13: 2012/11/25(日) 02:31:15.23 ID:oQOwdi/g0
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
サクラ「碇さん、お食事済みました? トレー、下げますよ?」
シンジ「………………」
サクラ「……って、また一口も食べてないんですか」
シンジ「………………」
サクラ「もう…、ちゃんと食べてくださいよ。せっかく炊事班が作ったんですから」
シンジ「………………」
サクラ「……今日も、いつものようにダンマリですか?」
シンジ「………………だ」ボソッ
サクラ「え?」
シンジ「……僕はちゃんと、綾波を助けたんだ」ボソッ
サクラ「碇さん、お食事済みました? トレー、下げますよ?」
シンジ「………………」
サクラ「……って、また一口も食べてないんですか」
シンジ「………………」
サクラ「もう…、ちゃんと食べてくださいよ。せっかく炊事班が作ったんですから」
シンジ「………………」
サクラ「……今日も、いつものようにダンマリですか?」
シンジ「………………だ」ボソッ
サクラ「え?」
シンジ「……僕はちゃんと、綾波を助けたんだ」ボソッ
14: 2012/11/25(日) 02:40:54.10
シンジ「カヲル君は僕に優しくしてくれたんだ」ボソボソ
シンジ「ミサトさんはガサツでズボラだけど、僕のことを気にかけてくれたんだ」ボソボソ
シンジ「トウジとケンスケは、エヴァに乗る僕を応援してくれた」ボソボソ
シンジ「アスカはよく突っかかってくるけれど、一緒に戦った仲間だったんだ」ボソボソ
シンジ「父さんとは、一緒に綾波の手料理を食べる予定だった」ボソボソ
サクラ「……碇さん、いきなり何を言うてはるんですか?」
シンジ「ツラかったけど…エヴァに乗ってて、ずっと上手くいってたんだ」
シンジ「それなのに、なんでこんな目に遭わなきゃならないんだよッ!!」
サクラ「…………なんでこんな目にって…、そんなん、決まってるやないですか」
サクラ「碇さんが、サードインパクトを起こしたからですよっ!!」
シンジ「ミサトさんはガサツでズボラだけど、僕のことを気にかけてくれたんだ」ボソボソ
シンジ「トウジとケンスケは、エヴァに乗る僕を応援してくれた」ボソボソ
シンジ「アスカはよく突っかかってくるけれど、一緒に戦った仲間だったんだ」ボソボソ
シンジ「父さんとは、一緒に綾波の手料理を食べる予定だった」ボソボソ
サクラ「……碇さん、いきなり何を言うてはるんですか?」
シンジ「ツラかったけど…エヴァに乗ってて、ずっと上手くいってたんだ」
シンジ「それなのに、なんでこんな目に遭わなきゃならないんだよッ!!」
サクラ「…………なんでこんな目にって…、そんなん、決まってるやないですか」
サクラ「碇さんが、サードインパクトを起こしたからですよっ!!」
16: 2012/11/25(日) 02:52:58.33
サクラ「勝手もいいですけど、エヴァにだけは乗るなって言うたやないですか!」
サクラ「それなのに、またあんな惨事を起こして帰ってくるやなんて……」
サクラ「……もう、ええです。碇さんと話すことは何もありません」
サクラ「…………食事、下げますね」
シンジ「……………うっ、ううっ……」グスッ
サクラ(……まったく、泣きたいのは私ら巻き込まれたほうやっていうのに…)
≪ヴンダー艦内・通路≫
アスカ「ねえ、鈴原妹、あんた、シンジの部屋からの帰り?」
サクラ「あ、式波大尉、お疲れ様です」
アスカ「……ガキシンジの奴、また食事に手を付けなかったのね」
サクラ「それなのに、またあんな惨事を起こして帰ってくるやなんて……」
サクラ「……もう、ええです。碇さんと話すことは何もありません」
サクラ「…………食事、下げますね」
シンジ「……………うっ、ううっ……」グスッ
サクラ(……まったく、泣きたいのは私ら巻き込まれたほうやっていうのに…)
≪ヴンダー艦内・通路≫
アスカ「ねえ、鈴原妹、あんた、シンジの部屋からの帰り?」
サクラ「あ、式波大尉、お疲れ様です」
アスカ「……ガキシンジの奴、また食事に手を付けなかったのね」
18: 2012/11/25(日) 03:01:12.72
≪ヴンダー艦内・営倉≫
ミサト「では、ネルフ本部の現状について教えてもらうわ」
ミサト「ネルフが現在保有しているエヴァの数は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「ネルフの現在の構成員の人数は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「第3新東京市以外で、稼働しているネルフの拠点は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「ネルフの進めている人類補完計画の進捗状況は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「では、ネルフ本部の現状について教えてもらうわ」
ミサト「ネルフが現在保有しているエヴァの数は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「ネルフの現在の構成員の人数は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「第3新東京市以外で、稼働しているネルフの拠点は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
ミサト「ネルフの進めている人類補完計画の進捗状況は?」
アヤナミ「碇司令の命令がないので、お答えできません」
20: 2012/11/25(日) 03:11:46.04
≪ヴンダー艦内・操舵室≫
スミレ「葛城艦長の横で見てましたけれど、こんな感じで何も答えませんでしたよ、あの捕虜」
マヤ「……そう。……あれ、感じは変わりましたけど、綾波レイですよね?」
マヤ「先輩、綾波レイは第10使徒との戦いで、シンジ君と一緒に初号機に取り込まれたはずです」
マヤ「それがなぜ、ネルフ本部にいて、エヴァMark.09を操縦していたんでしょう」
マヤ「先輩なら、なにか知っているんじゃないですか?」
リツコ「……さあ、私は何も知らないわよ」
≪ヴンダー艦内・調理場≫
コトコトコトコト ――――
アスカ「料理なんて久しぶりね。14年ぶりかしら」
スミレ「葛城艦長の横で見てましたけれど、こんな感じで何も答えませんでしたよ、あの捕虜」
マヤ「……そう。……あれ、感じは変わりましたけど、綾波レイですよね?」
マヤ「先輩、綾波レイは第10使徒との戦いで、シンジ君と一緒に初号機に取り込まれたはずです」
マヤ「それがなぜ、ネルフ本部にいて、エヴァMark.09を操縦していたんでしょう」
マヤ「先輩なら、なにか知っているんじゃないですか?」
リツコ「……さあ、私は何も知らないわよ」
≪ヴンダー艦内・調理場≫
コトコトコトコト ――――
アスカ「料理なんて久しぶりね。14年ぶりかしら」
22: 2012/11/25(日) 03:26:35.70
マリ「おっ、姫、姿を見ないと思ったら、こんなところにいた!」
マリ「……なになに、手料理? なんだか、似合わないことしてんじゃん」
マリ「もしかして、ワンコ君に食べさせるのかにゃ?」
アスカ「………………」無視
マリ「ねえねえ、姫ぇ、無視しないで教えてよ」
アスカ「うっさいわね、コネメガネ!! 気が散るから向こうに行ってなさいよ!!」
マリ「まあまあ、そう言わずに。……どれ、ちょっと味見…」ヒョイッ
アスカ「あ、ちょっと……」
マリ「……うーん、ワンコ君なら、もっと薄味のほうがいいんじゃない?」モグモグ
アスカ「……あんた、料理できるの?」
マリ「ん、ちょっとだけなら」
マリ「……なになに、手料理? なんだか、似合わないことしてんじゃん」
マリ「もしかして、ワンコ君に食べさせるのかにゃ?」
アスカ「………………」無視
マリ「ねえねえ、姫ぇ、無視しないで教えてよ」
アスカ「うっさいわね、コネメガネ!! 気が散るから向こうに行ってなさいよ!!」
マリ「まあまあ、そう言わずに。……どれ、ちょっと味見…」ヒョイッ
アスカ「あ、ちょっと……」
マリ「……うーん、ワンコ君なら、もっと薄味のほうがいいんじゃない?」モグモグ
アスカ「……あんた、料理できるの?」
マリ「ん、ちょっとだけなら」
24: 2012/11/25(日) 03:35:49.33
マリ「ほい、これで下準備は完成っ!!」
アスカ「下準備って…、レトルトのカレーを温めて、カップ麺にお湯注いだだけじゃない」
アスカ「それは手料理って言わないわよ」
マリ「まあまあ、大事なのはここからここから」
マリ「では、仕上げ! カップ麺の中に、カレールーをどばっと入れる!!」
マリ「これで特製カレーラーメン完成! ……お湯は少な目に入れるのがコツだからね」
アスカ「…………」シラー
マリ「不服かにゃ? でも、結構いけるよ。姫も食べてみなよ」
アスカ「遠慮しとく。……あんたに期待した私がバカだったわ」
アスカ「やっぱ、自分一人で作るしかないわね」
アスカ「下準備って…、レトルトのカレーを温めて、カップ麺にお湯注いだだけじゃない」
アスカ「それは手料理って言わないわよ」
マリ「まあまあ、大事なのはここからここから」
マリ「では、仕上げ! カップ麺の中に、カレールーをどばっと入れる!!」
マリ「これで特製カレーラーメン完成! ……お湯は少な目に入れるのがコツだからね」
アスカ「…………」シラー
マリ「不服かにゃ? でも、結構いけるよ。姫も食べてみなよ」
アスカ「遠慮しとく。……あんたに期待した私がバカだったわ」
アスカ「やっぱ、自分一人で作るしかないわね」
26: 2012/11/25(日) 03:44:53.03
トントントン、ザクッ ――――
アスカ「痛っ!! ――指、切っちゃった」
マリ「姫、大丈夫?」
アスカ「ツバ付けて、絆創膏でも貼っておけば治るわよ」
アスカ「……まったく、慣れないことなんてするもんじゃないわね」
マリ「ねえ、姫ぇ、なんでいきなり、料理作ろうだなんて思ったのさ?」
アスカ「……別に。ガキは腹が減ってるから拗ねるのよ」
アスカ「温かい料理を食べさせておけば、自然に元気になるわ」
マリ「…………ふーん」
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「アスカの…手料理?」
サクラ「はい。式波大尉、自分で台所に立って作ってましたよ」
アスカ「痛っ!! ――指、切っちゃった」
マリ「姫、大丈夫?」
アスカ「ツバ付けて、絆創膏でも貼っておけば治るわよ」
アスカ「……まったく、慣れないことなんてするもんじゃないわね」
マリ「ねえ、姫ぇ、なんでいきなり、料理作ろうだなんて思ったのさ?」
アスカ「……別に。ガキは腹が減ってるから拗ねるのよ」
アスカ「温かい料理を食べさせておけば、自然に元気になるわ」
マリ「…………ふーん」
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「アスカの…手料理?」
サクラ「はい。式波大尉、自分で台所に立って作ってましたよ」
27: 2012/11/25(日) 04:00:01.66
≪ヴンダー艦内・廊下≫
アスカ「――って、結局、一口も食べてないじゃない!!」
サクラ「はい…、式波大尉が作ったってちゃんと伝えたんですけど」
マリ「ありゃりゃ、姫の料理がよっぽどゲロマズだったのかにゃ?」
アスカ「うっさい!! コネメガネはちょっと黙ってなさい!!」
サクラ「……式波大尉のせいじゃないですよ。碇さん、いつも食べませんから」
サクラ「せっかく無事に帰ってきたのに、あれじゃあ、衰弱する一方ですよ」
アスカ「…………鈴原妹、あのガキに伝えておいて」
サクラ「はぁ、何てでしょうか?」
アスカ「アンタが食べるまで、毎日作ってくるから覚悟しなさいってね!!」
マリ(……やれやれ、姫もワンコ君も頑固者だねえ)
アスカ「――って、結局、一口も食べてないじゃない!!」
サクラ「はい…、式波大尉が作ったってちゃんと伝えたんですけど」
マリ「ありゃりゃ、姫の料理がよっぽどゲロマズだったのかにゃ?」
アスカ「うっさい!! コネメガネはちょっと黙ってなさい!!」
サクラ「……式波大尉のせいじゃないですよ。碇さん、いつも食べませんから」
サクラ「せっかく無事に帰ってきたのに、あれじゃあ、衰弱する一方ですよ」
アスカ「…………鈴原妹、あのガキに伝えておいて」
サクラ「はぁ、何てでしょうか?」
アスカ「アンタが食べるまで、毎日作ってくるから覚悟しなさいってね!!」
マリ(……やれやれ、姫もワンコ君も頑固者だねえ)
28: 2012/11/25(日) 04:10:44.08
≪数日後、ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
サクラ「碇さん、トレー、下げますよ?」
シンジ「………………」
サクラ「………………あっ」
≪ヴンダー艦内・廊下≫
サクラ「式波大尉、やりましたよっ! 碇さん、食べました!!」
マリ「やったね、姫! 毎日作った甲斐があったじゃん!!」
アスカ「……そ、そう、やっと食べたのね、ガキシンジの奴」
サクラ「ええ、……と言っても一口ですけど」
アスカ「一口? たったの?」
サクラ「でも、大きな前進ですよ。これまではそれすら食べなかったんですから」
サクラ「碇さん、トレー、下げますよ?」
シンジ「………………」
サクラ「………………あっ」
≪ヴンダー艦内・廊下≫
サクラ「式波大尉、やりましたよっ! 碇さん、食べました!!」
マリ「やったね、姫! 毎日作った甲斐があったじゃん!!」
アスカ「……そ、そう、やっと食べたのね、ガキシンジの奴」
サクラ「ええ、……と言っても一口ですけど」
アスカ「一口? たったの?」
サクラ「でも、大きな前進ですよ。これまではそれすら食べなかったんですから」
30: 2012/11/25(日) 04:24:40.57
アスカ「……むぅ。まあ、いいわ。以降も作戦続行ね」
アスカ「じゃあ、食器の片付けお願いね。私はちょっと、やることがあるから」
マリ「ん? 姫、どこに行くの?」
アスカ「もう一人のガキの顔を見に行くのよ」
≪ヴンダー艦内・営倉≫
アヤナミ「………………」
アスカ「……エコヒイキ、そうやって黙秘を続けるのもいいけどさ」
アスカ「捕えられて一週間、ネルフの誰もアンタのこと助けに来ないじゃない」
アスカ「碇司令、たぶん、アンタのこと見捨てたわよ」
アヤナミ「………………」
アスカ「はあ…、2人そろってダンマリか……」
アスカ「じゃあ、食器の片付けお願いね。私はちょっと、やることがあるから」
マリ「ん? 姫、どこに行くの?」
アスカ「もう一人のガキの顔を見に行くのよ」
≪ヴンダー艦内・営倉≫
アヤナミ「………………」
アスカ「……エコヒイキ、そうやって黙秘を続けるのもいいけどさ」
アスカ「捕えられて一週間、ネルフの誰もアンタのこと助けに来ないじゃない」
アスカ「碇司令、たぶん、アンタのこと見捨てたわよ」
アヤナミ「………………」
アスカ「はあ…、2人そろってダンマリか……」
31: 2012/11/25(日) 04:34:58.22
アスカ「ま、いいわ。また来るから」
アスカ「アンタが、何か喋りたくなるまでね」
スタスタ ――――
アヤナミ「……あっ」
アスカ「なに? エコヒイキ、どうかしたの?」
アヤナミ「……手、怪我、絆創膏」
アスカ「……ああ、私の手ね。料理を作ってる時に切っちゃったのよ」
アスカ「この手が、どうかしたの?」
アヤナミ「わからない……。けど……」
アスカ「けど?」
アヤナミ「何か…、どこかで見た気がする」
アスカ「アンタが、何か喋りたくなるまでね」
スタスタ ――――
アヤナミ「……あっ」
アスカ「なに? エコヒイキ、どうかしたの?」
アヤナミ「……手、怪我、絆創膏」
アスカ「……ああ、私の手ね。料理を作ってる時に切っちゃったのよ」
アスカ「この手が、どうかしたの?」
アヤナミ「わからない……。けど……」
アスカ「けど?」
アヤナミ「何か…、どこかで見た気がする」
33: 2012/11/25(日) 04:47:36.14
アスカ「……エコヒイキ、ちょっと付いてきて!」
アヤナミ「……どこへ?」
アスカ「いいからッ!!」
≪ヴンダー艦内・調理場≫
アヤナミ「……ここは?」
アスカ「見てわかんないの? 台所よ、台所」
アスカ「アンタが、ガキシンジのご飯を作るの」
アヤナミ「でも、碇司令の命令が……」
アスカ「もう! 命令命令うるさいわね!! アンタ、命令がないと何にもできないの!」
アスカ「ゴチャゴチャ言わず、とっとと作る! 私も手伝ってあげるから!!」
アヤナミ「……どこへ?」
アスカ「いいからッ!!」
≪ヴンダー艦内・調理場≫
アヤナミ「……ここは?」
アスカ「見てわかんないの? 台所よ、台所」
アスカ「アンタが、ガキシンジのご飯を作るの」
アヤナミ「でも、碇司令の命令が……」
アスカ「もう! 命令命令うるさいわね!! アンタ、命令がないと何にもできないの!」
アスカ「ゴチャゴチャ言わず、とっとと作る! 私も手伝ってあげるから!!」
38: 2012/11/25(日) 05:02:59.37
≪同・調理場の物陰≫
ヒデキ「おいおい、いいのかよ。許可なく捕虜を営倉から出しちゃって」
ミドリ「知らないっすよ、式波大尉が勝手にやったことなんっスから」
≪ヴンダー艦内・艦長室≫
リツコ「……ということがあったそうよ。どうするつもり」
ミサト「……。……黙認します。アスカに任せましょう」
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「……綾波が」
サクラ「ええ、式波大尉が連れ出して、一緒に作ったそうですよ」
サクラ「ですから、今日こそはきちんと食べてくださいね」
ヒデキ「おいおい、いいのかよ。許可なく捕虜を営倉から出しちゃって」
ミドリ「知らないっすよ、式波大尉が勝手にやったことなんっスから」
≪ヴンダー艦内・艦長室≫
リツコ「……ということがあったそうよ。どうするつもり」
ミサト「……。……黙認します。アスカに任せましょう」
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「……綾波が」
サクラ「ええ、式波大尉が連れ出して、一緒に作ったそうですよ」
サクラ「ですから、今日こそはきちんと食べてくださいね」
40: 2012/11/25(日) 05:12:07.61
≪翌日、ヴンダー艦内・調理場≫
トントントン ――――
アスカ「……で、食べたのは結局、3分の1くらいね」
アスカ「いいわ。完食するまで作り続けてやるんだから!」
アヤナミ「……私も、まだやらなければならないの?」
アスカ「当ったり前でしょ! 意地でもあのガキに食べさせるのよ!!」
アスカ「鈴原妹は監視。あのネコメガネが入ってこられないようにね」
サクラ「了解です」
≪ヴンダー艦内・調理場前の廊下≫
マリ「むぅ、つまみ食いしようと思ったのに、これじゃできないじゃん…」
トントントン ――――
アスカ「……で、食べたのは結局、3分の1くらいね」
アスカ「いいわ。完食するまで作り続けてやるんだから!」
アヤナミ「……私も、まだやらなければならないの?」
アスカ「当ったり前でしょ! 意地でもあのガキに食べさせるのよ!!」
アスカ「鈴原妹は監視。あのネコメガネが入ってこられないようにね」
サクラ「了解です」
≪ヴンダー艦内・調理場前の廊下≫
マリ「むぅ、つまみ食いしようと思ったのに、これじゃできないじゃん…」
41: 2012/11/25(日) 05:19:38.96
≪翌日、ヴンダー艦内・調理場≫
トントントン ――――
アヤナミ「………………」
アスカ「……。……ねえ、エコヒイキ。あんた、本当に何にも思い出せないの?」
アヤナミ「……ええ」
アスカ「……そっか」
トントントン ――――
アヤナミ「………………。食事って…」
アスカ「ん? なに?」
アヤナミ「……食事って、楽しいですか?」
アスカ「なによ、突然……」
トントントン ――――
アヤナミ「………………」
アスカ「……。……ねえ、エコヒイキ。あんた、本当に何にも思い出せないの?」
アヤナミ「……ええ」
アスカ「……そっか」
トントントン ――――
アヤナミ「………………。食事って…」
アスカ「ん? なに?」
アヤナミ「……食事って、楽しいですか?」
アスカ「なによ、突然……」
42: 2012/11/25(日) 05:30:03.03
アスカ「……ええ、楽しいわよ」
アヤナミ「誰かと一緒に食べるって、嬉しいですか?」
アスカ「当ったり前じゃない」
アヤナミ「料理って、作ると喜ぶ…ですか?」
アスカ「女の子の手料理に喜ばない男なんて、この世にはいないわよ」
アヤナミ「……以前にも、誰かに同じことを尋ねたような気がする」
アスカ「…………。……出来たわ。さ、運ぶわよ」
サクラ「あ、運ぶのは、いつものように私が…」
アスカ「今日はいいわ。私たちも一緒に食べるから」
サクラ「……たち?」
アスカ「エコヒイキ、あんたも一緒に、シンジのとこまで行くのよ」
アヤナミ「誰かと一緒に食べるって、嬉しいですか?」
アスカ「当ったり前じゃない」
アヤナミ「料理って、作ると喜ぶ…ですか?」
アスカ「女の子の手料理に喜ばない男なんて、この世にはいないわよ」
アヤナミ「……以前にも、誰かに同じことを尋ねたような気がする」
アスカ「…………。……出来たわ。さ、運ぶわよ」
サクラ「あ、運ぶのは、いつものように私が…」
アスカ「今日はいいわ。私たちも一緒に食べるから」
サクラ「……たち?」
アスカ「エコヒイキ、あんたも一緒に、シンジのとこまで行くのよ」
45: 2012/11/25(日) 05:58:00.79
≪ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「アスカ、それに綾波…、なんで……」
アスカ「14年ぶりの約束を果たしに来たのよ。ガキが駄々こねて好き嫌いするから」
アヤナミ「………………」
シンジ「で、でも……」
アスカ「気にせず食べなさいよ。私たちには軍用レーションがあるから」
アスカ「少し濃いめの味だけど、結構イケるんだから」
シンジ「……。そうじゃなくて……」
アスカ「グズグズ言ってないで、さっさと食べる! 引っぱたくわよ!!」
シンジ「…………はい」
アスカ「はい、エコヒイキ、これ、あんたの分のレーション」スッ
シンジ「アスカ、それに綾波…、なんで……」
アスカ「14年ぶりの約束を果たしに来たのよ。ガキが駄々こねて好き嫌いするから」
アヤナミ「………………」
シンジ「で、でも……」
アスカ「気にせず食べなさいよ。私たちには軍用レーションがあるから」
アスカ「少し濃いめの味だけど、結構イケるんだから」
シンジ「……。そうじゃなくて……」
アスカ「グズグズ言ってないで、さっさと食べる! 引っぱたくわよ!!」
シンジ「…………はい」
アスカ「はい、エコヒイキ、これ、あんたの分のレーション」スッ
47: 2012/11/25(日) 06:11:58.29
シンジ「……ごちそうさま」カタッ
アスカ「ちょっと、まだかなり残ってるじゃない」
シンジ「……いいよ、食欲ないし」
アスカ「ダメよ! せっかくの命は全部もれなく食べ尽くしなさいよ!」
シンジ「……はい」
アスカ「生き物は、生き物食べて生きてるのよ!!」
シンジ「……はい」
アスカ「もお…、はいはいはいはい、辛気臭いわね! 男はシャキッとしなさいよ!!」
アスカ「それと…、エコヒイキ! あんたも、ちゃんと食べるのよ!!」
アヤナミ「……でも、私、肉は…」
アスカ「もう! そんなところは似なくていいの!!」
アスカ「ちょっと、まだかなり残ってるじゃない」
シンジ「……いいよ、食欲ないし」
アスカ「ダメよ! せっかくの命は全部もれなく食べ尽くしなさいよ!」
シンジ「……はい」
アスカ「生き物は、生き物食べて生きてるのよ!!」
シンジ「……はい」
アスカ「もお…、はいはいはいはい、辛気臭いわね! 男はシャキッとしなさいよ!!」
アスカ「それと…、エコヒイキ! あんたも、ちゃんと食べるのよ!!」
アヤナミ「……でも、私、肉は…」
アスカ「もう! そんなところは似なくていいの!!」
49: 2012/11/25(日) 06:26:28.10
シンジ「……ごちそうさまでした」
アスカ「何よ、食べようと思えば、全部食べられるじゃない」
シンジ「……アスカがムリヤリ食べさせたんだろ」ボソッ
アスカ「何? なんか言った?」
シンジ「別に……」
アスカ「そう。じゃあ、エコヒイキ、食器片付けに行くわよ」
サクラ「あ、そんなの私がやりますから、式波大尉は……」
アスカ「自分が使った分は自分で洗うわ。行くわよ、エコヒイキ」
アヤナミ「………………」
スタスタ ――――
サクラ「2人とも行っちゃった…。きっと、完食してくれたのが嬉しかったんですね」
アスカ「何よ、食べようと思えば、全部食べられるじゃない」
シンジ「……アスカがムリヤリ食べさせたんだろ」ボソッ
アスカ「何? なんか言った?」
シンジ「別に……」
アスカ「そう。じゃあ、エコヒイキ、食器片付けに行くわよ」
サクラ「あ、そんなの私がやりますから、式波大尉は……」
アスカ「自分が使った分は自分で洗うわ。行くわよ、エコヒイキ」
アヤナミ「………………」
スタスタ ――――
サクラ「2人とも行っちゃった…。きっと、完食してくれたのが嬉しかったんですね」
50: 2012/11/25(日) 06:48:47.21
サクラ「でも、よかったです。碇さんがきちんと食べてくれて」
サクラ「心配してたんですよ。帰ってきてから、まったく栄養を摂取してくれないし」
シンジ「でも…、僕は……」
サクラ「確かに、サードおよびフォースインパクトの件はムチャクチャ怒ってます」
サクラ「でも、それはそれ。碇さんは、お兄ちゃんの大事な友人やから」
シンジ「………………」
サクラ「そうだ。あのときは、兄がどうもすいませんでした!」
シンジ「……あのとき?」
サクラ「兄が私を怪我させた言うて、碇さんを二度もド突いたことです」
シンジ「……いいよ。非は、こっちにあったんだし…」
シンジ「そうだ。こちらこそ、君に怪我させて…ごめんなさい」
サクラ「心配してたんですよ。帰ってきてから、まったく栄養を摂取してくれないし」
シンジ「でも…、僕は……」
サクラ「確かに、サードおよびフォースインパクトの件はムチャクチャ怒ってます」
サクラ「でも、それはそれ。碇さんは、お兄ちゃんの大事な友人やから」
シンジ「………………」
サクラ「そうだ。あのときは、兄がどうもすいませんでした!」
シンジ「……あのとき?」
サクラ「兄が私を怪我させた言うて、碇さんを二度もド突いたことです」
シンジ「……いいよ。非は、こっちにあったんだし…」
シンジ「そうだ。こちらこそ、君に怪我させて…ごめんなさい」
60: 2012/11/25(日) 09:29:47.05
サクラ「ねえ、お兄ちゃんが中学生だったときのこと、教えてくださいよ」
シンジ「トウジの?」
サクラ「はい。碇さんの知るお兄ちゃんって、どんな子だったのかなって」
シンジ「どんな子って言われても……」
サクラ「何でもいいんです。気になるじゃないですか、兄妹だし」
シンジ「うーん……」
サクラ「何か、中学時代の覚えてるエピソードとか……」
シンジ「……写真」
サクラ「写真?」
シンジ「そう、写真。盗撮した写真をクラスメートに売りつけてた」
シンジ「アスカの写真。ケンスケっていう、僕と共通の友達と一緒に」
シンジ「トウジの?」
サクラ「はい。碇さんの知るお兄ちゃんって、どんな子だったのかなって」
シンジ「どんな子って言われても……」
サクラ「何でもいいんです。気になるじゃないですか、兄妹だし」
シンジ「うーん……」
サクラ「何か、中学時代の覚えてるエピソードとか……」
シンジ「……写真」
サクラ「写真?」
シンジ「そう、写真。盗撮した写真をクラスメートに売りつけてた」
シンジ「アスカの写真。ケンスケっていう、僕と共通の友達と一緒に」
61: 2012/11/25(日) 09:39:24.16
サクラ「ひっどい!! お兄ちゃん、そんなことしてはったんですか!!」
シンジ「あ、でも、普通の写真で、エOチな隠し撮りとかを売ってたわけじゃないし」
シンジ「それに、主犯はケンスケだし、悪い奴とかスケベだとか、そんなのじゃないよ」
シンジ「……ごめん、パッと出てきたのがこんな思い出話で」
サクラ「いえ、私もそんな気にしてないですから……」
サクラ「でも、裏で隠し撮り写真が売買されるなんて、式波大尉、人気あったんですね」
ガラッ ――――
アスカ「ちょっと! なにその話! 詳しくゲロしなさいよ!!」
サクラ「式波大尉!!」
シンジ「アスカ!! いつからそこに!!」
アスカ「三馬鹿でどんな悪事をしてたのか、洗いざらい吐いてもらうわよっ!!」
シンジ「あ、でも、普通の写真で、エOチな隠し撮りとかを売ってたわけじゃないし」
シンジ「それに、主犯はケンスケだし、悪い奴とかスケベだとか、そんなのじゃないよ」
シンジ「……ごめん、パッと出てきたのがこんな思い出話で」
サクラ「いえ、私もそんな気にしてないですから……」
サクラ「でも、裏で隠し撮り写真が売買されるなんて、式波大尉、人気あったんですね」
ガラッ ――――
アスカ「ちょっと! なにその話! 詳しくゲロしなさいよ!!」
サクラ「式波大尉!!」
シンジ「アスカ!! いつからそこに!!」
アスカ「三馬鹿でどんな悪事をしてたのか、洗いざらい吐いてもらうわよっ!!」
62: 2012/11/25(日) 09:50:10.54
≪一時間後≫
アスカ「確かに不可抗力だけど、パンツ見られたし、三馬鹿の頬を引っぱたいてやったのよ」
アスカ「そしたら鈴原の奴、『んなもん、ワイも見せたる』って自分で脱ぎ出して……」
サクラ「やだ…、お兄ちゃん、最低ぇ……」
アヤナミ「………………」
アスカ「そしたら、勢い余って、あのバカ、下半身まで晒しちゃって」
シンジ「あはは、それでトウジ、もう一発余計に殴られちゃったんだよね」
アスカ「まったく、三馬鹿ってば、本当にバカでスケベでどうしようもなかったわ」
シンジ「……楽しかったなあ、そんなに長い時間じゃないけど、第壱中学校にいた頃は」
シンジ「14年か……」
シンジ「ねえ、教えてほしいんだ、僕が寝ていた14年で何があったのか」
アスカ「確かに不可抗力だけど、パンツ見られたし、三馬鹿の頬を引っぱたいてやったのよ」
アスカ「そしたら鈴原の奴、『んなもん、ワイも見せたる』って自分で脱ぎ出して……」
サクラ「やだ…、お兄ちゃん、最低ぇ……」
アヤナミ「………………」
アスカ「そしたら、勢い余って、あのバカ、下半身まで晒しちゃって」
シンジ「あはは、それでトウジ、もう一発余計に殴られちゃったんだよね」
アスカ「まったく、三馬鹿ってば、本当にバカでスケベでどうしようもなかったわ」
シンジ「……楽しかったなあ、そんなに長い時間じゃないけど、第壱中学校にいた頃は」
シンジ「14年か……」
シンジ「ねえ、教えてほしいんだ、僕が寝ていた14年で何があったのか」
63: 2012/11/25(日) 09:59:38.34
シンジ「カヲル君も、父さんも、冬月副指令も、詳しいことは教えてくれなかったから」
シンジ「知りたいんだ。僕が初号機に乗った結果、どうなったのか」
アスカ「……いいの?」
シンジ「いいんだ。僕のやったことだから」
アスカ「……と言っても、私も詳しいわけじゃないのよね」
アスカ「第10使徒が侵攻してきたときは隔離されてたし、目覚めるまで時間もかかったし」
アスカ「鈴原妹のほうが、よく知ってるんじゃないの?」
サクラ「…………サードインパクトについて、ですか…」
…
……
………
≪ヴンダー艦内・艦長室≫
シンジ「ミサトさん、いったい、どういうことなんですかッ!!!」
シンジ「知りたいんだ。僕が初号機に乗った結果、どうなったのか」
アスカ「……いいの?」
シンジ「いいんだ。僕のやったことだから」
アスカ「……と言っても、私も詳しいわけじゃないのよね」
アスカ「第10使徒が侵攻してきたときは隔離されてたし、目覚めるまで時間もかかったし」
アスカ「鈴原妹のほうが、よく知ってるんじゃないの?」
サクラ「…………サードインパクトについて、ですか…」
…
……
………
≪ヴンダー艦内・艦長室≫
シンジ「ミサトさん、いったい、どういうことなんですかッ!!!」
64: 2012/11/25(日) 10:17:50.13
ミサト「鈴原少尉、碇シンジ君を室外に出していいと許可した覚えはありませんが」ギロッ
サクラ「あの…、それは……」
アスカ「私が連れ出したのよ。彼女は悪くないわ」
アスカ「それより、教えてもらうわよ。ミサト、私たちに隠し事してるでしょ」
『第9の使徒との戦いで導入され、ダミーシステムは既に実用化されていました』
『だから、エヴァ初号機は自律制御可能で、人が乗る必要はなかった』
『では、後の第10使徒戦で、なぜ碇シンジが搭乗して出撃する必要があったのか?』
『ネルフ総司令・碇ゲンドウは第10の使徒襲来を自身の目的達成のための機だと考え……』
『使徒殲滅を口実に初号機を出撃させ、サードインパクトを意図的に起こした』
『息子である碇シンジは父の目的に賛同しており、トリガーとして初号機を故意に覚醒させた』
『これが、サードインパクトに関して、私たちヴィレのクルーが知っている情報です』
サクラ「あの…、それは……」
アスカ「私が連れ出したのよ。彼女は悪くないわ」
アスカ「それより、教えてもらうわよ。ミサト、私たちに隠し事してるでしょ」
『第9の使徒との戦いで導入され、ダミーシステムは既に実用化されていました』
『だから、エヴァ初号機は自律制御可能で、人が乗る必要はなかった』
『では、後の第10使徒戦で、なぜ碇シンジが搭乗して出撃する必要があったのか?』
『ネルフ総司令・碇ゲンドウは第10の使徒襲来を自身の目的達成のための機だと考え……』
『使徒殲滅を口実に初号機を出撃させ、サードインパクトを意図的に起こした』
『息子である碇シンジは父の目的に賛同しており、トリガーとして初号機を故意に覚醒させた』
『これが、サードインパクトに関して、私たちヴィレのクルーが知っている情報です』
66: 2012/11/25(日) 10:29:52.10
シンジ「でも、真実は違います」
シンジ「あのとき、僕が初号機に乗ったのはダミーシステムが作動しなかったからです」
シンジ「それに、父さんの本当の目的なんて僕は知らなかった」
シンジ「あの場にいたミサトさんも本当のことは知っているはずです」
シンジ「せめて、艦内にいる人たちには説明してください。故意に起こしたことじゃないって」
ミサト「………………」
シンジ「黙ってないで何か言ってくださいよ、ミサトさんッ!!」
ミサト「……碇シンジ君、鈴原少尉が話したことが、サードインパクトに関する真実です」
シンジ「そんな……、だってミサトさんは、現場にいて本当のことを知ってるじゃないですか!!」
シンジ「どうして、そんな嘘吐くんです!! おかしいですよ、ミサトさんッ!!」
ミサト「再度言うわ。鈴原少尉の語った内容が、件のことに対する私たちの見解です」
シンジ「あのとき、僕が初号機に乗ったのはダミーシステムが作動しなかったからです」
シンジ「それに、父さんの本当の目的なんて僕は知らなかった」
シンジ「あの場にいたミサトさんも本当のことは知っているはずです」
シンジ「せめて、艦内にいる人たちには説明してください。故意に起こしたことじゃないって」
ミサト「………………」
シンジ「黙ってないで何か言ってくださいよ、ミサトさんッ!!」
ミサト「……碇シンジ君、鈴原少尉が話したことが、サードインパクトに関する真実です」
シンジ「そんな……、だってミサトさんは、現場にいて本当のことを知ってるじゃないですか!!」
シンジ「どうして、そんな嘘吐くんです!! おかしいですよ、ミサトさんッ!!」
ミサト「再度言うわ。鈴原少尉の語った内容が、件のことに対する私たちの見解です」
68: 2012/11/25(日) 10:41:54.35
ミサト「鈴原少尉、碇シンジ君を隔離部屋に連れて帰りなさい」
ミサト「それと、彼の語ったことは出まかせです。口外しないように」
ミサト「式波大尉もよ、いいわね」
アスカ「………………」
≪翌日、ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
サクラ「……また一口も食べてないんですか」
サクラ「せっかく、式波大尉が作ってくれたのに……」
シンジ「………………」
サクラ「式波大尉も、綾波さんも、碇さんのこと心配してますよ」
シンジ「何でだよ、ミサトさんは本当のことを知ってるはずじゃないか…」ボソボソ
ミサト「それと、彼の語ったことは出まかせです。口外しないように」
ミサト「式波大尉もよ、いいわね」
アスカ「………………」
≪翌日、ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
サクラ「……また一口も食べてないんですか」
サクラ「せっかく、式波大尉が作ってくれたのに……」
シンジ「………………」
サクラ「式波大尉も、綾波さんも、碇さんのこと心配してますよ」
シンジ「何でだよ、ミサトさんは本当のことを知ってるはずじゃないか…」ボソボソ
72: 2012/11/25(日) 10:57:13.24
≪ヴンダー艦内・艦長室≫
日向「……葛城さん、シンジ君には事情を説明してあげたほうがいいんじゃないんですか」
青葉「彼、相当落ち込んでますよ。このままじゃ、可哀想です」
ミサト「……ネルフに属していた私たちが反ネルフ組織を立ち上げるのは容易ではなかった」
ミサト「そのために、誰かを生贄にするしかなかった。それがシンジ君…」
ミサト「彼がトリガーとなる可能性がある以上、DSSチョーカーを外すことはできません」
ミサト「生殺与奪を握っておいて、事情を話して理解と同情をしてもらおうなんて都合良すぎるわよ」
ミサト「理由はどうあれ、シンジ君を利用した私たちは、彼に恨まれるべきなの」
ミサト「……シンジ君への謝罪は一生をかけてします。けれど…」
リツコ「今はネルフを止めるときであり、許しを請うときではない」
ミサト「戦うのは私たちだけで充分よ。シンジ君はもう、戦場に出るべきじゃない」
ミサト「手を汚すのは、私たち大人の仕事です」
日向「……葛城さん、シンジ君には事情を説明してあげたほうがいいんじゃないんですか」
青葉「彼、相当落ち込んでますよ。このままじゃ、可哀想です」
ミサト「……ネルフに属していた私たちが反ネルフ組織を立ち上げるのは容易ではなかった」
ミサト「そのために、誰かを生贄にするしかなかった。それがシンジ君…」
ミサト「彼がトリガーとなる可能性がある以上、DSSチョーカーを外すことはできません」
ミサト「生殺与奪を握っておいて、事情を話して理解と同情をしてもらおうなんて都合良すぎるわよ」
ミサト「理由はどうあれ、シンジ君を利用した私たちは、彼に恨まれるべきなの」
ミサト「……シンジ君への謝罪は一生をかけてします。けれど…」
リツコ「今はネルフを止めるときであり、許しを請うときではない」
ミサト「戦うのは私たちだけで充分よ。シンジ君はもう、戦場に出るべきじゃない」
ミサト「手を汚すのは、私たち大人の仕事です」
73: 2012/11/25(日) 11:05:00.62
イイハナシになってんじゃねぇか
75: 2012/11/25(日) 11:10:15.45
≪数日後、ヴンダー艦内・碇シンジの隔離部屋≫
シンジ「………………」
ガラッ ――――
マリ「ワンコ君、まだ落ち込んでるの? いじけてたって、何にも楽しいことないよ?」
シンジ「………………」
マリ「まあ、いいや。……ワンコ君、ちょっと我慢してね」
シンジ「……我慢って…うわっ!!」
マリ「目的地に着くまで、眠ってもらうだけだから」
≪ヴンダー艦内・操舵室≫
ミサト「なんですって! エヴァ8+2号機がいなくなった!!」
シンジ「………………」
ガラッ ――――
マリ「ワンコ君、まだ落ち込んでるの? いじけてたって、何にも楽しいことないよ?」
シンジ「………………」
マリ「まあ、いいや。……ワンコ君、ちょっと我慢してね」
シンジ「……我慢って…うわっ!!」
マリ「目的地に着くまで、眠ってもらうだけだから」
≪ヴンダー艦内・操舵室≫
ミサト「なんですって! エヴァ8+2号機がいなくなった!!」
77: 2012/11/25(日) 11:21:05.57
≪エヴァ8+2号機・エントリープラグ内≫
シンジ「……ん…血の匂い…LCL……、ここ……どこですか?」
マリ「んん、ワンコ君、お目覚めかにゃ? ここは、エヴァ8+2号機の中」
シンジ「エヴァの…中?」
マリ「そ、ワンコ君とデートしたいなって思って。脱走したの」
『マリ、やっぱりアナタね。シンジ君もそこにいるの?』
『いったい、どういうつもり? すぐに戻りなさい! これは……』
シンジ「……ミサトさんから通信入ってますよ?」
マリ「うーん、かなり怒ってるね。うるさいし、切っておこうか」
≪ヴンダー・操舵室≫
ミサト「でも、マリとシンジ君だけでエヴァを発進させられるわけがない」
ミサト「ヴィレの中に、他に手引きした人間がいるはず。いったい誰が……」
高雄「………………」ギクッ
シンジ「……ん…血の匂い…LCL……、ここ……どこですか?」
マリ「んん、ワンコ君、お目覚めかにゃ? ここは、エヴァ8+2号機の中」
シンジ「エヴァの…中?」
マリ「そ、ワンコ君とデートしたいなって思って。脱走したの」
『マリ、やっぱりアナタね。シンジ君もそこにいるの?』
『いったい、どういうつもり? すぐに戻りなさい! これは……』
シンジ「……ミサトさんから通信入ってますよ?」
マリ「うーん、かなり怒ってるね。うるさいし、切っておこうか」
≪ヴンダー・操舵室≫
ミサト「でも、マリとシンジ君だけでエヴァを発進させられるわけがない」
ミサト「ヴィレの中に、他に手引きした人間がいるはず。いったい誰が……」
高雄「………………」ギクッ
81: 2012/11/25(日) 11:34:47.13
≪下界のどこか≫
マリ「あっれー、おっかしいなー。この辺にあるはずなのに」
シンジ「……僕をどこに連れて行くつもりなんですか?」
マリ「それは着いてのお楽しみ。……なんだけど、道に迷っちゃってねえ」
マリ「うーん、どこだったかにゃー」
シンジ「…………はあ。……ん? あそこ、人がいる。一人で何やってるんだろう」
≪下界・野原≫
男「ダッダッダッダッダッダッダッダ、ダーン!!」
男「ガッガッガッガッガッガッ、……うわぁ…、やられたー、……バタッ」
男「ん…? 誰だ、こんなところに子供? 迷子か?」
男「あれ…、でも、アイツ、なんだか見覚えが……」
マリ「あっれー、おっかしいなー。この辺にあるはずなのに」
シンジ「……僕をどこに連れて行くつもりなんですか?」
マリ「それは着いてのお楽しみ。……なんだけど、道に迷っちゃってねえ」
マリ「うーん、どこだったかにゃー」
シンジ「…………はあ。……ん? あそこ、人がいる。一人で何やってるんだろう」
≪下界・野原≫
男「ダッダッダッダッダッダッダッダ、ダーン!!」
男「ガッガッガッガッガッガッ、……うわぁ…、やられたー、……バタッ」
男「ん…? 誰だ、こんなところに子供? 迷子か?」
男「あれ…、でも、アイツ、なんだか見覚えが……」
82: 2012/11/25(日) 11:45:40.59
≪相田ケンスケの野営地・テント前≫
ケンスケ「はい、飯ごう出来てるぞ。食えよ」
マリ「美味しそー、いっただっきまーす!!」モグモグ
シンジ「いただきます」
ケンスケ「……でも驚いたよ。中学時代から容姿が変わってないだなんて」
シンジ「ケンスケこそ、大人になったのに一人で戦争ごっこ?」
ケンスケ「いいじゃないか、好きなんだから。それに、ごっこじゃないよ」
ケンスケ「サードインパクトによる文明崩壊後、否応なくサバイバル生活を強いられてるだけさ」
シンジ「…………………」
ケンスケ「……どうしたんだよ、碇? 暗い顔して」
シンジ「ごめん…、僕のせいだ」
ケンスケ「はい、飯ごう出来てるぞ。食えよ」
マリ「美味しそー、いっただっきまーす!!」モグモグ
シンジ「いただきます」
ケンスケ「……でも驚いたよ。中学時代から容姿が変わってないだなんて」
シンジ「ケンスケこそ、大人になったのに一人で戦争ごっこ?」
ケンスケ「いいじゃないか、好きなんだから。それに、ごっこじゃないよ」
ケンスケ「サードインパクトによる文明崩壊後、否応なくサバイバル生活を強いられてるだけさ」
シンジ「…………………」
ケンスケ「……どうしたんだよ、碇? 暗い顔して」
シンジ「ごめん…、僕のせいだ」
87: 2012/11/25(日) 12:21:39.34
ケンスケ「…? サードインパクトは使徒が起こしたもので、碇のせいじゃないだろ?」
シンジ(そっか…。一般レベルでは、そこまでしか情報公開されてないんだ)
シンジ「でも…、ごめん」
ケンスケ「……俺たちには公開されてない情報もあるんだろうけどさ、そう落ち込むなよ」
ケンスケ「確かに、サードインパクトが起こって、俺たちは第3新東京市には住めなくなった」
ケンスケ「でも、俺とトウジは、エヴァの中で戦っている碇の姿を見ている」
ケンスケ「あれを知ってたら碇を悪く言うことはできないし」
ケンスケ「トウジもこの場にいたら、同じことを言うはずだよ」
シンジ「トウジ…、そうだ、トウジは?」
ケンスケ「ん…? ……はい、これ見ろよ」
シンジ「これは……写真?」
シンジ(そっか…。一般レベルでは、そこまでしか情報公開されてないんだ)
シンジ「でも…、ごめん」
ケンスケ「……俺たちには公開されてない情報もあるんだろうけどさ、そう落ち込むなよ」
ケンスケ「確かに、サードインパクトが起こって、俺たちは第3新東京市には住めなくなった」
ケンスケ「でも、俺とトウジは、エヴァの中で戦っている碇の姿を見ている」
ケンスケ「あれを知ってたら碇を悪く言うことはできないし」
ケンスケ「トウジもこの場にいたら、同じことを言うはずだよ」
シンジ「トウジ…、そうだ、トウジは?」
ケンスケ「ん…? ……はい、これ見ろよ」
シンジ「これは……写真?」
89: 2012/11/25(日) 12:30:57.83
シンジ「写っているのは、大人になったトウジと…委員長、……それと子供?」
シンジ「あの…、これは……」
ケンスケ「わかるだろ、2人の子供。結婚したんだよ、トウジと委員長は」
シンジ「じゃあ、2人は…」
ケンスケ「ああ、無事さ。生きてるよ。ついでにペンペンもね」
ケンスケ「ずっと離れたところに、第3新東京市の生き残りが暮らす集落があってね」
ケンスケ「かつてのクラスメートの何人かは、今もそこにいると思うよ」
ケンスケ「…………案内しようか?」
シンジ「……。……いい、合わせる顔がないから」
ケンスケ「……そっか」
シンジ「あの…、これは……」
ケンスケ「わかるだろ、2人の子供。結婚したんだよ、トウジと委員長は」
シンジ「じゃあ、2人は…」
ケンスケ「ああ、無事さ。生きてるよ。ついでにペンペンもね」
ケンスケ「ずっと離れたところに、第3新東京市の生き残りが暮らす集落があってね」
ケンスケ「かつてのクラスメートの何人かは、今もそこにいると思うよ」
ケンスケ「…………案内しようか?」
シンジ「……。……いい、合わせる顔がないから」
ケンスケ「……そっか」
92: 2012/11/25(日) 12:39:56.38
≪翌朝、下界・相田ケンスケの野営地≫
チュン、チュン ……
ケンスケ「……シンジと、眼鏡の女の人がいない」
ケンスケ「……行っちゃったか。…………碇、頑張れよ」
≪下界・スイカ畑≫
マリ「いやあ、着いた着いた。ここだよ、ワンコ君、連れてきたかったのは」
シンジ「これって……、スイカ畑」
「どうだい? 可愛いだろ、俺の趣味さ」
シンジ「その声…、やっぱり生きてたんですね!」
加持「ああ。……元気にしてたかい、シンジ君」
チュン、チュン ……
ケンスケ「……シンジと、眼鏡の女の人がいない」
ケンスケ「……行っちゃったか。…………碇、頑張れよ」
≪下界・スイカ畑≫
マリ「いやあ、着いた着いた。ここだよ、ワンコ君、連れてきたかったのは」
シンジ「これって……、スイカ畑」
「どうだい? 可愛いだろ、俺の趣味さ」
シンジ「その声…、やっぱり生きてたんですね!」
加持「ああ。……元気にしてたかい、シンジ君」
100: 2012/11/25(日) 12:51:01.12
加持「マリ、すまなかったな、無理なことを頼んじゃって」
マリ「艦長、カンカンだったからねえ。帰ったら、営倉入り三週間は堅いかもね」
加持「すまないついでに、高雄の奴にも礼を言っておいてくれ」
マリ「あいよー。……じゃあ、ワンコ君との話が済むまで、その辺を散策してるよ」
スタスタ ――――
シンジ「加持さん、真希波さんと知り合いなんですか?」
シンジ「それに、連れ出すように頼んだのは加持さん…? 話って何です?」
シンジ「それから、なんでミサトさんと…、ヴィレと一緒じゃないんですか?」
加持「おいおい、そんな一度にたくさん聞くなよ」
加持「そうだな…、せっかくの再会だし、久しぶりにデートでもどうだい?」
シンジ「…………僕、男ですよ」
マリ「艦長、カンカンだったからねえ。帰ったら、営倉入り三週間は堅いかもね」
加持「すまないついでに、高雄の奴にも礼を言っておいてくれ」
マリ「あいよー。……じゃあ、ワンコ君との話が済むまで、その辺を散策してるよ」
スタスタ ――――
シンジ「加持さん、真希波さんと知り合いなんですか?」
シンジ「それに、連れ出すように頼んだのは加持さん…? 話って何です?」
シンジ「それから、なんでミサトさんと…、ヴィレと一緒じゃないんですか?」
加持「おいおい、そんな一度にたくさん聞くなよ」
加持「そうだな…、せっかくの再会だし、久しぶりにデートでもどうだい?」
シンジ「…………僕、男ですよ」
104: 2012/11/25(日) 13:02:29.12
≪スイカ畑・地下・ケーブルカー車内≫
シンジ「スイカ畑の下に、ケーブルカーがあったなんて…」
シンジ「あの…、これ、どこまで潜るんですか? 地下に何があるんです?」
加持「そう結論を急くなよ。着いてのお楽しみさ」
シンジ「…………。……あの、すいませんでした」
加持「ん? なにがだい?」
シンジ「14年前のスイカ畑での約束、ミサトさんを守ってくれっていう約束」
シンジ「……僕には守れそうにありません」
加持「そうか…。ま、気にすることはないさ」
加持「葛城は誰かの庇護なんか必要ないくらい強くなった……喜ばしいことだよ」
加持「……さあ、そろそろ到着だ」
シンジ「スイカ畑の下に、ケーブルカーがあったなんて…」
シンジ「あの…、これ、どこまで潜るんですか? 地下に何があるんです?」
加持「そう結論を急くなよ。着いてのお楽しみさ」
シンジ「…………。……あの、すいませんでした」
加持「ん? なにがだい?」
シンジ「14年前のスイカ畑での約束、ミサトさんを守ってくれっていう約束」
シンジ「……僕には守れそうにありません」
加持「そうか…。ま、気にすることはないさ」
加持「葛城は誰かの庇護なんか必要ないくらい強くなった……喜ばしいことだよ」
加持「……さあ、そろそろ到着だ」
105: 2012/11/25(日) 13:11:19.85
≪スイカ畑・地下・エヴァ格納庫≫
シンジ「これは……エヴァ」
加持「そう、修復したエヴァ第13号機。一人乗りに改装してあるがね」
加持「……君には、ツラい思い出のある機体かな」
シンジ「なんで、加持さん、こんなもの……」
加持「長く生きていると顔見知りが増えてね」
加持「この機体も、そのコネクションの1つに頼んで回収、修復したものさ」
シンジ「そうじゃなくて、加持さん、何の目的でこんなことしてるんですか!!」
加持「……葛城たちと同じだよ。ネルフの、君の父親の人類補完計画の阻止」
シンジ「だったら、ヴィレの人たちと協力すれば……」
加持「それが、そういうわけにもいかないんだ」
シンジ「これは……エヴァ」
加持「そう、修復したエヴァ第13号機。一人乗りに改装してあるがね」
加持「……君には、ツラい思い出のある機体かな」
シンジ「なんで、加持さん、こんなもの……」
加持「長く生きていると顔見知りが増えてね」
加持「この機体も、そのコネクションの1つに頼んで回収、修復したものさ」
シンジ「そうじゃなくて、加持さん、何の目的でこんなことしてるんですか!!」
加持「……葛城たちと同じだよ。ネルフの、君の父親の人類補完計画の阻止」
シンジ「だったら、ヴィレの人たちと協力すれば……」
加持「それが、そういうわけにもいかないんだ」
111: 2012/11/25(日) 13:48:50.78
加持「ネルフが所持しているのはエヴァ量産機が複数と人工使徒ネメシスシリーズ」
加持「対して、葛城たちはエヴァ1機と神頃しの船ヴンダーのみ。戦力差があり過ぎる」
シンジ「だから……」
加持「そう、戦力の増強が必要となるが、エヴァに乗れる人員は限られている」
加持「生き残っているのは、アスカにマリ、アヤナミレイ、そして君だけだ」
加持「しかし、そういう状況であっても、葛城たちは君をエヴァには乗せないだろう」
シンジ「そんな……、戦力がなければ、負けるとわかっていてもですか?」
加持「戦力がなければ、負けるとわかっていてもさ」
加持「組織というのは、人員が増え年月が経てば硬直化する。危ない橋を渡れなくなるんだ」
加持「だから、敗北に突き進んでいるとわかっていても、方向転換ができなくなる」
加持「そういう状況で何かを成そうとするなら、組織を抜け出て、」
加持「また新しい組織を一から作るしかないんだよ。自らの手でね」
加持「対して、葛城たちはエヴァ1機と神頃しの船ヴンダーのみ。戦力差があり過ぎる」
シンジ「だから……」
加持「そう、戦力の増強が必要となるが、エヴァに乗れる人員は限られている」
加持「生き残っているのは、アスカにマリ、アヤナミレイ、そして君だけだ」
加持「しかし、そういう状況であっても、葛城たちは君をエヴァには乗せないだろう」
シンジ「そんな……、戦力がなければ、負けるとわかっていてもですか?」
加持「戦力がなければ、負けるとわかっていてもさ」
加持「組織というのは、人員が増え年月が経てば硬直化する。危ない橋を渡れなくなるんだ」
加持「だから、敗北に突き進んでいるとわかっていても、方向転換ができなくなる」
加持「そういう状況で何かを成そうとするなら、組織を抜け出て、」
加持「また新しい組織を一から作るしかないんだよ。自らの手でね」
114: 2012/11/25(日) 13:59:56.59
シンジ「それが、加持さんのしようとしていること?」
加持「そうだ。葛城は、ああ見えて潔癖なんだ。手を汚すのは俺の仕事なのさ」
シンジ「……加持さんは、これに乗せるために僕を呼んだんですか?」
シンジ「でも、またエヴァに乗れば、ミサトさんたちの標的にもなりますよね」
加持「そうなるだろうな」
シンジ「だけど、乗ってネルフと戦わなければ、ミサトさんたちは多分負ける」
シンジ「……そんなの、どっちにしたって嫌なことしかないじゃないですかッ!!」
加持「君の言うとおりだ」
シンジ「…………。人類補完計画が発動したらトウジやケンスケや委員長…」
シンジ「他の人たちは……」
加持「人類補完計画が発動すれば、今度こそ全ての人類が滅びるだろう」
加持「そうだ。葛城は、ああ見えて潔癖なんだ。手を汚すのは俺の仕事なのさ」
シンジ「……加持さんは、これに乗せるために僕を呼んだんですか?」
シンジ「でも、またエヴァに乗れば、ミサトさんたちの標的にもなりますよね」
加持「そうなるだろうな」
シンジ「だけど、乗ってネルフと戦わなければ、ミサトさんたちは多分負ける」
シンジ「……そんなの、どっちにしたって嫌なことしかないじゃないですかッ!!」
加持「君の言うとおりだ」
シンジ「…………。人類補完計画が発動したらトウジやケンスケや委員長…」
シンジ「他の人たちは……」
加持「人類補完計画が発動すれば、今度こそ全ての人類が滅びるだろう」
117: 2012/11/25(日) 14:11:03.17
加持「シンジ君、俺はただ君にこの話をしたかっただけだ。強制してるわけじゃない」
加持「もし君が断るなら、また別のやり方を探すとするよ」
加持「ただ、俺は俺にできることをしようと思っただけなんだ」
シンジ「………………」
加持「俺には下準備や根回しをすることはできても、エヴァに乗ることはできない」
加持「ここから先できることといったら、自慢のスイカ畑に水を撒くことくらいだ」
加持「でも、シンジ君は違う。君には君にしかできない、君になら出来ることがあるはずだ」
加持「自分で考え、自分で決めろ。今、自分が何をすべきなのかを」
シンジ「…………。……ミサトさんが」
加持「ん?」
シンジ「ミサトさんが、確かにあのとき、言ってくれたんです」
加持「もし君が断るなら、また別のやり方を探すとするよ」
加持「ただ、俺は俺にできることをしようと思っただけなんだ」
シンジ「………………」
加持「俺には下準備や根回しをすることはできても、エヴァに乗ることはできない」
加持「ここから先できることといったら、自慢のスイカ畑に水を撒くことくらいだ」
加持「でも、シンジ君は違う。君には君にしかできない、君になら出来ることがあるはずだ」
加持「自分で考え、自分で決めろ。今、自分が何をすべきなのかを」
シンジ「…………。……ミサトさんが」
加持「ん?」
シンジ「ミサトさんが、確かにあのとき、言ってくれたんです」
121: 2012/11/25(日) 14:23:59.71
シンジ「『行きなさい、シンジ君。誰かのためじゃない、自分自身の願いのために』って」
シンジ「僕の今の願いは、トウジやケンスケ、ミサトさんやアスカや綾波……」
シンジ「もう誰も失いたくない、そのためにみんなを守ることです」
シンジ「その願いのためなら、誰かと敵対することになっても構いません」
加持「……そうか」
シンジ「僕をエヴァに乗せてください。僕はエヴァンゲリオンパイロット、碇シンジです」
加持「…………。わかった、今から俺の仲間たちにシンジ君を紹介するよ」
シンジ「……でも、エヴァを用意してたってことは、こう答えるだろうってわかってたんですよね」
加持「……ああ、まあな」
シンジ「加持さんは、やっぱりズルい大人だと思います」
加持「……大人はさ、ズルいくらいがちょうどいいのよ」
加持「さ、俺とシンジ君で始めようか。葛城やアスカたちにはできない、男の戰いってやつを」
おしまい
シンジ「僕の今の願いは、トウジやケンスケ、ミサトさんやアスカや綾波……」
シンジ「もう誰も失いたくない、そのためにみんなを守ることです」
シンジ「その願いのためなら、誰かと敵対することになっても構いません」
加持「……そうか」
シンジ「僕をエヴァに乗せてください。僕はエヴァンゲリオンパイロット、碇シンジです」
加持「…………。わかった、今から俺の仲間たちにシンジ君を紹介するよ」
シンジ「……でも、エヴァを用意してたってことは、こう答えるだろうってわかってたんですよね」
加持「……ああ、まあな」
シンジ「加持さんは、やっぱりズルい大人だと思います」
加持「……大人はさ、ズルいくらいがちょうどいいのよ」
加持「さ、俺とシンジ君で始めようか。葛城やアスカたちにはできない、男の戰いってやつを」
おしまい
122: 2012/11/25(日) 14:25:35.36
最後が見えない
123: 2012/11/25(日) 14:25:41.75
聞こえない
124: 2012/11/25(日) 14:27:35.19
え?なんだって?
125: 2012/11/25(日) 14:28:16.78
なんで戦いの字が旧字体なんだよ……
126: 2012/11/25(日) 14:28:59.09
加持エンドか・・・
132: 2012/11/25(日) 14:44:50.36
加持さんルートだったか
138: 2012/11/25(日) 15:02:04.23
乙
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