1: 2011/06/01(水) 23:15:57.48
部室!

澪「何だよ皆。用事が有るから先行ってて~って」トントン

澪「さわ子先生に三人で用事で、私には関係ない話なんてあるのかな……」トントン

澪「先生も結局部室に来るんだろうから、そこで話せばいいのに」

がちゃ

澪「梓もまだなのか……って」

???「……」チョコン

澪(あれ?確かウチのクラスの瀧……エリさんだよね?)

エリ?「あ、澪ちゃんおかえり~」フリフリ

澪「いや、さっき教室で、アレ?」

エリ?「ん?どうしたの?」

澪「え~っと……私のベース持ってなにしてるの?」

エリ?「ああそうか。どうも!エリザベスです!」ビッ

澪「……は?」
____

けいおん、澪xモブ短編コメディです。

書き溜めを確認・修正しながらの投下になります。

温かい目で見ていただければありがたいです。

2: 2011/06/01(水) 23:17:52.09
エリザベス(以下エリ)「澪ちゃんとお喋りしたくて、人間になっちゃいました!」イエイ

澪「いやいやいやいや、瀧さん何言ってるの?」

エリ「瀧さん?って誰?」

澪「瀧さんでしょ?」

エリ「誰が?」

澪「あなたが」

エリ「私が?私はエリザベスだよ?ほら」

澪「いや、確かにそのベースはエリザベスって唯が名付けたけど」

エリ「澪ちゃんだって私の事そう呼んで抱きしめてくれたじゃん」

澪「な!?何で瀧さんがそれを!?」カァ

エリ「だから私だって言ってるじゃない」

3: 2011/06/01(水) 23:23:54.99

澪「さては律が話したな!」

エリ「もう、信じてくれないの?」ブー

澪「は!さてはこれも律の仕業か?」キョロキョロ

エリ「ちょっと澪ちゃん?」

澪「瀧さん、アイツの悪戯に付き合う必要なんか無いよ?」ガシッ

エリ「信じてくれないんだね」

澪「信じるも何も、瀧さんもノリが良いんだから」ヤレヤレ

エリ「じゃぁ今日の澪ちゃんのパンティの色を外に向かって大声で「やめてー!」」

エリ「信じてくれる?」

澪「いや、信じるとかじゃなくて、そんな恥ずかしい事しないで……」モジモジ

エリ「澪ちゃん可愛い~」

澪「とりあえずさ、瀧さんはどうしたいの?」


4: 2011/06/01(水) 23:25:00.50

エリ「まだ信じてくれてない。じゃあ澪ちゃんがお風呂で何処から洗うか「やめてー!!」」

澪「っていうか一緒にお風呂に入ったりしてないだろ!」

エリ「冗談冗談。最初に言ったじゃない?澪ちゃんとお喋りしたくて」

澪「はぁ……」

がちゃり

律「おい~す」

唯「よいしょ~」

紬「澪ちゃんお待たせ~」

澪「あぁ皆、良かった。ちょっと律」

律「ん?澪何してんの?ベースの前で突っ立って」

澪「え?いや、瀧さん」

唯「たきさん?その子はエリザベスだよ澪ちゃん」

澪「いや、だから瀧さんがここに居るだろ?」

紬「澪ちゃん?」

澪「なぁムギ。ムギからも何か言ってくれよ」

紬「誰も居ないわよ?」

5: 2011/06/01(水) 23:27:10.38

澪「え?」

エリ「ちなみに澪ちゃん以外に私は見えません!」ビシッ

澪「へ?いやいやいやいやいやいや何を言ってるんだムギは。なぁ律?」

律「なんだ?遂にエリザベスとお喋りでも出来る様になったのか?」

唯「そっか~。澪ちゃんもエリザベスと仲良くなったんだね~」

澪「だから瀧さんが!」

律「どうでもいいけど、ベースに喋りかけるのは一人の時にしとけよ?変な人と思われちゃうぞ~」

澪「……皆本気で言ってるのか?」

エリ「だから言ってるじゃん」

澪「ひょっとして……幽霊?」

6: 2011/06/01(水) 23:28:43.93

エリ「せめて妖精って言ってよ~。澪ちゃんのメルヘンな部分が私を呼びだしたんだよ?多分」

エリ「アニミズムって知ってる?日本でも八百万の神っていう様に、モノにだって魂は宿るんだよ。これは仏教じゃなくて神道の考え方なんだけど……澪ちゃん?」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」ガクブル

律「おわ!?どうした澪?いきなり」

唯「きっとエリザベスがしゃべりだしてビックリしたんだよ」

紬「まぁ?素敵じゃない」パァ

澪「……素敵?」

紬「だって自分の楽器とお話出来るなんて、素敵じゃない」

エリ「そうだよ。そんな事普通出来ないよ?」スタスタ

律「そうか、遂に澪の音楽性はそんな所まで」

エリ「えい」ムニ

律「ほうはふひへひまっはは~」

澪「ぶっ」

律「何だ!?今の!」アセアセ

唯「りっちゃんおもしろ~い」ケラケラ


7: 2011/06/01(水) 23:30:41.66

エリ「とう!」スチャ

紬「あら?唯ちゃんイメチェン?」

唯「え?イヤー!?オデコ出てるー!?」

律「おぉ?唯も遂にデコ出しに目覚めたか」ウンウン

唯「ヤダー!直すー!」ビエーン

律「なっ!?そんな泣くほど否定する事無いだろー!」プンスカ

紬「まぁまぁまぁまぁ」

エリ「紅茶いただきっ」ゴクゴク

紬「あら?淹れた筈なのに空になっちゃってるわ?」

律「唯~、ムギのにまで手ぇ出すなよ~」

唯「それどころじゃないよー!」グシグシ

エリ「どう?澪ちゃん」ドヤ

澪「」

エリ「澪ちゃ~ん?」フリフリ

澪「ハッ!あぁ、うん」

エリ「面白かった?」


8: 2011/06/01(水) 23:32:52.86

澪「いや、ビックリしたよ」

エリ「あれ~?楽しんでくれてない?」

澪「うん、もう信じた、信じたから。そういうのは止めよ?」

エリ「分かった!ありがとう澪ちゃん」ダキッ

澪「ちょっと、エリザベス」カァ

エリ「澪ちゃんの優しさは阿弥陀仏の慈悲にも勝るよ!」ギュウ

澪「……あみだぶつ?」

紬「澪ちゃん?紅茶入れたけど、座らないの?」

澪「はえ!?あ、あぁ、ありがとうムギ」ストン

律「にしても、梓遅いな~」

紬「今日は日直だって言ってたから」

9: 2011/06/01(水) 23:35:21.74

唯「うぅ~、あずにゃん分が切れちゃいそうだよ~」

律「じゃぁ、梓が来たらしっかり抱きついてやらないとな?」

エリ「私も澪ちゃん分が切れちゃいそうだから抱きついてても良い?」ワキワキ

澪「駄目です」キッパリ

唯「えぇ!?駄目!?」ガ-ン

澪「いや!駄目じゃないぞ!」アセアセ

エリ「え?良いの?」ワキワキ

澪「駄目です!」

律「どっちなんだよ」

澪「いや、えっと、あ~もう!」

澪「唯は好きなだけ梓に抱きついていいぞ!」ビシッ

唯「ホント!?やったー!」キラキラ

がちゃり

梓「澪先輩!?勝手に何言ってるんですか!」


10: 2011/06/01(水) 23:38:41.46

澪「あ、梓!」

唯「あぁ~ずにゃあ~~ん!」ガバチョ

梓「ちょ!唯先輩!止めてくださいよもう!」

唯「今日は澪ちゃんの許しを得たからね!存分に味わうよ~」スリスリスリスリ

澪「ゴメン梓。そんなつもりじゃ無かったんだ」アセアセ

梓「とりあえず唯先輩離れてー!」

エリ「いいなぁ。私も澪ちゃんにあんな事したい」ワキワキ

澪「ダ・メ・だ!」

唯「ほら澪ちゃんも離れちゃ駄目って」

梓「えぇ!?」

澪「あぁ!違うんだ!」


11: 2011/06/01(水) 23:40:52.90

律「まぁまぁ。とりあえず唯も一旦梓を座らせてあげな」

紬「ケーキも有るわよ~」

唯「ケーキ!」パッ タタタタ

梓「ふぅ……助かった」

澪「ゴメンな梓」

梓「いえ。ところでそちらの方は?」

澪「そちらの?」

律「うわぁお!」ガタン

澪「うわ!?何だよ律」

律「駄目じゃないか梓!」スタスタ ガシッ

梓「え?何ですか律先輩?」ズルズル

律「この部室の隅に座ってる男の子の事は澪には秘密だって言っただろ~」ズルズル

澪「ひぃぃ!」ガクブル


12: 2011/06/01(水) 23:43:45.81

澪「ひぃぃ!」ガクブル

律「駄目だろ梓、バレたらどうすんだよ」ヒソヒソ

梓「あぁ!そうでした。今日だったんですね」ヒソヒソ

梓「すみません澪先輩。私の見間違いでした」

澪「ミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイミエナイキコエナイ」

梓「あちゃ~」

律「……さ、私もケーキケーキ~」

エリ「え?放っておくの?」

* * *


13: 2011/06/01(水) 23:50:37.33

唯「ねぇ知ってる?昨日気付いたんだけど、チョコとガムを一緒に食べると両方無くなったうんだよ!」

澪(にしても……)

紬「それ本当!?不思議ね~。どうしてなのかしら?」キラキラ

澪(本当に皆瀧さ……エリザベスが見えてないんだな)

律「なんかすごく今更な話だなぁ」

澪(自分でも歌詞とかでメルヘンチックだとか、ロマンチック過ぎるかなと思う事も有ったけど)

唯「えぇ~」

梓「ていうかなんでチョコとガムを一緒に食べたりするんですか」

澪(妖精が見える様になるなんて思わなかったなぁ。しかも瀧さんそっくりの)チラ


14: 2011/06/01(水) 23:53:47.00

エリ「君を見てるとー、いつもハートフフフフーン」

澪「しっかり歌ってよ……」

澪(それとも私が瀧さんに対して何か思ってるからかな?)

エリ「揺れる想いはマシュマロみたいにフーフンフフーン」

澪(あんまり交流無い人だしなぁ。律とは違うタイプで、明るくて楽しそうな人だとは思ってたけど)

エリ「いーつもがんっばーる、ンーフフよこっがーお」

澪(明日の休み時間にでも、本人に話しかけてみようかな?)

澪「って、そこは『君の』以外入らなくないか?」

エリ「えへっ」テヘペロ

律「おい、澪~」

澪「へ?どうした?律」アセ

律「いや、練習しようって」


15: 2011/06/01(水) 23:55:32.74

澪「珍しいな?律がそんな事言い出すなんて」

梓「澪先輩、時計見てくださいよ」

澪「ん?……もうこんな時間?」

紬「ちょっとは練習しないとね」

唯「ギー太も寂しがっちゃうからね~」ヨイショ

澪「そうだな、練習しようしよう」ガタン

律「いやお前、ベースそこに置いたまま何する気だよ」

澪「はぁう!?」

律「澪ぉ、大丈夫か?今日変だぞぉ」

澪「ハハハ……大丈夫大丈夫」

エリ「はい、澪ちゃん」


16: 2011/06/01(水) 23:57:01.36

澪「どうも。ってベース外したら本当、瀧さんそのままだね」

エリ「も~、まだ言ってる」

澪「まぁ折角だし、瀧さんに聞いてもらうつもりで演奏するよ」

エリ「わーい。じゃあ『いちごパフェが止まらない』が良いな」キラキラ

澪「え?」

エリ「あの曲好きなんだ~」

唯「澪ちゃん。何弾きたい?」

澪「そうか。じゃぁ『いちごパフェ』で良い?」

梓「わかりました」

紬「は~い」

エリ「やった」グッ

律「じゃあ行くぞ。1!2!3!」

* * *

17: 2011/06/02(木) 00:01:54.86

「いちごぱっふぇがっとっまっらない!」ジャン!

エリ「いやーブラボー」パチパチ

律「ふぅ……中々良かったな、今のは」

澪「うん、唯もミスが無くなったし」

唯「イエーイ!どうだったエ~……ぇえ~澪ちゃん!」ズビシッ

澪「ぅえ!?いや、だから良かったよ?」

唯「そぉ?ありがと~」スタスタ

梓「ちょっと唯先輩!何でもう座ろうとしてるんですか!」

唯「あずにゃん。私はね……一曲一曲に、全力をかけているんだよ」キリッ

梓「休みたいからってカッコいい言い訳しないで下さい」ハァ

紬「まぁまぁ。一休みしましょう?」

がちゃり

さわ子「皆おつかれ~」

紬「ほら、先生も来た事だし」

梓「結局一曲だけ……」ショボーン

18: 2011/06/02(木) 00:04:17.71

さわ子「ムギちゃん今日はミルクティーでおねが~い」グデー

紬「は~い」

律「さわちゃんお疲れだねぇ」

さわ子「誰の所為だと思ってんのよ」ギロリ

律「はいゴメンナサイ」ドゲザー

澪「また何かしたのか?律は」

律「イヤ?タイシタコトジャナイヨ?」

さわ子「部長会議二回連続ですっぽかした上に必要書類の未提出。それが大した事じゃ無かったら何なのよ」

唯「それもさわちゃんの所に行くまで知らなかったっていうね」

澪「り~つ~」ゴゴゴ

梓「何か、この部長の所為で軽音部無くなっちゃいそうな気がします」ヤレヤレ

律「中野ぉ!言い過ぎだぞぉ!」


19: 2011/06/02(木) 00:06:20.08

さわ子「言い過ぎじゃないわよ。去年度の部活動報告書と今年度の部活動予定表、部費予算申請に現国のレポートと数学の課題!」

さわ子「私が頭下げて何とか話付けといたんだから、全部今週中に終わらせなさいよ!」

澪「お前、レポートと課題も先週締め切りだっただろ?」ワナワナ

梓「もう7月なのに去年度の活動報告と今年度の活動予定って……」

さわ子「クラス1の問題児よ、ホント」ハァ

律「ごめんなさーい!」ウエーン

澪「ったく。で、なんで律が怒られる為にムギと唯まで職員室に行ったんだ?」

紬「あぁ、違うのよ。って、そういえば……」

唯「あー!そうだったさわちゃん!」ガタッ

さわ子「何よ。そういえば何か用事が有ったんだっけ?」

さわ子「それってそこに瀧さんが居るのとなんか関係有るの?」

澪「え?」

律「あ」

エリ「む?」モグモグ


20: 2011/06/02(木) 00:08:45.18

澪「瀧……さん?」

エリ「このケーキ美味しいね澪ちゃん」

唯「あー!エリちゃんそれ私のケーキー!」

澪「やっぱり瀧さんなんじゃないか!!」

律「ばれちった」テヘ

瀧エリ(以下エリ)「実は瀧エリちゃんなのでした」テヘ

澪「なっ……!」カァァ

唯「やっちゃった」テヘ

澪「何だよそれ……皆して……」

律「いや違うんだよ澪~」

エリ「そうなの澪ちゃん、実はね」

澪「先生まで巻き込もうとして……そこまでして私を騙して何がしたいんだよ!」


21: 2011/06/02(木) 00:10:57.08

唯「澪ちゃん、あのね」

澪「そこまでして、私を……馬鹿にして!」

エリ「っ!違うの澪ちゃん!」

澪「何が違うんだよ!瀧さんまで一緒になって、楽しんでたの……?」

エリ「ちが……あのね?」

紬「澪ちゃん、落ち着いて」

澪「……!コレが落ち着いてられるか!」ダダダ

ガチャ バタン!

エリ「……」

唯「……澪ちゃん、泣いてたね」

律「やりすぎちゃった、かな」

紬「どうしよう……」

さわ子「ちょっと、話が見えないんだけど……」ヒソヒソ

梓「いえ、私も『瀧先輩は居ないって事で』て言われただけなんで……」ヒソヒソ

さわ子「ふむ……」


22: 2011/06/02(木) 00:18:08.80

エリ「どうしよう?ねぇ、どうしたらいいかな?」

律「とにかく追いかけないと」ガタッ

さわ子「ちょっと待ちなさい」

律「何だよさわちゃん。早く追いかけないと」

さわ子「とりあえず、追いかけるのは瀧さんが行きなさい」

唯「え?なんで?」

律「そうだよ。澪を追いかけて説明しないと」

さわ子「説明して、田井中さんの悪戯だとかで納得させちゃうの?」

律「そりゃなんとかして、澪をなだめないと」

さわ子「で、『瀧さんは田井中さんにそそのかされて秋山さんを騙した』って事にするの?」

律「そんなのは、澪を見つけてから考えるよ」

さわ子「瀧さん?」

エリ「はい」

さわ子「瀧さんが、やりたかった事なんでしょ?」

エリ「はい、そうです」


23: 2011/06/02(木) 00:20:22.16

律「違うよさわちゃん。私達が」

さわ子「ほら、そうやって守ろうとする。貴女はそうやって優しいけど、今はそうするべきじゃないの」

律「あう……」

エリ「私が、み……秋山さんと仲良くなりたくて、結果的に秋山さんを騙してしまいました」

さわ子「そう。じゃぁ瀧さんがそれを全部伝えて、それから謝りなさい」

エリ「……はい」

さわ子「正直に話すのよ。包み隠さずにね。貴女の考えも気持ちも全部」

エリ「はい!」タタタ

さわ子「頑張るのよ」ヒラヒラ

律「澪は多分教室だと思う!」

エリ「アリガト!」タタタ

ガチャ バタン

唯「スゴイ、さわちゃんが先生してる……」

紬「さわ子先生カッコイイ……」

梓「いや、先生ですから」

さわ子「さて、じゃあ待ってる間に説明してもらいましょうか。仮にも私を巻き込もうとしたんだしね」

律「実は……」

* * *


24: 2011/06/02(木) 00:26:14.49

教室!

エリ「み……秋山さん!」ハァハァ

澪「瀧さん……何しに来たの?」グシグシ

エリ「謝りに……来たの」ハァハァ

澪「良いよ。瀧さんはどうせ律にそそのかされたんでしょ?」

エリ「違うの!私が軽音部の皆にお願いしたの!」

澪「瀧さんが、私を騙したの?」

エリ「騙し……たのは事実だけど、そうじゃないの!」

澪「じゃぁ、何なんだよ!訳が分からないよ!何がしたくて!」

エリ「私はただ……秋山さんと仲良くなりたくて……」

澪「え?」

エリ「はじめに言ったよね?『澪ちゃんとお喋りしたくて』って」

エリ「ちゃんと説明するから、聞いてくれる?」

澪「……瀧さんは理由も無く、そんな事する人じゃないと思う、から」

エリ「実はね……」

* * *

25: 2011/06/02(木) 00:31:23.59

二日前!

三花「ちょっと唯ちゃんりっちゃーん。」フリフリ

律「ん?どうした三花―?」

唯「な~に~?」

三花「ちょっと相談なんだけどね~?」

律「私達に?」

エリ「そうなの」

三花「エリがね、澪ちゃんと仲良くなりたいんだけどどうしたらいいかな?って」

律「はぁ?」

唯「どゆ事?」

エリ「あのね、三花が言った通りなんだけど……どうしたらいいかな?」

律「う~ん、何でだ?」

エリ「何でって……折角同じクラスになれたのに、チャンスが無くて」

エリ「前々からライブ見てたし、仲良くなりたいな~とは思ってたんだけど」

エリ「何ていうか、タイミングとか、話そうにも話す内容が思いつかなくて」


26: 2011/06/02(木) 00:32:39.27

三花「で、声もかけれないんだって」

エリ「理由が思いつかなくってさ……」

唯「ほぇ?友達になるのに理由がいるの?」

エリ「うぐっ」

律「コラ唯。まぁ澪も人見知りだからな、唯みたいに簡単には行かないんだよ」

唯「そうなのかなぁ?ねぇ三花ちゃん?」

三花「唯ちゃんおいで~」

唯「み~かちゃ~ん」ギュー

三花「ゆ~いちゃ~ん」ギュー

唯「ホラ?もう友達だよ?」ギュー

三花「ねー?唯ちゃんうりうりうりうり」ナデナデ

唯「ゴロゴロゴロゴロ」ウナー

律「そんな事澪にやったら恥ずかしさで飛んじゃうぞ?」

唯「むむぅ……」ギュー


27: 2011/06/02(木) 00:34:19.78

三花「難しいね~」ギュー

エリ「私もそんな風に出来たら良いんだけどな」

唯「だって、一度会ったら友達でしょ?」

律「それじゃあ私と唯はほとんど兄弟になっちゃうぞ?」

唯「うむぅ、それは嫌だなぁ」

律「嫌とか言うなよ。でもさっきの『何で?』は理由じゃ無くて」

律「エリってそんな風に他人に対して物怖じしなさそうなのにな~って思ってさ」

エリ「まぁ~そうなんだけど、秋山さん相手だと何か緊張しちゃって」

三花「澪ちゃんにホの字ってやつなのよ」

唯「え?そうなのエリちゃん」

エリ「ちがっ!?そんなんじゃないって」

律「じゃあ応援しないとな!とりあえずは、共通の話題とか?」

エリ「そうそう!って違う!ままま兎に角、親友のりっちゃんなら何か無いかなーって」

律「そうだなー……まぁ、知ってるだろうけど音楽と、後はファンシーグッズとか?」

律「でも部屋にぬいぐるみ置くとかもあんまりしなくなったしなぁ」

エリ「主に洋楽でしょ?難しそう」


28: 2011/06/02(木) 00:35:45.44

律「じゃあ逆に自分の趣味で話をしてみるとかは?」

エリ「秋山さん、コーラ好きかな?」

律「コーラは趣味ってよりは嗜好の話だろ?」

エリ「修学旅行の時、三十三間堂で見た千手観音像はやっぱり凄かったんだけど」

律「絶対興味無いな」キッパリ

エリ「だよねぇ……」

律「他にはなんだろ?やっぱり音楽関係になるよなぁ、ベースとか」

唯「あ!それだよりっちゃん!」

律「お!なんか案が出たか唯?」

唯「エリザベスだよ!」

エリ「え?」

三花「ん?」

律「は?」


29: 2011/06/02(木) 00:37:41.96

唯「だから、エリ・ザ・ベースだよ!」

律「なるほど」

三花「え?りっちゃんどういう事?」

律「さっぱり分からん!」

エリ「えー!」

唯「エリちゃんがエリザベスになって、澪ちゃんと仲良くなればいいんだよ!」

三花「ちょっと、何言ってるか分かんない」

エリ「フムフム」

三花「あれ?エリ乗り気なの?」

唯「まずはね……」

* * *

30: 2011/06/02(木) 00:40:19.74

エリ「……と、いう訳なの」

澪「……」ポカーン

エリ「で、そこから『エリザベスは普通の人には見えない』とか『エリザベスならこんな事を知ってるはずだ』とか設定考えたり」

エリ「琴吹さんとか後輩ちゃんに協力のお願いしたりして、今日の本番に臨んだって訳」

澪「エリ・ザ・ベースって……」

エリ「うん。今となってはなんでGoサイン出したのか自分でも不思議なんだけどね」テレテレ

澪「くっくっく……あーはっはっははは!」

エリ「もう、そんなに笑わないでよ」カァ

澪「ハハハハ……ごめんごめん」

エリ「でも、中々だったでしょ?りっちゃんから色々澪ちゃ……秋山さんの話を聞いて」

エリ「家でも練習したんだよ?エリザベスになりきろう!と思って」

澪「そうだね。すっかり騙されちゃったよ」

エリ「ゴメン、騙したりして」


31: 2011/06/02(木) 00:43:14.15

澪「でも、仲良くなりたかったから……なんだよね?」カァ

エリ「うん……。だけど、駄目だよね?こんな事しちゃ」

澪「……そうだな」

エリ「本当にゴメン!秋山さんの気持ちとか考えて無かった!」

澪「うん」

エリ「でも、秋山さんと仲良くなりたかったのは本当なの」

澪「うん」

エリ「だから、許してほしい。本当にゴメン!」

澪「じゃあさ」

エリ「うん。どうしたら秋山さんに許してもらえる?」

澪「さっきみたいにさ、名前で呼んでよ」

エリ「え?」

澪「律は名前で呼ぶのに、私は名字で呼ぶの?」

エリ「呼んでいいの?」

澪「秋山さんなんて他人行儀な呼び方、友達じゃないよね?エリ」


32: 2011/06/02(木) 00:44:47.61

エリ「澪ちゃん……」

澪「うん。それでいいよ……エリ」カァ

エリ「なんで澪ちゃんが赤くなるのさ」

澪「改めてみると、何だか恥ずかしい」モジモジ

エリ「何か青春しちゃったもんね~。やっぱり照れてる澪ちゃんもか~わいい~」ガバッ

澪「ちょっと、それは許してない!」ゴン!

エリ「あ痛ッ!」

澪「あぁ!ゴメンつい!」

エリ「良いの良いの。友達っぽいよね~こういうの」

澪「ぽいじゃ無くて、友達なんでしょ?」

エリ「うん!ありがと、澪ちゃん!」

* * *


33: 2011/06/02(木) 00:53:58.93

律「……ていう訳なんだよ」

さわ子「」ポカーン

梓「」ポカーン

紬「でも、失敗しちゃったわね」

唯「良い作戦だと思ったんだけどなぁ」ネー

律「そうだな。さわちゃんにもしっかり説明してればそのまま行けたのになぁ」ネー

さわ子「いや、どこから突っ込めばいいのやら」

梓「澪先輩の為だって言うから従ってはみましたが……先輩方、本当に来年大学生ですか?」ハァ

律「中野ぉ!?」ガタッ!

唯「あずにゃんそれはヒドイよ!?」ガタッ!

梓「ソレに乗った瀧先輩も瀧先輩ですよ」ヤレヤレ

律「なにをぉ~。じゃあ梓は何か案有るのか?無いだろ?」


34: 2011/06/02(木) 00:55:43.41

梓「普通に『練習見に来ました』って体でここに来てもらえばよかったんじゃないですか?」

さわ子「そうよ。それでタイミング良く二人きりにさせればよかったじゃない」

律「はっ!……確かに」

梓「ホント、なんでこんな事したんでしょうね」

さわ子「瀧さんなりに、切羽詰まってたんじゃないかしら」

梓「何でまた」

さわ子「進路調査とかで、高校生活の終わりが近づいてるのを実感しちゃったから、じゃないかな?」

梓「あぁ……」

さわ子「時間の感じ方は人それぞれだけど、物事に対してそれ位の事をしてでも成し遂げる必要が有る様に思う人も居るって事よ」

梓「そうですか……」

さわ子「期末が終われば夏休みでその後二学期が始まって、マラソン大会で文化祭で、後はもう試験と入試で卒業よ?」

梓「……」

35: 2011/06/02(木) 00:59:39.82

さわ子「残り八カ月が長いか短いかは人それぞれだけど、きっと彼女にとっては短いのよ」

さわ子「貴女も余り二の足を踏んでちゃ駄目よ?何かするならね」

梓「……はい」

さわ子「まぁ……時間をかけて悩むのも大事だけど」

梓「そうですか?」

さわ子「だって、この子達の今日の作戦が正解に思える?」

梓「思えません」キッパリ

唯「あずにゃん冷たい!」

律「梓、なんか今日は私達の事馬鹿にしてないかー?」

梓「失礼ながら、今日ほど先輩方を不安に思った事は無いですね」

さわ子「『急いては事を仕損じる』の具体例よね」

唯「あうぅ」ガクリ

律「バッサリだー」ガクリ

紬「まぁまぁ。おかわりいかが?」

梓「いただきます」

さわ子「私も~」

36: 2011/06/02(木) 01:02:33.25

唯「でも、今日だけでさわちゃんの株は上がったよね」

律「そうだな、今日のさわちゃんは先生らしかった」

さわ子「らしいんじゃなくて先生だって言ってるでしょ」

梓「まぁ、部室の先生は先生らしくないですからね」

さわ子「梓ちゃんまで~?」ブーブー

ガチャ

エリ「ただいま戻りましたー!」

澪「ただいま」

さわ子「おかえり二人とも」

律「澪さんスミマセンでしたー!」ドゲザー

唯「私達が悪ぅございましたー!」ドゲザー

紬「えぇ~っと、私もごめんなさ~い」ドゲザー


37: 2011/06/02(木) 01:04:30.00

さわ子「あら、しっかり手ぇ繋いじゃって。キチンと仲直り出来た?」

エリ「はい!さわ子先生のおかげで澪ちゃんと友達になれました!」

澪「エリが『友達になったんだから』って手を放してくれなくて……」カァ

さわ子「良かったわねぇ」

澪「エリから聞きました。先生、ありがとうございました」

さわ子「気にしない気にしな~い」

律「結果オーライだよな澪」ドゲザー

唯「良かったねエリちゃん!」ドゲザー

エリ「うん!二人もアリガト」

紬「おめでとう二人とも。お茶入れるわね?」

澪「あぁ、ありがとう。律と唯は後5分そのままな」

唯「えぇ!?」ドゲザー

律「ご無体な!?」ドゲザー


38: 2011/06/02(木) 01:08:26.11

エリ「良いの?」

澪「良いの」

梓「まぁ、自業自得ですよね」プッ

さわ子「じゃぁ、5分したら帰りなさいよ。もう下校時刻だからね。ムギちゃん、御馳走様」スタスタ

ガチャ  バタン

エリ「さわ子先生……カッコイ~」

澪「部室じゃあだらけきってるもんだけどな」

エリ「さっきのさわ子先生もカッコよかったよ~」

澪「そうなんだ、ちょっと見たかったな」

紬「はい、ケーキもどうぞ」ズイ

梓「折角ですし余ってるのも食べちゃってください」ズズイ

エリ「後輩ちゃんも付き合わせちゃってごめんね?」

梓「いえ、おめでとうございます」

唯「余りもってそれ、私達のじゃ無いの?」ドゲザー

律「チクショー、中野めぇ」ドゲザー

* * *

39: 2011/06/02(木) 01:16:03.17

次の日!

エリ「って訳で澪ちゃんと仲良くなれたよ!」

三花「……え?あの作戦実行したの?」

エリ「結果としては試合に負けて勝負に勝った感じだけどね」

三花「唯ちゃんのギャグだと思ってたのに……」

エリ「中々楽しかったよ。まぁ今やってって言われても恥ずかしくて出来ないけど」

ガチャ

澪「コラ律!それを渡せ!」ダダダ

律「へっへーん。やーだよーい」ダダヒョイ

エリ「あ!澪ちゃんオハヨー!」フリフリ

澪「あ!エリ!律捕まえて!」

エリ「え?りっちゃんを?って何そのカメラ」

『ああそうか。どうも!エリザベスです!』

エリ「!!」カァ

『……は?』

『澪ちゃんとお喋りしたくて、人間になっちゃいました!』イエイ

エリ「はぁぁぁ!?ちょっとりっちゃん!なんでそんなの撮ってるの!?」ワタワタ


40: 2011/06/02(木) 01:18:33.88

紬「頑張りました~」

エリ「そんな事頑張らなくて良いって!」

三花「え?何々もしかして昨日の?」

『いやいやいやいや、瀧さん何言ってるの?』

律「三花、パース!」ポイ

三花「あいよ!」キャッチ

エリ「ちょ!三花それ渡して!」ガバッ

三花「え~、私もみたい~」スルリ

澪「コラ律―!」

アカネ「三花~、何それ?」

三花「見る?面白いよ多分」

エリ「アカネも見ちゃ駄目―!」

律「ほら澪、早くあれ止めないと」

41: 2011/06/02(木) 01:20:01.60

澪「あぁ!佐伯さんもそれこっちに渡して!佐藤さんも見ないで!」

三花「え~?じゃぁ、ちか!」ポイ

ちか「おっと!」キャッチ

『私が?私はエリザベスだよ?ほら』

エリ「いぃーやぁー!」カァァ

ちか「え?何これ?」

エリ「ちか!その動画止めて!」ダダダ

ちか「えっと、えっと、慶子ちゃんパス!」ポイ

慶子「ホイ来た!」キャッチ

『いや、確かにそのベースはエリザベスって唯が名付け』ピッ

三花「あれ?止めちゃうの~?」

エリ「慶子ちゃん?」

42: 2011/06/02(木) 01:21:17.95

澪「飯田さん、ありがとう」ハァハァ

慶子「良いの良いの。ねぇ、これ渡すしさ」スタスタ

澪「ん?」

慶子「私の事も、名前で呼んでよ」ニヤリ

澪「な!?」カァァ

エリ「なんで!?」カァァ

慶子「折角クラスメイトなんだし、私も友達になりたいな~」ニヤニヤ

慶子「飯田なんて他人行儀な呼び方、友達じゃないよね?澪」ニヤニヤ

澪「あうあう」プシュー

エリ「もしかして見られてた!?」ギャー

慶子「まぁ偶然ね~」クルクル

律「お?もしかして慶子は昨日のここでの話を知ってるのか?」

慶子「途中からだけど」ポイ


43: 2011/06/02(木) 01:23:14.38

律「教えて!」キャッチ

紬「私にも是非!」キラキラ

三花「何の話何の話?」

慶子「澪と友達になりたいなら、名字じゃ無くて名前で呼び合うんだって」

慶子「名字なんて他人行儀な呼び方じゃ無くて、ね?」

三花「へ~、じゃぁ私も佐伯さんなんて他人行儀な呼び方じゃ無くて、三花って呼んでほしいな?」

アカネ「私も私も。澪ちゃんと友達になりたいからアカネって呼んでよ~」

エリ「皆ずるいー!私が昨日あれだけ頑張ったのにー!」

ちか「あれだけ?」

律「これだけ」ピッ

『澪ちゃんだって私の事そう呼んで抱きしめてくれたじゃん』

曜子「何ですって!」ガタッ!

澪「ひぃっ!」ビクゥ

慶子「澪ったら大胆~」

曜子「ちょっと瀧さん今の話詳しく!そして澪さん、私も是非曜子と呼んで下さい!」


44: 2011/06/02(木) 01:26:11.97

澪「それはエリじゃ無くて、ていうか!」

エリ「違、それは、あ~もう!」

澪エリ「「とにかくそれ止めてー!!」」

ワーワーギャーギャードッタンバッタン

姫子「騒がしいねぇ、朝から」

唯「そうだね~」

姫子「って唯どうしたの?そんなにニコニコして」

唯「やっぱり友達になるのに、理由なんかいらないよ。ねー姫ちゃん?」

姫子「え?……そうね。……私と唯も、友達?」

唯「当たり前だよ~。え?もしかして違った?」

姫子「ううん、友達だよね。アリガト唯」ナデナデ

唯「どういたしまして~」ゴロゴロ

唯「澪ちゃんもエリちゃんも、友達一杯増えて良かったね」

END

45: 2011/06/02(木) 01:38:29.95
おつでした。読みやすいし面白かった
途中で気付いて見てたけどよかった
vipだったら盛り上がったんだろうな
けいおんSS減ってきてさみしいけどここで見れるからまだいいか
また書いてくれたら嬉しいな

51: 2011/06/02(木) 18:27:19.05
よきかな

引用元: 澪「エリザベス?」