1: 2015/05/05(火) 21:16:16.466 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「バカ言わないで!」ゲシ

P「あう」

伊織「冗談にしても笑えないわよ!10歳も間違われたら」

P「…」

伊織「レディーに年齢のことでからかうなんて無神経にほどがあるわ」

P「…」

伊織「なんとか言いなさいよ」

P「嘘じゃ…ないよ…」

2: 2015/05/05(火) 21:18:43.191 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「なにがよ」

P「お前は26歳だ」

伊織「…まだおちょくる気?」

P「自分の体を見てみろ」

伊織「何が………って…え…体が、大きい?」

P「…」

伊織「胸も…変わって……う、うそ、どういう、こと?」

P「お前は…10年間眠っていたんだ」

伊織「……は?」

5: 2015/05/05(火) 21:22:52.647 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「ば、ばかね、こんな手の込んだドッキリ…」

P「俺の顔を良く見てみろ」

伊織「……目に、小じわが?」

伊織「なんだか老けて…」

P「お前の知っているプロデューサーはこんな奴じゃなかっただろ?」

伊織「それにここ…」

P「病院だ。つい先日までチューブなんかいっぱいついてたな」

伊織「…」

7: 2015/05/05(火) 21:27:15.353 ID:FzdFdNnN00505.net
P「やっぱりすぐには状況がつかめないよな」

伊織「…」

P「どこまでの記憶がある?」

伊織「確か…午前中に仕事が終わって…事務所に帰るとき」

P「律子が寄るところがあるから途中で車から降りて歩いて事務所に向かったんだよな」

伊織「そうよ…。信号を渡ろうとしたらなにか一瞬痛みが走って…」ハッ

P「思い出してきたか…」

9: 2015/05/05(火) 21:31:16.011 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「まさか…」

P「信号無視の車が突っ込んできたんだ…。お前以外にも怪我人がたくさん出た」

P「たまたま事務所にいた雪歩がパニックになりながらも救急車を呼んで」

P「ぐったりしているお前を抱きかかえながら泣きじゃくって…」

P「律子もな、自分を責めたよ。あそこで車から降ろさなきゃ事故に遭遇しなかった」

P「眠っているお前の前で何度も土下座した。…見ている俺も辛かったよ」

10: 2015/05/05(火) 21:35:29.681 ID:FzdFdNnN00505.net
P「毎日見舞いに来た。どんなに忙しくても」

P「自分のなけなしの給料をお前の親父に渡しにも行った。治療費の足しにしてくださいって」

P「向こうも律子を攻めてるわけじゃなかたんだがな」

P「勿論他のアイドルも冷静じゃなかった。千早なんか何度か仕事キャンセルしてまで通ってな」

P「伊織に歌を聞かせたんだ。それも日が暮れるまで」

11: 2015/05/05(火) 21:40:02.792 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「そういえば…夢の中で千早に歌を聞かせてもらってたわ」

伊織「それがとても心地よくて…千早に膝枕してもらってて」

P「ちゃんと届いてたんだな…千早が聞いたら喜ぶよ」

P「歌ってる間容態が安定してたのは本当だったんだな」

伊織「千早…」

P「響なんかペット総出で見舞いに来てたぞ」

P「看護師にとめられても頑として聞き入れずにな」

P「ワンワンガオガオやかましくて他の病室から苦情が来てさ」ハハ

12: 2015/05/05(火) 21:45:20.324 ID:FzdFdNnN00505.net
P「雪歩は絵本を読み聞かせていたな」

P「いつか目が覚めるかもしれない。辛抱強く続けていたよ」

P「時々涙浮かべながら朗読してて…。あれは胸が痛んだ」

P「亜美たちは体中くすぐっていたな」

P「もしかしたら「コラッ」って怒ってくれるかもしれないって」

P「……やりすぎで伊織が漏らしてしまったこともある」

伊織「あんの双子…」

13: 2015/05/05(火) 21:49:28.520 ID:FzdFdNnN00505.net
P「毎年伊織の誕生日にはみんなでお祝いしたな」

P「春香が用意したでかいケーキもすごかった…が」

伊織「が?」

P「どのみち伊織が食べられないからほとんどは貴音が平らげた」

伊織「…」

P「まあ…そんなこんなで経過を見守ってたが…事務所もそれなりに忙しくてな」

P「だんだん…皆病室から遠ざかってた」

P「嬉しい反面…伊織を置いていっていいのか…葛藤もあった」

14: 2015/05/05(火) 21:51:43.431 ID:FzdFdNnN00505.net
伊織「…聞いていい?」

P「ん?」

伊織「みんなは……どうなったの?」

P「…やっぱり聞きたいか?」

伊織「…」コク

P「全員が…順風満帆とは行かないがな」

15: 2015/05/05(火) 21:58:00.192 ID:FzdFdNnN00505.net
P「春香は体の張れるアイドルとして芸人と肩を並べる成長を遂げた」

伊織「アイドルの仕事しなさいよ…」

P「今は情報番組のコメンテーターとして活躍中だ」

P「千早は類まれなる歌唱力でブロードウェイのミュージカル、それも主役に抜擢された」

伊織「すごいじゃない!」

P「海外にもその実力が評価された。しかも…」

伊織「?」

P「77センチになった」

伊織「…」

P「…」

伊織「マジ?」

P「マジ」

21: 2015/05/05(火) 22:04:15.700 ID:FzdFdNnN0.net
P「真はその身体能力を生かしてスタントマンも兼業」

P「…アイドルは引退して後輩の育成に力を注いでいる」

伊織「真…」

P「雪歩はアイドルのかたわら実家の会社の秘書をしている」

P「今のその会社の社長は雪歩の親父の一番弟子だ」

伊織「もしかして…」

P「ああ、めでたく一番弟子とゴールインだ」

P「雪歩のやつ、出なくて良いのに現場で陣頭指揮を取ってるんだから」

P「アイドルと両立してるのほんと尊敬するよ」

22: 2015/05/05(火) 22:10:29.816 ID:FzdFdNnN0.net
P「美希は順調にトップアイドルの地位を築いている」

P「亜美と真美は人気絶頂の中引退」

P「伊織のためになにかしたいって必氏に猛勉強」

P「二人ともここの外科医として働いてる」

P「響は盲導犬のトレーナーとして」

P「貴音は「伊織を残して笑顔にはなれない」って言って故郷に帰った」

P「こんなところか」

伊織「…」

24: 2015/05/05(火) 22:15:27.367 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「あずさとか忘れてるわよ」

P「おっと。あずささんは一般男性と結婚して家庭を築いている」

P「律子は今も変わらずプロデューサー業」

伊織「小は?」

P「…小鳥さんは…」

伊織「ちょ、ちょっと」

P「っ…」グッ

伊織「そんな…」ジワ






P「独身こじらせて婚活を現在進行形で絶賛活動中だ」

伊織「…」ガスガス

P「いたいいたい!すまなかった!」

28: 2015/05/05(火) 22:21:56.752 ID:FzdFdNnN0.net
P「あ、でも結婚相手の目途はついてるって言ってたな」

伊織「年齢も危険水域に迫ってるでしょ?相手はいい人なの?」

P「この前「今度ちょっとした集会があるんだ。一緒に行かないか?」って誘われたって」

伊織「………それ、やばいの引いたわよ」

P「だよなあ」

P「まあ本人すごく嬉しそうだったから無理に止めようとは思わんが」

伊織「…」

P「?」

伊織「10年…あまりにも失った時間が大きいわ」

P「…」

29: 2015/05/05(火) 22:27:48.052 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「みんなと笑いあって……活躍を間近で見て」

伊織「…誕生日…一緒に祝いたかったっ…」ポロ

P「…」

伊織「私の中の時間は10年前で止まったまま…」

伊織「この世界でわたしだけ取り残されたような感覚で…」

伊織「もっとしっかり周りに注意を払っていれば…事故にも遭わなかった…貴音が引退することもなかった」

伊織「ほんとに……迷惑かけてばかりで…うっうっ」ポロポロ

P「…伊織」

30: 2015/05/05(火) 22:34:05.912 ID:FzdFdNnN0.net
タッタッタッ

やよい「伊織ちゃん!!!」ガラ

伊織「や……よい……?」

やよい「やっと…やっと、起きたんだね」ギュウ

伊織「…」

P「さっき俺が連絡入れたんだ」

やよい「何が起きたかわからなくて……怖かったよね?」

やよい「どうしようもなく寂しくて、泣いたんだよね?」

やよい「でも…大丈夫、伊織ちゃんにぽっかり開いた大きな穴は…わたしが埋めてあげるから」

やよい「だから…全部投げ出そうなんて思わないで?」ウル

伊織「……やよい、大きくなったわね」ナデ

やよい「ふえ?」

伊織「背も伸びて…昨日とは見違えるほど別人で…綺麗になったわ」

やよい「そっか…伊織ちゃんにとっては「昨日」なんだよね…」

32: 2015/05/05(火) 22:38:45.829 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「ふふ…なんだか親戚のオバサンみたいな気分だわ」

やよい「伊織ちゃんとそんなに年は変わらないよ?」

伊織「そうね………ほんとうに、ありがとう」ギュ

やよい「…うん」

春香「伊織!」ガラ

千早「水瀬さんが!」プルン

美希「でこちゃんが!」

真「目覚めたって!」

雪歩「聞いたよ!」

35: 2015/05/05(火) 22:45:09.846 ID:FzdFdNnN0.net
亜美「こらこらー、医者の亜美たちを差し置いて病室に乗り込むなんてー」

真美「まったくしょうがないですなー」

伊織「…ふふ」

亜美「なにさー」

伊織「あなたたち…白衣似あってないわね」

真美「目覚めるなり言ってくれるねー」

春香「うう…ほんとに良かったよ」

伊織「春香…髪伸ばしたのね」

伊織「真…アスリートみたいに引き締まってるわ」

伊織「美希は、変わらずバカっぽいわね」

美希「むー」

伊織「…千早は…うん、変わった」

千早「?」プルン

36: 2015/05/05(火) 22:51:54.529 ID:FzdFdNnN0.net
響「伊織が…起きたって…」エグ

あずさ「飛んできちゃったわ」

律子「…」

伊織「律子…」

律子「……わたしを、許してくれる?」

伊織「あれはわたしの不注意よ。誰かに八つ当たりするほど馬鹿じゃないわ」

律子「…それでもっ…申し訳なくて…」グス

伊織「ほら…」ギュ

律子「い…伊織ぃ…!」ポロポロ

貴音「まことに素晴らしきことですね」

全員「!!??」ビクン

P「た、貴音!?いつから!?」

貴音「伊織が目が覚めたときからずっとですが?」

伊織「忍者…?」

38: 2015/05/05(火) 22:56:17.807 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「…ショートカット、なんだか新鮮ね」

貴音「たとえ外見が変わろうとも、わたくしは四条貴音です」

貴音「それは伊織も同様です」

雪歩「で、でも…10年前とほとんど「変わってない」…?」

響「まるで時間が止まってるみたいな…」ゴク

真美「異世界人…?」

貴音「はて?なんのことでしょうか」

全員(一体何者なんだ…)

39: 2015/05/05(火) 23:03:06.768 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「………みんな」

伊織「…ただいま」ニコ

雪歩「…うぅ~」グス

響「お帰りだぞ~」ズビー

あずさ「あら…涙もろくなっちゃってるわ」ウル

真「こういうときはどんどん泣いていいんですよ」

美希「美希だってこの10年で一生分泣いたよ!」

伊織「偉そうに言わない」ペチ

美希「…10年ぶりに怒ってくれたぁ」ウエエン

40: 2015/05/05(火) 23:08:58.272 ID:FzdFdNnN0.net
伊織「さーて、あんたたちの「土産話」、たっぷり聞かせてもらうわ!」

真「お、いいね!」

千早「なにせ10年だもの。両手で収まりきらないほど話したいことがたくさんあるわ」

亜美「ふふーん、嬢ちゃん、今夜は寝かさないぜ?」

美希「春香の熱湯風呂ギネス記録挑戦聞きたい?」

春香「ちょ、その話はNG!!」

P「はは…スケジュール調整しないとな」

伊織「わたしたちの物語、まだまだこれからよ!」



41: 2015/05/05(火) 23:16:09.287
ピ、ピヨ…

42: 2015/05/05(火) 23:18:27.035
小鳥はだまっててね!

43: 2015/05/05(火) 23:24:27.299

引用元: P「伊織、26歳の誕生日おめでとう!」