1: 2012/09/21(金) 21:08:33.42
妹「やっほー! 会いに来たよ、お兄ちゃん!」
妹「感謝してよね! こんな可愛い妹が来てあげたんだから!」
妹「いやぁ、ここまで来るのは大変だったんだよ? 私だってそこまで体力ある方じゃないんだからさー」
兄「……」
妹「んー。それにしても、綺麗な病室だねぇ。個室だなんて、お父さんたちも金持ちだなー!」
妹「あ、これ……お兄ちゃんの好きな本! 読んでたの? ねぇ、実はもう目が覚めてたり!?」
兄「……」
妹「……」
妹「……そんな訳無い、か……あはは……」
妹「感謝してよね! こんな可愛い妹が来てあげたんだから!」
妹「いやぁ、ここまで来るのは大変だったんだよ? 私だってそこまで体力ある方じゃないんだからさー」
兄「……」
妹「んー。それにしても、綺麗な病室だねぇ。個室だなんて、お父さんたちも金持ちだなー!」
妹「あ、これ……お兄ちゃんの好きな本! 読んでたの? ねぇ、実はもう目が覚めてたり!?」
兄「……」
妹「……」
妹「……そんな訳無い、か……あはは……」
7: 2012/09/21(金) 21:13:40.48
妹「ほんとに、お兄ちゃんは駄目な人だなぁ。飛び降りたんだって? ばっかみたい」
妹「お兄ちゃんが氏んじゃったら、二人とも悲しむよ? そんなことも分からなかったの?」
妹「ねぇ、なんで飛び降りたの?」
妹「……私の、せいなの?」
兄「……」
妹「……」
妹「……やや、ごめんね。折角会いに来たのに、こんな話は良くないよね」
妹「おっけー! 妹ちゃん頑張る! もっと明るい話するよ!」
妹「お兄ちゃんが氏んじゃったら、二人とも悲しむよ? そんなことも分からなかったの?」
妹「ねぇ、なんで飛び降りたの?」
妹「……私の、せいなの?」
兄「……」
妹「……」
妹「……やや、ごめんね。折角会いに来たのに、こんな話は良くないよね」
妹「おっけー! 妹ちゃん頑張る! もっと明るい話するよ!」
9: 2012/09/21(金) 21:19:09.50
妹「そう言えば、最後に会ったのっていつだっけ。三ヶ月? お兄ちゃんがわざわざ来てくれたんだよねー」
妹「あの時は嬉しかったなー。ろくに歓迎できなくてごめんね? 近くの桜が満開で、あれはあれで良かったんだけど……」
兄「……」
妹「お兄ちゃんが飛び降りたって知った時は、びっくりしたよ。ほんとにもう。すぐに行こうと思ったんだけど、こっちもこっちで色々あってね。ごめん」
妹「まあ……今は落ち着いてるみたいだし。飛び降りた直後のお兄ちゃんを見ても、まともに見れなかっただろーなー」
兄「……」
妹「あの時は嬉しかったなー。ろくに歓迎できなくてごめんね? 近くの桜が満開で、あれはあれで良かったんだけど……」
兄「……」
妹「お兄ちゃんが飛び降りたって知った時は、びっくりしたよ。ほんとにもう。すぐに行こうと思ったんだけど、こっちもこっちで色々あってね。ごめん」
妹「まあ……今は落ち着いてるみたいだし。飛び降りた直後のお兄ちゃんを見ても、まともに見れなかっただろーなー」
兄「……」
11: 2012/09/21(金) 21:24:05.50
妹「しっかし普通に眠ってるみたいだよね……あ、眠ってるんだっけ」
妹「よく知らされてないけど、植物状態って訳じゃないんでしょ? なら大丈夫だよ。お兄ちゃんがその気になれば、いつだって起きられるよ」
妹「ふぁいと、お兄ちゃん。私も応援してるよ!」
兄「……」
妹「んー、どうしよっか。まだ時間はあるし、焦ることは無いんだけど……」
妹「そうだ、この前ね、妹友ちゃんが来てくれたの! 他に用事があって近くまで来てて、ついでに寄ってくれたらしいんだけど……久々に会えて嬉しかったなぁ」
妹「ねぇ、幼馴染さんは元気? ふふ、二人が良い感じだったのは知ってるんだよ? 私はそれとなくサポートしてたつもりだったんだけどなー」
妹「こんな姿のお兄ちゃん見たら。きっと悲しむよ、幼馴染さん」
兄「……」
妹「よく知らされてないけど、植物状態って訳じゃないんでしょ? なら大丈夫だよ。お兄ちゃんがその気になれば、いつだって起きられるよ」
妹「ふぁいと、お兄ちゃん。私も応援してるよ!」
兄「……」
妹「んー、どうしよっか。まだ時間はあるし、焦ることは無いんだけど……」
妹「そうだ、この前ね、妹友ちゃんが来てくれたの! 他に用事があって近くまで来てて、ついでに寄ってくれたらしいんだけど……久々に会えて嬉しかったなぁ」
妹「ねぇ、幼馴染さんは元気? ふふ、二人が良い感じだったのは知ってるんだよ? 私はそれとなくサポートしてたつもりだったんだけどなー」
妹「こんな姿のお兄ちゃん見たら。きっと悲しむよ、幼馴染さん」
兄「……」
12: 2012/09/21(金) 21:30:07.53
妹「ねぇねぇ、私、まだこの街をぶらぶらしてないんだ。実家にも行ってない!」
妹「久しぶりに帰ってきたのにね。どうしてだと思う?」
妹「それはねぇ……一目でも早く、お兄ちゃんに会いたかったから! えへへ、偉いでしょ? でしょ?」
兄「……」
妹「全くもう、こんな可愛い妹が来てるのに寝たまんまなんてなー!
失礼だと思わない? あ、昔からお兄ちゃんは天然だったもんね。仕方ないかっ!」
兄「……」
妹「失礼……失礼しちゃうよ……本当に……」
妹「……」
妹「久しぶりに帰ってきたのにね。どうしてだと思う?」
妹「それはねぇ……一目でも早く、お兄ちゃんに会いたかったから! えへへ、偉いでしょ? でしょ?」
兄「……」
妹「全くもう、こんな可愛い妹が来てるのに寝たまんまなんてなー!
失礼だと思わない? あ、昔からお兄ちゃんは天然だったもんね。仕方ないかっ!」
兄「……」
妹「失礼……失礼しちゃうよ……本当に……」
妹「……」
13: 2012/09/21(金) 21:35:12.89
妹「……はいっ。今の涙はノーカンだよ。たまたまゴミが目に入っただけだからね。カットでお願いします、プロデューサー」
妹「なんてね。へへっ、じゃあ次は何しよっかなー……私のことはもう話したし……」
ガチャ
妹「! あ……」
母「……」
妹「お、お母さん……」
妹「なんてね。へへっ、じゃあ次は何しよっかなー……私のことはもう話したし……」
ガチャ
妹「! あ……」
母「……」
妹「お、お母さん……」
15: 2012/09/21(金) 21:40:31.48
妹「あ、あいやー……お久しぶり、お母さん。髪切ったんだね」
母「……」スタスタ
妹「でもあんまり変わってないなぁ……白髪が増えた? なんて、へへ、ごめん冗談だよー」
母「……」
妹「あ、この椅子座る? どうぞどうぞ。私は後ろに立ってるからさ!」
母「……兄……元気かしら?」ペタリ
妹「……」
母「今日、ね……」
母「妹の墓参りに、行ってきたの」
母「……」スタスタ
妹「でもあんまり変わってないなぁ……白髪が増えた? なんて、へへ、ごめん冗談だよー」
母「……」
妹「あ、この椅子座る? どうぞどうぞ。私は後ろに立ってるからさ!」
母「……兄……元気かしら?」ペタリ
妹「……」
母「今日、ね……」
母「妹の墓参りに、行ってきたの」
19: 2012/09/21(金) 21:46:36.86
妹「……」
母「この時期は、花がたくさん咲いてるの。綺麗だったわ……あの子も、きっと安らかに眠ってくれてるわ」
妹「……」
母「もう、一年になるのね……」
母「家族が三人になってから……あなたはよく頑張ってくれたわ。大学に行かず、私たちのために一生懸命働いて……」
母「……ごめんね。大学に行かせられなくて。私たちの為に、辛い仕事をさせて……本当にごめんなさい」
母「でも……でも。お願い。お願いだから、氏なないで」
妹「……」
母「あなたまで、失ったら……私は、私たちはっ、もう……」
妹「……っ」フワ
母「この時期は、花がたくさん咲いてるの。綺麗だったわ……あの子も、きっと安らかに眠ってくれてるわ」
妹「……」
母「もう、一年になるのね……」
母「家族が三人になってから……あなたはよく頑張ってくれたわ。大学に行かず、私たちのために一生懸命働いて……」
母「……ごめんね。大学に行かせられなくて。私たちの為に、辛い仕事をさせて……本当にごめんなさい」
母「でも……でも。お願い。お願いだから、氏なないで」
妹「……」
母「あなたまで、失ったら……私は、私たちはっ、もう……」
妹「……っ」フワ
22: 2012/09/21(金) 21:52:06.28
――廊下
妹「うー、駄目だなぁ。逃げてきちゃった。あの空間に耐えられる自信が無いよ……」
妹「お母さんが帰るまで、どっかぶらぶらしてよっと。時間は勿体無いけど、仕方ないよね」
妹「お母さん……お墓に来てたのかぁ」
妹「……今日はいないのにね。留守にしてごめんね」
妹「……」グスッ
妹「ああ、駄目だ駄目だ! 泣いちゃ駄目! こう言う時こそ笑わないとっ!」
妹「うー、駄目だなぁ。逃げてきちゃった。あの空間に耐えられる自信が無いよ……」
妹「お母さんが帰るまで、どっかぶらぶらしてよっと。時間は勿体無いけど、仕方ないよね」
妹「お母さん……お墓に来てたのかぁ」
妹「……今日はいないのにね。留守にしてごめんね」
妹「……」グスッ
妹「ああ、駄目だ駄目だ! 泣いちゃ駄目! こう言う時こそ笑わないとっ!」
23: 2012/09/21(金) 21:59:22.62
――フロント
妹「どこ行こうかなー……」フラフラ
妹「およ?」
幼馴染「……」
妹「あっ……幼馴染さん! 久しぶりだぁ」
幼馴染「……」テクテク
妹「んー……やっぱり、お兄ちゃんの部屋……行くのかな。どうしよ……」
幼馴染「……?」
妹「……!?」
幼馴染「……気のせい、かな……?」テクテク
妹「え……わ、私の方……見てた……」
妹「……」
妹「どこ行こうかなー……」フラフラ
妹「およ?」
幼馴染「……」
妹「あっ……幼馴染さん! 久しぶりだぁ」
幼馴染「……」テクテク
妹「んー……やっぱり、お兄ちゃんの部屋……行くのかな。どうしよ……」
幼馴染「……?」
妹「……!?」
幼馴染「……気のせい、かな……?」テクテク
妹「え……わ、私の方……見てた……」
妹「……」
25: 2012/09/21(金) 22:07:55.05
幼馴染「……」テクテク
妹「そう言えば……幼馴染さん、小さい頃から霊感があるって、聞いたことあったなぁ」
妹「うーん……見えて欲しいような……欲しくないような……」
幼馴染「……」トントン
妹「あっという間に病室の前。勝手知ったるって感じだねぇー」
ガラガラ
母「あら……幼馴染ちゃん」
幼馴染「兄の、お見舞いに……来ました」
妹「さっきぶり、お母さん」フリフリ
妹「そう言えば……幼馴染さん、小さい頃から霊感があるって、聞いたことあったなぁ」
妹「うーん……見えて欲しいような……欲しくないような……」
幼馴染「……」トントン
妹「あっという間に病室の前。勝手知ったるって感じだねぇー」
ガラガラ
母「あら……幼馴染ちゃん」
幼馴染「兄の、お見舞いに……来ました」
妹「さっきぶり、お母さん」フリフリ
37: 2012/09/21(金) 22:37:59.99
母「いつもいつも、ありがとうね……」
幼馴染「いえ。私には……何も。兄を見舞いに来ることしか、出来ませんから」
母「……ありがとう。私、そろそろ帰るわ。二人っきりの方が、良いわよね」
幼馴染「え……そんな、遠慮なさらず」
母「いいのよ。あの子だって、あなたといる方が嬉しいに決まってるわ」
幼馴染「……分かりました」
妹「……ま、私もいるんだけどねー」
幼馴染「いえ。私には……何も。兄を見舞いに来ることしか、出来ませんから」
母「……ありがとう。私、そろそろ帰るわ。二人っきりの方が、良いわよね」
幼馴染「え……そんな、遠慮なさらず」
母「いいのよ。あの子だって、あなたといる方が嬉しいに決まってるわ」
幼馴染「……分かりました」
妹「……ま、私もいるんだけどねー」
38: 2012/09/21(金) 22:43:40.31
母「じゃ、よろしくね」
幼馴染「……はい」
妹「あ……ばいばい、お母さん」
ガララ
幼馴染「……」スタスタ
幼馴染「……やっほ。兄」
兄「……」
妹「……」
幼馴染「……はい」
妹「あ……ばいばい、お母さん」
ガララ
幼馴染「……」スタスタ
幼馴染「……やっほ。兄」
兄「……」
妹「……」
42: 2012/09/21(金) 22:49:49.47
幼馴染「……今日も、いつも通りね。髪が、乱れてる」
幼馴染「今朝は、雷が凄かったわ。こんな日なのに不吉よね。何事も……無ければいいけど……」
妹「はぁう。確かに凄かったなぁ……久々の雷は、心臓に悪いよ……いや心臓動いてないけど」
妹「なんつってー、にゃははははは!!」
幼馴染「……?」ソワソワ
妹「にゃは……は……」ピタリ
幼馴染「……もしかしたら。妹ちゃんも、見舞いに来てくれているかもしれないわよ?」
妹「っ!?」
幼馴染「今朝は、雷が凄かったわ。こんな日なのに不吉よね。何事も……無ければいいけど……」
妹「はぁう。確かに凄かったなぁ……久々の雷は、心臓に悪いよ……いや心臓動いてないけど」
妹「なんつってー、にゃははははは!!」
幼馴染「……?」ソワソワ
妹「にゃは……は……」ピタリ
幼馴染「……もしかしたら。妹ちゃんも、見舞いに来てくれているかもしれないわよ?」
妹「っ!?」
45: 2012/09/21(金) 22:54:50.26
幼馴染「こう言う日だものね。……ふふ。何言ってんだろ、私」
妹「……は、ははー……流石幼馴染さん……」
幼馴染「……今日はね。プレゼントを持ってきたのよ」ガサゴソ
妹「おお? なんだろなんだろ。気になっちゃうけど……見ない方が……いいかな?」
幼馴染「はい。ヒマワリの花」
妹「あ……!」
幼馴染「あなたたち、兄妹揃って好きだったものね……ちょっと待ってて。今、活けるから……」
妹「ヒマワリ……ああう、流石すぎて言葉が出ないよ……」
妹「……は、ははー……流石幼馴染さん……」
幼馴染「……今日はね。プレゼントを持ってきたのよ」ガサゴソ
妹「おお? なんだろなんだろ。気になっちゃうけど……見ない方が……いいかな?」
幼馴染「はい。ヒマワリの花」
妹「あ……!」
幼馴染「あなたたち、兄妹揃って好きだったものね……ちょっと待ってて。今、活けるから……」
妹「ヒマワリ……ああう、流石すぎて言葉が出ないよ……」
46: 2012/09/21(金) 23:01:38.18
――
幼馴染「はい、完成。どう? これでも練習したのよ……感謝しなさいよね」
兄「……」
妹「わー……綺麗だなぁ……相当練習したんだね……幼馴染さん……」
幼馴染「……夢を見たの」
妹「……?」
幼馴染「……一年と、ちょっと前……まだ、あなたも飛び降りてないし……妹さんも、亡くなっていなかった頃の、夢」
妹「……」
幼馴染「はい、完成。どう? これでも練習したのよ……感謝しなさいよね」
兄「……」
妹「わー……綺麗だなぁ……相当練習したんだね……幼馴染さん……」
幼馴染「……夢を見たの」
妹「……?」
幼馴染「……一年と、ちょっと前……まだ、あなたも飛び降りてないし……妹さんも、亡くなっていなかった頃の、夢」
妹「……」
49: 2012/09/21(金) 23:07:34.81
幼馴染「よく、三人で……遊びに行ったわよね。小さい頃から、ずっと……近くの公園で遊んだり、河で泳いだり」
幼馴染「妹さんはあなたにベタベタで、それをあなたは優しく受け入れていて……ほんの少し、ほんの少しだけよ? 嫉妬したりもしていたわ」
妹「……」
幼馴染「……大きくなってからは、買い物をしに行くことも増えた。
当時は、デートなんて単語、恥ずかしくて口にだすことも出来なかったけど……」
幼馴染「あなたと二人で、買い物をしてる時。私はいつも、どきどきしてた」
幼馴染「あなたも……そうだったのかな……」
妹「……」
幼馴染「妹さんはあなたにベタベタで、それをあなたは優しく受け入れていて……ほんの少し、ほんの少しだけよ? 嫉妬したりもしていたわ」
妹「……」
幼馴染「……大きくなってからは、買い物をしに行くことも増えた。
当時は、デートなんて単語、恥ずかしくて口にだすことも出来なかったけど……」
幼馴染「あなたと二人で、買い物をしてる時。私はいつも、どきどきしてた」
幼馴染「あなたも……そうだったのかな……」
妹「……」
50: 2012/09/21(金) 23:10:57.52
幼馴染「……ねぇ。こんなこと、言っても……嫉妬にしか、聞こえないのかも……しれないけど」
幼馴染「あの日。あなたと、妹さんが出かけたあの日……」
幼馴染「どうして、私も連れて行ってくれなかったのかな」
幼馴染「私の誕生日プレゼントだなんて。買いに行ったことは、秘密にしておこうだなんて。どうしてそんなこと、考えちゃったのかな」
幼馴染「私なんかのために……そんなドッキリみたいなこと……考え無かったらっ……」
幼馴染「妹ちゃんはっ! 事故に遭うことも、無かったのかもしれないのにっ!!」
幼馴染「あなたたちと……いつまでも、一緒にいられると……思ってたのに……」ポロポロ
妹「……っ」
幼馴染「あの日。あなたと、妹さんが出かけたあの日……」
幼馴染「どうして、私も連れて行ってくれなかったのかな」
幼馴染「私の誕生日プレゼントだなんて。買いに行ったことは、秘密にしておこうだなんて。どうしてそんなこと、考えちゃったのかな」
幼馴染「私なんかのために……そんなドッキリみたいなこと……考え無かったらっ……」
幼馴染「妹ちゃんはっ! 事故に遭うことも、無かったのかもしれないのにっ!!」
幼馴染「あなたたちと……いつまでも、一緒にいられると……思ってたのに……」ポロポロ
妹「……っ」
52: 2012/09/21(金) 23:16:40.34
幼馴染「……ごめんなさい。いきなり……叫んだりして」
幼馴染「私はやっぱり……悔しいの。私のせいなのに……あなたたち二人を、こんな目に……」
妹「……違う」
幼馴染「どうして何もしてあげられなかったのかな……私は」
妹「……違うよ」
幼馴染「あなたまで氏んだら……もう、ね――」
妹「それは違うよ!! 幼馴染さんッ!!」バサァァッ!!
幼馴染「――!?」
幼馴染「私はやっぱり……悔しいの。私のせいなのに……あなたたち二人を、こんな目に……」
妹「……違う」
幼馴染「どうして何もしてあげられなかったのかな……私は」
妹「……違うよ」
幼馴染「あなたまで氏んだら……もう、ね――」
妹「それは違うよ!! 幼馴染さんッ!!」バサァァッ!!
幼馴染「――!?」
53: 2012/09/21(金) 23:20:35.21
幼馴染「――え、え? 本が――」
妹「よく聞いてッ!! 私は、私は幼馴染さんのこと、恨んだりなんかしてない!!」
幼馴染「本に……言葉、が……」
妹「私たちは幼馴染さんの為に出掛けたの! 幼馴染さんが好きだから!!」
妹「それがなんで、幼馴染さんを恨むことになるの!? 私が、トラックに轢かれたのは――幼馴染さんのせいじゃない!!」
妹「ずっと好きだった!! ずっと、優しいお姉ちゃんみたいに思ってたの!!
お兄ちゃんだってそうだよ! そうに決まってるよ!!」
妹「だから――そんな風に泣かないでよ。私は……嫌だよ。氏んでまで、泣きたくないよ」
幼馴染「……」
幼馴染「妹、さん……?」
妹「よく聞いてッ!! 私は、私は幼馴染さんのこと、恨んだりなんかしてない!!」
幼馴染「本に……言葉、が……」
妹「私たちは幼馴染さんの為に出掛けたの! 幼馴染さんが好きだから!!」
妹「それがなんで、幼馴染さんを恨むことになるの!? 私が、トラックに轢かれたのは――幼馴染さんのせいじゃない!!」
妹「ずっと好きだった!! ずっと、優しいお姉ちゃんみたいに思ってたの!!
お兄ちゃんだってそうだよ! そうに決まってるよ!!」
妹「だから――そんな風に泣かないでよ。私は……嫌だよ。氏んでまで、泣きたくないよ」
幼馴染「……」
幼馴染「妹、さん……?」
54: 2012/09/21(金) 23:23:42.68
幼馴染「……いるのね……妹さん」
幼馴染「今、此処に……」
妹「うん、そうだよ……って、伝わらないか……」
妹「はぁ……疲れた……疲れた、けど……まだ……」
妹「まだ、届いてないよ。お兄ちゃん。私の声……私の、思い」
妹「お願い、聞いて――」
妹「お兄ちゃん!!」
兄「――……」
幼馴染「今、此処に……」
妹「うん、そうだよ……って、伝わらないか……」
妹「はぁ……疲れた……疲れた、けど……まだ……」
妹「まだ、届いてないよ。お兄ちゃん。私の声……私の、思い」
妹「お願い、聞いて――」
妹「お兄ちゃん!!」
兄「――……」
55: 2012/09/21(金) 23:29:08.97
――――――
――――
兄「……う」
妹「……」
兄「此処、は……? え……い、妹……!?」
妹「お兄ちゃん」
兄「妹ッ!? お前、お前――」
妹「お兄ちゃん、お話しに来たの」
――――
兄「……う」
妹「……」
兄「此処、は……? え……い、妹……!?」
妹「お兄ちゃん」
兄「妹ッ!? お前、お前――」
妹「お兄ちゃん、お話しに来たの」
57: 2012/09/21(金) 23:32:53.88
兄「お話……? ああ、そんなこと、いくらだって……」
兄「でも、此処は……俺は……」
妹「思い出せない? お兄ちゃんは……飛び降りたんだよ」
兄「……ああ、ああ……そうだ、俺は……氏のうと……」
妹「……どうして? どうして飛び降りたの?」
兄「……分からなくなったんだ。自分が何のために……頑張ってるのか。何のために生きてるのか」
兄「お前は氏んじまった。幼馴染にも、俺はどんな顔して会えばいいんだ。妹を頃した、俺が。俺なんか、生きてても……」
妹「……お兄ちゃんまで、そんなこと言うの?」
兄「でも、此処は……俺は……」
妹「思い出せない? お兄ちゃんは……飛び降りたんだよ」
兄「……ああ、ああ……そうだ、俺は……氏のうと……」
妹「……どうして? どうして飛び降りたの?」
兄「……分からなくなったんだ。自分が何のために……頑張ってるのか。何のために生きてるのか」
兄「お前は氏んじまった。幼馴染にも、俺はどんな顔して会えばいいんだ。妹を頃した、俺が。俺なんか、生きてても……」
妹「……お兄ちゃんまで、そんなこと言うの?」
59: 2012/09/21(金) 23:37:56.19
兄「妹……」
妹「幼馴染さんも、言ってた。妹さんが氏んだのは、私のせいだって。二人とも、どうしてそんなことを言うのかな」
兄「だって、そうだろ。あの時、俺がお前を注意していれば。しっかり手を握っていれば!」
妹「私のしたことは、私の責任だよ! お兄ちゃんは悪くない! 幼馴染さんだってそう。氏んだのは、私。なにも……お兄ちゃんまで氏ぬ必要なんか、無い!」
兄「……」
妹「……」
兄「……泣くなよ」
妹「……お兄ちゃんだって」
妹「幼馴染さんも、言ってた。妹さんが氏んだのは、私のせいだって。二人とも、どうしてそんなことを言うのかな」
兄「だって、そうだろ。あの時、俺がお前を注意していれば。しっかり手を握っていれば!」
妹「私のしたことは、私の責任だよ! お兄ちゃんは悪くない! 幼馴染さんだってそう。氏んだのは、私。なにも……お兄ちゃんまで氏ぬ必要なんか、無い!」
兄「……」
妹「……」
兄「……泣くなよ」
妹「……お兄ちゃんだって」
60: 2012/09/21(金) 23:41:43.48
兄「俺は……」
兄「俺は、氏んだのか?」
妹「……ううん。まだ氏んでない。意識を失ってるだけ」
兄「……どうすればいい。俺は、これから……」
妹「生きて」
兄「……」
妹「もう二度と、飛び降りたりなんかしないで。生きてることを無駄にしないで。
お兄ちゃんは、私と違って、生きてるんだから」
妹「ほら、聞こえるでしょ。幼馴染さんの声。お兄ちゃんのこと、呼んでるんだよ」
妹「答えてあげてよ、お兄ちゃん」
兄「俺は、氏んだのか?」
妹「……ううん。まだ氏んでない。意識を失ってるだけ」
兄「……どうすればいい。俺は、これから……」
妹「生きて」
兄「……」
妹「もう二度と、飛び降りたりなんかしないで。生きてることを無駄にしないで。
お兄ちゃんは、私と違って、生きてるんだから」
妹「ほら、聞こえるでしょ。幼馴染さんの声。お兄ちゃんのこと、呼んでるんだよ」
妹「答えてあげてよ、お兄ちゃん」
61: 2012/09/21(金) 23:43:40.01
兄「……妹」
妹「……うん」
兄「……俺は、やり直す。今度こそ、生きてみせる」
妹「うん。頑張ってね」
兄「ありがとう。……それと。ごめんな。あの時、お前を守ってやれなくて」
妹「ううん。私こそ、ごめんなさい。お兄ちゃんの言葉、無視して」
兄「……じゃあな」
妹「……うん」
妹「……うん」
兄「……俺は、やり直す。今度こそ、生きてみせる」
妹「うん。頑張ってね」
兄「ありがとう。……それと。ごめんな。あの時、お前を守ってやれなくて」
妹「ううん。私こそ、ごめんなさい。お兄ちゃんの言葉、無視して」
兄「……じゃあな」
妹「……うん」
62: 2012/09/21(金) 23:45:36.23
――――――
――――
兄「……う」
幼馴染「――!? あ、兄! 兄っ!! 目が、覚めたの!?」
兄「幼馴染……」
幼馴染「そう、よ! 私よ! あぁ……良かった……本当に……」
兄「……ごめんな。ずっと……お前のこと、避けたりして……」
幼馴染「え……い、いいよ、そんな……そんなこと、気にしてないから」
兄「……妹と、話をしたんだ」
幼馴染「え……?」
――――
兄「……う」
幼馴染「――!? あ、兄! 兄っ!! 目が、覚めたの!?」
兄「幼馴染……」
幼馴染「そう、よ! 私よ! あぁ……良かった……本当に……」
兄「……ごめんな。ずっと……お前のこと、避けたりして……」
幼馴染「え……い、いいよ、そんな……そんなこと、気にしてないから」
兄「……妹と、話をしたんだ」
幼馴染「え……?」
63: 2012/09/21(金) 23:47:36.18
兄「あいつが……助けてくれた。生きろ……って。生きてることを、無駄にすんなって……」
幼馴染「やっぱり……妹さんが……」
兄「はぁ……馬鹿だな俺は……なんで……なんで、こんなことしちまったんだろうな……」
幼馴染「もう……いいの。これから、私も頑張るから。あなたが抱え込まないように、私も、一緒にいるから」
兄「……ああ。ありがとう。幼馴染」
幼馴染「礼を言うなら……妹さんに、ね」
幼馴染「妹さん――……」クルリ
振り返った視界の中に、その気配は無かった。
本に刻まれていたはずの言葉は、跡形もなく消えている。
彼女は――既に消えてしまっていた。
幼馴染「……妹、さん」
幼馴染「やっぱり……妹さんが……」
兄「はぁ……馬鹿だな俺は……なんで……なんで、こんなことしちまったんだろうな……」
幼馴染「もう……いいの。これから、私も頑張るから。あなたが抱え込まないように、私も、一緒にいるから」
兄「……ああ。ありがとう。幼馴染」
幼馴染「礼を言うなら……妹さんに、ね」
幼馴染「妹さん――……」クルリ
振り返った視界の中に、その気配は無かった。
本に刻まれていたはずの言葉は、跡形もなく消えている。
彼女は――既に消えてしまっていた。
幼馴染「……妹、さん」
66: 2012/09/21(金) 23:49:49.77
――
「――ごめんな。ずっと、お前のこと避けたりして――」
「――い、いいよ、そんな……そんなこと、気にしてないから」
妹「……はぁー……やることやったし、帰ろっか……」
妹「あいたたた……体の節々が……痛い……痛む体なんて、無いはずなのになぁ……」
妹「ぁ……眠い……眠いなぁ……」
妹「……お兄ちゃん……幼馴染さん……」
妹「……」スゥ
「――ごめんな。ずっと、お前のこと避けたりして――」
「――い、いいよ、そんな……そんなこと、気にしてないから」
妹「……はぁー……やることやったし、帰ろっか……」
妹「あいたたた……体の節々が……痛い……痛む体なんて、無いはずなのになぁ……」
妹「ぁ……眠い……眠いなぁ……」
妹「……お兄ちゃん……幼馴染さん……」
妹「……」スゥ
67: 2012/09/21(金) 23:51:54.18
一年後
――墓地
兄「――よう、妹」
妹「あ、お兄ちゃんじゃーん! お久しぶりぃ! 一年ぶりだねー!」
兄「悪いな。墓参り、遅くなって。リハビリとか色々あってさ。でも、去年と同じ日に来れたのは……良かったかもしれない」
妹「そうだねー。でも、元気になったみたいで良かったよ、私」
兄「ほら、これ。ヒマワリ持ってきてやったぞ」
妹「わぁ! ありがとお兄ちゃんっ! やっぱり華があるかないかじゃ違うね! 嬉しいなぁ……」
兄「俺は幼馴染みたいに、上手くないけど……ほら、これなら、暫く大丈夫だろ」
妹「あ、良かった、幼馴染さんと仲良くしてるんだね? ずっと心配だったんだー、最後の方、聞いてなかったからさ!」
――墓地
兄「――よう、妹」
妹「あ、お兄ちゃんじゃーん! お久しぶりぃ! 一年ぶりだねー!」
兄「悪いな。墓参り、遅くなって。リハビリとか色々あってさ。でも、去年と同じ日に来れたのは……良かったかもしれない」
妹「そうだねー。でも、元気になったみたいで良かったよ、私」
兄「ほら、これ。ヒマワリ持ってきてやったぞ」
妹「わぁ! ありがとお兄ちゃんっ! やっぱり華があるかないかじゃ違うね! 嬉しいなぁ……」
兄「俺は幼馴染みたいに、上手くないけど……ほら、これなら、暫く大丈夫だろ」
妹「あ、良かった、幼馴染さんと仲良くしてるんだね? ずっと心配だったんだー、最後の方、聞いてなかったからさ!」
68: 2012/09/21(金) 23:53:33.63
兄「……ありがとな、妹」
妹「うひひ。二度も言われて私興奮しておりますよ。うひひ」
兄「あれから、また頑張って仕事してるんだ。辛い仕事だけどさ……幼馴染が、支えてくれるんだ。勿論、母さんたちもだぞ?」
兄「心の支えがあるってのは……本当に、力強いことなんだな」
妹「お兄ちゃんからそんな言葉が聞けるなんてなー。私も……私も。頑張った甲斐があったよ」
兄「俺は、これからも頑張る。自分の為、幼馴染の為、母さんたちの為……それと、お前の為に」
兄「お前は俺に、そうしてほしかったんだよな」
妹「……うん。うん、そうだよ……ほんと、にっ。そうして……ほしかった」
妹「私はお兄ちゃんに、幸せになってほしかったんだ」
妹「うひひ。二度も言われて私興奮しておりますよ。うひひ」
兄「あれから、また頑張って仕事してるんだ。辛い仕事だけどさ……幼馴染が、支えてくれるんだ。勿論、母さんたちもだぞ?」
兄「心の支えがあるってのは……本当に、力強いことなんだな」
妹「お兄ちゃんからそんな言葉が聞けるなんてなー。私も……私も。頑張った甲斐があったよ」
兄「俺は、これからも頑張る。自分の為、幼馴染の為、母さんたちの為……それと、お前の為に」
兄「お前は俺に、そうしてほしかったんだよな」
妹「……うん。うん、そうだよ……ほんと、にっ。そうして……ほしかった」
妹「私はお兄ちゃんに、幸せになってほしかったんだ」
70: 2012/09/21(金) 23:54:28.04
――
兄「……また、来るよ。今度は幼馴染も連れてくる。いいよな?」
妹「もっちろん! 大歓迎しちゃいますよ!」
兄「……ま、どっちにしろ、連れてくるけどさ」
妹「そうそう、むしろそうしてよね!」
兄「……じゃあ、また」
妹「うん! ばいばい!」
妹「……」
妹「――元気でね、お兄ちゃん!」
終わり
兄「……また、来るよ。今度は幼馴染も連れてくる。いいよな?」
妹「もっちろん! 大歓迎しちゃいますよ!」
兄「……ま、どっちにしろ、連れてくるけどさ」
妹「そうそう、むしろそうしてよね!」
兄「……じゃあ、また」
妹「うん! ばいばい!」
妹「……」
妹「――元気でね、お兄ちゃん!」
終わり
71: 2012/09/21(金) 23:58:20.76
乙
感動した
感動した
72: 2012/09/21(金) 23:58:51.28
乙です
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