1: 2012/05/08(火) 18:29:32.33
さやか「マミさんに手伝ってくれと言われて探しはじめたけど……そう簡単に見つかるものでもないかぁ……」

さやか「魔法少女狩り……そんな事する奴は、絶対許しちゃいけない」

さやか「と意気込んでみても、見つからないものは見つからないわけで……ってあれ?」

さやか「何このストラップ。キュゥべえに見えるような、見えないような……」

?「うわー!ないよーないよー!!」

さやか「?」

?「もう生きていけない!さよなら私!」

さやか「……待て待て待て!」

 https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336469372/

2: 2012/05/08(火) 18:32:39.27 ID:ut/rgxS5o
さやか「ほら、これ探してたんじゃない?」

?「それだぁあああ!!」パシ!

?「会いたかった!もう離さない!」

さやか「よかったね。それじゃ」

グイ!

さやか「!!??」

?「君のおかげで愛はしなずにすんだよ。私の名前は呉キリカ。恩人に礼をしたい!」

3: 2012/05/08(火) 18:33:19.92 ID:ut/rgxS5o
--CD屋外--

キリカ「恩人は本当にそれでいいの?」

さやか「友人用に別のCD買っちゃったからお金なかったんだよね。ありがと」

キリカ「私の愛がそんな磁器ディスクと同等だと思われたくない」

さやか「……キリカ。カムカム」

キリカ「え?何?」

さやか「ポータブルCDプレーヤー!」チャラララーン!

4: 2012/05/08(火) 18:34:45.35 ID:ut/rgxS5o
さやか「ベートーヴェン、ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2 所謂、『月光』だよ」

キリカ「いい曲……かも……」

さやか「その曲はね。ベートーヴェンが恋人に捧げた曲なんだ」

キリカ「……!!」

さやか「結局身分の違いゆえに、結ばれることはなかったんだけどね。ベートーヴェンにとって彼女は、『不滅の恋人』だったんだって」

キリカ「あ……」

さやか「さて、キリカが馬鹿にしたこのCDだけど、そう聞くとそれなりのものに思えてこない?」

キリカ「……ごめん!」

さやか「うん。そこでちゃんと謝れるキリカはいい子だ」

キリカ「愛は氏んだよ。さよなら私……」

さやか「でもそれは待ったぁ!」

5: 2012/05/08(火) 18:35:23.72 ID:ut/rgxS5o
さやか「愛かぁ……ねぇ、キリカにとって愛って何?」

キリカ「……?」

さやか「あぁごめん。変なこと聞いちゃった。忘れて」

キリカ「愛は全てだよ」

さやか「え?」

キリカ「愛は全て」

6: 2012/05/08(火) 18:36:09.17 ID:ut/rgxS5o
キリカ「おかしい?」

さやか「……ううん。全然おかしくない。愛は全て……か。そうなのかもしれない……」

キリカ「恩人にとっては?」

さやか「あたしはね……好きで、大好きで、多分単位に表せたりなんかできない程好きで……でも届かなくて、悔しいけど仕方なくて……はは、何言ってるかわかんないね」

7: 2012/05/08(火) 18:37:45.14 ID:ut/rgxS5o
キリカ「ねぇ、恩人。その愛の相手は『上条恭介』?」

さやか「!?何でそれを!?」

キリカ「恩人。君は愛の本質を捉えているけど、正しく理解できていない。今のままならその愛が実ることは未来永劫ないだろうね」

さやか「あんた、何を言って」

キリカ「でも、結果的にそれでよかったのかもしれない。だって恩人は」

さやか「!?」

--魔女空間--

猫の魔女「♪」カップリ

さやか「キリカ!?(キリカが魔女に食べられた!?)」

8: 2012/05/08(火) 18:39:22.15 ID:ut/rgxS5o
さやか「(キリカが食べられた……でも、今ならまだ間に合うかもしれない)」

さやか「なら、速攻で片をつける!」

ザシュズババシィ!

さやか「そこだぁ!」

ザシュ!

キリカ「……恩人!?こんなに早く!?」

さやか「よし、キリカは助けた。後はあの魔女を……倒す」

さやか「これでとどめだぁ!シューティングスティンガー!」バキュゥン!

猫の魔女「!?」

ドカァアアアン!!

キリカ「……」

9: 2012/05/08(火) 18:39:56.25 ID:ut/rgxS5o
さやか「キリカ、大丈夫?」

キリカ「……愛は無限に有限なんだ。だから」

さやか「キリカ?」

キリカ「私は彼女に無限に尽くす」

キリカ「恩人を故人にするのも無限の中の有限にすぎない」

ブン!

さやか「衝撃波……ってこれ、あたしへの攻撃!?」キィン!

10: 2012/05/08(火) 18:40:47.37 ID:ut/rgxS5o
さやか「キリカ……魔法少女だったの?」

キリカ「そうだよ恩人」

さやか「……この地面の傷跡……魔法少女狩りの氏体、鋭利な刃物で切り裂かれたようだったって聞いていたけど……まさか……」

キリカ「うん。すごいね恩人。下調べをした時は馬鹿だと思ってたけど、実のところ単純に勉強をしていないだけなんじゃないかな」

さやか「ほっとけ!……じゃなくて、どうしてこんな事を……」

キリカ「散ね!」シュイン!

さやか「うっ!」ガキィ!

さやか「理由ぐらい話してくれてもいいんじゃない!?いくらあたしだっていきなり殺される覚えはってか話ぐらい聞け!」

キリカ「次もあるよ!次次次次次!」ブン!ブン!ブン!

さやか「聞く気0かよ!」キィン!キィン!キィン!

11: 2012/05/08(火) 18:41:20.00 ID:ut/rgxS5o
キリカ「反撃しないの?恩人は慎み深いのかな?あははははっ!」

さやか「(……速い!信じられないけど、多分あいつより速い)」

さやか「(でも攻撃自体は斬撃と衝撃波だけ、あいつほどバリエーションがあるわけでもない。これなら今のあたしでも充分対処できる)」

さやか「(……あいつとの戦いもそれなりに意味があったってことか。感謝はしないけど)」

キリカ「お腹すいたなー。後で何か買って帰ろっと。そうだ、織莉子にも買って帰らないと」

さやか「『織莉子』って誰なのか、さやかちゃんにも教えてほしいね!」ッシュ!

キリカ「!?」キィン!

さやか「さぁ、反撃開始だぁ!」

12: 2012/05/08(火) 18:42:53.40 ID:ut/rgxS5o
キリカ「く……!!ここは間合いをとらせてもらう!」タン!

さやか「逃げるか!?……単純なスピード勝負だったら、あたしだって負けてない!」ヒュン!

キリカ「(な……!速度低下を使われてなお、私のスピードについてきてる!?)」

さやか「(こっちはトップスピードなのに、これでもまだ追いつけない……!!)」

キリカ「……あはは!すごい!まさか速度だけで私に対抗するなんてね。こんなに速い魔法少女は始めてだよ!」

さやか「まだ新米だけどね!……キリカはどれだけの魔法少女を頃してきたの?」ビュン!

キリカ「数えてないよ」ギリ!

さやか「そうかよ!」バシィ!

キリカ「恩人は他の魔法少女が殺されたことを怒っているの?」ヒュン、スタ!

さやか「当然じゃない!あんたに殺された魔法少女にはいい奴だっていたのかもしれない。家族がいたかもしれない。恋人だっていたのかもしれない」

さやか「それをあんたは踏みにじったんだ!」

キリカ「あはは。まるで『正義の味方』だね。……馬鹿馬鹿しい」

さやか「……あんたは……!」

キリカ「君は『魔法少女の真実』に気づいていないから、そんな事が言えるんだよ」

さやか「……?どういう意味よ、それ」

キリカ「どの道ここで終わるんだから、聞かないほうがいい」

13: 2012/05/08(火) 18:44:18.03 ID:ut/rgxS5o
キリカ「一手で十手。これを防ぐ手段は君にはない。終いだ」

さやか「(爪が増えた!?……確かにあれを凌ぎきるのは厳しそうだな……)」

さやか「(この状況じゃ、覚悟を決めるしかないか)」

キリカ「さぁ、今度こそ……散ね!」

さやか「……」

キリカ「……回避しない!?」

ザシュ!!

キリカ「痛覚遮断か」

さやか「ソウルジェムさえ守りきれればそれでいい。爪があたしの体に突き刺さってる以上、もうあんたに打つ手はない。……キリカ。あんた、少し相手を侮りすぎだよ」

キリカ「……すごいね、恩人」

さやか「スパークエッジ!」ザシュゥ!!

14: 2012/05/08(火) 18:45:17.95 ID:ut/rgxS5o
キリカ「『ソウルジェムが濁りきった時、魔女が産まれる』。君はその真実を知っていたの?」

さやか「……何それ。……でも……そうか、ここ最近のあたしの変調。ソウルジェムの濁り……納得はできるよ。……魔法少女になるってそういうことだったんだ……」

キリカ「あはは。ならここから先が君の地獄だ。精々苦しめ」

さやか「キリカ……あんたは何でこんなことを?」

キリカ「質問は一切受け付けない。私に対する一切の要求を完全に拒否する」

さやか「……このままだと氏ぬか……それこそ魔女になるよ。キリカ」

キリカ「結構だ。たかだか氏ぬ程度で私の全てが守れるなら大いに結構。……それに、魔女になれば、君に一矢報いることもできる」

さやか「『全て』……そうか。それが、キリカの愛なんだ」

キリカ「……」

さやか「『癒しの調べ』」ポロロン!

キリカ「……な!?恩人、何をやって!」

さやか「たとえ殺人狂だとしても、やっぱりあたしにはキリカを殺せない」

さやか「幸いあたしの魔法は回復魔法だし、この程度ならなんとかなる。……ゆまちゃんがいればもっとよかったんだろうけど」

15: 2012/05/08(火) 18:46:09.61 ID:ut/rgxS5o
キリカ「……恩人は底なしの面白馬鹿だね。治った瞬間私は恩人を斬り頃すよ」

さやか「そう。じゃぁあたしはここで終わりだね。どの道あたしのソウルジェムはもう…。…そうだ、キリカにあたしの魔女を倒すの、お願いしようかな」

キリカ「……恩人。君は……」

さやか「う……」ガクリ

キリカ「恩人の変身が解けた……やれやれ、本当にすごいね君は。これほどソウルジェムが濁った状態で、あれほどの芸当をやってのけたんだ」ヒョイ

さやか「……あたしのソウルジェム、返して……」

キリカ「ふむ。この程度ならそこに落ちているグリーフシードに濁りを吸収させれば、大丈夫だね」

さやか「え?」

キリカ「恩人、まだ絶望するには早すぎるよ」

16: 2012/05/08(火) 18:47:15.24 ID:ut/rgxS5o
さやか「……ありがとう。一応礼は言っとく」

キリカ「この魔女は君が倒したんだから……ってその理屈も違うんだっけ?正義の味方とは初めて会ったから、接しかたがよくわからないな」

さやか「キリカは何で……ていう質問には一切答える気はないんだよね」

キリカ「うん。そしてこれからも私は、魔法少女狩りを続ける」

さやか「……」ギリ!

キリカ「殺さなかったことを後悔しているのかい?恩人」クスクス

さやか「……あんたのことは全部忘れる。だから行って。キリカ」

キリカ「……『美樹さやか』。そんな名前だったっけ?」

さやか「!?……あんたどうしてあたしの名前を」

キリカ「……織莉子以外で私が記憶したいと思った情報は、君がはじめてだよ」

さやか「……また『織莉子』……か」

17: 2012/05/08(火) 18:48:07.74 ID:ut/rgxS5o
キリカ「うーん……本来ならここまで知られた時点でやっぱり頃すべきなんだけど……不思議だね。気がすすまない」

さやか「……とっとと行ってよ。あたしだって今、相当に揺らいでるんだから」

キリカ「あはは。さやか。次に会った時はしっかり殺させてもらうよ」

さやか「……」

18: 2012/05/08(火) 18:49:01.94 ID:ut/rgxS5o
--織莉子家--

織莉子「あまり心配かけさせないで……」

キリカ「織莉子……ごめん。巴マミどころか、美樹さやかすら殺せなかったよ」

織莉子「……貴女は!」

キリカ「織莉子、怒らないで。君に嫌われたら私」

織莉子「嫌うわけない!」

キリカ「!?……織莉子……?」

織莉子「嫌うわけなんか……ないんだから……」グスッグス

キリカ「織莉子……本当にごめん」

19: 2012/05/08(火) 18:49:55.45 ID:ut/rgxS5o
キリカ「ねぇ織莉子……君が命じてくれれば、美樹さやかも、巴マミもすぐに頃してあげるよ」

織莉子「大丈夫。美樹さやかがあなたの事を他の人間に話す可能性は限りなく低い。今の貴女に襲撃をかけさせるリスクの方がはるかに高いわ」

キリカ「ねぇ、織莉子。さやかはなんで魔法少女になったんだろう」

織莉子「『大切な人の腕を治す為』よ」

キリカ「……さやからしい願いだね。本当に」

織莉子「(……キリカが私以外の人間の事を考えている?)」

20: 2012/05/08(火) 18:50:26.35 ID:ut/rgxS5o
--とある建物の屋上--

マミ「美樹さん……今日の戦い方は何?そんな戦い方じゃ、ソウルジェムがもたないわよ。……ソウルジェムの件がショックなのは私にも分かるけど……」

さやか「マミさん……あたしたちは魔女を倒す、ただそれだけしか意味のない石ころなんですよ。……そんなあたしたちが自分たちの心配なんてする必要はない」

マミ「美樹さん!」

さやか「すいません……例の『魔法少女狩り』の討伐。あたしは降ろさせてください。ちょっと、何が正しいのか分からなくなっちゃったんで……」

マミ「美樹さん……?……わかったわ。でも、その前に」ポン

さやか「マミさん……?」

マミ「グリーフシードよ。今日の戦いはほぼあなた一人で勝ったようなもの。だから、そのグリーフシードはあなただけで使いなさい」

さやか「……そんな言い方……!」

マミ「自分のソウルジェムを確認してから考えて」

さやか「……!」ギリッ!

21: 2012/05/08(火) 18:53:53.84 ID:ut/rgxS5o
--織莉子家--

キリカ「Zzz……」クースピー

織莉子「美樹さやか……暁美ほむらと同じ、鹿目まどかの守護者」

織莉子「ただ……もう手を出すまでもなく、美樹さやかは全てが揺らいでいる。美樹さやかはワルプルギスの夜到達前に魔女となる」

織莉子「それを見た巴マミは暴走。千歳ゆま、佐倉杏子、暁美ほむらは殺され、巴マミも自害する」

織莉子「そうなれば、私たちの邪魔をする魔法少女は誰もいなくなる。鹿目まどかの殺害は造作もない」

織莉子「……でも、本当にそれでいいの?」

織莉子「折角キリカが私以外の人間に関心を持ったのに……キリカにやっと私以外の友人が作れるかもしれないのに……それを、私はこのまま見捨てるの?」

織莉子「……」

22: 2012/05/08(火) 18:55:14.82 ID:ut/rgxS5o
--翌朝--

織莉子「……」

キリカ「おっはよー織莉子!……ってどうしたの。くまができてるよ」

織莉子「いえ……ちょっと考え事をね……」

キリカ「寝ないで……やっぱ、昨日の事が……」

織莉子「それもあるけど、それだけじゃないわ」

キリカ「織莉子……?」

織莉子「キリカ、あなたに命令します」

キリカ「織莉子。私は君の命令なら何でも聞くよ」

織莉子「今日一日キリカに主導権を渡します」

キリカ「え?」

23: 2012/05/08(火) 18:56:44.79 ID:ut/rgxS5o
キリカ「織莉子。それ、どういう意味?」

織莉子「今日はキリカがリーダー。私に好きな指示を出していいし、好きな事をやっていい」

キリカ「え……!?で、でもそれじゃ、世界の救済は」

織莉子「今は忘れなさい」

キリカ「えー……」

織莉子「魔女になるか、魔法少女を続けるか……美樹さやかにとって、今日がその転機となる」

キリカ「!!」

織莉子「……キリカ。この問題はあなたに決めてほしいの。あなたが決めたことなら、私はその協力を惜しまない」

キリカ「……私には織莉子がいればそれで充分だよ」

織莉子「本当にそう思ってる?」

キリカ「……正確に言うと、少し違うかもしれない」

24: 2012/05/08(火) 18:57:21.20 ID:ut/rgxS5o
キリカ「織莉子がいれば充分。その気持ちに嘘はない。でも、美樹さやかが気になっているという気持ちにも……うん。やっぱり嘘はない」

キリカ「……わかった。織莉子にそこまで言わせたんだ。今日は思う存分好きな事をやらせてもらう」

織莉子「……キリカ」

キリカ「取り合えず、美樹さやかと上条恭介。そしてそれに関わる人々の物語を聞かせてもらえるかな。過去から近い未来まで」

織莉子「わかったわ。……少しつらいかもしれないけど、頑張ってね」

キリカ「?……うん、頑張るよ」

25: 2012/05/08(火) 18:58:31.23 ID:ut/rgxS5o
織莉子「……以上よ」

キリカ「あ、頭が……」

織莉子「流石に情報量が多すぎたわね……大丈夫?キリカ」

キリカ「……うん。大丈夫。でも、何もテレパシーで一気に飛ばさなくても……」

織莉子「普通に話したら、今日一日かけても終わらないわ……」

キリカ「……ねぇ、織莉子」

織莉子「何?キリカ」

キリカ「私はこんな石くずなわけだけど……もし、織莉子が魔法少女じゃなかったとして、それでも私を好きでいられる?」

織莉子「聞くまでもない質問をするような子には教えません」

キリカ「うー……でも、口に出して言ってほしいよ」

織莉子「他にやる事がないなら、もう私は寝るわ」

キリカ「織莉子の意地悪!……まぁ、それは置いといて……実はもうひとつお願いがあるんだ」

織莉子「何かしら?」

キリカ「ちょっと『舞台装置』を作りたい」

織莉子「……舞台装置ね……『ファウスト』でも上映するつもり?」

キリカ「あそこまで壮大な物語はいらないよ……もう少しシンプルな話がいいね。童話みたいな」

織莉子「……童話、ね」

26: 2012/05/08(火) 18:59:40.88 ID:ut/rgxS5o
--放課後--

恭介「志筑さんって、帰る方角はこっちなんだっけ?」

仁美「本当は全然逆方向ですわ」

さやか「(恭介……)」

恭介「え…じゃあ、今日はどうして?」

仁美「上条君に、お話したいことがありますの」

さやか「(仁美……駄目。やめて……)」

キリカ「『上条恭介』だね。あと、そこの緑のは……まぁ、誰でもいっか」

さやか「(!?)」

仁美「誰ですか。あなたは」

キリカ「見滝原中学校3年生、呉キリカ。よろしく恭介。あと緑」

さやか「(……同じ中学!?しかも3年!?……いやいや、そんな事気にしてる場合じゃない!)」

27: 2012/05/08(火) 19:01:23.32 ID:ut/rgxS5o
キリカ「少し恭介に話がある。緑は帰ってくれない?」

仁美「私にも話したいことがあります。呉先輩こそ帰ってくれませんか?」

恭介「……?別に2人共今言えばいいような……」

さやか「(……その発言は流石に空気読めてないよ。恭介……)」

キリカ「ふーん。まぁ、その、何だ」

ギュィン!ガチャン!

キリカ「些細だ」

仁美「え……?その恰好は…・・爪?」

キリカ「バイバイ」ブン!

キィィン!

キリカ「あ、さやか。やっぱり見ていたんだね」

さやか「……キリカぁああああ!!!」

28: 2012/05/08(火) 19:02:28.13 ID:ut/rgxS5o
仁美「……きゃああああああ!!」

恭介「……志筑さん逃げて!……さやか!これはどういう事なんだ!?」

キリカ「あははは!愛しの恭介が聞いているよ?答えてあげたらどうだい?さやか」

さやか「黙れ!あんたは……無関係な人間には手を出さないと思っていたのに……」

キリカ「目的の為なら、私は関係なんて構わず頃すよ。それに」

キリカ「志筑仁美はここで殺されてしまえば……今君は少しでもそう考えはしなかったのかな?」

さやか「!」ブゥン!!

キリカ「わかりやすいね!君は!あはは!」

さやか「黙れぇ!!!」

29: 2012/05/08(火) 19:03:05.16 ID:ut/rgxS5o
キリカ「次に会った時は頃してあげる。確か私はそう言ったよね」

さやか「……今度は容赦しない。確実にあんたを頃す!」

キリカ「……」ビュゥン

恭介「……え!?ぐぁ!」ガク

さやか「恭介!?」

キリカ「『あれは嘘だ』……何てね!上条恭介は預かったよ。返してほしくば!」ッピ!

さやか「(メモ用紙?住所が書かれてる)」

キリカ「そこで決着をつけよう。その為にどういう手をとるかは君に任せるよ。時間は今から3時間後、待ってるからね。来なかったら……これ以上の説明はいらないか」シュン!

さやか「……」

さやか「……あたしの……せいだ……」ガクリ

30: 2012/05/08(火) 19:03:49.49 ID:ut/rgxS5o
仁美「……あ……あ」

さやか「仁美、ごめんね。あたし、恭介を守れなかった」

仁美「嫌!こないで!」バシィ!

さやか「仁美……」

さやか「(何が『見滝原の平和はあたしが守る』だ!大切な友人も、好きな人も守れないで、あたしは何をやってるんだ……)」

ほむら「志筑仁美の介抱は私に任せて」

さやか「!?……ほむら!?」

仁美「え?」

ガン!

さやか「うわ……盾で思いっきり……」

ほむら「手加減はしたわ」

31: 2012/05/08(火) 19:05:05.99 ID:ut/rgxS5o
ほむら「それで……あなたはどうするつもり?美樹さやか」

さやか「……恭介を助けに行く。恭介がさらわれたのはあたしの責任だし」

ほむら「そう、なら精々氏なないように気をつけることね。まどかが悲しむから」

さやか「わかってるよ。ほむら。……まどかを悲しませるような事はしない」

ほむら「それが理解できているなら、後はどうでもいい」

さやか「……ねぇ、ほむら」

ほむら「他にあなたと話すことは何もない」

さやか「……」

32: 2012/05/08(火) 19:06:03.63 ID:ut/rgxS5o
--どっかの廃墟ビル--

恭介「う……ここは……?」

キリカ「やっとお目覚めかい?王子様」

恭介「君は……一体何者なんだ?」

キリカ「『魔法少女』だよ。弱者を頃し、強者も刻む。全てはその思いの為に。全てはその願いの為に」

恭介「……?」

キリカ「はは、流石にこれじゃ理解できないよね。……では分かりやすいように、君にとって身近な例で説明してあげよう」

33: 2012/05/08(火) 19:06:48.31 ID:ut/rgxS5o
キリカ「あるところに、一人の少女がいました。その少女は一人の演奏家に恋焦がれていました」

キリカ「ある時、その演奏家が事故で腕をなくしてしまいました。少女は演奏家を一生懸命励ましますが、演奏家には耳に入りません。演奏家にとって演奏こそが全て。他の存在などどうでもよかったのですから」

恭介「……待って、それって」

キリカ「次口挟んだら刻むよ」

恭介「……」

キリカ「よろしい。……少女は考えました。演奏家にとっては演奏が全て。ならば、自分の命を引き換えにしてでも、演奏家に演奏を取り戻してあげたいと」

キリカ「そして、幸か不幸か、少女はその願いがかなえられる立場にいました。願い事をかなえるかわりに、その人間を地獄に落とす。そんな取引を持ちかける悪魔を、少女は知っていたのですから」

恭介「……!!」

キリカ「かくして少女は悪魔に魂を売り、演奏家の腕は治りました。少女の魂は地獄に落ち、演奏家はその事実すら知らず、のうのうと演奏を弾き続けましたとさ。めでたしめでたし」

34: 2012/05/08(火) 19:07:31.60 ID:ut/rgxS5o
恭介「……何だよ、それ」

キリカ「君が自分で言ったんだろ。奇跡でも魔法でもない限り治らないと。そう、その通り。そんな怪我は奇跡でも魔法でも起こさない限りにおいて、治るわけがない」

キリカ「……不自然に思わなかったの?そんな言葉をさやかと交わした後、いきなり腕が治るなんて。そんな都合が良い事を、この世界が何の対価もなしに承諾すると本気で思っていたの?」

恭介「僕の……せいなのか?」

キリカ「話を戻すよ。悪魔との取引により、人は『魔法少女』となる。魔法少女はその魂をソウルジェムに変えられ、永遠の戦いを強制される。最終的には『魔女』となり、人間に絶望を撒き散らす化け物へと変貌する。後は別の魔法少女に殺され、終了だ」

キリカ「……大抵は魔女になる前に、他の魔女か魔法少女に殺されるんだけどね。美樹さやかは、まぁ、その程度には優秀みたいだ」

恭介「は……はははは……」

35: 2012/05/08(火) 19:08:27.29 ID:ut/rgxS5o
キリカ「責任が君にあるとは言わない。だけど、その原因となったのは間違いなく君だ。それだけは自覚しておくべきだね。これからどういう結末を辿るにしても」

恭介「……さやかはどうして、僕なんかの為に……」

キリカ「君を愛しているからだよ」

恭介「……!?さやかが僕を!?そんな事が……」

キリカ「……鈍いね。君。流石に少し、美樹さやかが哀れになったよ」

恭介「で、でも僕を好きになる理由なんて何も!!」

キリカ「……君の演奏に恋焦がれていたのかもしれないし、君に恋焦がれていたのかもしれない。多分そこは美樹さやかの中でも整理が出来ていないんじゃないかな」

恭介「でも、それじゃぁ、さやかの願いは……その願いじゃ、さやかは救われない」

キリカ「……ん?」

恭介「だってそうだろう?仮に僕が全てを理解し付き合うことになったとしても、結局それは腕を治した見返りだと、さやかは思ってしまう。たとえ僕がどんなに違うと言っても、その思いは残りつづける。僕の思いが、さやかには永遠に届かない。例えそれが本物だとしても、偽者だとしても」

キリカ「……そう、君の言葉の通りだ。願った時点で全てが終わる。そういう類の願いだね。これは」

36: 2012/05/08(火) 19:09:30.11 ID:ut/rgxS5o
恭介「……さやかに会わせてくれ」

キリカ「おいおい、君は人質なんだよ。その辺理解してる?」

恭介「頼む!さやかと話をさせてくれ!その為なら何をしたっていい!」

キリカ「……その代価が、君の大事な腕だとしても?かい?」

恭介「迷うまでもない。ヴァイオリンより、さやかの方が大事だ!」

キリカ「へぇ……その程度には大事なんだね。さやかの事が」

恭介「さやかは大切な親友だ。さやかの為なら、僕だって命をかけられる」

キリカ「親友……ねぇ。その感情は親友の域を逸脱しているように思えるけど……くくく」

恭介「何だよ」

キリカ「おっと失礼。ま、今までの話は、これから始まる舞台の説明みたいなものさ。…君には観客として参加してもらう。観客が俳優になる事は許されない。分かるだろう?」

恭介「……さやかを頃したら、僕が許さない」

キリカ「ははは。君が私に何が出来るのかはわからないけど……まぁ、警告程度には受け取っておくよ」

37: 2012/05/08(火) 19:11:02.81 ID:ut/rgxS5o
キリカ「ようこそ美樹さやか!……しかしまぁ、予想はしてたけど、1人で来るとはね。他の魔法少女と一緒に来れば確実だったろうに」

さやか「……これはあたしがあんたをしっかり殺さなかった事が原因だ。他のみんなを巻き込みたくない」

キリカ「ふーん……」

さやか「恭介は無事なの?」

キリカ「恭介は上の階にいるし、今のところは無事だよ。ま、ほおっておいたらどうなるかわからないけど……ね」

さやか「……!恭介」ッダ!

キリカ「おっと……私を無視して人質を救出に向かうとか、無謀にも程があるね」

さやか「恭介を帰してよ!恭介はあたし達魔法少女とは何の関係もないじゃない!」

キリカ「魔法少女にはね。でも、君には関係あるだろう?さやか」

さやか「……そんなにあたしに復讐がしたいのならすればいい。もう、なんの抵抗もする気はないからさ」

キリカ「ふふふ……クックック」

さやか「……キリカ?」

キリカ「さやかは、私が『復讐』ごときを理由に仕掛けると思っているの?」

38: 2012/05/08(火) 19:11:37.04 ID:ut/rgxS5o
さやか「じゃぁ何よ。……『織莉子』の為?」

キリカ「いや、今回はそれも違うね。私は私のやりたい事をする為にここにいる」

さやか「……意味、わかんないんだけど」

キリカ「単純な話さ。美樹さやか、君を知りたい」

さやか「……え?……いや……ぇええ!?あ、あたし女の子だよ!」

キリカ「何かすごい誤解をされている気がするけど……私は織莉子一筋だよ」

さやか「あーそうだよね……ってその人の名前も女の子っぽく聞こえるんだけど」

キリカ「……君は愛の本質をある程度は捉えていると思ったんだけどな。相手が男性か、女性かなんてのは、実に些細な事だろう?」

さやか「……えぇと……まぁ、確かにそう言われれば……うん。ごめん」

キリカ「よしよし。そこでちゃんと謝れるさやかはいい子だ」

さやか「あ、ありがと……って最初に会った時の仕返しかよ!」

キリカ「あはは!……ま、復讐とまでは言わないまでも、このぐらいの関係なら、よかったかな」

さやか「……私は魔法少女狩りなんてやってる人間と仲良くなりたいと考えるほど、甘くないよ」

キリカ「いや、さやかは相当に甘々だと思うけどね。そもそもあの時私を頃しておけば、こんな事にはならなかったんだし」

39: 2012/05/08(火) 19:12:16.97 ID:ut/rgxS5o
さやか「……何でこんな事をするの?キリカ」

キリカ「そうだね。話を進めよう。美樹さやか」

キリカ「王子様は上にいる。娘の告白は延期。今なら人魚姫にだってチャンスはある。違うかな?」

さやか「何その例え……あたしは人魚姫とでも言いたいの?また随分ロマンチックな……」

キリカ「すごぉく君には言われたくないけど……ま、君には知る術はないわけだし、そこは妥協しよう」

キリカ「上条恭介に告白するのなら、上条恭介をそのまま引き渡す。それが、私の提示する条件だ」

さやか「……何よそれ。ふざけてるの?」

キリカ「至って真面目な話だ。私はいろいろ不真面目だけど、事愛に関してだけは真面目だよ」

さやか「そんな強制的に告白させることに何の意味が」

キリカ「意味はないね……君が上条恭介に対して、何の思いも抱いていないというのならば、だけど」

さやか「……」

キリカ「愛しているんだろう?上条恭介を」

40: 2012/05/08(火) 19:17:21.83 ID:ut/rgxS5o
さやか「……こんな体にされちゃった私たちが……恋愛なんて、出来るわけないじゃない……」

キリカ「それじゃぁ織莉子と私はどうなるのさ……まぁそこは置いておくよ」

キリカ「……仮に、だ。上条恭介が、君の言うところのゾンビになってしまったとしよう。……君はそんな事を理由に上条恭介を嫌いになるの?」

さやか「そ、それは……」

キリカ「それが君の言っている話だよ。君の言葉は、上条恭介という一人の人間を侮辱しているに等しい」

さやか「そんな事……」

キリカ「ない……と言い切れるの?」

さやか「……やめてよ」

キリカ「ま、君は上条恭介を盾にして、自分の臆病さから逃げる為の理由にしているにすぎないんじゃないかな」

さやか「やめてよ。あんたに……あたしの何が分かるっていうの!?」

さやか「……あんたの言ってる事が正しいのかもしれない。それでもあたしには……こんな体になって愛してくれなんて言えない。キスしてくれなんて言えないよ!!」

41: 2012/05/08(火) 19:18:02.56 ID:ut/rgxS5o
キリカ「……とんだすれ違いだね」

さやか「……?」

キリカ「まぁ、『愛してくれなんていえない。キスしてくれなんて言えない』辺りでもう告白ととれないこともないか……うん、極めて微妙というか、残念賞って感じだけど特別にOKとしよう」

さやか「……何を言っているの?」

42: 2012/05/08(火) 19:18:50.88 ID:ut/rgxS5o
キリカ「私の提示した条件を覚えてる?上条恭介に告白することっていうあれ」

さやか「うん……でも、それが何で」

キリカ「ちゃんと注意深く見ておけば気づいたはずなんだけどね……ほら、そこら中に監視カメラが設置してある」

さやか「……え!?」

キリカ「そして上の階の上条恭介は、ヘッドフォンとテレビでここの状況がリアルタイムで見られるようになっていたわけだ。恭介自体は椅子に縛り付けておいたけどね」

さやか「……ななな!?」

キリカ「あぁ、君の境遇については最低限説明しておいたからご心配なく。君と話がしたいと言っていたから、少し覚悟はしておいた方がいいかもね」

さやか「」


43: 2012/05/08(火) 19:20:43.29 ID:ut/rgxS5o
キリカ「まぁ、そういうことで。頑張ってね。さやか」

さやか「待て待て待て!ちょっとおかしくない?あんたの目的がさっぱり見えないんだけど?」

キリカ「?……ここまできたらもう明らかじゃないか。君と上条恭介の壁を取っ払うのが、私の目的だったんだよ」

さやか「……じゃぁ、なんで仁美に斬りかかる必要があったのさ!」

キリカ「あーでもしなきゃ君は隠れたまま出てこないじゃないか。上条恭介にさやかが魔法少女である事を説明するにあたって、君が魔法少女に変身した上で出てきてもらった方が何かと手っ取り早かったんだよ」

さやか「そ……そんな理由で仁美は……」

キリカ「……一応言うけど寸止めだったんだよ、あれ。流石の私も頃す必要のない頃しはしない。ま、それとは別に精神的なケアは必要だろうから、そこは頑張ってくれ」

44: 2012/05/08(火) 19:22:05.68 ID:ut/rgxS5o
さやか「……えぇと……『今のところは無事だよ。ま、ほおっておいたらどうなるかわからない』とかあんた言ってなかった?」

キリカ「あー言ってたね。人間ほっといたらお腹がすいて氏んじゃうからね。無事ではすまないだろうねー」

さやか「……『美樹さやか、君を知りたい』この言葉の意味は?」

キリカ「そのままの意味さ。君がどういう反応を示すか見たかった……実のところそこまで重きはおいてなかったけど」

さやか「……えぇとつまりあんたは、あたしと恭介の為に、こんな大掛かりな芝居をうったってこと?」

キリカ「ま、平たく言うとそういうことだね」

さやか「……何であんたが、こんな事を?」

キリカ「そりゃまぁ……やりたかったからだよ」

45: 2012/05/08(火) 19:23:16.88 ID:ut/rgxS5o
さやか「……え、えぇと……ありが、とう?」

キリカ「そういうのはいらないよ。大体志筑仁美からすればとんだ災難だったわけだし。……さて、そろそろ私は帰るよ。上条恭介と仲良くね」

さやか「……待って!」

キリカ「ん……まだ何か用があるのかい?」

さやか「そ、その……何かいろいろあんたの事誤解してた。ごめん」

キリカ「……さやか。君は何も誤解なんかしてないんだよ」

キリカ「私が魔法少女狩りを続けている事は事実だし、目的の為ならさやかや恭介だって躊躇いもなく頃す。ただ、今回の目的は頃す必要がなかった。ただそれだけの話なんだ」

さやか「……あんたの事、理解できない……」

キリカ「理解はしない方がいいんじゃないかな。君の魔法少女人生において、私みたいなタイプは単純に敵として分類しておけばいい」

さやか「そんな風に割り切れないよ……」

キリカ「……こういう問題に何度もぶつかるのが、君の選んだ『正義の味方』って奴だと思うよ」

46: 2012/05/08(火) 19:23:51.96 ID:ut/rgxS5o
--さやかが恭介を助けにいった後--

キリカ「何もかも中途半端なのに……中途半端ながらに必氏に前に進もうとしている。……すごいな」

キリカ「……私は魔法少女になってしまったし、その事事態を後悔する気は全くないけれど……もしならなかったら、あんな強さを手に入れる事は出来たんだろうか」

キリカ「……無理だ。私には」

47: 2012/05/08(火) 19:24:30.92 ID:ut/rgxS5o
~織莉子の家~

織莉子「お疲れ様。キリカ」

キリカ「疲れたぁ……いや、本当に綱渡りだ。織莉子はいつもこんな事をやっているのかぁ……」

織莉子「実際に動いてくれてるのは貴女でしょ。……いつも感謝しているわ」

キリカ「それで……未来は動いた?」

織莉子「えぇ。美樹さやかの魔女化は少なくともワルプルギスの夜までは避ける事が出来た。美樹さやかと上条恭介の関係は……少し前進ってところかしら。志筑仁美も絡んだ三角関係。物語としては、これからといったところね」

キリカ「あの緑は……でもま、少し安心したよ。正直仁美に斬りかかった事は、他に解が思いつかなかったとはいえ、結構心にきてたんだよね」

織莉子「そうね。彼女はしばらく尖端恐怖症になってるけど……それはきっと些細なことね」

キリカ「……織莉子、いじめないで……」

織莉子「ふふ……まぁ、美樹さやかが魔女化したケースでのあの子達のその後を考えれば、この程度……って見方もできるわ」

キリカ「……むぅ……」

48: 2012/05/08(火) 19:26:26.43 ID:ut/rgxS5o
織莉子「さて……これからの話だけど」

キリカ「うん」

織莉子「……鹿目まどか殺害は取りやめ。よって魔法少女狩りも中止ね」

キリカ「……まぁ、ここまで方向性がずれちゃったら……でも、何か別案があるんだよね」

織莉子「えぇ。前に予知を使った時に気づければ良かったのだけれど……鹿目まどかの魔女化、それが世界の滅亡をもたらす」

織莉子「でもこれは、鹿目まどかの契約内容によって覆すことが出来る」

織莉子「この場合の鹿目まどかの契約内容であれば、全人類を救うと同時に、過去、未来全て魔法少女達にとっての、希望となることができる。私たちが考えているような事は全く危惧する必要はなくなる」

キリカ「……?」

49: 2012/05/08(火) 19:28:46.47 ID:ut/rgxS5o
織莉子「……さしあたっての目標は、鹿目まどかが契約しなければそれもよし。契約するのであれば、その願いを叶えさせるような方向に持っていく事よ」

織莉子「ただ、今の状態では鹿目まどかはその願いにたどり着けない。まず、鹿目まどかに魔法少女というシステムの全てを把握してもらい、その上で決断させる必要がある」

織莉子「それには時間が必要だけれど……鹿目まどかが契約してしまう可能性が一番高いのは現時点で、『ワルプルギスの夜到達時』。とてもそれまでには間に合わない」

織莉子「だから、ワルプルギスの夜を鹿目まどかが契約をしてしまう前に撃破しなければならない。辛勝では危ない。安全圏を考えるなら、圧勝にもっていきたいところね」

キリカ「……ワルプルギスの夜がどういうものかはよくわかってないけど、一応最強の魔女なんだよね。私と織莉子が力を合わせても、圧勝は厳しいんじゃない?」

織莉子「そうね。だからこそ、力を集める必要がある。暁美ほむら、佐倉杏子、千歳ゆま、巴マミ、美樹さやか。それに私とキリカ。これだけの戦力を揃えれば、圧勝は充分可能よ」

キリカ「それは、可能かもしれないけど……今私達って、佐倉杏子とは千歳ゆまの件で敵対関係だし、魔法少女狩りの件で、巴マミとも実質敵対関係にあるわけだよね。…厳しいと思うよ」

織莉子「一人一人説得していくのならね。……その両方と確固たるコネクションを持っている人間が一人、いるの」

キリカ「……」

50: 2012/05/08(火) 19:29:35.04 ID:ut/rgxS5o
--次の日 教室--

さやか「仁美……」

仁美「それ言わないでくださいまし。……私は許せないんです。さやかさんをあんな風に遠ざけてしまった事が。あの事でさやかさんがどれだけ傷ついたか……!!」

さやか「……仕方ないよ。逆の立場だったらあたしだって平静でいられなかったと思う。だから、その、さ。気にしなくていいから」

仁美「さやかさん……」

さやか「恭介の事だってあるしさ。……対等にいこうよ、あたし達」

仁美「ありがとう、さやかさん……負けませんわ」

さやか「あたしだって!」


キリカ『本当の気持ちと向き合えたみたいだね。よかったじゃん』

さやか『!?……キリカ……』

さやか『……何の用?』

キリカ『いや、その……お願いしたい事があってね』

さやか『……キリカがあたしに?』

キリカ『私と一緒に、ワルプルギスの夜を倒してほしいんだ』

さやか『……はい?』

--おしまい--

51: 2012/05/08(火) 19:41:11.78 ID:ut/rgxS5o
あとがき

色々思うところがあって没扱いにしてたけど、今日フォルダの整理してたら出てきて
折角完結してるのに勿体ないじゃないか!と思ったので投下

作ったのは半年ぐらい前だけど手直し段階で最新のネタも盛り込みました。スパークエッジ!

52: 2012/05/08(火) 20:42:06.48

さやかちゃんのキリカ撃破方法が格好良すぎワロス
なんだよ敢えて一撃貰って大技叩き込むとか、主人公かよ! 格好良すぎだろ!
こりゃワルプル戦が楽しみですぜ

……え、終わりなの? 続かないの?

53: 2012/05/08(火) 22:23:45.92
終わり…だと…?
待て待て、まだ続けられるはずだ、頑張れよ!

引用元: さやか「魔法少女狩り?」