……しました』

ミサト『よくやったわアスカ……だけど』

アスカ「っ、平気」

日向『……機体の半分が損傷、これ以上の戦闘は……』

ミサト『ええ、もう充分よ……』

ヒデキ『っ いんふぃひでぃ……Cの反応も消滅!!』グスグス





673: 2013/01/03(木) 09:29:48.05 ID:g0S4VJ140
ミサト『残るはマークナイン……マリ!頼むわよ!』

マリ「っつつ……」

ミサト『マリ?  マリ!?』











マリ「ゴメン、艦長……」





マリ「マークナインだけじゃなかった……

   マークナインの後ろに、インフィニティが一匹隠れてたよ」




ミサト『後ろに? そんはずはない、

    だって、風穴が開いた時、後ろには……』

マリ「その穴から出てきたんだよ……」

ミサト『……!? 寄生して来たってこと!? そんなことまで……』

マリ「でも、一体だけみたい。もう出てこないよ」

ミサト『マリ? どうしたの?』

マリ「何とか一匹、今捕まえてるから」

ミサト『……マリ落ち着いて、状況、状況を説明しなさい!!

    マリ!!!!』















マリ「ま、捕まったから捕まえられただけなんだけどさ」

ギチギチギチ ギチィ






674: 2013/01/03(木) 09:30:43.00 ID:g0S4VJ140
ミサト『待ちなさいよ。あんた……』

マリ「ゴメン、艦長。なんかこいつ自爆するっぽいから……せめて、離れるね」

ミサト『っ 謝るな。 バカ……』

マリ「あはは……でも、艦長も皆も大好きだから、私、行くわ」




ミサト『……マリ、ごめん……』


































ミサト『その恥ずかしい言葉、きっちり後悔させてやるから』

マリ「は?」


675: 2013/01/03(木) 09:31:38.26 ID:g0S4VJ140
サクラ「……すみません。マリさん。恥ずかしい思いして生き残ってください」

ゴッ!!!!

サクラ「初陣、決めたるでえええぇぇぇぇぇ!」

ッカァァァァッァアン!!!

青葉『八号機に張り付いていたインフィニティD、

   危険範囲外まで飛ばされました』

コウジ『主砲、いけるぞ!』

ミサト『ぅてぇぇい!!!!』

ッヅォォォアアアァァァァァァォォァァァァァァァァ!!!!




スミレ『反応消滅!……ですが』

ミドリ『サクラの乗ってる、あれって…』

ミサト『本当は、隠し玉にしたかったけど……

    エヴァのパイロットを失うわけにはいかない……』

リツコ『最後のエヴァンゲリオン、『Ω』

    ついに、実践導入してしまったわね』

ミサト『ええ、これからは全て総力戦になるわ』

ヒデキ『っぐ……っぐぁ……』ボロボロ

ミサト『多摩ヒデキぃ!』

ヒデキ『グス……は、はい゙ぃ!』

ミサト『……もう少し我慢しなさい……そしたら、いくらでも泣いて良いから』

ヒデキ『……はい……はい、ぃぃ……』




サクラ「アヤナミレイぃぃぃ!!!!」

アヤナミレイ「……」

サクラ「……やるんやったら降りて来ーや! 

    タイマン買うのは浪速の華ぁ!」

アヤナミレイ「……命令では、作戦続行不可能であれば帰還せよ、とあった

       帰還する」

サクラ「……せやったら………………はよぉ失せろ!!」

アヤナミレイ「……」



サクラ「……もぉ、来んといてや……」








676: 2013/01/03(木) 09:32:09.92 ID:g0S4VJ140
スミレ『目標、帰還していきます』

ミサト『射程範囲ギリギリまで掃射

    撃ちたい分、撃て……』

コウジ『……主砲は当たらんですよ。俺はもう、あがります』

青葉『そうか、じゃあ、俺とマコトだけ残るか』

日向『そうだね。防衛と緊急連絡なら僕らで事足ります』

スミレ『ふっ、良いのかい?』

日向『ああ、皆はもう休んでくれ。それと、手が空いたらエヴァの回収にも』

青葉『お前ら、パイロットにはちゃんと優しくしろよ?』

ミドリ『わ、分かってるし……』

ヒデキ『うっぅ、ちきしょう……ちきしょうおおおおぉぉっぉおお……』

コウジ『ああ、泣け泣け。おもいっきし泣け……付き合ってやるからよ』

ミドリ『はぁ、しょうがないなぁ……』







アスカ「……エヴァンゲリオン、Ω?」

アスカ「ハン……」

アスカ「…………サクラの、バカ……」






マリ「……さっちん?」

サクラ「いやぁ、ホンマすみません、遅れてもーて……」

マリ「そんなのどうだっていいよ。それより……

   どうしてさっちん、エヴァに乗ったんだよぉ」ポロポロ

サクラ「どーしてて、そりゃ皆を助けるためですやろ!

    浪速のヒーロー 鈴原サクラ見参っちゅうやつです」

マリ「……立派だよ、立派だけどさ……

   エヴァに乗るってことは、いろんなもの諦めることになるんだよ?」

サクラ「……あんま、気にしてへんよ? だから、あんま言わんでええです」

マリ「馬鹿だよさっちん……

   だってさっちん、子供生んで幸せな家庭作るっていってたのに……」ポロポロ

サクラ「……」






677: 2013/01/03(木) 09:33:08.67 ID:g0S4VJ140

リツコ「サクラちゃんも、背負ってしまったわね

    『エヴァの呪縛』……」

ミサト「……」

リツコ「エヴァに乗り、シンクロする……それは、エヴァに近づくということ

    そうなるとリリンとして本来持つATフィールドがより強固なものとなる」

ミサト「……」



リツコ「体の成長は止まり、老いる速度も停滞していく……

    形状の変化が乏しい……

    特に、女性の場合……子供を埋めない体になってしまう」



ミサト「……分かってる」

リツコ「…私達は、あの子達の未来を奪い。その未来を力に変えて戦ってる。

    忘れないで、ミサト。私も、心に刻み付けておく……」

ミサト「ええ。忘れない……そして、私達も同じものを背負って生きる

    そう、決めたもの……」








678: 2013/01/03(木) 09:33:44.21 ID:g0S4VJ140
夜 碇シンジ隔離室

サクラ「……こんばんは、シンジさん」

シンジ「サクラちゃん!」タタタタッ

サクラ「あーもうっ、見るなり駆け寄ってくるなんて、

    ホンマにわんこ君ですねぇ」

ガシッ

シンジ「サクラちゃん、大丈夫? 怪我とかは?」

サクラ「あ、艦長から聞いたんですか? 

    大丈夫ですよ、

    ウチ、ここぞとばかりにインフィニティぶっ飛ばしてきましたさかい」

シンジ「……エヴァに、乗ったんだって?」

サクラ「ええ」

シンジ「リツコさんから……聞いたんだ……エヴァに乗ることによって発生する

    『エヴァの呪縛』のこと」

サクラ「あーもう、あの人たちは……」




679: 2013/01/03(木) 09:34:43.29 ID:g0S4VJ140

*****
シンジ「『エヴァの呪縛』……」

リツコ「老いることない、不変の生き物になる。それがエヴァの呪縛よ」

ミサト「女性に至っては、もう子供を作ることもできない……」

シンジ「……仕方ないことは、分かってるつもりです……」

ミサト「……」

リツコ「……」

シンジ「でも、そんなものに、サクラちゃんを、乗せたんですか……

    僕なら、もう乗った身ですけど……それじゃあサクラちゃんが……」

ミサト「……」

シンジ「あの子は……幸せな家庭を作りたいって……」

リツコ「聞いて、シンジ君……」

シンジ「……分かってます、仕方のないことだって……」

ミサト「違うの、聞いて

    私達はね、何の解決にもならないけど、アスカやマリ、サクラと

    同じものを背負うことを決めたの」

シンジ「同じもの?」

リツコ「そうね。老いぬ体は再現できなかったけど……ただ」

ミサト「……女を捨てる。私達も、それだけは背負ったわ」

シンジ「!  そ、そんな……」

ミサト「もう一度言うわ。 何の解決にもならないけれど、

    同じものを背負ったわ

    変われるものなら変わってあげたいという気持ちは、

    この形でしか表せなかった……」

ギュゥッ

シンジ「……」

ミサト「お願いシンジ君。皆に、優しくしてあげて……特に、サクラちゃんに」

リツコ「……」

*****


680: 2013/01/03(木) 09:35:09.47 ID:g0S4VJ140

シンジ「……」

サクラ「ばれてはったんですねー シンジさんにも……」

シンジ「……うん」

サクラ「……はぁぁぁぁぁぁ……」

シンジ「……」

サクラ「……先にバレてたゆうのが寧ろショックやわ

    覚悟のほうはしとったさかいになぁ」

シンジ「ごめん」

サクラ「謝るところちゃいますよ、もう」

シンジ「ごめん……僕が、エヴァに乗れれば……サードインパクトさえ……」

サクラ「やめてください!」バッ!

サクラ「サードインパクトなんてなあ、

    シンジさんで止められへんかったら誰が止めれます!?

    それに、今まで戦ってきたことは否定せんでください……

    ウチの、憧れのシンジさんの軌跡は、誇れるモンなんです!」

シンジ「……ん」

サクラ「……シンジさん……」

サクラ「……」

サクラ「……」

サクラ「……」

サクラ「……」


681: 2013/01/03(木) 09:35:50.68 ID:g0S4VJ140






サクラ「……なぁ、シンジさん。

    アンタ、慰めてくれますか? 私のこと」

シンジ「……」


シンジ「慰めるための、言葉がないよ……」





サクラ「ふふっ、簡単。簡単です。

    シンジさんが、私を慰めるには……」グイッ

シンジ「あっ」

ギュゥッ

サクラ「……こうすれば、ええんですよ……」

シンジ「……サクラちゃん」

ギュゥッ

サクラ「……」

シンジ「……」

サクラ「……」

シンジ「……」


682: 2013/01/03(木) 09:36:16.89 ID:g0S4VJ140
サクラ「……シンジさん……私、シンジさんのこと、好いとりました」

シンジ「……」

サクラ「14年間。貴方のことばかり考えてました……」

シンジ「……」

サクラ「ホンマは、こんなとこではなくて、

    普通に出会って、普通に恋愛したかったです

    でも、こないな形でも、今シンジさんに抱きしめてもらえて


    ウチ、幸せです!」




シンジ「……」

サクラ「……うん、そう、そうでええんです。

    なんも言わんでもええです」

シンジ「……」

サクラ「慰めてくれるんやったら……

    そのまま、私の望むとおりにしていてください……」

シンジ「……」

サクラ「……シンジさん……ん」

チュッ

シンジ「……」

サクラ「……んっん……」

チュッ…

~~~~~

683: 2013/01/03(木) 09:37:09.31 ID:g0S4VJ140
~~~~~

深夜

サクラ「……えへへ」モソモソ

シンジ「サクラちゃん……?」

サクラ「いやぁ、もう……シてもうたなぁ、って 思って」

シンジ「うん、そう、だね」

サクラ「シンジさん、もっとそっち、行ってもええですか?」

シンジ「うん、おいで」

サクラ「うん、そんでな、ギュってしてください、ギュって」

シンジ「……うん」

ギュゥッ

サクラ「たらんですよぉっ、もっと、ぎゅぅぅぅって」

ギュウウゥゥゥ

サクラ「ええ、ですよ……そんな感じで…」

シンジ「……」プルプル

サクラ「……そしたら、ウチ……

    今から……泣きますから

    なんも、聞かんかったことに……してください」


サクラ「ね?」

シンジ「……」

サクラ「聞こえてない、ですよね。

    じゃ……うん」




サクラ「……っく……ふぅっ……うぅぅぅぅ……」ポロ ポロ



サクラ「……ううううううぅうぅ……」ポロポロポロポロ


サクラ「うぁあぁああああぁぁぁぁ……っ」ポロポロポロ


サクラ「うぁああああああぁぁぁぁぁ……あぁあ、ぁあ……」





~~~~~~~~~~~~~~~








687: 2013/01/04(金) 20:22:22.68 ID:1UpSGgre0
数日後 碇シンジ隔離室

リツコ「……大したものね」

シンジ「サクラちゃんですか?」

リツコ「アスカとマリが、最初にエヴァの呪縛を知ったときなんて

    一週間は上の空だったわよ」

ミサト「あれは、見てられなかったわね……」

リツコ「人間性の賜物かもしれないけど……サクラちゃんは」

ガシャン

サクラ「おはようございます! シンジさん。あ、艦長に赤木博士も!」

アスカ「あ、ミサトってばまた来てるー」

マリ「今日はリツコ様も一緒なんだにゃー」

サクラ「今日の朝ごはんなんですかー? シンジさん」



リツコ(……ま、深くは詮索しないほうがいいわよね)

ミサト(サクラちゃん、無理してないかしら)

サクラ「な、なんですか? ウチの顔なんか見て」

シンジ「あ、もう準備ほとんどできてるけど、

    ミサトさんもリツコさんもどうですか?」

リツコ「私はいいわよ、そもそもここは隔離室なわけだし」

サクラ「それもう今更ですよ」

ミサト「気にすんなよーリツコー! ほら、テーブルも椅子も揃ってるよー?」

リツコ「……私の考える隔離室とは、全然違うわね」










688: 2013/01/04(金) 20:22:51.11 ID:1UpSGgre0
ミサト「はー、食べた食べた」ノビー

ゴゴッガッゴゴッ

アスカ「ひぃっ!? ……ミサト、今の音、何?」

ミサト「ん? あーこれ?」

ゴギゴギ

アスカ「ひぃぃ!? いやぁぁっ!」

ミサト「あはははは! 骨がなってるだけよ」

マリ「こういうこと?」コキコキ

アスカ「それはわかるけど! 何なのよその音」

ミサト「年取るとこうなるのよ」

リツコ「個人差です それに貴方は肩はり過ぎなのよ。力抜いて生きなさいよね」

アスカ「その音、怖いわよ……あんまり、ココで鳴らさないで……」ビクビク

ミサト「意外、アスカがこんなに嫌がるものがあるなんて」

サクラ「作戦行動中にその音させないでくださいよ?」

アスカ「いや、そこは大丈夫

    あの場所だったら骨が砕ける音でも平気

    ただ! 日常でそんなエグい音聞きたくないのよ!」

ミサト「仕方ないんだって~」

アスカ「うっさい!」

シンジ「……関節がよくないときに食べるといいのは、納豆ですよ」

ミサト「今日から毎日食べる……」

リツコ「私も気をつけなくちゃ……」




689: 2013/01/04(金) 20:23:35.68 ID:1UpSGgre0
リツコ「ああ、そうだったわ。

    お邪魔したし、ついでにシンジ君に伝えたい事があるのよ」

シンジ「え、なんでしょう?」

リツコ「……貴方に伝えなくてはいけないことがたくさんある。

    全てを話すには時間が足りないけれど、

    今日、貴方に私の知ることを、できる範囲で話してあげる」

シンジ「……! はい」

ミサト「……シンジ君、貴方に一日の外出許可を出します」

シンジ「え? でも」

リツコ「外出できるのは私とミサトの目の届く範囲

    条件は以上よ」

シンジ「はい。それよりも、リツコさんの話を……」

リツコ「話がしやすい場所に、移動するためよ。付いてきてくれるかしら?」

シンジ「……はい」

リツコ「……」

マリ「私も行くよ」

リツコ「……無理しなくていいのよ?」

マリ「行く」

ミサト「……」

アスカ「私も行くわ。気になること、いっぱいあるし」チラ

マリ「……」

サクラ「……?」

ミサト「……いつ氏ぬか分からない、

    この状況だからこそ、話すことは全部話しておきたいわね」

ミサト「チルドレン全員を連れて行きましょう、リツコ。

    教えること全て、教えておきましょう……」

リツコ「そうね」

サクラ「あれ? チルドレンっちゅうことは……私は?」

ミサト「……」

リツコ「……」

サクラ「……22ですけど……」

ミサト「えっと、エヴァのパイロット全員を、ね」

リツコ「ミサトったら……」




690: 2013/01/04(金) 20:24:43.77 ID:1UpSGgre0
廊下

ゾロゾロ

ミドリ「!?」

ミサト「おはよう」

ミドリ「え、ちょ、艦長!?」

ミサト「私が許可しています。だから見なかったことにして頂戴」

シンジ「……」シュン

ミドリ「……」

サクラ「ゴメンな、ミドリちゃん。後で説明するわ」


ゾロゾロ



ミドリ「……あの男の子……良い尻してんじゃん……」





アスカの部屋の前

アスカ「ちょっと待った」

ミサト「どうしたの?」

アスカ「……バカシンジをこのままつれまわしたら、

    目立ってしょうがないじゃない。

    変装させましょ」

ミサト「……それもそうね

    マリ、アスカ、サクラ。よろしく」

マリ アスカ「……」ニヤニヤ

サクラ「……?  なにするん?」









691: 2013/01/04(金) 20:25:15.24 ID:1UpSGgre0






シンジ「……はぁ」

アスカ「よーっく似合ってるわよ」

マリ「ホントだよ。お化粧無しでもココまで女の子になっちゃうなんて」

サクラ「あんた等、シンジさん女装させて遊びたかっただけなんとちゃいます?」

ミサト「違うわよ。私もちょっと期待してて命令したところあるから、共犯」

サクラ「艦長最近はっちゃけすぎですわーっ」

ミサト「こんな私は嫌い?」

サクラ「んなわけあらへん! 大好きです、けど……シンジさんが

    プッ  クフフフ……かわいそ……クフフフフ」プルプル

シンジ「……笑えばいいと思うよ」

サクラ「だって、シンジさんてば本当に女の子なんですもん!

    メチャクチャ可愛いですよ。なにこれ!?」

アスカ「得意技の一つよねー?」

マリ「写メで見るよりずっと可愛いよー、わんこちゃん♪」

シンジ「はいはい」

リツコ「……真面目な話してるときは外してね、そのウィッグ」

シンジ「わかってます」





692: 2013/01/04(金) 20:25:54.30 ID:1UpSGgre0
エヴァンゲリオン Ω 格納庫


シンジ「コレが、エヴァンゲリオン『Ω』」

アスカ「厨二っぽいネーミングよね」

マリ「えー、良いじゃんカッコイイよ」

サクラ「そーやそーや!」

ミサト「ちゃんと意味があって名前をつけてるんだから茶化さないでよ」

シンジ「、意味、ですか?」

リツコ「Ωには、最後という意味がある

    これ以上のエヴァは絶対に作らない。そういう意味よ」

シンジ「……」

ミサト「エヴァは、この世界にあってはならないものだと思う

    でも、ネルフに対抗するには強力な兵器が必要

    しかし今から新しい兵器を作っていては、ネルフに出し抜かれる」

リツコ「苦渋の決断だったわ

    ヴィレの中でも上層部にしか伝えていない、極秘の開発により、

    Ωは生まれた」

サクラ「そして、その適合者が偶然ウチやったと?」

リツコ「……」

ミサト「……」

サクラ「そんな簡単な話やないですよねぇ……」




リツコ「これから話すことは、貴方達のエヴァへのスタンスを、

    大きく変える事になるかもしれない」

ミサト「……」

リツコ「下手をすると、そのショックで

    エヴァに乗れなくなるかもしれない

    だけど、知っておくことは貴方たちにも私たちにも利になる」

リツコ「ある意味、賭けよ」




リツコ「ごめんなさい。聞くか聞かないかは、尋ねない。

    聞いてもらうわ」

アスカ「あ、当たり前、よ……」

シンジ「是非、聞かせてください」

サクラ「……ウチも、聞きたいです」

リツコ「……」

リツコ「碇君」

シンジ「はい」

リツコ「……カツラを取って服を着替えて頂戴」


693: 2013/01/04(金) 20:26:37.76 ID:1UpSGgre0









リツコ「エヴァに乗れる条件は

    中学生というだけではないことはもう分かったでしょう?

    そしてそもそもその条件自体が間違っている

    それは、分かっているわね、サクラ少尉」

サクラ「そーですね。22でエヴァ乗れるなんて、最初は思っても無かったです」

ミサト「エヴァに乗れる条件というのは、適合者である事が条件。

    でも、この条件というものが、既に仕組まれたものなのよ」

シンジ「仕組まれた……?」

アスカ「……どういうことよ。

    私が、優れていたからエヴァのパイロットになったんじゃないの?」

ミサト「アスカは優れている。

    気性は荒いけど、成績優秀で土壇場にも対応できる力もある。

    それに、エヴァに乗ってからの貴方の努力は誰もが知っているわ

    それは間違いないけど、エヴァに乗れる条件はそういうものじゃないの」

アスカ「……まぁ、私が優秀であることに変わりがないのならいいのよ」


694: 2013/01/04(金) 20:27:19.02 ID:1UpSGgre0
リツコ「仕組まれたのはいつか……それは、シンジ君とアスカが生まれた年よ」

シンジ「僕たちの生まれた年?」

リツコ「セカンドインパクトによって人類の大半が滅亡

    その際、エヴァの本格的な計画が持ち上がったわ

    巨大なエヴァを動かすための、さまざまな実験が行われた」

ミサト「……リツコ」

リツコ「ごめんね。難しい話になっちゃうから、かいつまんで話すわ

    最終的に今の、

    エヴァのコアとシンクロすることでエヴァ自体を動かす形に収まった

    しかしそのためには犠牲が必要だった」

シンジ「犠牲……!?」

リツコ「ええ、そうよ……

    パイロットが乗るためには、

    そのパイロットがコアとシンクロしやすい状況が必要だった」

シンジ「……その状況を作るために、何をしたんですか!?」

リツコ「…エヴァのコアには、パイロットとなる予定の者の、肉親が入っている。

    融合して、パイロットとコアの仲介をする役割を担っているの」

シンジ「肉親、肉親って……!!?」

アスカ「っ」

サクラ「……」




695: 2013/01/04(金) 20:28:14.89 ID:1UpSGgre0




ミサト「初号機には、『碇ユイ』の全て

    二号機には、『式波・キョウコ・ツェッペリン』の魂のかけら

    それぞれのコアには、彼女たちが居る」






シンジ「……」

アスカ「っ!? 嘘よ! だって、ママは……」

ミサト「……」

アスカ「ママは……だから、ママは、あんな……ママは……」

ダッ

ミサト「あ、アスカ!」

リツコ「……」

シンジ「アスカ!」タッタッタ

ミサト「碇君! 待ちなさい!」

タッタッタ

……



696: 2013/01/04(金) 20:29:05.30 ID:1UpSGgre0

……

アスカ 弐号機格納庫


アスカ「……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……シンジ、私ね」

シンジ「……」

アスカ「私、ママが大好きだった。

    優しくて、綺麗で、強かったママが」

シンジ「……」

アスカ「そんなママがね、ある日を境におかしくなっちゃったの」

アスカ「優しかった笑顔は、こっちに向けてくれないし

    綺麗な肌もぼろぼろになって

    弱弱しい瞳で……人形を抱いていた」

アスカ「そしてその人形を、『アスカチャン』って、呼ぶのよ」

シンジ「……」

アスカ「私が、悪い子だから、ママがオカしくなっちゃったのかなって

    頑張って良い子にしてたのに……でもママは結局氏んじゃった」

シンジ「……」




アスカ「さっきの話を聞いて、ネルフに対する殺意は増したけど

    でも少し安心もしたの

    やっぱり、ママは優しくて綺麗で強かったのよ。

    それを変えてしまったのは、全てエヴァのせいなんだって

    ママは悪くなかったのよ。

    私も、悪い子なんかじゃなかった」

シンジ「うん……」

アスカ「さっき、ショックで走り出したけど、その途中でそれに気付いたの

    そして、ココに来ちゃった」

シンジ「そう、か」

アスカ「そしたら……怖くなっちゃって……」

シンジ「怖い?」

アスカ「そうよ……例えば、今、この中にママがいることを知って乗ったら

    急に話しかけてきたりして、って思ったの……」

アスカ「でももし、そのママが……私の、大好きなママじゃなかったら?」






697: 2013/01/04(金) 20:29:43.46 ID:1UpSGgre0

アスカ「……」

シンジ「……」

アスカ「……」

ゴゴゴゴゴ

アスカ シンジ「!?!?」






アスカ「……弐号機が動いた……」

ミサト「……残念だけど、アスカ。弐号機の中に居るのは、

    キョウコとは言えないわ」

アスカ「……ママじゃないの?」

ミサト「いいえ、貴方のお母さんよ」

アスカ「……どういう意味よ」

ミサト「キョウコの、母としての意思。それだけがエヴァの中に残ったの。

    ……残ってしまったの」

シンジ「……」

ミサト「コアとの融合実験失敗。

    サルベージされたキョウコは精神を崩壊させていた。

    その時 『母としての自分』を、失ってしまったのよ

    その、母としてのキョウコは、今弐号機の中に居る」

アスカ「……ママの、母親としての部分?」

ミサト「泣いているあなたを見て我慢できなかったんでしょうね

    弐号機が伸ばした手は。多分貴方の頭を撫でたかったんじゃないかしら?」

アスカ「……」




698: 2013/01/04(金) 20:30:53.53 ID:1UpSGgre0
アスカ「……ママ……」

ソッ

アスカ(弐号機の指は

    ママの優しい手じゃないし

    ママの綺麗な肌じゃないし

    ママの強い光もない

    けど……)

アスカ「……」

アスカ(そうなんだ。ママがここに居るんだ……

    ママが、私と世界を守ろうとした意思は、ココにあるんだ……)









シンジ「……エヴァが、動きましたね……」

ミサト「魂が、エヴァを動かした。私たちはそう考えているわ。

    エヴァは時々不可解な動作をするのよ」

シンジ「……」

ミサト「当たり前よね。

    生きているんだもの……ロジックなんかじゃないのよ」

シンジ「……」



アスカ「ごめん、シンジ。わたしもうちょっとここに居るから……」

ミサト「大丈夫?」

アスカ「ママとお話しするの! 恥ずかしいから出てって!」

ミサト「ふふ、分かったわ。シンジ君送ってくるわね」

アスカ「ふんっ!」

ミサト「大丈夫よ、邪魔なんてしないから

    久々の親子対面なんだし、ゆっくりしてきなさい」





699: 2013/01/04(金) 20:31:36.50 ID:1UpSGgre0





アスカ「あっ! ミサト!!」

ミサト「?」

アスカ「言っとくけど! 私の保護者はミサトだったのは変わんないから!!

    まぁ、ママのほうが良かったっては言うけど

    ミサトと一緒で、良かったって思ってるのは事実だから!」

ミサト「っ……」

アスカ「あ、ばか、振り返るな! 早く行け! っぐ、もう!!」

ミサト「振り返らないわよぉ」メソメソ

アスカ「っさい! 早く行け泣き虫!」

ミサト「アンタだって顔真っ赤じゃないのよ!!」ポロポロ






700: 2013/01/04(金) 20:32:26.12 ID:1UpSGgre0
エヴァンゲリオンΩ 格納庫

ミサト「はぁ……」

シンジ「……ミサトさん、涙もろくなりました?」

ミサト「歳かしらねぇ」グスグス





コツコツコツ

ミサト「……あれ?」

ヒデキ「……」

ミサト「……んっん!…………ヒデキ君? 格納庫に、何か用事があるのかしら?」

ヒデキ「艦長、ええ、あるんです」

ミサト「そう。だけど、エヴァ格納庫は関係者以外立ち入り禁止。

    即刻、立ち去りなさい」

ヒデキ「お断りします」

チャキッ

ミサト「!?」

シンジ「ミサトさん!」

ヒデキ「動くなぁ!!」

ヒデキ「……動くな、災厄の子供……」

ミサト「大丈夫よシンジ君……」

ヒデキ「……艦長も動かないでくださいよ。俺、銃はあんまり上手じゃないんで」

ミサト「…………その銃で、何がしたいの?」

ヒデキ「サードチルドレンを頃します」

ミサト「……一応、何故と聞いてあげる 言って御覧なさい」

ヒデキ「……何故、五番艦が爆破されたのか、艦長は分かりますよね」

ミサト「……インフィニティ撃破の為」

ヒデキ「誤魔化さないでくださいよぉっ! 碇シンジ君のため、だろぉっ!?」

ミサト「それだけじゃない」

ヒデキ「アンタの本音は分かってんだよ!

    そいつが居なければ、ネルフの襲撃は無かった

    五番艦は、爆破せずに済んだ!!」

ミサト「……」

ヒデキ「だというのに、こいつを守るために皆氏んでいく!

    これからもだ! これからも、こいつを守らなくちゃならない……

    そんなの、狂ってる!」


701: 2013/01/04(金) 20:33:58.73 ID:1UpSGgre0




ミサト「……碇シンジを奪われれば、フォースインパクトの引き金になる可能性がある」

シンジ「っ……」

ミサト「しかし、それはネルフとの交渉に使えるという意味でもある

    彼を保護し、奴らの奪還作戦を阻止し続ければ、奴らの消耗にもつながる」

シンジ「……」

ミサト(ごめんなさい、シンジ君)ゴニョゴニョ

ヒデキ「……だから生かしておくと? 五番艦のみんなを頃してでも?

    そいつ一人のせいで多くの命がなくなったんだぞ!?」

ミサト「この一人を生かしておくことで次につながる!

    多摩ヒデキ、貴方は既に銃を抜いた時点で重罪を犯している。

    でも、今ならまだ私の胸に留めておいてあげる」

コツ

ミサト「さぁ、銃を捨てなさい」

ヒデキ「お断りします」

カチリ

ミサト「ヒデキ君……」

ヒデキ「こいつを殺さないと! 俺はアイツに! 顔向けできないんですよ!」

バッ

ミサト「シンジ君、危ない!!!!」

ドウゥゥン!……










702: 2013/01/04(金) 20:34:44.29 ID:1UpSGgre0







シンジ(こういう状態でよく見えるものだと、

    自分の動体視力に驚いたのを覚えている

    ヒデキさんという人の銃が放った弾が、僕に向かって飛んでくるんだ

    螺旋を描きながら向かってくるソレは

    空気を押し広げて徐々に牙を剥く

    その向こうで、

    人間のものとは思えない憎悪の表情を浮かべたヒデキさんが泣いていた



    その時見た姿が、ボクが記憶する最後のヒデキさんの姿となった)










704: 2013/01/04(金) 20:35:38.46 ID:1UpSGgre0


カァァァァン

シンジ「え」

シンジ(目を開くと、ボクとミサトさんの前には手があった

    手だ。

    大きい、とても大きい、エヴァの手だ。

    Ωが僕たちを守ってくれたんだ)

シンジ「さ、サクラちゃん!?」

ミサト「違う……今、サクラちゃんは乗ってない!」





ヒデキ「くそ! どけ! どけよ!! アイツを! あいつを殺さなくちゃ!!」

ガヤガヤガヤ

警備員「大人しくしろ、多摩ヒデキ」

警備員「艦内での発砲は重罪だ。拘束する」

ヒデキ「くそおおおおおお!!! 碇シンジぃ!!!!



     ――――――」
ヴォオオオオオオオオオオオ!!!!




シンジ(ヒデキさんの、必氏な叫び声

    恐らく、罵倒。僕に対する、考えられる限りの罵倒だ)

シンジ(でも、その言葉が聞こえそうになった瞬間

    エヴァが吼えた)



705: 2013/01/04(金) 20:36:09.34 ID:1UpSGgre0
ヴォオオオオオオオオオオオ!!!!

ヒデキ「―――――!―――――!―――――!―――――!」

ヴォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!

ヒデキ「―――――!―――――!―――――!―――――!」

ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!





シンジ(まるで、ヒデキさんの言葉をかき消すようにエヴァが吼える

    その姿、

    ボクの身を手で守り、

    ボクの耳を声で守る

    その姿が

    なぜか、懐かしく見えた



    このエヴァの中には誰の魂が宿っているんだろう?)




ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!



シンジ(……そうか、サクラちゃんの肉親ってことは……

    魂でも尚、僕を守ってくれているのは……)


706: 2013/01/04(金) 20:36:52.53 ID:1UpSGgre0


*****

サクラ「お兄ちゃん、いつもゆうてはりました。

    センセは、何もかも一生懸命頑張ってる。

    何があってもセンセの味方せなアカン。

    センセが何か間違ごうた時も、ちゃんと叱って、助けてやれって。

    だから、これからは私、全力でシンジさんの味方します」

*****

シンジ(トウジだったんだ……)

ミサト「……」






707: 2013/01/04(金) 20:38:05.63 ID:1UpSGgre0
*****

アスカが走り去った直後 Ω格納庫

リツコ「……」

サクラ「……」

サクラ「なぁ、赤木博士……」

リツコ「何かしら?」

サクラ「Ω、乗ってもええかな?」

リツコ「……いいわよ。シンクロテストの準備をするわ」

マリ「……」

リツコ「ついでにマリもしておく?」

マリ「いーよ。私は……」

リツコ「……そう」

サクラ「……」








エヴァンゲリオン Ω 内部

サクラ「よっと……準備OK」

リツコ「……ごめんなさい。回線つないでおくけど……」

サクラ「ええですよ。間違ってなんかあったら大変ですもん

    でも、聞こえない振りしてくれたら助かります」

リツコ「わかったわ……ええ、何も聞こえない」

サクラ「……」





サクラ(エヴァには、搭乗者の肉親が入っとる……

    めっちゃショックや。

    シンジさんのお母さんも、アスカさんのお母さんも

    エヴァの中に眠ってるんや……

    しかもそれが、仕組まれていたことやったて……

    アスカさんがああなるのも無理ないやろ……

    アスカさんはシンジさんに任せるしかない)

サクラ「すー、はー……」

サクラ(……肉親……やんな?)





サクラ「お兄ちゃん?」

708: 2013/01/04(金) 20:39:12.15 ID:1UpSGgre0
ゴポォ……









サクラ(ああ、やっぱりや

    Ωの中に、お兄ちゃんおるンや……)





サクラ(しゃべれるカンジかと思ったけど、ちゃうねんな。

    ただ、でも、おにいちゃんがそこに居るってことだけは、

    すごくよく分かるで)


サクラ(あー、そうや、おにいちゃんに謝らないかんねや)

サクラ(ゴメンなー。お兄ちゃん……ウチシンジさんぶん殴ってしもてん

    あー、でも仲直りしたで! シンジさんと!)

サクラ(それに、あ、そうや。

    お兄ちゃんの友達やのに、喰ってもうた! それもゴメン!)




サクラ(せや、あとヴィレに入ってからな、

    ミドリちゃんって言う友達もできたんや!

    めっちゃかわええ子なんよー! 今度つれて来たる! 紹介するで!

    あ、そやね、お兄ちゃんにはヒカリさんていう彼女が居るもんねー♪)



……
……
……



リツコ「……サクラちゃんは、大丈夫みたいね」

マヤ「そうみたいです」

リツコ「あまり長居させると、シンクロしすぎて溶けるかもしれないわ。

    頃合を見て……」

サクラ『赤木博士、もうええですよ』

リツコ「……いいの?」

サクラ『はい!』

リツコ「そう」

サクラ『ありがとうございます』





サクラ『ありがとう、お兄ちゃん』

*****

709: 2013/01/04(金) 20:39:47.47 ID:1UpSGgre0
シンジ「トウジ……」

ミサト「……分かってしまったのね」

シンジ「ええ、まぁ」

ミサト「……トウジ君は、体の形状が変化した状態で見つかった

    理性は残っていたけど、

    ほとんど人のものとは見えない姿になってしまっていた」

シンジ「っ……サードインパクトのせいで……」

ミサト「トウジ君を保護はした、けど、彼は何度も氏なせてくれと、

    何度も何度も言っていたわ」

シンジ「僕の、僕のせいで……」

ミサト「違う!! トウジ君はね……

    こんな姿をシンジ君に見せたら、エヴァに乗りたくなくなってしまう

    ソレを恐れて、誰にも目に付かないように氏なせてくれといっていたの」

シンジ「僕はもう。乗っちゃダメなんだよ……トウジ……」

ミサト「トウジ君は分かっていたのよ。こんなこと、貴方が望んだ世界じゃない

    貴方だけが悪いわけじゃないって事……」

シンジ「……」

ミサト「そして、そんな彼に、私たちはある提案をした

    エヴァンゲリオンΩの、コアに入らないか、と」

シンジ「……そんなエヴァのせいでそうなったのに、」

ミサト「……彼は、なんて言ったと思う?」

シンジ「……分かりません……」

ミサト「……」

シンジ「分かるから、分からないんです……

    トウジなら、やらせろって言うと思います

    でも……どうしてそう言うかは……」

ミサト「彼の言葉を、そのまま伝えると……」


710: 2013/01/04(金) 20:40:14.66 ID:1UpSGgre0
サクラ「『ワシが世界を救えるんか!?

    こんな姿のワシが、そんなことできるんか!?』」

シンジ「サクラちゃん?」

サクラ「『せやったらやらせてくれ!!

     センセの負担が減らせるんやったら、

     こんな体、安いモンや! 

     氏に体が世界を救えるんやったら、存分に使こてくれ!!』」


サクラ「シンジさん 無事でしたか?」

シンジ「サクラちゃん……」

ガバッ!

シンジ「ぉっ……」

サクラ「ああ、よかったぁ……無事で何よりです」ホッ



シンジ「……サクラちゃん……トウジが、トウジが僕を助けてくれたんだ」

サクラ「お兄ちゃんが?」

シンジ「うん」

サクラ「すごいやん、お兄ちゃん! エライやん!

    やっと、センセに恩返しできたんやなぁ!」

シンジ「……」

サクラ「それに、ウチもです。

    ウチもシンジさんに恩返しせなあきまへん」

サクラ「シンジさんがエヴァに乗らんでもいい世界を作る。

    それが私たち鈴原兄妹の、シンジさんへの恩返しなんです!」


シンジ「……ありがとう、サクラちゃん。トウジ……」




 

711: 2013/01/04(金) 20:40:41.18 ID:1UpSGgre0









廊下

サクラ「……それにしても……ヒデキ君……」

ミサト「……彼の処罰は後日決定するわ」

シンジ「……」

ミサト「シンジ君、貴方が背負ったものは、大きすぎると思う。

    けれど、お願い。

    貴方は生きて」

シンジ「……」

サクラ「そ、そんなこと言わんでも、私が守りますよ!」

ミサト「いいえ」

ミサト「今目を離したら、シンジ君あなた……

    自ら命を立つ気がして……」

シンジ「そんなこと、しませんよ……」

ミサト「ごめんなさい。シンジ君。私、

    あなたの保護者してたから、

    あなたのウソつくときの癖分かってるの」

シンジ「っ……」

サクラ「し、シンジさん!?」

シンジ「…………」

ミサト「……」

サクラ「……」

シンジ「……ごめん、サクラちゃん……ミサトさんの、言うとおりだ」




サクラ「っ!!!」






712: 2013/01/04(金) 20:41:59.10 ID:1UpSGgre0
碇シンジ隔離室

マリ「……」ポカーン

シンジ「……」

マリ「……えっと、大きなアクセサリーだね。可愛いよ」

シンジ「まぁ、可愛いよね」

サクラ「……」ギュウウウゥウウウゥゥゥゥ……

シンジ「えっと ナチュラルにマリさんがボクの隔離室にいるのはさておき」

マリ「……あー、あれかい? あれでしょ

   わんこ君なんかあった?」

シンジ「えっと、まぁ」

マリ「で、それのこと気にして、氏んでやるー! とか言ったでしょ?」

シンジ「……え?」

マリ「さっちんはね、大事な人が『氏にたい』とか言ってると、

   そういう風になっちゃうんだよ」

サクラ「……」ギュウウウゥゥゥッ

マリ「何も言わずに、ただずっと抱きついて顔突っ伏してるだけなの」

シンジ「……」

マリ「……お兄さんの話、聞いたでしょ?

   さっちん、お兄さんがエヴァになる前に、

   お兄さんが氏にたいって叫んでたの聞いた事があるんだって」

マリ「壁の向こうで兄が叫んでる。でも、そこは隔離室だから……

   こっちの声は向こうに届かない」

マリ「さっちん、その時ずっと離れなかったんだって

   見かねて周りの大人が引き剥がして……それからが大変だったけど」

シンジ「……」

サクラ「……」ギュウウゥゥウゥゥウゥ

マリ「多分ね。ずっと、お兄さんにもそうしてあげたかったんだと思うんだ

   それができなかったから、

   今いる大切に人にはそうしてあげたくなっちゃうんだよ」

マリ「しっかし、そっかぁ、

   お兄さんが自頃したってわけじゃないこと分かっても、

   その癖だけは治らないかー」スタスタ

シンジ「あ、マリ。何処へ?」

マリ「お邪魔虫はお暇しまーす。さっちん、頃合見て離してやんなよー」

サクラ「……」ギュゥゥゥゥゥゥゥ

マリ「流石にわんこ君も、氏ねなくなったでしょ?」

シンジ「……」

マリ「……氏んじゃダメだよ。姫も私も、超泣くから」




……

713: 2013/01/04(金) 20:42:37.48 ID:1UpSGgre0













リツコとアスカ 弐号機格納庫

アスカ「……ねぇ、一つ気になるんだけど」

リツコ「何かしら?」

アスカ「……ファースト、綾波レイの零号機には、誰の魂が入っているの?」

リツコ「……」

アスカ「……」

リツコ「ゼロ号機は、魂のない機体よ」

アスカ「……そんなんでも、シンクロ出来てるって言うわけ?」

リツコ「……ええ、あの子は、特別だったから」

アスカ「それよ……」

リツコ「?」

アスカ「アイツって、なんなの? 初号機に溶けちゃったはずでしょ?」

リツコ「……そうよ」

アスカ「でもマークナインの中にはアイツがいた……」

リツコ「綾波シリーズ……とでも言えば良いかしらね」

アスカ「……」

リツコ「あの子は、碇ユイのクローン。

    その体に、リリスの魂を封じ込めた存在

    あの子だからこそ、零号機を動かせたといえるわ」

アスカ「……はぁーあ」





714: 2013/01/04(金) 20:43:36.02 ID:1UpSGgre0
アスカ「ごめん、 知ってた」

リツコ「……では、なんでこんな質問を?」

アスカ「擬似シンクロって言うんでしょ、それ」

リツコ「……」

アスカ「……ねぇ、もしかして、コネ眼鏡って」

マリ「やっほ、姫。タイミング悪くてゴメンにゃー」

アスカ「ばっちりすぎてキモイ。聞いてたでしょ」

マリ「うん」

アスカ「……教えなさいよ。アンタのこと」

マリ「……」

アスカ「……相棒、でしょ」

マリ「……」ポリポリ



マリ「そうだねぇ……

   ぶっちゃけると、私……

   アスカのママよ」

アスカ「……」

アスカ「リツコ、翻訳して」



リツコ「真希波マリは、アスカの言うとおり、綾波レイと同様クローンの存在

    そのクローン元となったのがかつての式波・キョウコ・ツェッペリン

    あなたの、お母さんよ」

アスカ「……ふーん」

アスカ「ってことは何? ママって若い頃こんな感じだったわけだ?」

マリ「こんにゃ?」ビッ

アスカ「そんにゃ」ビッ

マリ「そういうことだね。だって、私その頃のキョウコの記憶も持ってるもん」

アスカ「!?」ガバッ

マリ「まだアスカが生まれてない頃だよ。

   私、ていうかキョウコは、ゲンドウ君とユイにゃんの同僚だった」

アスカ「……だからゲンドウ君って……」

マリ「まぁ、色々あってクローンで私が生まれて、

   そうこうしているうちに、未来の娘カッコワライのアスカと一緒に戦ってた」

アスカ「……色々ショックだけど、

    正直、思い当たる節はあったわ

    どおりで、アンタは弐号機を動かせるし、

    アンタの雰囲気がママに似てるって思ったのもその現われだったのかな」


715: 2013/01/04(金) 20:47:00.28 ID:1UpSGgre0
マリ「……んー」バッ

アスカ「……何のつもり?」

マリ「おいで、アスカ。お母さんのところへ……    的な?

   にゃっははははは! ごっめんごめん! ごめ……


   アスカ?」

アスカ「……っ」ギュッ

マリ「……」ギュッ







アスカ「んー」

マリ「うん」

アスカ「いや、違うわ。やっぱママじゃないわ」トン

マリ「私も今、全然実感ないって言うところだった」ケラケラ

リツコ「クスッ」

アスカ「大体アンタがママぁ!? 世界の終わりが来てもそんなのゴメンだわ!」

マリ「そんなこと言うなら こんなに素直じゃない子が娘なんて私もィヤーですゥ!」

アスカ「何よ! 生意気ね!」

マリ「先に言ったのは姫じゃん!!」

アスカ「ギャーギャー!」
マリ「ニャ-ニャー!」




リツコ「……この事実は、伏せておいても全然良かったかしら」

マヤ「ええ、態度、全然変わってませんものね」

リツコ「この関係が、あの子達にとって一番心地よいのかもね……」

マヤ「ちょっと、うらやましいです……」

リツコ「喧嘩が?」

マヤ「それも、ちょっとですけど……何でも言い合える関係って、いいな、って」

リツコ「……言えばいいじゃない」

マヤ「……言っても、いいんですかね?」

リツコ「ええ、いつでもどうぞ」

マヤ「……今は、その言葉だけで充分です

   いつか話せるときに、ちゃんと話します」

リツコ「……そう」


リツコ「待ってるわ……」








~~~~~~~~~~~~

716: 2013/01/04(金) 20:47:44.08 ID:1UpSGgre0
続く

726: 2013/01/05(土) 15:20:53.72 ID:n1XYIykZ0

数日後 ブリッジにて

スミレ「観測機異常無しです」

青葉「周囲の状況も安定しています」

日向「毎日思うけど、何もない時が一番不安になるな……」

コウジ「何が起こるかわからないから、か?

    年を取ればなんでもない事が幸せだと思えてくるぞ」

青葉「達観してるねぇ」

スミレ「おっさんたちが何言ってるんだい」

青葉 日向「キツイこというねぇ……」





ミサト「……特に、問題はないみたいね」

リツコ「ええ、不気味なくらい……」

ミサト「L結界を破る手立ては?」

リツコ「それなりに進んでいるつもりよ。

    今の実験が成功すればいける。

    状況、マヤに聞いてみる?」

ミサト「いいわ、報告を待つ」







727: 2013/01/05(土) 15:21:23.22 ID:n1XYIykZ0




ミドリ「……あのぉ、艦長」

ミサト「なにかしら?」

ミドリ「……ヒデキ、いつ戻るんですか?」

全員「……」



ミサト「多摩ヒデキの処分は、まだ決定していない。

    後に、決定し次第通達する」

ミドリ「処分って! どうする気なんですか!?」

ミサト「厳罰、それ以上のことはまだ不明」

ミドリ「厳罰って!!

    なんでですか!?

    ヒデキは悪くない!!」

日向 青葉「……」

ミドリ「悪いのはサードインパクト起こしたあいつでしょ!?」

スミレ「落ち着けミドリ」

ミドリ「なに!? スミレまで艦長の味方!?」

スミレ「落ち着けっつってんだろ小娘。ピーギャーピーギャーわめくな」

ミドリ「はぁ? 何その態度、ムカツク……」

スミレ「むかつくのはアンタだよ。ヒデキが悪くないわけないだろ

    艦内で銃を構えた、それだけで重罪さ……

    まぁ、相手がアイツだったってのは、刑を軽くする理由にはなるかもね」

ミサト「……」

スミレ「そうでしょう?」

リツコ「そうね。サードインパクトの引き金、

    碇シンジへの恨みを晴らすために外出中の彼を襲った。

    そういうことであれば、少なくとも氏罪は免れる」

スミレ「その程度、ですか?」

リツコ「……後は事情と、彼が今後どうするかね」




ミサト(限界……かしら)











728: 2013/01/05(土) 15:21:52.22 ID:n1XYIykZ0







カヲル「そろそろ、だね シンジ君

    生き残ってくれよ……

    僕は、君の居ない世界に興味なんてないんだからね」

カヲル「……さぁ、今回は、

    フィナーレか

    リピートか

    君の望むこの世界の終焉は、どちらなんだい?」



アヤナミレイ「……」













729: 2013/01/05(土) 15:22:20.65 ID:n1XYIykZ0
ヴンダー ブリッジ

ミサト「13号機?」

スミレ「間違いありません。ネルフ本部にエヴァが、エヴァが居ます!」

リツコ「やつらが現状で作るエヴァだとしたら、マズいわね」

コウジ「ヤツが、インパクトを起こせるエヴァだと?」

リツコ「可能性は充分に考えられるわ」

ミサト「……作戦を立てる。チルドレンと艦長の通信を」

リツコ「ええ」


730: 2013/01/05(土) 15:23:22.23 ID:n1XYIykZ0

カヲル「あははは! しかし、シンジ君が居ない状況では、

    結局こうなるんだねぇ?」

アヤナミレイ「……」

カヲル「……ああ、滑稽だよ。本当に……」

カヲル「見てごらん、アヤナミレイ!

    やっぱり槍は……ロンギヌスしかない」

アヤナミレイ「……そうね」

カヲル「今回も、カシウスが戻ってくるとは限らないよ……

    アヤナミレイ。

    破壊される世界をソウゾウしたことは?」

アヤナミレイ「考えたこともないわ。 考える必要がないから」

カヲル「恐怖しないのかい?」

アヤナミレイ「恐怖って、何?」

カヲル「っく、くはははははは!

    ああ、最高だよ」ガツン!


カヲル「最高だよ!」ガツン!

カヲル「最高だよ!」ガツン!

カヲル「……ギリギリで操作を占有しようとしたのに、

    同乗している『コイツ』のせいで!!

    毎回僕の意思は踏みにじられるんだ!!

    ダミープラグの中にいて、そんなに楽しいかい!?」

















カヲル「楽しいかいって聞いているんだよ!!

    冬月コウゾウ!!!!!」

ガァァン!!







ゲンドウ「……計画に、狂いはない」

ゲンドウ「そうだろう。ユイ……」





731: 2013/01/05(土) 15:23:50.26 ID:n1XYIykZ0





アスカ『させないわよ』

ザッ


カヲル「!?」

レイ「!!」



アスカ『絶対、フォースインパクトは起こさせない』

マリ『そうだにゃー……君たちの命運は、今尽きるんだよ』






ヴンダー ブリッジ

ミサト「リツコ!!」

リツコ「結界アブソーバー! 起動!! 徐々にこじ開けて!!」

コウジ「了解!!」

リツコ「エヴァは先に侵入!

    結界除去を優先順位Cで続行!!」







アスカ「着地!」

マリ「了!」

ッダアアアアアァァァァァァァァン!!!!!

アスカ「あんたたちの野望は、この弐号機パイロット アスカ様が

    じきじきに捻り潰してやるわ!

    そのエヴァの機体ごとねぇ!!」

マリ「私の八号機も忘れてもらっちゃ困るよぉ」





カヲル「?  一機、だと?」

レイ「……あの機体」



732: 2013/01/05(土) 15:24:23.47 ID:n1XYIykZ0

アスカ「気付けバカ!  

    この機体は、弐号機のコアを中心として八号機のパーツを取り込んだ」

マリ「おおっと!! それは譲れないよ!!

   何せこの機体は八号機をメインにすえた従来の機能を遥かに凌ぐ」

アスカ「ちょっとぉ!! 弐号機がメインのはずでしょ!!」

マリ「にゃにおう!! 八号機だって凄いんだぞぉ!!」

アスカ「アンタ母親なら娘に譲りなさいよ!!」

マリ「生んだ覚えのない娘なんて知るかぁ!!」


アスカ マリ「アンタバカァ!?」




ミサト『あの子達……『2+8号機』で協力しないで喧嘩してどうするのよ!』

マヤ『……ごめんなさい。ちょっと、うらやましくないです』

リツコ『はぁ……お子様ね』

コウジ『バカヤロー!! 前見ろ!! 戦え!!』







レイ「消えて……命令執行の、邪魔」

ブゥン

アスカ 「ちょっと、」

ガシッ

アスカ 「黙ってろっちゅううのおおおおおおおお!!!!」

バギィィィィン!!!!




733: 2013/01/05(土) 15:25:10.43 ID:n1XYIykZ0
カヲル「……マークナインの武器を右手だけで折った!?」

スミレ『奴さん 大振りの攻撃したからガラ空きだ!』

マリ「近距離から超火力でゴメンね! アダムスの器ちゃん!」



レイ「!?」

ッヅォォォアアアァァァァァァォォァァァァァァァァ!!!!





コウジ『主砲を小型化して、2+8号機に持たせるなんてな……

    艦長のそういう発想が何処から出てくるもんだか!』

ミサト『しかし、今のでほとんどの電力が失われているわ。

    当分の間、当艦はエヴァへの送電を止めて、逐電に入る。

    全艦にそう伝えて』

リツコ『ええ、もうやってる』

ミサト『手はずどおり頼むわよ!

    二分間は主砲が使えないと思って!』

アスカ「主砲なんて使わなくても、私が片付けてやるわよ!!」

マリ「姫! 弐号機の右手に合わせるから、」

アスカ「頼むわよ! インフィニティの骨多いんだから、こけないでよね!」

マリ「気にしないでやっちゃいなよう!」





カヲル「マークナインの半身が消し飛んだ!?

    とんでもない威力だ……

    あれならあるいは、この13号機を止められるだろうね……」



カヲル「……でも、君達は残念なことに、一つ思い違いをしている」







734: 2013/01/05(土) 15:25:46.45 ID:n1XYIykZ0
00:07:17

ゲンドウ「……カシウスの槍……

     こちらにも使いようがあると思ってしばらく取っておいたが

     どうやら、この時のためだったようだな」






00:25:51

アスカ「はん! トロイわね!!」

スミレ『敵の人造使途によるATフィールド、微弱!』

リツコ『今のアスカなら、弐号機の力を思う存分生かせる

    人造使途のATフィールドなんてオブラートのようなものだわ』

ミドリ『人造使途! 残り3機!!』






00:50:13

ゲンドウ「冬月先生……お願いします」











735: 2013/01/05(土) 15:26:13.31 ID:n1XYIykZ0
01:11:37

ミドリ『一分経過! 電力四割回復!!』

カヲル「さぁ、早くしてくれないと、

    また『破壊のインパクト』が起こってしまうよ!」

アスカ「わけ! わからん! っちゅうの!!」

ゴガアアアァァァァ!  ゴシャアアア  ドガァァァァッァ!!



ミドリ『人造使途 破壊!』

スミレ『よくみな! 一騎残ってる!!』




マリ「食べ残しは、いけないよ! 姫!」

ガッゴオオオオォォォン!!!



コウジ『ウマい! 肘でやりやがった』











01:41:59

冬月(知略だ

   万の軍勢を覆すのは知略)


冬月(しかしな チルドレンよ

   万は知略で覆せても

   億の軍勢を覆すのは、

   力でしかありえん)











736: 2013/01/05(土) 15:26:46.46 ID:n1XYIykZ0
02:00:57

ミドリ『二分経過!! 電力七割回復!!』

ミサト『っくっ……』



アスカ「おりゃああああああああ!」

マリ「押し崩せ!!!」


カヲル「似たもの同士のダブルエントリー……

    流石に、強いね」

カヲル「しかしこちらは片方がやる気を出していなくても、

    片方が、ダミープラグ

    腕力では勝てないよ」

ゴッシャアアアン!!



青葉『押し返された!?』

日向『しかし、腕力差がモノを言う戦いではない』




アスカ「っつぅ……っざけんじゃないわよおおおおぉぉぉ!!!」

マリ「待って姫!」

アスカ「はぁ!?」



マリ「撃てる!」







737: 2013/01/05(土) 15:27:24.20 ID:n1XYIykZ0
ミサト『電力を全てエヴァへ!!』

スミレ『サー!』

ミドリ『あっ!!!!』



マリ「おーらい!! 狙ったら、はずさないよぉん!!」



ミドリ『マークナインが!!』







アヤナミレイ「遠距離武器は、あなただけが持っていたわけではない」




青葉『鎌の柄が、銃だった!?』

日向『危ない!!』






アヤナミレイ「させない」

サクラ「それもさせへん!!!」

ッッッッッダアアアアアアアァァァァァァァァン!!!!!




スミレ『Ωがマークナインの武器を破壊!』

ミサト『サクラちゃん、間に合ったのね』

サクラ「ええ、カシウスの槍! しっかり取ってきました!!」

アスカ「遅い!! サクラ!!」

マリ「でぇもっ、間に合った!!」

カヲル「!?」

ッヅォォォアアアァァァァァァォォァァァァァァァァ!!!!


738: 2013/01/05(土) 15:28:26.34 ID:n1XYIykZ0

コウジ『やったぞ! 13号機の体が半分吹き飛んだ!!』




青葉『槍を……破壊しろ!!!』




日向『インパクトなんてもうたくさんだ!!』




スミレ『いけええぇぇぇぇ!!!』




ミサト『世界を……前へ進める……』































ゲンドウ「させんよ」





739: 2013/01/05(土) 15:29:11.40 ID:n1XYIykZ0

ミドリ『!? ひっ!?』

ミサト『!?』

ミドリ『い、インフィニティの、存在を確認……』

ミサト『、数は!?』

ミドリ『……け、桁が多すぎて……わかりません!!!』









アスカ「は、はぁぁぁ!?」

マリ「なっ……」

サクラ「こ、この足場の骨……インフィニティが、生きとる!?」





コウジ『な、なんだって……やつらは、もう動かないんじゃなかったのか!?』

ミサト『カシウスの槍か!?』

リツコ『ええ、カシウスの槍を、

    ネルフはインフィニティ起動のために取っておいたということね

    もはや、準備は整っていたのよ……』

ミサト『億を越えるインフィニティに、どう対応するって言うのよ……』





アスカ「はぁ!? ミサト!! アンタ何弱気になってんのよ!!」

マリ「このでっかいのに刺さってる、槍二本!! コレを守ればいいんでしょ!?」


ミサト『……出来るの?』

アスカ マリ「やる!!」





740: 2013/01/05(土) 15:29:52.57 ID:n1XYIykZ0
サクラ「マークナインを無力化! こちらも、応戦に向かうで!!」

アヤナミレイ「……無駄……」






カヲル「ああ、無駄だ……無駄なんだよ」


ムクッ



青葉『13号機がまた動き出したぞ!?』

日向『下半身は吹き飛んでるのに!?』


カヲル「ああ、そのおかげで、冬月による占有が解けた。

    おかげで僕が自分の意志で動けるようになったのさ……」

アスカ「妖怪みたいな見た目で、どう戦うって言うのよ!?」

カヲル「妖怪? いいね、その通りだ。

    13号機は、妖怪みたいなもんさ

    心臓は二つあるし、目も四つある

    オマケに、手も四本ある」

ゴバアァアァァァッァァァァァァ!!!!!


アスカ「うげえええええええええ!! きもっ!!」

マリ「可愛くない、可愛くないよ、それ」

ブゥン



コウジ『マリめ、主砲を投げつけやがった』

ミサト『必要ないわ。それよりも、こちらはL結界を破ることを最優先して!』

コウジ『サー!!』










741: 2013/01/05(土) 15:30:19.34 ID:n1XYIykZ0
アスカ「13号機……沈めええぇぇぇぇぇぇ!!!」

ガシィィィ!!

マリ「!? 脚、つかまれた!!」

アスカ「インフィニティ!? く、こんなときにぃ!!」

ゴシャアアアアアン

マリ「蹴散らしても、蹴散らしても!!!」





サクラ「止まれ!! 止まらんかああああああああああぁい!!!」

ガクン ッゴシャアアアアアァァァァァン!!!

サクラ「っく、ぁ、じゃま、なんじゃあああああああ!!!」

グルン ゴッシャアアアアアアァァァン!!!!









サクラ「渚、カヲル!!」





742: 2013/01/05(土) 15:31:01.87 ID:n1XYIykZ0
カヲル「!? 君は……?」

サクラ「……」

カヲル「……そう、か、君か……君だったんだね。

    カシウスの槍は、確かに君の方が似合っているよ」

サクラ「……槍から、離れろ!!」

カヲル「……残念ながら答えはNOだ

    インフィニティは全て動き出した。

    じきに槍を抜いてリリスとの融合を果たし

    そして、君たちを滅ぼす

    ならば、今全てを破壊しようじゃないか

    そうすれば、先には進めないけどやり直すことは出来る」

サクラ「確かにやり直すにはそれしかあらへん!

    でもアンタ! 先に進もうとは思わんのかいな!?」

カヲル「多が個になる世界に興味はないよ

    僕は、シンジ君と一緒にいたいだけなんだし」

サクラ「そういうんとちゃうんや!!

    クソ!!何で毎回あんたはウチと話が出来ん状態でやってくるんや!!」

カヲル「逆の意味で運命なのかもしれないよ

    僕たちは相容れない。

    なぜなら、お互いが『カシウスの加護』を受けている」

サクラ「あほぉ!キモイんや!! あんたの話は!!」






アスカ「なんの、話よ……っとぉ!!」

マリ「ちょ、マジで、洒落んなんな……っぁあああああ!?」

ダシャアアアアアアアアアアアアアン!!!





青葉『2+8号機転倒!』

日向『だ、だめだ。13号機はもう……』


カヲル「チェックメイト……だ」

サクラ「……っくぅっ……!!!」






743: 2013/01/05(土) 15:31:36.52 ID:n1XYIykZ0

カヲル「……最後のお願いだ」

サクラ「!?」

カヲル「その槍を僕に貸してくれないか?」

サクラ「あ、アホか!! この槍を使えば! 

    アンタのフォースインパクトをおさえる事ができるっちゅうのに!」

カヲル「フォースインパクトは起こるよ

    確実に、絶対に」

サクラ「!」








ミサト『っ……サクラ少尉、』











ミサト『カシウスの槍を……渚カヲルに……渡しなさい』


コウジ『な!?』

日向 青葉『!』

スミレ『艦長!?』

ミドリ『っ?????』

リツコ『……』


アスカ「は、はぁ?」

マリ「なに、言ってんの?」







744: 2013/01/05(土) 15:34:24.53 ID:n1XYIykZ0




ミサト『サクラ少尉……詰みよ

    億の軍勢は……力でないと覆せない』

サクラ「……」










サクラ「……」

サクラ「十回目や」

サクラ「十回目なんです。これは」

サクラ「ウチが、自分の意思で、巻き戻しを決めるのは十回目なんです!!」

ミサト『……十一回目があるわ  『破壊と再生のインパクト』しかないのよ』

ミドリ『ちょ、わけ、わかんないんだけど?』

サクラ「ここまで来たんや! ここまで状況を再現できた!!

    先に進むしかないんや!!

    この十回目にかける方が、全部リセットするよりええはずや!!」

アスカ「……わけわかんない」

マリ「なんだか、ねぇ?」

カヲル「君のさっきの言葉には一つだけ嘘がある

    君は、僕のフォースインパクトを留める気はないね?」

マリ「……」

カヲル「ふふ、でも、その後にリリンの王を説得できるかな?」





ミサト『サクラちゃん、いや、サクラ少尉』

カヲル「カシウスの加護を背負った君ならわかるだろう?」











ミサト『やり直すのよ』

カヲル「やり直そう」











745: 2013/01/05(土) 15:34:58.96 ID:n1XYIykZ0

サクラ「……いやです」

ミサト『サクラ少尉!!』

カヲル「……そう、か」






カヲル「なら、もう一度『破壊』のインパクトで、全てをリセットするしかない

    『進化』のインパクトだけは、絶対にゴメンだよ」

ズオオオオォォォォ!!!




青葉『槍が引き抜かれる!』



カヲル「聖槍は二つ揃った。

    暴走でも覚醒でもいい さぁ、始めようじゃないか」




日向『!?』

青葉『マークシックスが動いている!?』

ミドリ『え? マークナインはもう……』

スミレ『シックスだ馬鹿! リリスと一緒に槍に刺さってたやつだよ!!』

コウジ『貼り付けにされていただけじゃないのか!?』





カヲル「今回の君は用なしだよ。 槍二本さえあれば、どうとでもなる。

    それに、このために僕は人造使途を一機残していたんだからね」

ミドリ『じゅ13号機の内部から、人造使途が出現!?』

コウジ『13使途の侵食を防ぐためか!』

ミサト『……サクラちゃん……槍を……』




ミサト『……』










746: 2013/01/05(土) 15:35:25.09 ID:n1XYIykZ0
ミサト(私は、どうしたかったのかしら)




ミサト(こんな無駄に偉くなっちゃった立場で、

    何を、私はしたかったのかしら)


ミサト(先に進みたかったのよ

    使途とかエヴァとかを終わらせて、先に進みたかった

    そうしたら私のこの傷も昔話になるし、それに

    それに、あの人も……)


ミサト(でも、やり直せばあの人に会える

    そうよ。やり直しさえすれば……)









ミサト『馬鹿じゃないの、私……』

リツコ『ミサト?』





747: 2013/01/05(土) 15:35:55.26 ID:n1XYIykZ0


ミサト『サクラちゃん!!!』

サクラ「槍は絶対に渡しません!!」

ミサト『槍を、槍を絶対に放さないで!!!!!』

サクラ「……え?」

ミサト『破壊のインパクトは、超高圧のアンチATフィールド……

    カシウスの槍を持ってさえ居れば、きっと!!』

サクラ「……ええんか?」



ミサト『生きなさい! サクラ!

    やり直す為じゃない、この先に在る、貴方の願いの為に!』





サクラ「……っく、う、ぉぉぉおおおおおお!!」

ゴシャゴシャゴシャゴシャゴシャゴシャゴシャゴシャ



青葉『インフィニティの中を駆け抜けてる!?』

日向『パワフルどころの話じゃ……』




サクラ(ぎりぎりや、人でいられるぎりぎりで動き続けろ、鈴原サクラ

    飲み込まれるな)

アスカ「!?」

マリ「!?」

サクラ「間に、あった」









ミサト『始まるわ……』

リツコ『……』

スミレ『……13号機が……』


748: 2013/01/05(土) 15:36:20.58 ID:n1XYIykZ0









カヲル「さぁ、   『破壊のインパクト』だ。

    再生も、進化も許されない」








カヲル「0への巻き戻しだよ」















~~~~~~~~~

749: 2013/01/05(土) 15:37:03.92 ID:n1XYIykZ0



















































750: 2013/01/05(土) 15:37:38.71 ID:n1XYIykZ0
























































ゲンドウ「エデンの園……」

コツコツコツ

751: 2013/01/05(土) 15:38:05.69 ID:n1XYIykZ0

ゲンドウ(エデンの園

     最初の人類が、知恵の実を口にしたことで、神から遠ざけられた場所

     生命の実のある場所)

コツコツコツ

ゲンドウ(……俺の、最後の目的地)

コツコツコツ

ゲンドウ(全ての生命が氏に絶えた……ということになっている世界に

     やはり、エデンの園は姿を現した)

ゲンドウ「……もうすぐだ」





ゲンドウ(インパクトを起こす条件は、多く存在する

     覚醒による、人とエヴァの融合

     使途のリリスとの融合

     二つの槍の、強力な波動

     そして……知恵の実と生命の実が、同一固体に備わった時)




コツコツコツ




ゲンドウ「ここか」

ゲンドウ(生命の実が、目の前にある……

     コレを、コレを手に入れれば……)

ゲンドウ(神になる

     俺が、神になり……

     全ての生命体と融合する

     全てが一つになる

     魂も体も、全てただ一つにする事が出来る

     『進化のインパクト』を引き起こす事が出来る……!)

ゲンドウ「ユイ……今行く」








752: 2013/01/05(土) 15:39:08.39 ID:n1XYIykZ0







シンジ「母さんは何処にも行っていないよ」

ゲンドウ「!?」

シンジ「久しぶりだね、父さん」

ゲンドウ「何故お前がここに居る!?」




サクラ「ゴメンくださいっと」

アスカ「何、この部屋……」

マリ「はぁ、なんか怖いところだにゃー」

アヤナミレイ「……司令……」

ゲンドウ「お前ら……フォースインパクトで、消えたんじゃないのか!?」




サクラ「ロンギヌスの槍で起こる『破壊のインパクト』

    これの正体は、超高圧のアンチATフィールドや

    人類の持つATフィールドを打ち消して、消滅させる」

サクラ「しかし、カシウスの槍は、ATフィールドの塊や

    一度使った事があれば、破壊のインパクトを生き残ることも出来る」

アスカ「っ全然意味わかんないけどね」


753: 2013/01/05(土) 15:39:39.53 ID:n1XYIykZ0

サクラ「……」



ゲンドウ「何故お前が、カシウスの槍を使える?」



サクラ「当たり前やないですか

    ウチは、ロンギヌスの槍とカシウスの槍によるインパクト

    『破壊と再生のインパクト』を9回もこなしてきとるんやで!?

    九回も! しかも! 記憶をもち続けながら!!」

ゲンドウ「……」

サクラ「私は、

    マリさんを七回

    シンジさんを三回

    アスカさんを四回

    破壊と再生のインパクトで、頃してるんや」

サクラ「自分の手でな!!」ダァン

キシッ




754: 2013/01/05(土) 15:40:07.33 ID:n1XYIykZ0



ゲンドウ「……カシウスの加護、記憶の保持か」



サクラ「もう、破壊も再生も、こりごりや……

    誰もおらん世界もこりごりやけど……先に進まんとアカンかったんや」

サクラ「せやから、カシウスの槍で生き残り

    エデンの園に入った

    目的はアンタのとほとんど一緒や」

ゲンドウ「……」






755: 2013/01/05(土) 15:40:36.99 ID:n1XYIykZ0
シンジ「父さん。父さんが何をしたいのか、今までかかってようやくわかったんだ」

ゲンドウ「……」

シンジ「父さんは、人類の進化、全ての生命体の融合で

    母さんともう一度会いたかったんだね?」

ゲンドウ「……かいつまんで話すとそうなるな」










756: 2013/01/05(土) 15:41:15.83 ID:n1XYIykZ0



















シンジ「……馬鹿じゃないの?」



















757: 2013/01/05(土) 15:41:49.96 ID:n1XYIykZ0
ゲンドウ「……」

ゲンドウ「ああ、そうかもな」

シンジ「……父さんはずるいよ」

ゲンドウ「……」

シンジ「……父さんはズルイ」

ゲンドウ「……どの口が、言う……

     どの口が、俺がズルイとぬかす!!!」

シンジ「父さんは母さんのこと全部知ってるのに

    僕は知らない……」

ゲンドウ「……」

シンジ「父さんは、母さんのこと独り占めしてたんだ」

ゲンドウ「馬鹿を言うな、それはお前のほうだ

     ユイは、お前が生まれてからというもの……」

マリ「あったりまえじゃん、なにいってんの?

   母親ってそういうもんでしょ?」

ゲンドウ「ああ、わかっている。こんな自分が嫌になる

     ガキにいちいち腹を立ててな……

     おかげで、俺は一度たりとも、

     シンジ、お前を愛することは一度たりともなかった」

ゲンドウ「生まれた瞬間から、無償でユイの愛を掻っ攫って行ったお前を

     俺は愛する事が出来なかった」

アスカ「……最低」





シンジ「だから父さんは僕から母さんを奪いたかった。

    僕は、何もおぼえていないって言うのに」

ゲンドウ「ああ、ユイは私だけのものだ

     だから今ここで生命の実を手に入れ、

     世界と、ユイと一つになる!!」

スッ

758: 2013/01/05(土) 15:42:38.06 ID:n1XYIykZ0

ゴガアアアァァァァァァァン!!

ゲンドウ「!?」

シンジ「っ! みんな下がって!!」











カヲル「遅れてゴメンよシンジ君……

    手が四つもあるのに、悩むことだけで時間を使ってしまった」

ゲンドウ「13号機!? 貴様! 離せ! 離せええええええ!」

カヲル「お断りします、お父さん」


ググッ
ミシミシミシ

759: 2013/01/05(土) 15:43:31.55 ID:n1XYIykZ0
シンジ「まって! カヲル君!」

ゲンドウ「っくぅ……」

シンジ「そうなってしまったら、父さんだって何も出来ないよ

    エヴァの手に握られるって、そういうことなんでしょ?

    殺さないで、お願いだから」

ゲンドウ「……」

カヲル「……」





シンジ「父さん、僕は母さんの

    顔も、髪も、匂いも、腕も、何も知らないんだ。

    だけど、覚えていること、少しだけあるんだ」

ゲンドウ「……」

シンジ「……」

ゲンドウ「……なにを、だ」

シンジ「その、なんていうか、雰囲気……」

ゲンドウ「……」

シンジ「母さんの雰囲気だけが、なんだかわかるんだ。

    エヴァに乗ったときのような、落ち着く感覚が、

    母さんを思い出そうとするとよみがえるんだ」

ゲンドウ「知ったのか」

シンジ「うん。初号機の中に、母さんがいるのが、わかったよ」



シンジ「さっき、ヴンダーが墜落しそうになったときに、初号機に乗ったんだ

    隔離室に緊急用のハッチがあって、その先に、初号機があった

    ミサトさんが、用意してくれてたんだ」

ゲンドウ「……知った上で乗ったのか」

シンジ「うん。

    そしたら、母さんの、雰囲気が……わかったんだ」

シンジ「綾波も居ること、ちゃんとわかった」

アヤナミレイ「……」

シンジ「……三番目の綾波、そうでしょ? 父さん」

ゲンドウ「ああ、そうだ。お前は、もう全て知ったのだな」

シンジ「母さんのことを思い出したとき、思ったんだ。

    エヴァの中にいるのって、

    まるで母さんのお腹にいるときみたいなんだな、って」

ゲンドウ「……」

シンジ「そう思ったら思い出せたんだよ

    母さんのお腹の中にいたときのこと」

ゲンドウ「そんな、馬鹿な事があるか」


760: 2013/01/05(土) 15:43:57.62 ID:n1XYIykZ0


アスカ「私も、わかるわ、それ ママの中、ってカンジ」

マリ「……」モジモジ//////

アスカ「キモイ」



761: 2013/01/05(土) 15:44:39.20 ID:n1XYIykZ0

シンジ「嘘じゃない 馬鹿でもないよ

    お腹の中にいたときの記憶でもわかった

    ああ、こんな素敵な人が、僕の母親なんだって

    父さんが固執するのも、ちょっとわかる」

ゲンドウ「お前に俺の何がわかるというのだ」

シンジ「わかるよ!

    父さんが馬鹿だってことはわかる」

ゲンドウ「っく、お前……」

シンジ「母さんが、一番幸せそうにするときが、

    父さんのそばに居るときだったんだ」

ゲンドウ「……」ギリッ

シンジ「素敵な母さんが、一番愛してるのは父さんだった

    本当は母さん。ずっと父さんのこと好きだったんだよ」

ゲンドウ「戯言を……ユイの愛はいつもお前に向いていた

     それを……」

シンジ「違うよ父さん。母さんはずっと父さんを見てた」

ゲンドウ「違わない 違わないぞ……」



ゲンドウ「俺からユイを奪ったのはお前だ!!

     俺はお前からユイを奪ったわけではない!

     取り返そうとしているだけなんだ!!!」

シンジ「だから、馬鹿なんだよ父さんは!!!」



シンジ「ずっと母さんは父さんと一緒だよ!!

    僕を生んでからも、ずっと母さんの心には父さんがいた!

    どうしてそれがわからないのさ!!」

ゲンドウ「黙れえええええええええええええ!!!!!!!」

ヂャキッ

マリ「拳銃!?」

カヲル「シンジ君!!! 危ない!」

シンジ「!」

ガォゥン!!



762: 2013/01/05(土) 15:45:34.28 ID:n1XYIykZ0

カアアアアアァァアァァン




ゲンドウ(ATフィールドの音?    エヴァではない……!?)

シンジ「……やめてよ、父さん。話の腰折るの……」

ゲンドウ「何故お前が、ATフィールドを使っている!?」

シンジ「……ATフィールドは全ての人間が持っているよ、父さん」

ゲンドウ「そうではない! 銃弾をかき消すだけのATフィールドは、

     エヴァや使途でなければ……

     そう、俺のように!! 使途を埋め込んでいなければ!!

     人の身でATフィールドなど!!!」

シンジ「……エヴァならATフィールドを使えるよ」

ゲンドウ「エヴァ…………」

シンジ「エヴァパイロットは、エヴァとシンクロする

    シンクロ率が強すぎると、人ではない何かに変わってしまう

    それは、エヴァだったんだよ」



シンジ「僕は今、体のほとんどがエヴァと同じ

    侵食されてるんだ

    だからATフィールドを自分の意思で使える

    カシウスの槍が無くても、生きるという意志だけで

    生き残る事が出来た」

ゲンドウ「……っく」

ガォゥン!!ガォゥン!!ガォゥン!!ガォゥン!!ガォゥン!!

カアアアアアアアアアァァァァァァァン!!!

チャキッチャキッチャキッ


ゲンドウ「……」

ポロッ

カランカラン……






763: 2013/01/05(土) 15:46:04.97 ID:n1XYIykZ0

シンジ「とう、さん……」

ゲンドウ「やめろぉ!!!」

シンジ「……」

ゲンドウ「その顔だ!!!! ユイに似ているその顔!!!!!

     お前が表情を変えると、すぐユイに似る!!!!!

     その顔をやめろ!!!!!! その顔で話しかけるな!!!!!!

     お前はユイではないくせに!!!!!!!」

シンジ「……カヲル君 父さんを離して」

カヲル「しかし……」

シンジ「良いから」

カヲル「いやだ、いやだよ! シンジ君が氏ぬのなんて、僕は見たくない……」

シンジ「大丈夫、氏なないよ 最悪はもう起こらない」

カヲル「…………」

シンジ「カヲル君、お願いだよ」

カヲル「……」

ゴゴゴゴ
スタッ

ゲンドウ「お前が、お前がユイを、俺から奪ったんだ」

クタッ
ドサッ

ゲンドウ「俺には、もう何もない……

     ユイがいなければ、もう……」

シンジ「……」

スタスタスタ


アスカ「ちょ、シンジ」

マリ「姫」

アスカ「……」





764: 2013/01/05(土) 15:46:45.03 ID:n1XYIykZ0
ゲンドウ「やめろ! 近づくな!!!」ババッ

ゲンドウ「は、そうだ……俺にも、ATフィールドがある!!!」

カァァァァァァーン

ゲンドウ「近寄るな!!!!! ユイの姿をした化け物め!!!!!

     俺から、今度はユイの面影すら奪う気か!!!!!?」

スタスタスタ

ゲンドウ「止まれといっている!!!!!!」

シンジ「止まらないよ」

ゲンドウ「もう俺に構うな!!!!! 世界がもうどうなっても良い!!!!!

     お前が、お前さえ近くに居なければ!!!!!!」

シンジ「……それでも、父さんと一緒に居たいんだ

    母さんが一番愛した父さんは、本当は……」

ゲンドウ「だま、かはっ……だまれぇぇぇぇぇ・・・・・・・・」ゲホッゴホッ

カアアアアアァァァァァァァン!!!

シンジ「父さん、ATフィールドは、生きる意志の強さ

    今の父さんでは、僕にATフィールドで勝てないよ」

ゲンドウ「あ、あ、、、、あ……」

グシュゥ!!!

シンジ「……ほら、こんなに簡単」

ゲンドウ「近寄るなあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ゴスッ

カヲル「シンジ君!」

シンジ「大丈夫だよ、カヲル君

    痛いの、慣れてるし」

ゲンドウ「氏ね! 氏ね!!!」

ゴスッ ゴスッ



サクラ「シンジ、さん……」




765: 2013/01/05(土) 15:47:16.45 ID:n1XYIykZ0



シンジ「氏なないよ、ボクは……

    父さんが居る限り、氏ねないよ」

ゲンドウ「ふざけるな!!!!! ああ、そうか!!!

     じゃあ氏んでやるよ!!!!! そしたらお前も氏ね!!!!!」




アスカ「醜い」

マリ「……弱いんだよ。何処までも、ね」






シンジ「氏なせない 氏なせないよ父さん」

ソッ

ゲンドウ「やめろ!!!!!その手で!!!!俺に、近寄るな!!!!!」

シンジ「父さんは氏なせない。

    やめろって言われても、僕は父さんを守る」

ゲンドウ「や、め、ろ……」ブルブル

766: 2013/01/05(土) 15:47:43.34 ID:n1XYIykZ0

ギュゥッ


シンジ「……だって、約束なんだ」

ゲンドウ「あ……あああ、あ……」パクパク

ギュウッ

ゲンドウ「やめろ」

ゲンドウ「やめろ聞かせるな……

     聞かせるな、その言葉を……」



シンジ「母さんに言われたの、ようやく思い出せたんだ」

シンジ「だから……止まらないよ」

ゲンドウ「――――――」

シンジ「母さんは言っていたよ……」

ゲンドウ「っく、  ぐ、ふぐぁああ……」ボロボロ







767: 2013/01/05(土) 15:48:25.12 ID:n1XYIykZ0

*****

ユイ「シンジが生まれる前は、もっといろんな季節があったのよ

   夏ばかりじゃない

   春には桜

   秋には木の葉が染まった

   そして冬になると雪が降った


   とても綺麗なの

   いつかシンジにも見せてあげたいわね」





ユイ「シンジ? この先、色々な事が起こるわ

   世界の四季と同じ、暖かいだけじゃない、熱いだけじゃない

   冷たいこと、寒いこと、色々。

   今の貴方にはわからないかもしれないけど

   楽しいこと、

   辛いこと、

   嬉しいこと、

   悲しいこと、

   いろんな事が起こる。」

ユイ「時には負けてしまうかもしれない

   でも、貴方にお友達が居たら、きっといつでも助けてくれると思う

   貴方の事が大好きな人たちが、守ってくれる」



ユイ「でもね、あの人は、一人なの

   どうしても、一人になりたがる

   だからね、私たちで助けてあげないといけないの。

   唯一、つながりがあるのは、あの人にとって私たちだけだから」


ユイ「だからね、シンジ。約束して?

*****




シンジ「『お父さんを、助けてあげて』って」

ゲンドウ「っっっっっ!!!!!!」













768: 2013/01/05(土) 15:48:54.15 ID:n1XYIykZ0
シンジ(父さんの泣き声は、

    みっともなくて

    うるさくて

    僕が抱きしめた腕に反応するように抱きしめ返す腕は

    いかつくて

    暴力的で

    でも、その全てが、母さんの愛したものなんだ

    この人の全てを母さんは愛したんだ

    きっと、この人は、父さんは、

    母さんの意思、そのものなんだ)

シンジ(母さんのお腹の中に居た頃や、生まれて間もない頃

    母さんが言っていた言葉

    思い出すのがちょっと遅かったかもしれないけど

    でも、今は、思い出せてよかったと、

    そう……思った)















サクラ「……シンジさん」





769: 2013/01/05(土) 15:49:33.49 ID:n1XYIykZ0
シンジ「もう、大丈夫だよ」

サクラ「……さいですか」

シンジ「……桜、サクラ。そうだね、そういう意味なんだね」

サクラ「な、なんですか人の名前繰り返して……」

シンジ「なんでもないよ。サクラちゃん。

    夏の前には、春があったんだ。

    それを、取り戻しに……行こう」

サクラ「……はい」



アスカ「な、何をするって言うのよ?」

マリ「出来れば説明がほしいんだけどにゃー?」





サクラ「……すみません ウチも、理屈は良くわからんのです

    だから、全部終わったら、きっと、ええカンジになっとると思います」


770: 2013/01/05(土) 15:50:03.73 ID:n1XYIykZ0
アスカ「はぁっ!?」

マリ「説明になってないってば!」

カヲル「はは、あははははは!! 最高の説明だよ!
 
    いや、ホント、この上ない、最高の答えだ……

    ……皮肉とかじゃないよ?」

サクラ「わかってます。ウチにだって、こうとしか答えられませんから」

アヤナミレイ「……」




サクラ「心配せんでもええです。

    ウチ、カシウスの使い方、一番上手いですから」
























サクラ「ほな」














771: 2013/01/05(土) 15:50:47.73 ID:n1XYIykZ0



















772: 2013/01/05(土) 15:51:13.33 ID:n1XYIykZ0




















サクラ「え?」
















773: 2013/01/05(土) 15:51:45.81 ID:n1XYIykZ0















サクラ「ちょ、ちょっと、嘘やろ!?」













シンジ

















774: 2013/01/05(土) 15:52:20.26 ID:n1XYIykZ0

サクラ「何でシンジさんがおんねん!?」

シンジ「!? え?」

サクラ「え? はこっちのセリフですよ!!!」ペシーン!

シンジ「あ、ごめん」

サクラ「あ、まさか、ウチの決定にいちゃもん付けにきたんやな!?

    受けて立ったる!!」

シンジ「ちょっちょちょ!!ちょっと待ってよ!!
 
    その槍っぽいものこっち向けないで!!

    それと! 服! 着て!」


775: 2013/01/05(土) 15:52:45.66 ID:n1XYIykZ0
サクラ「なーんやー お互いのハダカ知らん仲でもあるまいし

    それにしっとるんやで?」

シンジ「な、何を?」

サクラ「姫は実はわんこ君のモノで
    
    女の子のハダカなんてもう当の昔に慣れ親しんだものやって」ニシシ

シンジ「なっ!!!!

    なら、なんで、僕に、抱かれちゃったのさ……」

サクラ「女は怖いですよー? 生まれ変わったら思い出してください。
    
    浮気でも不倫でも、好きになってもうた男となら寝れます」

シンジ「はぁぁぁ……この際それはもう良いよ。

    僕だって、アスカを裏切ってるわけだし……

    とにかく、服がほしいよ」

サクラ「せやったら、世界を創る前にちょっとだけ遊びましょうかね

    ほい」

776: 2013/01/05(土) 15:53:16.08 ID:n1XYIykZ0


場所創造『学校』

シンジ「あ、学生服」

サクラ「そして、こっちが女子生徒のです。

    ええなぁ、この制服着てみたかったんやー

    に、似合うてます?」

シンジ「うん、似合ってる。可愛いと思うよ」

サクラ「イタくないです!?」

シンジ「22なら全然いけるんじゃない?」

サクラ「せやろか……まぁ、コレは冗談や。私服に戻ります」



シンジ「……」

サクラ「で、シンジさん、なんで残ったんですか?」

シンジ「えっと、その、ずっと氏にたくないって思ってたから、かな?

    無意識に、ATフィールド、展開しちゃった」モジモジ

サクラ「……アホやな」

シンジ「ご、ごめん」

サクラ「アホですよ。

    ちょっと決心揺らぐやないですか」

シンジ「だ、だからゴメンって」

サクラ「許しません

    許しませんから、ちょっとウチの独り言に付き合うてもらいます」

シンジ「……うん」

サクラ「まぁ、長い話やから! ほれ」

シンジ「……飴?」

サクラ「飴ちゃんでも舐めて聞いてってや」

シンジ「もらっておくよ……うん、後でね」






777: 2013/01/05(土) 15:54:30.20 ID:n1XYIykZ0
サクラ「インパクトには、ウチが知る限り三つあるんや

    まずは、『進化のインパクト』

    碇ゲンドウが望んでいた最後の形」

シンジ「全ての生命体の融和、だね」

サクラ「コレをされるとゲームオーバーや

    一つの生命体になり、人類は補完される

    多ではなく個で宇宙に君臨する

    人と話すのが大好きなウチにとって、この上ない地獄や」

シンジ「……きっと、こういう考え方もあったんだよ」

サクラ「せやな。その考えはわからんが、
 
    誰かがそう望んだから、こないな世界になってしもたんやな」

サクラ「そして、ロンギヌスの槍を使った

    『破壊のインパクト』

    世界の全てを無に帰す、浄罪の形

    魂も『記憶』も、全てを滅ぼす」

シンジ「……」

サクラ「そして、ロンギヌスとカシウスを使った

    『破壊と再生のインパクト』

    ウチやカヲルさんが繰り返してきたのは、このインパクトなんや」

シンジ「……それが、『巻き戻し』とか、『やり直し』なの?」

サクラ「せやね。まぁ、やり直すという意味では、

    実は破壊のインパクトも同じやねん

    ざっと40億年経てば今の世界に輪廻します」

シンジ「そう、永いね」

サクラ「しかし、『破壊と再生』は違います

    全部ぶち壊しますが、

    知ってる世界をもう一度作り上げる事が出来るんです。

    コレは、ざっと20年もあれば、戻ってこれるんです」

シンジ「20年……」

サクラ「そうです、私が生まれる瞬間。

    破壊と再生のインパクトは、

    それを起こした者の生まれた瞬間に戻る事が出来る」

サクラ「ロンギヌスの槍で全てを消した後、

    カシウスの槍で世界を再生する。っちゅうことです」

サクラ「さらに、なんと、

    カシウスの槍に触れた事がある人間は、

    記憶を持ち越せるんです」

シンジ「だからサクラちゃんは、巻き戻しのことを知っていたんだ」

サクラ「そうです。それが『カシウスの加護』です


778: 2013/01/05(土) 15:54:59.41 ID:n1XYIykZ0

    しかしコレがけったいなモンでしてね

    しばらく立たないと思い出せんのですわ!!

    今回もサードインパクトでようやく思い出せました!」

シンジ「何か制限があるの?」

サクラ「そうなんですよ。

    時間経過でも思い出せるみたいなんです。

    実際、サードインパクトが先延ばしになったときは、

    ウチ普通にいきなり思い出しましたモン」

シンジ「そう、なんだ」

サクラ「例えると、その飴ちゃんと同じです」

シンジ「……これ?」


779: 2013/01/05(土) 15:55:27.66 ID:n1XYIykZ0

サクラ「ウチの好きな、練乳入りのイチゴ飴」

サクラ「内側の練乳が、『記憶』

    そして、イチゴの飴ちゃん部分が『カシウスの加護』です」

シンジ「……」

サクラ「舐めていればいずれは記憶を取り戻せる

    けど、噛み砕くと、一瞬です

    きっかけさえあれば、一瞬で思い出せる

    コレがカシウスの加護です」


780: 2013/01/05(土) 15:56:12.61 ID:n1XYIykZ0










鈴原家

シンジ「えっと、ここは」

サクラ「ウチの家です。ちょっと、カシウスの槍で遊んでみました」

シンジ「……え」

ガラッ

トウジ「なんやー、サクラここにおったんか?」

サクラ「何? うちのこと探してたん?」

トウジ「せやでー、今一階にみんな来てるから、はよ集まれや。

    おう、センセも一緒に来い!

    『婿旦那』がいないと話も盛り上がらんしな」

シンジ「む、こ!?」

トウジ「今更恥ずかしがるなや!!」

ピシャッ




サクラ「もちょっと、遊んでみます?」

シンジ「え、えぇぇ……」

サクラ「遠慮せんでもええんですよ、旦那様♪」

シンジ「えっと、じゃあ……」













781: 2013/01/05(土) 15:56:41.79 ID:n1XYIykZ0







シンジ「晩御飯できたよー」

アスカ「ったく、遅いのよ!」

ミサト「待ってましたぁー! んー、美味しそう!」

マリ「ごっはん~」

レイ「今日は、何?」

カヲル「シンジ君の料理はいつも美味しいから大好きだよ」

ゲンドウ「……悪くない」

ユイ「あなたってば、ちゃんと褒めてあげてよ」

ゲンドウ「……」

ユイ「ふふっ……」





サクラ「……ええね。これ」

シンジ「背景は思いつかなかったけど……

    漠然と、こんなことしたいなって、思ったんだ」

サクラ「ええですよ、ホンマ。ただ、女の子多めなのが気になりますけど」

シンジ「あ、えっと、だって僕の周りには」

サクラ「スケコマシめ!! 槍は没収さしてもらいます」

シンジ「あ、うん」

サクラ「このままやったらエOチな世界創られてまうからなー」

シンジ「し、しないよ、そんなこと!」

サクラ「ウチには手ぇ付けてくれましたよねー」

シンジ「サクラちゃん!!!!」








782: 2013/01/05(土) 15:57:17.00 ID:n1XYIykZ0







碇シンジ隔離室

サクラ「でも、シンジさんが、

    ウチのことメチャクチャに可愛がってくれた時もあったんやで」

シンジ「そ、そうなんだ」

サクラ「もうね、ホンマ。あんなプレイは初めてやったわ、

    アレに毎日耐えられるアスカさんのこと尊敬しましたよ」

シンジ「毎日じゃないよ!! 二日に、一回、くらい」

サクラ「中学生の性欲って凄いなぁ!!!」









783: 2013/01/05(土) 15:57:50.82 ID:n1XYIykZ0








ミサト宅

サクラ「その二人の愛の障害カッコワライの、ミサトさんやけど」

シンジ「あ、ミサトさんも巻き戻りのこと……知ってたよね?」

サクラ「せや、あの人はカシウスの槍にさわっとるんや」

シンジ「それで、か」

サクラ「無理やり触らせたんは五回目くらいやったかな?

    色々裏で手を回して……シンジさんにも協力してもろて」

シンジ「僕には、触れさせなかったんだ?」

サクラ「ミサトさんに触らしとけば一番動きやすかったですからね

    シンジさんは、そやね。

    巻き戻りがあと10回くらい続いたら触らせたかも知れへんな」

シンジ「え」

サクラ「だって、シンジさんは肝心なとき塀の中の人やもん!」

シンジ「あ。そうだね」








784: 2013/01/05(土) 15:58:21.91 ID:n1XYIykZ0







公園

サクラ「ウチが巻き戻りを始める前は、

    カヲルさんがずっと巻き戻してたみたいなんや」

シンジ「カヲル君、言っていたね。

    僕の、幸せのためにって」

サクラ「ホ〇かっちゅうねん」

シンジ「カヲル君はそんなんじゃない、と、思うよ?」

サクラ「せやったら、ここにカヲル君呼んで聞いてみましょか?」チャキーン

シンジ「やめとく」

サクラ「せやね、それがよろしいかと」

サクラ「しかし、あの人は『破壊のインパクト』のことも知っとった

    もしかすると、シカイモンジョとやらには、

    『破壊のインパクト』で失われた世界のことも書いとるんかもしれへんな」

シンジ「そうなると、僕たちは何度やり直してきたんだろうね」

サクラ「あの人は……何回繰り返して、何年やり直してきたんやろなぁ?」











785: 2013/01/05(土) 15:58:52.95 ID:n1XYIykZ0










ドイツ

サクラ「シンジさん、アスカさんの事好きですか?」

シンジ「……好きだよ」

サクラ「ウチのことも、同じくらい好きですか?」

シンジ「……」

サクラ「……」

シンジ「……ごめん。ここは、はっきりしておく」

サクラ「……」

シンジ「僕は、やっぱりアスカが一番好きだ」

サクラ「……せやろなぁ。年季が違うもんなぁ

    それに、お似合いや。二人は  ホンマに」



サクラ「でもな、シンジさん」

シンジ「?」

サクラ「自惚れんなや!! ウチはな、頼れる男性が好みなんや!!」

シンジ「!?」

サクラ「もしも、シンジさんがこんなナヨナヨしとる男やと

    子供の頃から知っとったら

    ウチはヒーロー扱いもしませんでしたし、

    ヴンダーでもそ知らぬ顔でしたよ!?」

シンジ「う……」

サクラ「もう、アンタに惚れることはないと思ってくださいね」

シンジ「わ、わかったよ」

サクラ「……納得、せんでくださいよ」

シンジ「ご、ごめん」










786: 2013/01/05(土) 15:59:22.81 ID:n1XYIykZ0









ヨーロッパ

サクラ「マリさんはシンジさんのこと『わんこ君』呼びますよね?」

シンジ「ああ、うん。最初は『ネルフの飼い犬』って意味だったらしいけど

    そのうち、『姫に尻尾振る犬』って言うイメージになったんだって」

サクラ「犬… ほいっ!」

シンジ「わっ!?」

サクラ「犬耳シンジさん!!」

シンジ「も、ちょ、やめてよ……こういうのかぶせるの」

サクラ「被り物と思った!? 残念!! 生耳でした!!」

シンジ「う、うわああああああああああああ!!!!」











787: 2013/01/05(土) 16:03:38.51 ID:n1XYIykZ0









ネルフ本部

サクラ「……アヤナミレイは、なんやったんかね」

シンジ「……僕の知ってる綾波では、ないんだと思う

    あの子は『九』番目で

    僕が知ってる三番目の綾波は、初号機の中にいたから」

サクラ「そやったんですか」

シンジ「そのおかげで、メチャクチャなシンクロ率になって……」

サクラ「ああ、それでATフィールドの使える、スーパーシンジさんになってもうたわけですか!」

シンジ「うん。   父さん、本当に撃つんだもんなぁ……」

サクラ「……でも、わかってもらえたんやないですか?」

シンジ「そうかな   そう、かな?    
 
    そうだとい、いいな……」







788: 2013/01/05(土) 16:04:21.87 ID:n1XYIykZ0












シンジ「いやぁ……」

サクラ「遊んだなー」

シンジ「そうだね」

サクラ「時間が存在するんやったら、一週間は遊んだやろか」

シンジ「そんなに!?」

サクラ「わからん!」

シンジ「……」

サクラ「でも、一週間分くらいは楽しんだつもりです」

シンジ「……僕も、楽しかったよ」


……


サクラ「さて、そろそろ、私は神様ごっこしてきます」

シンジ「……破壊と再生のインパクト?」

サクラ「アホォ、それやったらまたやり直しやないですか」





789: 2013/01/05(土) 16:05:26.42 ID:n1XYIykZ0




サクラ「今回のは、

    『創造のインパクト』です」



シンジ「創造の……」


サクラ「知恵の実を有する人間が、生命の実を宿したことで神に等しい存在となる

    その身でカシウスの槍を振るうと、カシウスの力を最大限に利用できる

    いかなるものでも作り出すことが出来る」

シンジ「そう、だね。ATフィールドの塊だもの」

サクラ「コレが一体、誰が作ったもので

    この力を人間に残していったのが何のタメなのかはサッパリや

    せやけど、あるものは使うしかないやろ?」






サクラ「ウチは、正直、前の世界なんてもう戻りたくないんねや

    使途が来て、エヴァが世界を滅ぼして、最後に巻き戻る世界なんてな」

シンジ「……そうだね」

サクラ「だから今、先に『破壊のインパクト』で、全てを壊した

    完全なる無が今ここや」

シンジ「……存在しているのは、僕たちだけ」

サクラ「そ」



サクラ「重力もない、時間もない、世界とすら呼べないかもしれない無」






サクラ「ここから、私が望むとおりの世界が創れるんや」

サクラ「カシウスの槍と神の力が、それを可能にする」








790: 2013/01/05(土) 16:05:58.20 ID:n1XYIykZ0









シンジ「……

    サクラちゃんは、何を望むの?」










サクラ「ウチは……




    ウチが望む世界は……」















































シンジ「ヴンダーで暮らす」||(フィナーレ)

END


793: 2013/01/05(土) 16:09:58.11 ID:n1XYIykZ0












シンジ?


シンジ


シーンジっ



ユイ「シンジ? 朝よ、早く起きなさい 遅刻するわよ?」


794: 2013/01/05(土) 16:10:26.05 ID:n1XYIykZ0

シンジ「ん、わかったよ。今起きる……」

ユイ「もう……お父さん、朝ごはん食べてるんだから、早く挨拶なさい」

シンジ「う……父さん、怒ってる?」

ユイ「怒ってないわよ。テストの点数が低かったことなんて……

   あの人の学業なんてもっと酷かったんだから」

シンジ「……起きるよ」


795: 2013/01/05(土) 16:10:57.08 ID:n1XYIykZ0




碇家 食卓

ゲンドウ「……シンジか」モグモグ

シンジ「おはよう、父さん」ガタゴト

ゲンドウ「……ん」モグ

シンジ「……ぅ」モグモグ

ゲンドウ「シンジ……」

シンジ「っ! な、なに?」

ゲンドウ「テストの点数、見たぞ」

シンジ「ご、ごめん。つ、つぎは、ちゃんと」

ゲンドウ「……まぁ、頑張れ」

シンジ「あ、うん。頑張るよ!」モグモグ




レイ「おはよう」

ユイ「ほら、レイはもう準備できたわよ」

シンジ「あ、レイ! ゴメン今準備するよ!」

レイ「うん、わかったわ。お兄ちゃん」



……

796: 2013/01/05(土) 16:11:24.94 ID:n1XYIykZ0
ユイ「全く、レイってば甘えん坊さんね」

ゲンドウ「そうだな」

ユイ「双子なのに、お兄ちゃんですって」クスクス

ゲンドウ「……多分、羨ましいんだろう」

ユイ「何がですか?」

ゲンドウ「末の妹が、だよ」



ユキ「……」

ユイ「あら、ユキちゃん起きたの? お母さんが起こそうと思ってたのになー?」

ユキ「……寒い」

ユイ「そうね。もうそろそろ冬だもの、寒いはずだわ」

ゲンドウ「ユキ、ちゃんと着替えて温かい格好をしなさい」

ユキ「……はい」トテトテトテ

ユイ「誰にて無口なのかしらね?」

ゲンドウ「……『九』月生まれは、無口らしい」

ユイ「今適当に考えたでしょ?」

ゲンドウ「……」

ゲンドウ「……子供たちと、お前を見ていると思う……」

ユイ「なんですか?」

ゲンドウ「永遠なんてものは、人の繋がりにこそあるんだな、と」

ユイ「……そうですよ。人の心に人が生き続ける限り、そうです

   そう、思います」










797: 2013/01/05(土) 16:12:03.50 ID:n1XYIykZ0
登校風景

シンジ「レイはさ、この間のテストどうだった?」

レイ「悪かったわ」

シンジ「えー、何点さ?」

レイ「89点」

シンジ「すっごい! レイ、あの問題あんなに解けたんだ!?」

レイ「私は満点を狙っていた お兄ちゃんは努力不足」

シンジ「が、頑張った、つもりなんだけどなぁ……」

レイ「だって、お兄ちゃんは最近……」



トウジ「よーう! ご兄妹!」

レイ「お兄ちゃんは最近、あの人たちと遊んでばかり」

ケンスケ「おはよう碇兄! 朝からシスコン爆発させてるなよ」

マリ「そーゆーカンジのからかい方、よくないぞー! っと」ペチン

ケンスケ「ギャー! マリダー!」

トウジ「逃げろ! 獣のように追ってくるで!」

マリ「びーすともーど!!ってか? ばーか、追いかけるだけダルイっつーの」

シンジ「おはようマリ」

マリ「よっ、愛しのわんこ君」

レイ「……おはよう」

マリ「わぁい! わんこちゃんも一緒だぁ!」ガバッ

レイ「……ん」

マリ「ニュフフー、わんこちゃんは可愛いにゃー」

アスカ「ちょ、アンタ、往来で何恥ずかしいことしてるのよ」グイッ

マリ「にゃー」


シンジ「あ、アスカ、おはよう」

アスカ「……はいはい、おはよう」



レイ「……」ソワソワ

マリ「お兄ちゃんが取られそうで不安?」

レイ「別に、そういうわけではない

   アスカは、素直じゃないから不安」





798: 2013/01/05(土) 16:12:51.36 ID:n1XYIykZ0

アスカ「あー!! だから! お姉ちゃんはレイに構いすぎなの!!」

マリ「お姉ちゃんは可愛いものが大好きなのですよー」スリスリ

レイ「……うっとうしい」

アスカ「こんなのが身内なんて信じられない!!

    姉妹が年子で同じ学年ってだけでも微妙なのに!!」

マリ「あんまり言うと泣いちゃうにゃー」メソwwwメソwww

アスカ「泣け! 枯れろ! カッピカピになってくたばってなさい!」

マリ「ウチのお姫様は癇癪もちで困るにゃー」




テクテク


テクテク




799: 2013/01/05(土) 16:13:22.45 ID:n1XYIykZ0
カヲル「おや?」

シンジ「カヲル君、おはよう」

アスカ「おはよ」

レイ「おはよう」

マリ「にゃんこくぅ~ん」ガバ!

カヲル「はいはい、なんだい?」ナデナデ

マリ「姫が私をいぢめてクるの~!」スリスリ

カヲル「姉妹なんだし、仲良くしなくちゃダメだよ? お姫様」ニヤニヤ

アスカ「うっさい白ホ〇。そいつは姉でもなんでもないわよ」

カヲル「僕はホ〇じゃないよ、ねぇ? シンジ君」

シンジ「え? うん。そうだけど?」

アスカ「黒ホ〇は黙ってなさい」

シンジ「黒ホ〇って!? ぼ、僕はちゃんとアスカの事が」

アスカ「!!! バカシンジ!!!!」

シンジ「あ、ごめ」

カヲル「……」ニヤニヤ

レイ「……」ドキドキ

マリ「にやにや」ニャー

アスカ「あああああああーーーー!! もう!!!!」












ミサト「ちょ、はは、はぁ、はぁ!! あんた達!! そこどいて!!」タッタッタッタ

シンジ「!? ミサトさん?」

ミサト「ああ、シンジ君! 

    あ、いや、学校ではミサト先生と呼びなさい!」タッタッタtッタ

マリ「ミサト先生、また遅刻~?」

ミサト「部活の朝練~!」タッタッタッタ



アスカ「またリツコに置いていかれたのね……」

シンジ「ほんと、あの人結婚してからいっつもそうだよね」

ミサト「くぉらっ! 何か言ったでしょ!!!」(遠くの声

アスカ シンジ「なにもー?」



800: 2013/01/05(土) 16:13:49.29 ID:n1XYIykZ0


アスカ「さ、いきましょ」

カヲル「そうだね。僕たちも遅れちゃうかも」

レイ「遅刻はダメ」

マリ「ねー、今日サボらない?」


テクテクテク






テク、テク……


シンジ「……」


801: 2013/01/05(土) 16:14:22.73 ID:n1XYIykZ0

シンジ(なんでもない日常

    楽しいこと、

    辛いこと、

    嬉しいこと、

    悲しいこと、

    いろんな事が起こる)

シンジ(夏にはセミが鳴く

    秋には木の葉が染まる

    冬になろうとしている今、もうすぐ雪の季節)

シンジ「あ、雪だ……」

シンジ(正直、なんでもない普通の生活に飽き飽きしていた)



シンジ(もしもこの世界が、

    巨大な何かに怯えていて

    僕がそれを守るヒーローだったら?)

シンジ(そういうことを 考えて立ち止まった)








802: 2013/01/05(土) 16:15:18.78 ID:n1XYIykZ0







???「あの」

シンジ「?」

???「ニイサン、コレ落っことしてますよ」

シンジ「あ、僕の生徒手帳っ ありがとう、拾ってくれたんだ」

???「ん、どういたしまして」

シンジ「……そうだ! 昨日買った飴があるんだけど、お礼にコレあげるよ」

???「アカンで、知らん人から物もらったらアカン

    お兄ちゃんにそう言われとるから、ここはNOや」

シンジ「あはは、しっかり者だね」

???「ああ、お礼やったらこっちの頼みを聞いて欲しいんやけど。

    あのな、ニイサンはあのガッコの生徒さんやろ?」

シンジ「あ、うん」

???「これ、お兄ちゃんに届けてくれへんやろか?」


803: 2013/01/05(土) 16:16:02.17 ID:n1XYIykZ0


シンジ「お兄ちゃん?  君、名前は?」

???「あ、ウチの名前は」

















冬が終われば、『サクラ』の季節


春の風物詩と同じ名前の少女に出会って


これから来る春が楽しみになって



こんな世界も、いいな   

って、

そう、思った。














804: 2013/01/05(土) 16:20:53.52 ID:n1XYIykZ0
くどい演出のためだけに空白をこんなにも無駄に使って申し訳ないと思う
特に、終了したと見せかけた瞬間に乙を言ってくれた彼には 特に申し訳ないと思う

ああ、間違いない
終了だ。

822: 2013/01/06(日) 17:17:11.36

引用元: シンジ「ヴンダーで暮らす」