1: 2021/05/26(水) 20:32:32.416
日本最大手の駐車場経営企業『月極(げっきょく)グループ』――
そのトップであり、“駐車場界の首領(ドン)”と呼ばれた男に異変が起こっていた。
会長「ごほっ、ごほっ、ごほっ……!」
秘書「大丈夫ですか、会長!」
会長「ワシはもう……長くはあるまい」
秘書「そんなことありません。会長はまだまだお元気で……」
会長「気休めはいい。自分の体のことは自分が一番よく分かっている」
秘書「会長……」
そのトップであり、“駐車場界の首領(ドン)”と呼ばれた男に異変が起こっていた。
会長「ごほっ、ごほっ、ごほっ……!」
秘書「大丈夫ですか、会長!」
会長「ワシはもう……長くはあるまい」
秘書「そんなことありません。会長はまだまだお元気で……」
会長「気休めはいい。自分の体のことは自分が一番よく分かっている」
秘書「会長……」
3: 2021/05/26(水) 20:35:29.547
会長「ワシは駐車場界の頂点に君臨することができ、よき人生を歩めたと思っている」
会長「だが、一つ心配事があるとすれば……」
秘書「なんでしょう?」
会長「後継者が決まっていないことだ」
会長「三人の息子のうち、誰を次のトップにするか……そろそろ決める時が来たようだな」
会長「さっそく、息子達を呼び出してくれんか」
秘書「承知しました」
会長「だが、一つ心配事があるとすれば……」
秘書「なんでしょう?」
会長「後継者が決まっていないことだ」
会長「三人の息子のうち、誰を次のトップにするか……そろそろ決める時が来たようだな」
会長「さっそく、息子達を呼び出してくれんか」
秘書「承知しました」
6: 2021/05/26(水) 20:38:28.803
長男「お呼びですか、父さん」
次男「なんだ、オヤジ?」
三男「入ります!」
会長「お前たちを呼んだのは他でもない」
会長「次にこの月極グループを背負う者を決めようと思ったからだ」
長男「!」
次男「!」
三男「!」
次男「なんだ、オヤジ?」
三男「入ります!」
会長「お前たちを呼んだのは他でもない」
会長「次にこの月極グループを背負う者を決めようと思ったからだ」
長男「!」
次男「!」
三男「!」
8: 2021/05/26(水) 20:41:43.399
長男「なにをおっしゃる。父さんにはまだまだご指導を……」
次男「なにいってやがる兄貴。“やっとか”って思ってるくせによ」
長男「なんだと……」
三男「……」オロオロ
会長「もうよい。さて、どうやって決めるかだが……」
会長「今から三ヶ月、お前たちはそれぞれ一つの駐車場を建て、好きに運営しろ」
会長「その結果、我がグループを背負うに最も相応しいと思った者を後継者として指名する」
長男「分かりました」
次男「やってやるぜ!」
三男「あのボクは……」
会長「お前も参加しろ。ワシに報いたいと思うならば」
三男「わ、分かりました!」
次男「なにいってやがる兄貴。“やっとか”って思ってるくせによ」
長男「なんだと……」
三男「……」オロオロ
会長「もうよい。さて、どうやって決めるかだが……」
会長「今から三ヶ月、お前たちはそれぞれ一つの駐車場を建て、好きに運営しろ」
会長「その結果、我がグループを背負うに最も相応しいと思った者を後継者として指名する」
長男「分かりました」
次男「やってやるぜ!」
三男「あのボクは……」
会長「お前も参加しろ。ワシに報いたいと思うならば」
三男「わ、分かりました!」
10: 2021/05/26(水) 20:44:16.672
長男(いよいよ私が後継者になる時が――)
次男(俺こそが月極グループ会長に相応しい……!)
三男(とりあえず、やれるだけのことはやろう)
次男「おう兄貴、負けねえぞ」
長男「私こそな」
次男「あとお前」
三男「なに?」
次男「お前なんざ泡沫だ。せいぜい月極グループの名を落とすような真似すんじゃねえぞ」
長男「その通りだ。若く未熟なお前では、まともな駐車場経営など期待できんからな」
三男「わ、分かってるよ」
次男(俺こそが月極グループ会長に相応しい……!)
三男(とりあえず、やれるだけのことはやろう)
次男「おう兄貴、負けねえぞ」
長男「私こそな」
次男「あとお前」
三男「なに?」
次男「お前なんざ泡沫だ。せいぜい月極グループの名を落とすような真似すんじゃねえぞ」
長男「その通りだ。若く未熟なお前では、まともな駐車場経営など期待できんからな」
三男「わ、分かってるよ」
11: 2021/05/26(水) 20:48:09.909
……
長男(さて、私の実力を父さんに見せつけてやるとしようか)
長男(駐車場に必要なもの――それは“利便性”に他ならない)
長男(駅から近いこの場所……駐車場には最高だ!)
長男「おい、地主」
地主「は、はい」
長男「これでこの土地を買い取る」バサッ
地主「ひええええ、売ります売ります!」
長男(さて、私の実力を父さんに見せつけてやるとしようか)
長男(駐車場に必要なもの――それは“利便性”に他ならない)
長男(駅から近いこの場所……駐車場には最高だ!)
長男「おい、地主」
地主「は、はい」
長男「これでこの土地を買い取る」バサッ
地主「ひええええ、売ります売ります!」
13: 2021/05/26(水) 20:51:07.656
長男「……できた」
長男「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。我が駐車場へようこそ!」
「お、いい場所に駐車場できたな」
「停めていくか」
「助かるなぁ」
ブロロロロロ…
長男「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。我が駐車場へようこそ!」
「お、いい場所に駐車場できたな」
「停めていくか」
「助かるなぁ」
ブロロロロロ…
14: 2021/05/26(水) 20:53:13.085
「あそこ停めよう」 「いい場所だわ」 「駅からもコンビニからも近い!」
ブロロロロ…
ブロロロロ…
ブロロロロロ…
長男「ふふふ……どんどん車が入ってくる」
長男「これなら大儲け間違いなし! 後継者に選ばれるのは私だ!」
ブロロロロ…
ブロロロロ…
ブロロロロロ…
長男「ふふふ……どんどん車が入ってくる」
長男「これなら大儲け間違いなし! 後継者に選ばれるのは私だ!」
17: 2021/05/26(水) 20:56:55.256
次男(この後継者レース、絶対負けられねえ!)
次男(俺が考える駐車場に必要なもの――それは“安さ”だ!)
次男(ただでさえ車なんて金かかるもんに乗ってるのに、これ以上金はかけたくねえ)
次男(これが運転手のサガってもんよ!)
次男(駐車場は安ければ安いほど人が集まる!)
次男「ってわけで、俺は徹底的に安さにこだわるぜぇ!」
次男(俺が考える駐車場に必要なもの――それは“安さ”だ!)
次男(ただでさえ車なんて金かかるもんに乗ってるのに、これ以上金はかけたくねえ)
次男(これが運転手のサガってもんよ!)
次男(駐車場は安ければ安いほど人が集まる!)
次男「ってわけで、俺は徹底的に安さにこだわるぜぇ!」
18: 2021/05/26(水) 20:59:34.508
次男「この土地安いな。購入しよう」
次男(他にも設備や装飾は最小限に抑え、安くなる工夫をしまくるんだ!)
次男「――完成だ!」
「あの駐車場やけに安いな」
「やっす!」
「ちょっと使わせてもらおうかな」
次男(他にも設備や装飾は最小限に抑え、安くなる工夫をしまくるんだ!)
次男「――完成だ!」
「あの駐車場やけに安いな」
「やっす!」
「ちょっと使わせてもらおうかな」
20: 2021/05/26(水) 21:02:13.330
「ずっと停めてもこの料金かよ!」 「助かる!」 「今はどこも駐車料金高いからな~」
ブロロロロ…
ブロロロロロ…
ブロロロロ…
次男「飛びついてきた、飛びついてきた!」
次男「月極グループを仕切るのは、この俺だ!」
ブロロロロ…
ブロロロロロ…
ブロロロロ…
次男「飛びついてきた、飛びついてきた!」
次男「月極グループを仕切るのは、この俺だ!」
22: 2021/05/26(水) 21:05:17.708
……
長男「駐車場経営はどうだ?」
次男「そりゃもうウハウハだぜ。兄貴は?」
長男「むろん、順調だ」
次男「お互いあのオヤジに鍛えられた仲だしな……だが、負けねえぞ!」
長男「ああ、勝負は正々堂々といこう」
次男「それはそうと、三男の様子を見に行かねえか?」
長男「それもいいな。恥を晒してなければいいが……」
長男「駐車場経営はどうだ?」
次男「そりゃもうウハウハだぜ。兄貴は?」
長男「むろん、順調だ」
次男「お互いあのオヤジに鍛えられた仲だしな……だが、負けねえぞ!」
長男「ああ、勝負は正々堂々といこう」
次男「それはそうと、三男の様子を見に行かねえか?」
長男「それもいいな。恥を晒してなければいいが……」
23: 2021/05/26(水) 21:08:17.010
長男「ここがあいつの経営する駐車場か」
次男「大した広さじゃねえな」
長男「立地もさほどいいとはいえないし……」
次男「値段も……安いとはいえねえな」
長男「やれやれ、駐車場のなんたるかをまるで分かってないな」
次男「まったくだ。素人以下だぜ!」
長男「さて、あいつはどこにいるんだ……?」
次男「お、あそこにいるぞ」
次男「大した広さじゃねえな」
長男「立地もさほどいいとはいえないし……」
次男「値段も……安いとはいえねえな」
長男「やれやれ、駐車場のなんたるかをまるで分かってないな」
次男「まったくだ。素人以下だぜ!」
長男「さて、あいつはどこにいるんだ……?」
次男「お、あそこにいるぞ」
25: 2021/05/26(水) 21:11:45.882
三男「お、花が咲いてきた」
三男「ふんふ~ん」シャァァァ…
三男「ル~ルル~」シャァァァァ…
長男「駐車場の片隅に、花壇なんか作って水あげてやがる」
次男「バカか、あいつ!? 駐車場は公園じゃねえんだぞ!」
三男「ふんふ~ん」シャァァァ…
三男「ル~ルル~」シャァァァァ…
長男「駐車場の片隅に、花壇なんか作って水あげてやがる」
次男「バカか、あいつ!? 駐車場は公園じゃねえんだぞ!」
29: 2021/05/26(水) 21:14:47.793
三男「すみません」
守衛「おお~、オーナー」
三男「近頃どうです?」
守衛「いやー、おかげさまで……」
三男「アハハ、なるほど」
長男「守衛と話し込んでる……」
次男「あんなもん雇うな! 守衛なんざ人件費の無駄だ!」
守衛「おお~、オーナー」
三男「近頃どうです?」
守衛「いやー、おかげさまで……」
三男「アハハ、なるほど」
長男「守衛と話し込んでる……」
次男「あんなもん雇うな! 守衛なんざ人件費の無駄だ!」
30: 2021/05/26(水) 21:17:19.110
守衛「この前は、酔っ払いがイタズラしようとしてきて……」
三男「カメラ設置しましょう。いざという時、警察に提出できますから」
長男「ほう、カメラを設置するようだな」
次男「くっだらねえ、こんなちっぽけな駐車場にそんな設備いるかよ! 大げさなんだよ!」
長男「やはり、あいつは我々の敵にはならんな。帰ろう」
次男「おう」
三男「カメラ設置しましょう。いざという時、警察に提出できますから」
長男「ほう、カメラを設置するようだな」
次男「くっだらねえ、こんなちっぽけな駐車場にそんな設備いるかよ! 大げさなんだよ!」
長男「やはり、あいつは我々の敵にはならんな。帰ろう」
次男「おう」
31: 2021/05/26(水) 21:22:16.709
三ヶ月後――
会長「三人とも、揃ったようだな」
長男「はい」
次男「おう」
三男「はいっ!」
会長「お前たちの駐車場の運営状況は、詳細にわたって調べさせてもらった」
長男(この三ヶ月、経営は順調だった……)
次男(兄貴も手強かったが、選ばれる自信はある!)
三男「……」ドキドキ
会長「それでは……結果を発表する」
会長「三人とも、揃ったようだな」
長男「はい」
次男「おう」
三男「はいっ!」
会長「お前たちの駐車場の運営状況は、詳細にわたって調べさせてもらった」
長男(この三ヶ月、経営は順調だった……)
次男(兄貴も手強かったが、選ばれる自信はある!)
三男「……」ドキドキ
会長「それでは……結果を発表する」
32: 2021/05/26(水) 21:24:42.438
会長「後継者になるべき人間は……三男だ」
長男「え!?」
次男「な!?」
三男「ええっ!?」
会長「……以上」
長男「……ッ!」
長男「ちょっと待って下さい! なぜですか!?」
次男「そうだぜ、こんな結果納得いかねえ!」
長男「え!?」
次男「な!?」
三男「ええっ!?」
会長「……以上」
長男「……ッ!」
長男「ちょっと待って下さい! なぜですか!?」
次男「そうだぜ、こんな結果納得いかねえ!」
35: 2021/05/26(水) 21:27:18.637
長男「私の駐車場は最も立地がよく、大勢の人間に使われた!」
長男「経済的にも集客的にも、私の駐車場が最も優れていたはずだ!」
会長「たしかに、お前の駐車場は大勢に使われていた。利便性がよかったからな」
長男「そうでしょう!」
会長「だが、お前の駐車場近辺は、その利便性ゆえ素行の悪い輩がたむろするエリアも多かった」
会長「そのせいで車にキズをつけられたり、パンクさせられる事例もあったと聞く」
会長「そういった輩への対処は、まるで十分とはいえなかった」
長男「ぐ……!」
長男「経済的にも集客的にも、私の駐車場が最も優れていたはずだ!」
会長「たしかに、お前の駐車場は大勢に使われていた。利便性がよかったからな」
長男「そうでしょう!」
会長「だが、お前の駐車場近辺は、その利便性ゆえ素行の悪い輩がたむろするエリアも多かった」
会長「そのせいで車にキズをつけられたり、パンクさせられる事例もあったと聞く」
会長「そういった輩への対処は、まるで十分とはいえなかった」
長男「ぐ……!」
36: 2021/05/26(水) 21:30:20.448
次男「だったら……俺はどうなんだ!?」
次男「俺の駐車場は価格も安いし、色んな車が使ってくれた!」
会長「たしかにお前の駐車場の利用料金は安い。あの料金設定にできた手腕は見事だ」
会長「だが、安さを追求するあまり、駐車場の立地はお世辞にもいいとはいえないし」
会長「人件費をケチりろくに手入れもしてなかったため、あれでは駐車場というよりほとんど荒れ地だ」
会長「安さに誘われて利用した客は多いが、リピーターは少なかった」
次男「うぐぅ……!」
次男「俺の駐車場は価格も安いし、色んな車が使ってくれた!」
会長「たしかにお前の駐車場の利用料金は安い。あの料金設定にできた手腕は見事だ」
会長「だが、安さを追求するあまり、駐車場の立地はお世辞にもいいとはいえないし」
会長「人件費をケチりろくに手入れもしてなかったため、あれでは駐車場というよりほとんど荒れ地だ」
会長「安さに誘われて利用した客は多いが、リピーターは少なかった」
次男「うぐぅ……!」
37: 2021/05/26(水) 21:32:05.034
荒れ地はあかんよ次男君
38: 2021/05/26(水) 21:33:29.894
会長「それに比べて、三男の駐車場はどうだ」
会長「大して広くもないし、安くもない。立地だって平凡」
会長「しかし、設置された花壇は利用者のみならず、近隣住民からの評判もよかった」
会長「さらに守衛やカメラを設置したことで、駐車場内トラブルもほとんど起こらなかった」
会長「利用者の満足度は、三つの駐車場の中でダントツだったのだ」
長男「そんな……!」
次男「マジかよ……」
会長「そう、駐車場に最も必要なのは、“利便性”や“安さ”などではない」
会長「“安心感”だ!」
会長「大して広くもないし、安くもない。立地だって平凡」
会長「しかし、設置された花壇は利用者のみならず、近隣住民からの評判もよかった」
会長「さらに守衛やカメラを設置したことで、駐車場内トラブルもほとんど起こらなかった」
会長「利用者の満足度は、三つの駐車場の中でダントツだったのだ」
長男「そんな……!」
次男「マジかよ……」
会長「そう、駐車場に最も必要なのは、“利便性”や“安さ”などではない」
会長「“安心感”だ!」
40: 2021/05/26(水) 21:36:25.255
会長「自分の愛車、それは自分の相棒や子供のようなもの」
会長「駐車場はそんな大切な物を預かる場所なのだ。幼稚園や保育園、学校と同じだ」
会長「ゆえに、安心して車を任せられる環境でなければお話にならない」
会長「お前たちは目先の儲けや集客にとらわれ、この本質を見落としていた」
会長「よって、お前たちを選ぶことはできなかったのだ」
長男「なんということだ……ッ!」
次男「ぐうの音も出ねえ……!」
会長「駐車場はそんな大切な物を預かる場所なのだ。幼稚園や保育園、学校と同じだ」
会長「ゆえに、安心して車を任せられる環境でなければお話にならない」
会長「お前たちは目先の儲けや集客にとらわれ、この本質を見落としていた」
会長「よって、お前たちを選ぶことはできなかったのだ」
長男「なんということだ……ッ!」
次男「ぐうの音も出ねえ……!」
41: 2021/05/26(水) 21:37:19.476
兄ちゃんたち素直やん
42: 2021/05/26(水) 21:39:20.943
長男「負けた……完敗だ……」
次男「ああ……俺たちは駐車場をただ車を置くスペースと認識してたが……あいつは違う!」
次男「“大切な愛車を預かる場所”として、丁寧に管理・運営していた……!」
長男「最初から私たちは負けていたんだ……」
三男「兄さん達……」
会長「というわけだ。勝負はついた。会長の座……引き受けてくれるな」
三男「父さん……ボクは……」
次男「ああ……俺たちは駐車場をただ車を置くスペースと認識してたが……あいつは違う!」
次男「“大切な愛車を預かる場所”として、丁寧に管理・運営していた……!」
長男「最初から私たちは負けていたんだ……」
三男「兄さん達……」
会長「というわけだ。勝負はついた。会長の座……引き受けてくれるな」
三男「父さん……ボクは……」
43: 2021/05/26(水) 21:43:14.127
三男「辞退します」
会長「なんだと?」
三男「たしかにボクは今回の勝負勝ったけど、厳しい駐車場業界で生き抜くには」
三男「やはりボクでは力不足だと思うし、なによりボクは……」
三男「巨大なグループを運営するより、今回作った駐車場の経営に専念したいんだ」
会長「分かった……。それが希望とあらば、無理強いはすまい」
三男「というわけで兄さん達、グループの舵取りを頼むよ」
長男「本当にいいのか?」
次男「俺たちなんかに任せちまってよ……」
三男「うん。今の兄さん達なら、月極グループをもっともっと大きくできるはずだよ!」
会長「なんだと?」
三男「たしかにボクは今回の勝負勝ったけど、厳しい駐車場業界で生き抜くには」
三男「やはりボクでは力不足だと思うし、なによりボクは……」
三男「巨大なグループを運営するより、今回作った駐車場の経営に専念したいんだ」
会長「分かった……。それが希望とあらば、無理強いはすまい」
三男「というわけで兄さん達、グループの舵取りを頼むよ」
長男「本当にいいのか?」
次男「俺たちなんかに任せちまってよ……」
三男「うん。今の兄さん達なら、月極グループをもっともっと大きくできるはずだよ!」
44: 2021/05/26(水) 21:46:24.956
その後……
長男は月極グループのトップに立ち、次男は副会長の座についた。
しかし、長男はあくまで“会長代理”という座にとどまった。
「もっと会長に相応しい人間がいた」と主張するかのように――
兄弟は力を合わせ、自分達の経営力を生かしつつも、安心感のある駐車場経営を目指し、
月極グループを更に巨大な企業へと成長させるのであった。
さて、三男はというと――
長男は月極グループのトップに立ち、次男は副会長の座についた。
しかし、長男はあくまで“会長代理”という座にとどまった。
「もっと会長に相応しい人間がいた」と主張するかのように――
兄弟は力を合わせ、自分達の経営力を生かしつつも、安心感のある駐車場経営を目指し、
月極グループを更に巨大な企業へと成長させるのであった。
さて、三男はというと――
45: 2021/05/26(水) 21:49:31.818
三男「どうだ、パパの駐車場はすごいだろう」
娘「えー、ちっちゃーい。近くにもっと立派な駐車場あるよ」
三男「そ、そうかな?」
妻「ふふっ、いずれあなたにもお父さんの駐車場のステキさが分かる日が来るわよ」
娘「そうかなぁ」
三男(父さん、兄さん達……ボクは今、とても幸せです)
小さな駐車場を経営しつつ、ささやかな幸福を掴んだという……。
おわり
娘「えー、ちっちゃーい。近くにもっと立派な駐車場あるよ」
三男「そ、そうかな?」
妻「ふふっ、いずれあなたにもお父さんの駐車場のステキさが分かる日が来るわよ」
娘「そうかなぁ」
三男(父さん、兄さん達……ボクは今、とても幸せです)
小さな駐車場を経営しつつ、ささやかな幸福を掴んだという……。
おわり
46: 2021/05/26(水) 21:53:01.182
乙
やはり月極グループは偉大
やはり月極グループは偉大
49: 2021/05/26(水) 22:11:31.155
面白かった乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります