みさえ「しんちゃーん！もう朝よ、早く起きなさい」


しんのすけ「ほほ～い…」


みさえ「今日はピクニックに行くから、早く着替えなさい」

しんのすけ「え～？幼稚園は～？」

みさえ「今日は行かなくていいのよ」

しんのすけ「でも今日は風間君たちと遊ぶ約束してるゾ…」

みさえ「服はこれでいいわね。早く着替えなさい」

しんのすけ「ほほ～い…？」


ひろし「みさえ～、車の準備できたぞ～」

しんのすけ「あれ？父ちゃんお仕事は～？」

みさえ「いいから早く着替えなさい」

しんのすけ「父ちゃんさては……足になったな？（ｷﾘｯ」

しんのすけ「（「それをいうなら首だろ」ってツッコミ来るゾ！）」

ひろし「………」

みさえ「いいから早く着替えなさい、着替えそこに置いてあるでしょ？」


しんのすけ「……？」

やめてくれ……

しんのすけ「でも今日は風間君たちと遊ぶ約束してるんだゾ！
　　　　　　　オラが幼稚園行かなかったらきっとみんな心配して
　　　　　　　お家に来るかもしれないゾ」

みさえ「来るわけな…」

しんのすけ「え？」

みさえ「」

ひろし「みさえっ！」

みさえ「………」

しんのすけ「え？」

みさえ「いいから早く着替えなさい」

しんのすけ「ひまわり～…なんか母ちゃんと父ちゃんの様子がおかしいゾ…」

ひまわり「………」

しんのすけ「ひま…？どうかしたのかゾ？」

ひまわり「………」

しんのすけ「ひまわり…？ひまわり～～～？」

ひまわり「………」

しんのすけ「ひま…わり…？」


ひまわり「………」

みさえ「！？」


みさえ「ひまちゃん、お兄ちゃんが呼んでるでしょ…？
　　　　　お返事してあげなきゃ…」

ひまわり「………」

ひまわり「たぁ～い………」

しんのすけ「ほっほ～い！病気なのかと思って心配したゾ！」


ひまわり「………ﾁｯ」

ﾁｯ

しんのすけ「わかったゾ…　顔洗って歯磨くゾ…」


みさえ「駄目え゛ええ゛えええ゛ええ゛ええええっっっ！！！」


しんのすけ「えっ！？」

しんのすけ「かあ…ちゃん…？」

みさえ「はっ！」


みさえ「ご…ごめん…今日は…顔洗わなくていいから…」

みさえ「服だけ早く着替えなさい…」

しんのすけ「ほっほ～い…」

しんのすけ「あ、そうだ、シロも連れて行くゾ！」

みさえ「駄目っ！」

しんのすけ「えっ？」

しんのすけ「なんで駄目なんだゾ？」

みさえ「シロは昨日からゲリピーだから連れて行くのはやめておきましょう」

みさえ「それより早く着替えなさい」

しんのすけ「ほっほ～い…」

しんのすけ「それじゃあお別れの挨拶してくるゾぉ…」

みさえ「駄目っ！！！」

しんのすけ「えっ？お別れの挨拶するだけだゾ？」

しんのすけ「（やっぱり母ちゃんおかしいぞ？）」ｶﾞﾗｯ

ｼｰﾝ……

しんのすけ「ﾊｧﾊｧ…　あれ？……シロがいないゾ……？」


みさえ「シロはね…病院にいるのよ…」

しんのすけ「え……？」

みさえ「もういいでしょ？早く着替えなさい…パパも待ってるから…」

しんのすけ「……わかったゾ…」

ひろし「よーし、出発するぞー」

しんのすけ「ほっほ～い！！」

ﾌﾞｫｫｫｫｫ……




しんのすけ「どこに行くんだゾ？」

みさえ「山よ」

しんのすけ「ほっほ～い！楽しみだゾ！」

しんのすけ「うわ～い、おっきい山が見えてきたゾ！」

みさえ「あの山に登るのよ」

しんのすけ「………」

しんのすけ「ひまわり…驚かないで聞いて欲しいぞ…」ﾋｿﾋｿ

ひまわり「たあ………」

しんのすけ「この父ちゃんと母ちゃんは偽者なんだゾ…」ﾋｿﾋｿ

ひまわり「たあ………」

しんのすけ「きっとオラたち攫われるんだゾ…あの山につく前に２人で逃げるゾ……！」

ひまわり「たあ………」

しんのすけ「母ちゃ～ん…オラもうオシッコ漏れそうだゾ！」

みさえ「も～、だからお出かけする前にすましておきなさいって毎日言ってるでしょ…」

みさえ「毎日毎日毎日毎日毎日……」

ひろし「みさえっ…！」

みさえ「あっ…ごめん…」

しんのすけ「？」

ひろし「よし、あそこのパーキングエリアで一旦止めるか」

パーキングエリアにて


みさえ「あそこにトイレあるわね」

ひまわり「………」

しんのすけ「ほっほ～い！行って来るゾ！」

ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝｯ

しんのすけ「………」

しんのすけ「よしっ、窓があるゾ…ここから逃げるゾ！」ﾊﾞｯ

しんのすけ「うんせっ…うんせっ…脱出成功だゾ！」ﾊｧﾊｧ

しんのすけ「でも…ひまわり連れて来れなかったゾ…
　　　　　　　２人で逃げようって約束したのに…
　　　　　　　自分だけで逃げるなんて最低なお兄ちゃんだゾ…
　　　　　　　だけどどうする事もできなかったゾ…
　　　　　　　オラ１人が逃げるのがせいいっぱいだゾ…」

しんのすけ「きっと風間君もマサオ君もボーちゃんもネネちゃんもシロも
　　　　　　　偽者の父ちゃんと母ちゃんに攫われたんだぞ…」

しんのすけ「本物の父ちゃんと母ちゃんも…みんな必ず助け出すゾ…」


しんのすけ「はあ…はあ…ここまで逃げればもう大丈夫だゾ…」


ひろし「しんのすけ～…どこに行くんだ～？」ﾇｯ…

しんのすけ「！！！！」

しんのすけ「とう…ちゃん…」ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ


みさえ「どこ行こうとしてたノ？しんちゃん…」ﾇｯ…

しんのすけ「かあ…ちゃん…」ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ


しんのすけ「（いつの間に追いつかれたんだゾ？？？）」

しんのすけ「（なんでオラが逃げようとした事バレたんだゾ？？？）」


ひまわり「………」

しんのすけ「アクション仮面に呼ばれたんだゾ！
　　　　　　　アクションび～～～～む！！！」

みさえ「な～んだ、そうだったの」

ひろし「もう出発するぞ、早く車に乗れ」

しんのすけ「ほっほ～い♪」

しんのすけ「（なんとか誤魔化せたゾ…）」

山の麓にて


ひろし「よーし、着いたな」

みさえ「着いたわね…」

みさえ「着いちゃったわね…」

ひろし「………」



しんのすけ「早く登るゾ！」

しんのすけ「（よし、今度こそひまわりも一緒に連れて逃げるゾ！）」

しんのすけ「………！？」

しんのすけ「あれ？ひまわりがいないゾ？」

しんのすけ「まさかもう偽者の父ちゃんと母ちゃんに……」


みさえ「………」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ

ひろし「………」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ


しんのすけ「お前ら……」


しんのすけ「ひまをどこにやった……？」

みさえ「え？ひまならちゃんといるでしょ？」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ

ひろし「ずーっと一緒だぞ」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ


しんのすけ「何を言ってるんだゾ…どこにもいないゾ！！」

しんのすけ「お前らは偽者の父ちゃんと母ちゃんだゾ！」



しんのすけ「ひまわりを返せ！！！！」

ひろし「もうすぐで頂上だな…」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ

みさえ「そうね…」ｻﾞｯｻﾞｯｻﾞｯ


しんのすけ「無視するな！！！ひまわりをどこにやったゾ！！！」

しんのすけ「オラの大切な妹なんだゾ！返して欲しいゾ！」

しんのすけ「（あれ？）」

しんのすけ「（止まろうと思っても止まれないゾ？）」

しんのすけ「（体が勝手に前に進むゾ？）」

一体何が起きているんだ

みさえ「………ここら辺でいいかしら…」

ひろし「そうだな」

みさえ「ひまわり……　後は任せてもいいんだね？」

ひろし「本当にいいのか…？大丈夫か…？」


ひまわり「うん……２人は見ないほうがいいと思うから…先に帰ってて…」

みさえ「ｺｸｯ」

ひろし「ｺｸｯ」

しんのすけ「ひま！」

しんのすけ「ずっと探してたんだゾ！無事でよかったゾ！」

しんのすけ「え？？？ひまが……喋ったゾ……」


ひまわり「喋るよ…　喋るに決まってるじゃない…　だって…」

ひまわり「私もう……　３０歳だよ……？」


しんのすけ「……えっ？」


しんのすけ「……えっ？」

ひまわり「風間さんも、マサオさんも、ボーさんも、ネネさんも」

ひまわり「幼稚園を卒業して、小学校を卒業して、中学校を卒業して、
　　　　　　高校を卒業して、大学を卒業して、就職して、
　　　　　　今はみんな結婚して子供もいるよ」

ひまわり「みんな大人になったんだよ」


しんのすけ「……えっ？」

ひまわり「それなのに…お兄ちゃんはずっ～と５歳児のままだね…」

ひまわり「頭の中身だけは…」

ひまわり「３０年前からず～～～～～～～～っと……」


しんのすけ「……えっ？」


ひまわり「私ね…　もう嫌なの…　お兄ちゃんの介護するの…」

ひまわり「返してよ…　私の人生返してよ…」


しんのすけ「……えっ？」

ひまわり「だからね、ママとパパに頼んだの」

ひまわり「もう殺そうよって」


しんのすけ「……えっ？」


ひまわり「２人とも最初は泣いてたけどね」

ひまわり「パパ６５歳でしょ？昨日で定年退職したの」

ひまわり「ママも…来年で６０歳だし…」

ひまわり「もう疲れたって…」

ひまわり「だから私に同意してくれたの…」

しんのすけ「……えっ？……えっ？」


ひまわり「何が…　何がケツダケ星人だよ…」

ひまわり「もう沢山なんだよ…　お前のケツ見るのわ…」


しんのすけ「ひまわり…？」

しんのすけ「何言ってるのか分からないぞ…？」

しんのすけ「」

ひまわり「どうしても信じられないみたいだから分からせてあげる」

ひまわり「これ見て」ｽｯ


しんのすけ「鏡…？」


ひまわり「お兄ちゃんに鏡は絶対に見せちゃ駄目って言われてたの」

ひまわり「前にね、大人になった自分の姿を見て発狂したことがあったから」

ひまわり「でももういいや……」


しんのすけ「………」

しんのすけ「このおじさん……誰？」

しんのすけ「知らないおじさんが映ってるゾ…」

しんのすけ「オラが映って無いゾ…」


しんのすけ「このおじさんは誰だ？誰だ？誰だああああああ゛ああ゛ああっ！！！」

しんのすけ「オラが！！オラが映って無いぞ！？！？！？」

しんのすけ「オラをどこに隠したああああ゛あああ゛ああああああああああ？？？」


ひまわり「お兄ちゃん……」

しんのすけ「うわああああああああああああああああああああ」

しんのすけ「あああああああああああああああああああああああああ」


しんのすけ「分かったぞ！！お前も偽者なんだな！！！！！」

しんのすけ「偽者のひまわりなんだなああああああああああああああっ！！！」

しんのすけ「ひまわりが大人なわけないいいいいいいいいいいいいいいい！！！！」

しんのすけ「頃してやああああああああるううううううううううううう！！！！！」

ひまわり「お兄ちゃんには私は殺せないよ」

しんのすけ「」


ひまわり「だってお兄ちゃん車椅子なんだもん」

しんのすけ「あ゛っ…！？」


ひまわり「山に登ってからお兄ちゃんずっと私のこと探してたけど」

ひまわり「私が後ろで車椅子ひいてあげてることも気づかなかったの？」

しんのすけ「あ゛…あ゛…」

ひまわり「10歳の時だったかな
　　　　　　ケツダケ星人で歩いてたら車に撥ねられたんだよ
　　　　　　それからはずっと…」

しんのすけ「………ほっほ～い」

しんのすけ「そうか分かった…夢だ…これ全部夢なんだゾ！」

しんのすけ「夢なんだゾ！」

しんのすけ「覚めろ覚めろ覚めろ…！！！！！覚めろおおおおおおおお！！」

ひまわり「覚めるよ…私達は…この悪夢から…」


ひまわり「お兄ちゃんはね…今から事故氏するんだよ…」

ひまわり「お兄ちゃんは崖から下の景色を見ようとして」

ひまわり「誤って車輪を滑らせて落ちるんだよ」ﾄﾞﾝｯ

しんのすけ「！？」


ﾋﾟｭｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳｳ………


しんのすけ「落ちてる…オラ落ちてるゾ…」

しんのすけ「このままだとオラ地面にぶつかって氏んじゃうゾ…」

ひろし「みさえええ！ついに産まれたか！」

みさえ「うふふ…」

ひろし「賢そうな顔してるな！」

みさえ「大人になったら学者か大臣になるわね！」


しんのすけ「でへへぇ～」


ひろし「こいつ看護婦さん見てテれてやがるぞ…」ｽﾞｺｯ

しんのすけ「今日からお前はオラの家族だゾ！」

シロ「わんわんわん！」

しんのすけ「よろしくだゾ！」

シロ「わんわんわん！」

しんのすけ「綿飴みたいでおいしそうだゾ～」

シロ「ﾜｳｰﾝ…」ｽﾞｺｯ

泣いた

しんのすけ「ケツダケ星人ぶりぶりぶりぶりぃ～～～」

風間「馬鹿しんのすけめ…」

マサオ「あはは！しんちゃんは面白いなあ！」

ネネ「しんちゃんったら！もう！」

ボー「ぼぉ～～～」

よしなが先生「しんちゃん…」

園長先生「元気があっていいですねぇ～」

みさえ「今日からしんちゃんもお兄ちゃんね…！」

ひろし「よかったなしんのすけ…！」

ひまわり「たぁ～…」

しんのすけ「オラの妹だぞ…　嬉しいぞ！！ずっとずっと一緒だゾ！」



ひまわり「さようなら…　お兄ちゃん…」



ﾍﾞｷｨｯ

oh……

「おしまいだゾ」

（（（（（　；ω；)))))

乙