1: 2012/08/15(水) 01:33:26.11 ID:Me3QSOC70
真「ちょっと古風だけどね。でもメールを届けられる相手じゃないし……」

真「って言っても手紙なんて書いたことないや……。うーん…最初はやっぱりこれかな」


─元気にしていますか?─


真「うん!つかみはOK!それから……えっと……」

ガチャッ

伊織「ただいまー…あら?真じゃない。何してるのよ」

真「あ、伊織。実はある人に手紙を送ろうって思ってさ」

伊織「手紙?今時古風ね。で、誰に送るのよ?」

真「それは……」

5: 2012/08/15(水) 01:36:15.38 ID:Me3QSOC70
伊織「へぇ…真って意外とロマンチストなのね」

真「意外とは余計だよ!それでさ、『この人』らしいイメージって何かあるかな?」

伊織「そうね……いつも突っ走ってるイメージがあるわね」

真「…客観的に見るとそうなるんだね……。それじゃあこうして…っと……」

─相変わらず突っ走ってますか?─

伊織「ねぇ真」

真「うん?」

伊織「『この人』は変わってると思う?変わらないと思う?」

真「そうだね…ボクもそれが一番気になるよ。へへっ、夢を叶えられてるといいんだけどね」

伊織「そうね…ま、簡単じゃなさそうだけど。にひひっ♪

真「ちぇっ、ひどいなぁ……」


─もう月日だいぶ経つけど 変わったのかな? 変わらないかな?─

6: 2012/08/15(水) 01:40:09.73 ID:Me3QSOC70
真「うん、いい感じになったかも。ありがとう、伊織!」

伊織「また何か詰まったら相談に乗ってあげるわ。脳筋なアンタだけじゃ難しいでしょ?」

真「誰が脳筋だって?まったく……あ、そうだ!スポーツ!」

─いい汗かいてますか?─

伊織「うん、真らしいフレーズじゃない。…あ、そろそろ時間ね。それじゃあ私は雑誌の取材があるから」

真「そっか……伊織!」

伊織「何よ?」

真「ありがとう。取材も頑張って!行ってらっしゃい!」

伊織「…そういう思いやり溢れる笑顔で見送られると、文句なんて言えないじゃないの…。ありがとう、真。行ってきます」

バタンッ

真「(時々素直になるところがまた可愛いなあ。さっきも付き合ってくれたし…伊織のそういう優しいところ、好きだよ)」

真「それにしても思いやりかあ……へへ…ちょっと恥ずかしいけど……」

─思いやり忘れてませんか? ちょっぴり照れちゃうけど この手紙を書いてみよう─

7: 2012/08/15(水) 01:42:38.06 ID:Me3QSOC70
真「うーん……行き詰まった……。まいったなあ、これだけじゃ手紙にならないし……」

ガチャッ

あずさ「ただいま帰りました~」

真「あ、お帰りなさいあずささん!今日は伊織とは別ですか?」

あずさ「ええ。今日は映画のの撮影だったの」

真「『隣に…』でしたっけ?ボク、絶対初日に観に行きます!恋愛映画って好きなんですよ!」

あずさ「うふふ、ありがとう。ところで真ちゃん、それは?」

真「これですか?かくかくしかじかで手紙を書いてるんですけど、ちょっと行き詰まっちゃって……」

8: 2012/08/15(水) 01:44:38.47 ID:Me3QSOC70
あずさ「そうねぇ~…真ちゃん、普段行き詰まった時はどうしてる?」

真「そうですね…ボクはボクなりに全力で、ベストを尽くします。力を発揮しないまま諦めるなんて嫌ですから!」

あずさ「じゃあそれを書いちゃえばいいのよ~。そのためのお手紙、でしょ?」

真「あ、そっか!さっすがあずささん!じゃあこうすれば……」


─もしも行き詰ったなら その時はベストを尽くせばいい 今できること考えよう─


あずさ「うふふ、いいお手紙になりそうね~」

真「はい!でもボク、ベストを尽くしてもずっと男扱いされてるんですけど……」

あずさ「真ちゃん。真ちゃんの魅力って、素直に頑張ってることだと思うの」

9: 2012/08/15(水) 01:47:02.91 ID:Me3QSOC70
真「ウソは嫌いですから!でもボク、このままで本当にキャピキャピの女の子になれるんでしょうか?」

あずさ「ええっと…キャピキャピはわからないけれど、ありのままの真ちゃんであればいいと思うの」

あずさ「そうすれば、きっとみんなに届くはずだから……。だから悩まないでいきましょう?」

真「……あずささん……。ボク、感動しました!!」

あずさ「あ、あら?そこまでいいことを言ったかしら~?」

真「はいっ!!あの、今の言葉を頂いてもいいですか?きっと『この人』にとっても最高の励ましの言葉になると思いますから」

あずさ「ええ、もちろんよ。『この人』が私のことを覚えてくれてるといいわね~」

真「……忘れませんよ、絶対に。みんな大切な人ですから」


─素直な気持ちで ありのままやっていれば みんなに届くよ だから悩まないで─

10: 2012/08/15(水) 01:51:19.99 ID:Me3QSOC70
真「ウソは嫌いですから!でもボク、このままで本当にキャピキャピの女の子になれるんでしょうか?」

あずさ「ええっと…キャピキャピはわからないけれど、ありのままの真ちゃんであればいいと思うの」

あずさ「そうすれば、きっとみんなに届くはずだから……。だから悩まないでいきましょう?」

真「……あずささん……。ボク、感動しました!!」

あずさ「あ、あら?そこまでいいことを言ったかしら~?」

真「はいっ!!あの、今の言葉を頂いてもいいですか?きっと『この人』にとっても最高の励ましの言葉になると思いますから」

あずさ「ええ、もちろんよ。『この人』が私のことを覚えてくれてるといいわね~」

真「……忘れませんよ、絶対に。みんな大切な人ですから」


─素直な気持ちで ありのままやっていれば みんなに届くよ だから悩まないで─

12: 2012/08/15(水) 01:54:52.58 ID:Me3QSOC70
真「あ、あずささん!もう一ついいですか?」

あずさ「何でも聞いてちょうだいね~」

真「大人って、どうやってなるんでしょうか?ボクもあと3年もしないうちに大人になっちゃうって考えたら、何か不安で……」

あずさ「……ごめんなさい、それは私にもわからないわ」

真「そうですか……」

あずさ「きっと、気付かないうちになってるものじゃないかしら?例えば『この人』なら、きっとかっこいい大人になってると思うの」

真「かっこいい大人に、ですか……。ボク自身、かっこいい大人になりたいって思ってます」

真「顔だけじゃなくて、もっとボク自身を…ダンスとか歌とか、ボクの全体を見てかっこいいって言われる、そんな大人に」

14: 2012/08/15(水) 01:56:15.65 ID:Me3QSOC70
あずさ「…きっとなっているわ。今でもこんなにかっこよくて可愛いんだもの」ナデナデ

真「か、可愛いですか!?ボク可愛いですか!?」

あずさ「ええ、とっても」

真「やーりぃ!これで父さんを見返してやれるぞっ!」

あずさ「真ちゃん、今はお手紙でしょ?集中を切らすのは、めっ!」

真「は、はいっ!」

真「(……優しくて可愛い……あずささんって理想の女性だな……)」

真「(でもボクはあずささんにはなれない。だから精一杯、かっこいい女性を目指します!)」


─いつも夢見ていた かっこいい大人に 気付かないうちになっている貴方へ…─

16: 2012/08/15(水) 01:57:52.21 ID:Me3QSOC70
真「あずささんも次の仕事に行っちゃったし、次はどうしようかなあ……」

真「……今のボクはアイドル活動に夢中だけど、その頃は何かに夢中になったりしてるかな?」

真「アイドル……は、流石に無理だよね。まだ芸能界にいるのかな……」


─何かに夢中ですか?─


真「それから……好きな人とか……」


─誰か好きな人はいますか?─

ガチャッ

P「ただいま帰りましたー!」

真「っわわわっきゃあああぁぁっ!?」

20: 2012/08/15(水) 02:00:27.28 ID:Me3QSOC70
P「うわっ!真か、脅かすなよ……」

真「びっくりしたのはこっちですよ!もうっ!」

P「はぁ…よくわからんけどスマン…。ん?何か書いてるのか?」

真「ああっ!それは……」

P「……へぇ…いいこと書いてるじゃないか。歌詞か?」

真「いえ、手紙なんですけど……」

P「そりゃ珍しい。古風だと思うけど、俺はそういうの好きだよ」

真「すっ、すす好きですか!?へへっ…まいったなあ……」

P「……?」

22: 2012/08/15(水) 02:02:10.91 ID:Me3QSOC70
P「なるほど、10年後の自分に応援の手紙、ねぇ……」

真「はい。10年後のボクがどうなってるのかちょっとだけ気になって。まあタイムカプセル的なものですね。あ、これも忘れないように……」


─大人になった時 この手紙を開けてみよう─


P「…惜しいなあ。本当に惜しい」

真「何がですか?」

P「これを歌詞にしてしまえば、すごくいい歌が出来るんじゃないかって思ってさ」

真「…また仕事のことですか……」

P「し、仕方ないだろ?なんだかんだで好きなんだよ、今の仕事が!」

25: 2012/08/15(水) 02:04:08.71 ID:Me3QSOC70
真「そこはボクも一緒です!今の仕事が楽しくて楽しくて仕方ありませんから!」

P「でも時々辛くなることもあるよな。そんな時、真はどうする?」

真「そうですねぇ……」

P「ちなみに俺なら……ちょっと夜の街までお楽しみに──」

バキッ

P「ぐあっ!!お、怒るなよ真!ちょっとした冗談じゃないか!」

真「冗談でも言っていいことと悪いことがありますよ!ボクだって乙女なんですからね!?」

P「……漢女(おとめ)の間違いじゃ──いたたた!つねるな!地味に痛い!!」

29: 2012/08/15(水) 02:06:37.34 ID:Me3QSOC70
真「……今この現状が辛いですよ。プロデューサーにひどいことを言われて……」

P「ならリフレッシュしてみようか。さあ、どうするんだ?」

真「…………」スゥ

P「おっ?」

真「プロデューサーのバカ──────ッ!!!!!」

P「おぉう!?」ビリビリ

真「……はいっ!スッキリしました!」

P「ナイスな大声だった…掛け値なしに。今度876プロの愛ちゃんと大声対決をしてみようか」

真「また仕事のことを……あっ!そうか、これだ!」


─もしも辛くなったなら 思いきり叫んじゃえばいい リフレッシュして また進もう─

30: 2012/08/15(水) 02:08:41.82 ID:Me3QSOC70
P「いいフレーズが思いついたみたいだな」

真「はいっ!…でもフレーズって…なんか歌詞みたいじゃありません?」

P「俺は諦めない!諦めないぞ!!いつかこの手紙を菊地真の作詞として曲をつけてやる!」

真「そういうつもりは無いんですけど…。でもどうせだから歌詞っぽくしちゃいます?」

P「ああ、その方が音楽業界人っぽいしな!この少し前にいいフレーズがあるから……これを少し改変してみるとかはどうだ?」

真「あ、それいいですね!でもここは応援の言葉をしっかりしておきたいんです」

P「そうだな……これは未来の真に宛てた手紙なんだろ?」

真「はい!」

P「真の魅力は良くも悪くも一途でまっすぐなところだな」

32: 2012/08/15(水) 02:10:15.53 ID:Me3QSOC70
真「良くも悪くもって…どういう意味ですか?」

P「だから怒るなって!ほら、応援するから迷わずに頑張れ!」

真「あ…今のいいかも!ちょっと借りますね!」


─一途な想いで 真っ直ぐ歩いていれば 応援してくれるよ だから迷わないで─


P「うん、いい感じになったな!」

真「プロデューサーは──」

P「ん?」

真「プロデューサーは、ボクを応援してくれますか?ボクがキャピキャピでフリフリな女の子になれる手伝いを、してくれますか?」

34: 2012/08/15(水) 02:13:14.24 ID:Me3QSOC70
P「……すまん、それは出来ない」

真「えーっ!?そこは手伝うって言ってくれるところじゃないんですか!?」

P「アイドルにも需要ってものがあってだな……」

真「うぅ…ひどいですよプロデューサー……」

P「でもな…真がこの手紙のように、一途に真っ直ぐに行くというのなら、俺はどこまでも応援してやる。迷惑だって言われても手伝ってやるぞ!」

35: 2012/08/15(水) 02:15:50.68 ID:Me3QSOC70
真「プロデューサー……意外に強引ですね」

P「プロデューサーってのはそういう仕事だよ。担当の子が道を踏み外さないように、夢へと続く道に向かう背中をそっと後押ししてやる──」

P「そういう誇らしい仕事だ。俺はこの仕事が好きで仕方ないし、誇りに思う」

真「プロデューサー…ちょっとかっこよく見えますよ!」

P「ははは、惚れてもいいんだぞ?スキャンダルは勘弁だけどな!」

真「それはありません」

P「うぐっ…流石に応えるぞそれは……。おっと、ここも考えないとな」

真「えーっと…それじゃあさっきのプロデューサーのアドバイスに習って、ボクのなりたいものを少しだけ変えてみます!」


─いつも夢見ていた 素晴らしいレディに 気付かないうちになっている貴方へ…─

36: 2012/08/15(水) 02:19:15.07 ID:Me3QSOC70
P「これは……驚くほどいい手紙になるような予感がする」

真「そ、そうですか?もうっ、照れちゃいますよ~!」

P「(口が『ω』になってる…ああもう可愛いなあ!)」

P「うーん…やっぱりちょっと勿体無いな。歌詞に出来れば……」

真「それだとタイムカプセルになりませんよ……」

P「だよなあ……」

真「……あっ!こういうのはどうです?もし10年後にお互い芸能関係の仕事をしてたら、この手紙に曲を付けて歌にするってことで!」

P「おおっ!それはいいアイデアだな!よし、約束だ!」

真「はいっ!」

真「(プロデューサー……さっきも言ったように、ボクがプロデューサーに惚れることは絶対にありません)」

真「(だって……ボクはもう、プロデューサーのことを──)」

38: 2012/08/15(水) 02:22:14.00 ID:Me3QSOC70
真「うわーっ!!あとちょっと何か添えたいのに思いつかなくなってきちゃった!!」

真「うぅ…どうしよう…このままじゃどことなく未完成っぽいし……」

ガチャッ

雪歩「ただいま帰りましたぁ」

真「雪歩おぉぉぉぉっ!!」ズザー

雪歩「ま、真ちゃん!?滑り込んできたりしてどうしたの?」

真「今ね、手紙を書いてるんだ。10年後のボクに宛てた手紙をさ」

雪歩「へぇ~。そういうのってロマンチックで素敵だね」

真「それであとちょっとだけ書いて完成にしたいんだけど、どうも浮かばなくて……雪歩、手伝ってくれる?」

雪歩「うん、私でよかったら手伝うよ!ゆっくり考えるためにお茶淹れてくるね?」

39: 2012/08/15(水) 02:25:59.27 ID:Me3QSOC70
雪歩「お茶ですぅ」

真「ありがとう、雪歩。…うん、やっぱり雪歩のお茶が一番おいしい!」

雪歩「えへへ…ありがとう、真ちゃん♪」

真「さーて、どうしようかなあ……」

雪歩「真ちゃん、10年後がどうなってるかは考えてみた?」

真「うん、いろいろ考えてみたよ。元気にやってるかとか、好きな人はいるかとか」

雪歩「10年後の765プロってどうなるのかな?」

真「どうなるんだろう……その頃にはボクたちも20代後半かあ。もういい大人だね」

雪歩「その頃の私は芸能界にいるのかな?…765プロにいるのかな…?」

真「あっ……」

40: 2012/08/15(水) 02:28:33.76 ID:Me3QSOC70
雪歩「みんなと離れ離れになってないかな……。765プロは…潰れちゃたり……」

真「お、落ち着いてよ雪歩!ネガティブな想像ばっかりしてもしょうがないって!」

雪歩「でも…みんなと離れ離れになったら……真ちゃんと離れ離れになったら……!」

雪歩「ひっく……そんなのイヤですぅ……真ちゃんと一緒に……ぐすっ……」ポロポロ

真「そんなのボクだって嫌だよ!でも10年も経ったら……ひっく……あれ…?」ポロポロ

真「くそっ…ボクまで泣けてきちゃったじゃないかあ…!雪歩ぉ……」ポロポロ

雪歩「真…ちゃん……ぐすっ…わあぁぁぁぁぁん!!」

真「ゆ、ゆき………うわあああぁぁぁん!!」

41: 2012/08/15(水) 02:31:45.15 ID:Me3QSOC70
真「…へへ…思いっきり泣いちゃった……」

雪歩「うん…なんだか恥ずかしいね……えへへ……」

真「……雪歩、約束するよ」

雪歩「…………」

真「これから先、例え離れ離れになったってボクたちの絆は変わらない。どんなに離れたって絶対に連絡を取り合おう!」

雪歩「……うん。離れたって一緒だよ!」

真「みんなとずっと仲良しで…。それから未来のボクにはこの言葉を」


─涙の前に これを書いてた あの頃を思い出してごらん─

42: 2012/08/15(水) 02:34:06.75 ID:Me3QSOC70
雪歩「わぁ…とっても素敵だね!うん、今を思い出せたら……どこまでも頑張れそうな気がする」

真「雪歩もそう思う?ボクも…ううん、みんなそうなんだろうね。今は、今が楽しいから頑張れてるけど、10年後はどうなるってるかわからないし……」

雪歩「きっと大丈夫だよ」

真「えっ?」

雪歩「真ちゃん……私たちは離れても一緒だって、さっき言ったばかりだよぉ」

真「あ…ごめんごめん!そうだったね!…よし、あと一息ってところかな?ここからはボク一人で何とかするよ。ありがとう、雪歩!」

雪歩「うん。何かあったら遠慮なく呼んでね?真ちゃんのためならいつでも駆けつけるから!」

真「ありがとう。それじゃ!」

真「(雪歩……ボクの大切な同性の親友。敬介とはいろいろあって疎遠になっちゃったけど、雪歩とならいつまでも……)」

真「(いつもありがとう、雪歩。ずっと親友でいよう)」

43: 2012/08/15(水) 02:37:22.39 ID:Me3QSOC70
真「…うん、いい感じにまとまってきた!あと少しだけ加えたいんだけど…ここはプロデューサーから教わった手法でいこうかな?」

真「この部分、歌にするならサビの部分になるんだろうな……。ボク自身、ここのフレーズはすごく気に入ってるから」

真「10年後は不安だけど…今までどおりに頑張れば、きっと今までどおりに乗り越えていけるよね?」

真「……うん、ここはこうしよう」


─一途な想いで 真っ直ぐ歩いていれば 今までの様に乗り越えて行けるよ─

44: 2012/08/15(水) 02:40:02.18 ID:Me3QSOC70
真「それから最後にふさわしい締め方…なにかあるかな?」

真「ここまではかっこいい大人、素晴らしいレディで来たから……うん、一緒にしてみよう」


─いつも夢見ていた かっこいいレディに─


真「かっこいいレディか…なれてるのかな?ううん、きっとなってるよね。自分で気付かないだけなんだ」

真「宛先の『貴方』はボク…いや、『自分』かな?大人になる頃には『ボク』を卒業しなきゃ!」


─気付かないうちになっている自分へ…─

45: 2012/08/15(水) 02:43:03.24 ID:Me3QSOC70
真「よーし!これで完成!!10年後のボクがこの手紙を読んで励まされてくれますようにっ!」

P「お、完成したのか?」

真「うわあっ!?だから急に出てこないでくださいよ!!」

P「いや、うまく出来たのかチェックにな」

真「ダメです」

P「ケチだなあ。少しぐらいはいいだろ?」

真「ダメです。一番最初に読むのが10年後のボクじゃないと意味がありませんから!」

46: 2012/08/15(水) 02:44:56.55 ID:Me3QSOC70
P「それもそうか。それじゃあ10年後に期待するとしますか!」

真「あはは!10年後までプロデューサーと一緒にいるかどうかわかりませんよ?」

P「いや、一緒だよ。俺にはわかる。って言うかそうしてみせる!」

真「…プロデューサー?それってどういう……」

P「秘密だよ。今はまだ、な」

47: 2012/08/15(水) 02:48:20.03 ID:Me3QSOC70
────────────

「懐かしいなあ……こんな手紙があったなんて、今の今まですっかり忘れてたよ」

「忘れてたからこそ意味があるんだろ?お前だけじゃない、あの頃のみんなの思い出だよ」

「もう…私もそんなに若くないんだから、涙腺が緩むようなことを言わないでよ!」

「お前はまだ20代だろ……。しかも女優なんて仕事をやってるせいか若々しく見えるしな。俺なんて30代だぞ?今まさに涙腺が……」

「ああもう!ほら、ちーんして、ちーん!」

「ちーん!」

「ホントにしょうがないなあ…。あの頃の私……ううん、『ボク』はこの未来を予想できたのかな?」

「さあ?ただ俺の言った事は当たっただろ?10年後も一緒だって」

「……うん。嬉しかった。あの頃の『ボク』も、ずっと好きだったから」

48: 2012/08/15(水) 02:50:09.95 ID:Me3QSOC70
「あとさ、『ボク』の言ったことも当たってるんだよ?」

「何が?」

「たとえ事務所のみんなとバラバラになったとしても、どこに居ても絆は繋がってるって」

「何だ、当たり前のことじゃないか。この空は繋がってるんだからな!」

「ふふっ、ちょっとクサいよ」

「なんだとぉ?」

「でもいい言葉。世界中の手をとり……だね」

「ああ、そうだな……」

49: 2012/08/15(水) 02:51:33.56 ID:Me3QSOC70
「今度の舞台、春香と貴音も共演するんだろ?二人ともどうだった?」

「春香はまたひとつ雰囲気が優しくなったね。いい意味で変わってる。貴音は……」

「変わらない、だろ?」

「……本当に何なんだろうね。30近くになってくると羨ましくてしょうがないや」

「昔からそういうところがあったからな……」

「あ、今度一緒に飲みに行こうってさ」

「そうか…楽しみだけど心配だな、いろんな意味で」

「あははは……」

「でもさ、お前も素敵なレディになったよな」

「…お世辞を言っても何も出ないよ?」

「そんなつもりじゃないさ」

50: 2012/08/15(水) 02:52:32.13 ID:Me3QSOC70
「……そうだ、久しぶりに歌の仕事だ。CD出すぞ!」

「えっ?こんなにいきなり?CDの収録とミュージカルは発生方法が違ってくるから、ちょっと慣れておかないと……。そもそも出す曲なんてあったっけ?」

「メロディはもう出来上がってる。歌詞も完成してるぞ、お前の作詞でな」

「歌詞なんて作った覚えは……あっ!!」

「…思い出してくれたか?俺との約束」

「……うん」

「それじゃあ曲名を決めてしまおうか。どんな曲名にする?」

「そうだなあ……励ましの手紙だから……『チアリングレター』で!」

「うん、いい名前だ。それじゃあ収録に向けて練習を始めようか!」

「へへっ!久しぶりのプロデュース、よろしくお願いします!プロデューサー!『ボク』、ジャンジャンバリバリ頑張っちゃいますからね!!」




おわり

51: 2012/08/15(水) 02:54:41.20
乙だ

引用元: 真「手紙を書いてみよう」