1: 2014/12/23(火) 16:12:11.80 ID:OTp7ii1Ha
古畑「え~世の中には便利な機械がたくさんあります。しかしいくら便利だからといってそれが本当に必要なものなのかをよく考えたほうがいいでしょう。機械を使わないほうが効率が良い場合もあります。例えば・・・」

4: 2014/12/23(火) 16:13:51.32 ID:OTp7ii1Ha
♩(オープニング曲)

5: 2014/12/23(火) 16:14:56.05 ID:OTp7ii1Ha
マスオ「やっぱりそれは無理だよ、アナゴくん。サザエは僕の大事な妻だ。タラちゃんもいるし・・・」

アナゴ「その大事な家族がいながらあんなことをした君が悪いんだよお、フグ田くぅ~ん。」

アナゴ「サザエさんがこの写真を見たら君は終わり。磯野家もフグ田家も崩壊だねえ。」

アナゴ「どうだったんだい?この写真の女の抱き心地は?」

マスオ「・・・アナゴくん、それだけは勘弁してくれよ・・・。」

アナゴ「サザエさんは若くて綺麗だ。豚みたいな僕の元嫁とは雲泥の差さあ。僕はサザエさんと一緒になるために離婚までしたんだよ。君もわかってるだろフグ田くぅ~ん?」

マスオ「・・・・・・」

アナゴ「まあよく考えたほうが良いよお。」

6: 2014/12/23(火) 16:21:34.81 ID:OTp7ii1Ha
次の日

マスオ「アナゴくん、昨日のことなんだけど今度僕の家でゆっくり話をしないかい?次の土曜日は家に誰もいないんだ。お父さん達は温泉旅行、サザエは同窓会に行くことになってる。予定はあるかい?」

アナゴ「やっと腹をくくったかいフグ田くぅ~ん。勿論行かせてもらうよ。」

マスオ「それじゃあ土曜日ははすき焼きでも作って家で待っているよ。」

アナゴ「すき焼きかあ。楽しみにしているよ~。」

8: 2014/12/23(火) 16:28:13.93 ID:OTp7ii1Ha
そして土曜日

♩(BGM)

自室の引き出しの中から睡眠薬を取り出してそれを見つめるマスオ。

睡眠薬をケースから出しそれをポケットに入れ台所へ向かう。

そしてすき焼きの具材を準備し始める。

10: 2014/12/23(火) 16:34:25.47 ID:OTp7ii1Ha
ピンポーン

ガチャ

マスオ「待ってたよ、アナゴくん。」

アナゴ「おお良い匂いがするねえ~。それじゃあ早速上がらせてもらうよお。」

マスオ「もう少しで準備が終わるから掛けて待っててくれよ。」

アナゴ「いやいや僕も手伝わせてもらうよお。食器を食卓に運んでおこうか。」

マスオ「そうかい?じゃあ頼むよー。」

アナゴが台所に入り食器棚の上に目をやる。

アナゴ「フグ田くぅ~ん、このヘンテコな機械は何だい?」

11: 2014/12/23(火) 16:40:47.02 ID:OTp7ii1Ha
マスオ「ああそれは全自動卵割り機だよ。お父さんが先週駅前で買ってきたのさ。しかしよくこんなもの考えたよねえ。」

アナゴ「面白そうじゃないかあ。せっかくすき焼きを食べるんだしこの機械を使って卵を割ってみたいねえ~。」

マスオ「ああ使っていいよ。手で割ったほうが早いし楽なんだけどね。」

アナゴ「こういうものは嫌いじゃないよお。早速やってみようかあ。」

12: 2014/12/23(火) 16:46:54.83 ID:OTp7ii1Ha
食卓に全自動卵割り機を置いてそれをまじまじと眺めるアナゴ

マスオ「さあできたよ。アナゴくん。」

すき焼きが入った鍋を食卓の上に置くマスオ

アナゴ「おっ、美味そうだなあ。それよりフグ田くぅ~ん、この機械はどうやって使うんだあい?」

13: 2014/12/23(火) 16:51:48.88 ID:OTp7ii1Ha
マスオ「それはねえ、ここに卵をセットしてこうやってレバーを引くと・・・」

パカッ

アナゴ「おおすごいねえ、フグ田くぅ~ん。これは面白いよお。」

アナゴ「卵も割れたしすき焼きが温かいうちにいただこうかねえ~。」

マスオ「そうだね、それじゃビールも持ってくるよ。」

16: 2014/12/23(火) 16:59:29.31 ID:OTp7ii1Ha
♩(BGM)

台所へ行きビール瓶の栓を抜いて中へ睡眠薬を投入するマスオ

アナゴは変わらず食卓で全自動卵割り機を眺めている

そしてマスオがビールを食卓へ運ぶ

アナゴ「おっ、いいねえ。栓も抜いてきてくれたのかあ。気が利くなあフグ田くぅ~ん」

マスオはすき焼きをそれぞれの皿に盛っている

アナゴはビールをジョッキに注ぐ

マスオ「よし、じゃあ食べようかあ。とりあえず乾杯しよう」

アナゴ「よおし、乾杯!」

マスオ「乾杯!」

18: 2014/12/23(火) 17:07:28.01 ID:OTp7ii1Ha
アナゴ「・・・」

アナゴはビールをじっと見つめると飲まずにすき焼きを口へ運んだ

マスオ「・・・あれ、アナゴくん飲まないのかい?」

マスオの顔が少し青ざめる

アナゴ「いやあ、どうしても先にすき焼きを食べたくってねえ。それよりフグ田くぅ~ん。このすき焼きのタレもう少し甘みがあっても良いんじゃないかなあ。」

マスオ「・・・そうかい?じゃあ砂糖とみりんを持ってくるよ。」

19: 2014/12/23(火) 17:13:21.44 ID:OTp7ii1Ha
マスオが台所へ行くとアナゴはビール瓶の口の部分を見た。

すると白い粉が瓶にわずかに付着していた。

アナゴ「(やはりそういうことかあフグ田くぅ~ん・・・)」

そこへマスオが砂糖とみりんを持って戻ってくる

マスオ「・・・持ってきたよ、アナゴくん。」

20: 2014/12/23(火) 17:19:02.68 ID:OTp7ii1Ha
アナゴ「・・・・・・フグ田くぅ~ん、残念だよお・・・。君なら男らしく潔く僕に譲ってくれるかと少しは思ったんだけどねえ。」

アナゴ「白い粉が溶けきってなかったよお・・・。」

マスオ「ええぇぇ!?僕の計画に気づいていたのかい?」

アナゴ「用心はしていたさあ、君がこういう場を設けた時点でねえ。」

23: 2014/12/23(火) 17:27:11.45 ID:OTp7ii1Ha
ドン!!!

アナゴはマスオの頭を掴み壁へ押し付ける

マスオ「や、やめてくれえー。アナゴくん。」

アナゴ「僕を殺そうとしていた君が今更何を言うんだい?一歩間違えれば僕が君の立場になっていたところだよお~。」

ドゴーン!!!

壁に頭を叩きつけられるマスオ

マスオ「ぐああああ・・・」

アナゴ「僕の元嫁は凶暴だったからねえ。身を守るために護身術も学んだし、日頃から鍛えていたんだよおお。」

アナゴ「腕力では僕に敵わないと気づいていたから睡眠薬を飲ませようとしたんだろお?フグ田くぅ~ん。」

ドッゴオオオオオン!!!!

24: 2014/12/23(火) 17:33:20.16
マジキチ

25: 2014/12/23(火) 17:36:06.21 ID:OTp7ii1Ha
白目を向いて横たわるマスオ、もう息はない

アナゴ「ふう・・・」

アナゴは器に入った卵と睡眠薬の入ったビールを強引に飲み干す

アナゴ「薬が効くまでしばらく時間がかかるだろう」

自分のために用意された食器類を素早く洗い指紋を拭き取って食器棚へ

ビール瓶は回収箱の中へ戻す

そして全自動卵割り機についた指紋を拭き取る

27: 2014/12/23(火) 17:40:45.34 ID:OTp7ii1Ha
他にも自分が触れたであろう場所の指紋を拭き取ると素早く磯野家を後にする

アナゴ「(本当に残念だよお、フグ田くぅ~ん。)」

周囲を警戒しながらアナゴは自宅へと向かった

29: 2014/12/23(火) 17:49:33.14 ID:OTp7ii1Ha
♩(古畑登場BGM)

自転車に乗った古畑が磯野家の前へやってくる

今泉「もう古畑さん!遅いですよぉ!」

古畑「ああごめんごめん。」

今泉「うわあ、緊張するなあ。あの磯野家に入れる日が来るなんて思わなかったですよ。サザエさんって本当にあんな髪型なのかなあ。」

古畑「今泉くん、うるさい。」

古畑「西園寺くん、被害者は?」

西園寺「フグ田マスオさん28歳。海山商事の営業課に勤務しています。ご存知のとおりサザエさんの夫です。」

古畑「ふぅーん、マスオさんね。」

34: 2014/12/23(火) 18:02:39.55 ID:OTp7ii1Ha
今泉「古畑さん、見てくださいよ。あの磯野家の居間ですよ。やっぱテレビで見るより迫力あるなあ。」

古畑「・・・」

西園寺「被害者はすき焼きを食べている最中に何者かに襲われて殺害されたものと思われます。氏因は脳溢血。後頭部を強打したことによるものです。」

西園寺「この壁に何度も頭を打ちつけられたのでしょうね。」

古畑「んー、でも食べてる最中とは言っても被害者ほとんどすき焼きには手をつけてないよ。それに一人で食べるには量が少し多すぎると思わない?」

古畑「そしてこのヘンテコな機械は何?」

36: 2014/12/23(火) 18:03:45.84
てれってーれてれー
てれってーれてれー
てれってーれてれーてれーてってー

38: 2014/12/23(火) 18:11:11.22
ノリスケが出入り禁止になるだけかと思ったら

40: 2014/12/23(火) 18:21:29.95 ID:OTp7ii1Ha
西園寺「上のほうに何かを入れるスペースがありますね。それにこのレバー、うーん何でしょう・・・。」

サザエ「それは全自動卵割り機です。」

西園寺「あ、あなたは!」

今泉「サ、サザエさんだ!本物だ!サインもらっちゃおうかな。」

ペチン!
今泉のデコを強めに叩く古畑

古畑「被害者の奥様だ。口を慎みなさい。」

西園寺「奥様、このたびは・・・何と申し上げたら良いか・・・」

ウイーンウイーン
全自動卵割り機をいじる古畑

古畑「んー?」

サザエ「そこに卵を入れると卵が下に落ちてきて・・・その赤い部分が卵を受け止める仕組みになってるんです。」

古畑「なるほど。奥さん卵あります?ちょっと試してみたい。」

サザエ「わかりました。お持ちします。」

西園寺「古畑さん、もしかしたら指紋が残っている可能性もありますしあまり触らないほうが良いのでは?」

古畑「大丈夫。ドアにだって指紋は残ってなかった。この手の犯人は相当こういうことろはしっかりしてるよ。」

43: 2014/12/23(火) 18:33:30.31 ID:OTp7ii1Ha
サザエ「あら、変ねえ。」

西園寺「どうされました?」

サザエ「卵が2つ減っているんですよ。昨日買ってきたばかりだから、マスオさんが一つ食べたとしても数が合わないわ。」

西園寺「それはおかしいですね。卵の殻も一つしか見つかっていませんし、どういうことなんでしょう・・・。」

今泉「マスオさんがあの機械で遊んでたんだろ?一つは殻ごと食べちゃったんじゃないの?」

古畑「・・・奥さん、この機械は頻繁に使ってるの?」

サザエ「いえ、先週の火曜日に父が買ってきたんですけど今週に入ってからは全然使ってなかったですよ。」

サザエ「先週末は親戚の家に貸していたわ。」

46: 2014/12/23(火) 18:42:33.45 ID:OTp7ii1Ha
古畑「なるほど。それにしてもこんな機械があるなんて知らなかったねえ。」

サザエ「卵をお持ちしました。」

古畑「すみません、わざわざどうも。じゃあ早速。」

古畑「ええっと・・・これをこうで・・・よっと・・・。」

パカッ

古畑「いやあ、これは面白いね。考えた人よほど暇だったんだろうね。」

西園寺「それはそうと古畑さん、被害者の交友関係を洗ってもらったんですが最近被害者と揉めていたという人物が出てきました。」

卵割り機をいじっている古畑

古畑「ふーん、誰?」

西園寺「同じ海山商事に務めるアナゴさんです。」

50: 2014/12/23(火) 18:49:54.18 ID:OTp7ii1Ha
古畑「あー、あのタラコ唇の人?」

西園寺「はい、まだ詳しいことはわかっていませんが海山商事の方の話だと女性関係で揉めていたということです。」

古畑「アナゴさんって奥さんいるの?」

西園寺「いえ、今年の8月に離婚しているようです。離婚の原因などは詳しくはわかりません。」

古畑「なるほど。その人呼んでくれる?」

西園寺「呼ぶと言いますと・・・?」

古畑「この家にだよ。今すぐ呼んで。」

54: 2014/12/23(火) 18:59:17.59 ID:OTp7ii1Ha
アナゴの家

ピンポーン

西園寺「アナゴさーん、いらっしゃいませんか?」

今泉「何で僕までついていかなきゃいけないんだよ。だいたいアナゴさんは人頃しなんかしないさ。あのタラコ唇が人の良さを物語ってるよ。」

・・・
ガチャ

アナゴ「どなたですかあ?」

寝起きのアナゴがドアから顔を覗かせる

西園寺「警察の者です。フグ田マスオさんをご存知ですね?」

アナゴ「警察が何の用ですかあ?知ってるもなにもフグ田くぅんは会社の同僚ですよお。」

西園寺「フグ田マスオさんがお亡くなりになりました。」

アナゴ「なんだってええ?」

65: 2014/12/23(火) 19:33:45.55 ID:OTp7ii1Ha
古畑「遅いよ、西園寺くん。」

西園寺「すみません。アナゴさんが眠られていたようでなかなか出てこられなかったので。」

西園寺「古畑さん、そういえば全自動卵割り機はどうしたんですか?」

古畑「鑑識に回した。で、アナゴさんは?」

西園寺「今泉さんが連れてくるはずなんですけど・・・」

68: 2014/12/23(火) 19:38:49.47 ID:OTp7ii1Ha
今泉「立派な唇だなあ。ちょっと触ってもいいですか??」

アナゴ「何をするんだあ、やめてくれええ。」

今泉「ちょっとくらいいいじゃないですか。うわあ、このイボもたまんないなあ。ついでにサインもらってもいいですか?」

アナゴ「いい加減にしろよおおキミいいい」

72: 2014/12/23(火) 19:53:43.21 ID:OTp7ii1Ha
サザエ「父さん達にも連絡は入れたんですが一晩泊まってくるそうですのでこちらの部屋を使ってください。」

波平の部屋に古畑達を通すサザエ

西園寺「色々とすみません。居間のほうはまだ鑑識が出入りしていますのでご迷惑をお掛けします。」

サザエ「とんでもありません。こちらこそ何もお力になれなくて・・・」

古畑「今泉は何やってんだ。遅すぎるよ。」

そこにアナゴの唇を触りながら今泉が部屋に入ってくる

アナゴ「ちょっとお、何なんだよお、この刑事はああ」

バチーン!
今泉のデコを引っ叩く古畑

古畑「申し訳ありません。うちの部下が。こいつが何かされたら今みたいにデコをパチンとやってやって下さい。」

アナゴ「こうですかあ?」

バッチイイイン
今泉のデコを思いっきり引っ叩くアナゴ

今泉「痛たああああああああ。」

古畑「君はちょっと頭を冷やしなさい。」

古畑「申し遅れました。警部補の古畑です。」

76: 2014/12/23(火) 20:11:08.12 ID:OTp7ii1Ha
・・・

アナゴ「確かに私はフグ田くぅんと揉めていましたあ。サザエさんに想いを寄せているのも事実です。」

古畑「サザエさんはそのことをご存知なんですか?」

アナゴ「いえ、知らないと思います。僕の一方的な片想いです。」

古畑「・・・」

アナゴ「ですが古畑さあん、私にはフグ田くぅんを頃す理由がありません。フグ田くぅんを頃してもサザエさんが僕のものになるなどという保証はありませんからねえ。」

西園寺「確かに。それにご家族が家に誰もいないときにアナゴさんを呼ぶというのは逆に不自然な感じがしますね。」

アナゴ「ですから僕は数ヶ月間フグ田くぅんの家には来ていないんですよお。」

古畑「んー、こうも考えられますよ。マスオさんが誰かを殺害するためにその人物を家に呼んだ。」

・・・♩(BGM)

古畑「しかし、マスオさんの計画は何らかの理由で犯人にバレて逆に殺されてしまった・・・」

85: 2014/12/23(火) 20:37:54.80 ID:OTp7ii1Ha
西園寺と今泉は居間で鑑識と話している

波平の部屋には古畑とアナゴ

古畑「ちなみにあなた、夕べはどちらに?」

アナゴ「私はずっと家で寝ていましたよお。やっぱり私が疑われてるんですかねえ?」

古畑「いえ、ただアナゴさんはマスオさんのことを色々とご存知だと思ったので来て頂いただけです。」

古畑「寝ている最中に大変失礼しました。」

アナゴ「そろそろ帰ってもいいでしょうかねえ。」

古畑「はい、お疲れのところ申し訳ありませんでした。」

アナゴ「それでは失礼しますよお。私でお力になれることがあればまたいつでも呼んでください。」

古畑「ありがとうございます。」

部屋から出ようとするアナゴ

古畑「あっ、そうだ」

91: 2014/12/23(火) 20:46:47.96 ID:OTp7ii1Ha
アナゴ「まだ何か?」

古畑「あのお、あなたから見てマスオさんというのは・・・その・・・なんというか・・・ドジな方でしょうか?」

アナゴ「まあドジというか少しおっちょこちょいなところはあったんじゃないですかねえ。それが何か?」

古畑「はい、実は・・・」

古畑はポケットから錠剤の入っていた空のケースを取り出す

古畑「これがマスオさんの部屋のゴミ箱に捨ててありました。はい、睡眠薬です。」

古畑「さらにマスオさんのズボンのポケットに白い粉が付着していました。これはまだ鑑定結果は出ていませんがおそらく睡眠薬の粉でしょう。」

アナゴ「何が言いたいんですか?」

94: 2014/12/23(火) 20:56:44.35 ID:OTp7ii1Ha
古畑「はい、言っては悪いですけども何とも間抜けな方です。これでは人を殺せてもすぐに犯行がバレてしまいます。」

古畑「自分の家に他人を呼んでその人物を殺害するとしても氏体の処理はどうするつもりだったんでしょうねえ。どのような方法で殺害しようとしたのかは定かではないですが、正直マスオさんの計画は穴だらけです。」

古畑「そして犯人はおそらくマスオさんがそういった計画を企てていることに何となく気づいていたのではないでしょうか。」

古畑「犯人は自分がマスオさんに殺されてもおかしくないほど恨まれていることを自分で知っていたんです。」

古畑「犯人はかなりこの家に来た時点で用心していたはずです。」

96: 2014/12/23(火) 21:02:34.03 ID:OTp7ii1Ha
アナゴ「まあ確かに私はフグ田くぅんから殺されるほど恨まれていたかもしれませんねえ。」

アナゴ「しかし古畑さあん、僕は言ったとおり今日はずっと家にいたんですよお。僕がこの家に来たという証拠は何一つないじゃないですかあ。」

古畑「はい、ありません。」

アナゴ「・・・。それでは帰らせていただきますよ。」

古畑「はい、おやすみなさい。」

98: 2014/12/23(火) 21:08:34.18 ID:OTp7ii1Ha
翌日
磯野家の居間
磯野家の6人が食卓を囲んでいる

波平「ワシらが家を空けたばっかりに・・・。」

フネ「マスオさん・・・。」

サザエ「・・・。」

タラオ「パパー、うわーん」

カツオ「マスオ兄さん、もっと一緒に遊びたかったよ・・・。」

ワカメ「うぅ・・・」

100: 2014/12/23(火) 21:13:40.05 ID:OTp7ii1Ha
「ごめんください。」

サザエが玄関へ向かう

サザエ「あら、古畑さん。」

古畑「どうも。」

今泉「おじゃましまーす。」

サザエ「あら、この前の小柄な刑事さんは?」

古畑「西園寺くんはちょっと別件で。」

今泉「あんな奴いてもいなくても変わんないですよ。」

サザエ「どうぞ、上がってください。」

101: 2014/12/23(火) 21:18:27.79 ID:OTp7ii1Ha
タラオ「わー刑事さんですう。」

今泉「タラちゃん、あっちでおじさんと遊ぼうか。」

タラオ「じゃあおデコを叩いて遊ぶですう。」

ペチンペチン

今泉「タラちゃん、痛いよお。もっと優しく叩いて・・・」

ベチン!ベチン!

今泉「痛あああああああ」

104: 2014/12/23(火) 21:25:14.63 ID:OTp7ii1Ha
波平「どうかマスオくんのためにも犯人を早く捕まえてやってください。」

古畑「はい、もう犯人の目星はだいたいついてます。」

古畑「しかし、一つ言っておかなければならないことがあります。」

フネ「なんでしょうか?」

古畑「マスオさんは人を殺そうとしていました。」

フネ「そんな・・・」

波平「なんだってマスオくんが・・・」

106: 2014/12/23(火) 21:31:41.89 ID:OTp7ii1Ha
古畑「しかし、結果的には殺されました。マスオさんは何の罪にも問われることはありません。」

古畑「相当追い詰められていたのでしょう。」

波平「なぜ・・・なぜだ・・・マスオくん。そこまで追い詰められていたのになぜワシらに何の相談もしてくれんのだ・・・。」

波平「ワシは許さんぞ。犯人を見つけたら絞め頃してやる!!」

フネ「お父さん、やめてくださいよ。」

サザエ「・・・。」

サザエ「私が・・・私が悪いんです!」

111: 2014/12/23(火) 21:38:58.95 ID:OTp7ii1Ha
サザエ「マスオさんは脅されていたんです。」

波平「どういうことだ?」

古畑「詳しく話していただけますか?」

サザエ「はい、その前に見て欲しい写真があります。」

写真にはベッドの上で抱き合うマスオと見知らぬ女性が写っていた

波平「・・・なんじゃ、これは!?」

113: 2014/12/23(火) 21:47:18.28 ID:OTp7ii1Ha
サザエ「私はマスオさんを信じています。この写真を撮ったときマスオさんは泥酔していたと言っています。普段の何倍も強いお酒を大量に飲んで記憶が全くなかったと。」

サザエ「そしてこの写真を撮ったのは・・・アナゴさんだと言っていました。」

サザエ「アナゴさんは私に惚れていて、マスオさんと私の関係が悪化するように色々な手を使ってマスオさんをハメようとしたそうです。」

波平「しかし・・・」

サザエ「古畑さん、この女性に真相を聞いていただくことはできないでしょうか?」

古畑「んー・・・」

西園寺「いいじゃないですか、古畑さん。」

古畑「あれ、君いつの間に」

115: 2014/12/23(火) 21:51:47.76 ID:OTp7ii1Ha
西園寺「この女性が事件に絡んでいる可能性がないわけではないですし。」

古畑「じゃあそれは君に任せるよ。」

古畑「それより西園寺くん、あれ持ってきた?」

西園寺「もちろんです。」

古畑「ごくろうさま。」

117: 2014/12/23(火) 21:57:05.30 ID:OTp7ii1Ha
とあるスナック

西園寺「この男に見覚えはありませんか?」

女性「知りません・・・」

西園寺「本当のことを言っていただけると助かるんですが・・・」

女性「・・・」

西園寺「この男、人を頃しているかもしれないんです。」

女性「・・・えっ?」

西園寺「あなたの身の安全のためでもあります。どうか本当のことを話してください。」

女性「・・・わかりました。」

120: 2014/12/23(火) 22:04:23.38 ID:OTp7ii1Ha
女性「私はアナゴから金品を受け取っていました。そしてフグ田さんを陥れるアナゴの計画に手を貸していました。」

西園寺「・・・」

女性「あの・・・、私がしたことは何かの罪になるのでしょうか?」

西園寺「あなたがフグ田マスオさん殺害の件に関して何も知らなかったのであれば何の罪にもなりません。」

女性「私は本当にそのことは何も知らないんです!信じて下さい!」

西園寺「はい、勿論信じますよ。正直に話していただいてありがとうございました。」

123: 2014/12/23(火) 22:19:58.60 ID:OTp7ii1Ha
海山商事前、アナゴが会社から出でくる

会社の前で待ち伏せしていた古畑

アナゴ「・・・」

古畑「どうも。」

アナゴ「何か事件のほうは進展ありましたか?」

古畑「はい、あれから私色々考えたんです。」

古畑「まずあのマスオさんが用意した睡眠薬。あれはどこへ消えたのか。」

古畑「・・・おそらく犯人が自分で飲んだんです。」

古畑「卵の殻もそう。ある程度細かく砕いて飲み物の中に入れて飲んだのでしょう。そして用意された食器類は自分で洗い棚へ戻した・・・。」

古畑「今回の犯人はとにかく決定的な証拠を残してくれません。手強い相手です。」

アナゴ「で、私に言いたいことはそれだけですか?」

古畑「はい。」

アナゴ「警察が来たとき私が寝ていたから私が睡眠薬を飲んだとでも言いたそうですねえ。」

アナゴ「私も疲れてるんですよお。もう失礼しますよお。」

古畑「はい、お疲れ様のところすみませんでした。」

125: 2014/12/23(火) 22:25:36.51 ID:OTp7ii1Ha
♩(BGM)
周囲が暗くなり古畑にスポットが当たる

古畑「えー、今回の犯人は間違いなくアナゴさんです。しかし何度も言うように決定的な証拠がありません。そこで一つ、アナゴさんを罠にハメて犯行を自白させてみようと思います。えー、そのために使うのは・・・あれです。もうお分りですね?古畑任三郎でした。」

127: 2014/12/23(火) 22:26:30.72
昨日今日と古畑みてた俺にとってはリアルタイムなスレ

130: 2014/12/23(火) 22:34:44.32
ほっほっほ

155: 2014/12/23(火) 23:43:18.39 ID:GcLo8yR5a
磯野家の居間

アナゴ「古畑さあん、私を呼び出したということは決定的な証拠が見つかったということで良いんでしょうねえ?」

古畑「いえ、実はまだ証拠は見つかっていません。ただアナゴさんに協力していただきたいことがあるんです。」

アナゴ「・・・」

古畑「これで最後です。お約束します。」

アナゴ「わかりました。本当に最後ですよお。」

古畑「ありがとうございます。これから私とあなたで事件の再現をしたいんです。」

158: 2014/12/23(火) 23:47:12.96 ID:GcLo8yR5a
古畑「ご覧のようにすき焼きも用意しました。」

アナゴ「・・・。で、私は何をすれば良いんですかあ?」

古畑「はい、アナゴさんには犯人の役をやっていただきたいんです。で、私がマスオさんの役を・・・。」

アナゴ「ふん、それで何がわかるっていうんですかあ?まあいいでしょう。付き合いますよお。」

古畑「それではそちらにお掛けになって下さい。ビールをお持ちしますので。」

160: 2014/12/23(火) 23:51:04.35 ID:GcLo8yR5a
古畑「あっ、そうだ。私がビールを持ってくる間に卵を割っておいていただけませんか?」

アナゴ「・・・わかりました。」

ウイーンウイーン
グヂャアアアアア!!

アナゴ「!?」

古畑「・・・。」

古畑「はい、あなた今どうしてその機械で卵を割ろうとしたんですか?」

165: 2014/12/23(火) 23:54:47.93 ID:GcLo8yR5a
アナゴ「なんでって、この機械は全自動卵割り機のはず・・・」

古畑「西園寺くん、今の録音した?」

台所から西園寺が出てくる

西園寺「はい、バッチリ。」

アナゴ「なんだあ?どういうことだあ?」

古畑「・・・。」

古畑「その機械、全自動卵割り機じゃないんです。」

古畑「全自動くるみ割り機なんです。」

171: 2014/12/24(水) 00:02:36.92 ID:+COmVR+REVE
古畑「実は全自動卵割り機を作った会社の方に話を伺ったのですが、あの機械あまりにも売れ行きが悪いのでたった3日で販売をやめてしまったらしいんです。」

古畑「販売と言っても試作品的な扱いで売れ行きが良ければレギュラー商品として全国で売り出す予定だったらしいんです。」

アナゴ「・・・。」

古畑「しかし3日間で売れたのはたったの2つ。しかも全自動卵割り機はあさひが丘駅前でしか販売していなかったんです。そして販売していた時間は午後2時~午後7時まで。」

古畑「もうおわかりですね?」

173: 2014/12/24(水) 00:07:50.69 ID:+COmVR+REVE
古畑「そして今その会社は別の駅でこの全自動くるみ割り機を販売しているんです。」

古畑「・・・全自動卵割り機が販売されていた3日間、あなたは残業で午後7時過ぎまで会社に残っていましたね。」

古畑「そのあなたがなぜ全自動卵割り機の存在、しかも使い方までご存知なんですか?」

古畑「納得のいく説明ができますか?」

180: 2014/12/24(水) 00:20:03.06 ID:+COmVR+REVE
アナゴ「それはねえ、古畑さあん。売れた2つのうちの1つを僕が所持しているからですよお。」

古畑「・・・本当にそうなんですか?」

アナゴ「・・・そんなわけないでしょう。私の負けですよお。古畑さあん。」

古畑「・・・。」

アナゴ「いつから僕が怪しいと思っていたんですかあ?」

古畑「はい、あなたが今泉のデコを叩いたときです。」

187: 2014/12/24(水) 00:29:57.26 ID:+COmVR+REVE
古畑「えー今回の事件の犯人はかなり腕の力が強い人物。マスオさんも大の男。しかしそのマスオさんを力でねじ伏せることができるのですからかなりの力の持ち主ということになります。」

古畑「あなたが今泉のデコを叩いたとき正直私もびっくりしました。あれだけ良い音はなかなか鳴りません。」

古畑「しかも今泉のデコにはまだあなたに叩かれたときの跡が残っています。今泉は無駄に生命力が強いので平気でしたが、ひ弱な人間なら気絶していたかもしれません。」

古畑「あなたはそれを軽々とやってのけました。マスオさんと親しい関係でそれだけの腕力を持った人物はそうそういないでしょう。」

アナゴ「なるほどお。参りましたよお。」

188: 2014/12/24(水) 00:30:59.58
デコすげえ

189: 2014/12/24(水) 00:32:11.51
ワロタ

193: 2014/12/24(水) 00:37:20.87 ID:+COmVR+REVE
アナゴ「でもねえ、古畑さあん。何も僕はサザエさんが好きという理由だけでフグ田くぅんを陥れようとしたわけじゃないんですよお。」

アナゴ「僕は毎日家へ帰っても妻からは邪魔者扱いされ居場所がなかったあ。」

古畑「・・・お察しします。」

アナゴ「それに比べてフグ田くぅんは明るい家族に囲まれて毎日が幸せそうだったあ。フグ田くぅんの家に行くたびに心底羨ましくなったよお。」

アナゴ「だから僕はフグ田くぅんの幸せを壊してやりたかったんだと思う。だけどあなたみたいな刑事がいると悪いことはできないねえ。」

194: 2014/12/24(水) 00:45:16.55 ID:+COmVR+REVE
アナゴ「それにしても今泉さんには悪いことをしたよお。ちゃんと謝らなきゃいけないなあ。」

古畑「その必要はありません。」

古畑「あいつはデコについた跡を自慢して回っています。これはアナゴさんに叩かれた跡なんだ、すごいだろうって・・・。」

アナゴ「・・・全くどこまでも変わった人だあ。」

アナゴ「行きましょう。」

古畑「はい。」


♩(エンディング曲)

アナゴと古畑が磯野家の居間から出ていく

誰もいなくなった磯野家の居間が映っている

195: 2014/12/24(水) 00:45:43.82 ID:+COmVR+REVE
終わりです
支援ありがとうございました

196: 2014/12/24(水) 00:46:38.75
乙ワロタ

197: 2014/12/24(水) 00:46:50.22
デッデッデデデッデッデデ

デーデーデーデデデ デデデデー

208: 2014/12/24(水) 01:25:50.94
面白かったわ、乙!

引用元: 古畑任三郎「西園寺くん、これ何?」西園寺「全自動卵割り機です。」