2: 2016/03/10(木) 22:15:21.61 ID:FHMOWyXZO
「今の医療では手の施しようのないところまでガンが進んでいます、一年と言いましたが、・
生活習慣次第では早まる可能性の方が高いです。何分十代ですので…」・

八幡「…」・

「悔いの無いように過ごしていただくしかない状態です。延命治療は可能ですが、金額もその分掛かります・
。何より副作用が重く、あまり勧められないです」・

八幡「金が掛かるならやめときます、副作用も怖いですし」・

「ご家族に報告しておきましょう」・

八幡「いやいいっす、俺から伝えるんで」・

「くれぐれもやけにならないでください、何か画期的な治療法が見つかることだってあるんです」・

八幡「学校サボる口実が出来てありがたいくらいですよ、もう帰ってもいいですかね?」・

「…ええ、検査もありますので定期的にこちらに来てください」・

八幡「分かりました」・

4: 2016/03/10(木) 22:17:59.42
8月8日、18の誕生日に俺は成人する前に氏ぬことを伝えられた。・

一年、つまり365日の内に俺は氏ぬということだ。ぼっちだから悲しむ奴は少ないがゼロじゃない、小町は悲しむだろうな・

そういや俺って生命保険とか入ってんのかな?入ってたらこの価値のない人生に値段がついて

親父と母ちゃんと小町の人生が豊かになるだろう。さっき俺の口から報告するといったな、あれは嘘だ。・

末期ガンだけに腫れ物に触れるような扱いなんてごめんだ。・

人知れず、出来れば人目につかず誰にも見つけられずに氏のう。・

雪ノ下も由比ヶ浜も俺が氏んでせいせいするだろうしいいことづくめだ。・

今から大目に見積もって365日、何をして生きていこうか?・

とりあえず、行動に移すか。

5: 2016/03/10(木) 22:19:39.19
学校・

静「なんだこれは?」・

八幡「退学届っす、もういろいろとあれなんでリアルヒッキーになっちゃおっかなって」・

静「ふざけているのか?」・

八幡「マジです、もう疲れたんすよね、悪役も奉仕部も何もかも」・

静「何があった?話を聞こうじゃないか」・

八幡「氏んでも言いません」・

静「ほう?私のラズトブリットを食らってもか?」・

八幡「今日で最後ですし、好きなだけ殴ればいいんじゃないっすか?被害届も出しませんし、半頃しくらいなら甘んじて・
受けますよ」・

静「…」・

八幡「それじゃあ、二年間ちょいお世話になりました、結婚できるといいですね」ペコ・

静「すぐに受理はしない、気が変わって、間に合うならいつでも復学させてやる」・

八幡「そうですか、じゃあ考えときますよ」

6: 2016/03/10(木) 22:21:11.41
家・

八幡「ふう」・

これでようやく自由の身になれたが、何もする気が起きない、何かしたところで評価されるわけでもないし、このまま最期を・

迎えるのもいいかもしれないな。・

ブーン!ブーン!・

携帯の電源を切って俺は何となく街へと出掛けた


千葉市街・

八幡(さあ何をしようかな、所持金もそこそこあるし、一人でサイゼリア行っとくか)・

「いらっしゃいませ、一名様ですか?」・

八幡「はい」・

「では喫煙席へご案内いたします」・

八幡(タバコの煙とかあんま吸いたくねえな、何か寿命が縮みそうだ)・

「ご注文が決まりましたらそちらのボタンでお呼びください」・

八幡「ドリンクバーとドリアで」・

「かしこまりました、少々お待ちください」・

8: 2016/03/10(木) 22:22:44.11
八幡(たまにはコーラでも飲むか)・

結衣「あれ?ヒッキーじゃん、何してるの?」

八幡「腹減ったから飯食いに来てんだよ、お前こそ何してんだよ」・

結衣「え?あたし?あたしは…バイトの帰り」・

八幡「なるほどね、遊ぶにも先立つものがいるもんな」・

結衣「そ、そういうことだし!」・

八幡(まあ本当に先立つのは俺なんだけどな、これぞブラックジョーク)・

結衣「あ、ヒッキーこれから時間ある?」・

八幡「あ?ねえよそんなもん」・

結衣「ん、わかった、じゃあパセラね」・

八幡「俺の話聞いてた?時間ねえんだって」・

結衣「またまたー、バイト帰りでもないくせに一人でサイゼ来てそりゃないじゃん」・

八幡(あと364日しかねえんだが…あ、そういえば借りを返すのにちょうどいいか)・

結衣「ヒッキー?どしたの?」・

八幡「由比ヶ浜、ハニトーおごってやるよ」・

結衣「え!?」///・

八幡「ふと思い出してな、どうする?」・

結衣「ももももちろん行く!」///・

八幡(身辺整理第一弾、スタートだ)・

結衣「ドリア美味しいよねー」ウマウマ・

八幡「まあな」ムシャムシャ・

結衣「えへへー」・

9: 2016/03/10(木) 22:24:11.94
パセラ・

八幡「ほれ、来たぞ、パセリのハニート」・

結衣「パセラ!ハニトー!」・

八幡「どっちでもいいだろんなもん」・

結衣「よくないし!」ブーブー!・

八幡「さっさと食うぞ」・

結衣「いっただっきまーす!」・

30分後・

八幡「うし食ったな、そんじゃあ帰るわ」・

結衣「あ!ま、待って!」///・

八幡「どした?」・

結衣「あとちょっとだけ付き合って…?」///・

八幡「…すぐ済むのか?」・

結衣「うん、30分くらいもらえたら大丈夫かな…」///・

八幡「んじゃ付き合ってやるよ。…(これで最後だしな)」・

由比ヶ浜家の近く・

結衣「でね?優美子がさー」・

八幡「何か用があるんじゃねえの?」・

結衣「…これ、あげる」///・

八幡「何だこりゃ?」・

結衣「誕生日プレゼント、あたしももらったからお返し」///・

八幡「あー、そういや俺18か、実感湧かねえな」・

結衣「もう1年以上だもんねー、ゆきのんとヒッキーとあたしで奉仕部」・

八幡「そうだな」・

10: 2016/03/10(木) 22:25:52.11
結衣「ここ、覚えてない?」・

八幡「ん?確か祭りのときに一回来たような…」・

結衣「携帯はサイレントにしてるし、今度こそ全部言うね?・

始まりが正しくなくても好きって気持ちに間違いなんかないよ、だから比企谷八幡君、あたしはあなたが好きです。・

あたしと付き合って下さい」・

八幡「無理だ」・

結衣「…そっか、ゆきのんじゃ敵わないよね」・

八幡「そんな理由じゃない、無理なんだ」・

結衣「どういうこと…?」・

八幡「俺はお前みたいに優しい女の子が嫌いだ、雪ノ下みたいに不器用な女の子も嫌いだ…ただそれだけだ」・

結衣「…ぐすっ…そっか…ごめんね…つき…あわせ…ひっく…ちゃってさ…」・

八幡「もう会うこともないだろう、さよならだ由比ヶ浜。元気でな…」・

結衣「好きだったよ…ヒッキー」・

黄昏時、また二つ大切なものを俺は手放した。

11: 2016/03/10(木) 22:27:05.47
適当に家族が寝静まるまで時間を潰し、帰宅する・

こっそり鍵を開けて家に入ると小町が仁王立ちしていた・

八幡「た、ただいま…」・

小町「お兄ちゃん?ちょっと聞きたいことがあるんだけど」・

い、妹の背後に阿修羅が見える…・

小町「それでお兄ちゃん、学校やめるってどういうつもりなの?」・

八幡「…」・

小町「平塚先生から電話が繋がらないって苦情受けたしさ、夏休みだからって冗談が性質悪いでしょ?」・

八幡「本気だ」・

小町「どういうつもり!?」・

八幡「もう俺は俺のためだけに人生を使うと決めたんだ、誰にも邪魔はさせない」・

小町「…何かあったんでしょ?分かるよ?兄妹なんだし」・

八幡「もう決めたことだ、俺は氏ぬまでこうやって好きに生きていく」・

小町「ほんとどうしたの?言ってくれないと分かんないよ」・

八幡「言わない」・

小町「言って」・

八幡「氏んでも言わない」・

小町「じゃあ氏んでも聞く」・

八幡「寝る」・

小町「こら!寝ないの!」・

12: 2016/03/10(木) 22:28:08.54
ピンポンピンポンピンポンピンポン!・

小町「こんな時間に迷惑なー!」・

八幡「確かに、火事でもあったか?」・

玄関・

小町「何ですか!?さすがに鳴らし過ぎ…雪乃さん?結衣さんも」・

八幡「まさか家にお前が来るとはな…」・

雪乃「私の友人を泣かせた報いを受けさせに来たわよ、比企谷君」・

結衣「やっはろー…ヒッキー、小町ちゃん」・

小町「ここじゃなんですからあがってくださいよ、ささ」・

雪乃「お邪魔します」・

結衣「お邪魔します…」・


八幡「で?何しに来たんだよ、報いがどうとか言ってたけど、報われないのが俺の人生だぞ」

雪乃「そんなことは知らないわ、由比ヶ浜さんを泣かせた罪は重いのよ」・

八幡「俺の軽い命で贖えるのか?腹切りでもしろってのか」・

雪乃「ふざけないで、平塚先生から聞いたわ、学校を辞めるそうね。理由もまともに話さず、あくまでも人を突き放して・
逃げ切るつもりなのでしょうけどそうはいかないわ。隠していることを全て話してもらうわよ」・

八幡「んなもんねえよ、ただ疲れただけだ」・

雪乃「いくらあなたでもそんな理由で学校を辞めるわけがないでしょう、あなたがそのつもりなら興信所でもなんでも使って・
調べることも可能なのよ?あとは時間の問題よ、早いか遅いかだけの」・

八幡「……」・

小町「小町も知りたいな、お兄ちゃん、直接お兄ちゃんから聞きたいよ」・

結衣「あたしも同じ気持ち、ヒッキーは大事なことを隠してる、あたしたちで何か力になれるかも知れないじゃん。だから話してよ…」・

八幡「…364日」・

雪乃「…」・

小町「…」・

結衣「…」・

八幡「俺の残りの時間だ」

13: 2016/03/10(木) 22:29:17.96
雪乃「そういうことだったのね」・

小町「何で言わないの!?」・

結衣「小町ちゃん落ち着いて!」・

八幡「母ちゃんと親父だけはこのことを知ってた、生命保険の関係もあるしな。俺が氏ねば8桁おりるそうだ」・

雪乃「どうして黙っていたのかしら」・

八幡「言う必要もないだろう。浪花節は期待できねえしな。今まで通り人知れずこっそり居なくなりたかった」・

結衣「あたしもゆきのんも小町ちゃんも絶対に気付いてたよ!」・

八幡「気付いたところでどうなるもんでもねえだろ、19になるころにはくたばってんだから」・

バチン!・

雪乃「ふざけないで!」・

八幡「…はっ、殴りたきゃ好きなだけ殴れよ、一年以内に痛みもクソも無くなるんだ、クソみたいな人生だったって胸を張って氏んでやるよ」・

小町「お兄ちゃんのバカ!」・

結衣「ヒッキーの人生はそんなんじゃない!」

雪乃「人の気も知らずに…そうやってあなたは…」ギリッ・

八幡「洗いざらい喋ってやったぞ、さっさと帰れ」・

15: 2016/03/10(木) 22:30:16.64
雪乃「ねえ比企谷君」・

八幡「んだよ」・

雪乃「私たちは夜中にインターホンを連打するような不良よ?素直に帰ると思う?」・

八幡「はあ?」・

結衣「あたしはまだヒッキーのこと諦めたわけじゃないからね!」・

小町「こんな兄ですが、二人ともよろしくお願いします」・

八幡「そうやってお前らは俺を氏ぬまで苦しめるんだな、よーく分かったよ」・

小町「何言ってんの!?二人ともお兄ちゃんを心配してくれてるんでしょ!?」・

八幡「なあお前ら、ちょうどいい季節なわけだから聞いてやるが、怪談とかで出てくるような幽霊ってのは何であると思う?」・

雪乃「おおよそ未練や無念、怨念…あ…」・

八幡「そういうこった、何で寿命の終わりが見えてるのに冷静かっつったら一般よりも遥かにそういうもんが少ないからだ。・

だってお前ら切り離したらあとは何にも残らねえしな。そんな中でこれからも生きていくお前らの自己満足で残り少ない時間・まで取られるとかたまったもんじゃない」


結衣「…」・

八幡「分かったか?俺は一人で氏んでいくんだよ、何なら氏体すらも残さないように消えたいくらいだ」・

雪乃「あなたは本当にそれでいいの?」・

八幡「そりゃ長生きできるならしたいけどな、ぼっちは現状あるもので最大限まで満足しないとならないもんなんだよ。だからお前らの人生の中で俺を消してくれりゃいい」・

小町「…」・

結衣「…」・

雪乃「…」

八幡「わかったら、帰ってくれ」

16: 2016/03/10(木) 22:31:22.21
雪乃「…ぃ…ょ」

八幡「あ?」

雪乃「いやよ、と言ったのよ」キッ

八幡「お前、話聞いてたか? …いや、はっきりさせた方がお互いのためか」

八幡「これ以上、俺を苦しめないでくれ」

八幡「確かに、小町はもちろん。雪ノ下や由比ヶ浜が俺にとって大きな存在になっていたことは認める。事実だからな。だが…」

八幡「これから癌で苦しむ、醜い姿を、出来ることなら誰にも。せめて、お前たちだけには見せたくない」

八幡「頼む。もう、俺に関わらないでくれ」ペコリ

結衣「…ヒッキー」ポロポロ

小町「お兄ちゃん…」グス

雪乃「…わかったわ」

結衣「ゆきのん?!」

雪乃「それが、今私達に出来ることなのね」

八幡「…あぁ」

雪乃「なら、仕方ないわ」

八幡「すまない。こんな腐った目のヤツの事はすぐ忘れてくれ」

雪乃「…」

結衣「…」

八幡「さ、もういいだろ?」

結衣「…ヒッキー」

八幡「さよならだ」

17: 2016/03/10(木) 22:32:45.17
雪乃「そういえば、比企谷君」

八幡「…どした?」

雪乃「今日、貴方の誕生日だったわよね」

八幡「…あぁ、そうだな」

雪乃「一応、準備はしていたのだけれど、今日は持ってくるのを忘れてしまったから、明日また届けに来るわ」

八幡「いや、返せるか分からんしな。雪ノ下さえ良ければ、そのままお前が…」

雪乃「比企谷君に使ってほしいと選んだものなの。だから、受け取って欲しいわ」

八幡「…わかった。ありがとな」

雪乃「では、また明日…」フリフリ

…ガチャン

八幡「…ふぅ」

小町「お兄ちゃん…」

八幡「悪いな小町、迷惑掛けちまって」

小町「…ううん、だってごみぃちゃんだし」ニコリ

八幡「すまん」

小町「でもね、小町はいつまでもお兄ちゃんの妹だから。だから…」グスン

小町「出来ることなら、小町がおばあちゃんになるまで甘えさせてほしいな…」ポロポロ

八幡「ゴメンな、小町」ナデナデ

小町「…っ」ポロポロ

19: 2016/03/10(木) 22:34:11.72
────翌日────

ピンポーン

小町「…はい」

雪乃「小町さん?雪ノ下です」

小町「あ、今開けますね」ガチャ

雪乃「朝早くにごめんなさい。ご迷惑かとも思ったのだけれど…」

小町「大丈夫ですよ?お兄ちゃんはまだ…」

八幡「あ?雪ノ下…。ずいぶん早い時間に来たな」

小町「お兄ちゃん、なんで…」

八幡「寝付けなくてな。雪ノ下も玄関じゃ暑いだろ?とりあえず、上がれよ」

雪乃「…ええ」

リビング

八幡「…」

小町「…」

雪乃「…」ジー

小町「…あの雪乃さん?」

雪乃「…ごめんなさい。今でも比企谷君が亡くなるなんて信じられなくて」

20: 2016/03/10(木) 22:35:17.42
八幡「ま、奇跡でも起きれば別だがな。基本的にはあと一年以内に氏…」

小町「お兄ちゃん!」バン

八幡「!?…どうした小町?」ビクビク

小町「あ…えっと…。…何か飲み物飲む?」

八幡「じゃあ、MAXコーヒーを」

小町「わかった。取ってくるね…」トボトボ

雪乃(小町さんの気持ち、痛いほど分かる。現実だとしても、受け入れたくない、認められない。なのに本人が飄々と受け入れてしまっているから、色々な感情が混ざりあってしまっている。私も、同じタイミングで比企谷君の頬を叩いてしまいたくなったもの)

八幡「で、雪ノ下…」

スッ

雪乃「…貴方への誕生日プレゼント」

八幡「開けてもいいか?」

雪乃「…ええ」

ガサゴソ

八幡「…えっと、これは?」

21: 2016/03/10(木) 22:36:21.43
雪乃「…見て、分からないのかしら?」

八幡「…指輪、だな」

雪乃「分かっているじゃない」

八幡「いや、だから…」

雪乃「それが、私からの気持ち」

雪乃「貴方の『本物』になりたい、という私の想いよ///」

八幡「…///」

雪乃「ふふっ、ごめんなさい。詳しく説明するなら」

八幡「…?」

雪乃「…それは、奉仕部の絆の証とでも言うのかしら。由比ヶ浜さんと私、貴方。3人お揃いの指輪よ」

雪乃「石だけ色違いになっていて、由比ヶ浜さんがピンクトルマリン、私がアクアマリン、そして比企谷君がラピスラズリ」

雪乃「本当は、卒業するまで3人が一緒に居ることが出来たら、渡そうと思っていたものよ。以前…比企谷君が、本物が欲しいと言ってくれたあの後に、準備していたのだけれど」

八幡「だったら、俺には受け取れない…」

雪乃「なぜ?」

八幡「俺はもうすぐ…」

ギュ

雪乃「言わないで」

八幡「雪ノ下?」

22: 2016/03/10(木) 22:37:34.51
雪乃「私も、小町さんも、まだ貴方がいなくなってしまう事を、受け入れられずにいる。だから、言わないで。貴方の側から逃げたくなってしまう」

八幡「…昨日も言ったが。俺の事はさっさと忘れて…」

雪乃「忘れられる訳ないじゃない…!」ギュ

雪乃「忘れたくないし、出来ることなら、これからもずっと一緒に居たいのだから!」

八幡「雪ノ下…」

雪乃「ごめんなさい。こんなこと言われても、迷惑でしかないわね」

雪乃「でも、もし、貴方さえ良ければ、私の…」

八幡「ごめんなさい、それは無理」キリッ

雪乃「まだ最後まで言っていないのだけれど?」ジトー

八幡「いや、俺は誰かさんの真似をしたまでだ」

雪乃「…!そ、それは…」アタフタ

八幡「まぁ、すぐいなくなるヤツと友達になる必要もないだろ」

雪乃「…」

八幡「さて、誕生日プレゼントありがとうな。そろそろ…」

ギュ

雪乃「友達じゃない…!」

八幡「…」

雪乃「友達なんてすぐ壊れてしまう関係なんて望んでいないわ!私が、貴方と築きたい関係は…永遠を誓える、壊れることのない関係よ!」

八幡「…永遠なんて、ねぇよ」

雪乃「…」

八幡「俺は1年足らずで氏ぬんだから。雪ノ下、もう俺の事は忘れてくれ」

ジー

八幡「で、何故そこでじっと見てるんだ、小町」

23: 2016/03/10(木) 22:38:39.72
小町「いや、なんかドラマのワンシーンみたいだなぁって」ニコリ

八幡「…」

小町「本当、ドラマだったら良かったのに…」ポロポロ

雪乃「…っ!」ポロポロ

八幡「…」プイ

雪乃「…ごめんなさい!今日はもう帰るわ」ダッ

ガチャ パタン

八幡「…俺も部屋に戻るわ」

────八幡の部屋────

八幡「さて、片付けるか…」

八幡「最低限の物だけ残して、後は捨てなきゃな」

八幡(…この、絶対に許さないリストももういらないな)ポイッ

八幡(元々の荷物が少ないからな。捨てるのもそこまでないか)

八幡「意外と早く終わったな…あんまり寝てないし、寝るか」ゴロン

八幡(雪ノ下、由比ヶ浜には最期まで迷惑掛けちまったな…)ウトウト

八幡(なんか、お詫びでも用意しとくべきだな…)

八幡(立つ鳥、跡を濁さずなんて言うしな…zzz)

24: 2016/03/10(木) 22:40:30.94
~それから3ヵ月~

ピピピピ

八幡「…もう朝か」

八幡(学校も辞めたしな、適当にラノベでも読むか…)ゴホゴホ

八幡「…?」

八幡(なんか、息苦しいな…)

ペラ ゴホゴホ

ペラ ゴホゴホ ズキ

八幡(なんか、肺が痛ぇ…。でも、病院に行った所で治るわけでもないし)

~更に1ヵ月~

ゴホゴホ

小町「お兄ちゃん…、やっぱり病院に…」

八幡「いや、いい」ゴホゴホ

小町「でも…」

八幡「遅刻、するぞ…」ゴホゴホ

小町「今日は学校休ん…」

八幡「小町」

八幡「小町、受験も、近いん、だから」ゴホゴホ

八幡「学校、行け」

小町「…でも!」

八幡「一人で、病院、行ってくるから」

小町「約束だよ?ちゃんと病院行ってきてね?」

八幡「おう、早く行け」ゴホゴホ

小町「じゃあ、行ってきます…」

八幡「気を付けてな」ゴホゴホ

八幡(さすがに辛いしな、病院行くか…)


25: 2016/03/10(木) 22:42:53.16

~病院~

「比企谷さん、肺への転移が濃厚です。精密検査を行います」

八幡(やっぱりか)

「医師としては、入院して出来る限りの治療をする事をオススメします」

八幡「いや、どうせ氏ぬから金の無駄ですよ」

「しかし、このままでは苦しいだけですよ?」

八幡「抗がん剤の治療も苦しいって聞きますよ?それこそ、氏にたくなるほどに」

「…分かりました。でも、本当に辛くなったら、いつでも連絡してください」

八幡「…はい。あ、因みに…」

~自宅~

小町「ただいま…」

八幡「おう、お帰り」

小町「…あれ、お兄ちゃん、咳は?」

八幡「ん?ただの風邪だったみたいだからな。注射一本で止まった」

小町「…」ジー

八幡「…どした?」

小町「…嘘」

八幡「…」

小町「お兄ちゃん、嘘つくのヘタすぎ」

八幡「…そうか」

小町「やっぱり、転移してるの?」

八幡「…」

小町「そっかぁ…」ポロポロ

八幡「…もう、かなり進行してる」

八幡「現状から見たら余命3ヵ月だそうだ」

小町「…そんな」

八幡「なぁ、小町」

八幡「もし、俺が氏んだら…」

小町「そんな話、聞きたくない…!」ダッ

八幡「…小町」

26: 2016/03/10(木) 22:44:17.62
~翌日~

小町「…行ってきます」

八幡「…よし、行くか」

~某ショッピングモール~

八幡(平日の午前中とはいえ、そこそこ人がいるな)

八幡(目当ての店は…あった)

「こちらはすべてプレゼント用にお包み致しますか?」

八幡「お、お願いします…」ビクビク

「ラッピングの色はいかが致しますか?」

八幡「き、黄色とピンク、水色を一つずつ…」

「わかりました、少々お待ちください」

・・・・・・・・・・・・

「お待たせ致しました。お気を付けてお持ち帰り下さい」

~自宅~

八幡「後は、遺書書かなきゃな…」

八幡「小町と雪ノ下、由比ヶ浜だけは別で手紙書いておかないとな…」

八幡(立つ鳥跡を濁さず。お礼だけは言わなきゃ、氏んでも氏にきれねぇからな…)

八幡「ありがとな…」

27: 2016/03/10(木) 22:45:40.78

~それから2ヵ月後~

小町「お兄ちゃん…」ポロポロ

結衣「ヒッキー…!」ポロポロ

雪乃「…」ポロポロ

雪乃(比企谷君の葬儀は、慎ましやかに執り行われた。最後に、ご両親に私と由比ヶ浜さん、小町さんだけ呼ばれ、今は別室にいる)

ガラガラ

父親「…お待たせ」

母親「…」

父親「…これを、渡して欲しいと頼まれていてね」

小町「…なにこれ?」

母親「…八幡からのプレゼントよ」

結衣「!」

小町「お兄ちゃんから?!」

雪乃「比企谷君…」

雪乃(貴方はホントに自分勝手。会うなと言っておきながら、最後に私達の気持ちを掻き乱して…)

父親「あと、手紙も預かってるんだ」スッ

父親「今日はもう遅い。二人とも送っていくよ」

28: 2016/03/10(木) 22:48:52.89

~由比ヶ浜の場合~

由比ヶ浜の部屋

結衣「ヒッキーからの手紙…」カサ

────由比ヶ浜 結衣様へ────
拝啓、由比ヶ浜結衣様 なんて固いか。
この手紙を読んでいるってことは
俺は氏んだんだな?

まぁ、なんだ。
あまりだらだら書くもんでもないしな。

いままで、ありがとな。
由比ヶ浜の気遣いで
助けられた事が何度もあった。

それと、お礼を用意した。
まぁ、使ってくれたら嬉しい。
いらなかったら捨ててくれ。

あと、告白してくれただろ?
結構、嬉しかった。ありがとう。
今度は俺みたいなヤツじゃなく
もっとまともなヤツを好きになって
幸せになってくれ。

それじゃ。
比企谷八幡

結衣「ヒッキー…!」ポロポロ

結衣「…ばかっ!」ポロポロ

結衣(そういえば、プレゼントって…)ガサゴソ

結衣「あ…これって…」

29: 2016/03/10(木) 22:50:22.53
~小町の場合~

小町の部屋

小町「お兄ちゃんからの手紙…」

────小町へ────
まずはプレゼントを見て欲しい。
それから2枚目の手紙を読んでくれ。

小町「プレゼント…?」チラッ ガサゴソ

小町「お兄ちゃん、らしくないなぁ…」ニコリ

小町。
プレゼントは気に入ったか?
多分、ごみぃちゃんにしては
すごくセンスあるものだね!
小町的にポイント高い!
ってなってることだと思う。

違うか、違うな。

小町にはすごく迷惑かけちまったからな。
お詫びと感謝の気持ちを込めた。
まぁ、なんだ。
俺はいつまでも小町を見守ってるから。
だから、幸せになってくれ。
おばあちゃんになっても
小町が笑っていられますように。

小町のお兄ちゃんより。

小町「お兄ちゃん…!」ポロポロ

30: 2016/03/10(木) 22:51:51.73
~雪ノ下の場合~

雪ノ下の部屋

雪乃「手紙…」

────雪ノ下 雪乃様へ────
うす。久しぶりだな。
プレゼントは見てくれたか?

気に入ってくれたら嬉しい。

雪ノ下。
こう言ったらおかしいが、
雪ノ下にはすごく感謝してる。
奉仕部で過ごした時間は
充実したものだったよ。

雪ノ下との会話も
なんだかんだ楽しかったしな。

色々、ありがとな。
プレゼントについては、
気に入らなかったら捨ててくれ。
正直、雪ノ下なら
もっと良い物を使ってるだろうしな。

じゃ、またどこかでな。
比企谷八幡

雪乃「…貴方らしいわね」ポロポロ

31: 2016/03/10(木) 22:52:50.79
~翌日~

ピンポン

陽乃「雪乃ちゃん…大丈夫?」

雪乃「姉さん」

陽乃「…あれ、その腕時計どうしたの?」

雪乃「彼からのプレゼントよ」ニコ

P.S.
それから。
雪ノ下、俺と────

陽乃「そっか」

雪乃「ええ、そうよ」

陽乃「寂しくないの?」

雪乃「寂しくなんてないわ」

雪乃(これからは彼と共に時を刻んで行くのだから)

fin

34: 2016/03/10(木) 23:00:04.88
以上になります。



では、また次があれば会いましょう。

35: 2016/03/10(木) 23:01:32.98
乙です

引用元: 【勝手に再編集】八幡「余命一年…ですか」