1: 2015/11/25(水) 05:08:54.120 ID:mtBWrPsf0
女「あたしは飛び降り」

おっさん「ガス中毒」

JK「おーでぃー」

男「三人とも参加者みたいだな」

男「そして、俺は首吊り」

女、おっさん、JK「オッケー」

男「…夜も更けてきたな。よく集まってくれた」

おっさん「みんなえらい重装備だな。誰が誰だか分からんくらいだ」

男「今から山奥に向かうんだぞ?そんな軽装だと凍える。あんたが言ったんじゃないか」

男「それでみんな準備はいいな?」

おっさん「お前用のロープと」

おっさん「睡眠薬やらカフェイン剤やら知り合いから調達してきた」ジャラジャラ

JK「わたしのね。ありがとう、でもそんなに必要?」

おっさん「おいおい、これでも足りるか分からないぞ」

2: 2015/11/25(水) 05:09:15.610 ID:mtBWrPsf0
女「あたしは4mのホース、ガムテープたくさん、懐中電灯、ガソリンそれから」

女「念のため練炭も」

男「フン。自分で使わないのによく用意してくれて助かるぜ」

女「大したことじゃないさ」

おっさん「…この中で一番行動しやすいのは女だそうだしな」

JK「ありがとう。私はお菓子とか色々持ってきたよ」

おっさん「ピクニックじゃねえんだから」

男「使うものだけじゃない。手紙とか大切なものとか」

三人「大丈夫」

男「それなら行こうか」

おっさん「運転どうする?」

男「俺の方が道に詳しい。俺がやる」

おっさん「そうか、頼んだ」

3: 2015/11/25(水) 05:09:37.095 ID:mtBWrPsf0
--車内にて

四人「………」

男「…どうせ最後だ。こう辛気臭くなっても仕方ないんじゃないか?」

おっさん「運転に集中しろ。ここで事故られたら困る」

男「うるさいな」

四人「………………」

男「…自己紹介くらいしてもいいんじゃないか」

男「おっさん以外は初対面みたいだからな」

男「せめて、その3人はどういう関係なのかくらい知りたいもんだ」

女「あたしも、おっさんとJKがどういう関係なのかは知りたいね」

JK「じゃあ男さんから反時計回りでどうかな」

男「…フン。俺の名前は男だ」

男「おっさんは知ってるとは思うが、俺は例の掲示板でこの話を見て知った。はい、次」

おっさん「随分短いな…。俺はおっさん。年は…いいだろ。平凡なリーマンやってた」

おっさん「女さんとはバーで知り合った。JKとは、その」

男「なんだよ」

JK「円よ、円光で出会ったの」

女「へぇ…やっぱあたし男を見る目無いのかな」

男「…フン」

5: 2015/11/25(水) 05:10:10.296 ID:mtBWrPsf0
女「あたしは女。23歳、大学生よ。先ほどのとおり、おっさんとはバーで出会ったの」

女「丁度本当に辛いときで相談とかすごく乗ってくれて、それで」

女「この話を聞いたときも、悪くないかなって思ったのよ」

女「どうせ裏切られて傷ついたまま生きていくくらいなら…」

男「なんの話だか知らないが、次いってくれ」

女「ちょっと最後まで…」

JK「わたしはJK。年は…フフ言えないかな。」チラ

おっさん「う…」

女「クズね」

男「違いない」

おっさん「なんとでも言え」

JK「実はこの話、わたしがおっさんに持ちかけたのが最初なんだよ」

女「え…?」

男「みんなで…なんてガキの考えそうなことだもんな」

JK「うるさいなぁ。話に乗ったくせに」

男「あぁ俺もガキだしな」

おっさん「その流れなら俺もガキか。…正確にはJK発案じゃないがな」

JK「大体そうでしょー?」

おっさん「ま、誰が考えようが、俺たちには魅力的な話だったじゃないか」

女「それはそうだけど…」

男「フン」

7: 2015/11/25(水) 05:10:54.349 ID:mtBWrPsf0
四人「………」

おっさん「何も話すことが無いなら少し良いか?」

男「なんだ?」

おっさん「お前ら、何で氏のうと思ったんだ?」

三人「………」

男「俺はともかく他の二人についても知らないのか?相談に乗ったんだろ?」

おっさん「明確な理由は、な。慰めるには辛さだけを分かってれば十分だろう?」

おっさん「…だが今はもう慰める時じゃない」

おっさん「別れの宴のツマミにでもしようじゃないか。ハハハ」

男「悪くない」

女「そうね。おっさんの理由も知りたいし。あんたとJKは飲んじゃダメだけど」

男「チィ・・・この際法律なんてどうでもいいじゃねぇか…」

おっさん「特にお前には事故られちゃ困るんだよ」

JK「…」

男「…JK、話したくなかったら、別にいいぞ」

JK「…ううん、大丈夫」

8: 2015/11/25(水) 05:11:33.282 ID:mtBWrPsf0
女「あたしは単純な理由よ」

女「彼に裏切られたから」

男「…それだけか?」

女「何よ!わたしにとっては彼しかいなかったの」

女「心から信頼してたし、愛ってこういうことなんだと思ってた」

女「なのに彼は浮気をしてたの。それどころか私なんてただのセフレの一人…」

女「挙句の果てに…あいつはあたしの目の前で、若い女の子と…!」

男「とんだクズだな…そんなヤツのために氏んでいいのか?」

女「そんなんじゃない。あたしはずっと…それだのに…彼にとっであたじは…うぅっ…」グスン

男「俺ならそいつに復讐するけどなぁ」

女「うるざい!!あんたに何が分かるっての!?彼は悪くないの…悪いのはあたし…あの時あ

たしが喧嘩じて酷い事を…ひっく…」

男「いや、そんなつもりじゃ…ただ俺は」

おっさん「男君、もうやめておき。彼女には彼女の事情が…」

男「そうだな、すまない」

JK「女さんも落ち着いて?」

9: 2015/11/25(水) 05:12:22.243 ID:mtBWrPsf0
女「…取り乱してごめんね。少しアルコールが回ってたみたい。でもそうね、あたしの理由は

他の三人に比べたら、軽いんでしょうね」

おっさん「軽いも重いもないよ」

男「…どうかな」

男「見方によっちゃ、俺はこの中で一番軽い理由だろうな」

男「俺には強いて氏ぬ理由なんてない」

おっさん「なら、どうしてここにいる?」

男「決まってたことだからだ」

おっさん「よく分からないな」

男「気づいた時からこうなってた」

男「できるだけ若い内に誕生日で自頃する」

男「もういつから考えていたのか分からない。定めみたいなものだ」

JK「中二病ですか?」

男「そうかもしれんな…止められないんだ」

女「バッカじゃないの?」

男「どうかな、みんな経験があると思うんだ。ふと今氏んでもいいんじゃないかと思う瞬間が



男「それが強烈に来るんだ。あとは決断のときを待つだけだった」

JK「わたしは分かるかもしれないな…」

おっさん「若い時は多かれ少なかれ考えるかもしれん」

10: 2015/11/25(水) 05:12:55.888 ID:mtBWrPsf0
おっさん「そんな理由で…親が悲しむぞ」

男「母親とは会ったことが無い。父親は今年亡くなった。それまで待っていたんだ」

女「兄弟とか恋人とか友達とか、いるでしょ?」

男「もう何年も転々としてな。旧知の友達とは音信不通だよ」

男「兄には謝った。殴られたさ。だが、あいつは関係ない」

女「恋人は…?」

男「…フッたさ。申し訳ないことをした。」

女「!!………」

男「だが、氏んだら俺には関係ないことさ」

女「そんなの自分勝手だよ!!」

JK「でも、そーじゃない?氏んだらだーれも関係ないの。自分さえも」

男「そうだ、氏んだら全部無になるから関係ない」

女「でも!!」

JK「だから、わたしたちここにいるんじゃない?女さんにだって友達とかいたでしょ?」

JK「こんなこと友達が知ったら悲しむよ」

女「それは…そうだけど…」

JK「ね、わたしがどうして氏にたいかっていうとね」

男「…話して良いのか?」

JK「うん」

12: 2015/11/25(水) 05:13:50.564 ID:mtBWrPsf0
K「わたしは辛いと思ったら…ううん、氏にたいと思ったなら氏んじゃえば良いと思うの」

JK「この世の中、ちょっと裏を覗けばドス黒いことだらけ」

女「ちょ、それってもしかしておっさんのせい?」

JK「フフ、そーかも」

おっさん「おい…」

JK「ウソだよ。私にとっておっさんはむしろ光だったの」

JK「円光なんていう黒い世界の中ではね」

おっさん「…」

JK「でも私にとっては、円光だって逃げ場だったの。もっともっと辛いことたくさんあった」

おっさん「…」

JK「ね、氏んでその辛いこととか黒さとかから解放されるならわたしはそれで良いと思うの」

JK「みんな怖がって直視しようとしてないけど」

JK「氏後の世界の方が、今よりきっと良いと思うよ?」

JK「みんなはどう思う?」

男「お前も中二病じゃねえか」

JK「あはは、そうかも」

14: 2015/11/25(水) 05:14:32.750 ID:mtBWrPsf0
JK「辛いから氏ぬ。わたしも単純だったねっ」

女「みーんな逃げたいだけなのね、結局」

JK「そーそー!でも悪いことじゃないよ」

男「…氏ねば、何も関係ないからな。それじゃ最後におっさんの話を聞こうか」

JK「ねー、外真っ暗。だいぶ山奥まで来たね?お化けとかでちゃいそう」

JK「そろそろ着くんじゃない?」

男「いや、この辺はまだ車通りがあるらしい。目的地まではもう少しかかる」

女「それでおっさんの話は?」

JK「あー!お菓子とかもうなくなりそう…」

JK「こんなに遠いならお菓子もっと持ってくればよかったぁ」

おっさん「JK、遮らなくても大丈夫だ」

JK「…わたしおっさんの話は聞きたくないな」

おっさん「みんなの話を聞いた以上、そういうわけにもいかんだろう」

JK「…」

15: 2015/11/25(水) 05:15:43.090 ID:mtBWrPsf0
おっさん「…この世が辛いことだらけなのは否定しない」

おっさん「だけど辛いから氏ねばいい、そんな単純な話じゃないと思うぞ」

JK「ちぇ…またその話」

おっさん「それに…俺は自ら氏んだら地獄に行くと思う」

おっさん「お前たちにはその覚悟があるのか?辛いところから逃げるというのにもっと辛いと

ころへ行く」

JK「わたしそういう宗教信じてないもん」

おっさん「可能性の問題だ、そういう可能性もあると考えてみろ」

JK「信じてないもん。万が一そうなったら地獄からだって逃げればいいじゃん」

おっさん「…」

女「あたしは彼と居られないならそれ以上辛い世界は無いと思うの。地獄だってヘーキよ」

おっさん「どうだか」

男「…俺は逃げたんじゃない。幸せだって捨ててきた。地獄に落ちたとしてもそれもまた運命みた

いなもんだろう」

おっさん「…君は本当はもっと違う理由があるんじゃないか?」

男「何も無いぞ。それよりおっさんの話は?」

16: 2015/11/25(水) 05:18:05.444 ID:mtBWrPsf0
おっさん「実はな、俺は正確に言うと自頃しに来たんじゃないんだ」

JK「ちょっと!!」

おっさん「まぁいいじゃないか」

男「おい、どういうことだ?」

おっさん「他殺されに来たんだ。いや、自殺といえば自殺なんだが」

女「ちょっと、初耳よ。どういうこと?」

男「意味が分からない。ただの無理心中だとばかり…」

おっさん「俺はお前らとは違う。明確な氏ぬ理由がある」

おっさん「俺は氏ななくちゃいけない。たとえ地獄に落ちるとしても」

男「…金か」

おっさん「そんなところだ」

おっさん「俺だけは事情が違う。だからこそお前らには少し考え直して欲しいんだ」

男「要らん説教だな。俺に運転させこれから氏ににいくというのに。というかJKは知ってたの

か」

JK「…最初は二人の計画だったからね」

男「てか、あーそうか、だから氏因が"ガス中毒"だったんだな。一番無理心中っぽくなりそうな」

男「わざわざあんな苦しそうな氏因を選ぶ奴の気が知れないと思ってたんだ」

おっさん「…」

18: 2015/11/25(水) 05:19:34.515 ID:mtBWrPsf0
女「お金なら私たちに保険かければよかったのに」

おっさん「それじゃ俺が殺人者扱いだ。入ってくる金も入ってこない」

女「そっか。なんだか可哀想ね。おっさんだけ逃げるんじゃなくて、立ち向かってる」

おっさん「借金といえば可哀想じゃなくなるかな。全部自分のせいさ」

女「また騙されそうになったわ。クズね、ホント」

おっさん「ああ、だが…いや、ある意味俺も逃げてるのかもしれないな」

おっさん「地に這いつくばって虫ケラのようになってでも生きてくという選択から」

おっさん「だが結局、その選択をしても娘を悲しませるだけなんだ…」

おっさん「だったら、娘が少しでもまともな生活を出来るほうを選ばないか?」

おっさん「だがそれも…」

JK「…おっさん、もう、終わるから」

男「おっさん、あんたは立派だよ。少なくとも俺とは違う」

男「クク、だがどうせ無理心中の他殺に見せかけたいなら、俺らに考え直してもらっちゃ困るん

だろう?」

女「そうね、ここに来て偽善者ぶらなくても」

JK「男さん女さん、そんなこと言わなくても」

おっさん「いやそうだな、俺はここでもクズなやり方しか出来てねえ」

おっさん「お前らに考え直して欲しいなんて言える立場じゃねえな。だからこそ、…いやなん

でもねえ」

男「…フン。そろそろ着くぞ」

19: 2015/11/25(水) 05:21:50.098 ID:mtBWrPsf0
--山奥にて
JK「着いたー!真っ暗!」

女「ほんと、真っ暗ね。月明かりも無いから懐中電灯無しじゃ何も見えないわ」

おっさん「じゃ、さっそく準備を始めるぞ」

男「暗いから、坂を下りたところの崖には気をつけてくれよ」

女「あたしは気にしないけどね。飛び降りだし」

男「おいおい、早まるな。準備手伝ってくれないと」

女「はいはい」

JK「それで何をすればいいのかな?」

男「三人は窓際をガムテープで密閉してくれ」

男「俺はマフラーとホースを繋いで密閉してくる」

三人「はーい」

男「出来る限り密閉してくれよな」

22: 2015/11/25(水) 05:24:27.080 ID:mtBWrPsf0
--ガムテ張り
女 チョンチョン

おっさん(なんだ?)

女(彼、どうしよう?)

おっさん(男君のことか?)

女(うん)

おっさん(あれだと止めるのも難しいな。何か隠してるような気もするが、何も知らないのか

?)

女(うん…)

おっさん(時機を見て、説得してくれ。この格好のおかげで向こうはお前のこと勘付いていな

いようだがな)

女(わかった)

JK「なーに、二人でこそこそ話してるのかな?」

女、おっさん「!?」

JK「おっさん、浮気ー?」

おっさん「そんなんじゃないぞ」

女「あの、トイレ行きたくて、でもそのトイレまで遠いし一人じゃ怖いから…」

JK「じゃ、わたしと一緒にいこっか?」

男「おい、トイレか?危ないし、ついていくぞ」

JK「エOチ」

男「…ちげえよ。じゃあ、あっちの方角だからな。間違って崖の方行くなよ。何かあったら叫

んでくれ」

男「まぁここなら人なんて居ないだろうから大丈夫だろう」

23: 2015/11/25(水) 05:28:46.420 ID:mtBWrPsf0
--トイレにて
JK「女さん、トイレ行きたいとかウソついたでしょ?」

女「そ、そんなことないよ?」

JK「わかるよ。あと、車内の話面白かったね」

女「そ、そうかな?」

JK「だって男さんって女さんの元カレなんでしょ?」

女「!」

JK「あの話の感じだと…ふーん?」

JK「ねー、わたし、協力してあげるよ?」

JK「わたしのことにも協力してくれるなら、だけどね」

女「協力・・・?」

JK「女さんの予定と違うことをお願いしたいの」

JK「わたしの予定とも違うけれども…そっちの方が良い」

--車周辺にて
おっさん「女さん、お前のことは気付いてないみたいだぜ」

男「まさか本当にあのサバサバ女が氏にたがってるとはな」

おっさん「お前のせいだぞ」

男「困ったもんだ。あっさり切ってくれると思ったんだけどな」

おっさん「酷いな。どうしてそこまで氏にたがる?本当は別の理由があるんだろう?」

男「あんたには関係ないだろ」

おっさん「ということは、あるんだな?」

男「フン。勝手に想像してくれ。俺は氏ねれば、それでいい」

おっさん「だが、彼女はそれで納得してくれるかな?」

男「さぁな。俺のせいで氏ぬのは可哀想だが、説得しても聞かないならそれまでだ。そういう約束だろ?」

おっさん「確かにそういう約束ではあったが」

男「まぁすべて断って氏ぬのが理想だったんだがなぁ。でも少し楽しいな、こういう氏に方も」

おっさん(男君は完全に氏ぬことが前提となってるな…)

24: 2015/11/25(水) 05:29:57.713 ID:mtBWrPsf0
女、JK「ただいまー」

おっさん「おかえり、大丈夫だったか?」

JK「ヘーキ」

男「車の隙間という隙間にガムテ張るぞ、意外と時間が過ぎている。早くしないと夜が明けちまう」

男「最後に入るから後ろの右ドアだけは開けといてくれ」

JK「これ、どれだけ張ればいいの?」

男「少なくとも必氏な感じが出したいな」

男「無理心中にしたいんだろ?巻き込むからにはそれなりの氏にたさの演出が必要だぜ?」

おっさん「あぁ、そうだな」

男「ところで、その二人の計画はどうなってたんだ?」

おっさん「単純だ。俺がJKに縛ってもらって、排ガス中毒だ。あとはJKに俺を巻き込んだ遺書を書いてもらう」

おっさん「そうすれば無理心中扱いになるんじゃないか?」

男「だいぶ適当だな。どうだか」

25: 2015/11/25(水) 05:31:25.442 ID:mtBWrPsf0
JK「よーやく終わったね。この車掃除するのめんどくさいだろうなぁ…」

男「フン。どうせ俺たちは二度と使わないだろ」

JK「アハハ、そーだね」

女「それじゃあ…」

JK「氏ぬ?」

男「…楽しくなってきたな。最後に段取りを確認するぞ」

男「車内に三人が入る。それから、女がガムテープで最後の扉を閉める」

男「あとは自由だ。先に氏にたい奴から」

おっさん「氏ぬ、と」

JK「メールと変わらないね。りょーかい」

女「あの、ちょっと待って。崖の場所、最後に確認したいな」

男「そうだな」

おっさん(…頼む、二人とも上手く行ってくれ

26: 2015/11/25(水) 05:33:33.073 ID:mtBWrPsf0
--車付近にて
おっさん ガサゴソ

JK「なーにしてるの?」ガサゴソ

おっさん「最後にちゃんと密閉されてるか確かめてたんだ」

JK「ふーん?」

おっさん「お前こそ何してるんだ?」

JK「トランクから車内に荷物移してたの。ロープとか色々。使うでしょ」

おっさん「そうか、助かる」

おっさん「なぁ、ついにこの時が来てしまったな」

JK「おっさん、本当は氏にたくないんでしょ?」

おっさん「あぁ…氏ぬのは怖い。だが、氏ななくちゃいけないんだ」

おっさん「…」

おっさん「お前のためにもな」

JK「っ…!」

JK「おとうさん…」

おっさん「その呼び方はやめろ、二人に聞かれたらどうする」

JK「いいもん。円光にしたって親子にしたってどっちにしろ、こんなとこいる時点でサイテーだよ」

27: 2015/11/25(水) 05:36:11.232 ID:mtBWrPsf0
おっさん「今まで辛い思いばかりさせてしまったな。俺がもっと早く決断していれば良かったんだ」

おっさん「…あぁ…だが、お前のお母さんにすまないな」

JK「それはどっちのお母さん?」

おっさん「本当の、さ」

JK「ねぇ、おとうさんはどうして浮気なんかしたの?」

JK「あんな暴力女と。ねぇ?」

おっさん「本当にすまない…俺はどうしようもないクズだ」

JK「…でももういいよ。全部辛いことも、今日で終わりだから」

JK「ね、そうだよね?」

JK「自分だけ辛いことから逃げようなんて思ってないよね?」

おっさん「ああ、俺だけ逃げるわけにはいかねえよ。氏のう」

JK「よかった…車内であんなこというから心配してたの」

おっさん「なんのことだ?」

JK「フフ、もう良いの」

JK「ねぇ…ところで男さんにはあんなテキトーな理由で氏んで欲しくないと思わない?」

おっさん「男君には男君の事情があるんだろう」

おっさん「ってお前…それ…」

28: 2015/11/25(水) 05:37:45.574 ID:mtBWrPsf0
--崖付近にて
男「この辺から」

男「地面を照らして慎重に歩け。黄色いバツ印が見えたらそこからあと3歩だ」

女「そう…あたしついに氏ねるのね」

男「俺たちの車のドアを封じたら、な」

男「なぁ、本当に良いのか?」

女「…何が?」

男「お前の、そのつまらない彼氏のために氏ぬなんて、すごくつまらないと思わないか?」

女「つまらないわよ」

男「だったら止めておけ」

女「嫌といったら?」

男「…強いて止めはしない。嫌じゃなくなったら、この黄色いバツ印で左に曲がれ」

男「等間隔でバツ印がつけてある。辿っていけば道路にでる」

男「山下りは大変だろうが1時間半も歩けば少し電波が通じるようになる。そしたら」

女「何?車内で情が移ったの?ここまで来たからにはあたしはここから落ちて氏にたいんだけど」

女「それとも何か別の事情でも?」

男「…フン。お前だけは勝手に出来る。勝手にしろ」

女「言われなくてもそうさせてもらうわ」

男「じゃあ、戻るぞ。最期のときだ」

女(予定では…ここで男に正体を明かしして揉めるはずだった…でも今はJKちゃんのことを信じよう…)

30: 2015/11/25(水) 05:43:51.938 ID:mtBWrPsf0
--車周辺にて
おっさん「お、おかえり」

男「ただいま」

おっさん ok?

女 フルフル

おっさん(…そうか)

JK「それじゃー、レッツ乗車!」

JK「地獄まで行きましょ!」

男「できたら地獄には行きたくないがな」

おっさん「なら氏ななければいいじゃないか」

男「まだ言うのか。そういう問題じゃない」

JK「女さん、車内の準備は整ったわ。お願い」

男「女、例のことだが、考えろよ」

女「みんなと一緒に行くから安心して」ニッコリ

男「おい…」

女「それじゃあ、みんな、最後の扉閉めるからね」ビーー

男「…」

女(みんな、生きてね…)

31: 2015/11/25(水) 05:50:01.303 ID:mtBWrPsf0
--崖付近にて
女「うぅ…暗くて怖いな…」

女「JKちゃんの言う通りにすればきっと…」

女「いや、でも……」

--回想--トイレにて
女「協力って何をすれば良いの?」

JK「簡単な話」

JK「でもその前に」

JK「どうしてわたしが、男さんと女さんのことわかったと思う?」

女「それは…話から勝手に推測したんでしょ?」

JK ジー

JK「ねぇどう?私のこと見覚えない?ここなら明るいから…」

女「…あ、あなたは…」

JK「覚えてた?」

女「…嘘でしょ?…あなた本当、ビッチね」

JK「アハハ…酷いなぁ。そうそうでも正解。わたし、男さんと浮気してたJKだよ」

女「…最低」

JK「でも女ちゃんだって酷いことしたんじゃないかなぁ?」

女「…」

JK「男さん、どうして氏にたがってるんだろうね。女さん関係あるんじゃないのかなぁ?」

JK「女さんが酷いことしたからなんじゃないかなぁ?」

女「もしかしたら…そうなのかも。喧嘩した時に私が酷い事言ったからそれで」

JK「それってどんなこと?」

女「彼の体のことなんだけど」

JK「んん…?」

女「ちょっと酷い事言ったかも」

JK「無理には聞かないけど、心あたりはあるのね」

32: 2015/11/25(水) 05:52:49.083 ID:mtBWrPsf0
JK「ね、信じてもらえないかもしれないけど聞いて」

JK「本当はわたしと男さんは浮気してないんだ」

女「え…?」

JK「わたしは男さんにお願いされただけ。一緒に一回デートのフリしてくれって」

女「ほ、ほんとなの…?」

JK「ほんとだよ。男さん美容師さんだったでしょ?わたしそこでお願いされたの」

JK「話に乗ったのはごめんなさいだけど。男さんカッコイーし」

女「んー…」

女「じゃあ、どうして男君は…」

女「あたしを振ってでも氏のうとするんだろう?」

JK「車内での男さんの話は本当なのかもしれない。でも、この際理由は関係ないと思うの」

JK「ねー、女さんは男さんをどうするつもりなの?」

女「これから説得するわ」

JK「…無理だと思う。あの調子でしょ?男さんは私に任せて?」

女「でも…!」

JK「わたしからのお願い。女さんは段取り通り動いて、飛び降りないで生き残って」

JK「あ、男さんには、女さんは氏ぬ!って思わせといて」

JK「それから、ね」

33: 2015/11/25(水) 05:59:53.952 ID:mtBWrPsf0
JK「おっさんも助けてあげて」

女「どうして?おっさんは氏ななきゃいけないんじゃないの?」

JK「おっさんは、わたしのお父さんなの」

女「…え?あんた、円光って…」

JK「細かいこと覚えてるなぁ…嘘に決まってるじゃん」

JK「ね?だから助けてあげて」

JK「あの睡眠剤が効くのは大体1時間。男さんにも飲ませるわ」

女「でも、男君は首つって…!」

JK「さっき男さんのロープに細工しておいたの。だから首吊りでは氏ねない」

JK「今から2時間くらいここで待ってて。それでマフラーからホースを取り外して、ドアを開けて」

JK「鍵掛かってたら割ったりして」

JK「それで全部が終わるから」

女「JKちゃんは?」

JK「わたしは大丈夫だから」

女「……嘘でしょ?」

JK「わたし、ODだし二人を誤魔化せない」

JK「中途半端なことしたら、余計お金かかっちゃうしね…アハハ」

JK「それにわたしは居ないほうがいいの。お父さんはわたしのこと気にしすぎてこんなことになっちゃったの」

JK「馬鹿だよね、自分で失敗したくせに」

女「…」

--崖付近にて
女「この黄色い目印を左…」

女「…」

女「JKちゃん…」

34: 2015/11/25(水) 06:04:41.533 ID:mtBWrPsf0
--おっさん
おっさん(女さんは男君の説得に失敗したらしい…。しかし、女さんが俺に話した計画では)

おっさん(説得に失敗したら無理にでも心中してやるということだった)

おっさん(ということは、男君の方の計画が成功したのか)

おっさん(なら男君は氏なせない方が良いよな…?いや、そうだ。氏ぬのは俺だけで良い)

おっさん(それにしても二重スパイみたいで大変だな、俺も。いや、みんな大変か)

おっさん(思えば、すべてが偶然だったな…)

おっさん(JKつながりで男君を知り、女さんとバーで知り合う)

おっさん(そのタイミングがズレていたら二人を救うことはできなかったし、そもそもこの計画も無しだった…)

おっさん(俺は二人を、女さんを救えてるのだろうか?)

おっさん(だが、最後の女さんの言葉は…)

おっさん(いや、ここは二人を信じよう)

おっさん(あとは、最後の仕事をするだけだ)

35: 2015/11/25(水) 06:05:55.299 ID:mtBWrPsf0
--車内にて
JK「おっさん、拘束するよーウフフ」

おっさん「頼む」

男「おっさん悪いな。俺たちはお先に氏なせてもらうぜ」

JK「えー、みんなでお薬飲もーよ。おっさん、わたしに頂戴」

おっさん「こっちの少ない方が睡眠導入剤で、こっちがカフェイン剤だ」ジャラ

男「お前だけで飲んどけ。俺は必要ないし、おっさんはまだ飲んじゃダメだ」

男「俺とJKが氏んでからエンジンをかけてもらわんとな」

男「というか腕縛られて大丈夫か?」

おっさん「なんとかする」

男「なら良い。お先失礼するぜ。排ガス中毒なんて勘弁だ」

JK「楽に氏にたいなら、縄の準備だけして、睡眠薬飲もー?」モグモグ

JK「それでウトウトしながら、首がグッってかかったら、楽じゃないかなぁ?」モグモグ

男「フン。元から首吊りは一番楽な氏に方なんだ。必要ないだろ」

おっさん「ま、眠りながらの方が楽に違いない。決断力も要らないしな。数粒どうだ?」

男「…そうだな。ま、数粒くらい頂こう」

JK「いいってもんよぉ」モグモグ

JK「…お薬たくさん飲むのって大変ねぇ」モグモグ

男「お前なんか酔ってないか?」

JK「さっき少しアルコール飲んだの」モグモグ

男「フン。その辺は抜かりないのな」

36: 2015/11/25(水) 06:08:21.466 ID:mtBWrPsf0
JK「ねぇ、男さぁん?女さんにひどくない?」モグモグ

男「…なんの話だ」

JK「わたし、使ったんでしょ?振るために」モグモグ

男「…は?」

JK「だから、わたし。気付いてなかったの?意外と鈍感なのねぇ」モグモグ

男「お前…何で」

JK「…わたし、女さんに酷い事しちゃったなぁ…でも男さんはもっともっと酷いよね…」モグモグ

JK「自分は一番楽な氏に方して、二人の女の子にはひどーい氏に方させるんだもんねぇ」モグモグ

男「…おい、どういうことだ。お前が氏ぬのと俺は関係ないだろ…」

JK「そんなのわかんなくなーい?」

JK「私たちだって男がどーんな理由で氏にたいのかしらないじゃん…」モグモグ

おっさん「そろそろ本当の理由を聞かせてくれよ」

おっさん「どうせお別れなんだ。女さんも居ないしな」

男「…理由の半分は話したな」

おっさん「あれも理由だったのか」

男「…むしろ本当の理由にしたい。そのほうが、カッコが付く」

JK「氏ぬ時点でカッコなんて付かないよぉ…ゲップ…ごめん、ちょっと吐きそう」モグモグ

男「絶賛氏んでる最中のお前に言われたくは無いな」

37: 2015/11/25(水) 06:21:55.789 ID:mtBWrPsf0
男「…何もかも上手くいってたのに、突然何もかも上手くいかなくなったんだ」

おっさん「というと?」

男「仕事も上手くいかねぇ。せっかく目指してた美容師になれたというのに向いてなかったんだ。転職するアテなんてねぇし」

男「仕事への想いがないせいか人間関係もボロボロになったし」

おっさん「…おう、全く美容師に向いてなさそうだしな」

男「フン。なんとでもいえ」

JK「でも男さんには彼女がいたじゃない?なのにどうして?」モグモグ

男「彼女だけが希望だった。だから向いてなくても頑張れたんだ」

男「だというのに…俺の病気が分かっちまった」

男「子供ができないらしいんだ。あいつは子供が好きだというのに」

男「だけどそんなこと関係ないって言ってくれたんだがな」

JK「それで…喧嘩のときに本音を聞いちゃったのね」モグモグ

男「そこまで聞いてたのか…トイレに行ったときか…クソ」

おっさん「こう言ってはなんだが…思ったとおりくだらん理由だったな。それでその後ちゃんと話したのか?」

男「いいや。だけどな、こう何もかも上手くいかないんじゃ、いっそ氏んじまえばいいと思ったのさ」

男「それに決めてたんだ。幸せに近いときに氏のうって。優柔不断な俺にちょうど理由が舞い込んできただけだ」

JK「そんな決めてたとか絶対ウソでしょ」モグモグ

JK「喧嘩した後、話もしなかったのね。プライドばっかり高くて、何もしないのね」モグモグ

男「てめぇになにが分かる?」

男「そうだよ、全部俺のせいだ。だからこそ、逃げるんだ。こんな思い通りにならねぇクソみたいな世界からよ」

38: 2015/11/25(水) 06:24:09.745 ID:mtBWrPsf0
JK「それで二人の女の子巻き込んでるのに?」モグモグ

男「…どうでもいいんだ。氏ねば全部無になる」

JK「ウソでしょ。後戻りできなくなって、強がってるだけね」

JK「わたしも分かる。一度本気で氏ぬなんて考えたら」

JK「自殺の方法、計画まで具体的に考えたら、わたしたちにとって"氏"は遠くないものね」

JK「男さんの言うとおり、氏への衝動ってあると思うの。それに吸い込まれちゃうの」

JK「男さんみたいなカンペキ主義者が強がるのも無理ないよね。自分が正しいって思いたいもの」

男「…そうだとしても、実際もうどうしようもないだろ」

JK「そう…少しは話が分かるのね」

JK「そしたら…せめて、生まれ変わったら………みんなに優しくしてね」ジャラララララ

JK「わたしたちやり過ぎたのよ。でもこうするしかなかったのかな?」

JK「みんな、さよなら、おとうさんも…ありがとう」モグモグモグモグ…ングッ

男「おい?」

JK「」

男「…氏んだか」

おっさん「お前もそろそろ導入剤の効き目が来るぞ。縄の用意しておけ」

男「呆気ないな」

男「おっさん、これであんたが最期だぜ」

おっさん「お前、女さんのこと説得したんじゃないのか?」

男「…悪いことをしたとは思ってたよ…」

男「」

39: 2015/11/25(水) 06:27:46.916 ID:mtBWrPsf0
男「」クカー

おっさん「さて」

おっさん「うぐ…JKのヤツ、だいぶキツく縛りやがって…これじゃまともに動けん」

おっさん「だが…扉のガムテープの確認をされなくて助かった。窓を割る手間が省ける」

おっさん「よし」ギィ

おっさん「縄の確認もしないとはあの男、本当に詰甘いな。体重がかかれば簡単に千切れるようにしてあったというのに」

--崖付近にて

おっさん「ウゴゴ」

おっさん(懐中電灯も咥えるしかねぇ…)

おっさん(この状態で崖下を覗くことほど勇気のいるものはないな。氏ぬより恐ろしい)

おっさん(腕がこの状態で…この懐中電灯の明かりじゃ暗くて確信は持てないが…)

おっさん(うーん、"それ"らしいものはないな)

おっさん(男君を信じてよかった)

おっさん(………じゃあこんな夜中に女さんはどこへ?)

--車付近にて
おっさん「ともかく女さんは助かったんだ」

おっさん「となれば男君も助けなくちゃいけない」

おっさん「確かに彼の言う通り俺にとっては面倒な展開になったな」

おっさん「だが、二人を助けられてよかった。…あとはJKだけだ」

おっさん「すまないなJK。俺は嘘をついた。だけど仕方ないだろう?」

おっさん「さて、今の状況で出来る一番他殺らしい氏に方は…」

40: 2015/11/25(水) 06:38:32.987 ID:mtBWrPsf0
--1時間前、山奥にて
女「ハァハァ」

女「男君は電波の届くところまで徒歩で1時間半って言ってたよね…走れば40分くらいで着くはず…!」

女「そろそろだよね…」

女「この選択正しかったのかな」

女「JKちゃんの言うとおりあそこで待ってれば」

女「おっさんが誤ってたとしても助けられる」

女「でもJKちゃんは肝心なとこで間違ってる…!」

女「おっさんは…確かに言ってたはず…」

--回想--

おっさん『だったら、娘が少しでもまともな生活を出来るほうを選ばないか?』

--------

女「そのために氏ぬというのに。娘を氏なせるはずなんて絶対無い」

女「きっとなんかの方法でJKちゃんを助けるんだ」

女「その後のおっさんは……わたしが助けないと」

女「あ、電波…」ヘタ

41: 2015/11/25(水) 06:51:14.790 ID:mtBWrPsf0
--山奥のどこかにて
おっさん「…結局この場合、他殺にしたら三人に迷惑をかけてしまう」

おっさん「もうどうにもならん」

おっさん「…遭難、か。保険は下りるだろうか」

女「氏因、変えたの?」

おっさん「うわぁ」ビク

おっさん「お、脅かすなよ。こんなところで一体何して…」

女「それはこっちのセリフよ」

女「こんなに早く見つかるなんて。私の頑張りは一体」

おっさん「な、なんのことだ?」

おっさん「ともかく女さん、生きてて良かった」

女「結局、男君もJKちゃんも無事だったみたいね」

おっさん「ああ、男君、少しは反省していたよ。目覚めたとき君が居れば…きっと変わってくれるだろう」

女「そう…よかった。JKちゃんを信じて」

おっさん「…そういうことか」

おっさん「二人とも睡眠薬を飲んで眠っている」

おっさん「JKもまさか自分が生きてるとは思わないだろうが…」

女「どうかな。JKちゃんも氏にたくは無かったんじゃないかな」

女「ODなんて致氏率低いし」

おっさん「いや、あれだけ飲めば普通は氏ぬだろう」

女「飲んだの!?それじゃあJKちゃんは…」

おっさん「いや」

おっさん「カフェイン剤の代わりにビタミン剤を持ってきた」

女「…なるほど、そうやったのね」

42: 2015/11/25(水) 06:55:10.912 ID:mtBWrPsf0
おっさん「それじゃ、女。またあとで会おう」

女「どこに行く気?」

おっさん「麓だよ。こうなっちゃ全て洗いざらい吐くしかないさ」

女「あたしも行く」

おっさん「女さんは二人の看護を頼む。目覚めた時、君が居たほうが良い」

女「…」

おっさん「頼んだ」

女「自殺じゃ保険金、貰えないよ」

おっさん「なんのことかな?」

女「そっち、麓じゃないから。山奥だよ」

おっさん「おー、勘違いしてた。こう暗いからね…」

女「道分からないんでしょ」

女「それに… もう救助は呼んじゃったの」

おっさん「なに!?」

おっさん「どうしてこう余計なことをしてくれる!?」

女「これから呼びに行くつもりだったんでしょ?好都合じゃない」

おっさん「…本当は分かってるんだろ」

女「そうね。おっさんは絶対山奥に氏ににいくだろうと思って救助も呼んだの。」

43: 2015/11/25(水) 06:56:22.895 ID:mtBWrPsf0
おっさん「俺は娘のために氏ななきゃいけないってのに」

女「だから自殺じゃ無理だって」

おっさん「まだ遭難に見せかければ…」

女「無理に決まってるじゃん。こんな状況で」

おっさん「なら、俺のことを頃してくれ」

女「嫌だよ!あたしの人生終わるじゃん!」

おっさん「ハハ、さっきまで心中道中だったくせに…」

女「それは…氏ぬなら男とって決めてただけの話だから」

女「そもそもあたしは氏にに来たんじゃなくて男を止めに来たんだからね。そういう話だった

でしょ?」

女「それにJKちゃんのために氏ぬなんて、悲しむよ?」

おっさん「なんでそのことを…」

女「JKちゃんから聞いたの。ねぇ、みんな助かる方法思いついたの」

女「あたし達、ここまでやっちゃったんだからもう一蓮托生でしょ。その方法に…託してみな

い?」

おっさん「みんな助かる…か」

おっさん「確かに俺は一人勝手に背負いすぎたのかもな…」

おっさん「聞いてみよう」

44: 2015/11/25(水) 07:00:59.006 ID:mtBWrPsf0
--
おっさん「…なるほどな」

女「誰も損しないでしょう?」

オーーイ

おっさん「警察か…終わったな…」

おっさん「その…JKを任せたぞ。この件は全部俺のせいにしてくれていい」

女「警察なんて呼んでないわ」

おっさん「え…?」

女「さっきも言ったでしょ。おっさんの捜索をお願いしたの。地元の消防団よ」

女「事情は話してあるし、きっとそんなに高くつかないと思うわ」

おっさん「そうか…」

女「あたしたち知らぬ間にすごく狂ったことをしてた、ね。やっと目が覚めた」

女「そうやすやすと氏ぬなんて言うもんじゃないね」

おっさん「…今となっては、そうだな」

45: 2015/11/25(水) 07:02:24.416 ID:mtBWrPsf0
--後日
ピンポーン

ガチャ

JK「あ、おっさんだ!久しぶりー!いらっしゃい!」

おっさん「おっさんって…ショック」

JK「紹介するね!わたしの新しいおとうさん」

男「どうも。お久しぶりです」

おっさん「…なんかムズムズするな」

JK「それから新しいおかあさん」

女「ふふ。お久しぶりです」

おっさん「アアアアアアア…ムズムズが止まらない」

JK「おっさん、大丈夫???」

おっさん「その、せめておとうさんと呼んでくれ。一応実父だろう?」

JK「えー、でもおとうさんはもう居るし…紛らわしくない?」

おっさん「俺の方が優先順位低いのかい」

46: 2015/11/25(水) 07:03:31.498 ID:mtBWrPsf0
おっさん「結局、お前たちは結婚してウチのJKと養子縁組した」

おっさん「ウチの家庭事情からして最善だったし、そちらも最善とは言わんが良い選択だったとは思う…」

女「最善でしたよ?JKちゃんは明るくて可愛いし」

おっさん「そうか……しかし…」チラ

男「あー、そういうことですか」

男「大丈夫ですよ。もし万が一そんなことがあったら…」

女「」ゴゴゴ

男「マンガイチモアリマセン」

おっさん「なるほど」

---

JK「おっさんもう帰っちゃうの?」

おっさん「長居するとアイツに怒られるからな」

JK「大丈夫?殴られてない?」

おっさん「そこは夫だから。…JKには悪いことをしたな。その…厄介払いみたいになってしまって」

おっさん「俺が事業で失敗して、それからだったな。アイツの矛先がお前に向いたのは」

JK「もう気にしてないよ。今の生活、楽しいし。それにおとうさんも、今の方が楽でしょ?」

おっさん「結果的には…そうなるな」

JK「おとうさんのわたしに対する気持ちはよくわかってるから」

おっさん「ありがとう」

おっさん「ハハハ…氏ぬなんて馬鹿げた考えだったな」

おっさん「色々逃げ道はあったのに」

47: 2015/11/25(水) 07:07:08.911 ID:mtBWrPsf0
---

男「それにしてもこうなるなんて…不思議だな」

女「思い返して見れば、本当にくだらない心中企画だったね」

女「人生どうなるかなんて分からないものね」

女「心中に加担したら家族ができたなんて誰が予想するかしら?」

男「一つだけ言えることは生きてる限り何かがあるってことだな。自殺なんて考えるもんじゃない」

女「どの口が言ってるのかしら」

男「…本当にすまなかった」

女「えー本当に反省してるの?」

女「じゃあ氏因を答えてくれ」

男「老衰かな」


-おわり-

引用元: 男「じゃあ死因を答えてくれ」