2: 2012/08/07(火) 00:33:50.58 ID:lV8yW0NO0
妹「えへへ、絵本読んでほしいなって」

吸血鬼「絵本? いいわよ。どれがいい?」

妹「いつものアレ!」

吸血鬼「あぁ、あれね。もう妹ちゃんったらアレが大好きなんだから」

妹「だってお姉ちゃんの最初のプレゼントだもん!」

吸血鬼「わかったわかった。じゃあベッドで読みましょうね」

5: 2012/08/07(火) 00:34:58.64 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼『――こうして不幸な少女は最後に、大好きな人に連れられて天国へ旅立ちましたとさ。おしまい』

吸血鬼「どう? 面白かった?」

妹「うん……」

吸血鬼「あら、どうかした?」

妹「その子、幸せだったのかな?」

吸血鬼「そうねー……うん、そうだといいね」

妹「きっとそうだよね! 大切な人と一緒に暮らせるほうが幸せだもん!」

吸血鬼「……そうね。さぁ、今夜はもう遅いし寝ましょう?」

妹「うん! お姉ちゃんおやすみなさーい」

吸血鬼「おやすみ、妹ちゃん。また明日……」

吸血鬼「…………大切な人、か」

6: 2012/08/07(火) 00:35:32.42 ID:lV8yW0NO0
少し遡って――

吸血鬼「ここが光と闇が渦巻く街ガーストヒルズ市かー」

吸血鬼「結構長旅だったけど、ココら辺で一旦羽休めしようかしらね」

ビル壁「今日未明、アトン半島で聖十字連邦と血印連合が戦闘を開始したという情報が入って来ました」
「この情報に対してのガーストヒルズ市長及び副市長の見解は未だ不明です」
「さて次のニュース。また快挙、滅ぼし屋――」

吸血鬼「……外の国も色々大変ねぇ」


市役所

吸血鬼「単刀直入に聞くわ、市長に会わせてくれないかしら」

受付(魔女)「市長及び副市長はただ今旅行中でしてこの街にいません」

吸血鬼「あら、あのふたりまた旅行してるの?」

魔女「えぇ、バラさないでくださいよ。一応外部視察って事になってるんですから」

吸血鬼「わかってるわよ……どこに泊まろうかしら」

8: 2012/08/07(火) 00:36:06.51 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「結局どこのホテルも当日予約できなかったわ」

吸血鬼「まぁ、いつも野宿みたいなものだしいいかしらね」

吸血鬼「バーで時間でも潰そうかしら」

ドラゴン「いらっしゃいませー」

吸血鬼「オススメ一つ、アルコール無いやつね」

ドラゴン「そうですね、では貴方に似合いそうなこれでも」

 コトン

吸血鬼「うん、レモンのいい香り」

11: 2012/08/07(火) 00:36:40.35 ID:lV8yW0NO0
ドラゴン「お客さんこの街に住んでる人じゃないね」

吸血鬼「よくわかったわね?」

ドラゴン「一応匂いでね、お客さん旅人でしょ。色んな匂いがする」

吸血鬼「えぇ、まぁね」

ドラゴン「ただ、血の匂いや硝煙の香りもしますね。結構ヤバイことやってきたでしょう」

吸血鬼「吸血鬼だからね」

12: 2012/08/07(火) 00:37:14.26 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「ところで人を泊めてくれそうな優しい人を知らないかしら」

ドラゴン「あいにく、そのような人種とは縁がないですね」

吸血鬼「あらそう、困ったわねー」

ドラゴン「そのクチだと今晩泊まる宿がない」

吸血鬼「御名答、元々泊まる予定の家が有ったんだけどタイミングが合わなくてね」

ドラゴン「うーん、そうですね。いい場所……教えてあげましょうか」

吸血鬼「あら? いい場所って私を泊めてくれる場所?」

ドラゴン「泊めるというか無理やり泊まると言うか」

13: 2012/08/07(火) 00:37:48.21 ID:lV8yW0NO0
ドラゴン「地図見ればわかると思いますが、この街の西側に大きな森がありますよね」

吸血鬼「ええ、あるわね。かなり広いわね」

ドラゴン「その、丁度真ん中ぐらいですかね。そこにですね、古いお屋敷があるんですよ」

吸血鬼「お屋敷? ヴィクトリア朝のかしら」

ドラゴン「まぁそんな感じの外観ですね。昔この土地一帯を領にしてた領主の屋敷なんですけどね、流行病で親族や使用人達が軒並みいなくなったんですって」

ドラゴン「今は誰も住んでいないんですけど、ここのバカ市長二人、わかりますよね。あの二人が何故か何度も改築工事を進めているらしいんですよ」

ドラゴン「記念館として公開するとか旅館にするとか、っていう話も聞きますが、いまいち真意は不明ですね」

吸血鬼「つまり、今其処に行けばそれなりに暮らすだけの設備はあるってこと?」

ドラゴン「そうですね、わざわざ電気やガスも引いたらしいですし。あの森も切り開いて開発する予定だとか」

吸血鬼「へぇ、情報ありがとう。お金置いておくわね」

ドラゴン「どうも、またいらっしゃってくださいね」

14: 2012/08/07(火) 00:40:16.11 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「うーん、一応丘の上から全貌を眺めてみたけど……」

 ズラッ

吸血鬼「広いわね……」

吸血鬼「でもただで泊まれるならこれぐらいなんのそのよ!」

吸血鬼「さぁ、とっとと見つけてベッドで眠るわよー!」

 夜

吸血鬼「……完全に迷ったわ」

15: 2012/08/07(火) 00:41:49.55 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「うぅ、寒いよ、怖いよ」

吸血鬼「本当なら暖かい布団に包まれて眠ってるはずなのに」

吸血鬼「呪ってやるわ。あの二人」

 ピカッ

吸血鬼「? いま向こうのほうで……光った?」

吸血鬼「あれは……まさか」

 お屋敷正門前。

吸血鬼「……おっしゃー! ついに見つけたわー!」

16: 2012/08/07(火) 00:42:29.48 ID:lV8yW0NO0
 お屋敷

???「……面白いテレビやってないなー」

???「そうだ、シャワー浴びよーっと」

 お屋敷外。

吸血鬼「それにしても大きいわね、一人で暮らすには勿体ないわ」

吸血鬼「まぁでも、狭いよりはマシよ。とっとと汗流してベッドで寝たいわ」

吸血鬼「……でも誰かいるかも。一応、おじゃましまーす」こんこん

 ガチャリ、シーン

吸血鬼「……誰もいないね」

17: 2012/08/07(火) 00:44:16.49 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「とりあえず荷物は、寝室に置きましょうか。おっ、案内の地図がある、どれどれ」

???「あっ、そうだ。新しいシャンプー、キッチンにあるんだっけ」

吸血鬼「左側の階段から上がったほうが早いわね」

???「右側の階段から降りた方が早いかなー……」

吸血鬼「こっちが寝室ね、あら、電気がつけっぱなし。電気代が無駄よ」パチンパチン

???「あれ? 入り口が開けっ放しになってる。閉めないと風が入ってきちゃうよ」ガチャリ

吸血鬼「とりあえず荷物はベッドの下に置いて。って嫌に生活感があるわね。黒と白ったらこんなもの展示してどうしようってのかしら。やっぱ旅館かしら」

???「あったあった。こっちが白姉のシャンプー、こっちが黒姉のシャンプー……あんまり違わないね」

18: 2012/08/07(火) 00:45:25.66 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「そうだ、調理場見ておきましょう。明日の朝食作らないといけないからね」

???「早くお風呂はいらないと……着替え着替え……」

吸血鬼「確か右側の階段から降りて……」

???「左側の階段の方が早いよね……」

吸血鬼「あれ? 私ドア閉めたかしら。まぁいいや。キッチンキッチンと……あらなにこれ、シャンプーの包装紙? お風呂用のかしら」

???「あれ? 電気消してたっけ? よく覚えてないや。お着替えお着替え……あれ? ベッドの下に何か……これお姉ちゃん達が置いてった荷物かな?」

20: 2012/08/07(火) 00:46:30.65 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「……そうだ、シャワー浴びましょうシャワー。今日は久しぶりに運動したから汗かいちゃったわ」

???「お着替えも用意できたし準備バッチシ! お風呂はいろうーっと」

両方「中央の階段の踊り場に……」

 ガラガラ

吸血鬼「大きいわねー。やっぱ旅館はこうでないと」

???「自動お掃除なんて凄いよね。白姉がつけてくれたんだ!」

吸血鬼「これ自動掃除付きなの!? メンテナンスと電気代が馬鹿にならないわねー」

???「大丈夫だよ、ぜーんぶお姉ちゃん達が払ってくれてるから。時々修理にくるんだ!」

21: 2012/08/07(火) 00:47:21.80 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「いいお湯ねー、生き返るぅー」

???「そうでしょー、でもお姉ちゃん達にはあんまり入るなって言われてるんだ」

吸血鬼「あら、どうして?」

???「子供一人で入ると溺れて危ないんだって、お姉ちゃん達は私のことずーっと子供扱いするの」

吸血鬼「あはは、まだこんなに小さいじゃない。貴方なんてまだまだ子供よ」

???「ぷー、ひどいなぁ。私だって成長してるよー」

吸血鬼「へー、どれどれ、私の胸、触ってみる?」

???「……お姉ちゃんの胸、おっきいなぁ」

吸血鬼「そうでしょ、貴方も私みたいになりなさい」

???「うん、いつかお姉ちゃんみたいな人になるね!」

22: 2012/08/07(火) 00:48:49.47 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「歯ブラシはー……あぁ、買い忘れちゃった」

???「使ってないのがしまってあるよ」

吸血鬼「ありがとう、大事に使わせてもらうわね」

 シャカシャカ

???「おやすみーお姉ちゃん」

吸血鬼「おやすみなさい、えーっと」シャカシャカ

妹「妹だよ!」

吸血鬼「そう、おやすみなさい、妹ちゃん」

吸血鬼「もうちょっと念入りに歯磨こうかしら……ていうか」

妹「もうこんな時間、早く寝ないと……あれ?」

両方「今の誰!?」

23: 2012/08/07(火) 00:50:05.75 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「えっーっと、あなたー……このお屋敷に住んでるの?」

妹「うん、ずっと」

吸血鬼「家族、はいないわよね」

妹「ずっと前に氏んじゃったんだ」

吸血鬼「そう、もしかして白と黒のー……市長さんとは?」

妹「白姉と黒姉? 私のお友達だよ! もしかしてお姉ちゃんも白姉達とお友達?」

吸血鬼「よね、私もあの二人の、まぁ親友よ」

妹「よかった! じゃあお姉ちゃんも私のお友達だね!」

吸血鬼「……えっ? そうね、じゃあ友達でいいかもね」

妹「やったー! 白姉達以外の初めての友達だー!」

吸血鬼「……えっ?」

28: 2012/08/07(火) 00:56:06.52 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「あなた、他に友達いないの? あの二人だけ? 学校は?」

妹「学校? この街義務教育ないよお姉ちゃん」

吸血鬼「あぁ、そう言えばあの馬鹿達が取っ払ったって言ってたわね。ってそうじゃなくて」

妹「だって、私お外に出られないんだもん」

吸血鬼「……お外に出られない?」

妹「私、外に出ると氏んじゃう病気らしいんだ。お日様に嫌われてるんだって」

妹「私お日様のこと怒らせちゃったのかなー?」

吸血鬼(……アルビノ? でも髪の色は普通ね……肌も格別白いってわけじゃないし)

妹「でもお姉ちゃんって吸血鬼さんなんでしょ? お日様嫌いって本に書いてあったよ」

吸血鬼「えっ、あっ、私……いや、私は外に出ても平気よ」

妹「えー、そんなのずるーい」

吸血鬼「でも私がお日様のことあんまり好きじゃないからね、お外に出るのは其処まで好きじゃないな」

妹「へー」

30: 2012/08/07(火) 01:01:09.40 ID:lV8yW0NO0
妹「そういえばお姉ちゃんは何しにやってきたの?」

吸血鬼「えっ? いや、ちょっと泊めてもらおうかなって、泊めてもらえるかしら?」

妹「お泊り? いいよ! でも……」

吸血鬼「でも?」

妹「ベッド一つしかないよ」

吸血鬼「あ、毛布だけ貸してもらえれば床で寝るわよ」

妹「えー、床? そんなの汚いよ。そーだ、お姉ちゃん一緒に眠ろうよ!」

吸血鬼「一緒に? ベッドで? いいの? 狭くない?」

妹「……だって……」

ピーンポーン

吸血鬼「……あら、チャイム?」

妹「はーい、今行きまーす」

32: 2012/08/07(火) 01:07:19.07 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼(こんな時間にたずねてくるなんて、まさか!?)

吸血鬼「妹ちゃん、開けないで!」

妹「えっ、うん、分かった」

???①「妹ー? いないの?」

???②「そんなわけないでしょ、あの子がいなくなるわけないじゃない」

妹(……あれ? この声)

妹「お姉ちゃん、これ……何持ってるの? モップ」

吸血鬼「ドアから離れてね、妹ちゃん」

妹「う、うん」

吸血鬼「でえやあああああああああああ」

バタン

吸血鬼「えいやぁ!」

白天使「うわっ! なにすんだよーいきなり!って吸血鬼?」

黒悪魔「あれ……貴方吸血鬼じゃない」

吸血鬼「……あら、貴方達だったの」

34: 2012/08/07(火) 01:12:44.36 ID:lV8yW0NO0
部屋

白天使「久しぶりー元気にしてたー? 知らない間にこんなにムチムチしちゃってー」ムニムニ

吸血鬼「ちょ、あんまりさわんないでよ! 子供がいるのよ!」

黒悪魔「いいじゃない久しぶりの再開なんだし。妹ちゃんも触る?」モチモチ

妹「やったー! お姉ちゃんが三人もいるー!」

白天使「そうだ食事にしようよ! みんなまだ食べてないでしょ?」

吸血鬼「えっ? でももう歯磨いちゃったし」

白天使「いいのいいの後で磨き直せばいいでしょ。さぁ思いついたが食事食事!吸血鬼も手伝って」

吸血鬼「えっ、ちょっと、なによ」

黒悪魔「妹ちゃんは応接間で待っててねー」

妹「はーい」

36: 2012/08/07(火) 01:18:35.09 ID:lV8yW0NO0
調理場

白天使「吸血鬼ー、白ワインとってー」

吸血鬼「え、あぁはいこれ」

黒悪魔「冷蔵庫には……やっぱり食材買ってきてよかったわね」

白天使「そんなことよりびっくりだよー、まさか吸血鬼とこんなところで再会するなんて」

黒悪魔「本当にそうよ、近々ガーストヒルズに来るって話は聞いてたけどまさかね」

吸血鬼「えぇ、まぁ……それよりあの子、どうしてこんなところで一人で暮らしてるの?」

白天使「いきなり本題に入るねー。姉さん、吸血鬼に話してあげて」

黒悪魔「えぇ、じゃあ外に行きましょうか。あの子に聞かれると困るしね」

吸血鬼「外? あの子に聞かれるとまずいことなの?」

黒悪魔「えぇ、大分ね」

38: 2012/08/07(火) 01:25:56.50 ID:lV8yW0NO0


吸血鬼「くしゅん、やっぱ寒いわね。それで聞かれちゃまずい話って?」

黒悪魔「えーっとね、とりあえずあの子からだいたいの話は聞いてるわよね」

吸血鬼「うん、家族がずっと昔に氏んでるとか、一人で暮らしてるとか、あと直射日光がダメ」

吸血鬼「それにしても酷いわね、あなた達。どうしてこんな森深くで箱入り娘なんかにしてるのよ」

黒悪魔「うー、そう言われると中々反論できないわね」

吸血鬼「どうしてこんな屋敷に置き去りにする必要があるのよ。あれかしら、自然の中で病気を治療する奴」

黒悪魔「……彼女が行きたくないって言ってくるから、と言うか連れていけないのよ」

吸血鬼「それってどういうことかしら?」

39: 2012/08/07(火) 01:34:21.10 ID:lV8yW0NO0
黒悪魔「言っちゃっていいのかしら。いいわよね、うん」

吸血鬼「早く言いなさいよ……」

黒悪魔「じゃあ言うよ。あの子、外に出られないのよ」

吸血鬼「日光のせいでしょ、夜の内に連れていけばいいじゃない」

黒悪魔「……あの子がこの家から出られないのは本当はそういう理由じゃないのよ」

黒悪魔「元々あの子は病気でもなんでもないの。普通の子」

黒悪魔「あの子の両親がね、そりゃあもうあの子をかわいがっていてね」

黒悪魔「でも家から出したくなかった。外の世界に触れさせたくなかった」

黒悪魔「あの子アルビノじゃあないけど特別肌が白いでしょ?」

黒悪魔「だからあの子の両親はそれを口実にあの子を外に出させなかった」

吸血鬼「……でもそれなら本当の事を教えてあげればいいんじゃないの?」

黒悪魔「……嘘から出た真って言葉あるわよね」

黒悪魔「あの子ね、多分長い間ああやって暮らしてたせいか、その生活習慣的なものなんだろうけど」

黒悪魔「それが狂うとあの子の調子まで狂っちゃうのよ」

40: 2012/08/07(火) 01:41:34.41 ID:lV8yW0NO0
黒悪魔「だから外で暮らすと」

黒悪魔「ご飯が喉を通らなかったり、突然立ってなくなったり。酷いとずーっと寝込んだまま」

黒悪魔「そうね、あの子はこの屋敷と一心同体って言ったほうがわかりやすいかしら」

吸血鬼「……それじゃあここで暮らすしかあの子が生きていく方法はないってこと?」

黒悪魔「……だいたいそんな感じね」

吸血鬼「全部あの子の両親のせいじゃない! なんであの子がそんな命令に束縛されなきゃならないのよ!?」

黒悪魔「なんとかできたら、いいんだけどね。でも私も白と一緒にいろんなこと試したけど、ダメだったよ」

吸血鬼「……悲しいじゃない、そんなの」

白天使「姉さん達ー、応接間に料理運ぶの手伝ってー」

黒悪魔「あぁ、今行くわね」

41: 2012/08/07(火) 01:45:17.77 ID:lV8yW0NO0
応接間

妹「シチュー!」

吸血鬼「……妹ちゃんはシチュー好き?」

妹「うん、大好き!」

吸血鬼「私も大好きよ、シチュー美味しいよね」

白天使「ちょっと盛りつけ手伝ってよー」

吸血鬼「はいはい、お皿取って」

黒悪魔「じゃあ妹ちゃんにはオレンジジュースね」とくとく

妹「わーい!」

43: 2012/08/07(火) 01:52:21.57 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「いただきます」

妹「いただきまーす。えへへ」

黒悪魔「良い食事を」

白天使「ごちそうさま」ごとっ

吸血鬼「ウソッ!? はや!?」

白天使「姉さんおかわりよそって」

黒悪魔「ちょっとはゆっくり食べたらどうなの?」

妹「もぐもぐ、えへへ、美味しいなー」

吸血鬼「うんうん、このシチュー美味しいわね。白ったら料理上手じゃない」

白天使「やっぱ? いやー自分でもそうだと思ったんだよねー」

妹「お姉ちゃんもお料理上手?」

吸血鬼「私? うーん どうだろう。あんまり作ったこと無いからねー」

44: 2012/08/07(火) 01:55:40.15 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「ふー、お腹いっぱい」

妹「おいしかった~」

白天使「じゃあボク達はお風呂入ってくるよ」

黒悪魔「妹ちゃんは先に眠っててね?」

妹「はーい」

寝室

吸血鬼「さぁ、明日の準備しないと」

妹「……お姉ちゃん」

吸血鬼「なに? 妹ちゃん」

妹「お姉ちゃん、明日帰っちゃうの?」

吸血鬼「……あっ」

45: 2012/08/07(火) 02:04:41.02 ID:lV8yW0NO0
「あの二人、仲良くやっていけるかなー」

湯船に浸かった天使は、そう不安がるようにぼーっと天井を見上げている。
悪魔はそんな彼女を安心させるように、彼女の腰に右手を付け抱き寄せる。

「あの二人なら平気よ。吸血鬼のことだから絶対いいお姉ちゃんになるわよ」

そう言いながら悪魔は天使の秘部に左手を回す。右手を腰のラインからぷっくりとした乳首にスライドさせ、指で優しく刺激する。
天使は快感の艶声を上げて、身体をくねらせてよがる。

「さぁ今日は寝かせないわよ」

湯船に浸かったまま二人は向きあい、抱きかかえ合う。
秘部と秘部をこすり合わせると双方が甘い声を漏らし、唇と唇を合わせると二人の心が交じり合っていく。

「好き、好きだよお姉ちゃん」
「私もよ、白」

天使は強く悪魔を抱きしめる。悪魔はそれを受け入れるように彼女の背中を擦る。

46: 2012/08/07(火) 02:08:29.84 ID:lV8yW0NO0
妹「やだ、やだよ! お姉ちゃん帰っちゃやだ!」

吸血鬼「でも、私旅の途中だし」

妹「そんなのいいじゃん! ずっとここで暮らそうよ! お姉ちゃんじゃないと嫌なの!」

妹「黒姉も白姉も一緒に暮らしてくれなかった! お姉ちゃんしかいないの!」

妹「お姉ちゃんが欲しいの! お姉ちゃんと一緒じゃなきゃ嫌なの!」

妹「お姉ちゃんになってよ! 私の本当のお姉ちゃんに!」

吸血鬼「妹ちゃん……」

妹「それじゃなきゃ、嫌だよ……ぐすん」



吸血鬼「妹ちゃん、そのバック開けて?」

妹「……バック……」ジー

吸血鬼「それ、私のバック」

47: 2012/08/07(火) 02:13:09.40 ID:lV8yW0NO0
吸血鬼「それのね、どれだっけ。二番目のチャックだったかな」

吸血鬼「そこの中にあるもの、取って?」

妹「二番目のチャック……」

妹「なぁにこれ、絵本……?」

吸血鬼「それはね、私のお姉ちゃんが私にくれた絵本」

妹「お姉ちゃんの、お姉ちゃん?」

吸血鬼「そう、私にもね、昔お姉ちゃんがいたの」

吸血鬼「そのお姉ちゃんが私に最初にくれたプレゼント」

吸血鬼「その絵本妹ちゃんにあげるよ」

妹「いいの……? だってこれ」

吸血鬼「私が妹ちゃんにあげる最初のプレゼント」

吸血鬼「姉妹のしるし、私が貴方のお姉ちゃんになってからの最初のプレゼント」

妹「お姉ちゃん……お姉ちゃん!!」ぎゅー

吸血鬼「これからも一緒だよ、妹ちゃん!」

48: 2012/08/07(火) 02:18:51.39 ID:lV8yW0NO0
――

吸血鬼『――こうして不幸な少女は最後に、大好きな人に連れられて天国へ旅立ちましたとさ。おしまい』

吸血鬼「どう? 面白か……あら、寝てる」

妹「スゥ、スゥ」

吸血鬼「ふふ、可愛いなぁ」ぷにぷに

妹「えへへ、くすぐったいよぉ」むにむに

吸血鬼「ふふ、おやすみ」

妹「おやすみ……お姉ちゃん」

――数刻後

吸血鬼「……なんか暑苦しいわね? どうしてかしら」

白天使「えへへー吸血鬼柔らかいー」

黒悪魔「いいだきごこちー……」

妹「うぅーん……あついよぉ……」スゥスゥ

吸血鬼「……先が思いやられるわね。はぁ~……」

49: 2012/08/07(火) 02:21:22.76 ID:lV8yW0NO0
これで終わりですお。

ここまで読んでくれてありがとうだお。世界観や単語の説明を全くしなくてすまんかった。

51: 2012/08/07(火) 02:23:59.61 ID:lV8yW0NO0
一応吸血鬼と白黒姉妹の出会いと言うかそっちの構想もあったけど
それはまた今度立てるかもしれないかもしれないです。

56: 2012/08/07(火) 02:31:08.57
そうか
おやすみ

57: 2012/08/07(火) 02:43:04.31

引用元: 妹「お姉ちゃん!」姉吸血鬼「なぁに妹ちゃん?」