1: 2012/04/17(火) 15:47:19.05 ID:UOro8Qc60
側近「はい、そのような噂を耳にしました」

軍師「……それで、私に何をして欲しいんだい?」

側近「我が軍は常に苦戦を強いらております故」

軍師「私が指示した通りに戦えば勝てるはずなんだが」

側近「軍師様の策はすばらしいものですがそれでも後手に回らざるを得ないことが多々あります」

軍師「ふむ。つまり判断力を上げ、先手をうつ策を出せということか」

側近「そういうことになります。さすが軍師様は話が早い」

軍師「断る」

4: 2012/04/17(火) 15:50:43.03 ID:UOro8Qc60
側近「何故ですか」

軍師「私の策に問題はない。何が悲しくてそんなリスクを背負わなければいけないんだい?」

側近「しかし、現在の我が軍の戦況は芳しくないです」

軍師「知っている。しかしここからの策は既に伝えてあるだろう?」

側近「ですが……」

兵士「報告いたします!」

軍師「噂をすればなんとやらだ。準備の方はどうなっている?」

兵士「はい、そちらは滞りなく。予定より早く済みそうですが……」

軍師「……どうした?」

兵士「裏を突かれました。わずかな兵力ですが準備をしている方向へと向かっているようです」

軍師「……まずいね。アレを見られると本隊を叩く時に虚をつけなくなる」

7: 2012/04/17(火) 15:54:38.46 ID:UOro8Qc60
兵士「どうやらこちらの本陣へと向かおうとしているらしいのですが……」

軍師「ふむ……ついてないね。よりによってそちらを通ってくるなんて」

軍師「……少数だといったね? 力づくでそらすなりつぶすなりは」

兵士「詳細な位置の特定ができません。包囲網を張る人員も……」

軍師「こちらの本陣へと攻め入るつもり、か……アレを見たら攻めるどころではなくなるだろうが」

軍師「それで帰還され、策がばれれば奇襲効果もおちてしまう……」

軍師「まずい状況かもしれな……うっ……?」

兵士「どうなされたのですか、軍師様?」

軍師「い、いやなんでもない……」モジモジ

9: 2012/04/17(火) 16:01:19.85 ID:UOro8Qc60
軍師「……そ、側近。キミはどう思う……?」モジモジ

側近「そうですね。やはり無理に叩くのは得策ではないかと」

軍師「そうだ、よ、な……どうしよう……」モジモジ

側近「軍師様、焦ってもいい策は浮かびません。いったん腰を据えて考えてみましょう」

軍師「う、いや私は少し外の空気を吸いたいんだが……」モジモジ

側近「そうですか?ならば私もお供いたします」

軍師「な、なんでそうなるんだ!? ちょ、ちょっとでいいから一人にしてくれないか!」

側近「いえ、億にひとつでも暗殺者などの可能性がある以上私は離れません」

12: 2012/04/17(火) 16:08:34.86 ID:UOro8Qc60
軍師「くっ……わかった。お、お手洗いに行きたいんだ。どいてくれ!」モジモジ

側近「なりません。今こそ噂の真偽を確かめる時!」

軍師「そんなことを言ってる場合か!? 私の人としての尊厳が貶められようとしているんだよ!?」モジモジ

側近「軍師様! 今は一刻の猶予もないのですよ!」

軍師「さっきと言っていることが逆じゃないか! まさかキミ……!」モジモジ

側近「はい、先ほどの飲み物にお薬を混ぜさせていただきました」

軍師「これほど身近に裏切り者がいたとはね……!」モジモジ

側近「私は皆のことを考えたまでですよ」

軍師「くっ……もういい!おしとおる!」

17: 2012/04/17(火) 16:15:58.83 ID:UOro8Qc60
側近「なりません」ガシッ

軍師「は、はなせ! はなしてくれ! やだ、限界なんだ! トイレ! いかせて! ねぇ!」ジタバタ

側近「まずはこの案件を片づけることです」

軍師「わ、わかった……そう、そうだ! 前回大岩を使ったな!?」 モジモジ

側近「はい、使いましたね。軍師様の策が見事に決まりました」

軍師「それは敵軍も知っているだろう、だからハリボテの大岩を用意してやるんだ」モジモジ

軍師「敵がアレを見つける前に、そちらを見つけるように!」モジモジ

側近「なるほど、あえて偽の策を掴ませて帰すのですね? しかし偽の大岩の準備の時間は……」

軍師「相手がひく時間と、大岩対策を練る時間がある。本来の策の人員をすべて回せ! 全員だ!」モジモジ

側近「かしこまりました。兵士、いそぐぞ」パッ

兵士「……あ、はい」

軍師「トイレ……!」ダッ

18: 2012/04/17(火) 16:22:04.39 ID:UOro8Qc60
軍師「……ふぅ、一難去ったか」

側近「見事な判断でした。どうやらハリボテの製造現場を見つかったらしいですが」

側近「『大岩を転がすふりをする』という策だと勘違いしたらしいですね」

側近「水を貯め、一気に押し流す。本来の策のほうへ気付かず突っ込んできた敵本隊には大きなダメージをあたえました」

軍師「……できれば今は貯めた水があふれるなんて話は聞きたくもないんだけどね」

側近「軍師様自身がたてた策でございますのに。見事成功いたしましたよ?」

軍師「偶然うまくいっただけだ。危うくバレるところだったしなんの確証も持てないまま実行した」

軍師「……それに、側近。キミは自分のしたことがわかっているのか?」

側近「軍師様の策を見事に実行してみせたので勲章でもいただけるのかと」

軍師「なかなかいい度胸をしているよね、キミは。前線に一人で立ちたいのかい?」

側近「軍師様はそのような策はたてませんよ」

20: 2012/04/17(火) 16:31:46.79 ID:UOro8Qc60
軍師「……まぁ、いい。我慢していたからかはおいておくとしても今回はギリギリの思いつきがうまくいった」

軍師「とりあえず不問にはしておこう……二度とこんな真似はしないでくれよ?」

側近「もちろんでございます。私は軍師様のことを最上位として考えております故」

軍師「最上位に考えていてどうして私に薬を盛るなんていう発想がでてくるんだ」

側近「軍師様の策は最上にございます。ですが思慮深き故に後手に回ることが多く」

側近「そのたびに犠牲になるものへ胸を痛めていらっしゃるのも存じ上げています」

軍師「だから、判断力があがるらしいという方法を試したと?」

側近「その通りでございます。結果、普段では考えられぬほどの速度でのご決断をなさりました」

軍師「私の人生の最大の汚点が生まれる寸前だったがね」

21: 2012/04/17(火) 16:40:15.64 ID:UOro8Qc60
軍師「それで……頼みがあるという話だったね?いったいなんだい」

側近「率直に申し上げます。これからも御手洗いを我慢した状態でいてくださりませんでしょうか?」

軍師「……あぁ、やはりそうか。それに対してのメリットは?」

側近「軍師様自身も感じたのではないでしょうか?自分の限界まで追い詰められた状況で」

側近「普段以上に脳が、身体が動くのを。これは兵士達にまれにあることなのです」

軍師「まぁ確かに、普段では考えられないほどの速度で策がいくつか浮かんだが……」

側近「人間は危機に追い込まれますとそれを回避するため普段以上の性能を発揮できるのです」

側近「ですが軍師様を命の危機にさらすなど言語道断故」

軍師「だから利尿剤なんてものを盛り、危機を煽ったと?」

側近「その通りでございます」

23: 2012/04/17(火) 16:46:30.02 ID:UOro8Qc60
軍師「二度とこんな真似はするな……と言った時にもちろん、といったよな?」

側近「軍師様の同意なしでこのような真似はいたしません」

軍師「……つまり、私が許可すればいつでも薬を盛る気ではいるわけだな?」

側近「その通りでございます。私は軍師様と民達にとって最もよい方法を考えています故」

軍師「私と……民?」

側近「いえ、こちらの話にございます」

軍師「……まぁいい。確かに今回それで助かったのは事実だ」

軍師「本来の策がばれていたらここまで相手へ痛手を負わせることはできなかっただろう」

軍師「もしものときは、責任とってくれるんだろうね……?」

側近「望むところにございます」

29: 2012/04/17(火) 16:57:11.49 ID:UOro8Qc60
軍師「……ふむ、今回は特に問題なく勝てたね」

側近「そのようですね。軍師様の策は最上です故」

軍師「そんな残念そうな顔で言われても困るんだが……」

側近「いえ。少し嫌な予感がいたしまして……」

軍師「ほう?相手の敗走すら策のうちだと思うのかい?」

側近「そこまでではないんですが、そうですね……うまくいきすぎているような」

31: 2012/04/17(火) 17:03:19.91 ID:UOro8Qc60
軍師「私に思慮深いだなんて言ったが、キミこそ考えすぎじゃないかい?」

側近「そうですね……すこしですぎました」

軍師「いや、構わないよ。キミなりに思うこともあったのだろうし案外勘というのはアテになるものさ」

側近「光栄です」

兵士「失礼したします! 本隊が!」

軍師「……どうした? 今回の戦いは我々の勝利だろう?」

兵士「別の兵団に襲われました……現在殿を隊長が務めておりますが長くは持ちません!どうか撤退を!」

32: 2012/04/17(火) 17:12:39.62 ID:UOro8Qc60
軍師「なんだと……!? タイミングがよすぎる、あいつら野盗と手を組んでいたのか……?」

兵士「油断した隙を狙われました……まだ相手の策があるかもしれません、どうか撤退を」

軍師「くっ……ひくしかないのか……?」

側近「軍師様」

軍師「……すまない。今は逃げよ……うっ……?」

側近「いかがなされたのですか? 軍師様」

軍師「側近……キミは……!」モジモジ

33: 2012/04/17(火) 17:17:00.66 ID:UOro8Qc60
側近「あの日、返事は言葉ではいただけませんでしたが許可はいただいたと解釈いたしました故」

軍師「だからといって『嫌な予感』だけで上司に薬を盛るとは、まったく殊勝な部下をもったものだよ……!」モジモジ

兵士「薬……!? 側近殿、まさか裏切ったのですか!?」

軍師「だい、じょうぶだ兵士……少し頭をすっきりさせる薬だよ……」モジモジ

兵士「大丈夫なのですか?なにやら顔色も……」

軍師「心配しなくても平気さ……ふぅ、とりあえず状況を聞かせてくれ」

34: 2012/04/17(火) 17:24:48.75 ID:UOro8Qc60
兵士「は、はい……まず、敵の戦力は100ほど。不意を突かれたためこちらの負傷者は多数です」

軍師「っふ、なる、ほど……数は多くない、か……」モジモジ

兵士「はい、ですが手練が何名かいるため撃退は困難です」

軍師「ふ、む……殿は隊長だったな? どの程度なら持ちこたえてくれそうだ?」モジモジ

兵士「負傷兵士たちを先に戻し、一握りの兵のみをつれておりました。長くて半刻ほどかと」

軍師「っは、あ……あぁ、だいたい理解した……大丈夫だ。私がなんとかする」モジモジ

兵士(なんか工口い)

35: 2012/04/17(火) 17:31:24.19 ID:UOro8Qc60
軍師「まず、こちらの兵力を確認しよう」モジモジ

兵士「負傷者多数。動けるのは実質60ほどかと」

軍師「ふむ、60……か。思っていたよりは、マシ、みたい、だね」モジモジ

兵士「しかしまともにうってでては全滅は必至です」

軍師「あぁ、わかって、るさ……!っく、あ……」モジモジ

軍師「側近、前の策のハリボテはまだ残っているかい?」モジモジ

側近「えぇ、勿論でございます。これをぶつけるのですか?」

軍師「いや、違う……ここからは、私のターンだ」モジモジ

36: 2012/04/17(火) 17:39:30.62 ID:UOro8Qc60
敵兵「はははは!どうしたどうした!千人隊長様もその程度か!」

隊長「ッチ、調子に乗りやがって……!まずいな、やっぱり長くはもたねぇか」

ジャーンジャーン

敵兵「なんだぁ?この音は……?」

隊長「援軍!?まさか、うちのにそんな余力が……」

軍師「はーっは……っは、はあ!」モジモジ

軍師「残、念だった、な敵兵団よ!貴様たちはわ、れわれの策、にかかったのだ!」モジモジ

敵兵「……なんだありゃ? 女?」

38: 2012/04/17(火) 17:46:03.85 ID:UOro8Qc60
軍師「貴様、らは……っん、ここまで、誘い込まれ、たんだ」モジモジ

敵兵「何!? 周りに旗が次々と……!」

軍師「どう、する? 投降、す、るなら……命は助けて、やるぞ?」モジモジ

敵兵「っち……ハッタリだ!ぶっ頃してやる!」

軍師「っ……!」



側近「近寄るな蛆虫が」

敵兵「っぐあああああ!? 手が、手が!?」

敵長「あ、あわてるな! やつらに兵力なんぞ残っていない!」

39: 2012/04/17(火) 17:51:57.04 ID:UOro8Qc60
軍師「交渉は、けつれ、つだな……っは。撃て!」

敵兵B「うわあああああ!矢が!」

敵兵C「た、たいちょー!逃げましょう、これはまずいです!」

敵兵D「すごい人数で撃ってきてますよぉ、これ!」

敵長「っぐ、まさかこんな……ひけ!ひくんだ!」

ワーワーワー……

40: 2012/04/17(火) 17:55:04.27 ID:UOro8Qc60
軍師「うまく、いった、な……」モジモジ

隊長「軍師殿か。助かった……だが、いったいどこにこれだけの兵力が?」

軍師「へいりょ、くなんて、残ってないさ……」モジモジ

隊長「ならばどこからあんな量の矢を撃ったんだ?明らかに残存兵力以上に思えたが」

側近「そこからは私が御説明いたしましょう。軍師様は『もうひとつの用事』をお済ませになってきてください」

軍師「す、まない……限界ギリギリだったんだ」モジモジモジモジ

側近「いえ。アフターサービスまで完備してこその側近です故」

41: 2012/04/17(火) 17:59:05.76 ID:UOro8Qc60
隊長「……で、どうやってたんだ?」

側近「簡単なこと。ハリボテですよ」

隊長「兵の影はそうだとしてもあの矢はなんだ?明らかに……」

側近「矢もハリボテです。すべてではありませんが……」

隊長「……何?」

側近「矢自体は本物ですが、致命傷を与えるほどの威力はございません」

46: 2012/04/17(火) 18:41:59.64 ID:UOro8Qc60
隊長「つまりどういうことだ?」

側近「まとめて複数の矢を射ったようにみせただけです」

側近「投石機と似たような理屈ですが……見せかけだけでも矢の方がプレッシャーをあたえられますからね」

隊長「大したもんだな。お前が考えたのか?」

側近「いえ。軍師様が思いつきなられたのです」

隊長「へぇ……さすがだねぇ。あのお嬢ちゃん」

側近「……」

隊長「はいはい、軍師殿ね。いいじゃねーか昔はよく面倒みたんだからよ」

47: 2012/04/17(火) 18:45:57.87 ID:UOro8Qc60
軍師「ふぅ……すまなかったね。こちらもちょっと後始末があったんだ」

側近「おかえりなさいませ軍師様」

隊長「おかげで助かったぜ。しかしなんでこんなとこまで出てきたんだ?」

軍師「なに、ただの兵が囲んだと宣言しただけでは説得力が無いだろうと思ってね」

軍師「だから、私が来たんだ。異常な状況は判断を狂わせる」

軍師「自分で言うのもなんだが、私みたいなのが前線たつなんてありえないだろう?」

隊長「はは、ちげぇねぇ。完全に詰んだ状況だから高みの見物してるもんだと思っちまうぜ」

49: 2012/04/17(火) 18:54:03.71 ID:UOro8Qc60
軍師「そんなわけで、今回はどうにかうまくいったが……やはりアレは避けたいな、側近」

側近「さようでございますか……かしこまりました。ではもう二度といたしません」

隊長「アレ?」

軍師「なに、こちらの話さ」

隊長「そうかい。そういえばさっきやたらもじもじしてたが……どうしたんだ? しょんべんでも我慢してたのか」

軍師「っ……そちらはノーコメントで頼むよ」

隊長「そうか。まぁいいさ……今夜は祝杯だ!」

軍師「あぁ、そうだな……今回は怪我人も多かったがどうにか勝利できた!隊長が持ちこたえてくれたおかげだ」

隊長「気にするな、仕事だしな……よし、帰るぞ!」

51: 2012/04/17(火) 19:01:50.43 ID:UOro8Qc60
~~~~☆数ヵ月後☆~~~~

軍師「ふむ……今回は厳しい戦いになりそうだ」

軍師「いざという時、また決断力が必要になるかもしれないな……」

軍師「……いやいや、私は何を考えているんだ!? 自ら恥をかこうだなんて」

軍師「でも……ギリギリの状態と、勝ちの余韻……」

軍師「あのおしっこ、気持ち……よかったなぁ……」

軍師「ッハ!? いやいやいや! いけないいけない、策を練るのに集中しないと」

53: 2012/04/17(火) 19:09:47.04 ID:UOro8Qc60
軍師「うぅん……戦況は芳しくないみたいだね」

側近「策がうまくいってないようですね……」

軍師「すまない。私の実力が足りないせいで皆に負担をかけてしまって」

側近「いえ。軍師様が悪いわけではないのです……しかし、どう攻めたものか」

軍師「っん……そうだね……策ばかりにとらわれていてはいけないかもしれない」

側近「といいますと?」

軍師「私の策に問題はない、なんて前はいったが……ね。物理的な干渉をするのは君たちだから」

軍師「私が机の上でたてた作戦だけじゃあうまくいかないこともたくさんあったじゃないか」

側近「相手も生きています故……」

54: 2012/04/17(火) 19:17:38.23 ID:UOro8Qc60
軍師「私の策は相手が最高の攻め方をしてくる前提で考えている」

軍師「常に最悪を想定し……といっても、それ以上で攻められて危うかったこともあったんだけれど」

軍師「まぁ……つまり、私の策には柔軟性がない」

側近「そのようなことは……」

軍師「いや、いいんだ言わせてくれ。……だから、キミは多少強引にでも私の判断力を上げようとしてくれたんじゃないのかい?」

側近「……はて。私は軍師様が我慢している姿を一目見てみたかっただけでございますよ」

軍師「ふふっ……素直じゃないな、キミは」

側近「申し訳ございません、生まれついての性質なので」

55: 2012/04/17(火) 19:22:11.17 ID:UOro8Qc60
軍師「ふぅ……だから、ここからが本番だ」

軍師「キミは。……キミは、私がどんな私になろうと離れないでいてくれるかい?」

側近「軍師様がどのようなことをお考えになり、どのようなことをなさろうと私は軍師様の味方です」

側近「如何様な敵が相手でも、我が剣のさびにしてくれましょう」

軍師「……ありがとう。その言葉が聞けて嬉しい」

軍師「さて、側近……『お茶』をもらってもいいかな。頭をスッキリさせたいんだ」

側近「……かしこまりました」

56: 2012/04/17(火) 19:30:27.79 ID:UOro8Qc60
軍師「……さぁ、策を練ろう。現在の戦況は互角」

軍師「……待ち伏せをしかけるため、いったんひくか?」

軍師「いや、現状で互角なら待ち伏せのための分の兵をひかせた時点で均衡が崩れかねない」

軍師「ならばどうするか……増援は望めない。しかしこのままでは千日手……」

軍師「いや食料の問題を考えればこちらのほうが不利、か?」

軍師「相手にプレッシャーを与えるには……っ」

軍師(きた……!)

側近「……」

57: 2012/04/17(火) 19:41:15.11 ID:UOro8Qc60
軍師「っん……側近……キミに、たのみたい、こと、があるんだ……」モジモジ

側近「お任せください」

軍師「……前線に、ひとりで、たつ気はあるかい?」モジモジ

側近「すべては御心のままに」

軍師「すまない、キミにしか……頼めない」モジモジ

側近「ご安心を。私は氏にませんよ……私が守りますから」

軍師「ははっ、ただの、自衛じゃ、ないか……」モジモジ

58: 2012/04/17(火) 19:46:50.85 ID:UOro8Qc60
軍師「前線までは、私も、ついていく……」モジモジ

側近「何故ですか? 軍師様に万が一のことがあれば……」

軍師「ふふっ、キミは頼もしいなぁ……だいじょう、ぶさ。それに、策にラグがあっては」モジモジ

側近「ですが……」

軍師「これは、命令だ。キミも、他の皆も助け、相手を倒す策のための」

軍師「安心しろ。私は氏なない……キミが、守るんだろう?」

側近「……かしこまりました」

59: 2012/04/17(火) 19:56:42.18 ID:UOro8Qc60
軍師「みんな!私が来たからにはこの戦線、勝つぞ!」

兵団「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

軍師(っ……身体に響く。また波が……!)モジモジ

軍師「……っは、ではっ……策、なんだが」モジモジ


軍師「………………………」


兵士「そ、そんな!? 無茶です! 側近様が……」

側近「心配いらない。私の命は軍師様のもの……勝手に氏んだりはしない」

兵士「ですが……」

軍師「……すまない。最も、犠牲、の……っく、少ない方法を考え、たんだ、が」モジモジ

60: 2012/04/17(火) 20:01:44.61 ID:UOro8Qc60
隊長「俺もついていこう」

側近「……この戦線の維持が絶対条件ですよ?」

隊長「うちの部下はそんなやわな鍛え方をしてないからな! 安心しろ」

隊長「それに……貴様は氏なないんだろう? なら俺も氏なないさ」

側近「……かしこまりました」

軍師「っす……まない。隊長……私には、こういう、策しか……」モジモジ

隊長「ハハハ!気にするな!作戦の成功率をあげてやろうってだけだ」

隊長「だからそうモジモジするんじゃない、どーんと胸を張れ!どーんと!」バシバシ

軍師(からだ、たたかれると……うぅ、もれそう……!)

61: 2012/04/17(火) 20:09:53.33 ID:UOro8Qc60
側近「では、参りましょう」

隊長「この戦線の維持は任せたぞ、兵長」

兵長「お任せください!……我々は時が来るまで待機でよろしいんですね? 軍師様」

軍師「っ……っはぁ……!あ、あぁ。ここが正念場だ……」モジモジ

兵長「よし、一歩もひくな!だが我々から目を離させるな!」

軍師「この、場の……維持。私に、指揮させて、くれないか……?」モジモジ

兵長「……しかし、軍師殿は体調が悪そうにお見受けいたしますが」

軍師「これ、ぐらい……なん、とも……ないさ」モジモジ

62: 2012/04/17(火) 20:18:31.71 ID:UOro8Qc60
軍師(どうにか、維持はできそうだ……できる限り側近や隊長へと目がいかないように、気づかれないように)

軍師(こちらへ注意を向けさせつつ、相手をひかせない程度にとどめる)

軍師(追撃をさせないように、追撃をうけないように……!)



兵長「す……すごい……相手の3手先を読んだような策を……」

軍師「向こうも、指揮、を……っん……している、人間が、いる……」モジモジ

軍師「それを、考えながら、そ、れに……対抗する手をうつ」モジモジ

軍師「わた、し……なら、できる……んっ……の、さ」モジモジ

軍師「それ、に……突破、する、必要は……ないからね」モジモジ

64: 2012/04/17(火) 20:23:21.40 ID:UOro8Qc60
ヒュ……パァン

軍師「……あい、ずだ」モジモジ

軍師「全軍退却!」


敵策「……ん?相手がひいていく?」

敵軍「どういうことでしょう。罠でしょうか」

敵策「ふむ……ひいたと見せかけて待ち伏せの可能性もあるな」

敵軍「では見逃すのですか?」

敵策「ふん、まさかだろう? 少し不完全だが、合図を出せ!」

敵軍「かしこまりました」

66: 2012/04/17(火) 20:32:46.86 ID:UOro8Qc60
軍師(……のろし?まさか……)

兵士「報告します! 敵兵団に回り込まれています!」

兵長「なんだと!? 何故気付かなかった!」

兵士「どうやら長い時間をかけて裏道を少しずつ通っていったようで……」

軍師「っく……道理で、かん、たんに……維持、できた、わけだね……」モジモジ

軍師「むこう、も……っく、ぁ……攻める、気が……なかったなんて」モジモジ

軍師「でも……好都合だ」モジモジ


敵策「ふん、どうやら戸惑っているようだな……追撃だ! いくぞ!」

隊長「させんよ」

67: 2012/04/17(火) 20:46:16.01 ID:UOro8Qc60
敵策「何者だ!」

側近「名乗るほどのものではございませんが」

敵軍「……まさか、たった2人でこの軍勢をお相手する気ですか?」

敵策「我々を仕留めれば勝てるとでも?当然、護衛がいるとわかってきているんだな?」

隊長「ハッハッハ!確かにこの人数相手には勝てねぇだろうな!」

側近「でも……この樽、なんだと思います?」

敵軍「樽……?しかし中身が入っているようには……このにおいは!?」

側近「お気づきになられましたか? そう、火薬です」

68: 2012/04/17(火) 20:53:34.31 ID:UOro8Qc60
敵策「それがどうした! 周りに撒いているから共に氏にたくなくば降伏しろとでも?」

側近「半分正解ですね。降伏する必要はありません」

敵軍「いったい何を考えて……」

ドォン!

敵軍「っな……!」

隊長「さて、今火薬に火をつけた」

敵策「ッハ!貴様らの逃げ場がなくなっただけよ!」

側近「そうですね、本来は我々が外から火をつけ動揺を誘うべきだったんでしょうけれど」

敵軍「そこまでわかっていながら内側から着火するとは……自信ですか? それともそこまで策?」

69: 2012/04/17(火) 21:00:08.49 ID:UOro8Qc60
側近「どちらでもございませんよ」

側近「ただ……我が命は軍師様のために」

敵軍「チッ……狂人か! まずいですよ策さん!」

敵策「おう、さっさとぶっ潰すぞ! 野郎ども!」

隊長「させるかよっ!」ギィン

敵策「貴様……なかなかの腕だな」

隊長「ッハ、おほめにあずかり光栄だな!」

側近「我々にばかりかまっていると問題があると思いますがね」

敵軍「……?いったいどういう……」

70: 2012/04/17(火) 21:07:57.54 ID:UOro8Qc60
ウワアアアアアアアア……

敵軍「しまった、火で分断されて本隊が!?」

隊長「作戦部長達が急に炎に包まれても冷静に戦えるぐらいには鍛えておかねぇとな!」

敵策「それぐらい我らの軍ならば可能よ!」

側近「策も無しにつっこんで倒せるほど、我らが軍と軍師様はやわではありませんがね!」

隊長「我々の相手をしながら炎を突破してみせるか!?」

敵策「……ックハハハハ!面白い、貴様らをさっさと倒して本隊と合流し」

敵策「貴様らの仲間のやられる様をみせつけてやろう!」

71: 2012/04/17(火) 21:14:20.97 ID:UOro8Qc60
軍師(向こうはうまくやった……のか?)

軍師(おそらくこれで作戦部との連絡は立ち切ったはず)

軍師(彼らには火を放ったらすぐに戻ってくるよう言ってあるが……すぐには無理だろう)

軍師(後は……この状況をどうするかだ)


兵長「いかがいたしましょう、軍師様」

軍師「そ、うだな……ぁっ……たん、じゅんなちから……は」モジモジ

軍師「あって、も……向こうは、策が、ない……」モジモジ

軍師「わ、たし、にまか、せろ」モジモジ

兵長(なんか工口い)

78: 2012/04/17(火) 21:42:22.89 ID:UOro8Qc60
軍師「っ……っふぅ、いくぞ!」

軍師「完全に包囲されたわけではない!だから……」

兵長「強行突破しますか?」

軍師「いや。逆だ! 火の上がったほうへ突っ込め!」

兵長「あちらはもともと我々の相手をしていた側、最も壁が厚いはずでは?」

軍師「『だから』だ。あちらはこちらを逃がすまいと包囲網を完成させるために動いている」

軍師「つい今まで戦っていたのよりも、壁は薄い」

軍師「さらにいうなら、作戦本部との連絡がたち切れて呆然としているものもいるはずだ」

軍師「……側近と、隊長を拾うこともできよう。いくぞ!」


兵長(かっこいい……ずっと、足元がモジモジしていることを除けば……!)

79: 2012/04/17(火) 21:49:40.85 ID:UOro8Qc60
軍師(っく……どうにか突破はできそうだが)

軍師(きついな。消耗も、私のがまんも……!)

軍師(だがこの状況でおもらしなんてしようものなら、私は……)

兵長「軍師様?軍師様!」

軍師「っん……す、すまない! どうした?」

兵長「間もなく突破できそうです、ここからの策は!」

軍師「追撃のために追ってきているものたちもにここまでくれば理解するはずだ」

軍師「自分の軍の作戦本部が火に包まれているのを……あちらの火はまだしばらく消えないはず」

軍師「折り返して、迎え討て! 相手の士気は下がっている! 迎撃戦は得意だろう!」

80: 2012/04/17(火) 21:56:59.87 ID:UOro8Qc60
軍師(さて……うまく相手の兵力を半分以上削げた)

軍師(……側近達が帰ってこないのが心配だが、順調なはずだ)

軍師(火もそろそろ弱まるころか……?)


敵策「おのれぇい!」

軍師「!?」

敵策「火とこやつらに手間取っている間に……ずいぶんと勝手をしてくれたようだな」

軍師(まずい……! まだ火は消えてないはずなのになぜ? ……『こやつら』?)

軍師「側近! 隊長!?」

敵軍「南蛮渡来の火消し粉がなかったら危ういところでしたがね」

83: 2012/04/17(火) 22:04:40.06 ID:UOro8Qc60
敵策「安心せい。生きておるよ……氏ねぬよう轡を噛ませてある」

敵策「こやつの主をこやつの前で蹂躙して見せると言ったのでな」


軍師(くっ……火の中に取り残されていたものたちがここまで多いとは)

軍師(彼らが……足止めしてくれたんだろうな。なら私の取るべき策は)

軍師「人質としての価値ならばないと思ったほうがいい。彼らは捨て駒だ」

敵軍「その程度のこと、わかっていますよ……おや? ずいぶんかわいらしいお嬢さんだ」

軍師「馬鹿にしてくれるな。私こそがキミたちまぬけを策にかけた本人なんだよ?」

敵軍「ほう……ならばあなたがこの者たちの主ということですか」

敵軍「楽しみが、増えましたね」ニタァ……

85: 2012/04/17(火) 22:13:14.92 ID:UOro8Qc60
軍師「っ……!」

軍師(きもちわるい……! こんな、私を『女』として見る目は……久しく受けていなかったのに)

軍師(あ、まずい……緊張の糸が……)モジ……

敵軍「おや、どうなさいました? 怖くて泣いてしまいそうなのですか?」

軍師(誰かを呼んでも来る前に私は浚われる、か……?ヘタに動けない)モジモジ

軍師(相手も10人ほど。誰かに気付いてもらえれば十分に勝機はある)モジモジ

軍師(だがその程度相手も理解しているはずだ……いつまでも見つめあっているわけにはいかないだろう)モジモジ

敵軍「おやおや、見られて照れているのですか?初心ですねぇ」

敵策「まぁ長居するつもりはない、お前を浚えばこの軍は指揮者がおらんで崩れるであろう」

軍師(私が、生き延びるためには……いや、皆を守るためには……!)

86: 2012/04/17(火) 22:18:44.95 ID:UOro8Qc60
軍師「それ、は……どう、かな?」モジモジ

敵軍「おや、声まで震えていますよ? 安心なさい、優しく……」

軍師「今だッ!」

敵策「ッ!?」

敵軍「ッチ、フェイクか!」

ッタッタッタッタッタ……

軍師(まずは、誰かに連絡をせねば! 私ひとりでは勝ちの目が無い)

軍師(二人は……殺されない。殺さない、はずだ……)

軍師(私は捕まっちゃだめだ。二人を、軍を、みんなを助けないと……)ガシッ

軍師「あっ……!」

89: 2012/04/17(火) 22:24:26.39 ID:UOro8Qc60
敵軍「おやおや、どこへ行く気だったんですか?」ニタァ……

軍師(そんな……追いつかれた、なんて……! 私は、二人は……)

軍師「あ……あぁ……いや……」

敵策「なぁに、これは条理よ。強きが弱きを食らうのはな」

軍師「う……あ、あぁぁぁ……み、みないで……」ジワ……

敵軍「おやおや? そんなに怖かったですか? まさか漏らしてしまうだなんて……」

軍師「いやああぁぁぁ……うぅぅぅ……」ジョロロロロロロ

敵軍「悪い子には『おしおき』しないといけませんねぇ?」

軍師「いや、いやだ……やめて……」

93: 2012/04/17(火) 22:34:01.36 ID:UOro8Qc60
敵A「お、おい暴れるな!っぐあ!」

敵B「貴様、何を……ぐおっ!」

側近「蛆虫ども……何をした!」

敵軍「拘束を引きちぎり、轡を噛み切った……だと!?」

側近「何をしたと言っているんだ!」

敵策「ッフン。この世の条理を教えてやろうというだけだ。安心せい貴様は特等席で……」ゴキッ

側近「貴様か。貴様が軍師様を汚したのか。氏ね、氏ね、氏ね!氏んで償え!」

敵策「ッ、ぐおお!?腕が……貴様……!」

側近「貴様の手が軍師様を汚したのか!貴様の目が軍師様を汚したのか!貴様の鼻が、耳が、口が、血が!」

96: 2012/04/17(火) 22:39:30.66 ID:UOro8Qc60
軍師「ぁ……側近……?」

軍師(あんなに怒っている側近は初めてみた……なんだか、怖い……)

敵軍「おっと、そこらへんにしておいてもらいましょうか」グイッ

側近「貴様も軍師様を汚したな」

敵軍「おーこわいこわい。でもそれ以上近づいたら大切な軍師様が大変なことになっちゃいますよ?」ペチペチ

軍師「っ……側近。私に構わずやりなさい」

側近「貴様が、貴様も、貴様こそが……」ブツブツ

軍師「軍全体の指揮ならあなたもとれるはず。こやつらさえうちとれば士気も……」

敵軍「てめぇは黙ってろやアバズレがぁ!」ビリィッ

軍師「きゃああ!」

99: 2012/04/17(火) 22:44:41.04 ID:UOro8Qc60
側近「…………」

敵軍「あぁ、それでいい……ここはひかせてもらうぜ。そのまま地に頭をつけてろ」

軍師「側近、私はいいから、こいつ、を……」

敵軍「だからおもらしちゃんは黙ってろつってんだろォが!? まだ剥かれたりねぇのか!」

軍師「っ……!側近……」




隊長「側近じゃなくてすまないな」

敵軍「えっ」ガッ

102: 2012/04/17(火) 22:49:27.71 ID:UOro8Qc60
隊長「まぁ、側近が兵士全員ぶっ飛ばしたおかげで俺がフリーになってだな」

隊長「拘束されてても頭突きぐらいならできるってことよ!ハッハッハ!」

側近「ありがとうございます隊長さん。そこをどいてくださいそいつの目を覚まさせます」

隊長「だめだね。お前何する気だ」

側近「せいぜいこの世に存在したことを後悔させる程度です。どいてください」

隊長「お前の目、正気とは思えないぞ?だめだ」

側近「おしとおります」

隊長「だめだ」


軍師「……ありが、とう……二人とも」

106: 2012/04/17(火) 22:53:51.57 ID:UOro8Qc60
隊長「あ?どうした嬢ちゃん殊勝だな」

側近「もったいないお言葉でございます……ご安心を、このことを見たものはこの世に残しません」

隊長「お前と俺もか?」

側近「無論です」

軍師「やめてくれ。お願いだから……やめて……」

側近「かしこまりました。隊長殿は見逃します」

隊長「お前は氏ぬ気か?」

側近「無論です」

軍師「やめてって言ってるじゃないか!やめてよ……お願い……」

108: 2012/04/17(火) 23:02:25.06 ID:UOro8Qc60
側近「……しかし、今回の件の発端は私のいい出したことでございます」

軍師「別に、いい……そのおかげで、勝てたようなものだし」

側近「私は以前も不義を働きました」

軍師「あの時、我慢中の判断力が無かったら隊長を見捨てることになったかもしれないから、いい」

隊長「おぉ?いつの間にやら命の恩人だったんだな、感謝するぜ」バンバン

側近「隊長殿、叩くのをやめてください腕を折りますよ?」

隊長「……冗談の通じないやつだな」

111: 2012/04/17(火) 23:09:04.12 ID:UOro8Qc60
側近「……それに、私は……」

軍師「いい、って言ってるんだ……いいんだよ、もう、いい……」

側近「ですが」

軍師「ですがもさすがもない! 私は側近を許す! 許されたからには氏ぬなんて許さない!」

側近「……よろしいのですか?」

軍師「私は同じことを二度いうのは嫌いだよ」

側近「ありがとうございます……ありがとうございます……!」

隊長「これにて一件落着、ってか!……そうだ嬢ちゃん、着替えあるのかよ」

軍師「……!こ、これは……その……」

隊長「まぁとりあえず俺の上着でもはおっておきな。多少は隠れるだろ」

軍師「でも、きちんとした服となると本陣まで戻らないと……通り道はどうしたものか」

側近「ご安心ください。軍師様を視界に入れたもの達全員始末して御覧に入れます」

隊長「やめんか」

112: 2012/04/17(火) 23:14:48.12 ID:UOro8Qc60
軍師「……ふふっ、ありがとう。2人とも」

軍師「私は……とてもいい仲間に恵まれて幸せだよ」ニコッ

側近「あぁ軍師様! このいやしい私にも笑顔を見せてくださるだなんてまさに地上の奇跡!至宝!」

隊長「……なぁ、こいつキャラ壊れてないか」

軍師「いや、本質がこっちなんじゃないかな……いいんだ、私にもそういう部分をみせてくれてとてもうれしい」

側近「ああぁぁぁ軍師様天使! いや天からの使いでは不足だ。天を使わせるレヴェルだ!」

隊長「……本当にか?」

軍師「……あ、あぁ」

側近「ネ申、いわゆるゴッド!Oh-Yeah!」

114: 2012/04/17(火) 23:18:24.33 ID:UOro8Qc60
隊長「とりあえず落ち着け。愛しの軍師様がヒいてるぞ」バシッ

側近「っは!?……大変お見苦しいところを。失礼いたしました」

軍師「いや……構わないよ。たまになら、たぶん」

側近「ありがたきお言葉……!」

隊長「まぁ服に関しては……側近。お前が軍師様をおんぶしろ」

軍師「な、なにを!?」

隊長「なに、服の前側が破られているのと……スカートの、しみぐらいだろう?」

軍師「……ぁ……」

側近「恥をかかせましたね」ヂャキッ

隊長「話が進まん、あとにしろ」

115: 2012/04/17(火) 23:22:29.25 ID:UOro8Qc60
隊長「つまりはまぁ、前面を隠すことさえできれば『足を怪我した』なりなんなりと理由がつけられるだろ?」

隊長「俺がおぶってやってもいいが……まぁ、側近の方が抵抗が無いだろうしな」

軍師「あ……ありがとう。それと、ごめん……」

隊長「何がだ?」

軍師「その、気を使ってくれて……?」

隊長「気にするな!俺は紳士的なのがウリなんだよ!」バシバシ

軍師「いたたた!」

側近「軍師様に害を」

隊長「あとにしろって」

116: 2012/04/17(火) 23:26:22.96 ID:UOro8Qc60
隊長「……ま、お邪魔虫はそろそろ退散だ。後はお若いお二人でゆっくりやりな」

隊長「服?あぁそれ最近着ないから捨てようと思ってたやつだからな、気にすんな!」



側近「それでは軍師様、どうぞ背中へ……」

軍師「う、うん……ごめんね、汚れてしまう……」

側近「汚れ?もし汚れるとしたら私の背中と触れる軍師様の服やお体のほうです!」

軍師「まったく大げさだな、キミは……」

側近「いえいえ。軍師様のためにならば…………」

軍師「ふふっ、私もキミに話してみたかったことがあるんだ…………」

117: 2012/04/17(火) 23:27:55.32 ID:UOro8Qc60
おわり。ありがとうございました
なんとなくで書き始めたけどおもらしシーン書いたらどうでもよくなったよね
BADエンドとか一回ヤられるとかいろいろ考えたけど一回ヤられたら手遅れだもんね!ウルトラハッピー!

120: 2012/04/17(火) 23:28:31.61
おつおつ!

引用元: 軍師「おしっこをがまんしていると判断力があがる……?」